JP5256238B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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Description

本発明は、ドラム式洗濯機等に使用される流体バランサの形状に関するものである。
流体バランサは、例えば、特開2008−113979号公報(特許文献1)に示すような構成を有する。
この流体バランサは、径方向に5層独立した部屋に分けるような円環状のリブ6ヶを有する円環状のケースと、前記ケースの各層を分断する円環状の溝を有する円環状のフタと、前記ケースの各層に定量の塩化カルシウム水溶液が封入された構成を有する。
特開2008−113979号公報
流体バランサは、ケースとフタを密閉させ、各層に封入された塩化カルシウム飽和水溶液が外界に漏れない構造であることが求められる。たとえば、ドラム式洗濯機では1700r/min以上もの高速回転で使用されるため、十分な強度を有する溶着方法としてスピン溶着が用いられる。
スピン溶着は、ケースに設けられた円環状の溶着リブと、フタに設けられた円環状の溝とが高速回転下で接触し続けることで高温の摩擦熱が生じ、溶着される。
このスピン溶着の際、ケースに設けられた円環状の溶着リブと、フタに設けられた円環状の溝が擦れ合うことで溶着カスが発生し、流体バランサの最内周及び最外周の溶着部外界側に付着する。
この溶着カスは、たとえば、ドラム式洗濯機では、洗い又はすすぎの際に衣類に付着する可能性があるため、取り除かなければならない。
この溶着カス除去作業は、手作業もしくは特殊装置で行っており、手間と費用が嵩む点が問題となっている。
本発明は、溶着カス除去作業を廃止し、作業負担の軽減を目的とする。
上記目的を達成するために本発明の特徴とするところは、径方向に複数に分かれるようなリブ(8a−1)を円環状に有する円環状のケースと、前記ケースの各層を分断する溝を有する円環状のフタと、これらが溶着されることによって形成される独立した各層に50%以下となる適量の塩化カルシウム飽和水溶液などの液体を封入した流体バランサにおいて、前記ケースの最内周の層と外界を仕切る円環状のリブ(8a−1a)のさらに径方向内側に一定間隔をおいて円環状のリブ(8a−3)を有し、同様に、前記ケース最外周の層と外界を仕切る円環状のリブ(8a−1f)のさらに径方向外側に一定間隔をおいて円環状のリブ(8a−4)を有し、前記フタは前記ケースの最内周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向内側に一定間隔で円環状に設けられたリブ(8a−3)と突合せになるようなリブ(8b−2)を有し、前記ケースの最外周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向外側に一定間隔で円環状に設けられたリブ(8a−4)と突合せになるようなリブ(8b−3)を有することを特徴とする。
本発明によれば、前記ケース及びフタに設けられた、最内周のさらに径方向内側及び最外周溶着リブのさらに径方向外側のリブが近接することによりできる空間に、スピン溶着によって発生する溶着カスが閉じ込められることで、溶着カス除去作業を不要とし、作業負担の軽減を実現し、さらには、たとえばドラム式洗濯機における、洗い・すすぎ等の運転時にも溶着カスが流体バランサより外界へ露出することを防ぐ効果がある。
本発明に係るドラム式洗濯機の概観図である。 本発明の流体バランサの使用例を示すためにドラム式洗濯機の洗濯兼脱水槽,外槽,モータを含む洗濯本体ユニットの側断面を示した図である。 本発明の流体バランサを示す外観図である。 本発明の流体バランサの内部構造を示す断面図である。
以下、本発明の一実施について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態例に係るドラム式洗濯乾燥機の外観図である。図2は流体バランサの使用例を示すためにドラム式洗濯機の洗濯兼脱水槽,外槽,モータを含む洗濯本体ユニットの側断面を示した図、図3は流体バランサを示す外観図、図4は流体バランサの内部構造を示す断面図である。
1は、外郭を構成する筐体である。筐体1は、この筐体1を支持する合成樹脂製のベース1hの上に取り付けられており、左右の側板1a,1b,前面カバー1c,背面カバー1d,上面カバー1e,下部前面カバー1fで構成されている。左右の側板1a,1bは、コの字型の上補強材(図示せず),前補強材(図示せず),後補強材(図示せず)で結合されており、ベース1hを含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
