JP5250561B2 - 微生物感染症の動物感染モデル - Google Patents

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Description

本発明は、微生物感染症の動物感染モデル、および該動物感染モデルを用いた感染症治療薬の評価方法に関する。
近年、高齢化が進み、免疫能など生体機能が低下している老人において、感染症の問題が注目されるようになってきている。そのひとつとして、表在性真菌を原因微生物とする爪真菌症が挙げられる。これはトリコフィトン・メンタグロファイテスなどの通常は皮膚に真菌症を起こす真菌が爪で繁殖して起こす真菌症である。このような爪真菌症においては、爪がケラチンで構成される硬い組織であるため、皮膚真菌症で使用される抗真菌剤や抗真菌剤を含有する組成物を、爪の中に吸収させることが困難であり、爪から薬剤を投与し治療することには多くの障害が存する。また、爪は血流から遮断され感染に抗する免疫細胞なども存していないと言われている。
爪や毛髪などの感染が成立しにくい組織の抗真菌剤の開発に必要な評価は、通常の皮膚の抗真菌剤の評価とは異なっており、その的確な評価法は未だ確立されていないのが現状である。そこで、爪白癬症および頭部白癬症などにおいて、抗真菌剤の活性を精度よく測定できる、インビトロでは再現できないインビボでの抗真菌剤の評価方法が求められていた。たとえば、爪白癬症に対する抗真菌剤の効果を評価する動物感染モデルとして、動物に真菌を感染させる方法はいくつか報告されているものの(非特許文献1〜3)、感染までの期間が60日以上かかるなど非常に長く、再現性よく臨床病態を反映した感染モデルを作製するといった点では十分ではなかった。これは爪の構造と、白癬菌の宿主および寄生場所の選択特性によるものであると考えられていた。また、爪真菌症については前述のようにいくつかの課題があり、評価期間や再現性の問題があるにもかかわらず、課題を解決するための動物感染モデルの検討はほとんど行われていない。
一方、動物感染モデルの作製方法として、動物の免疫力をステロイドの投与により低下させ、感染しやすい状態にしてから真菌を感染させる方法が報告されているが(非特許文献4)、これは免疫の低下が感染に影響を与えることが明らかな、眼球および眼球周辺の粘膜組織などに感染させた動物感染モデルに限られていた。
このように、難治性の爪白癬症などに対して、ヒトの臨床病態を反映した動物感染モデルが切望されていたにもかかわらず、動物感染モデルが確立されていなかったために、抗真菌剤の開発も困難であり、特に経口での抗真菌剤の投与が難しい老人などに対して、簡単に使用できる外用真菌剤の開発は十分になされていないのが現状である。
特開2001−133449号公報 特開2002−65695号公報 特開2001−133449号公報 Antimicrobial agents and chemotherapy, 46(12), p.3797-3801 (2002) Microbiol.Immunol., 47(2), p143-146 (2003) Mycoses, 48, p108-113 (2004) Jpn. J. Infect Dis., 60, p.33-39 (2007)
したがって、本発明は、爪などの感染しにくい組織の微生物感染症の動物感染モデルを作製すること、および該動物感染モデルを用いた爪白癬などの難治性感染症の治療薬の開発に有用な評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、抗真菌剤の臨床効果を評価するための動物モデルを求めて鋭意研究を重ねる中で、免疫低下手段により予め動物の免疫能を低下せしめた後、感染症原因微生物を感染しにくい組織に接種することで、驚くべきことに、再現性がよくかつ臨床病態を反映した動物感染モデルを、短期間に作製できることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、爪真菌症の動物感染モデル(ヒトを除く)の作製方法であって、免疫抑制剤の投与により動物(ヒトを除く)の体重を1〜30%減少せしめ、免疫を低下せしめた後、トリコフィトン(Trichophyton)属菌を爪に接種して感染させることにより動物感染モデルを得る、前記作製方法に関する。
また、トリコフィトン(Trichophyton)属菌が、トリコフィトン・メンタグロファイテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・ビオラセウム(Trichophyton violaceum)、トリコフィトン・ベルコスム(Trichophyton verrucosum)およびトリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)からなる群より選ばれる1種または2種以上である、前記の作製方法に関する。
