JP5256449B2 - 魚介類養殖用餌とその製造方法 - Google Patents
魚介類養殖用餌とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5256449B2 JP5256449B2 JP2005297874A JP2005297874A JP5256449B2 JP 5256449 B2 JP5256449 B2 JP 5256449B2 JP 2005297874 A JP2005297874 A JP 2005297874A JP 2005297874 A JP2005297874 A JP 2005297874A JP 5256449 B2 JP5256449 B2 JP 5256449B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gel
- feed
- fish
- biodegradable
- hybrid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Feed For Specific Animals (AREA)
- Fodder In General (AREA)
Description
ところが、昨今、その収穫量は落ち込む一方であり、これに伴い、その種苗の生産、すなわち高い種苗効率を得る魚介類の養殖、なかんずく魚介類貝類の種苗の養殖の重要性が高まっている。
例えばアワビ、ウニ、サザエ等の種苗の養殖用餌としては、例えば培養されたコンブの葉状部を用いる(例えば特許文献1参照)ことをはじめとして、種々の材料、製造方法の提案がなされている。
しかし、現在行われている例えばアワビの稚貝の養殖を例に挙げれば、卵から稚貝に孵すのは、例えば100%に近い高い効率を示すが、この稚貝から放流種苗を得るに至るまでに成長させることができる収率は、5%程度という低い値を示し、また、その成長速度は低く、さらに成長のばらつきが大きいという問題がある。
これは、場合によっては腐敗によって赤潮発生などを来たして、魚介類の餌となる藻、海藻を死滅させ、ひいては魚介類の育成を阻害し、その収穫、漁獲の低下を来たす。
本発明は、上述した魚介類養殖餌料にあって、上記請求項1に記載の生分解性ハイブリッドゲル粒子を多数個、人工海藻餌料に保持させて成ることを特徴とする。
これに対し、本発明においては、この魚肉ゲルを芯材ゲルとしてその表面に壁材を形成した、いわばハイブリッドゲルのカプセル構造としたことから、この壁材ゲルの生分解特性の選定、厚さ等の被着状況の選定によって、魚肉ゲルの膨潤を制御できる。すなわち、魚肉ゲル中の水溶性成分の水中への分散を防止することができて、投餌から摂餌に所要のタイムラグをもたせることができ、有効な摂餌がなされるようにすることができるものである。
また、このように壁材を設けるものであるが、この壁材が生分解性高分子ゲルであることから、カプセル全体が生分解され、これらが、特に壁材が、水中にいつまでも残存することによる環境汚損も回避されるものである。
また、この場合、ハイブリッドゲル粒子を保持させる保持体が、魚介類養殖用餌料であることにより養殖魚介類は、ハイブリッドゲル粒子と共に人工海藻餌をも、食むことからき、効果的摂餌ができるものである。
しかしながら、本発明は、この実施の形態例に限定されるものではないことはいうまでもない。
図1は、本発明による粒子状の魚介類養殖用餌料1の1粒子の模式的断面図である。
この魚介類養殖餌料1は、図1に示すように、魚肉を主成分とするゲルによる芯材ゲル2と、この芯材ゲル2の表面に形成された生分解高分子による壁材ゲル3とによる生分解性ハイブリッドゲル粒子、特に生分解性ハイブリッドカプセルとされる。
この粒子1は、球状もしくは不定形粒子であり、その平均の大きさ、例えば平均粒径が、100μm〜300μmのハイブリッドゲルミクロカプセルとされる。
芯材ゲル2の魚肉ゲルは、魚肉蛋白質成分の架橋によって生成する。
また、生分解性ハイブリッドカプセルは、芯材ゲル2の魚肉ゲルと例えばポリウレタンから合成した生分解性壁材ゲル3あるいはポリエステル、ポリビニルアルコール等による生分解性壁材ゲル3の合成生分解性ハイブリッドカプセルによって構成することができる。
この魚介類養殖餌料11は、上述した粒子状の魚介類養殖餌料1を多数個、担持体(保持体)としての人工海藻12に配置した構成とする。この場合、粒子状の魚介類養殖餌料1は、その多くの魚介類養殖餌料1が、人工海藻2の表面に臨むように保持されて成るものである。
先ず、芯材ゲル2の魚肉ゲルを、その製造方法と共に説明する。
《魚肉ゲル》
