JP5253082B2 - ロック機能付差動装置及びそれを介装した長尺物巻取装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、ホース等の長尺物を自動的に巻取る巻取装置等の巻取り機構に介装し、任意の位置でロックするとともに、例えば、巻取り駆動と巻取りドラムとの間で回転を増減速して伝達するロック機能付差動装置に関する。
従来より、例えば、上述例の巻取装置等のように、渦巻きバネ等の巻取り駆動によって自動的に巻取ることができる巻取り装置において、ホースを引き出す際の回転力を減速して渦巻きバネを付勢し、引き出したホースが勝手に巻取られないようにその位置でロックし、所定の動作をトリガーとして前記ロックが解除され、自動的に巻取られるためには、回転を増減速して伝達するとともに、ロックできるロック機能付きの差動装置が必要となる。
このようなロック機能付きの差動装置としては、例えば下記特許文献1に記載されているような差動装置が提案されている。しかし、特許文献1に記載の差動装置をロックする場合、差動する回転要素ごとにそれぞれ固定する必要があり、機構が複雑になるとともに、設置スペースが大きくなり、コンパクトな装置に介装することはできなかった。
特開2008−196697号公報
そこで、この発明は、差動する回転要素ごとにそれぞれ固定する等の複雑な機構によらずとも、確実にロックするとともに、ロック解除状態では回転を増減速して伝達することのできるロック機能付差動装置を提供することを目的とする。
この発明は、軸芯を回転中心とする回転力を入力するとともに、前記軸芯方向に所定長さを有する回転軸と、前記回転軸の外周部に配置するとともに、前記軸芯を中心とし、回転が固定された回転固定体と、前記回転軸と同軸芯上に配置するとともに、前記回転力を、前記軸芯を回転中心として出力する回転出力体と、前記回転固定体を反力とし、前記回転軸からの前記回転力を前記回転出力体に伝達するとともに、前記回転軸の回転と前記回転出力体の回転とを差動させる差動手段と、該差動手段によって差動する前記回転軸と前記回転出力体との相対回転を固定する相対回転固定手段と、前記回転軸に外嵌するとともに、外周面に係止溝を備えたロックドラムと、前記回転軸に対して締付け方向に前記ロックドラムを回転固定するスプリングクラッチとを備え、前記差動手段を、前記回転軸と前記回転固定体との間で、前記軸芯を中心として公転する差動回転体で構成し、前記相対回転固定手段を、前記ロックドラムの外周部に配置され、前記差動回転体の公転に伴って回転する相対回転規制体と、該相対回転規制体に対する前記回転軸の一方向の相対回転を固定する一方向回転固定手段とで構成し、前記相対回転規制体におけるロックドラムとの対向面に軸心方向のスライド溝を形成するとともに、前記係止溝を、相対回転が固定された回転方向への前記ロック係止部の移動を規制する、展開形状が略二等辺三角形状のロック溝部と、周方向において前記ロック溝同士とを連通させる中間溝部とで構成し、前記一方向回転固定手段を、前記スプリングクラッチと、前記係止溝と、前記スライド溝と、前記係止溝及び前記スライド溝に転動可能に係止するロックボールと、前記ロックボールを前記ロック溝部に付勢する付勢手段とで構成したロック機能付差動装置であることを特徴とする。
前記ロック機能付差動装置は、ロック機能付遊星歯車機構やロック機能付ボール減速機等の回転入力要素、回転出力要素及び回転固定要素の3要素と、ロック機能とからなるロック機能付差動装置であることを含む。
上記構成によれば、差動する回転軸と回転出力体の回転とを個別に固定せずとも、回転軸に対する回転出力体の相対回転を固定することで確実に、差動装置をロックするとともに、ロック解除状態では回転を増減速して伝達することができる。
したがって、例えば、回転軸と回転出力体とをそれぞれ固定するロック機構と比較して、簡単な機構で確実にロックできるため、不具合が生じにくく、また、機構が簡単であるため設置スペースを低減することができる。
また、前記相対回転固定手段を、前記ロックドラムの外周部に配置され、前記差動回転体の公転に伴って回転する相対回転規制体と、該相対回転規制体に対する前記回転軸の一方向の相対回転を固定する一方向回転固定手段とで構成することにより、軸芯を中心として公転する差動回転体と回転軸との相対回転が固定されるため、差動回転体と回転軸との間で差動が生じず、ロックすることができる。すなわち、差動回転体と回転軸を、回転固定された回転固定体から直接拘束することなく、差動回転体と回転軸との間の相対移動を拘束することで、差動回転体と回転軸の移動を固定することができる。
また、上記ロックは、差動回転体の公転に伴って回転する相対回転規制体を介して、差動回転体と回転軸との相対回転を固定することができるため、回転が固定された部材から拘束してロックする機構と比較して、ロックすることによる部材に係る負荷を低減することができる。
また、所望の一方向への回転は許容するが、反対方向への回転ができないロック機能を備えたロック機能付差動装置を構成することができる。
また、前記相対回転規制体におけるロックドラムとの対向面に軸心方向のスライド溝を形成するとともに、前記係止溝を、相対回転が固定された回転方向への前記ロックボールの移動を規制する、展開形状が略二等辺三角形状のロック溝部と、周方向において前記ロック溝同士とを連通させる中間溝部とで構成し、前記一方向回転固定手段を、前記スプリングクラッチと、前記係止溝と、前記スライド溝と、前記係止溝及び前記スライド溝に転動可能に係止するロックボールと、前記ロックボールを前記ロック溝部に付勢する付勢手段とで構成したことにより、回転許容時において、ロックボールを、係止溝の中間溝部に係止させ、相対回転が固定されたロック時には、ロックボールをロック溝部に付勢することで、ロックボールの係止溝での移動を規制して、確実にロックすることができる。
また、この発明は、上述のロック機能付差動装置と、巻取り駆動手段とを巻取り機構に介装した長尺物巻取装置であることを特徴とする。