さらに、トリコフィトン(Trichophyton)属菌が、トリコフィトン・メンタグロファイテス(Trichophyton mentagrophytes)である、前記の作製方法に関する。
また、前記動物が、ウサギ、モルモット、ラット、イヌおよびサルから選ばれる1種または2種以上である、前記の作製方法に関する。
さらに、前記免疫抑制剤が、酢酸メチルプレドニゾロン、シクロスポリンおよびタクロリムスから選ばれる1種または2種以上である、前記の作製方法に関する。
また、前記免疫抑制剤が、酢酸メチルプレドニゾロンである、前記の作製方法に関する。
さらに、前記酢酸メチルプレドニゾロンの投与量が、0.1〜100mg/kgである、前記の作製方法に関する。
また、前記免疫抑制剤の投与開始から、16週間以内に免疫低下させた、前記の作製方法に関する。
さらに、前記免疫抑制剤の投与開始から、6週間以内に免疫低下させた、前記の作製方法に関する。
また、トリコフィトン(Trichophyton)属菌の接種方法が、該菌を含有する菌液を動物の爪および/または爪周辺の皮膚に塗布するものであり、感染方法が、該塗布部位を被い前記菌が増殖しやすいように水で湿潤させることによる、前記の作製方法に関する。
さらに、トリコフィトン(Trichophyton)属菌を含有する菌液を爪に塗布してから、16週間以内にトリコフィトン(Trichophyton)属菌を爪に感染させた、前記の作製方法に関する。
また、トリコフィトン(Trichophyton)属菌を含有する菌液を爪に塗布してから、6週間以内にトリコフィトン(Trichophyton)属菌を爪に感染させた、前記の作製方法に関する。
さらに、前記の作製方法によって作製された、爪真菌症の動物感染モデル(ヒトを除く)に関する。
また、前記動物感染モデル(ヒトを除く)を用いる、爪白癬症治療薬の評価方法に関する。
本発明により、再現性がよくかつ臨床病態を反映した、爪などの感染しにくい組織の微生物感染症の動物感染モデルを、短期間に作製することがはじめて可能となった。
このことは、感染しにくい組織である爪などのハードケラチンから構成される組織は、感染が成立するのには非常に時間がかかり、そもそも血流から遮断され免疫細胞が存しないといわれていることから、生体内の免疫能低下がそのような組織の微生物感染に直接影響することは到底予測できないことからすると、驚くべき効果という外ない。
そして本発明の動物感染モデルは、爪白癬などの難治性感染症の治療薬の開発に有用な評価方法を提供することができるものである。
本発明の動物感染モデルの感染しにくい組織としては、動物の手または足の爪および体表面の毛などのケラチンからなる角質器、皮膚の厚い角質層、強い酸性にさらされる胃粘膜、ならびに角膜などが挙げられるが、典型的には硬くて栄養分が乏しい爪および毛などの角質器であり、とくにハードケラチンからなる爪である。
また、微生物感染症としては、難治性の足白癬症、爪白癬症および頭部白癬症、再発性の高いヘリコバクタ・ピロリによる胃潰瘍、ならびに真菌性角膜炎などが挙げられるが、典型的には爪白癬症および頭部白癬症が例示され、とくに極めて難治性の爪白癬症である。
動物感染モデル作製に用いる動物としては、標的である感染しにくい組織に表在性真菌などの微生物を塗布可能な動物が使用され、好ましくは、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギなどの齧歯類や犬などのイヌ科の動物、猫などのネコ科の動物、羊、山羊、牛などの家畜類、ミドリザルやカニクイザル、およびヨザル等の霊長類(但し、ヒトは除外する)などの確立された実験動物種が例示され、遺伝的な均質性、入手のしやすさおよび取扱いなどの点から、より好ましくは、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌおよびサルなどが例示され、使いやすさの点から、さらに好ましくは、モルモット、ウサギが例示され、爪および足白癬症のモデルとしては、感染部位の大きいことからウサギがとくに好ましい。かかる動物における性別としては、雌雄の別なく使用することができる。これは爪や爪における真菌の感染に性差が存しないためである。
動物の免疫を低下させる免疫低下手段としては、好ましくは、免疫抑制剤の投与、血流の局所的な制限、栄養摂取制限、放射線の照射、免疫不全を起こすウイルスの感染などが例示され、免疫低下の調整および操作の簡便性の点から、より好ましくは、免疫抑制剤の投与および血流の局所的な制限などが例示され、とくに好ましくは、免疫抑制剤の投与である。