魚肉ゲルの形成は、その原料として例えばグチ、あるいは未利用魚のアイゴ等を用い、これから取り出した筋肉に1〜8重量%好ましくは1〜4重量%の食塩を添加し,擂潰して調製したゾルの加熱冷却によって得るものであり、この過程での魚肉蛋白質成分の架橋によって形成することができる。ここで、食塩1〜8重量%の添加、より好ましくは1〜4重量%の添加は、この量の添加によってゲル化が良好になされることが認められたことによる。
(魚肉ゲルの実施例1)
この例では、原料として未利用魚のアイゴを用いた。
因みに、アイゴ(Sigannus fuscens)は、チョウチョウウオやニザダイに近い魚で、関東以南の暖海に生息する。背ビレは13〜14棘があり、ヒレの先端には毒がある。毒を持つため漁獲対象になりにくく、さらに成魚は海藻の柔らかい部分を好む雑食性であるため、磯焼けの原因のひとつである食害の対象になっている。
次にスタンプ式採肉機(穴径5mm)を用いて落し身を得た。
この、清水晒は、魚肉落し身に対し5倍量の冷蒸留水を加えてよく洗浄した。この操作は3回繰り返した。晒した後の晒肉は、濾布を用いて余剰の水分を除き、脱水機にかけて脱水を行った。そして、水分含量を80%に調整し、この落し身に対して3%のNaClを添加し、擂潰機で30分間擂潰して魚肉ゾルを得た。
この魚肉ゾルを袋に充填して結紮後、30℃から90℃まで10℃間隔で、温槽内で20分間および120分間加熱した。加熱終了後のゲルは直ちに氷水中で急冷してから室温に戻した。
このようにして魚肉ゲルを得た。
この実施例2においても、上述した実施例1と同様の原料を用い、同様の方法によって魚肉ゲルを得たが、この実施例2においては、実施例1における落し身に対する清水晒に換えてアルカリ塩水晒とした。
このアルカリ塩水晒は、この晒しは、1回目を0.15% NaHCO3+0.1% NaClによって行い、2回目および3回目を0.3% NaClを用いて行った。
このようにして魚肉ゲルを得た。
この実施例3においては、実施例1と同様の原料および方法によったものであるが、この場合、落し身に対する晒しは行わなかった。
このようにして魚肉筋原繊維蛋白質ゲルを得た。
この実施例4では、原料としてグチを用いて魚肉ゲルを作製した。その作製方法は、実施例1または実施例2の方法を採ることができるが、この場合、加熱処理は、10℃の間隔で、50℃〜90℃の温度範囲で1時間加熱を行った後、氷水中で30分間急冷した。
このようにすることによって魚肉ゲルを得た。
芯材ゲル2の魚肉ゲルとして、前述したアイゴ、グチそのほかの魚肉ゲルを用いることができる。
壁材ゲル3の生分解性高分子の原料には、生分解性のポリオール、ジイソシアネート、食品添加物の低分子多価アルコールを用いることができる。また、魚肉ゲルへの添加剤としてビタミン剤や安全とされる薬等を用いことができる。
生分解性ハイブリッドミクロカプセルを例示するが、この例に限定されるものではない。
壁材を構成するポリウレタンの原料であるポリオールとジイソシアネートを所定量秤量し、これに低分子多価アルコールを一定モル比で加え、溶媒で希釈した。
ポリオールにはポリカプロラクトン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等の生分解性オリゴポリオール、ジイソシアネートにはリジン誘導体イソシアネート等の脂肪族イソシアナート、低分子多価アルコールには食品添加剤として認定されている多価アルコールを用いた。
この希釈溶液に微粉末状魚肉ゲルを投入し、室温で24時間攪拌した後、攪拌を続けながら溶媒を除去し、生分解性ハイブリッドミクロカプセルを得た。ポリウレタンの原料と魚肉ゲルの重量比を変化させることにより芯材ゲルと壁材ゲルの厚み比を調節した。
一方、ビタミン剤を埋包させたハイブリッドゲルミクロカプセルは、粉末状の魚肉ゲルに溶媒に溶解させたビタミン剤を加え、溶媒が蒸散するまで擂潰後、減圧乾燥を行い、このようにして得た粉末をカプセル芯材とし、以下上述したと同様の方法によって生分解性ハイブリッドミクロカプセルを得た。
(特性評価):
ATR法(全反射測定法)によるフーリエ変換赤外分光(FT-IR)スペクトル測定、示差熱重量分析(TGA)、レーザ回折法と顕微鏡法による粒度分布測定、紫外可視分光光度法によるビタミン剤の水への溶出試験によった。
また、魚肉ゲル、ポリウレタンおよび生分解性ハイブリッドミクロカプセルのTGA曲線において、魚肉ゲルは、室温から250 °C付近まで、なだらかな重量減少した。一方、ポリウレタンは250 °C付近まで重量減少せず、250〜470 °Cで急激な重量減少した。生分解性ハイブリッドミクロカプセルは、室温から250 °C付近までなだらかに重量減少し、さらに340〜590 °Cで著しく重量減少した。以上のことから、生分解性ハイブリッドミクロカプセルにおいての魚肉ゲル表面をポリウレタン膜が被覆しカプセル化していることが明らかになった。