これにより、渦巻きバネ等の巻取り駆動によって自動的にホース等の長尺物を巻取る長尺物巻取装置等において、ホースを引き出す際の回転力を減速して渦巻きバネを付勢し、引き出したホースが勝手に巻取られないようにその位置でロックし、所定の動作をトリガーとしてロックを解除して、自動的に巻取る操作を極めて容易に行うことができる。
さらに、この発明のロック機能付差動装置は、長尺物巻取装置の巻取り機構に介装することができる他、巻取りを必要とする装置に利用することができる。
この発明によれば、差動する回転要素ごとにそれぞれ固定する等の複雑な機構によらずとも、確実にロックするとともに、ロック解除状態では回転を増減速して伝達することのできるロック機能付差動装置を提供することができる。
この発明の一実施の形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の巻取機構10を採用したホース巻取装置100の正面右上からの斜視図を示し、図2はホース巻取装置100の左側面図を示す。このホース巻取装置100は図1に示すように、正面視釣り鐘形状のフレーム101(101a,101b,101c)を奥行き方向(図2において左右方向)に3つ配置し、中間フレーム101bと奥側フレーム101cとで、ホース(図示省略)を巻き付ける巻付ドラム110を支持し、利用者が持ち運びの際に握持するハンドル102を、手前フレーム101aの上部と、奥側フレーム101cの上部とをまたぐ態様で備えている。
巻付ドラム110は、ホースを巻き付け、奥行き方向の回転受軸芯を中心とする回転自在に奥側フレーム101cに支持されたリール部120と、中間フレーム101bから支持され、該リール部120を巻取る巻取機構10を内蔵する巻取り機構内蔵ドラム130とで構成している。
巻取機構10について、巻取機構10の正面右上からの斜視図である図3と、ロック差動部20の各構成要素の分解説明図である図4と、巻取機構10の各構成要素の分解斜視図である図5とともに説明する。
なお、図4は巻取機構10におけるロック差動部20の各構成要素におけるスピンドル30側を正面とする正面図(A−A)、側面図または断面図(B−B)及び背面図(C−C)を併記した分解説明図であり、スピンドル30及びロックドラム50は右側面図を示している。また、図4において、プレートリング41、スプリングクラッチ42、4つのロックボール43及びEリング44については幅方向中央の断面図を示し、ボールロックプレート60はa−a切断面における断面図、ロックフランジ70はb−b切断面における断面図、遊星ギア80はc−c切断面における断面図、キャリアプレート90はd−d切断面における断面図を示している。
また、遊星ギア80の正面図では、プラネタリギア81のサイドカバー81aを省略して示している。
巻取機構10は、巻取り駆動源となる渦巻バネ11と、ロック差動部20と、渦巻バネ11とロック差動部20との間で回転力を伝達する伝達シャフト12(図5参照)とで構成している。
渦巻バネ11は、渦巻き状に巻き付けた板バネ11aの中心側端部に正面視逆D型の嵌合孔11bを備えるとともに、他端側を巻取り機構内蔵ドラム130の内側に拘束して固定している。これにより、嵌合孔11bを介した巻付方向R(図5参照)の巻き付けによって板バネ11aは付勢され、巻付方向Rの巻き付けが解放されると、巻戻し方向L(図5参照)の付勢力が嵌合孔11bを介して伝達シャフト12から出力される。
伝達シャフト12は、キャリアプレート90の嵌合孔91aに嵌合する嵌合ギア部12aと、軸部12bと、渦巻バネ11の嵌合孔11bに嵌合するD型嵌合部12cとで構成している。
ロック差動部20は、図4における側面図及び断面図であるB−Bに示すように、正面側から順に、スピンドル30、プレートリング41、スプリングクラッチ42、ロックドラム50、ロックボール43、ボールロックプレート60、ロックフランジ70、Eリング44、遊星ギア80及びキャリアプレート90の10要素で構成されている。
スピンドル30は、正面側から、ホース巻取装置100のリール部120に接続される正面視つづみ状の第1嵌合部31と、第1嵌合部31よりわずかに径が小さく、後述するプレートリング41及びスプリングクラッチ42の装着を許容するロックシリンダ部32、後述するロックフランジ70が嵌合し、固定溝33aにEリング44をはめ込んで固定する固定部33、後述する遊星ギア80のサンギア82の正面視逆D型の嵌合孔82aに嵌合される第2嵌合部34とを一体構成している。
プレートリング41は、ロックシリンダ部32の挿入を許容する内径と、後述するスプリングクラッチ42の外径よりわずかに大きな外径とで構成するリング状に形成している。
スプリングクラッチ42は、断面矩形状のバネ鋼を、奥行き方向(図4において左右方向)にバネ鋼が略接触するようにコイルスプリング状に形成し、背面側端部を背面側に向かって所定長さで折り曲げ、後述するロックフランジ70の挿入孔73に挿入する挿入部42aを有している。
なお、スプリングクラッチ42の内径を、プレートリング41の内径と同様に、ロックシリンダ部32の挿入を許容する径で形成しているため、ロックシリンダ部32に装着した際には、スプリングクラッチ42の内周面とロックシリンダ部32の外周面とは摺動可能に接触している。
また、スプリングクラッチ42の外径は、後述するロックドラム50のドラム本体51の内径よりわずかに小さく形成され、スプリングクラッチ42がドラム本体51の内部に配置された状態において、スプリングクラッチ42の外周面とドラム本体51の内周面との間にわずかなクリアランスが生じる。さらに、スプリングクラッチ42は、ロックシリンダ部32の奥行長さ(図4B−Bにおいて左右方向の長さ)よりわずかに短く形成している。
ロックドラム50は、後述するボールロックプレート60のリングウォール61の正面側端部に係止する鍔部51aと、外周面にロック操作溝53が形成され、内部にロックシリンダ部32及びスプリングクラッチ42の挿入配置を許容する円筒形のドラム本体51と、ドラム本体51の背面側端面の斜め方向4カ所に配置され、後述するロックフランジ70の固定孔部72aに挿入固定する挿入凸部52とを一体構成している。
