JP5256155B2 - 有底筒状体形状の缶容器本体およびそれに飲料を充填した飲料缶製品 - Google Patents
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Description
本発明は、有底筒状体形状の缶容器本体、およびそれに飲料を充填した後に蓋シールさせた飲料缶製品に関し、さらに詳しくは、缶底部の形態に特徴を有し、缶底部を薄肉化しても缶底部の剛性を維持することができ、特に、脚部の滑り込みを抑制し、垂直荷重に対する座屈強度を向上させることができる底部形態を備える缶容器本体および飲料缶製品に関する。
従来、ビール等の炭酸飲料を缶容器内に密封させたいわゆる陽圧缶の底部形状は、一般に、底部の大部分を占める中央エリアを容器の内部に入り込ませるようなドーム形状とし、底部の着座面として、ドーム形状の外周部にリング状の突起を連接して形成させた構造が採択されている。
このような従来の一般的な陽圧缶は、耐圧強度を確保するために、上記のごとく底部の中央部を容器の内部に入り込ませるようなドーム形状とされ、かつ、底部の厚さが缶の側面を構成する缶胴の厚と比べてかなり肉厚になるように設定されている
このような陽圧缶が用いられる市場規模は極めて大きく、個々の缶に使用されている金属のわずかな量の節約でも、全体を見れば極めて大きな費用削減効果が見込める。
このような観点から、特表2002−515842号公報には、缶底壁の金属材の厚さを減らすことを主たる目的とし、外方に凸のドーム部分と、このドーム部分に形成した複数の略四角錘台形状の支持脚とを設け、これ等の支持脚を円周方向に交互に間隔をおいて配置し、ドーム部分を越えて下方に突出させてなる底壁の開示がなされている。
しかしながら、上記の先行特許文献1では、耐圧性、および容器の自立性を確保するための十分な構成の研究および開示はなされておらず、上記の先行特許文献1の開示の内容では、内圧が上昇した場合に、底中央部がわずかに膨らんだだけで容器の自立性が確保できなくなってしまうというおそれがある。
このような問題を解決するために、本出願に係る発明者らはすでに、特願2009−202231号の発明を提案しており、この提案によれば、缶底部の薄肉化においても缶底部の剛性を維持することができ、内圧上昇に伴う自立性を確保できる。
本願発明は、上記の特願2009−202231号の発明をさらに改良させたものであって、特に、垂直荷重に対する座屈強度を向上させることができる底部形態を備える缶容器本体および飲料缶製品を提供することにある。つまり、いわゆるぺタロイド形状底の金属缶では、缶体の軸方向の垂直荷重がかかると、脚部が底中央部へ滑り込み、脚部が変形し、座屈が開始するという問題があり、本願発明では、当該問題点を解決することを主目的としている。
このような課題を解決するために、本発明は、円筒形の側壁と、この側壁に連接して一体的に形成された底部と、を有する金属材料からなる有底筒状体形状の缶容器本体であって、前記底部は、下向き外方に湾曲して突出するドーム部と、均等に角度割されたドーム部の複数の周縁箇所をさらに下向き外方に湾曲状に突出(隆起)させて形成された湾曲支持脚と、を備え、前記底部における湾曲支持脚の接地箇所相当部位に、半径方向に対して交叉する方向に形成されたリブ(rib)を備えてなるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記底部における湾曲支持脚の接地箇所相当部位が、湾曲支持脚の最も突出した位置であり、当該位置を通る半径方向の湾曲ラインに対して交叉する方向にリブが形成されてなるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記リブの形成によって、1つの湾曲支持脚について、缶底における接地ポイントが2以上形成されるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記リブの形成によって、当該リブそのものが缶底における2以上の接地ポイントとなるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記リブは、湾曲支持脚の最も突出した位置を通る半径方向の断面で見た場合に、凹状に窪んだ形状をなしているように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記リブはその形態が長細い窪み溝形状をなしているように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記湾曲支持脚の個数は、4〜8個であり、その各々の湾曲支持脚に前記リブを備えてなるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記底部における湾曲支持脚の最も突出した位置において、さらに新たなリブを付加して形成し、最も突出した位置において2つのリブが交叉する形態を備えてなるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記2つのリブが交叉する形態によって、1つの湾曲支持脚について、缶底における接地ポイントが4つ形成されるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記ドーム部の湾曲を規定する曲率半径をR3(mm)とした場合に、前記円筒形の側壁の直径D(mm)との関係で、1.04≦R3/D≦1.67の条件を満たす底部を備えるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記円筒形の側壁の直径D(mm)が、52〜95mmであるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記湾曲支持脚の高さL(mm)が、前記側壁の直径D(mm)との関係で、0.12≦L/D≦0.18を満たすように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記底部は、その平均肉厚t(mm)が、前記側壁の直径D(mm)との関係で、0.0030≦t/D≦0.0045を満たすように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記隣接する湾曲支持脚の間隙、および複数の湾曲支持脚によって囲まれる底部の中央部分がドーム部を構成してなるように構成される。
また、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の好ましい態様として、前記複数の湾曲支持脚により配置・構成される形態がぺタロイド形状であるように構成される。
本発明の飲料缶製品は、前記記載の有底筒状体形状の缶容器本体に飲料を充填した後、開口部を蓋シールすることにより形成される。
また、本発明の飲料缶製品の好ましい態様として、缶内部の圧力は640kPa以下であるように構成される。
また、本発明の飲料缶製品の好ましい態様として、飲料が炭酸を含む飲料であるように構成される。
本発明の有底筒状体形状の缶容器本体は、円筒形の側壁と、この側壁に連接して一体的に形成された底部と、を有し、前記底部は、下向き外方に湾曲して突出するドーム部と、均等に角度割されたドーム部の複数の周縁箇所をさらに下向き外方に湾曲状に突出させて形成された湾曲支持脚と、を備え、前記底部における湾曲支持脚の接地箇所相当部位に、半径方向に対して交叉する方向に形成されたリブ(rib)を備えてなるように構成されているので、缶底部を薄肉化しても缶底部の剛性を維持することができ、特に、脚部の滑り込みを抑制し、垂直荷重に対する座屈強度を格段と向上させることができる。
<作用>
本発明において、底部の所定箇所に本願発明のリブを備えることにより、缶軸方向に垂直荷重を掛けたときに、脚部外側からの滑り込みが抑制できるとともに、底中央部の浮き上がりを抑制できる。これらの抑制作用に基づき垂直荷重に対する座屈強度が格段と向上する。
本発明において、底部の所定箇所に本願発明のリブを備えることにより、缶軸方向に垂直荷重を掛けたときに、脚部外側からの滑り込みが抑制できるとともに、底中央部の浮き上がりを抑制できる。これらの抑制作用に基づき垂直荷重に対する座屈強度が格段と向上する。
以下、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体およびそれに飲料を充填した後に蓋シールさせた飲料缶製品について詳細に説明する。
まず、最初に本発明の有底筒状体形状の缶容器本体について説明する。
有底筒状体形状の缶容器本体の説明
図1は本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の概略斜視図であって、底部方向から見た図面であり、図2は缶容器本体の底部の概略拡大斜視図であり、図3は、図2相当の底部の概略拡大斜視図であって、凹凸の形態イメージをラインを用いて、缶底の隆起する形態、特に、本発明の要部のリブの好適な一形態を明瞭に示したものである。なお、図1および図2は、缶容器本体の概略の形態を示すものであり、本願発明の要部であるリブの記載は省略されている。
図1は本発明の有底筒状体形状の缶容器本体の概略斜視図であって、底部方向から見た図面であり、図2は缶容器本体の底部の概略拡大斜視図であり、図3は、図2相当の底部の概略拡大斜視図であって、凹凸の形態イメージをラインを用いて、缶底の隆起する形態、特に、本発明の要部のリブの好適な一形態を明瞭に示したものである。なお、図1および図2は、缶容器本体の概略の形態を示すものであり、本願発明の要部であるリブの記載は省略されている。