7は、前面カバー1cの略中央に設けた衣類を出し入れするための投入口を塞ぐドアで、前補強材に設けたヒンジで開閉可能に支持されている。ドア開放ボタン7dを押すことでロック機構(図示せず)が外れてドアが開き、ドアを前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じる。前補強材は、後述する外槽の開口部と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
4は、筐体1の上部中央に設けた操作パネルで、電源スイッチ13,操作スイッチ14a,14b表示器15を備える。操作パネル4は、筐体1下部に設けた制御装置に電気的に接続している。
5は、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽たるドラムであり、その外周壁および底壁に通水および通風のための多数の貫通孔を有し、前側端面に衣類を出し入れするための開口部を設けてある。開口部の外側にはドラム5と一体の流体バランサ8を備えている。外周壁の内側には軸方向に延びるリフタが複数個設けてあり、洗濯,乾燥時にドラム5を回転すると、衣類はリフタと遠心力で外周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するように動きを繰り返す。ドラム5の回転中心軸は、水平または開口部側が高くなるように傾斜している。
2は、円筒状の外槽であり、ドラム5を同軸上に内包し、前面は開口し、後側端面の外側中央にモータを取り付ける。モータの回転軸は、外槽2を貫通し、ドラム5と結合している。前面の開口部には外槽カバーを設け、外槽内への貯水を可能としている。外槽カバーの前側中央には、衣類を出し入れするための開口部を有している。本開口部と前補強材に設けた開口部は、ゴム製のベローズ6で接続しており、ドア7を閉じることで外槽2を水封する。外槽2底面最下部には、排水口が設けてあり、排水ホース26が接続している。排水ホース19の途中には排水弁が設けてあり、排水弁を閉じて給水することで外槽2に水を溜め、排水弁を開いて外槽2内の水を機外へ排出する。
外槽2は、下側をベース1hに固定されたサスペンション3(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽2の上側は上部補強部材に取り付けた補助ばね(図示せず)で支持されており、外槽2の前後方向へ倒れを防ぐ。
16は、筐体1内の上部左側に設けた洗剤容器で、前部開口から引き出し式の洗剤トレイを装着する。洗剤類を入れる場合は、洗剤トレイを図1の二点鎖線で示すように引き出す。洗剤容器は、筐体1の上補強材に固定されている。
洗剤容器の後ろ側には、給水電磁弁や風呂水給水ポンプ,水位センサなど給水に関連する部品を設けてある。上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口17,風呂の残り湯の吸水ホース接続口18が設けてある。洗剤容器16は、外槽2に接続されており、給水電磁弁を開く、あるいは風呂水給水ポンプを運転することで、外槽2に洗濯水を供給する。
図2では、本発明の主要素である支持機構周りと洗濯機の基本構成要素のみについて記載し、その他の要素例えばパネルスイッチ等は省略し図示していない。その主要構成は、薄鉄板製の筐体1と、この筐体を支持する合成樹脂製のベース1h,このベースから支持機構たるサスペンション3を介して弾性支持されるとともに振動検出のための振動センサを外周に設置している合成樹脂製の外槽2,外槽の前面には前記外枠との間で水密性を保つためのベローズ6,このベローズと嵌合し筐体に設けられたドア,前記外槽2に回転可能に設置され不つり合いをキャンセルするための流体バランサ8を前部に装着し回転軸に支持するためアルミ製のドラムフランジ9を底部に有し側面に通水孔を前面に開口部を有するSUS製のドラム5,外槽底部に締結され他端にモータロータ10を有する回転軸を支持する軸受とモータステータ11が装着されているアルミダイキャスト製の槽ベース12である。
洗濯,すすぎおよび脱水時には、ドラムがブラシレスモータにより回転駆動される。また、脱水回転時には、振動センサにより振動検出が行われ予め用意された判定基準により通過や回転加速および非通過や定速の判定が決定されることになる。これらの駆動および振動検出並びに給排水などの制御はすべてコントローラにて行われる。
