以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る泡塗布装置を含む本発明に係る画像形成装置の一例について図1を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成図である。
この画像形成装置は、被記録媒体である用紙100に液滴を吐出して画像を形成する画像形成手段としての記録ヘッドユニット101と、用紙100を搬送する搬送ベルト102と、用紙100を収容する給紙トレイ103と、記録ヘッドユニット101よりも用紙搬送方向上流側で被塗布部材である用紙100に泡を塗布する泡塗布装置200とを備えている。
記録ヘッドユニット101は、液滴を吐出する複数のノズルを用紙幅相当分の長さに配列したノズル列を有するライン型液体吐出ヘッドから構成され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を記録ヘッド101y、101m、101c、101kを備えている。なお、シリアル型画像形成装置として記録ヘッドをキャリッジに搭載する構成ともできる。
搬送ベルト102は、無端状ベルトであり、搬送ローラ121とテンションローラ122との間に掛け渡されて周回するように構成している。この搬送ベルト102に対する用紙100の保持は、例えば静電吸着、空気の吸引による吸着などを行う構成とすることやその他の公知の搬送手段を用いることができる。
給紙トレイ103に収容された用紙100は、ピックアップローラ131により、用紙を1枚ずつ分離して下流に搬送する給紙ローラ132aと分離ローラ132bとで構成される給紙部132に送り出される。
給紙部132で一枚に分離された用紙100は、搬送経路133を経由して中間搬送ローラ対134に搬送され、中間搬送ローラ対134により搬送経路135を経由して、泡塗布装置200の泡塗布ローラ212と泡塗布ローラ212に圧接している実線側と離間している破線側で揺動可能な泡加圧ローラ213との間を、泡塗布ローラ212に泡加圧ローラ213を圧接させた状態(実線側)で搬送され、このとき泡210が塗布されて、搬送ベルト102上に送り込まれて保持される。
そして、泡塗布装置200で塗布された泡210は速乾して、用紙100は搬送ベルト102の周回移動によって搬送され、ヘッドユニット101から各色の液滴が吐出されて画像が形成され、その後排紙トレイ104に排出される。
一方、泡塗布装置200は、泡状態にすることが可能な液体又はゲル若しくは液体及びゲル(以下、これらを「処理液」又は「セット剤」と総称する。)201を収容した容器202と、この容器202から処理液201を圧送するポンプ203と、ポンプ203で供給路204を介して供給された処理液201から泡210を生成する泡生成手段としての泡生成部205と、泡生成部205から供給路206を介して泡210が供給されて導入口231から導入され、泡210を被記録媒体100(又は中間部材でもよい。)の幅方向に延展する泡貯留部(泡供給部)211と、この泡貯留部211の供給口232から泡210が供給され、泡210を周面に担持して、被記録媒体100に泡210を塗布する塗布手段としての泡塗布ローラ(塗布部材)212と、泡塗布ローラ212に実線図示の位置と破線図示の位置との間で接離可能な泡加圧ローラ213を備えている。
また、泡貯留部211は、供給口232での泡210の流体抵抗を可変することにより泡塗布ローラ212に対して供給する泡210の量(泡塗布ローラ212による塗布量)を調整可能で、かつ、泡塗布ローラ212への泡210の供給領域(泡塗布ローラ212による塗布領域)を開閉量で規制する塗布量/塗布領域調整手段233と、塗布ローラ212に供給されなかった余剰な泡210を排出する排出口234を備えている。
この排出口234には塗布されずに残った(ここでは、塗布手段である泡塗布ローラ212に供給されずに残った)余剰泡を回収する経路である、排出経路401が接続されている。この排出経路401の他端部側は、処理液201を収容する処理液収容部である容器202に接続されている(通じている。)。
そして、排出経路401には、排出口234の流体抵抗を調整することで排出口234から排出される余剰泡の量を制御する調整バルブ403と、この調整バルブ403の下流側で排出口234から容器202への余剰泡の排出を補助する排出ポンプ402と、排出ポンプ402の下流側で排出経路401内を排出される余剰泡を加熱して液状に戻す加熱装置501が配置されている。なお、排出ポンプ402は余剰泡を圧縮することで消泡する作用も有している。
加熱装置501により泡を加熱することで泡の膜が乾燥し膜厚が薄くなるとともに泡の内部が熱膨張し、泡の内圧が高まるため、泡が大きくなり、更に泡の膜厚が薄くなり、その作用で消泡することができる。泡が消えた若しくは少なくなった排出液(これを「還元処理液」という。)を容器202に回収して、再度泡生成に用いる。
なお、ここでは、排出経路401は処理液201を収容する処理液収容部である容器202に接続しているが、廃棄用収容部である廃棄タンクに接続して還元処理液を回収廃棄することもできるし、また、泡生成部205に接続して泡生成部205で再度泡生成に利用することもできる。
また、泡塗布ローラ212に担持された泡210の膜厚(塗布膜厚)を規制する厚さ規制手段214と、塗布後に泡塗布ローラ212周面に残っている泡210を除去するクリーニング部材215とを備えている。
ここで、泡状態になり得る処理液201は、用紙100の表面に塗布することで用紙100の表面を改質する改質材である。例えば、処理液201は、予め用紙100(前述したように材質としての紙に限定されない。)にムラなく塗布しておくことで、インクの水分を速やかに用紙100に浸透させると共に色成分を増粘させ、更には乾燥も早めることによって滲み(フェザリング、ブリーディング等)や裏抜けを防止し、生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)をあげることを可能にする定着剤(セット剤)である。
この処理液201は、組成的には、例えば界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれか、若しくはこれらを2種類以上混合させたもの)に対して、水分の浸透を促進するセルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース等)とタルク微粉体の様な基剤を加えた溶液等を挙げることができる。更に微粒子を含有することもできる。
また、泡210としては、前述したように、液体又はゲルがその中に空気などの気体を含んで丸くなったものであり、気体を包む液体の表面張力により形作られ、ある時間立体的形状を保持できるものであって、かさ密度0.05g/cm3以下であり、泡径の分布範囲が10μm〜1mm、平均泡径が100μm以下であることが好ましく、また、泡は単体では丸く形成されるが、複数結合すると表面張力により個々の泡の形状は多面体形状をとるものである。
ここで、「泡」は液体ではなく半固体となり、流動性等において固体に近い物性を示すものである。つまり、泡210は処理液201から生成されるものであるが、生成された「泡」自体は「液体」や「ゲル」ではない。
そして、このように、用紙100の表面に処理液201から生成した泡210を塗布することによって、泡210には空気を大量に含むことで微量液塗布が可能となって、塗布の均一化を図れ、速乾性が向上し、滲み、裏写り、濃度ムラ等のない良質な画像を出力することができる。
つまり、処理液を泡にして塗布することで、液体やミスト状の処理液と比べて、次のような利点(効果)がある。
(1)泡は空気を大量に含む為、微量塗布が可能である。
(2)泡は固体に近いため、塗布してから削りとる等で塗布膜厚を容易に調整することができ、又、塗布手段から紙への塗布時に塗布手段からの剥離性が良いため、均一塗布が可能である。
(3)泡は紙の繊維に水分が浸透しにくいため、紙にシワやカールが発生しにくい。
このような泡塗布の長所は、処理液の種類に依存せず、同様な効果が得られる。なお、処理液は紙粉を抑える効果を持つことが好ましく、また、用紙の地肌色を変える効果があっても良い。
さらに、このように被記録媒体の処理剤として「泡」のものを用いることは、液体の処理剤に比べて特に高速での記録、処理時に格別の効果を有する。例えば、連帳機のように、連続紙に高速で印刷を行う場合、処理剤の塗布も記録動作に追いつくためにローラ等を高速に回転させて塗布を行う必要がある。
このような記録が毎分100m程度を超えるスピードになると、ローラの高速回転により発生する遠心力もきわめて大きくなり、液体の処理剤では、処理剤がローラ表面から引き離され飛散してしまい、被記録媒体に塗布される量が著しく低下してしまうという不具合がある。液体の処理剤を使用してこのような不具合を解決するためには、液体の粘度を上げてローラ表面から飛散しにくくすることも考えられるが、このような高粘度液体は薄膜で塗布することが困難になり、しかも給液、排液動作の負荷が大きくなって搬送用のポンプの大型化や装置の複雑化を招くことになる。