図4は、図3の変形例であって、湾曲支持脚の数が8個の場合の底部の概略拡大斜視図である。図5は、図4の変形例であって、最も突出した位置において2つのリブが交叉する形態を備えてなる底部の概略拡大斜視図である。図6は、缶容器本体の底部の模式的断面図であり、断面図において湾曲支持脚の断面が図面の両端に均等に現れるように、湾曲支持脚の数は、4個(あるいは、6個、8個)の場合であり(ただし、リブの記載は省略)、湾曲支持脚は半径方向に均等分割した断面図として表される(容器内部が加圧される前の状態)。図7は、飲料缶製品としての缶容器本体の底部が、加圧されることにより変形する様子を示した模式的断面図であり、湾曲支持脚の断面が両端に均等に現れるように、湾曲支持脚の数は、4個(あるいは、6個、8個)の場合であり(ただし、リブの記載は省略)、湾曲支持脚を半径方向に均等分割した断面図である。底部の実線が加圧前、点線が加圧後の状態である。
なお、本発明でいう「下向き」あるいは「下方」とは、容器を正立載置している場合に、底に向かう方向をいう。換言すれば、容器を持ち上げている場合に、容器を底側から載置する方向として定義される。この反対方向が「上向き」あるいは「上方」である。
図1に示されるように本発明の缶容器本体1は、アルミニウムなどの金属材料からなり、円筒形の側壁20(いわゆる、缶胴)と、この側壁20に連接して一体的に形成された底部30とを備える有底筒状体形状をなしている。
側壁20の上方は、開口部10が形成されており、缶蓋などの蓋シール材(図示していない)との密封・嵌着が可能なように首部11が形成されている。
缶容器本体の底部30は、図1に示されるように、下向き外方に湾曲して突出するドーム形状のドーム部31と、均等に角度割されたドーム部の複数の周縁箇所をさらに下向き外方に湾曲状に突出(隆起)させて形成された湾曲支持脚35とを有し、さらに、図3に示されるように、本発明で最も特徴的なところは、底部における湾曲支持脚35の接地箇所相当部位に、半径方向に対して交叉する方向に形成されたリブ(rib)38を備えてなる点である。図3に示される実施形態では、5個の湾曲支持脚35全てに、一つのリブ38がそれぞれ、形成されている。
ドーム部31は、湾曲支持脚35の存在により、通常のドームとはイメージが異なり、隣接する湾曲支持脚35同士の間隙(図1では5箇所)、および複数の湾曲支持脚35によって囲まれる底部の中央部分(図1では中央1箇所)によって構成され、これらは一体的に連接されている。
ドーム部31の形態は、図1を参照しつつ、かつ、図6に示される図面を見ることによってから明確に理解することができよう。すなわち、図6において、点線で示されているドーム部31が隣接する湾曲支持脚35同士の間隙に位置するドーム部であり、実線で示されているドーム部31が複数の湾曲支持脚35によって囲まれる底部の中央部分に位置するドーム部である。
本発明においては、図3に示されるように、缶底部における湾曲支持脚35の接地箇所相当部位にリブ38が形成されており、これによって、薄肉化された湾曲支持脚35の垂直荷重に対する座屈強度を向上させることができる。
『接地箇所相当部位』とは、接地される平面に対して、容器を底側から載置させた場合に当接するであろう箇所をいう。換言すれば、底部における湾曲支持脚35の接地箇所相当部位は、湾曲支持脚35の最も突出した位置に相当し、当該位置を通る半径方向の湾曲ラインに対して、交叉する方向にリブ38が形成される。
図3に示されるごとく、1つの湾曲支持脚35に1つのリブ38が存在する場合、リブ38が交叉する方向は、半径方向に対して円周方向沿う略直角方向であることが好ましい。垂直荷重に対する座屈強度を効率良く向上させるためである。ここで、『略直角方向』とは、90°±15°の範囲をいう。
リブ38は、薄肉の部分の剛性や強度を持たせるように作用すべく補強体(骨構造)であり、このような作用を発揮する限りにおいて、特にそのリブ形態は制限されるものではないが、本発明においては、図3に示されるごとく、その形態が長細い窪み溝形状をなし、その長手方向が半径方向に対して円周方向沿う略直角方向に配置されることが特に好ましい。長細い窪み溝形状は、底部における湾曲支持脚35の接地箇所相当部位に、半径方向に対して交叉する方向に形成されるために、その溝形状の外枠形状が細長い楕円形状をなしている。つまり、図3の右下方に併記されたリブの部分断面図に示されるごとく、湾曲支持脚の最も突出した位置を通る半径方向の断面で見た場合に、凹状に窪んだリブ本体38aが形成されている。
このような形状からなるリブ38の形成によって、1つの湾曲支持脚35について、缶底における接地ポイントが2以上形成される。好ましくは、当該リブの外縁そのものによって、缶底における2以上の接地ポイントを形成することが望ましい。このように2以上の接地ポイントを形成することによって、特に、脚部の滑り込みを抑制し、垂直荷重に対する座屈強度を格段と向上させることができる。さらに、接地の安定性も向上する。