免疫低下の判断の指標としては、たとえば、免疫抑制剤投与後の体重の一過性増加後の減少の度合い、リンパ系細胞などの各種血球成分数の変化、CD4/CD8比の変化、免疫機構に関与する各種サイトカイン量の変化などが例示されるが、再現性や動物の種に依存しない指標の点から、より好ましくは、免疫抑制剤投与後の体重の一過性増加後の減少の度合いなどが例示される。免疫抑制剤投与後の体重変化の作用機序は複雑であり必ずしも明らかではないが、種に依存せず多くの動物に認められる現象であり、免疫抑制剤の薬理効果発現の間接的な指標として用いることができる。
免疫低下の判断は、十分な免疫低下と動物の過度の衰弱を防止する観点から、動物の摂餌行動など免疫低下に伴う動物への影響を観察しながら、慎重に行う必要がある。典型的には、免疫抑制剤投与後の体重の一過性増加後の減少の度合いが、投与前の体重から1〜30%減の範囲が好ましく、十分な免疫低下と動物の過度の衰弱防止を考慮すると、より好ましくは3〜30%減、さらに好ましくは5〜30%減、特に好ましくは5〜20%減である場合に、免疫低下の度合いが感染症微生物の接種に好適であると判断される。
なお、複数の個体に同一の免疫低下手段を同時に行う場合には、複数の個体の平均体重の一過性増加後の減少の度合いを、免疫低下の判断の指標としてもよい。
免疫抑制剤としては、臓器移植などに際して、免疫学的拒否反応を抑制する目的で使用されるシクロスポリン、タクロリムス、ISP−1などの免疫抑制剤、または副作用として免疫抑制作用を有するメチルプレドニゾロン等のステロイドなどを使用することが好ましい。これらは何れも市販品が存し、購入し使用することができるが、より好ましくは、シクロスポリン、タクロリムス、および酢酸メチルプレドニゾロン等のステロイドなどが例示され、ステロイドのうちさらに酢酸メチルプレドニゾロンがとくに好ましく、市販のデポ・メルコート(富士製薬社製)を使用することができる。
免疫抑制剤の動物への投与量は、十分な免疫低下と動物の過度の衰弱を防止する観点から、前述の免疫低下の判断の指標、および動物の摂餌行動など免疫低下に伴う動物への影響を観察しながら、適宜調整して設定する必要がある。
たとえば、酢酸メチルプレドニゾロンの1回分の投与量は、0.1〜100mg/kgの範囲が好ましく、免疫低下の度合いおよび動物への負担を考慮すると、より好ましくは1〜10mg/kgであり、さらに好ましくは2〜5mg/kgである。また、シクロスポリンの1回分の投与量は、0.1〜50mg/kgの範囲が好ましく、免疫低下の度合いおよび動物への負担を考慮すると、より好ましくは1〜25mg/kgであり、さらに好ましくは2〜10mg/kgである。さらに、タクロリムスの1回分の投与量は、0.001〜10mg/kgの範囲が好ましく、免疫低下の度合いおよび動物への負担を考慮すると、より好ましくは0.005〜5mg/kgであり、さらに好ましくは0.01〜3mg/kgである。
免疫抑制剤の投与回数、投与間隔および投与期間は、同様に十分な免疫低下と動物の過度の衰弱を防止する観点から、前述の免疫低下の判断の指標、および動物の摂餌行動など免疫低下に伴う動物への影響を観察しながら、適宜調整して設定する必要がある。
投与回数は、単回投与でも繰り返し投与でもよいが、免疫低下の度合いおよび動物への負担を考慮すると、より好ましくは2回以上の繰り返し投与である。
投与間隔は、好ましくは2〜21日に1回であり、動物への負担および評価期間を考慮すると、より好ましくは7〜14日に1回である。
投与開始から免疫低下させるまでの投与期間は、好ましくは16週間以内であり、動物への負担および評価期間を考慮すると、より好ましくは6週間以内である。
投与方法は、好ましくは、経口投与、静脈内投与、経皮投与、筋肉および皮下投与などが例示できるが、投与の確実性から、より好ましくは筋肉注射および経皮投与などが例示できる。
具体的には、たとえば、酢酸メチルプレドニゾロンの投与は、1回分の投与量2〜4mg/kgを、7〜14日に1回の投与間隔で、単回または2〜6回繰り返し投与することなどが好適に例示される。
また、シクロスポリンの投与は、1回分の投与量2〜10mg/kgを、1〜14日に1回の投与間隔で、単回または2〜6回繰り返し投与することなどが好適に例示される。
さらに、タクロリムスの投与は、1回分の投与量0.01〜3mg/kgを、1〜14日に1回の投与間隔で、単回または2〜6回繰り返し投与することなどが好適に例示される。
また、たとえば、酢酸メチルプレドニゾロンを2〜24mg/kg投与した後に、体重の一過性増加後の減少の度合いが、投与前の体重から5〜20%減である場合に、免疫低下の度合いが感染症微生物の接種に好適であると判断される。
また、シクロスポリンを2〜60mg/kg投与した後に、体重の一過性増加後の減少の度合いが、投与前の体重から5〜20%減である場合に、免疫低下の度合いが感染症微生物の接種に好適であると判断される。
さらに、タクロリムスを0.01〜18mg/kg投与した後に、体重の一過性増加後の減少の度合いが、投与前の体重から5〜20%減である場合に、免疫低下の度合いが感染症微生物の接種に好適であると判断される。