そして、魚肉ゲルに対するポリウレタンの仕込み比(ウレタン原料/魚肉ゲル)の異なる2種類のカプセル試料MC-PU1およびMC-PU2について粒度分布を測定した。その測定結果を図3に示す。カプセル化試料の平均粒径は110μm、310μm、とウレタン原料/魚肉ゲル比が大きくなるほど増加した。これは、仕込みポリウレタン量の増加によって魚肉ゲル表面に、より厚いポリウレタン膜が形成されたためと、合成時におけるカプセル同士の凝集もその要因であると考えられる。粒径と粒度分布は魚肉ゲルの粉砕の程度により調整できる。
微粉末の魚肉ゲルは水により簡単に膨潤し水溶性添加物を容易に放出するが、カプセル化試料においては水溶性添加物の溶出量は押さえられ、試料投入時より30〜90分後に最高値に達し、その後は、ほぼ一定の値となった。
また、カプセル化試料において仕込みポリウレタン量が増加するにつれ、溶出速度と溶出量は次第に減少した。これは、仕込みポリウレタン量が増加するにつれ、より厚いポリウレタン膜が形成され、魚肉ゲル内の水溶性埋包物質が溶出しにくくなったためである。
まず、ポリウレタン薄膜試料を作製した。この試料の作製は、ミクロカプセル壁材としたポリウレタンの原料であるポリオールとジイソシアネートの所定量を秤量し、これに低分子多価アルコールを一定モル比で加え反応させ、反応混合物を鋳型に流し込み加熱硬化させること(試料A,B)により行なった。対照試料として、汎用ポリウレタンであるポリ(オキシテトラメチレングリコール)-4,4’-ジフェニル目異端メタンジイソシアネート-トリメチロールプロパン(試料C)を用いた。これに対して酵素分解試験と土壌埋設試験とを行なった。
ミクロカプセル壁材であるポリウレタンのフィルムの酵素分解試験は、酵素にCandida cylindracealipase(和光純薬工業(株)製)を用い、緩衝液にリン酸緩衝液(1/15 mol/l、pH=7.0)を用い、酵素分解液は、酵素/リン酸緩衝液=1.5mg/mlに調整した。そして、この分解試験は約37℃で行った。分解試験の間、フィルムは定期的に取り出し、蒸留水で洗浄後、減圧乾燥し重量を測定した。酵素による分解は、フィルムの重量損失、膨潤度で評価した。
土壌埋設試験は、土壌の微生物が判明している関東地域の試験場にて行った。埋没期間は7月から11月の4ヶ月である。生分解性の評価は、ラクトフェノールコットンブルー染色法、実体顕微鏡観察、EDX-SEM観察、FT-IRスペクトルにより評価した。
生分解性ポリオールを基材とするポリウレタンの埋設前と埋設後のFT-IRスペクトルにおいて大きな違いが見られ、埋設前ウレタン基とエステル基に基づき重なり合った1721cm-1のカルボニル伸縮振動と1160cm-1のC-O伸縮振動は、分解後では1160cm-1のC-O伸縮振動のピーク強度は減少し、1700cm-1にみられるウレタン基に起因するカルボニル伸縮振動がピークとして現れた。
これはエステル基に由来するカルボニル伸縮振動の影響が小さくなることを示唆しており、言い換えれば主にウレタン基よりもエステル基の方が分解作用を受けていることが分かる。
以上のことより、酵素分解試験および土壌埋設試験から、ハイブリッドゲルミクロカプセルの調製に用いたポリウレタンは生分解性を持っていることが明らかとなった。
《人工海藻保持による魚介類養殖餌》
この人工海藻保持による魚介類養殖餌の人工海藻は、対象とする養殖の餌としての機能を有する人工海藻とすることが望ましい。
次に、このように、人工海藻に対して生分解性ハイブリッドミクロカプセルを保持させた魚介類養殖餌の実施例を挙げて説明するが、この実施例に限定されるものではない。
この実施例においては、人工海藻の、海藻シート(基質)に生分解性ハイブリッドミクロカプセルを埋め込み、これをアワビ種苗生産の養殖用餌とした場合である。
この場合の人工海藻は、原料として、ワカメ,コンブ,ヒジキ,アカモクおよびアナアオサを用いた。
ここで、ワカメおよびコンブは、塩蔵加工(生原料をボイルしたのち,食塩をまぶすもの)した後、-25℃で冷凍保存したものを用い、ヒジキは、天日乾燥後、蒸煮し、熱風乾燥を行なったものを用い、アカモクは-25℃で冷凍保存したものを用い、アナアオサは塩蔵加工したのち-25℃で冷凍保存したものを用いた。