これに対して、処理液から生成した「泡」は、搬送時は通常の低粘度液体であり、搬送負荷が少ない上に、ローラ上では発泡させた状態で半固体の性質を示すため、ローラの高速回転にも追随して飛散することがない。また、被記録媒体への薄膜塗布に有利であることは前述のとおりである。さらに、塗布後の残泡はヒータの加熱等で消泡することで容易に低粘度液体として再回収でき、液体の処理剤塗布の高速塗布における問題点をすべて解決することができるのである。
ところで、被記録媒体又は被記録媒体に塗布するための中間部材などの被塗布部材に対し、幅方向へ泡を均一量塗布するためには、塗布前に該方向へ十分に延展させる必要がある。しかしながら、泡は固体に近い(半固体状である)から、容易には延展せず、被記録媒体や中間部材の幅方向に延展することが難しい。また、塗布手段へ泡の供給量の制御が難しいという課題や供給された泡のかさ密度、発砲密度、泡径を均一に保つことが難しいという課題がある。
そこで、本実施形態では、被塗布部材に泡を塗布する塗布手段に供給口から泡を供給する供給手段に、塗布手段に供給されなかった泡を排出する排出口を有し、塗布手段に供給される泡の量よりも過剰な量の泡が導入される構成として、泡を均一な厚みで塗布できるようにするとともに、供給量を容易に制御でき、更に塗布する泡の品質を均一に保ち、画質を向上することができるようにしている。
ここで、泡塗布装置200における泡生成部205の一例について図2を参照して説明する。なお、図2は同泡生成部の模式的説明図である。
この泡生成部205は、ポンプ203で容器202から供給される処理液201を収容する容器221と、容器221内に配置された円筒状の多孔部材222と、この多孔部材222内部に気体を供給する気体供給手段223とを備えている。気体供給手段223は例えばファンとダクトで空気を送り込む構成とできる。また、生成される泡210が容器221内で無秩序に広がらないように多孔部材222を囲むとともに泡状態になる処理液201を充分に多孔部材222に供給するために、供給路206の一端部側が多孔部材222を囲む形状に形成され、この供給路206の入口部分(多孔部材222を配置する部分)に第1のスリット224、第2のスリット225が設けられている。
この泡生成部205においては、多孔部材222に気体が供給されることで処理液201から泡210が生成され、気体を供給して泡210を生成しているときには泡210が自身の堆積力(堆積の方向は垂直方向に限らない。)と導入される気体の流れで供給路206内を移動して(搬送されて)、泡貯留部211に供給され、気体の供給を停止することで、泡210が堆積しなくなって搬送されなくなる。このように、特別な搬送手段を用いることなく泡自身の堆積力で生成された泡が搬送供給されるので、構成が簡単になる。
次に、泡塗布装置200における泡貯留部211の一例について図3を参照して説明する。なお、図3は同貯留部の模式的斜視説明図である。
この泡貯留部211は、泡貯留容器300に、前述したように泡生成部205から供給路206を介して泡210が供給される導入口231と、塗布ローラ212に泡210を供給する供給口232と、塗布ローラ212に供給されなかった余剰な泡210を排出する排出口234とを備え、供給口232には塗布量/塗布領域調整手段233を備えている。
この泡貯留部211においては、泡生成部206から導入口231を介して泡貯留容器300内に泡210が送り込まれ、供給口232から塗布ローラ212側へと押し出される。調整バルブ403を閉じておき、供給によって圧力をかけることにより、泡210は泡貯留容器300内で用紙幅方向に延展される。このとき、調整バルブ403は泡貯留容器300内に泡210が行渡る圧力に設定されている。
そして、所定のタイミングで調整バルブ403を開くことで、泡塗布ローラ212に対する供給量より多い泡210を泡貯留容器300内に導入(供給)しながら、余分な泡210を排出口234から排出経路401へ排出することで、所定の用紙幅方向に不足なく塗布されることになる。なお、調整バルブ403により流体抵抗を調節して塗布ローラ212に優先的に泡210が供給されるよう制御している。