なお、ドラム本体51の内径は、上述したように、スプリングクラッチ42の外径よりわずかに大きく形成され、ドラム本体51の外径は、リングウォール61の内径よりわずかに小さく形成している。なお、ドラム本体51は、ロックシリンダ部32と同程度の奥行長さで形成している。
ドラム本体51の表面に形成したロック操作溝53は、ロックボール43がスライドや転動可能に係止できる半円断面溝形状で形成している。また、ロック操作溝53は、円筒状のロックドラム50を平面展開した展開図である図6に示すように、中間パターン部54とロックパターン部55とを組み合わせたパターン53aの2パターン構成である。
ロックパターン部55は、ロック差動部20の正面側すなわち図6における上部が凸な略二等辺三角形状に形成し、図6における正面視左側斜辺に該当する進入路56、鉤状に形成された正面視右側斜辺に該当するロック操作路57、及び底辺に該当する通過路58とで構成している。
なお、右側斜辺に該当する鉤状のロック操作路57における上部外側屈曲部をスライドポジション57a、下部内側屈曲部をロックポジション57bとしている。
また、ロックパターン部55の正面視左側角部は、通過路58よりロックボール43の直径2つ分程度上部位置で中間パターン部54の右側端部と連通し、中間パターン部54と進入路56と通過路58とが三叉路状態で交差している。
ロックパターン部55の正面視右側角部は、通過路58の右側端部で、ロック操作路57の下端と、中間パターン部54の右端とが三叉路状態で交差している。
このように、左端が通過路58の右端及びロック操作路57の下端と連通し、右端が通過路58より上部位置で進入路56及び通過路58と連通する中間パターン部54は、ドラム本体51において、右上がり斜め方向に配設している。
ロックボール43は、ロックドラム50のロック操作溝53と、後述するリングウォール61の内周面に備えたスライド溝62とが対向する交差部分に係合する鋼球であり、スライド溝62のそれぞれに1つずつ、計4つ備えている。
なお、スライド溝62の本数及びロックボール43の個数は、ロック操作溝53におけるパターン53aのパターン数の倍数で設定し、本実施例では、パターン53aのパターン数の2倍に設定している。
ボールロックプレート60は、内部にドラム本体51の挿入配置を許容するロック空間61aを形成する円筒形のリングウォール61と、リングウォール61の背面側に配置された支持プレート63とを一体構成している。
リングウォール61は、ロック空間61aを形成する内周面における上下左右の4カ所に、ロックボール43の係合を許容する略半円断面の溝形状で形成され、奥行方向(図4B−Bにおいて左右方向)に配設されたスライド溝62を有している。
支持プレート63は、後述する遊星ギア80のロックリング83の内径より一回り小さな外径の円盤状であり、同心円上の4カ所に、後述するキャリアプレート90の挿入固定部92の挿入固定ピン92aの挿入固定を許容する貫通孔であるピン挿入孔63aと、背面側のピン挿入孔63aの間で同心円上の4方向に後述する遊星ギア80のプラネタリギア81の自転軸81bの回転可能な挿入を許容する自転軸挿入凹部63bを形成している。
ロックフランジ70は、固定部33の挿通を許容するとともに、ロックシリンダ部32の外周面と面一となる外径で形成されたリング状のリング凸部71と、該リング凸部71の背面側端部に配置されたリング状のフランジ部72とを一体構成している。
なお、フランジ部72は、上述したように、ロックドラム50の挿入凸部52の挿入固定を許容する固定孔部72aと、スプリングクラッチ42の挿入部42aの挿入を許容する挿入孔73を有している。
Eリング44は、バネ鋼によって、上部が円弧状で、倒位の略E型形状で形成され、固定部33の固定溝33aにはめ込んで、奥行方向(図4B−Bにおいて左右方向)を固定することができる。
遊星ギア80は、内周面に内面ギア83aを有するロックリング83と、ロックリング83の中心Pにあわせて配置した外周面に外面ギア82bを有するサンギア82と、ロックリング83の内側かつサンギア82の外側で、中心Pを中心とした同心円上の4方向に配置したプラネタリギア81とで構成している。
プラネタリギア81は外周面に外面ギア81cを備えるとともに、側面すなわちプラネタリギア81の正面及び背面には、外面ギア81cの外径よりわずかに大きな正面視円形のサイドカバー81aを備え、上述の自転軸挿入凹部63b及び後述のキャリアプレート90の自転軸挿入凹部93に挿入する自転軸81bをサイドカバー81aより突出する態様で備えている。
なお、各プラネタリギア81の外面ギア81cは、ロックリング83の内面ギア83aと、サンギア82の外面ギア82bの両方に噛合しているため、各プラネタリギア81は、自転軸81bを中心として自転するとともに、それぞれの間隔を保ちながら、中心Pを中心として公転する。
また、サンギア82の中心には上述したように、スピンドル30の第2嵌合部34の嵌合を許容する嵌合孔82aを備えている。
キャリアプレート90は、ボールロックプレート60の支持プレート63と同外径のプレート本体91と、プレート本体91の正面側で4方向に配置した挿入固定部92とを一体構成している。
プレート本体91は、伝達シャフト12の嵌合ギア部12aの嵌合を許容する嵌合孔91aを中心に配置するとともに、正面の挿入固定部92の間の4方向には、プラネタリギア81の自転軸81bの回転可能な挿入を許容する自転軸挿入凹部93を配置している。
挿入固定部92は、ロックリング83と同程度の奥行長さで形成され、中心側が狭い正面視台形断面柱状であり、外側端部がプレート本体91の外縁に一致するように配置している。これにより、挿入固定部92は、ロックリング83の内側且つサンギア82の外側で、さらに隣り合うプラネタリギア81の間の挿入空間84に挿入することができる。
このように、挿入空間84に挿入固定部92が挿入された状態で、挿入固定ピン92aを支持プレート63のピン挿入孔63aに挿入固定し、後述するようにボールロックプレート60とキャリアプレート90とを組付けることができる。
このような構成要素で構成されたロック差動部20は、図7乃至12に示すように、組付けることができる。