本発明の動物感染モデルにおいて、動物に接種し、感染させるべき感染症原因微生物としては、感染後において薬剤の治療効果の低い疾病の原因微生物が好ましい。このような感染症原因微生物としては、表在性真菌、深在性真菌およびヘリコバクタ・ピロリなどが例示され、皮膚、爪および毛髪といった組織を想定した場合は、表在性真菌が好ましい。表在性真菌としては、トリコフィトン・メンタグロファイテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・ビオラセウム(Trichophyton violaceum)、トリコフィトン・ベルコスム(Trichophyton verrucosum)、トリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)、ミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)、ミクロスポルム・ジプシウム(Microsporum gypseum)、エピデルモフィトン・フロコッサム(Epidermophyton floccosum)、ホルタエア・ベルネッキ(Hortaea werneckii)、アルナリア・アルナー(Alternaria alternata)、アスペルギルス・フミガス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、パエチロマイセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、フサリウム・ソラニ(Fusarium solani)、スコプラリオプシス・ブレビカウリス(Scopulariopsis brevicaulis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)およびトリコスポロン・アサヒ(Trichosporon asahii)から選択されるものが好ましく例示され、皮膚や爪白癬症の評価には原因菌として有望なTrichophyton属がより好ましく、さらに発芽分生子、分節分生子および小分生子などの分生子、とくに分節分生子および小分生子の形成しやすさなどを考慮するとトリコフィトン・メンタグロファイテス(Trichophyton mentagrophytes)がとくに好ましい。
感染させる感染症原因微生物の形態としては、菌糸、胞子、発芽分生子、分節分生子および小分生子、ならびに菌体および芽胞などが例示されるが、真菌の場合は、局所での易感染性の点から、発芽分生子、分節分生子および小分生子が好ましく、分生子の採取、菌数カウントおよび接種のしやすさの点から、分節分生子および小分生子がより好ましい。
前記前処置を行った動物に前記感染症原因微生物を感染させ、本発明の動物感染モデルを作製するが、かかる感染においては、感染を微生物の用量としてコントロールすることが好ましく、具体的には、感染させたい菌種を予め通常の寒天培地で培養し、これを白金耳でかき取り、菌体自身或いは分生子などの菌体の一部を取り出して、これを生理食塩水に加え、1×10〜1×10conidia/mLとなるように菌液を調製し、好ましくは菌体乃至はその一部の分散性を高めるために、非イオン界面活性剤、たとえば、トリトンX或いはツィーン80(和光純薬社製)を0.01〜0.1%加える。この菌液を前記のように免疫能の低下した動物に10〜1000μL感染部位に投与する。投与部位の大きさにあわせ、菌液の投与量を調整し、ウサギやモルモットの爪や足底部に投与する場合は、100〜500μLが好適に例示できる。
菌液の接種方法としては、表面への塗布や皮下注射などが例示できるが、標的の組織への確実な接種や操作の簡便性の点から、組織表面へ直接塗布することが好ましい。菌液を塗布する部位としては、標的の組織のほかに、標的の組織の周辺組織へ塗布することも、短期間で確実に感染を成立させる点で有効である。たとえば、爪への真菌の菌液の塗布では、爪甲への塗布のみならず、爪と皮膚の境目にある側爪郭、後爪郭および爪上皮(甘皮)へも塗布することにより、爪甲側のみならず、爪の側面側などからも真菌がうまく入り込み、短期間で爪床側へも十分に感染させることができる。
感染症原因微生物を標的組織に接種して増殖させる感染期間としては、典型的には1〜16週間であるが、動物への負担および評価期間を考慮すると2〜6週間の感染期間が好ましい。このような感染は開放系でも行うことができるが、微生物汚染の防止と、感染の均質性を向上させるために、密封状態で行うことが有用である。このような密封方法としては、たとえば、市販のパッチ絆創膏、包帯などを用いることができる。また、パッチ絆創膏に代えて、指サックなどを用いて閉塞し、感染させることも可能である。指サックなどで閉塞する場合には、適宜水分を患部に補給して、湿潤状態に保っておくことは、感染を促進するので好ましい。