次にこれを、海藻粉末:アルギン酸ナトリウム:水=4:1:15の重量比で、脱気擂潰機を用いて混合した。混合物は薄板状に引き延ばし(厚さ1mm)、5%塩化カルシウム水溶液中に3時間浸漬して凝固させ、塩化ビニル袋に入れ密閉し、5℃で保存し、順次投餌した。コントロールは水分含量が海藻餌料と同じになるように、アルギン酸ナトリウム:水=1:3の重量比で混合し、海藻餌料と同様の処理を行った。
この飼育は直径10cmの塩化ビニル製筒の下部に1辺が0.5mm程度のメッシュの網を張り、上部からは4-5箇所から50cc/分程度の速度で濾過海水を滴下して行なった。塩化ビニル筒1個に対して40個体のアワビを飼育した。餌料は、上記方法で調製したシート状のものを、0.25g/個体で与え、翌日残餌を除去し、新たに投餌した。飼育水温は20°Cでほぼ一定であった。
水分は、試料10gを精秤後、105℃で恒量にして求めた。試料を600℃で灰化後恒量にして粗灰分とした。粗タンパク質含量はKjeldahl法で全窒素量を求めたのち6.25を乗じて求めた。粗脂肪含量はFolchらの方法で求めた。
上記の方法で抽出した粗脂肪30mgを精秤後、3〜5滴の塩酸を滴下した30mlのメタノール中で3時間煮沸した。
冷却後、ヘキサン(和光特級)を加えて分液ロート中で激しく振り混ぜた後ヘキサン層のみを得た。
これをシリカゲル(Merk & Co Ltd製 Kieselgel 60、 70-230 mesh)で精製後、得られたメチルエステルをガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製GC17A-MSQP5000型、カラムはSUPELCOWAX-10)で分析した。分析条件は、インジェクターとディテクターの温度はともに250℃、カラムは、初期温度200℃で14分間保持したのち3℃/minで250℃まで昇温した。スプリット比は25:1であった。
試料20mgを精秤後、6N HClを1ml加えて110°Cで22時間加水分解した。この一部をクエン酸ナトリウム緩衝液(pH 2.2)で10倍に希釈してアミノ酸自動分析計(島津製作所製ALC-1000型、カラムはNa型)を用いて遊離アミノ酸を測定した。
調製した上記人工海藻保持によるアワビ餌料は、レオメーター(不動工業製NRM-2003J型)を用いて破断試験を行なった。すなわち、厚さ0.5mm、幅10mmに切り出した試料を、安全剃刀刃を装着したプランジャー、試料台上昇速度6cm/minで測定し、破断したときの荷重を破断応力(g)とした。6回測定分の平均値を結果に示した。
直径27mm、長さ100mmのアルギン酸ナトリウムゾルを、5%塩化カルシウム水溶液に浸漬し、経時的に輪切りにして凝固距離を測定した。また、このとき、アルギン酸ナトリウムゾル中のアルギン酸ナトリウム濃度は、2.5%、5.0%、7.5および10.0%の4種類のものを調製した。
海藻粉末の栄養成分について検討した結果、稚貝の成長に最も必要であると想定される粗タンパク質含量は、固形物換算で、アナアオサに最も多く、次いでワカメであることが明らかになった。さらに、粗脂肪含量についてはワカメが最も多く、次いでコンブであった。炭水化物含量はアカモクに最も多く含まれていた。
上記海藻5種の間では、粗脂肪の大小関係は、ワカメ>コンブ>アカモク=アナアオサ>ヒジキの順であり、粗タンパク質の大小関係は、アナアオサ≫ワカメ>ヒジキ>コンブ>アカモクであり、炭水化物の大小関係では、ヒジキ>アカモク>コンブ>アナアオサ>ワカメの順であった。
また、増重率においては、コンブ>アナアオサ≒ワカメ≫ヒジキ>≒コントロール≒アカモク順であり、基質に用いる海藻粉末としては、アナアオサ、ワカメおよびコンブが優れていることが明らかになった。
また、飼育時の斃死個体数は、対照試料1個体、アカモク0個体、アナアオサ1個体、ヒジキ1個体、ワカメ2個体、コンブ3個体であり、餌料種の違いによる大きな差は見られなかった。
・アナアオサ、コンブおよびワカメが、基質に用いられる海藻として適当であることが明らかになった。
・厚さ5mm以下の基質の凝固液(5%塩化カルシウム)の浸漬時間は24時間であれば十分であることが確認された。
水溶性成分の基質からの溶出:
塩蔵ワカメは流水中で1時間洗浄して塩抜き後、これに対して2%の炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業製 食品添加物用)を加え、アルカリ加熱溶解後、総重量に対して5%のアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業製 一級、以下Na-Arg)および5%のグルタミン酸ナトリウムを添加後、5%塩化カルシウム水溶液中に3時間浸漬して凝固させ、3cm×3cm×1mmの板状(基質)にした。これを、15Lの容器に入れ、30mL/minの海水を換水させて経時的に基質を取り出し、Kjeldahl法で基質中の窒素量を算出した。