なお、図7は、プレートリング41及びスプリングクラッチ42がロックシリンダ部32に装着され、ロックドラム50及びロックボール43がロック空間61aに挿入配置された状態における、スピンドル30、ボールロックプレート60、遊星ギア80及びキャリアプレート90の分解斜視図を示している。
図8は、ボールロックプレート60とキャリアプレート90との組付状態を説明する斜視図である図8(a)と、ボールロックプレート60と遊星ギア80との組付状態を説明する斜視図である図8(b)と、スピンドル30と遊星ギア80との組付状態を説明する斜視図である図8(c)と、組付け完了したロック差動部20の斜視図である図8(d)とによってロック差動部20について説明する説明斜視図を示している。
図9は各構成要素の組付けが完了したロック差動部20の断面図を示し、図10及び図11はスピンドル30と、スプリングクラッチ42と、ロックフランジ70との組付けについて説明する説明図を示している。
詳しくは、図10(a),(b)はスピンドル30と、スプリングクラッチ42と、ロックフランジ70との組付けを説明する分解斜視図を示し、図10(c)はスピンドル30と、スプリングクラッチ42と、ロックフランジ70が組付けられた状態のロックシリンダ部32の部分での断面図を示している。
また、図11は組付けられた状態の縦断面図を示し、図12はロックに関する、ロックボール43とロック操作溝53との位置関係についてロックドラム50の展開図を用いて説明する説明図を示している。
まず、図7に示すように、ロック差動部20は、プレートリング41及びスプリングクラッチ42がロックシリンダ部32に装着されたスピンドル30と、ロックドラム50及びロックボール43をロック空間61aに挿入配置したボールロックプレート60と、遊星ギア80及びキャリアプレート90とを組付けて構成している。
詳述すると、ロックドラム50は、ドラム本体51のロック操作溝53と、リングウォール61のスライド溝62とが対向する交差部分にロックボール43が収容された状態で、回転可能にリングウォール61のロック空間61aに装着される。
このとき、ロックに関する状態についてロックドラム50の展開図を用いて説明する説明図である図12に示すように、各スライド溝62によって、ロック操作溝53における円周方向(図12においては左右方向)の位置が規制された各ロックボール43は、2組のパターン53aの中間パターン部54とロックパターン部55にそれぞれ1つずつ係合している。
そして、支持プレート63の背面側で、ロックドラム50の挿入凸部52とロックフランジ70の固定孔部72aとを挿入固定してロックドラム50とロックフランジ70とを組付け、ボールロックプレート60に対するロックドラム50の奥行き方向位置が固定される。
この状態で、ボールロックプレート60の前方から、ロックシリンダ部32にスプリングクラッチ42が装着されたスピンドル30を、第2嵌合部34がロックドラム50の背面側から露出するまで挿入し、Eリング44を固定部33の固定溝33aに嵌めつけて固定する。
このとき、図10(b)に示すように、ロックシリンダ部32に装着したスプリングクラッチ42の挿入部42aをロックフランジ70の挿入孔73に挿入しているため、挿入部42aを備えるスプリングクラッチ42の背面側端部は、挿入凸部52と固定孔部72aとが挿入固定されたことによってロックドラム50と回転が固定されたロックフランジ70とともに回転する。
したがって、ロックドラム50の回転に伴って、スプリングクラッチ42には、巻付け方向r1や巻解き方向r2(図10(c)参照)の回転が生じることとなり、巻付け方向r1や巻解き方向r2の回転によって、スプリングクラッチ42はロックシリンダ部32の外周面を締め付けたり、ゆるめたりする。
詳しくは、図10(a)に示すように、スピンドル30の回転とスプリングクラッチ42の回転とは独立して構成されているが、スプリングクラッチ42の背面側端部が、ロックフランジ70とともに回転するロックドラム50の巻付け方向r1の回転に伴って回転すると(図10(c)参照)、スプリングクラッチ42はロックシリンダ部32の外周面を締め付ける。
このとき、スプリングクラッチ42によるロックシリンダ部32の外周面の締め付けにより、スプリングクラッチ42の内周面とロックシリンダ部32の外周面との摩擦抵抗が増大し、ロックシリンダ部32を有するスピンドル30のスプリングクラッチ42に対する回転が固定される。
これに対し、スプリングクラッチ42の背面側端部が、ロックフランジ70とともに回転するロックドラム50の巻解き方向r2の回転に伴って回転すると(図10(c)参照)、スプリングクラッチ42はゆるんで径が大きくなり、スプリングクラッチ42の内周面とロックシリンダ部32の外周面との摩擦抵抗が低減する。したがって、ロックシリンダ部32を有するスピンドル30は、スプリングクラッチ42に対して摺動しながらの回転が許容される。
このようにして、ロックシリンダ部32にスプリングクラッチ42が装着されたスピンドル30を装着したロックドラム50及びロックボール43をロック空間61aに挿入配置したボールロックプレート60と、キャリアプレート90とを、奥行き方向の前後から遊星ギア80を挟み込む態様で、図8(a)に示すように、ボールロックプレート60のピン挿入孔63aにキャリアプレート90の挿入固定ピン92aを挿入して固定する。
このとき、図8(b)に示すように、遊星ギア80を奥行き方向の前後から挟み込む態様で固定されたボールロックプレート60とキャリアプレート90は、プラネタリギア81の自転軸81bが回転自在に自転軸挿入凹部63b及び自転軸挿入凹部93に挿入されているため、プラネタリギア81の中心P(図4)を回転中心とする公転と同回転となる。
また、スピンドル30の第2嵌合部34は、図8(c)に示すように、サンギア82の嵌合孔82aに嵌合し、スピンドル30とサンギア82とは同回転となる。