また、密封状態で一定期間増殖させた後、指サックなどを除いて開放状態にし、何もせずに放置した状態で続けて菌を組織中で増殖させてもよい。放置期間としては、1〜8週間が好適に例示できるが、動物への負担および評価期間を考慮すると2〜6週間がより好ましい。
上記感染期間および放置期間を適宜調整して組み合わせることにより、組織内での菌の感染部位や感染強度を制御して、種々の動物感染モデルを作製することが可能である。
このような感染工程は、感染による感染部位の状態変化を観察しながら、そのエンドポイントを決定する。感染終了の指標としては、感染部位に菌が一様に分布し、感染していない部位と異なった性状を示すことを用いる。爪白癬の場合には、爪の黄色がかった白濁が爪全体に及んだことを以て感染終了と判断することができる。勿論、顕微鏡や拡大鏡により観察して、組織における増殖状態や菌数を目視で確認することや、組織の一部を採取し、培地に播種し、そこからの菌の生育を見ることによって、感染の度合いを判別することも可能である。これは動物の胃に、ヘリコバクタ・ピロリを植えるなどのように、他の難治性感染症にも応用することができる。
微生物感染症における組織中の菌の局在は様々であり、たとえば、爪白癬症においては、遠位爪下型(爪の先端から感染するタイプ)、近位爪下型(爪上皮(甘皮)側から感染するタイプ)、表在性型(爪甲側の浅い部分に感染しているタイプ)、全層型(爪の全域に感染しているタイプ)などが挙げられる。
本発明の動物感染モデルは、より臨床病態を反映したものであることが好ましく、たとえば、臨床における爪白癬症の分類と同様なモデルであるという点では、爪の深さ方向に上半分の爪甲側よりも下半分の爪床側により多くの真菌が感染しているものが好ましい。また同様に、臨床における爪白癬症の分類と同様なモデルであるという点では、爪を長径方向へ3等分した場合に、爪の先端側、爪の中間部および爪の爪母側の全部に、真菌が感染しているものが好ましい。また、爪の先端側もしくは爪母側など特定の部位により多くの真菌が分布しているものも、臨床病態を反映している場合があり好ましい。
本発明により、爪の深部の爪床側にまで十分に真菌が浸潤し、かつ爪の全体に真菌が感染した感染モデル、または先端側もしくは爪母側などの特定の部位により多くの真菌が感染した感染モデルの作製が可能となり、全層型、遠位爪下型および近位爪下型などの臨床病態を反映した、爪白癬の動物感染モデルの作製がはじめて可能となったものである。
斯くの如くの手順で作製された、本発明の動物感染モデルは、人における難治性感染症の症状に近似しており、かかる動物感染モデルに被験物質を投与し、感染部位が正常部位に近づく過程を観察することにより、該被験物質の爪白癬に対する抗真菌作用などを判別することができ、爪白癬症治療薬などの評価方法として極めて有用である。即ち、本発明の動物感染モデルに被験物質を投与した場合と非投与の場合で投与の場合の方が正常状態への回帰を示し、非投与の場合が正常への回帰を示さないときには、被験物質は爪白癬に対して有効性を有すると判別できる。また、2種の被験物質を同様に試験し、一方が正常状態への回帰の度合いの蓋然性が高い場合には、爪白癬に対して、該被験物質の方が他方より優れた抗真菌治療効果を有すると判別することができる。また、被験物質の投与量を変えて、それに対する反応性を観察することにより、被験物質の抗真菌効果の濃度依存性を判別することもできる。
このような判別に際しては、治療部位の一部を採取し、これを培地などに播種し、残存した菌の生育度合いを指標に、生育度合いが著しければ被験物質の効果は低く、生育度合いが低ければ、被験物質の効果は高いと判別することもできる。この場合、生育度合いの判別は、別途播種する分生子数を変えて、培養の結果得られるコロニー面積を計測し、このデータより、予め分生子数−コロニー面積の検量線を作製しておき、この検量線を用いて、播種した治療部位の一部に残存していた生存菌を分生子数として推定し、該推定分生子数が少ないほど優れた抗真菌効果を被験物質が奏したと判別することもできる。このような判別において定量的な抗真菌効果の比較が行える。また、播種に用いる培地には、予めリン脂質0.1〜10質量%と、「ツィーン80」などの非イオン界面活性剤を0.1〜10質量%含有させておき、残存する被験物質を不活性化し、ノイズを減らすことも好ましい。このような判別により、定量的な被験物質の効果の比較を行うことができる。特に、爪白癬のような難治性の感染症においては、短期間では完治することが少ないため、推定生存菌数が重要な効果の評価ポイントとなる。完治状態でなくとも抗真菌効果の比較がなし得るためである。