速度は低下したもののその後も溶出は続き、4時間後にはもとの20%、16時間後には全てが溶出した。
これにより、アワビの稚貝が投餌して摂餌するまでに長時間を要することを考慮すると、ハイブリッドゲルによる水溶性成分のカプセル化の必要性が大きいことが確認された。
生ワカメを、80°Cで5分間加熱し、これに対して15%の塩化ナトリウムを混合して48時間放置後、遠心分離脱水装置で脱水し、さらに総重量に対して10%の塩化ナトリウムを加え、一部に真空凍結乾燥を行い、一般成分および脂肪酸組成を測定した。表1に加工工程中の一般成分の変化を、表2に脂肪酸組成の変化を示した。
《人工海藻保持によるアワビ餌料のアワビ稚貝への影響》
ハイブリッドゲルミクロカプセル添加餌料およびビタミンを内包したハイブリッドゲルミクロカプセル添加餌料をアワビ稚貝に与え、成長・生残等への影響を検討した。
この場合、100μm〜200μmのハイブリッドゲルミクロカプセルを添加した餌料をアワビ稚貝に与え、成長・生残等への影響を検討した。
そして、この場合、塩蔵ワカメを用いて既述の方法で100μm〜200μmのハイブリッドゲルカプセルを埋包した餌料を調製した。
このとき、ハイブリッドゲルミクロカプセルの添加量を3%,7%と変化させた。
また、ハイブリッドゲルを添加しないものを対照として用いた。
水分は、試料10gを精秤後、105℃で恒量にして求めた。試料を600℃で灰化後恒量にして粗灰分とした。粗タンパク質含量はKjeldahl法で全窒素量を求めたのち6.25を乗じて求めた。粗脂肪含量はFolchらの方法で求めた。
過酸化物価および酸価の測定は常法により行った。上記の方法で抽出した粗脂肪30mgを精秤後、3〜5滴の塩酸を滴下した30mlのメタノール中で3時間煮沸した。冷却後、ヘキサン(和光特級)を加えて分液ロート中で激しく振り混ぜた後ヘキサン層のみを得た。これをシリカゲル(Merk & Co Ltd製 Kieselgel 60、 70-230 mesh)で精製後、得られたメチルエステルをガスクロマトグラフ (島津製作所製GC17A、カラムはSUPELCO OMEGAWAX-250)で分析した。インジェクター、カラムおよびディテクターの温度はそれぞれ、250,205および250°Cであった。スプリット比は25:1であった。
平均値の比較は、Scheffeの検定法を用いて行った。
図7および図8に、ハイブリッドゲルマイクロカプセルを添加した基質で飼育したアワビの全重量および殻長を示した。
対照で飼育したアワビには増重は認められなかったが、ハイブリッドゲル添加基質を与えたものは、いずれも増重が認められた。
また、ハイブリッドゲルの3%と7%添加の餌料では、その増重効果に有意差は認められなかった。殻長においては、対照で飼育したアワビは開始時に比較して大きかったが、その増大効果はハイブリッドゲル添加の基質には劣り、また、ハイブリッドゲルの3%と7%添加の餌料では、その効果に有意差は認められなかった。
また、表3に示すように、ハイブリッドゲル添加による日間給餌率および生残率の低下は認められなかった。
《人工海藻保持による魚介類養殖餌料のアワビ稚貝に与える影響》
アワビ種苗生産において稚貝から放流できる大きさの稚貝に至る過程での壊死の原因は不明である。これを解決するためには水溶性であるビタミン等の栄養剤、薬剤を摂餌させことが考えられているが、その手法がなくこれまで不可能であったが、本発明による人工海藻保持による魚介類養殖餌料によって可能となった。ここでは、ハイブリッドゲルミクロカプセルに実際に数種のビタミンを包埋させ、これをアワビに投餌し、その影響を調査した。
延縄養殖により生産し、それを塩蔵加工したのち-25℃で冷凍保存したワカメを用いた。
人工海藻保持による魚介類養殖餌料の調製:
塩蔵加工したワカメを半日流水中に晒し、脱塩ののちこれに対して等量の水道水を加え、全量に対して3%の炭酸水素ナトリウムを加え、加熱溶解した(海藻ペースト)。
次にこれに対して10%のアルギン酸ナトリウムを加え、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB12を包埋させたマイクロゲルカプセルをそれぞれ1%および5%添加した。マイクロカプセルゲルは、ビタミンC、ビタミンB1およびビタミンB12をそれぞれ、8.1×10-6 (mol/g)で含んでいる。混合物を薄板状に引き延ばし(厚さ1mm)、5%塩化カルシウム水溶液中に3時間浸漬して凝固させ、塩化ビニル袋に入れ密閉し、順次投餌した。コントロールとしてブランク(ビタミン類を含まない)のマイクロカプセルゲルを所定量添加した。