このようにして組付けられたロック差動部20のロックリング83を固定するとともに、キャリアプレート90の嵌合孔91aに伝達シャフト12を装着した場合のロック差動部20の差動機能について説明すると、サンギア82と同回転するスピンドル30の回転によって、ロックリング83を反力としてプラネタリギア81が自転するとともに公転するため、プラネタリギア81の公転と同回転するキャリアプレート90に装着された伝達シャフト12は減速して回転することとなる。
逆に、伝達シャフト12からの回転は、逆の回転伝達によって、増速回転としてスピンドル30に伝達されることとなる。
このように、ロック差動部20は、スピンドル30か伝達シャフト12のいずれか一方から入力された回転を、増速或いは減速して、同方向の回転としてスピンドル30か伝達シャフト12のうちの他方から出力することができる。
次に、ロック差動部20のロック機能について説明する。なお、本実施例においては、図10(c)に示す巻付け方向r1の回転をロックするよう設定している。また、ロック差動部20がホース巻取装置100に組付けられた状態において、リール部120(図1,2参照)に巻き付けられたホースを引き出す際の回転方向を巻解き方向r2に設定し、リール部120に引き出したホースを巻取る回転方向を巻付け方向r1に設定している。
まず、上記ロック差動部20の差動機能で説明したように、リール部120に接続されたスピンドル30と、プラネタリギア81の公転と同回転であり、伝達シャフト12を介して渦巻バネ11(図3参照)に接続されたキャリアプレート90とは差動回転している。すなわちキャリアプレート90に組付けられて同回転するボールロックプレート60とスピンドル30とは、回転状態において常に相対回転している。
さらに詳しくは、スピンドル30からの回転が減速されて伝達されるボールロックプレート60は、スピンドル30の回転に対して遅れて回転している。なお、スピンドル30を巻解き方向r2に回転させると、渦巻バネ11が巻付方向R(図5参照)に付勢されるよう設定している。
また、スライド溝62とロック操作溝53とが対向する交差部分に係止するロックボール43のうち2つが、図12(a)に示すようにスライドポジション57aに位置する場合、及び図12(b)に示すようにロックポジション57bに位置する場合、ロック空間61aに挿入配置したロックドラム50とボールロックプレート60との回転が固定され、相対回転せずに同回転となる。
逆に、図12(c)に示すように、ロックボール43が中間パターン部54と通過路58にあり、ロックボール43が矢印c方向に移動するロックドラム50とボールロックプレート60との相対回転は許容される構成である。なお、ロックボール43が矢印c方向と反対方向に移動する場合、ロック操作溝53の右端にあるロックボール43は矢印dで示すように、ロックパターン部55の進入路56に進入する構成である。
このような構成において、リール部120に巻き付けられたホースを引き出す操作によって、スピンドル30に巻解き方向r2の回転を入力すると、図12(a)に示すように、スピンドル30はスプリングクラッチ42の内周面を摺動しながら回転するため、スプリングクラッチ42の挿入部42aによりロックフランジ70を介して接続されたロックドラム50とともにロック操作溝53が矢印r2方向に移動しようとし、2つのロックボール43がスライドポジション57aに移動する。
このとき、ボールロックプレート60はスピンドル30の回転に遅れて回転するため、ロック操作溝53に対し、スライド溝62は矢印r1方向に相対移動することとなる。これにより、ロックボール43は、矢印r2方向に移動しようとするロック操作溝53と、相対的に矢印r1方向に移動しようとするスライド溝62とで挟まれて、スライドポジション57aに保持される。
上述したように、ロックボール43がスライドポジション57aに位置するとき、ロック空間61aに挿入配置したロックドラム50とボールロックプレート60との回転は固定されるが、スピンドル30が巻解き方向r2に回転するためスプリングクラッチ42はゆるみ、スピンドル30はスプリングクラッチ42の内周面を摺動しながら回転することができる。したがって、渦巻バネ11は巻付方向R(図5参照)に付勢される。
このようなホース引き出し状態から、ホースの引き出し操作を止めて、スピンドル30への巻解き方向r2の回転入力が停止すると、それまでのスピンドル30の巻解き方向r2の回転によって巻付方向Rに付勢された渦巻バネ11の付勢力によって、伝達シャフト12を介してキャリアプレート90及びボールロックプレート60が巻付け方向r1に回転し、スピンドル30もボールロックプレート60及びキャリアプレート90の回転より増速されて巻付け方向r1に回転する。
このときも同様に、スピンドル30はボールロックプレート60の回転より早く回転するため、矢印r1方向に移動するロック操作溝53に対し、スライド溝62は矢印r2方向に相対移動することとなる。
矢印r1方向に移動しようとするロック操作溝53と、相対的に矢印r2方向に移動しようとするスライド溝62とによって、ロックボール43は、スライドポジション57aから矢印a方向に移動し(図12(a)参照)、ロックポジション57bで保持される(図12(b)参照)。
なお、このスライド溝62の矢印r2方向に相対移動は、渦巻バネ11の付勢力が作用しているため、ロック操作溝53とスライド溝62とによって挟まれたロックボール43を確実にロックポジション57bに保持することができる。
そして、上述したように、ロックボール43がロックポジション57bに位置するとき、ロック空間61aに挿入配置したロックドラム50とボールロックプレート60との回転は固定される。
また、ロックドラム50に対して相対的に巻付け方向r1へ回転するスピンドル30は、スプリングクラッチ42の締め付けにより、スプリングクラッチ42の内周面とロックシリンダ部32の外周面との摩擦抵抗が増大し、ロックシリンダ部32を有するスピンドル30のスプリングクラッチ42に対する回転が固定される。
したがって、挿入部42a及びロックフランジ70を介して、スピンドル30とロックドラム50との回転は固定され、ロックドラム50に対して回転が固定されたボールロックプレート60と、スピンドル30は回転が固定される。