ここで、塗布量/塗布領域調整手段233としては、図4に示すように、上下に昇降することで供給口232を開閉する調整板233aを備える構成、或いは、図5及び図6に示すように、上下方向の調整板233aとともに、横方向(用紙の幅方向に相当する。)に移動することで供給口232を開閉する調整板233bを備える構成とできる。
この場合、図4に示す調整板233aを備える構成では、供給口232の大きさを上下方向に可変させることで流体抵抗を可変させることができ、塗布ローラ212の周方向への塗布領域を調整することができ、これにより用紙100に対する搬送方向の塗布領域を制御することができる。また、図5に示す調整板233a、233bを備える構成では、開閉によって塗付ローラ212の周方向への塗付領域を調整することができるとともに、塗布ローラ212の軸方向への塗布領域を調整することができ、これにより用紙100に対する幅方向(搬送方向と直交する方向)の塗布領域も制御することができる。この図5に示す構成では、調整板233bは片方向に配置しているが、両側に配置することで用紙の幅方向の中央を基準とした中央基準の用紙搬送にも対応することができる。
また、厚さ規制部材214は、図6に示すように、塗布ローラ212との間の距離を制御することにより塗布膜厚を任意に調整でき、例えば、画像形成装置の操作表示部から所定の操作を行うことで、厚さ規制部材214が塗布ローラ212の周面に対して接線方向又は法線方向に図示しない駆動手段により移動して、調整できるようにしている。これにより、泡の塗布膜厚を任意の値に設定することができる。
次に、上記画像形成装置の制御部の概要について図7のブロック説明図を参照して説明する。
この制御部は、本発明に係る紙間制御を行う手段を兼ねた本画像形成装置のシステム制御を行うCPU801と、CPU801が実行するプログラムなどの情報を格納するROM802と、ワーキングエリアとして使用するRAM803と、オペレータが各種設定等を行うため操作表示部804と、紙サイズ検知やジャム検知等を行う各種センサ805と、各種モータ等806と、各種センサ805及び各種モータ等806への出力制御信号を行うI/O807と、画像読取り装置(スキャナ)808を制御する読取り制御部809と、プロッタ部(印字機構部)810を制御する印字制御部811と、電話回線とのI/F制御を行う網制御装置812の制御も含めて、各種ファクシミリ通信制御を行う通信制御部813と、泡塗布装置200の制御を行う泡塗布制御部814等を備えている。
ここで、各種センサ805には、図1に示すように用紙100を検知するセンサS1〜S5、処理液201が容器202内にあるか否か検知する液体エンド検知手段などを含む。
また、各種モータ806には、ポンプ203、泡塗布ローラ212、供給量/供給領域調整手段233、厚み規制手段214、搬送ローラ121、ピックアップローラ131、給紙ローラ132a、中間搬送ローラ対134などを回転させるモータを含むとともに、泡加圧ローラ213を接離させるソレノイドなどの駆動源を含む。
また、泡塗布制御部814は、泡塗布装置200による泡生成や泡塗布を制御する。
次に、この画像形成装置における泡塗布時の紙間制御の一例について図8及び図9のフロー図、図10ないし図12の説明図を参照して説明する。
先ず、図8を参照して、給紙動作の指示を受けると、前頁(先行する用紙)の有無をチェックして紙間制御が必要か否かを判別する。ここで、前頁が無い場合、即ち、紙間制御が必要無い場合には、ピックアップローラ131により、用紙100を一枚ずつ分離して下流に搬送する給紙ローラ132aと分離ローラ132bで構成されている給紙部132に搬送し、給紙部132で一枚に分離された用紙100を、搬送経路133を経由して中間搬送ローラ対134に搬送する。
そして、中間搬送ローラ対134の上流側(用紙搬送方向上流側の意味、以下同じ)に配置されたセンサS2で用紙100の先端を検知すると、中間搬送ローラ対134の駆動を停止する(給紙開始から停止している場合は必要ない)。
その後、センサS2から中間搬送ローラ対134までの距離D(図10参照)に予め定めた所定の距離α(例えば5mm)を加えた距離を搬送して、給紙ローラ132aと分離ローラ132bを停止する(給紙分離動作停止)。このことにより、用紙100の先端のスキューが強制され、また、用紙100の先端の位置が所定の位置で位置決めされる。
