JP5256507B2 - 多層プリフォーム検査方法及び多層プリフォーム検査装置 - Google Patents
多層プリフォーム検査方法及び多層プリフォーム検査装置 Download PDFInfo
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Description
そこで、本出願人は、中間層の下端部を、容器底部の接地部あるいは接地部よりも容器半径方向外側に位置するようにすることで、従来の多層プラスチック容器に見られた落下による割れや層間剥離を有効に防止することができる、バリア性及び耐落下衝撃性に優れた薄肉軽量化された多層プラスチック容器を先に提案した(特許文献1参照)。
例えば、多層プリフォームの表面に対して斜め方向からレーザ光を照射し、その多層プリフォームの表面、中間層(存在した場合)、裏面におけるレーザ光の光像(輝点)を撮像し、この光像の存在や距離などを画像処理により検出して、中間層の存否を判断するものがある(特許文献2参照)。
また、多層プリフォームの表面に対して斜め方向からレーザ光を照射し、その多層プリフォームにて反射したレーザ光を受光し、この受光したレーザ光のうち、多層プリフォームの中間層にて反射したレーザ光を検出して、その中間層の存否を判断するものがある(特許文献3参照)。
例えば、文献技術は、多層プリフォームのうちレーザ光を照射した一箇所においてのみ、中間層の存否を判断していた。そして、その一箇所について「中間層が存在する」ものと判断したときには、当該多層プリフォームに対して「中間層が存在する」ものと判定していた。つまり、文献技術は、中間層の存否を判断する箇所が多層プリフォームにおける一箇所のみであり、他の多くの箇所ではその判断を行っていないのにもかかわらず、その一箇所における判断の結果をもって多層プリフォームの全体に適切に中間層が形成されているものと判定しており、この判定結果の信頼性が低いものとなっていた。
しかしながら、この方法では、それら複数箇所の一つ一つに順にレーザ光を照射していかなければならないことから、判定結果を得るまでに相当の時間を要してしまうという問題があった。
特に、多層プリフォームの生産ラインにおいては、ラインスピードを下げることなく、多層プリフォームの良否判断を行うことが望まれるが、上記の方法では、多層プリフォームを一つ一つ検査するのに時間がかかりすぎるため、ラインスピードの低下が必至となることから、採用が難しく実用的でなかった。
さらに、多層プリフォームの全体又は所定の範囲にわたって中間層の存否を判断できることから、中間層の端部の位置を特定でき、この端部の位置が許容範囲内に収まっているか否かについても確実に判断できる。そして、その中間層の端部が所定範囲外に位置する多層プリフォームについては、生産ライン上から排除することで歩留まりの向上を図ることができる。
まず、本発明について理解容易とするために、本発明の原理について、図1〜図7を参照して説明し、本発明が、どのような技術思想に基づいてなされたものであるかを明らかにする。
なお、ここでは、本発明の原理の説明として、次の項目について、順に説明する。
(1)多層プリフォームを透過した光の波長に対する透過度の測定
(2)点光源を用いて多層プリフォームに光を照射した場合
(3)面照明を用いて多層プリフォームに光を照射した場合
(4)縞状照明手段の構造及び機能
本発明者は、まず、多層プリフォームに光を照射して、その多層プリフォームを透過した光の波長に対する透過度の変化を測定した。
具体的には、図15に示した構造を有する多層プリフォーム2aに、点光源から発せられた指向性の高い白色光線を照射し、その照射方向に沿って多層プリフォーム2aを透過した光の波長に対する透過度の変化を測定した。
その結果、図1に示すように、多層プリフォーム2aの多層部22(多層プリフォーム2aのうち中間層21の存在する部分)を透過した光は、特定の波長(同図においては、430nm付近の青色の波長)の透過度が高くなっていた。また、その特定の波長以外の波長の透過度が低くなっていた。一方、多層プリフォーム2aの単層部23(多層プリフォーム2aのうち中間層21の存在しない部分)を透過した光は、どの波長の透過度もほぼ同程度の値(400nm以上の波長において、65〜75%)であった。