図2は流体バランサおよびドラムへの装着状態を示し、流体バランサは内側層より洗濯機前方から見て奥方向に段付きとなった最外層でドラムに装着され、ドラムの回転中心と同軸になるよう構成されている。
脱水運転は、定常回転に至るまでに振動センサにより通過させる不つり合い量を決めている。従って、流体バランサの効果により定常回転時の外槽の最大振動振幅は、決定される構成となっている。
本発明の使用例であるドラム式洗濯機のように大口径のドラムに装着される流体バランサは、その径が大きくなり回転時の遠心力も大きく、共振通過時には十分内壁に張り付いた遠心力場状態にあり慣性質量としての作用が大きく働き共振振幅の低減が図られる。また、本発明のドラム式洗濯機のように、外観デザインを重視した大きな湾曲を有する外枠形状の場合、容積効率を高めるためには、内包される外槽形状は外枠形状に倣うことになる。従って、容積効率を高めるためには、外槽に内包されるドラムも外枠形状に倣う必要がある。
本発明の使用例のドラムは、図3,図4に示すように、内側層より洗濯機前方から見て奥方向に段付きとなった流体バランサの最外層でSUS製のドラム胴部に装着された構成となっている。このため、外槽内の前後方向が有効に活用でき、高い容積効率が図られる。本発明では、流体バランサ形状は内側層より洗濯機前方から見て奥方向に1段の段付き構造であるが、多段の段付き構造であっても本来の目的は十二分に達成される。
図3,図4に示すように、流体バランサの各層は内蔵液体の安定化のため、バッフルにより周方向に複数個の部屋に分割されている。前記バッフルには、本来のバランサ機能を果すため、前記の部屋間を連通させる開口部が設けられている。回転軸が横型のドラム洗濯機では、回転初めには内蔵液が重力の影響で下方に偏っている欠点があり、低速回転時には液移動がスムーズに行えるよう、開口部面積は大きいことが望まれる。しかし、開口部面積が大きい場合、高速回転時には、振動により内蔵液が揺動され悪影響を及ぼすことが分かっている。したがって、低速回転時には液移動がスムーズで高速回転時には液移動し難い開口部が望まれる。本発明では、前記流体バランサはケース8aとフタ8bがスピン溶着により接合製作される構成とし、ケースおよびフタには内蔵流体の動きを抑制するバッフル8a−2,8b−1が設けられ、各バッフルには内蔵流体が連通するための開口部8eを有し、前記開口部は逆さL文字形状および横T文字形状をなし、それぞれの横棒部に相当する開口部は各層内面の回転中心側の反対側に接し、縦棒部に相当する開口部は各層内面の回転中心側に接する構成で、前記横棒部の開口部を前記胴部と蓋部のスピン溶着面とする構成である。横棒部開口部をスピン溶着面としたことで、スピン溶着の作業性が向上する効果がある。前記横棒部に相当する開口部面積を小さくするため、本発明では、回転軸方向の隙間を1mm程度に設定している。ケースは円環状の溶着リブ8a−1(8a−1a〜8a−1f)を有し、それぞれがフタの円環状の溶着溝と溶着されており、各層が独立した部屋となっている。この各層に塩化カルシウム飽和水溶液が封入されている。フタは円環状の溝が6ヶ設けられており、この溝はそれぞれ、前記溶着リブ8a−1が入り込むようになっている。8a−7のネジ穴は円周上に等角度で12個、中心に向かって設けられている。8a−3はケース側の最内周溶着カス隠しリブである。スピン溶着後に8bのフタ側のリブ8b−2と近接することで空間を作り出すために設けられている。8a−4はケース側の最外周溶着カス隠しリブである。スピン溶着後に8bのフタ側のリブ8b−2と近接することで空間を作り出すために設けられている。8cは空間を指しており、スピン溶着後に前記8a−3のリブと8b−2のリブで作り出されるものであり、スピン溶着時に発生する溶着カスを閉じ込める空間である。8dは同じく空間を指しており、スピン溶着後に前記8a−4のリブと8b−3のリブで作り出されるものであり、スピン溶着時に発生する溶着カスを閉じ込める空間である。