他の難治性感染症においても、前記の爪白癬と同様に処置し、動物感染モデルを作製し、被験物質の投与による、その感染の治癒過程を観察することにより、治療効果を定量的に知ることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
〔実施例1〕
(ウサギ免疫抑制)
14週齢の日本白色種兎(Kbl:JW、北山ラベス)を1週間検疫馴化させた。馴化後、免疫抑制剤として持続性酢酸メチルプレドニゾロン製剤(デポ・メルコート 富士製薬社製)を大腿筋に、1回分の投与量4mg/kgを計3回、1週間に1回の間隔で投与した。免疫抑制剤投与後の個々のウサギの体重を測定し、投与後の免疫能低下により、体重が一過性に増加し、その後減少したことを確認した。ウサギ計15匹の平均体重が投与前の体重から約6%減じた、投与開始から2週間後の時点で菌液を接種した。ウサギ計15匹の平均体重の変化を図1に示す。
(菌液の調製)
4℃で保存していたトリコフトン・メンタグロファイテス(Trichophyton mentagrophytes)を安全キャビネット中で生理食塩水1.5mLに加え、菌懸濁液を調製した。サブロー培地(FLUID SABOURAUD MEDIUM)1.8gとアガー(Bacto Agar)4.5gに300mLの水を加え、撹拌後オートクレーブにて滅菌処理し、傾斜台で静置して斜面培地を作製した。該培地に菌懸濁液を加え、28で培養した。培養した菌を一部採取し、ツィーン80(和光純薬社製)を0.05%含有する溶液2〜20mLに加えた。血球計算盤(東京エルマ社製)を用いて菌の分生子液中の濃度を測定し、1.1×10〜1.3×10conidia/mLになるように調製した。ツィーン80の溶液量を調整し、最終的に1.0×10conidia/mLとして感染実験に用いた。
(ウサギ感染モデル)
前述の免疫能の低下したウサギ(日本白色種兎)に局所麻酔をかけて、前記で調製した菌液を爪の甘皮部分とカーゼに200μL塗布し、ガーゼをウサギの爪に被せテープで固定した。さらに指サックをウサギの指にはめ、湿潤させるための水を垂らすための孔をあけた。その後、2週間毎日ウサギの状態および爪部分の乾燥状態を確認し、爪の乾燥が認められた時は精製水を滴下し湿潤させた。
上記の2週間の感染操作をしたウサギ感染モデルの他に、2週間の感染操作後に指サックなどを外してさらに2週間または6週間何もせずに放置したウサギ感染モデルを作製した。それぞれ1群、2群、および3群とした。
(標本の薄切)
上記の1群〜3群のウサギを、麻酔下で安楽死させ、爪を含む指部を切断採取し、ホルマリン溶液(マイルドホルム20N 和光純薬社製)に入れ固定した。その後、脱灰、中和処理を行い、パラフィン包埋を行い包埋皿に指を入れてパラフィンを流し込み冷却して固化した。これを滑走式ミクロトーム(LS-113 大和光機製)で6μm程度の厚さに薄切しテープによりスライドガラス上に貼付し5分間放置した後、紫外線照射器(東京インスツルメンツ社製)で2分間紫外線を照射し、TPC液(東京インスツルメンツ社製)に浸してテープを剥がした。
(標本の染色)
前記の薄切標本をパス(PAS:Periodic acid Schiff stain)染色した。キシレンとエタノールで洗浄し、パラフィンを除き、水で洗浄した。過ヨウ素酸溶液(武藤化学社製)で15分間酸化処理し、流水中で3分間洗浄後、シッフ試薬(武藤化学社製)で15分間染色した。亜硝酸水(武藤化学社製)で5分間2回処理し、流水で3分間洗浄した。マイヤー・ヘマトキシリン溶液(和光純薬社製)で40秒染色し、流水で15分間色だしした。エタノールで脱水後、レモゾール(和光純薬社製)で3分間3回透徹し、ソフトマウント(和光純薬社製)およびカバーグラスで封入した。
(感染の確認)
前記の染色した標本を光学顕微鏡を用い、下記表1の評価基準を基に評価スコア0(−)〜3(+++)で評価した。評価は、爪の深さ方向に上半分の爪甲側および下半分の爪床側、ならびに爪を長径方向に3等分した、先端側、中間部および爪母側の計6箇所の各々の部位について行った。
実施例1第1群〜3群のウサギ感染モデルの爪30本(6本×5匹分)の各々について、前述の計6箇所の部位について感染の確認を行った。評価スコア1(+)以上の感染部位を有する感染陽性の爪数を、回収した爪数(30本)で徐した値を百分率で表した感染率、および各爪中における最大評価スコアの平均を表2に示す。
また、評価スコア1(+)以上の感染箇所を有する感染陽性の部位数を、確認した部位数(29〜30本)で除した値を百分率で表した部位別の感染率を表3に示す。
さらに、実施例1第2群の表在性真菌感染前後のウサギの爪の状態を写真撮影したものを図2に示す。図2において、左図の丸で囲った部分は感染しておらず赤みをおびているが、右図の丸で囲った部分は白濁して赤みが認められない。この白濁が真菌の感染を示している。