このため、その白色光線が照射された多層プリフォーム2aを目視したときには、多層部22が、透過した光の波長(特定の波長)に応じた色(例えば、青色)に見え、単層部23が、透過した白色光線の波長に応じた色(つまり、白色)に見える。
このように、多層プリフォーム2aにおいては、中間層21の存否により、透過する光の波長が異なり、色も異なって見える。
そこで、本発明者は、特定の波長に応じた色以外の色の光(例えば、赤色光)を放射する面照明を用意し、この面照明からの光を多層プリフォーム2aに照射し、当該多層プリフォーム2aの色を目視で観察した。
その結果、多層プリフォーム2aの全体が同じ色(特定の波長に応じた色以外の色(例えば、赤色))に見えた。つまり、面照明からの光の透過率が濃淡差として観察されなかった。このため、照射された光のうち特定の波長以外の波長の光は、中間層21で吸収されるのではなく、中間層21で拡散しているものと考えられる。
以降の説明では、照射された光のうち特定の波長以外の波長の光が中間層21で拡散することを前提として説明を行うこととする。
図2に示すように、多層プリフォーム2aの多層部22に対して法線方向に、点光源からの白色光線を照射した場合は、その多層部22の中間層21で特定の波長の光(例えば、青色光)がその照射方向に沿って透過するとともに、特定の波長以外の波長の光(例えば、黄色光)がその照射方向から外れた方向へ拡散する。この場合、その多層プリフォーム2aの反光源側(点光源に対向する側とは反対側)の側面に対して法線方向(白色光線の照射方向に対向する方向)から、その多層プリフォーム2aの多層部22を目視すると、多層部22のうち点光源からの白色光線が照射された部分が、特定の波長に応じた色に見える。
また、図3に示すように、多層プリフォーム2aの多層部22に対して斜め方向に、点光源からの白色光線を照射した場合において、その多層プリフォーム2aの反光源側の側面に対して法線方向から、その多層部22を目視したときには、その多層部22における当該部分が、特定の波長以外の波長に応じた色に見える。これは、当該部分から拡散した光(特定の波長以外の波長の光)のうち多層部22から法線方向に伝播した光が目視している目に届くためである。
なお、多層プリフォーム2aは、有底筒状であるため、照射された光は、多層プリフォーム2aにおける光源側の胴壁と反光源側の胴壁をそれぞれ1回ずつ、計2回透過することになるが、図2〜図7においては説明を容易にするため、1回の透過に簡略化して図示している。
面照明を光源として用いた場合は、多層プリフォーム2aの全体又は所望の範囲に一度に白色光線を照射することができる。
ところが、図4に示すように、多層プリフォーム2aにおける多層部22の一箇所に着目した場合、面照明の発光面の全体からその一箇所に対して、それぞれの角度で白色光線が入射する。そして、その一箇所を透過する光は、それぞれ入射方向に沿って透過する。つまり、その一箇所においては、この一箇所と面照明の発光面の中心とを結んだ線を多層プリフォーム2aの反光源側から外方に延伸したときのこの延伸線を中心とし、その一箇所を頂点としたときの立体角の範囲内で、特定の波長の光が透過していく。
また、その一箇所においては、特定の波長以外の波長の光が、その入射方向から外れた方向に拡散する。そうすると、多層プリフォーム2aの多層部22における反光源側の側面に対して法線方向から、その一箇所を目視したときには、特定の波長の光である透過光と特定の波長以外の波長の光である拡散光が、いずれも目視している目に届く。このため、その一箇所が、特定の波長に応じた色と特定の波長以外の波長に応じた色とが加法混合した色、すなわち、その多層プリフォーム2aを照射している白色光線と同じ色(白色)に見える。
よって、面照明を用いた場合には、多層部22と単層部23の両方が白く見えるようになり、それら多層部22と単層部23とで色の違いが観察されなくなる。
(2)で説明したように、点光源を用いた場合は、多層プリフォーム2aの多層部22を検出できる。ただし、この場合は、検出範囲が狭いという問題がある。一方、(3)で説明したように、面照明を用いた場合は、多層プリフォーム2aの全体を一度に照明できる。ただし、この場合は、多層部22と単層部23との区別がつかないという問題がある。