次に、中間搬送ローラ対134を所定の速度、例えば泡210を塗布する速度(泡塗布速度)の2倍の線速で泡塗布部(泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213による泡塗布位置)まで搬送する。
そして、高速で搬送された用紙100はセンサS4で用紙100の先端を検知されると、泡塗布速度まで減速し、泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213のニップ部に搬送され、泡塗布ローラ212によって用紙100上に泡210が塗布される。なお、このとき、中間ローラ対134は停止してもよいし、用紙100の後端が中間ローラ対134を抜けてから停止してもよい。次の給紙が無い場合は給紙動作を終了する。
また、給紙動作終了後、泡塗布部での塗布が終了後、泡加圧ローラ213を破線図示の位置に退避される。これにより、泡加圧ローラ213の表面が泡塗布ローラ212に接触して泡210が泡塗布ローラ213表面に転移して汚れるのを防止でき、泡加圧ローラ213に泡210が付着することによる用紙100の裏面や装置内部の汚れを防止できる。
次に、給紙動作の指示を受けて、前頁があるときには、紙間制御が必要になることから、図9に示す処理(給紙動作2)に移行する。
ここでは、次の用紙100(後行の用紙)は、前頁の用紙後端がセンサS1で検知されると、ピックアップローラ131により、用紙を一枚ずつ分離して給紙ローラ132aと分離ローラ132bで構成されている給紙部132に搬送し、給紙部132で一枚に分離された用紙100を、搬送経路133を経由して中間搬送ローラ対134に搬送する。そして、センサS2で用紙100の先端を検知すると、中間搬送ローラ対134の駆動を停止する(開始時から停止している場合は必要ない)。
このとき、先行の用紙100と後行の用紙100の間隔は、少なくとも距離B(図10参照)あるので、図10に示す距離Dを距離Bより小さく設定することにより、中間搬送ローラ対134を停止しても、前頁の用紙後端は既に中間搬送ローラ対134を抜けることが可能となる。
そして、センサS2から中間搬送ローラ対134までの距離Dに所定の距離α(例えば3mm)を加えた距離を搬送して、給紙ローラ132aと分離ローラ132bを停止する。このことにより、後行の用紙100の先端のスキューが強制され、また、用紙先端の位置が所定の位置で位置決めされる。
次いで、センサS3で前頁の用紙後端を検知すると(図10の状態)、中間搬送ローラ対134を所定の速度で泡塗布ローラ212に向けて搬送する。所定の速度は、例えば距離Gを前頁の用紙100が搬送される時間に中間搬送ローラ対124が後行の用紙100を(距離E+距離G)搬送するように設定している。これにより、前頁の用紙の後端に次頁の用紙の先端が追いつく(図11の状態)、すなわちセンサS3検知後に距離G搬送すると前頁と次頁の紙間がゼロになる。
用紙100がセンサS3で検知された後に距離G進んだことを検知すると(センサS4で先端を検知しても同じタイミングであるが、この時は紙間が極めてゼロに近いのでセンサS4での検知が難しいため、この例ではセンサS3を用いて検知している)、中間搬送ローラ対134を泡塗布速度まで減速し、泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213のニップ部に搬送する。
これにより、塗布部では先行する用紙100と後行の用紙100の紙間を無くすことが可能となる。用紙100、100の紙間がないことから、泡加圧ローラ213の表面が泡塗布ローラ212に直接接触しないので、泡加圧ローラ212の汚れを防止できる。
ここでは、用紙の紙間がゼロになるように設定しているが、用紙の紙間はゼロが好ましいものの、制御のばらつきに対する余裕度を持たせるため、用紙100の先端、後端を例えば3mm程度(印字可能領域外)オーバラップするように設定しても、同様な効果が得られる。
また、所定以上の紙間、例えば10mm以上(紙間が10mm程度であれば、泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213が直接接触する距離が小さいため、用紙100を搬送することにより汚れの蓄積を防止できる)の紙間をセンサS4で検出した場合、前頁の後端が泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213のニップから抜けた後、泡加圧ローラ213を図1の破線図示の位置に退避させるよう(図12の状態)に設定する方が好ましい。これにより、泡加圧ローラ213の汚れを防止することができる。図1の破線図示の位置に退避させた泡加圧ローラ213は、次の用紙の先端が来るタイミング(センサS4で検知)で再度上方向(図1の実線図示の位置)に移動させて加圧する。