このようにして、ロック差動部20の差動機能によって相対回転するスピンドル30とボールロックプレート60とが、上述したように回転が固定されるため、ロック差動部20の差動機能が機能しなくなり、回転が固定されたロックリング83から直接拘束することなく、スピンドル30及びボールロックプレート60は共に回転不可能な状態となり、ロック差動部20はロック状態となる。
また、このロック状態は、上述したように、スピンドル30やボールロックプレート60をそれぞれ回転固定された部材から拘束する場合と比較して、スピンドル30やボールロックプレート60との相対回転をなくす、すなわち差動しなくするだけである。したがって、例えば、ボールロックプレート60やロックドラム50等に係る、ロック差動部20のロック状態を保持するためのロック負荷である固定トルクを低減することができる。
また、図11に示すように、ロックシリンダ部32の外径と、ロックフランジ70のリング凸部71の外径とが面一となるように形成し、ロックシリンダ部32の外周面と、リング凸部71の外周面とが連続してスプリングクラッチ42の内周面に接するよう構成している。
このため、スプリングクラッチ42はロックフランジ70の一部であるリング凸部71の外周面を締め付けて、摩擦抵抗を増大させ、ロックフランジ70とスプリングクラッチ42の回転固定をより確実にしている。したがって、スピンドル30のスプリングクラッチ42内周面との摩擦力増大によるロックフランジ70を介したロックドラム50に対する回転固定をより堅固にすることができる。
また、ロックフランジ70とスプリングクラッチ42の回転固定をより確実にしているため、スプリングクラッチ42の締め付けによるロックシリンダ部32を回転固定するための反力が、挿入孔73に挿入している挿入部42aに直接係らず、リング凸部71を締め付け固定した部分に係ることとなる。したがって、スプリングクラッチ42の背面側端部を背面側に向かって所定長さで折り曲げて形成した挿入部42aに過大な負荷がかかって損傷することを防止できる。
次に、渦巻バネ11の付勢力によって引き出したホースを巻取る際の巻取り状態について説明する。図12(b)に示すロック状態において、渦巻バネ11による巻取りのためのトリガーとして、ホースを少し引き出す方向に引っ張ることにより、リール部120を介してスピンドル30はわずかに巻解き方向r2へ回転する。
このトリガーとなる巻解き方向r2へのスピンドル30の回転により、ロック操作溝53は矢印r2方向へ移動し、このロック操作溝53の矢印r2方向への移動に伴い、図12(b)に示すロックポジション57bに保持されていたロックボール43は矢印b方向に移動して、ロックドラム50とボールロックプレート60とのロック状態は解放され、相対回転可能な状態となる。
ここで、それまでの巻付方向Rの巻き付けによって付勢されていた渦巻バネ11の巻き付けが解放されたことによる巻戻し方向L(図1参照)の付勢力によって、伝達シャフト12を介してキャリアプレート90及びボールロックプレート60は巻付け方向r1へ回転する。
また、ロック差動部20の差動機能によって、増速されて回転するスピンドル30は、渦巻バネ11の付勢力によって回転するボールロックプレート60に対して巻付け方向r1へ相対回転する。
このボールロックプレート60に対する巻付け方向r1へのスピンドル30の相対回転により、図10(c)に示すように、スプリングクラッチ42が巻き付けられ、スプリングクラッチ42の内周面とロックシリンダ部32の外周面との摩擦抵抗が増大する。
これにより、ロックシリンダ部32を有するスピンドル30のスプリングクラッチ42に対する回転が固定され、挿入部42a及びロックフランジ70を介して、ロックドラム50はスピンドル30とともに巻付け方向r1に回転する。
このとき、ロック操作溝53はボールロックプレート60に対して矢印r1方向へ移動するが、図12(c)に示すように、ロックボール43は、連通する通過路58と中間パターン部54とを矢印c方向へ移動するため、ロックドラム50とボールロックプレート60との回転は固定されず、相対回転可能な状態となる。
したがって、渦巻バネ11の付勢力が伝達シャフト12を介して入力されたキャリアプレート90及びボールロックプレート60の回転は、増速されてスピンドル30に伝達され、リール部120を巻取り方向に回転させ、リール部120にホースを巻取ることができる。
なお、図12(b)に示すロック状態から、巻取りのトリガーとしてホースを少し引き出す方向に引っ張るのでなく、ホースをさらに引き出す場合、ロック操作溝53の矢印r2方向の移動により、ロックポジション57bに保持されていたロックボール43は矢印b方向に移動して中間パターン部54に進入するとともに、もともと中間パターン部54に位置していたロックボール43は中間パターン部54から進入路56に進入してスライドポジション57aまで移動し、上述したように、スライドポジション57aで保持されて、スピンドル30はスプリングクラッチ42の内周面を摺動しながら回転できる状態となる。
このような構成の巻取機構10及び巻取機構10を有するホース巻取装置100の作用及び効果について説明する。
このように本実施態様のロック差動部20は、軸芯を回転中心とする回転力を入力するスピンドル30と、前記軸芯を中心Pとし、回転が固定されたロックリング83と、前記回転力を、前記軸芯を回転中心として出力するボールロックプレート60及びキャリアプレート90と、前記ロックリング83を反力とし、前記スピンドル30からの前記回転力を前記ボールロックプレート60及びキャリアプレート90に伝達するとともに、前記スピンドル30の回転と前記ボールロックプレート60及びキャリアプレート90の回転とを差動させるプラネタリギア81と、該プラネタリギア81によって差動する前記スピンドル30と前記ボールロックプレート60及びキャリアプレート90との相対回転を固定するスプリングクラッチ42、ロックボール43、ロック操作溝53及びスライド溝62とを備えている。
