JP5257336B2 - 無段変速装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1の無段変速装置は、図5の概略断面図に示すように、トロイダル型無段変速機1と遊星歯車式変速機20とを備える。
また、出力側ディスク5の内周側には、その入力軸2との間にトロイダル型無段変速機1の出力軸となる円筒状の中空軸8が設けられており、当該中空軸8内を入力軸2が貫通した状態となっている。そして、中空軸8と出力側ディスク5とが入力軸2に対して一体に回転自在に構成され、入力軸2に入力された回転トルクは、入力側ディスク3,3からパワーローラ4,4を介して出力側ディスク5,5に伝動されて中空軸8から出力される。なお、同軸上に配置される入力軸2および中空軸8は、トロイダル型無段変速機1の後ろ側(図中右側)に延出し、後述のように遊星歯車式変速機20に接続されている。
また、第1キャリア21には、第1A遊星歯車22と噛み合うとともに、後述の第1リング歯車25と噛み合う第1B遊星歯車24が支持されている。
また、上述の中空軸8は、前後に一体に回転可能に配置された2つの第1A遊星歯車22および第2遊星歯車23のうちの前側の第1A遊星歯車22に対応する軸方向位置まで延出して配置され、当該中空軸8の端部に第1太陽歯車26が一体に回転可能に設けられている。
上記第3太陽歯車28、第3A遊星歯車32、第3B遊星歯車33、第3キャリア31、第3リング歯車34が第3太陽歯車ユニットを構成している。
図6に示す無段変速装置はトロイダル型無段変速機1と遊星歯車式変速機50とからなっている。トロイダル型無段変速機1は、基本構造が図5に示される例と同様となっている。なお、図6には、上述のトラニオン6およびスラスト軸受9が図示され、押圧装置7の図示が省略されている。
また、上述の中空軸8は、前後に一体に回転可能に配置された2つの第1および第2遊星歯車52,53のうちの前側の第1遊星歯車52に対応する軸方向位置まで延出して配置され、当該中空軸8の端部に第1太陽歯車54が一体に回転可能に設けられている。
そして、第4キャリア64は、低速用クラッチ67を介して出力軸63に接続され、低速用クラッチ67が接続状態で、高速用クラッチ62が切断状態となっていると、第4キャリア64と出力軸63とが一体に回転可能となる。
なお、第1キャリア21,51は、同軸上で一体に回転する第1A遊星歯車22(第1遊星歯車52)と第2遊星歯車23,53とを支持する2枚の円環板状の支持板を供えており、これらの支持板間に架け渡される軸周りに第1A遊星歯車22(第1遊星歯車52)と第2遊星歯車23,53とが回転自在に支持されている。
また、第1キャリアの前後の支持板の内周側には、それぞれ第1太陽歯車と第2太陽歯車が挿入されるため、第1キャリアの内周側に配置される構成部材が少なく剛性が乏しいため変形が大きくなる。この大きな変形により爪が破損することが懸念され、第1キャリアが剛性確保のために重くなる。
特に、ディスクの外周側は剛性が低く変形が大きくなるため、キャリアとディスクの接触部分ではフレッチングが発生する虞があり、剛性確保のために入力側ディスクが厚くなって重くなる。
少なくとも太陽歯車と遊星歯車と当該遊星歯車を支持するキャリアとを備える遊星歯車式変速機とを備え、
トロイダル型無段変速機のディスクと遊星歯車式変速機のキャリアとが同軸上に並んで配置されるとともに、1つのディスクと1つのキャリアとが一体に回転自在に連結される無段変速装置において、
互いに一体に回転自在な前記ディスクと前記キャリアとには、当該ディスクと当該キャリアとが同軸上に配置された状態で、前記ディスクの内周部と前記キャリアとの内周部を互いに嵌合させる嵌合部が形成され、
当該ディスクの外周部と当該キャリアの外周部とが溶接され、
当該ディスクと当該キャリアとが、当該ディスクの前記パワーローラとの接触部であるトラクション部のピッチ円直径より外径寄り部分で溶接されていることを特徴とする。