そこで、例えば、図5に示すように、複数の点光源を所定間隔で配置し、多層プリフォーム2aに白色光線を照射するという構成が考えられる。この構成によれば、多層プリフォーム2aの全体に一度に白色光線を照射することができ、かつ、点光源を用いていることから、多層プリフォーム2aの多層部22では特定の波長に応じた色を観察でき、また、単層部23では照射光と同じ白色を観察できる。
そこで、本発明者は、さらなる鋭意研究を行った。その結果、光を縞状に形成して多層プリフォーム2aに照射する縞状照明手段を創作するに至った。
この第一の縞状照明手段11を用いることにより、多層プリフォーム2aの全体に縞状に光を照射することができるので、図5に示した状態、すなわち、複数の点光源からの白色光線が照射される状態を、多層プリフォーム2aの全体にわたって擬似的に再現でき、しかも、このような縞状の照明を、多層プリフォーム2aの水平方向にも同様に照射することができる。
特に、図5と図6とを比較してわかるように、多層プリフォーム2aにおける光の透過及び拡散は、各図とも同様の態様で発生しており、図4に示すような加法混合はほとんど生じない。よって、第一の縞状照明手段11を用いることで、中間層21の存否を判断できる。
しかも、図7に示された多層プリフォーム2aにおける光の透過及び拡散の態様は、図5や図6に示したものと同様の態様である。よって、この第二の縞状照明手段12を用いた場合でも、中間層21の存否を判断できる。
この本発明の原理にもとづいて多層プリフォーム2aを検査する多層プリフォーム検査装置及び多層プリフォーム検査方法について、以下、説明する。
まず、検査対象となる多層プリフォーム2aについて説明する。
多層プリフォーム2aは、図15に示した構造で形成されており、中間層21が存在する多層部22と、中間層21が存在しない単層部23とを有している。
中間層21としてのバリア層は、一般に、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド等のキシリレン基含有ポリアミド樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体などのガスバリア性樹脂や、環状オレフィン系樹脂などの水蒸気バリア性樹脂を用いて形成される。
また、バリア性樹脂としては、上記の各種樹脂にマイカ、バーミキュライト、スメクタイトなどのクレイを配合したものも用いられる。
さらに、このようなバリア性樹脂と内層26及び外層27を形成する樹脂との層間接着性を良好ならしめるために、バリア性樹脂中に内層26又は外層27と同種の樹脂を配合することも行われる。
このように、中間層21に複数の材料が配合されていることが、透過する光の特定波長の吸収及び拡散を引き起こすものと推測される。
次に、本実施形態の多層プリフォーム検査装置の構成について、図8を参照して説明する。
なお、ここでは、第一の縞状照明手段11を備えた多層プリフォーム検査装置の構成について先に説明し、その後に、第二の縞状照明手段12を備えた多層プリフォーム検査装置の構成について説明する。
ここで、第一の縞状照明手段11は、照明部111と、遮光部材115とを有している。
照明部111は、検査対象であるプリフォーム2aに白色光線を照射するための投光手段である。
この照明部111は、図9に示すように、蛍光灯などの光源112と、この光源112が収納された筐体113と、この筐体113の一の面に嵌め込まれた拡散板114とを有している。拡散板114は、光源112からの光をできるだけ均一に拡散させて外部へ放出するための磨りガラス状の板部材である。
遮光部116と通過部117は、いずれも線状又は帯状に形成されており、複数の遮光部116と複数の通過部117が、交互に、かつ平行に配置されている。
換言すれば、複数の遮光部116は、平行かつ等間隔で縞状(ストライプ状)に配置されており、これら複数の遮光部116の各間が、スリット状の通過部117を構成している。
また、遮光部材115は、例えば、樹脂製の部材を用いて形成することができる。具体的には、例えば、細長い板状の樹脂製部材を複数用意して、これらを平行かつ等間隔に並べ、これらの端部をそれぞれ連結することにより、遮光部材115を形成することができる。