上記構成によれば、差動するスピンドル30とボールロックプレート60及びキャリアプレート90の回転とを個別に固定せずとも、前記スピンドル30に対する前記ボールロックプレート60及びキャリアプレート90の相対回転を固定することで確実に、ロック差動部20をロックすることができる。
したがって、例えば、スピンドル30とボールロックプレート60及びキャリアプレート90とをそれぞれ固定するロック機構と比較して、簡単な機構で確実にロックできるため、不具合が生じにくく、また、機構が簡単であるため設置スペースを低減することができる。
前記スピンドル30を、前記軸芯方向に所定長さを有する回転軸で構成し、前記ロックリング83を、スピンドル30の外周部に配置し、前記ボールロックプレート60及びキャリアプレート90に、前記スピンドル30と同軸芯上に配置した伝達シャフト12を接続し、前記プラネタリギア81を、前記スピンドル30と前記ロックリング83との間で、中心Pを回転中心として公転するよう構成した。
また、前記スピンドル30に対する前記ボールロックプレート60及びキャリアプレート90の相対回転を固定するスプリングクラッチ42、ロックボール43、ロック操作溝53及びスライド溝62のうち、スライド溝62を、前記スピンドル30の外周側に配置し、プラネタリギア81の公転に伴って回転するボールロックプレート60のリングウォール61に形成した。
また、スプリングクラッチ42、ロックボール43及びロック操作溝53でリングウォール61のスライド溝62に対するスピンドル30の相対回転を規制する構成とした。
これにより、前記軸芯を中心として公転するプラネタリギア81とともに回転するボールロックプレート60及びキャリアプレート90と、スピンドル30との相対回転が固定されるため、プラネタリギア81の公転と前記スピンドル30との間で差動が生じず、ロックすることができる。
また、上記ロックは、前記プラネタリギア81の公転に伴って回転するボールロックプレート60のリングウォール61に形成したスライド溝62を介して、プラネタリギア81の公転に対するスピンドル30の相対回転を固定することができるため、回転が固定された部材から拘束してロックする機構と比較して、ロックすることによるボールロックプレート60やロックドラム50に係る負荷を低減することができる。
すなわち、回転を固定してロックする一般的な構造の場合、回転をロックする部材を回転固定された部材に固定、すなわち拘束してロックするが、本発明のロック差動部20の場合、回転固定されたロックリング83から拘束するのではなく、ロックリング83を反力として、ともに差動回転するスピンドル30とボールロックプレート60との差動を拘束する、つまりスピンドル30とボールロックプレート60との相対回転をなくして、ロックすることができる。
換言すると、回転要素が3要素で構成される差動装置において、回転が固定された回転固定要素以外の2要素の差動を拘束することでロック状態を構成している。したがって、各回転要素をそれぞれ、回転固定された部材から拘束して、残る2要素をロック状態とするロック機能付差動装置と比較して、構造が簡略できるとともに、確実にロック状態を構成することができる。
また、構造が簡略化できるため、ロック機能付差動装置の信頼性が向上するとともに、コンパクトに構成することができる。
さらにまた、このロック状態は、上述したように、スピンドル30やボールロックプレート60をそれぞれ回転固定された部材から拘束する場合と比較して、スピンドル30やボールロックプレート60との相対回転をなくす、すなわち差動しなくするだけである。したがって、例えば、ボールロックプレート60やロックドラム50等に係る、ロック差動部20のロック状態を保持するためのロック負荷である固定トルクを低減することができる。したがって、ロックに必要な部品強度を低減することができる。
また、スプリングクラッチ42、ロックボール43及びロック操作溝53を、リングウォール61に形成したスライド溝62に対する前記スピンドル30の相対回転のうち巻付け方向r1への相対回転を固定する構成としたことで、巻解き方向r2への回転は許容するが、反対方向である巻付け方向r1への回転ができないロック機能を備えたロック差動部20を構成することができる。
また、リングウォール61に形成したスライド溝62に対する前記スピンドル30の相対回転のうち巻付け方向r1への相対回転を固定する構成としたスプリングクラッチ42、ロックボール43及びロック操作溝53のうち、ロック操作溝53を、スピンドル30とともに回転可能なロックドラム50のドラム本体51の外周面に形成し、スライド溝62をボールロックプレート60の内周面に形成し、ロック操作溝53に、相対回転が固定された巻付け方向r1へのロックボール43の移動を規制するロックポジション57bを備え、渦巻バネ11の付勢力によってロックボール43をロックポジション57bに付勢する構成とした。
これにより、相対回転可能状態において、ロックボール43を、ロック操作溝53の中間パターン部54及び通過路58に係止させ、相対回転が固定されたロック状態には、ロックボール43をロックポジション57bに保持することで、ロックボール43のロック操作溝53での移動を規制して、確実にロックすることができる。
また、渦巻バネ11の付勢力によってロックボール43をロックポジション57bに付勢する構成としたため、ロックボール43をロックポジション57bに付勢するための別の付勢手段を備える場合と比較して、部品点数を少なくでき、簡単な構成で構成することができるため、機械信頼性を向上することができる。
また、上述のロック差動部20と、渦巻バネ11とを巻取機構10に介装したホース巻取装置100を構成したことにより、ホースを引き出す際の回転力を減速して渦巻バネ11を付勢し、引き出したホースが勝手に巻取られないようにその位置でロックし、わずかなホースの引き出しを巻取りのトリガーとしてロック差動部20によるロック状態を解除し、自動的にホースを巻取る操作を極めて容易に行うことができる。
なお、上記実施形態において、ロック差動部20の増速側であるスピンドル30をリール部120に接続し、減速側のボールロックプレート60及びキャリアプレート90を渦巻バネ11に接続しているが、例えば、ホースの巻取り負荷が大きく、回転が遅くともしっかりと巻取らせる場合には、ロック差動部20の増速側であるスピンドル30を渦巻バネ11に接続し、減速側のボールロックプレート60及びキャリアプレート90をリール部120に接続してもよい。
また、入力回転と出力回転とが逆方向回転となるが、ロックリング83ではなく、プラネタリギア81の公転やサンギア82の回転を固定し、回転が固定されていないプラネタリギア81やサンギア82と、ロックリング83とで差動させる構成であってもよい。
また、上述の実施例においては、リングウォール61の内周面に4本のスライド溝62を形成し、各スライド溝62に一つずつのロックボール43を配置し、ロック操作溝53をパターン53aの2パターン構成で構成したが、例えば、ロック操作溝53を3パターン構成のパターン53aで構成し、パターン53aのパターン数の倍数である6本や12本のスライド溝62を構成しても良い。また、各スライド溝62に2つ以上のロックボール43を配置してもよい。
このように、パターン53aのパターン数を増加することによって、例えばロックポジション57bに保持されるロックボール43も増加するため、ボールロックプレート60に対するロックドラム50の回転固定強度を向上することができる。
また、スライド溝62及びロックボール43の数を増加する、すなわち、ロック操作溝53のパターン数に対する倍数を増やすことにより、スライド溝62同士の間隔及びロックボール43同士の間隔が狭くなるため、ロックボール43がロックパターン部55へ移動する移動距離が短くなり、ロック精度を向上することができる。
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、
本発明の回転入力体及び回転軸は、スピンドル30に対応し、
以下同様に、
回転固定体は、ロックリング83に対応し、
回転出力体は、ボールロックプレート60及びキャリアプレート90に対応し、
差動手段及び差動回転体は、プラネタリギア81に対応し、
相対回転固定手段及び一方向回転固定手段は、スプリングクラッチ42、ロックボール43、ロック操作溝53及びスライド溝62に対応し、
ロック機能付差動装置は、ロック差動部20に対応し、
相対回転規制体は、リングウォール61の内周面に形成したスライド溝62に対応し、
規制手段は、スプリングクラッチ42、ロックボール43及びロック操作溝53に対応し、
ロック係止部は、ロックボール43に対応し、
ロック溝部は、ロックポジション57bに対応し、
係止溝は、ロック操作溝53に対応し、
付勢手段及び巻取り駆動手段は、渦巻バネ11に対応し、
巻取り機構は、巻取機構10に対応し、
長尺物巻取装置は、ホース巻取装置100に対応するも、
係合凸部は係止ピン38gに対応するも、
この発明は、前述の実施態様の構成のみに限定されるものではない。
巻取機構を採用したホース巻取装置の正面右上からの斜視図。 ホース巻取装置の左側面図を示す。 巻取機構の正面右上からの斜視図。 ロック差動部の各構成要素の分解説明図。 巻取機構の各構成要素の分解斜視図。 ロックドラムを平面展開した展開図。 スピンドル、ボールロックプレート、遊星ギア及びキャリアプレートの分解斜視図。 ロック差動部についての説明斜視図。 各構成要素の組付けが完了したロック差動部の断面図。 スピンドルと、スプリングクラッチと、ロックフランジとの組付けについて説明する説明図。 組付けられた状態のロック差動部の縦断面図。 ロックに関する、ロックボールとロック操作溝との位置関係について説明する説明図。
10…巻取機構
11…渦巻バネ
20…ロック差動部
30…スピンドル
42…スプリングクラッチ
43…ロックボール
53…ロック操作溝
57b…ロックポジション
60…ボールロックプレート
61…リングウォール
62…スライド溝
81…プラネタリギア
83…ロックリング
90…キャリアプレート
100…ホース巻取装置

Claims (2)

  1. 軸芯を回転中心とする回転力を入力するとともに、前記軸芯方向に所定長さを有する回転軸と、
    前記回転軸の外周部に配置するとともに、前記軸芯を中心とし、回転が固定された回転固定体と、
    前記回転軸と同軸芯上に配置するとともに、前記回転力を、前記軸芯を回転中心として出力する回転出力体と、
    前記回転固定体を反力とし、前記回転軸からの前記回転力を前記回転出力体に伝達するとともに、前記回転軸の回転と前記回転出力体の回転とを差動させる差動手段と、
    該差動手段によって差動する前記回転軸と前記回転出力体との相対回転を固定する相対回転固定手段と、
    前記回転軸に外嵌するとともに、外周面に係止溝を備えたロックドラムと、
    前記回転軸に対して締付け方向に前記ロックドラムを回転固定するスプリングクラッチとを備え、
    前記差動手段を、前記回転軸と前記回転固定体との間で、前記軸芯を中心として公転する差動回転体で構成し、
    前記相対回転固定手段を、
    前記ロックドラムの外周部に配置され、前記差動回転体の公転に伴って回転する相対回転規制体と、
    該相対回転規制体に対する前記回転軸の一方向の相対回転を固定する一方向回転固定手段とで構成し、
    前記相対回転規制体におけるロックドラムとの対向面に軸心方向のスライド溝を形成するとともに、
    前記係止溝を、相対回転が固定された回転方向への前記ロック係止部の移動を規制する、展開形状が略二等辺三角形状のロック溝部と、周方向において前記ロック溝同士とを連通させる中間溝部とで構成し、
    前記一方向回転固定手段を、
    前記スプリングクラッチと、前記係止溝と、前記スライド溝と、前記係止溝及び前記スライド溝に転動可能に係止するロックボールと、前記ロックボールを前記ロック溝部に付勢する付勢手段とで構成した
    ロック機能付差動装置。
  2. 請求項1に記載のロック機能付差動装置と、巻取り駆動手段とを巻取り機構に介装した長尺物巻取装置。
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