なお、上記泡加圧ローラ213の退避動作を用紙毎に繰り返せば、紙間を略ゼロにして搬送しなくてもよいが、用紙毎に泡加圧ローラ213の接離を制御すると、騒音や振動の問題が生じることから、通常は紙間を小さくして汚れを防止し、異常時のみ泡加圧ローラ213の接離で汚れを防止する方が好ましい。
この例において、先行の用紙100に泡塗布後、先行の用紙100と後行の用紙100との間に、再度紙間を形成する構成としては、例えば次の2つの構成のいずれかを採用できる。
まず、第1の構成は、泡塗布ローラ212の線速よりも搬送ベルト102の線速を速く設定する。この場合、泡塗布ローラ212の搬送力より搬送ベルト102の搬送力を小さく設定することが好ましい。
これにより、前頁の用紙100の後端が泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213のニップ部を過ぎると(図13の状態)、前頁の用紙100の搬送速度(移動速度)が速くなり、先行の用紙100と後行の用紙100との間に紙間が生じる。用紙100、100の紙間を形成した後、記録ヘッドユニット100で画像を形成することにより、センサS5で用紙100の先端、後端が直接検知可能となり、用紙100と画像の位置合わせが容易に可能となり、特に用紙端まで画像を形成する縁無し印刷も容易に実施することが可能となる。
第2の構成は、泡塗布ローラ212の線速と搬送ベルト102の線速を同じに設定し、先行の用紙100が泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213のニップ部を抜けるタイミングで、泡塗布ローラ212の速度を一旦減速し、紙間形成後速度を元に戻す。
これにより、前頁の用紙100の後端が泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213のニップ部を過ぎると(図13の状態)、前頁の用紙100の搬送速度(移動速度)が相対的に速くなり、先行の用紙100と後行の用紙100との間に紙間が生じる。そして、所定の紙間が形成された後、泡塗布ローラ212の速度を元に戻すが、この場合、泡塗布ローラ212の速度が一旦減速されることで、後行の用紙100に対する泡塗布時の速度が遅くなって、後行の用紙200の先端部分に対する泡塗布量が相対的に(減速前に比べて)多くなるが、減速前の速度で画像形成に十分な泡塗布量の設定を行うことにより、減速により泡塗布量がさらに増えたとしても画像形成に与える影響はほとんどなくすことができる。
なお、先行の用紙100が泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213のニップ部を抜けるタイミングは、例えば記録ヘッドユニット100の上流側に設けたセンサS5で先行の用紙100の先端を検知したときからの搬送時間などで検知することができる。
これらの第1の構成と第2の構成を比べると、第1の構成にあっては、搬送ベルト102の速度(画像形成時の速度)が泡塗布ローラ212の速度より速いために、先行の用紙100が泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213のニップ部を抜けるまで画像形成を開始することがむずかしく、泡塗布部と画像形成位置との間を離す必要がある。これに対して、第2の構成にあっては、搬送ベルト102の速度(画像形成時の速度)が泡塗布ローラ212の速度が同じであるので、泡塗布を行いながら画像形成を行うことができて、小型化を図れる。
また、上記実施形態では、給紙時に紙間を開け、再度、紙間を無くす構成について説明したが、紙間を無くして搬送する構成はこれに限定されるものではなく、例えば、給紙時に次頁がある場合は給紙ローラ132aと分離ローラ132bを停止させず常に動作させれば紙間はほとんど発生させずに用紙を搬送することができる。