約1ヶ月間飼育を行なった。飼育は直径10cmの塩化ビニル製筒の下部に1辺が0.5mm程度のメッシュの網を張り、上部からは4-5箇所から50cc/分程度の速度で濾過海水を滴下して行なった。塩化ビニル筒1個に対して40個体のアワビを飼育した。餌料は、上記方法で調製したシート状の人工海藻保持による魚介類養殖餌料を、0.25g/個体与え、翌々日残餌を除去し、新たに投餌した。
これら測定結果によれば、例えば5%添加において、ビタミンCを添加した場合、全重量および肥満度の改善がなされている。
そして、この魚肉筋原繊維蛋白質ゲルを芯材ゲルとしてその表面に壁材ゲルの生分解性高分子が形成された合成ハイブリッドゲルのカプセル構造としたことから、芯材の魚肉筋原繊維蛋白質ゲルの水中への引き出しの制御を行うことができ、投餌から摂餌に所要のタイムラグをもたせることができ、有効な摂餌がなされるようにすることができるものである。
そして、このように壁材を設けるにもかかわらず、カプセル全体が生分解され、これらが、特に壁材が、水中にいつまでも残存することによる環境汚損も回避されるものである。
また、この場合、ハイブリッドゲル粒子を保持させる保持体が、魚介類養殖用餌料であることにより養殖魚介類は、ハイブリッドゲル粒子と共に人工海藻餌料をも、食むことからき、効果的摂餌ができるものである。
また、本発明による魚介類養殖用餌料の製造方法によれば、その原料は、天然の海藻類を用いることができることから、特段の原料を調達する必要がないものであるなど本発明による魚介類餌料は、多くの実用的利点を有するものである。
Claims (6)
- 魚肉を主成分とする魚肉ゲルより成る芯材ゲルと、該芯材ゲルの表面に形成された生分解性高分子ゲルによる壁材ゲルとによって構成された生分解性ハイブリッドゲル粒子より成り、
上記壁材ゲルが、生分解性ポリウレタンより成る
ことを特徴とする魚介類養殖用餌料。 - 上記魚肉ゲルに栄養剤ないしは薬剤が添加されて成ることを特徴とする請求項1に記載の魚介類養殖用餌料。
- 上記請求項1に記載の生分解性ハイブリッドゲル粒子を多数個、人工海藻餌料に保持させて成る
ことを特徴とする魚介類養殖用餌料。 - 魚肉に1%〜8%(重量)の食塩を添加し、擂潰して調製したゾルを加熱処理および冷却して魚肉ゲルを得る工程と、
該魚肉ゲルを主成分とする魚肉ゲルを粒子化する粒子化工程と、
該粒子化によって得た魚肉ゲル粒子に生分解性ポリウレタンより成る生分解性高分子ゲルを被着させる工程とを経て
上記魚肉ゲル粒子による芯材ゲル表面に生分解性ポリウレタンより成る生分解性高分子ゲルによる壁材ゲルが形成された生分解性ハイブリッドゲル粒子より成る魚介類養殖用餌料を得ることを特徴とする魚介類養殖用餌料の製造方法。 - 人工海藻餌料の製造工程を有し、
該人工海藻餌料の製造工程中もしくは製造後に、該人工海藻餌料に、上記生分解性ハイブリッドゲル粒子を保持させて成る
ことを特徴とする請求項4に記載の魚介類養殖用餌料の製造方法。 - 上記人工海藻餌料が養殖用餌料より成り、該人工海藻餌料の製造工程が脱塩海藻類を溶解し成分調整して後、所要形状に展延硬化させる工程とを有する
ことを特徴とする請求項5に記載の魚介類養殖用餌料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005297874A JP5256449B2 (ja) | 2005-10-12 | 2005-10-12 | 魚介類養殖用餌とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005297874A JP5256449B2 (ja) | 2005-10-12 | 2005-10-12 | 魚介類養殖用餌とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007104938A JP2007104938A (ja) | 2007-04-26 |
JP5256449B2 true JP5256449B2 (ja) | 2013-08-07 |
Family
ID=38031297
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005297874A Active JP5256449B2 (ja) | 2005-10-12 | 2005-10-12 | 魚介類養殖用餌とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5256449B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104472960A (zh) * | 2015-01-06 | 2015-04-01 | 江苏省海洋资源开发研究院(连云港) | 一种九孔鲍刺参混养用抗应激饵料 |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