図4は、図3の変形例を示したものであって、湾曲支持脚35が8個の場合であって、各脚35について1つのリブ38がそれぞれ形成された実施形態が示されている。この場合においても、図3同様に、リブ38は、底部における湾曲支持脚35の接地箇所相当部位に、半径方向に対して円周方向沿う略直角方向に配置・形成されることが好ましい。
図5は、図4のさらなる変形例であって、底部における湾曲支持脚35の最も突出した位置において、当該位置を通る半径方向の湾曲ラインに沿って、さらに新たなリブ39を追加して形成したものである。これによって、図5に示すごとく、湾曲支持脚35最も突出した位置において2つのリブ38と39とが交叉する形態(ほぼ直交する形態)となっている。2つのリブ38と39とが交叉(直交)することによって、1つの湾曲支持脚35について、缶底における接地ポイントが4つ形成され、垂直荷重に対する座屈強度の向上はもとより、接地安定性は格段と向上する。
図5に示されるごとく1つの湾曲支持脚35に2つのリブ38、39が存在する場合、これらのリブ38、39が配置される形態として、半径方向を0度の基準とした場合に、(1)0°±15°の範囲のリブと、90°±15°の範囲のリブとの組合せ(図5と同じ)、あるいは(2)45°±15°の範囲のリブと、135°±15°の範囲のリブとの組合せとすることが好ましい。
上述してきた本発明において、複数の湾曲支持脚35を花弁のごとく配置・構成される形態は、いわゆるぺタロイド形状と呼ばれることもある。
図1〜図3において、湾曲支持脚35の個数は5個の場合が好適例として例示されている。湾曲支持脚35の個数は4〜8個、特に、5個が好ましい。4未満となると安定自立が困難であり安定した搬送等ができなくなり、8を越えると成形が極めて困難となる。
本発明において、缶底の肉薄化が実現でき、かつ、安定な自立性を確保するためには、以下の要件を満たす缶底仕様とすることが望ましい。
すなわち、図6に示されるように、底部30におけるドーム部の湾曲を規定する曲率半径をR3(mm)とした場合に、円筒形の側壁20の直径D(mm)との関係で、1.04≦R3/D≦1.67の条件、より好ましくは、1.17≦R3/D≦1.33の条件を満たす底部を備えるように構成することが望ましい。R3(mm)の基点は、図6に示される、缶の軸心P上に存在することは勿論である。
ドーム部の湾曲を規定する曲率半径R3(mm)は、設計上、複数分割して、場所によって曲率半径R3の値を局所的に変えることは、考え難いが、もし、ドーム部の湾曲を規定する際に、局所的に異なる2種以上の曲率半径の接合・組合せ半径を用いた場合には、本願発明に言う曲率半径R3(mm)としては、図6における中央部G1と側壁20に接するG2,G3の3点から求め直した一定の曲率半径をR3として適用すればよい。
また、一般的な缶ビールの直径Dは66mmであり、例えば、この直径Dと肉厚とを考慮すれば、曲率半径R3は、68.7〜110.1mm、好ましくは72.1〜99.2mm、さらに好ましくは73.0〜97.0mm、最も好ましくは、77.2〜87.5mmとされる。
また、円筒形の側壁20の外径が軸方向に局所的に変化している場合には、長手方向(軸方向)に直径Dの分布を採り、最も多く存在しているD値を円筒形の側壁20の直径D(mm)として採用すればよい。本発明において、直径D(mm)は、52〜95mmの範囲で適用可能である。
また、図6に示されるように、本発明における湾曲支持脚35の高さL(mm)(図6に示されるようにドーム部の曲率半径R3の最外部が円筒形の側壁20と交差する点G3から載置平面70までの高さ方向の距離L)は、直径D(mm)との関係で、0.12≦L/D≦0.18、好ましくは、L/D=0.15とすることが望ましい。L単独で考えると、直径D=66mmの場合、L値は、8〜12mmの範囲、好ましくは10mmとされる。アルミニウムの加工限界により、直径Dとの関係で湾曲支持脚35の高さに制約が設けられる。
また、本発明における底部30の平均肉厚t(mm)は、直径D(mm)との関係で、0.0030≦t/D≦0.0045、好ましくは、t/D=0.0030とすることが望ましい。t単独で考えると、直径D=66mmの場合、t値は、0.20〜0.30mm、好ましくは、0.20〜0.25mm、より好ましくは、0.20〜0.22mm、最も好ましくは0.20mmとされる。
上記R3/Dの値が、1.04未満となると、図6に見られるドーム部最下位置G1と載置平面70との距離Hが小さくなる傾向になり、この状態で、例えば、内圧が640kPaの陽圧缶製品とした場合に、自立性が満足できなくなってしまうという不都合が生じ得る。この一方で、上記R3/Dの値が、1.67を超えると、内圧が640kPaの陽圧缶製品とした場合に、図7に示される湾曲支持脚35の下方方向の伸びΔLが1mm以上となり、缶全体の高さが大きくなってしまい、工程搬送中での缶詰まりや箱詰め不良が発生するという不都合が生じ得る。