以上、本実施例では、筐体と、筐体で支持された外槽と、この外槽内のドラムと、ドラムを駆動する手段と、ドラム開口部外側に装着された流体バランサを有し、この流体バランサは、ドラムの径方向に複数層に分かれるような複数のリブを円環状に有する円環状のケース、前記ケースの各層を分断する溝を有する円環状のフタを有し、前記ケースの各層に液体を注入されたドラム式洗濯機において、前記ケースの最内周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向内側に円環状のリブを有し、前記ケース最外周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向外側に円環状のリブを有し、前記フタは、前記ケースの最内周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向内側に円環状に設けられたリブと突合せになるようなリブを有し、前記ケースの最外周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向外側に円環状に設けられたリブと突合せになるようなリブを有する。
この構成により、ケース及びフタに設けられた、最内周のさらに径方向内側及び最外周溶着リブのさらに径方向外側のリブが近接することによりできる空間に、スピン溶着によって発生する溶着カスが閉じ込められることで、溶着カス除去作業を不要とし、作業負担の軽減を実現し、さらには、たとえばドラム式洗濯機における、洗い・すすぎ等の運転時にも溶着カスが流体バランサより外界へ露出することを防ぐことができる。
1 筐体
1h ベース
2 外槽
3 ダンパ
4 操作パネル
5 ドラム
6 ベローズ
7 ドア
8 流体バランサ
8a ケース
8a−1a 最内周溶着リブ
8a−1b 内周溶着リブ
8a−1c 中内周溶着リブ
8a−1d 中外周溶着リブ
8a−1e 外周溶着リブ
8a−1f 最外周溶着リブ
8a−2 ケース側バッフル
8a−3 ケース側最内周溶着カス隠しリブ
8a−4 ケース側最外周溶着カス隠しリブ
8a−7 ネジ穴
8b フタ
8b−1 フタ側バッフル
8b−2 フタ側最内周溶着カス隠しリブ
8b−3 フタ側最外周溶着カス隠しリブ
8c 最内周溶着カス溜まり
8d 最外周溶着カス溜まり
9 ドラムフランジ
10 ロータ
11 ステータ
12 槽ベース

Claims (3)

  1. 筐体と、筐体で支持された外槽と、この外槽内のドラムと、ドラムを駆動する手段と、ドラム開口部外側に装着された流体バランサを有し、
    この流体バランサは、ドラムの径方向に複数層に分かれるような複数のリブを円環状に有する円環状のケース、前記ケースの各層を分断する溝を有する円環状のフタを有し、前記ケースの各層に液体を注入されたドラム式洗濯機において、
    前記ケースの最内周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向内側に円環状のリブを有し、
    前記ケース最外周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向外側に円環状のリブを有し、
    前記フタは、前記ケースの最内周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向内側に円環状に設けられたリブと突合せになるようなリブを有し、
    前記ケースの最外周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向外側に円環状に設けられたリブと突合せになるようなリブを有する特徴とするドラム式洗濯機。
  2. 請求項1記載のドラム式洗濯機において、
    前記ケースと前記フタをスピン溶着した際、最内周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向内側に一定間隔をおいて設けた円環状のリブと、最外周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向外側に一定間隔をおいて設けた円環状のリブによって、スピン溶着時に発生する溶着カスが外界に露出することを防ぐ構造を特徴としたドラム式洗濯機。
  3. 請求項1記載のドラム式洗濯機において、
    前記ケース及び前記フタの最内周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向内側に一定間隔をおいて設けた円環状のリブと、同じく前記ケース及び前記フタの最外周の層と外界を仕切る円環状のリブのさらに径方向外側に一定間隔をおいて設けた円環状のリブは、スピン溶着時には互いに近接するが接触することがない構造を特徴としたドラム式洗濯機。
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