なお、遮光部材115の遮光部116の幅と通過部117の幅は、それぞれ任意に決めることができる。これに関しては、後記の「多層プリフォーム検査方法」において詳述する。
なお、照明部111の拡散板114又は遮光部材115と多層プリフォーム2aとの間の距離は、任意に決めることができる。
プリフォーム支持部材13が多層プリフォーム2aを支持する手法は、検査範囲を隠さない限り、任意に決めることができる。この手法には、例えば、二股のクリップにより多層プリフォーム2aの端部を挟持する手法や、真空吸着により多層プリフォーム2aを支持する手法などがある。
この撮像手段14は、画像のゆがみが少なくなるように、重要な検査部位と正対するように配置されるのが好ましく、図示の例では、多層プリフォーム2aの下部を含む範囲を撮像する第一撮像手段141と、多層プリフォーム2aの上部を含む範囲を撮像する第二撮像手段142とを設けてある。これにより、第一撮像手段141は、多層プリフォーム2aにおける中間層21の下端部211を含む範囲を撮像することができ、また、第二撮像手段142は、多層プリフォーム2aにおける中間層21の上端部212を含む範囲を撮像することができる。
なお、撮像手段14は、撮像した画像についてデジタル処理が行えるように、例えば、CCDカメラなどで構成することが望ましい。
また、本実施形態においては、撮像手段14を二つ設けているが、二つに限るものではなく、任意の数だけ設けることができる。
この判定手段15の機能については、後記の「多層プリフォーム検査方法」にて詳述する。
第二の縞状照明手段12は、図10に示すように、複数の線状光源121と、これらを両端で支持する光源支持部材122とを有している。
線状光源121は、棒状(例えば、円筒形状や角柱形状など)に形成された光源であって、一方又は両方の端部から電力の供給を受けることにより発光する。この線状光源121には、例えば、蛍光灯やLED照明管などを用いることができる。
複数の線状光源121は、平行かつ等間隔に配置されており、これら複数の線状光源121が発光することで、光を縞状に形成し、これを縞状照明として多層プリフォーム2aに照射できるようになっている。
同図に示すように、製造ラインに備えられた払出用ターレット110は、前工程から送られてきた多層プリフォーム2aを一本ずつ支持する。検査ターレット120の真空吸着部130は、払出用ターレット110が支持する多層プリフォーム2aを一本ずつ真空吸着して払出用ターレット110から分離し支持する。これら払出用ターレット110と検査ターレット120は、多層プリフォーム2aが下側に位置するように支持する。
検査ターレット120が多層プリフォーム2aを搬送する経路の両側には、多層プリフォーム検査装置1が設けられている。具体的には、その搬送経路を挟むようにして、第一の縞状照明手段11(又は、第二の縞状照明手段12)と撮像手段14が対向配置されている。
なお、検査ターレット120の真空吸着部130を回転可能として、撮像手段14が、多層プリフォーム2aを周回りの複数角度で撮像したり、その多層プリフォーム2aを回転させながら撮像したりするようにしてもよい。
次に、本実施形態の多層プリフォーム検査方法について説明する。
なお、ここでは、図8に示した多層プリフォーム検査装置1を用いて、多層プリフォーム2aの良否判定を行う手順について説明する。
次に、照明部111から放射され遮光部材115により縞状に形成された白色光線を、縞状照明として、多層プリフォーム2aを背面から照射する。なお、照明部111は、常時発光した状態にしておいてもよく、あるいは、任意のタイミング、例えば、前方に多層プリフォーム2aが配置されたときや、撮像手段14による撮像の際に発光するようにしてもよい。
なお、多層プリフォーム2aについて「正面」とは、この多層プリフォーム2a及び多層プリフォーム検査装置1の各構成を図8に示すように配置したときに、当該多層プリフォーム2aにおいて撮像手段14に対向する側をいい、「背面」とは、多層プリフォーム2aにおける「正面」に対して反対側、すなわち、上記配置を行ったときに縞状照明手段11、12に対向する側をいう。