MX2011010039A (es) * | 2009-03-25 | 2012-01-20 | Nippon Suisan Kaisha Ltd | Alimento para piscicultura. |
CN101579057B (zh) * | 2009-06-12 | 2012-08-22 | 中国水产科学研究院黄海水产研究所 | 添加浒苔配制海参配合饲料的方法 |
CN102648735A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-08-29 | 曹金党 | 一种海参复合预混料 |
CN103070297A (zh) * | 2012-10-27 | 2013-05-01 | 孙丽君 | 一种海参饲料及其加工方法 |
CN103005215B (zh) * | 2012-12-28 | 2013-09-11 | 青岛农业大学 | 一种用于刺参幼参饲料的海泥替代物 |
GB2594430A (en) * | 2018-12-24 | 2021-11-03 | Univ Cape Town | Probiotic feed for post-larval abalone |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR880002187B1 (ko) * | 1984-05-01 | 1988-10-17 | 제임스 피. 콕스 | 양어용 피복알갱이 사료 및 그 제조방법 |
JPH0556754A (ja) * | 1991-06-21 | 1993-03-09 | Hakodate Suisan Tanpaku Kako Kk | 魚貝類用餌料の製造方法 |
JPH05292896A (ja) * | 1992-04-22 | 1993-11-09 | Harima Chem Inc | 人工配合飼料 |
GB9505209D0 (en) * | 1995-03-15 | 1995-05-03 | Mustad & Son Limited O | Fish bait |
NO309673B1 (no) * | 1999-07-05 | 2001-03-12 | Norsk Hydro As | Gelert fôrprodukt, middel for å lage produktet og fremgangsmåte for fremstilling av nevnte produkt |
NO321757B1 (no) * | 2002-10-07 | 2006-07-03 | Trouw Internat Bv | Fôrblokk |
JP4012124B2 (ja) * | 2003-06-17 | 2007-11-21 | 第一工業製薬株式会社 | アワビ類養殖飼料及びアワビ類養殖飼料の製造方法 |
-
2005
- 2005-10-12 JP JP2005297874A patent/JP5256449B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104472960A (zh) * | 2015-01-06 | 2015-04-01 | 江苏省海洋资源开发研究院(连云港) | 一种九孔鲍刺参混养用抗应激饵料 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007104938A (ja) | 2007-04-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5256449B2 (ja) | 魚介類養殖用餌とその製造方法 | |
US3889007A (en) | Aquatic animal food composition | |
Gioele et al. | Gracilaria gracilis, source of agar: A short review | |
ES2636062T3 (es) | Material marino derivado de estadios de desarrollo iniciales de percebes | |
KR20100100808A (ko) | 물고기 사료캡슐 | |