さらに、上記実施形態では、泡塗布後に先行する用紙と後行の用紙との間の紙間を形成する例で説明しているが、紙間を略ゼロにしたまま画像形成を行うことができる、つまり、連続する2つの用紙の先端位置を検出できる場合には、排紙時に、先行する用紙と後行の用紙の紙間を開くことができるので、泡塗布時の紙間を排紙時の紙間よりも狭くする構成とすることもできる。ここで、排紙時にも紙間が小さいままで排紙を行った場合には、排紙トレイへのスタック性が悪くなりトレイからの用紙落下の原因となる。また定着性の比較的悪い用紙においては連続して紙が排紙され、排紙トレイ上で擦れることにより画像汚れの原因となる。したがって、連続印字が可能な場合であっても排紙時には紙間を広げることが好ましい。
次に、泡塗布制御の概要について図14に示すフロー図を参照して説明する。
画像出力要求を受信したら、処理液(セット剤)塗布機能が有効に設定されているか否かを判別する。そして、処理液塗布機能が有効設定であるときには、泡生成部205の容器221内に所定量以上の処理液201が入っているか否かを判別する。このとき、泡生成部205の容器221内に所定量以上の処理液201が入っていなければ、ポンプ203を駆動して容器202から処理液201を泡生成部205の容器221内に補給した後、また、所定量以上の処理液201が入っていれば、そのまま、泡生成部205に対して気体を送り込んで泡210の生成を開始する。これにより、泡貯留部211に泡210が前述したように供給され、延展され、余剰の泡210は排出口234から排出経路235を経て排出される。
その後、塗布ローラ212の駆動を開始し、所定のタイミングで塗布量/塗布領域調整手段233を開き、塗布ローラ212の表面に泡210の供給を開始する。これにより、塗布ローラ212の表面には泡210が担持されて厚み規制部材214によって所定の厚みに規制され、泡加圧ローラ213側に移送される。
このとき、前述したようにして給紙動作が行われ、泡塗布ローラ212と泡加圧ローラ213との間に搬送される用紙100上に泡210が塗布される。
そして、最終用紙の泡塗布するための塗布ローラ212への泡210の供給が終了したときに、泡貯留部211の塗布量/塗布領域調整手段213を閉じて塗布ローラ212への泡210の供給を停止するとともに泡生成を終了する。
このように、被記録媒体に対して液体及びゲルの少なくともいずれかの処理液を泡状にした泡を塗布し、連続する複数の被記録媒体に泡を塗布するとき、先行の被記録媒体と後行の被記録媒体の間隔を画像形成時の間隔又は排紙時の間隔よりも狭くする制御を行うことで、処理液を泡状にしたものを塗布するときに余剰泡の発生を低減できる。
なお、上記実施形態において、先行の用紙の後端部と後行の用紙の先端部が予め定めた所定距離以上離れたとき(図9の処理において、例えば、センサS3で先行(前頁)の用紙後端を検知後所定時間内に後行の用紙の先端を検知できない場合など)には、泡塗布を停止するようにすることもでき、このようにすれば余剰泡の発生を防止できる。
また、上記実施形態では泡塗布装置が画像形成前の用紙に対して泡を塗布する構成で説明しているが、記録ヘッドユニットの下流側に泡塗布装置を配置し、画像形成が行われた用紙上に泡を塗布する構成とすることもできる。この場合、画像形成時の紙間よりも泡塗布時の紙間を狭くするために、排紙する先行の被記録媒体の後端部に泡を塗布するとき、画像形成中の後行の被記録媒体の先端が近づくまで先行する被記録媒体の排紙速度(塗布速度)を減速して紙間を詰め、後行の被記録媒体の先端が泡塗布部に到達したときに元の排紙速度に戻す制御を行えばよい。
また、上記実施形態では、泡状態にすることが可能な液体から泡を生成して塗布する例で説明しているが、本発明を、泡状態にすることが可能なゲルから泡を生成して被塗布部材に塗布する装置、この装置を備える画像形成装置にも適用することができる。
また、本発明に係る泡塗布装置は、例えば電子写真方式の画像形成装置にも適用することができる。例えば、紙等の媒体上のトナー等の樹脂を含有する微粒子を乱すことなく、かつ当該樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を泡化(以下「定着泡」という)して塗布することにより、塗布後に素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残油感が発生しない定着方法及び定着装置、並びに画像形成方法及び画像形成装置にも適用できる。
そこで、電子写真方式の画像形成装置に適用した場合の例について図15及び図16を参照して説明する。なお、図15及び図16はローラ塗布手段においてローラ塗布面と未定着樹脂微粒子が接する部分の拡大説明図であり、図15は塗布ローラと記録媒体との接触面での加圧が相対的に高い場合、図16は同加圧が相対的に低い場合である。また、塗布ローラ1011の回転方向及び被塗布部材としての記録媒体1010の移動方向はいずれも図中の矢印方向とする。