同図(i)、(ii)に示すように、撮像した画像においては、透明の多層プリフォーム2aを通して遮光部材115の遮光部116と通過部117がそれぞれ映し出される。ここで、その画像のうち多層プリフォーム2aを通して遮光部116が映し出されている部分を暗部31とし、通過部117が映し出されている部分を明部32とすると、多層プリフォーム2aの多層部22においては、明部32が青く見え、暗部31が黄色く見える。なお、公報に掲載された図面はカラーで表示されていないため、公報に掲載された同図(i)からは、青色や黄色を認識できないが、後述の実施例で示すように、区別可能な色合いの相違を呈している。
これに対し、多層プリフォーム2aの単層部23においては、同図(i)に示すように、暗部31が黒く見え、明部32が白く見える。
そして、判定手段15は、その画像に映し出された多層プリフォーム2aの暗部31と明部32の色合いを、その撮像画像の画像データにもとづいて検出する。この判定手段15が検出する色合いには、例えば、色相や明度などが含まれる。
(方法1)画像における暗部31や明部32の位置を数値化して予め記憶しておく方法
縞状照明手段11、多層プリフォーム2a、撮像手段14のそれぞれの設置位置が固定しており、かつ、撮像手段14における各種設定値(例えば、撮像する範囲、倍率等)も固定しているような場合には、暗部31や明部32が画像におけるほぼ固定した位置に表れる。このため、判定手段15は、画像における暗部31や明部32の位置を数値化して予め記憶しておき、色合いを検出する際には、その数値を取り出して画像における暗部31や明部32の位置を特定し、各位置から色合いを検出するようにすることができる。
図12に明らかなように、暗部31と明部32は、画像上明度が異なる。これは、図13に示す明部32におけるグラフの明度のレンジが250〜150であるのに対し、図14に示す暗部31におけるグラフの明度のレンジが100〜0であることからもわかる。
そこで、画像を処理して、その撮像画像に映し出された多層プリフォーム2aにおける多数箇所の明度を検出し、この検出した明度の数値にもとづいて暗部31と明部32のそれぞれの範囲を特定し、各範囲から色合いを検出するようにすることができる。
ここで、多層部判定範囲とは、検出した色合いを示す数値と比較される数値であって、その色合いを示す数値が多層プリフォーム2aの多層部22で検出された色合いの数値であるものと判断される数値の範囲をいう。具体的には、図13及び図14に示された太枠の範囲をいう。
判断の結果、色合いを示す数値が多層部判定範囲に含まれているときは、その数値が検出された暗部31又は明部32の位置が多層部22であると判断する。
一方、色合いを示す数値が多層部判定範囲に含まれていないときは、その数値が検出された暗部31又は明部32の位置が単層部23であると判断する。
さらに、判定手段15は、その下端部211又は上端部212が許容範囲内に位置しているか否かを判断する。
例えば、判定手段15は、遮光部116(暗部31)の幅を示す数値と、通過部117(明部32)の幅を示す数値と、許容範囲を示す数値とを、予め記憶している。そして、これらの数値を用いて、中間層21の下端部211と多層プリフォーム2aの底部25との距離(図15に示すa)を算出し、この距離が許容範囲内(例えば、a±(d2/2))に収まる数値であるか否かを判断する。また、上記の数値を用いて、中間層21の上端部212と多層プリフォーム2aの口部24の端面との距離(b)を算出し、この距離が許容範囲内(例えば、b±(d1/2))に収まる数値であるか否かを判断する。
ここで、図12(i)、(ii)に示した画像が表示された場合には、検査担当者が目視により多層プリフォーム2aの良否判定を行うことができる。例えば、表示部に表示された多層プリフォーム2aの暗部31と明部32のそれぞれに、判断結果である多層部22又は単層部23を示すマークを付すようにする。そして、検査担当者は、多層プリフォーム2aの下部において単層部23を示すマークが付された暗部31と明部32の数を数え、この数にそれら暗部31又は明部32の幅を乗算することで、多層プリフォーム2aの底部25から中間層21の下端部211までの距離を算出し、この距離が許容範囲内に含まれているか否かを判断することにより、当該多層プリフォーム2aの良否を判定することができる。