なお、図6の断面図において、湾曲支持脚35を構成する半径R1の値は、直径D(mm)との関係で、0.12≦R1/D≦0.18の範囲とすることが望ましく、R1単独の数値としては、直径D=66mmの場合、R1=8〜12mm、好ましくは、9〜11mm、より好ましくは10mmとされる。さらに、図6の断面図において、湾曲支持脚35から中央部分に位置するドーム部に連なる半径R2の値は、直径D(mm)との関係で、0.12≦R2/D≦0.18の範囲とすることが望ましく、R2単独の数値としては、直径D=66mmの場合、R2=8〜12mm、好ましくは、9〜11mm、より好ましくは10mmとされる。
飲料缶製品の説明
上述してきたような特徴的な形態の底部を備える有底筒状体形状の缶容器本体に飲料を充填した後、開口部10に蓋を被着させて、密封シールすることにより、飲料缶製品が形成される。缶の内部に貯留される飲料としては、缶内部が陽圧となるようなビール、発泡酒、いわゆる第3のビール、炭酸入り清涼飲料、炭酸入りワイン、等の炭酸系の飲料が好適例として挙げられる。
上述してきたような特徴的な形態の底部を備える有底筒状体形状の缶容器本体に飲料を充填した後、開口部10に蓋を被着させて、密封シールすることにより、飲料缶製品が形成される。缶の内部に貯留される飲料としては、缶内部が陽圧となるようなビール、発泡酒、いわゆる第3のビール、炭酸入り清涼飲料、炭酸入りワイン、等の炭酸系の飲料が好適例として挙げられる。
また、本発明の飲料缶製品は、缶内部の圧力が640kPa以下となる製品を対象することが望ましい。
以下、本発明の有底筒状体形状の缶容器に関する具体的実験例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
〔実験例I〕
有限要素法を用いたシュミレーション手法により、いわゆるぺタロイド形状の座屈解析を行った。
有限要素法を用いたシュミレーション手法により、いわゆるぺタロイド形状の座屈解析を行った。
座屈解析の要領は以下のとおりとした。
<座屈解析(I)>
底部の厚さは、0.25mmとして解析した(なお、0.20mm〜0.30mmの厚さ範囲において、0.25mmの場合と同様に本発明の効果は解析確認されている)。
<座屈解析(I)>
底部の厚さは、0.25mmとして解析した(なお、0.20mm〜0.30mmの厚さ範囲において、0.25mmの場合と同様に本発明の効果は解析確認されている)。
また、底部の形状設定は、以下のとおり。
・湾曲支持脚35の個数:5個(図3参照)又は8個(図4参照)
・脚高さL(図6参照):10mm
・脚の膨らみR1(図6参照):10mm
・ドーム部へと連接する脚の接合R2(図6参照):10mm
・円筒形の側壁20の直径D:66mm
・ドーム部の曲率半径R3(図6参照):84mm
・中央缶底から載置面までの距離H(図6参照):3.2mm
・リブの形状および配置
(i)本発明実施品として、図3および図4に示されるごとくリブを各湾曲支持脚35に1個づつ備える形態のサンプル
・湾曲支持脚35の個数:5個(図3参照)又は8個(図4参照)
・脚高さL(図6参照):10mm
・脚の膨らみR1(図6参照):10mm
・ドーム部へと連接する脚の接合R2(図6参照):10mm
・円筒形の側壁20の直径D:66mm
・ドーム部の曲率半径R3(図6参照):84mm
・中央缶底から載置面までの距離H(図6参照):3.2mm
・リブの形状および配置
(i)本発明実施品として、図3および図4に示されるごとくリブを各湾曲支持脚35に1個づつ備える形態のサンプル
リブの大きさ
直径方向の幅:2mm
円周方向の幅:10mm
深さ:1mm(最深部)
直径方向の幅:2mm
円周方向の幅:10mm
深さ:1mm(最深部)
(ii)比較例としてリブなしの形態のサンプル
耐圧強度判定基準は、以下のとおりとした。
<座屈解析基準>
10mm/minの速度で圧縮荷重を漸増させて掛けたときに、どの程度の荷重(N)まで座屈せずに持ちこたえられるかを調べた。
解析結果のデータ値を下記表1に示した。
10mm/minの速度で圧縮荷重を漸増させて掛けたときに、どの程度の荷重(N)まで座屈せずに持ちこたえられるかを調べた。
解析結果のデータ値を下記表1に示した。
上記表1の結果より、本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明の有底筒状体形状の缶容器本体は、円筒形の側壁と、この側壁に連接して一体的に形成された底部と、を有し、前記底部は、下向き外方に湾曲して突出するドーム部と、均等に角度割されたドーム部の複数の周縁箇所をさらに下向き外方に湾曲状に突出させて形成された湾曲支持脚と、を備え、前記底部における湾曲支持脚の接地箇所相当部位に、半径方向に対して交叉する方向に形成されたリブ(rib)を備えてなるように構成されているので、缶底部を薄肉化しても缶底部の剛性を維持することができ、特に、脚部の滑り込みを抑制し、垂直荷重に対する座屈強度を格段と向上させることができる。