また、実施例1第2群の表在性真菌感染後のウサギの爪の爪床側中間部の染色した標本を、光学顕微鏡で40倍に拡大して写真撮影したものを図3に示す。図3において、矢印の部分が爪の部分であり、PAS染色により紫色に染色されている部分が菌糸であり、爪の中に真菌が広く感染している事が示されている。特に丸で囲った部分は顕著に感染している。
上記表2、図2および3の結果より、感染率および感染強度が高く、再現性がよく臨床病態を反映した爪の表在性真菌動物感染モデルを、免疫抑制剤の投与後4〜10週間という短期間で作製できることが分かる。なお、感染操作後に放置期間を設けることにより、感染率および感染強度ともに徐々に高くなることが分かる。
また、上記表3、図2および3の結果より、爪のほぼ全域にわたって表在性真菌の感染が認められ、とくに爪全体としては爪甲側よりも爪の深部である爪床側へより多くの真菌が浸潤していることが分かる。さらに、表3の結果より、1群では爪母側、2群では爪母側および爪床側全域、ならびに3群では先端側および中間部により多くの真菌の感染が認められ、放置期間を設けることにより感染率の高い部位がシフトし、爪の先端側および爪母側などの特定の部位に真菌がより多く感染した爪感染モデルとなることが分かる。
以上の結果より、爪は血流から遮断され免疫細胞も存しないといわれているが、免疫抑制作用を有するステロイドを投与して免疫を低下せしめた後、表在性真菌を接種して感染させることにより、従来作製することが不可能であった、感染率および感染強度が高く、爪の深部である爪床側へも真菌が十分に浸潤した、再現性がよくかつ臨床病態を反映した爪の表在性真菌動物感染モデルを、短期間で作製できることを確認した。
〔実施例2〕
(ウサギ免疫抑制)
14週齢の日本白色種兎(Kbl:JW、北山ラベス)を1週間検疫馴化させた。馴化後、免疫抑制剤としてシクロスポリン製剤(サンディミュン ノバルティス社製)を大腿筋に、1回分の投与量4mg/kgを計3回、1週間に1回の間隔で投与した。免疫抑制剤投与後の個々のウサギの体重を測定し、投与後の免疫能低下により、体重が一過性に増加し、その後減少したことを確認した。
(菌の調製)
4℃で保存していたトリコフトン・メンタグロファイテス(Trichophyton mentagrophytes)を安全キャビネット中で生理食塩水1.5mLに加え、菌懸濁液を調製した。サブロー培地(FLUID SABOURAUD MEDIUM)1.8gとアガー(Bacto Agar)4.5gに300mLの水を加え、撹拌後オートクレーブにて滅菌処理し、傾斜台で静置して斜面培地を作製した。該培地に菌懸濁液を加え、28で培養した。培養した菌10conidia/mLをメンブランフィルタ上に播種しBHI培地の上にのせて10%CO存在下で7日間培養し発芽分生子とした。
(ウサギ感染モデル)
前述の免疫能の低下したウサギ(日本白色種兎)に局所麻酔をかけて、前記で調製した発芽分生子をフィルターごとウサギの爪に被せテープで固定した。さらに指サックをウサギの指にはめ固定した。その後、2週間後に指サックを取り外し、外見から爪の白濁度を確認した。
(標本の作製と評価)
前述の実施例1の標本の薄切および染色と同一の方法で標本を作製し、実施例1の感染の確認と同一の方法で標本を評価した。
〔比較例〕
免疫抑制剤としてシクロスポリン製剤を投与しないこと以外は、実施例2と同一の条件でウサギの感染モデルを作製し、実施例1と同一の方法で標本を作製し評価した。
実施例2のウサギ感染モデルの爪6本(6本×1匹)、および比較例のウサギ感染モデルの爪18本(6本×3匹)の各々について、前述の計6箇所の部位について感染の確認を行った。評価スコア1(+)以上の感染部位を有する感染陽性の爪数を回収した爪数で徐した値を百分率で表した感染率、および各爪中における最大評価スコアの平均を表4に示す。
また、評価スコア1(+)以上の感染箇所を有する感染陽性の部位数を、確認した部位数で除した値を百分率で表した部位別の感染率を表5に示す。
さらに、比較例および実施例2の表在性真菌感染後のウサギの爪の状態を写真撮影したものを図4および5に示す。図4においては、丸で囲った爪全体が透き通っており真菌の感染が認められず、図5においては、丸で囲った爪の中間部から先端側で白濁しており真菌の感染が認められる。
また、比較例の表在性真菌感染後のウサギの爪の爪床側中間部の染色した薄切標本を、光学顕微鏡で40倍に拡大して写真撮影したものを図6に示す。図6において、爪内に真菌の感染が全く認められないことが示されている。
さらに、実施例2の表在性真菌感染後のウサギの爪の爪床側中間部の染色した薄切標本を、光学顕微鏡で400倍に拡大して写真撮影したものを図7に示す。図7において、丸で囲ったPAS染色により紫色に染色されている部分が菌糸であり、爪の爪床側(最深部)に真菌が顕著に感染している事が示されている。