例えば、中間層21の下端部211又は上端部212が位置すべき許容範囲は、通常、前もって設定されている。また、画像における暗部31や明部32の位置がほぼ固定している場合、それら暗部31や明部32のそれぞれが、多層部22であるべきか、あるいは、単層部23であるべきかについても、予め決まってくる。
そこで、暗部31と明部32のそれぞれについて、多層部22であるべきか、あるいは、単層部23であるべきかを予め判定手段15に記憶させておく。そして、判定手段15は、暗部31及び明部32ごとに多層部22又は単層部23のいずれであるかを判断し、多層部22であるべき暗部31及び明部32が全て(又は所定数以上が)多層部22であるものと判断され、かつ、単層部23であるべき暗部31及び明部32が全て(又は所定数以上が)単層部23であるものと判断された場合に、中間層21の境界位置が許容範囲内に位置しているものとして「良品」と判定し、それ以外は、「不良品」と判定することもできる。
なお、この場合、境界位置の許容範囲内にあたる暗部31又は明部32については、多層部22か単層部23かを判定しないようにすることもできる。
そして、このように目盛り代わりとして使用する機能を発揮できるように、遮光部116及び通過部117の幅(暗部31及び明部32の幅)や両者の間隔については、許容範囲内に少なくともひとつ、遮光部116又は通過部117が内包するように設定するのが好ましい。
このとき、第一の縞状照明手段11を用いると、遮光部116及び通過部117の幅(暗部31及び明部32の幅)や両者の間隔の設定が、第二の縞状照明手段12に比べて容易に行える。
多層プリフォーム検査装置1は、図8に示す構成のものを用意した。
撮像手段14は、カラーCCDカメラを2台用意し、一方を第一撮像手段141とし、他方を第二撮像手段142とした。
検査対象として、多層プリフォーム2aを20本用意した。これら多層プリフォーム2aの断面形状を、図15に示す。同図に示す多層プリフォーム2aは、特許文献1に記載の容器用の多層プリフォーム2aと同様のものである。
多層プリフォーム2aの中間層21は、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)にクレイ3重量%を配合したバリア性樹脂と、ポリエチレンテレフタレートとを3:7の割合でブレンドした樹脂組成物により形成し、7重量%の層比とした。
単層部23(および内層26と外層27)を形成する材料は、ポリエチレンテレフタレートであった。
多層プリフォーム2aの長手方向における測定点数は、23点とした。
測定ピッチは、2.5mmとした。
周方向の測定点数は、1点とした。
測定点1点における測定領域は、1mm×1mmとした。
この検出された色合いである色相と明度との関係を、図13、図14に示す。
なお、総測定点数は20本×23点であるが、図13、図14では、測定結果の意味が読み取りやすいように、代表的な点を示してある。
このようにデータが二分される理由は、中間層21の存否が影響しているためであるものと考えられる。つまり、中間層21がある多層部22では、青色領域の波長の光を透過し、青色領域の波長以外の波長の光を拡散するため、青色領域の波長に応じた色に近づく色相が測定される。また、多層部22には中間層21があるために、明度が低くなる。これに対し、中間層21がない単層部23では、白色光線がそのまま透過し、かつ、明度が高い。
これら測定データと中間層21の特性にもとづいて、多層部判定範囲を設定すると、同図に示すように、色相が34以上、明度が220以下の範囲となる。
よって、この多層部判定範囲の範囲内にあるデータが測定された明部32が位置する多層プリフォーム2aの当該箇所は、多層部22であると判断できる。そして、多層部判定範囲の範囲内にないデータが測定された明部32が位置する多層プリフォーム2aの当該箇所は、単層部23であると判断できる。
さらに、それらのデータの分布は、同図に示すように、色相が27付近、明度が20付近を境界33として、二分されることがわかった。