また、例えば、ディスクと、当該ディスクとは独立して回転する軸とを同軸上に配置し、ディスクの中央部を前記軸が貫通した状態で、ディスクの内周側にラジアル軸受を設ける場合に、ディスクとキャリアとを溶接するものとすると、ディスクの回転を円滑にするためにラジアル隙間を設ける必要がある。
少なくとも太陽歯車と遊星歯車と当該遊星歯車を支持するキャリアとを備える遊星歯車式変速機とを備え、
トロイダル型無段変速機のディスクと遊星歯車式変速機のキャリアとが同軸上に並んで配置されるとともに、1つのディスクと1つのキャリアとが一体に回転自在に連結される無段変速装置において、
互いに一体に回転自在な前記ディスクと前記キャリアとには、当該ディスクと当該キャリアとが同軸上に配置された状態で、前記ディスクの内周部と前記キャリアとの内周部を互いに嵌合させる嵌合部が形成され、
当該ディスクの外周部と当該キャリアの外周部とが溶接され、
前記ディスクは、浸炭処理もしくは浸炭窒化処理が施されることにより表層部の炭素濃度が高められ、
前記ディスクの前記キャリアが溶接される部分の少なくとも表層部が除去加工され、前記ディスクの表層部より炭素濃度が低い除去加工部分に前記キャリアが溶接されていることを特徴とする。
そこで、浸炭処理や浸炭窒化処理により炭素濃度が高くなったディスクの表層部のうちのキャリアとの溶接部分を溶接の前に例えば切削加工などで除去することにより、ディスクの溶接部分への熱の影響を低減することができる。
図1に示すように、この例の無段変速装置は、図5に示す従来の無段変速装置と同様の基本構造を有するものであり、図1には、トロイダル型無段変速機1の後端部と、遊星歯車式変速機20の前端部が図示されている。
トロイダル型無段変速機1においては、後ろ側の入力側ディスク3の中央部に設けられた貫通孔の内部に入力軸2が貫通した状態の中空軸8が貫通している。
また、入力側ディスク3に対して前側支持板71は、僅かに小径に形成されており、入力側ディスク3の外周面より僅かに内側に前側支持板71の外周面が配置されている。したがって、入力側ディスク3の背面の最外周部と、前側支持板71の外周面とで入隅の角部が形成され、この入隅の角部で、入力側ディスク3の外周部と前側支持板71の外周部とが溶接されている。
さらに、入力側ディスク3のパワーローラ4が押し付けられた際に最も変形量が大きくなる外周部が前側支持板71と溶接されることにより補強された状態となり、変形量を減少させることができるとともに、変形量の増減幅も減少させることができる。
また、上述のように嵌合部となる嵌合凹部41と嵌合凸部42を嵌合させることで、入力側ディスク3が前側支持板71と同軸上に配置される。
また、入力側ディスク3と前側支持板71の溶接は、変形量の大きい入力側ディスク3の外周側で行われ、入力側ディスク3と前側支持板71との嵌合は、剛性が高く変形量の小さい入力側ディスク3の内周側で行われることになる。
そして、嵌合部分において変形量の変化が小さいことから、嵌合凹部41と嵌合凸部42との間にフレッチングが生じるのを抑制することができる。
また、入力側ディスク3と前側支持板71との溶接方法としては、レーザ溶接を使用することが好ましい。レーザ溶接では局部的に精度良く溶接ができるため、レーザ溶接には、溶接される部材の熱影響部を少なく抑えることができるという特徴があり、それに伴い被溶接部材の変形も少なくすることができる。
なお、溶接時にさらに第2太陽歯車が第1キャリア21に支持される第2遊星歯車23に噛み合わされて取り付けられていることが好ましい。
ここで、浸炭処理もしくは浸炭窒化処理により入力側ディスク3の表層の炭素濃度が高められた状態で、溶接を行うと、炭素濃度の高い表層に溶接時の熱で焼き入れ硬化が起こってしまう。
この例では、上述のように入力側ディスク3より前側支持板71の方が僅かに径が小さく、入力側ディスク3の背面の外周部に前側支持板71が溶接されることになる。
この除去加工で生じた入力側ディスク3の背面の円環状の切欠部3では、炭素濃度の高い表層部3cよりも炭素濃度の低い深層側が露出し、この深層側が露出した切欠部3において、図2(d)に示すように、第1キャリア21の前側支持板71の外周面が溶接部(ビード)3eで入力側ディスク3の背面の外周部に溶接されることになる。