まず、塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触面での加圧が高い場合、図15(a)に示す例では、塗布ローラ1011の塗布面で定着泡1012は気泡1013の単層構造となっていることから、気泡自身が表面張力により塗布ローラ1011の塗布面に付着しやすく、記録媒体1010上の樹脂微粒子(未定着トナー)1015の層へ定着泡1012が不均一にしか塗布されず、樹脂微粒子1015が気泡1013に吸着して塗布ローラ1011の塗布面にオフセットしてしまう。
一方、図15(b)に示すように、塗布ローラ1011の塗布面で定着泡1012が複数層の気泡層構造である場合、凹凸を有する未定着トナー1015の面への気泡の埋め込みが可能となり、定着泡1012は気泡1013の層間で分離しやすくなり、トナー層に均一に塗布可能となり、トナーオフセットを極めて生じにくくすることができる。
したがって、塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触面での加圧が高い場合、塗布ローラ1011に未定着トナー1015がオフセットしないようにするためには、予め生成する気泡の平均的な大きさを測定しておき、気泡層が複数層となるように、塗布ローラ1011上の定着泡層の膜厚を気泡層の複数層分の厚みになるように制御すれば、塗布ローラ1011上には必ず複数層の気泡層からなる定着泡層が形成され、トナーオフセットの防止が可能となる。
また、塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触面での加圧が低い場合、図16(a)に示すように、塗布ローラ1011の塗布面で定着泡1012は気泡1013の単層構造となっているため、凹凸を有する未定着トナー1015の面への気泡が付着しやすくなり、塗布ローラ1011の面から気泡層が剥離し、定着泡1012は未定着トナー1015に塗布される。
一方、図16(b)に示すように、塗布ローラ1011の塗布面で定着泡1012が複数層の気泡層構造である場合、気泡1013どうしの結合が強いため、気泡1013は塗布ローラ1011側に残りやすく、逆に未定着トナー1015が気泡1013に付着して、結果として塗布ローラ1011の面に未定着トナー1015がオフセットする。
したがって、塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触面での加圧が低い場合、予め気泡の平均的な大きさを測定しておき、塗布ローラ面で単層の気泡層構造の定着泡となるように定着泡層厚みを制御すれば、塗布ローラ上には単層の気泡層構造の定着泡膜が形成され、高加圧力条件でトナーオフセットを防止できる。また、塗布ローラ1011に未定着トナー1015がオフセットしないようにするためには、塗布ローラ1011上の気泡層が厚すぎると塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触部に気泡層の流動が生じ、トナー粒子がその流れに沿って移動してしまし、画像が流れる不具合が発生するので、流動性が生じない範囲に定着泡層の膜厚を制御することが好ましい。
このように、定着泡に含有される気泡の大きさ、加圧力に応じて、定着泡層の膜厚を制御することで、塗布ローラのような接触塗布手段へのトナーオフセットや画像流れを防止し、極めて微小の塗布による定着を可能とすることができる。
すなわち、樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を用い、接触塗布手段にて媒体上の当該樹脂微粒子に定着液を塗布することで当該樹脂微粒子を媒体に定着する方法であり、当該定着液を該媒体上の当該樹脂微粒子表面に付与するときに、当該微粒子に定着液が接する塗布で、当該定着液が気泡を含有した泡状形態とし、更に当該定着泡層の膜厚を加圧力に応じて制御することにより、塗布ローラのような接触塗布手段へのトナーオフセットや画像流れを防止し、極めて微小の塗布による定着を可能とすることができる。また、樹脂微粒子として、電子写真技術に用いるトナー微粒子に対する効果が高く、この樹脂微粒子の層厚に応じて定着泡層の膜厚を制御することでオフセットや画像流れを防止できる。