このようにデータが二分される理由は、中間層21の存否が影響しているためであるものと考えられる。つまり、中間層21がある多層部22では、黄色領域の波長の光が拡散するため、暗部31では、その黄色領域の波長に応じた色に近い値で色相が測定される。また、その拡散光により、暗部31でも明度が高くなる。これに対し、中間層21がない単層部23では、多層部22における上記の現象が発生しないので、暗部31では、色相の値が低く、かつ、明度が低い。
これら測定データと中間層21の特性にもとづいて、多層部判定範囲を設定すると、同図に示すように、色相が27以上、明度が20以上の範囲となる。
よって、この多層部判定範囲の範囲内にあるデータが測定された暗部31が位置する多層プリフォーム2aの当該箇所は、多層部22であると判断できる。そして、多層部判定範囲の範囲内にないデータが測定された暗部31が位置する多層プリフォーム2aの当該箇所は、単層部23であると判断できる。
例えば、上述した実施形態では、色合いとして色相と明度を検出しているが、図13、図14を見る限り、明度だけを用いて判定することも可能と考えられる。ただし、プリフォーム表面の傷や内部の気泡、異物の混入など、本発明の検査対象以外の不良による影響を排除する意味で、色相と明度の双方を検出して判定するのが好ましい。
また、色合いの検出は、HSV色空間に限るものではなく、例えば、RGB表色系、L*a*b*表色系、XYZ表色系、L*u*v*表色系などの種々の表色系にもとづいて定量的に表わされた色を示す数値を色合いとして検出して、中間層の存否の判断に用いることもできる。
さらに、上述した実施形態では、画像に表わされた多層プリフォームの明部及び暗部の両方の色合いを検出しているが、これに限るものではなく、明部又は暗部の一方の色合いを検出して、その後の処理を実行することもできる。
11 第一の縞状照明手段
111 照明部
115 遮光部材
116 遮光部
117 通過部
12 第二の縞状照明手段
121 線状光源
13 プリフォーム支持部材
14 撮像手段
15 判定手段
Claims (7)
- 多層構造を有した多層プリフォームにおける中間層の存否を検査する多層プリフォーム検査方法であって、
前記多層プリフォームに背面から縞状照明を照射して、前記多層プリフォームを撮像し、
撮像された画像から検出される色合いにもとづいて、前記中間層の存否を判断する
ことを特徴とする多層プリフォーム検査方法。 - 前記縞状照明は、面状照明の前面に遮光部材を配置して線状又は帯状に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の多層プリフォーム検査方法。 - 前記撮像された画像において、前記縞状照明で照射された前記多層プリフォームの明部及び/又は暗部から検出される色合いにもとづいて、前記中間層の存否を判断する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の多層プリフォーム検査方法。 - 前記中間層の存否を前記明部ごと及び/又は前記暗部ごとに判断し、
前記中間層が存在すると判定された前記明部及び/又は暗部と前記中間層が存在しないと判定された前記明部及び/又は暗部との境界が、前記多層プリフォームにおける所定の範囲内に位置しているか否かを判断する
ことを特徴とする請求項3記載の多層プリフォーム検査方法。 - 前記色合いは、色相及び/又は明度を含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多層プリフォーム検査方法。 - 前記中間層は、複数の材料が配合されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多層プリフォーム検査方法。 - 多層構造を有した多層プリフォームにおける中間層の存否を検査する多層プリフォーム検査装置であって、
前記多層プリフォームに背面から縞状照明を照射する照明手段と、
前記多層プリフォームを正面から撮像する撮像手段と、
前記撮像された画像から検出される色合いにもとづいて、前記中間層の存否を判断する判定手段とを備える
ことを特徴とする多層プリフォーム検査装置。
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