1…缶容器本体
10…開口部
20…円筒形の側壁
30…底部
31…ドーム部
35…湾曲支持脚
38,39…リブ
10…開口部
20…円筒形の側壁
30…底部
31…ドーム部
35…湾曲支持脚
38,39…リブ
Claims (18)
- 円筒形の側壁と、この側壁に連接して一体的に形成された底部と、を有する金属材料からなる有底筒状体形状の缶容器本体であって、
前記底部は、下向き外方に湾曲して突出するドーム部と、均等に角度割されたドーム部の複数の周縁箇所をさらに下向き外方に湾曲状に突出(隆起)させて形成された湾曲支持脚と、を備え、
前記底部における湾曲支持脚の接地箇所相当部位に、半径方向に対して交叉する方向に形成されたリブ(rib)を備えてなることを特徴とする有底筒状体形状の缶容器本体。 - 前記底部における湾曲支持脚の接地箇所相当部位が、湾曲支持脚の最も突出した位置であり、当該位置を通る半径方向の湾曲ラインに対して交叉する方向にリブが形成されてなる請求項1に記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記リブの形成によって、1つの湾曲支持脚について、缶底における接地ポイントが2以上形成される請求項1または請求項2に記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記リブの形成によって、当該リブそのものが缶底における2以上の接地ポイントとなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記リブは、湾曲支持脚の最も突出した位置を通る半径方向の断面で見た場合に、凹状に窪んだ形状をなしている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記リブはその形態が長細い窪み溝形状をなしている請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記湾曲支持脚の個数は、4〜8個であり、その各々の湾曲支持脚に前記リブを備えてなる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記底部における湾曲支持脚の最も突出した位置において、さらに新たなリブを付加して形成し、最も突出した位置において2つのリブが交叉する形態を備えてなる請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記2つのリブが交叉する形態によって、1つの湾曲支持脚について、缶底における接地ポイントが4つ形成される請求項8に記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記ドーム部の湾曲を規定する曲率半径をR3(mm)とした場合に、前記円筒形の側壁の直径D(mm)との関係で、1.04≦R3/D≦1.67の条件を満たす底部を備える請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記円筒形の側壁の直径D(mm)が、52〜95mmである請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記湾曲支持脚の高さL(mm)が、前記側壁の直径D(mm)との関係で、0.12≦L/D≦0.18を満たす請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記底部は、その平均肉厚t(mm)が、前記側壁の直径D(mm)との関係で、0.0030≦t/D≦0.0045を満たす請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記隣接する湾曲支持脚の間隙、および複数の湾曲支持脚によって囲まれる底部の中央部分がドーム部を構成してなる請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 前記複数の湾曲支持脚により配置・構成される形態がぺタロイド形状である請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体。
- 請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の有底筒状体形状の缶容器本体に飲料を充填した後、開口部を蓋シールすることにより形成される飲料缶製品。
- 缶内部の圧力が640kPa以下である請求項16に記載の飲料缶製品。
- 飲料が炭酸を含む飲料である請求項16に記載の飲料缶製品。
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