上記表4および図4〜7の結果より、免疫抑制剤を投与することにより、投与しない場合と比較して格段に感染率および感染強度が高い、再現性がよく臨床病態を反映した爪の表在性真菌動物感染モデルを、免疫抑制剤の投与後4週間という短期間で作製できることが分かる。
また、上記表5および図7の結果より、実施例2では、爪の全域にわたって表在性真菌の感染が認められ、とくに爪の深部である爪床側へも真菌が十分に浸潤していることが分かる。
以上の結果より、爪は血流から遮断され免疫細胞も存しないといわれているが、免疫抑制剤であるシクロスポリンを投与して免疫を低下せしめた後、表在性真菌を接種することにより、従来作製することが不可能であった、感染率および感染強度が高く爪の深部である爪床側へも真菌が十分に浸潤した、再現性がよくかつ臨床病態を反映した爪の表在性真菌動物感染モデルを、短期間で作製できることを確認した。
実施例1の免疫抑制剤投与後のウサギの平均体重の変化を示す図である。 実施例1第2群の表在性真菌感染前後のウサギの爪の状態を示す写真図である。 実施例1第2群の表在性真菌感染後のウサギ爪の爪床側中間部の病理組織学的な写真図である。 比較例の表在性真菌感染後のウサギの爪の状態を示す写真図である。 実施例2の表在性真菌感染後のウサギの爪の状態を示す写真図である。 比較例の表在性真菌感染後のウサギの爪の爪床側中間部の病理組織学的な写真図である。 実施例2の表在性真菌感染後のウサギの爪の爪床側中間部の病理組織学的な写真図である。

Claims (14)

  1. 爪真菌症の動物感染モデル(ヒトを除く)の作製方法であって、免疫抑制剤の投与により動物(ヒトを除く)の体重を1〜30%減少せしめ、免疫を低下せしめた後、トリコフィトン(Trichophyton)属菌を爪に接種して感染させることにより動物感染モデルを得る、前記作製方法。
  2. トリコフィトン(Trichophyton)属菌が、トリコフィトン・メンタグロファイテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・ビオラセウム(Trichophyton violaceum)、トリコフィトン・ベルコスム(Trichophyton verrucosum)およびトリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)からなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項1に記載の作製方法。
  3. トリコフィトン(Trichophyton)属菌が、トリコフィトン・メンタグロファイテス(Trichophyton mentagrophytes)である、請求項2に記載の作製方法。
  4. 動物が、ウサギ、モルモット、ラット、イヌおよびサルから選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の作製方法。
  5. 免疫抑制剤が、酢酸メチルプレドニゾロン、シクロスポリンおよびタクロリムスから選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の作製方法。
  6. 免疫抑制剤が、酢酸メチルプレドニゾロンである、請求項5に記載の作製方法。
  7. 酢酸メチルプレドニゾロンの投与量が、0.1〜100mg/kgである、請求項6に記載の作製方法。
  8. 免疫抑制剤の投与開始から、16週間以内に免疫低下させた、請求項1〜7のいずれか一項に記載の作製方法。
  9. 免疫抑制剤の投与開始から、6週間以内に免疫低下させた、請求項8に記載の作製方法。
  10. トリコフィトン(Trichophyton)属菌の接種方法が、該菌を含有する菌液を動物の爪および/または爪周辺の皮膚に塗布するものであり、感染方法が、該塗布部位を被い前記菌が増殖しやすいように水で湿潤させることによる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の作製方法。
  11. トリコフィトン(Trichophyton)属菌を含有する菌液を爪に塗布してから、16週間以内にトリコフィトン(Trichophyton)属菌を爪に感染させた、請求項10に記載の作製方法。
  12. トリコフィトン(Trichophyton)属菌を含有する菌液を爪に塗布してから、6週間以内にトリコフィトン(Trichophyton)属菌を爪に感染させた、請求項11に記載の作製方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の作製方法によって作製された、爪真菌症の動物感染モデル(ヒトを除く)
  14. 請求項13に記載の動物感染モデル(ヒトを除く)を用いる、爪白癬症治療薬の評価方法。
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