Lasley-Rasher et al. | Predation constrains host choice for a marine mesograzer | |
TW202226957A (zh) | 浮游動物用飼料組成物、浮游動物之生產方法、浮游動物、水生生物之生產方法、及水生生物養殖水用添加劑 | |
KR100913611B1 (ko) | 광합성 세균을 이용한 어류용 사료첨가제 및 이를 포함하는사료 | |
Floreto et al. | The Effects of seaweed diets on the growth, lipid and acids of juveniles of the white sea Urchin Tripneustes gratilla | |
KR101479661B1 (ko) | 해삼 사료용 조성물 및 이의 제조방법 | |
Both et al. | Lipid composition of Mytilus edulis reared on organic waste from a Gadus morhua aquaculture facility | |
JP4387686B2 (ja) | 飼料用添加物 | |
KR101938942B1 (ko) | 어미해삼 육상관리를 위한 육성용 절편형 고체사료 조성물 및 제조방법 | |
KR100398345B1 (ko) | 어류 성장촉진용 기능성 사료첨가제 | |
JP2006271209A (ja) | 二枚貝成熟卵磨砕物の添加による二枚貝浮遊幼生飼育法 | |
RU2375911C2 (ru) | Влажный корм для подращивания молоди лососевых рыб в морских садках и способ его приготовления | |
RU2626626C1 (ru) | Способ приготовления комбинированного корма для молоди трепанга | |
JP4392054B2 (ja) | 飼料用添加物 | |
JP2008306998A (ja) | 養殖用固形配合飼料、養殖方法および有害物質低減養殖魚介類 | |
RU2373704C1 (ru) | Способ выращивания рыб с диетическими свойствами | |
FR3141037A3 (fr) | Leurre et appât pour poissons et son procédé de préparation | |
Ramyalakshmi et al. | Effect of feeding n-3 HUFA enriched Artemia on the growth and fatty acid profile of Macrobrachium rosenbergii De man | |
KR20200119994A (ko) | 유기농 종합 수산물 영양관리용 이온화 미네랄 영양제 및 이의 제조방법 | |
JP2619778B2 (ja) | 飼料用芽株粉状物及びその製造方法、及びそれを添加した飼料 | |
JP3327974B2 (ja) | 甲殻類用抗病性飼料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080917 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20110412 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20110413 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110506 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110920 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111013 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120529 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120618 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130319 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |