JP5252730B2 - 放電灯用合成シリカガラス製バルブ及びその製造方法 - Google Patents

放電灯用合成シリカガラス製バルブ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐失透性に優れ、高温粘度が高く、且つ、250nm以下の光線の内部透過率が低い放電灯用合成シリカガラス製バルブ及びその製造方法に関する。
シリカガラスは、赤外線から真空紫外線までの広い波長範囲において透明であるばかりでなく、耐熱性、耐薬品性にも優れ、各種照明ランプ等の発光管として広く使用されている。中でも、耐熱性、耐薬品性の良さから発光管内に希土類金属元素のハロゲン化物を封入し、それを発光時のバルブ温度が900〜1100℃で、内圧が5〜30kgf/cmの高温、高圧で発光させるメタルハライドランプの発光管として好適に使用されている。しかし、シリカガラス発光管は、点灯を続けるうちにその内表面に徐々に黒色失透や白色失透が生じ、光の強度低下を招き、また、演色性も悪化する。特に、高温、高圧でハロゲン化物を発光させるメタルハライドランプにあっては前記黒色失透や白色失透に加えて作動電圧の上昇および再点弧スパイク電圧の発生が起こりランプの寿命を短いものにしていた。黒色失透は、シリカガラス中に存在する水分子またはOH基の分解により発生する酸素と電極部分の金属との酸化反応に基づくものであり、また、白色失透は、シリカガラス中に含まれているアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素等の金属不純物によるシリカガラスの再結晶化の促進にあると推定されている。さらに、再点弧スパイク電圧の発生および作動電圧の上昇はシリカガラス中に溶存する水素分子や前記水分子又はOH基の加熱分解により発生する水素分子に起因する。
上記に加えて、シリカガラスは、高い光透過性のため光源から発生した紫外線が直接人体に悪影響を及ぼすばかりでなく、紫外線により空気中の酸素から人体に有害なオゾンが発生し、また、ランプの発光管を支える樹脂にダメージを与え劣化させるなどの問題があった。
解決策のひとつとして合成シリカガラスの選択があるが、合成シリカガラスは上記黒色失透に比較的良好であるが白色失透し易いことから、合成シリカガラスが含有するOH基濃度や金属不純物濃度を特定の範囲に限定するとともに、アルミニウムを特定の範囲で含有させ耐白色失透性を向上した合成シリカガラスが特許文献1で提案されている。しかし、この合成シリカガラスにあっては紫外線の透過率がよく上記紫外線の問題を解決するものではなかった。
そこで、合成シリカガラスに特定の遷移金属元素を含有させた合成シリカガラスが特許文献2で提案されている。この特許文献2で示されている合成シリカガラスは紫外線の透過率が抑えられ紫外線問題は解決しているが、遷移元素をドープするという余分な工程を必要とする上に、遷移金属元素による光の吸収、散乱があり良好な発光効率が達成できない問題があった。
こうした従来の合成シリカガラスの問題点を解決し、耐失透性に優れ、かつ紫外線吸収性がよいが可視光の透過性に優れた合成シリカガラスが特許文献3で提案されている。この合成シリカガラスにあっては、OH基濃度が20ppm以下、水素分子の含有量が1×1017個/cm以下、Cl含有量が10ppm以下及び金属不純物含有量の総和が1ppm以下の合成シリカガラスである。
上記特許文献3の合成シリカガラスは、いくつもの改良を進めた合成シリカガラスであるが、高温粘性と紫外線の吸収率、及び、合成シリカガラスの欠点である耐白色失透性においてまだ十分なものではなかった。例えば、高温、高圧での発光時にランプ、特にメタルハライドランプが変形しランプ寿命を十分に長く保持できない欠点があった。
特開平6−305767号公報 特開平7−69671号公報 特開2005−170706号公報
本発明は、耐失透性及び耐熱性に優れ、ランプ寿命を長く保持でき、紫外線問題を解消した放電灯用合成シリカガラス製バルブ、該バルブの製造方法及び該バルブを用いた放電灯装置を提供することを目的とする。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、合成シリカガラス管を用いて得られる放電灯用合成シリカガラス製バルブであって、前記バルブ中のOH基含有量が2ppm以上50ppm以下、前記バルブ中のアルカリ金属の合計含有量が0.02ppm以上10ppm以下であり、前記バルブの内表面から0.1mmまでのOH基含有量が1ppm以下、前記バルブの内表面から0.1mmまでのアルカリ金属の合計含有量が0.01ppm以下であり、前記バルブの250nmでの酸素欠損型欠陥量が吸収係数で0.1〜2/cmであり、前記バルブの1100℃での粘度が1014〜1016ポアズであり、前記バルブの波長150nm以上250nm以下の光線の内部透過率が50%/cm以下であることを特徴とする。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、前記バルブの水素分子濃度が1×10分子/cm〜1×1016分子/cmであることが好ましい。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブの製造方法は、多孔質合成シリカガラス体を還元性を有する雰囲気中で加熱する還元処理工程と、該還元処理工程後、水素を含む雰囲気中で加熱処理した後、焼成し緻密なシリカガラス体とする工程と、該緻密なシリカガラス体を真空中又は不活性ガス中、1500〜2200℃で加熱成型し、合成シリカガラス管を作製する工程と、該合成シリカガラス管を用いて、合成シリカガラス製バルブを作製する工程とを含むことを特徴とする。該方法により本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブを製造することができる。
前記還元性を有する雰囲気が揮発性有機珪素化合物を含む還元性雰囲気であることが好ましい。
前記合成シリカガラス管の外表面を火炎溶融処理することが好適である。
本発明の放電灯装置は、本発明の合成シリカガラス製バルブを用いることを特徴とする。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、形状変形、白色失透や黒色失透の発生が低減でき、また、作動電圧の上昇および再点弧スパイク電圧の発生もなく、且つ耐熱性が高いことから、ランプ寿命を長く保持できる上に、波長250nm以下の光線の内部透過率が50%/cm以下と低く、紫外線によるランプ部品の劣化や人体への悪影響等の紫外線による弊害を低減することができるという甚大な効果を奏する。本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、特に、メタルハライドランプ用発光管や高圧水銀ランプ用発光管として有用である。本発明方法によれば、本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブを容易に製造することができる。
実施例1〜3及び比較例1〜3の内部透過率の結果を示す曲線である。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、合成シリカガラス管を用いて得られる放電灯用合成シリカガラス製バルブであって、バルブ中のOH基含有量が2ppm以上50ppm以下、バルブ中のアルカリ金属の合計含有量が0.02ppm以上10ppm以下であり、バルブの内表面から0.1mmまでのOH基含有量が1ppm以下、バルブの内表面から0.1mmまでのアルカリ金属の合計含有量が0.01ppm以下であり、バルブの250nmでの酸素欠損型欠陥量が吸収係数で0.1〜2/cmであり、バルブの1100℃での粘度が1014〜1016ポアズであり、バルブの波長150nm以上250nm以下の光線の内部透過率が50%/cm以下であることを特徴とする。
本発明者らは、バルブの内表面から0.1mmの深さまでの、合成シリカガラス中のOH基含有量、及びアルカリ金属(Li、Na及びK)の合計含有量が耐失透性及び耐熱性に影響しており、バルブの内表面から少なくとも0.1mmの深さまでのOH基含有量を1ppm以下とし、バルブの内表面から少なくとも0.1mmの深さまでのアルカリ金属(Li、Na及びK)の合計含有量を0.01ppm以下とすることにより、耐熱性に優れ、且つ白色失透や黒色失透の発生が低減でき、耐失透性に優れた放電灯用合成シリカガラス製バルブが得られることを見出した。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブにおいて、バルブの内表面から0.1mmの深さまでの、合成シリカガラス中のOH基含有量は1ppm以下であり、0.2ppm以下がより好ましい。高温にさらされる条件で使用した場合、シリカガラス中に含まれる水分子またはOH基は熱的に不安定であり、加熱分解して水素と酸素を放出し、それらが電極部分の金属や封入金属ガスと反応し、黒色失透を起こしたり、再点弧スパイク電圧の発生および作動電圧を上昇させ、さらに、シリカガラス骨格構造中のOH基は、シリカガラス骨格構造を分断し耐熱性を低下させる。バルブの内表面から0.1mmの深さまでの、合成シリカガラス中のOH基含有量を1ppmmとすることにより、黒色失透の発生を低減でき、耐熱性を向上させ、且つ高温で使用するランプの変形を抑えることができる。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブにおいて、バルブの内表面から0.1mmの深さまでの、合成シリカガラス中のLi、Na及びKのアルカリ金属の合計含有量は0.01ppm以下であり、0.005ppm以下がより好ましい。アルカリ金属を含むとシリカガラスのクリストバライトへの相転移が容易となり誘起白色失透が発生し、該失透に基づく可視光線の透過率の低下が起こる。バルブの内表面から0.1mmの深さまでの、合成シリカガラス中のアルカリ金属の合計含有量を0.01ppm以下とすることにより、白色失透の発生を低減することができる。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブにおいて、バルブの外表面にOH基とアルカリ金属が共存する外表面層を形成することが好ましい。外表面層にOH基とアルカリ金属を共存させることにより、後工程で外表面に付着する微小失透核を起因とする外表面の失透成長を抑制することができる。該外表面層はバルブの外表面から少なくとも0.1mmの深さに形成することが好適である。該外表面層中のOH基含有量は2ppm以上が好ましく、5ppm以上400ppm以下がより好ましい。該外表面層中のアルカリ金属の合計含有量は2ppm以上が好ましく、5ppm以上50ppm以下がより好ましい。また、該外表面層中のCaとAlを共存させることにより上記と同様な効果を得ることができ、その合計含有量は1ppm以上が好ましく、3ppm以上20ppm以下がより好ましい。
上記のように、バルブの内表面から0.1mmの深さまでのOH基とアルカリ金属とバルブの外表面のOH基とアルカリ金属を規定することによって、本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、バルブ中のOH基含有量が2ppm以上50ppm以下であり、5ppm以上20ppm以下により好ましく規定される。また、バルブ中のアルカリ金属の合計含有量は0.02ppm以上10ppm以下であり、0.1ppm以上5ppm以下により好しく規定される。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、1100℃での粘度が1014〜1016ポアズであり、1014.5〜1015.8ポアズがより好ましい。合成シリカガラスの粘度を1100℃で1014以上とすることにより、バルブの変形を抑え、ランプの寿命を長く保持することができる。また、1100℃での粘度が1016を越える高粘度を有する合成シリカガラスはその製造が困難であるが、合成シリカガラスの粘度を1100℃で1016以下とすることにより、容易に製造することができる。
本発明で規定する酸素欠損型欠陥は、シリカガラスの構造欠陥の1つである酸素原子の欠損に基づく欠陥で、Si−Si結合と推定されるものであり、波長250nmの吸収による吸収係数によって、0.1〜2/cmの範囲に示される。この酸素欠損型欠陥が存在するとクリストバライトの生成、即ちシリカガラスのクリストバライトへの相転移が抑制される上に、シリカガラスから放出される酸素原子量が減少し黒色失透が低減でき、さらに、高温変形性も抑制できる。また、その吸収性により波長250nm以下の光線の透過率が低下する。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブにおいて、前記酸素欠損型欠陥量は波長250nmの吸収係数で0.1〜2/cmの範囲であり、0.2〜1.9/cmの範囲がより好ましい。吸収係数が0.1/cm未満では該酸素欠損型欠陥による、クリストバライトの生成の抑制効果や粘性向上と波長250nm以下の光線の透過率の低減効果がなく、また、2/cmを越えると可視光線の透過率が抑えられランプの発光効率が低下する。また、吸収係数が0.1/cm未満では、合成シリカガラスの粘度が1100℃で1014未満となり、変形量が大きく、メタルハライドランプのような高温で使用するランプの寿命を短いものにする。
酸素欠損型欠陥の吸収係数は、酸素欠損型欠陥が約250nm(5.0eV)の吸収帯としてあらわれるので(H.Imai et at.(1988) Two types of oxygen-deficient centers in synthetic silica glass.physical Review B. Vol.38,No.17,pp12772~12775)、この250nmの吸収係数を測定し下記式1に当て嵌めることにより算出できる。
T=10−kd ・・・(1)
(上記式(1)において、Tは波長250nmにおける内部透過率(%)、kは吸収係数、dは測定試料の厚さ(cm)である。)
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、波長150nm以上250nm以下の光線の内部透過率を50%/cm以下とすることにより、紫外線による弊害を抑えることができ、さらにランプの劣化を抑えることができる。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、水素分子濃度が、1×10分子/cm以上1×1016分子/cm以下とすることが好ましく、1×10分子/cm以上1×1010分子/cm以下とすることがより好ましい。これによりランプ作動電圧の上昇や再点弧スパイク電圧の発生が一段と抑制できる。水素分子濃度の測定は、V,S.Khotimchenko,et al.(1987)Determining the Content of Hydrogen Dissolved in Quartz Glass Using the Method of Raman Scattering and Mass Spectrometry,J.Appl.Spectrosc., Vol.46,No.6,pp632~635に記載の方法に従う。
次に、本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブの製造方法をスート法を例にして説明するが、本発明の製造方法はこのスート法に限定されるものではなく、シリカゲル法等合成シリカガラスの製造方法も採用できる。
まず、多孔質合成シリカガラス体を準備する。多孔質合成シリカガラス体の形成方法に制限はないが、多重管構造の石英ガラス製バーナーの中心からSiClなどの原料ガスを供給し、その外側の管から水素やメタン及び酸素を供給し、前記原料を火炎加水分解してシリカ粒子を得、それをターゲット上に堆積させて多孔質合成シリカガラス体(スート体)を形成することが好ましい。
該多孔質合成シリカガラス体を、還元性を有する雰囲気中、好ましくは揮発性有機珪素化合物を含む還元性雰囲気中で加熱する還元処理を施した処理の後、水素を含む雰囲気中、300〜1900℃、好ましくは500〜1500℃の温度で加熱処理し、次いで1100〜1900℃、好ましくは1200〜1800℃の温度で焼成して緻密化シリカガラス体を作り、それを真空中又は不活性ガス中、1500〜2200℃、好ましくは1800〜2100℃で加熱成型し合成シリカガラス管を製造する。
前記多孔質合成石英ガラス体は、水酸基を多く含んでいるものが好ましく、OH基含有量は100ppm以上1000ppm以下がより好ましい。水酸基を含むことで還元処理における反応が容易となる。前記還元処理としては、還元性を有する雰囲気中で、100〜1300℃、好ましくは400〜1000℃に加熱することが行われる。還元性を有する雰囲気に含まれる気体としては、アンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、エタノール(COH)、一酸化炭素(CO)、塩素(Cl)、四塩化ケイ素(SiCl)が挙げられ、好ましい揮発性有機珪素化合物を含む還元性雰囲気中に含まれる気体としては、ヘキサメチルジシラザン([(CHSi]NH)、トリクロロメチルシラン((CHCl)SiH)、ヘキサメチルジシロキサン[(CHSi]O等が挙げられる。
上記製造方法において、水素を含む雰囲気中での焼成処理、それに続く透明シリカガラス体の真空中又は不活性ガス中の加熱成型で、シリカガラス体中のOH基や、余分な含有ガス分子、例えば、水素、酸素、残留した還元性を有する気体などは除去され、黒色失透や白色失透が低減する。さらに、Si−Si結合である酸素欠乏型構造欠陥が残留し、耐熱変形性が増大して1100℃における粘度が1014以上となり、さらに、波長250nm以下の光線の内部透過率が50%/cm以下となる。
得られた合成シリカガラス管を用いて、合成シリカガラス製バルブが作製される。合成シリカガラス管を合成シリカガラス製バルブに加工する方法に制限はなく、公知の加工方法を用いることができるが、合成シリカガラス管の外表面を火炎溶融処理することによって所望の形状に変形加工させることが好ましい。例えば、合成シリカガラス管を回転させながら、ガスバーナーの火炎熱により部分的に加熱し軟化させた後、金型を軟化部に近接させ、同時に合成シリカガラス管内部にブローガスを導入しブロー成型する方法が挙げられる。成型時のブローガスとしては、例えば、He、Ar、窒素等が挙げられる。
また、前記加工工程と同時に、外表面に後工程で付着・拡散したアルカリ金属を溶融分散させ、バルブの外表面に、バルブの内表面よりもOH基含有量及びアルカリ金属の合計含有量が高い外表面層を形成させることが好ましい。このOH基と金属不純物の共存層は、後工程で外表面に付着する微小失透核を起因とする外表面の失透成長を抑制できる。この外表面層の形成によって、内表面から外表面までの平均OH基濃度は2ppm以上となり、アルカリ金属の合計含有量が0.02ppm以上となる。
本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブは、上述のように耐熱変形性が高く、しかも白色失透、黒色失透が少なくランプ寿命を長く保持でき、しかも紫外線などの低波長の光線に対する遮蔽性がよいことから照明用ランプの発光管、特に高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の高圧放電ランプ用の発光管として有用に使用できる。また、それらを具備した全てのランプ装置に有用である。
本発明の放電灯装置は、本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブを用いるものであり、具体的には、本発明の放電灯用合成シリカガラス製バルブを発光管として用いた放電灯装置が挙げられ、特に、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の高圧放電ランプ装置として好適である。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
以下の例に示す物性値は次の測定方法に従った。
(i)OH基濃度の測定;赤外線吸収法(D.M.Dodd,etal.,J.Appl.Phys.Vol.37(1966),pp3911参照)。
(ii)アルミニウム、チタン、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属元素各含有量の測定;原子吸光光度法。
(iii)粘度テスト;ビームベンヂング法(ASTM,C-598-72(1983)参照)
(iv)吸収係数の測定;紫外線分光光度法。
(v)内部透過率(2面鏡面10t)の測定法;紫外線分光光度法。
(vi)水素分子濃度測定;ラマン散乱分光高度法(V.S.Khotimchenko,et al.(1987))
(vii)失透テスト;大気中、1280℃、120時間の熱処理を行った後、目視にて微結晶生成による白色失透を観察する。
(viii)メタルハライドランプ点灯実験;東忠利(1981)希土類ハロゲン化物入りメタルハライドランプの発光特性、照明学会誌、第65巻、第10号、487〜492頁の第4節に記載する高輝度光源用短アークランプの作成法を参照にしてランプを作成した。初期の光出力を100%として、500時間点灯後の出力を測定すると共に、目視にて白色化と黒色化の程度を観察した。なお、ランプバルブの厚さは2mmとした。
(実施例1)
テトラクロロシランの火炎加水分解によって得た、外径100mm×内径60mm×長さ300mmの円筒状で密度が0.7g/cmの多孔質合成シリカガラス体(OH基約300ppm含有)約1kgを電気炉内に装着されたシリカガラス製の炉心管(直径200mm)内にセットし、次いで、炉心管内を排気した後、500℃に加熱し、この温度で約60分間予熱した。その後、ヘキサメチルジシラザン蒸気をNガスで希釈しながら供給し、ヘキサメチルジシラザンと多孔質合成シリカガラス体中のOH基とを反応させ、ヘキサメチルジシラザンによる還元処理を600℃で10時間行った。なお、Nガスの流量は1mol/hrである。
還元処理終了後、多孔質合成シリカガラス体を加熱炉内に移し、炉内温度を800℃に昇温し、Hガスを1mol/hr掛け流しながら、1時間保持した。次いで、炉内を1×10−3mmHg以下に減圧するとともに、1500℃に昇温し、1時間保持した。それを室温まで冷却して緻密化された外径100mm×内径90mm×長さ300mmの透明なシリンダー状シリカガラスを得た。
上記透明シリンダー状シリカガラスを炉内に垂直方向にセットし、真空雰囲気中でその下部より加熱をはじめ、2000℃にてゾーン加熱移動しながら、シリカガラス上部まで加熱溶融し、外径30mm×内径20mm×長さ1000mmの合成シリカガラス管を作成した。さらにこの合成シリカガラス管を、酸水素火炎によって外表面を溶融し、外径100mmx内径90mmx長さ100mmの合成シリカガラス管に変形加工した。
得られた合成シリカガラス管を回転させながら、ガスバーナーの火炎熱により部分的に加熱し軟化させた後、ブロー金型を軟化部に近接させ、同時に合成シリカガラス管内部にHeガスを導入しブロー成型し、バルブの厚さ2mmの合成シリカガラス製バルブを作製した。得られた合成シリカガラス製バルブについてその物性値を測定し、それを表1〜5に示した。また、この合成シリカガラス製バルブについて波長250nm以下の光線の内部透過率をも調べた。その結果を図1に示す。
(実施例2)
実施例1において、ヘキサメチルジシラザンの代わりにトリクロロメチルシラン((CHCl)SiH)を用いた以外、実施例1と同様にして合成シリカガラス製バルブを得た。得られた合成シリカガラス製バルブについてその物性値を測定し、それを表1〜5に示した。また、この合成シリカガラス製バルブについても波長250nm以下の光線の透過率を調べた。その結果を図1に示す。
(実施例3)
実施例1において、ヘキサメチルジシラザンの代わりにヘキサメチルジシロキサン[(CHSi]を用いた以外、実施例1と同様にして合成シリカガラス製バルブを得た。得られた合成シリカガラス製バルブについてその物性値を測定し、それを表1〜5に示した。また、この合成シリカガラス製バルブについても波長250nm以下の光線の透過率を調べた。その結果を図1に示す。
(比較例1)
テトラクロロシランの火炎加水分解によって得た、外径100mm×内径60mm×長さ300mmの円筒状で密度が0.7g/cmの多孔質合成シリカガラス体(OH基約300ppm含有)約1kgを電気炉内に装着されたシリカガラス製の炉心管(直径200mm)内にセットした。次いで、炉心管内を排気した後、500℃に加熱し、この温度で60分間予熱した。その後、多孔質合成シリカガラス体を加熱炉内に移し、炉内温度を800℃に昇温し、Nガスを1mol/hr掛け流しながら、1時間保持した。炉内を1×10−3mmHg以下に減圧するとともに、1500℃に昇温し、1時間保持した。室温まで冷却し、緻密化され外径100mm×内径90mm×長さ300mmの透明なシリンダー状シリカガラスを得た。
上記透明シリンダー状シリカガラスを炉内に垂直方向にセットし、その下部より加熱をはじめ、2000℃にてゾーン加熱移動しながら、上部まで加熱溶融し、外径30mm×内径20mm×長さ1000mmの合成シリカガラス管を作成した。
得られた合成シリカガラス管を用いて実施例1と同様の方法により合成シリカガラス製バルブを作製した。得られた合成シリカガラス製バルブについて物性値を測定し、それを表1〜5に示した。また、この合成シリカガラス製バルブについて波長250nm以下の光線の内部透過率を調べた。その結果を図1に示す。
(比較例2)
比較例1において、透明シリンダー状シリカガラスを炉内に垂直方向にセットし、その下部より加熱をはじめ、1780℃にてゾーン加熱移動しながら、上部まで加熱溶融し、外径30mm×内径20mm×長さ1000mmの合成シリカガラス管を作成した。得られた合成シリカガラス管を用いて実施例1と同様の方法により合成シリカガラス製バルブを作製した。得られた合成シリカガラス製バルブについて物性値を測定し、それを表1〜5に示した。また、この合成シリカガラス製バルブについて波長250nm以下の光線の内部透過率を調べた。その結果図1に示す。
(比較例3)
テトラクロロシランの火炎加水分解によって得た、粘度0.05μm〜2μmの合成石英ガラスヒュームを、純水中に溶いてスラリー状とし、大気雰囲気中にて、200℃で、400hr保持し、乾燥させて、外径100mm×内径60mm×長さ300mmの円筒状で密度が0.7g/cmの多孔質合成シリカガラス体(OH基約300ppm含有)約1kgを作成し、それを比較例1と同様な処理を行って合成シリカガラス製バルブを得た。この合成シリカガラス製バルブについて物性値を測定し、それを表1〜5に示した。純度が低下し、白色失透が強く確認された。
Figure 0005252730
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表1〜5及び図1にみるように本発明の合成シリカガラス製バルブは黒色及び白色失透が低減し、ランプの出力の低下が少ない上に、波長250nm以下の光線の内部透過率も低く抑えられている。
本発明は、白色失透および黒色失透が起こり難くランプ寿命が長い上に、波長250nm以下の光線の内部透過率が低く、該光線による不都合がなく放電灯用シリカガラス製バルブとして有用である。

Claims (6)

  1. 合成シリカガラス管を用いて得られる放電灯用合成シリカガラス製バルブであって、
    前記バルブ中のOH基含有量が2ppm以上50ppm以下、前記バルブ中のアルカリ金属の合計含有量が0.02ppm以上10ppm以下であり、前記バルブの内表面から0.1mmまでのOH基含有量が1ppm以下、前記バルブの内表面から0.1mmまでのアルカリ金属の合計含有量が0.01ppm以下であり、前記バルブの250nmでの酸素欠損型欠陥量が吸収係数で0.1〜2/cmであり、前記バルブの1100℃での粘度が1014〜1016ポアズであり、前記バルブの波長150nm以上250nm以下の光線の内部透過率が50%/cm以下であることを特徴とする放電灯用合成シリカガラス製バルブ。
  2. 前記バルブの水素分子濃度が1×10分子/cm〜1×1016分子/cmであることを特徴とする請求項1記載の放電灯用合成シリカガラス製バルブ。
  3. 請求項1又は2記載の放電灯用合成シリカガラス製バルブの製造方法であって、
    多孔質合成シリカガラス体を還元性を有する雰囲気中で加熱する還元処理工程と、
    該還元処理工程後、水素を含む雰囲気中で加熱処理した後、焼成し緻密なシリカガラス体とする工程と、
    該緻密なシリカガラス体を真空中又は不活性ガス中、1500〜2200℃で加熱成型し、合成シリカガラス管を作製する工程と、
    該合成シリカガラス管を用いて、合成シリカガラス製バルブを作製する工程と
    を含むことを特徴とする合成シリカガラス製バルブの製造方法。
  4. 前記還元性を有する雰囲気が揮発性有機珪素化合物を含む還元性雰囲気であることを特徴とする請求項3記載の合成シリカガラス製バルブの製造方法。
  5. 前記合成シリカガラス管の外表面を火炎溶融処理することを特徴とする請求項3又は4記載の合成シリカガラス製バルブの製造方法。
  6. 請求項1又は2記載の合成シリカガラス製バルブを用いることを特徴とする放電灯装置。
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