また、入力側ディスク3の炭素濃度の高められた表層部の除去位置は、図2に示されるものに限られるわけではなく、例えば、図3(a),(b),(c),(d)に示すように、入力側ディスク3の外周部を前面(凹面3a)から背面まで除去するものとしもよい。
この除去加工で生じた切欠部3fにより、入力側ディスク3の径が少し小さくなり、入力側ディスク3より前側支持板71の径が僅かに大きくなる。
また、図2に示す場合と同様に、前側支持板71の前面の外周部には、円環状の突出部71bが形成されており、この突出部71bが、図3(d)に示すように、入力側ディスク3の除去加工で形成された外周面に沿って配置され、当該外周面の炭素濃度が最も低いと思われる中央部の溶接部(ビード)3gで当該突出部71bの先端部が溶接されている。
なお、所定量は、元の材料の炭素濃度より高ければ任意に決定可能であるが、焼入れによる硬化の度合い等によって決定される。
そして、切欠部3iの径方向の略中央部で、第1キャリア21の前側支持板71が溶接部(ビート)3jで溶接される。
そこで、入力側ディスク3の除去加工を行うべき部分を、高周波熱処理により部分的に焼鈍しもしくは焼戻しを行うことにより、軟化させ、除去加工を容易とすることができる。
2 入力軸
3 入力側ディスク
4 パワーローラ
5 出力側ディスク
20 遊星歯車式変速機
21 第1キャリア(キャリア)
22 第1A遊星歯車(遊星歯車)
23 第2遊星歯車(遊星歯車)
24 第1B遊星歯車(遊星歯車)
26 第1太陽歯車(太陽歯車)
27 第2太陽歯車(太陽歯車)
41 嵌合凸部(嵌合部)
42 嵌合凹部(嵌合部)
71 前側支持板
Claims (3)
- 互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラとを有するトロイダル型無段変速機と、
少なくとも太陽歯車と遊星歯車と当該遊星歯車を支持するキャリアとを備える遊星歯車式変速機とを備え、
トロイダル型無段変速機のディスクと遊星歯車式変速機のキャリアとが同軸上に並んで配置されるとともに、1つのディスクと1つのキャリアとが一体に回転自在に連結される無段変速装置において、
互いに一体に回転自在な前記ディスクと前記キャリアとには、当該ディスクと当該キャリアとが同軸上に配置された状態で、前記ディスクの内周部と前記キャリアとの内周部を互いに嵌合させる嵌合部が形成され、
当該ディスクと当該キャリアとが、当該ディスクの前記パワーローラとの接触部であるトラクション部のピッチ円直径より外径寄り部分で溶接されていることを特徴とする無段変速装置。 - 互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラとを有するトロイダル型無段変速機と、
少なくとも太陽歯車と遊星歯車と当該遊星歯車を支持するキャリアとを備える遊星歯車式変速機とを備え、
トロイダル型無段変速機のディスクと遊星歯車式変速機のキャリアとが同軸上に並んで配置されるとともに、1つのディスクと1つのキャリアとが一体に回転自在に連結される無段変速装置において、
互いに一体に回転自在な前記ディスクと前記キャリアとには、当該ディスクと当該キャリアとが同軸上に配置された状態で、前記ディスクの内周部と前記キャリアとの内周部を互いに嵌合させる嵌合部が形成され、
当該ディスクの外周部と当該キャリアの外周部とが溶接され、
前記ディスクは、浸炭処理もしくは浸炭窒化処理が施されることにより表層部の炭素濃度が高められ、
前記ディスクの前記キャリアが溶接される部分の少なくとも表層部が除去加工され、前記ディスクの表層部より炭素濃度が低い除去加工部分に前記キャリアが溶接されていることを特徴とする無段変速装置。 - 前記ディスクの少なくとも表層部を除去加工する部分が、高周波熱処理により焼鈍しまたは焼戻しされた後に除去加工されていることを特徴とする請求項2に記載の無段変速装置
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