JP5247765B2 - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品 Download PDF

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Description

本発明は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関し、より詳しくは、リン系の難燃剤を極く少量だけ使用するか又は使用することなく、優れた難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、自動車分野、OA機器分野、電気・電子分野をはじめ工業的に広く利用されているが、OA機器、家電製品等の用途を中心に、使用する樹脂材料の難燃化の要望が強く、これらの要望に応えるために多数の難燃剤が開発検討されている。ポリカーボネート樹脂の難燃化には、通常、臭素系化合物が使用され、またこれに三酸化アンチモンが併用されている。しかしこうした樹脂組成物は、燃焼時に臭素ガスを発生するため環境汚染の問題がある。
近年、これらの問題から臭素系化合物の使用量の減少を目的として、例えば、リン酸エステルなどのリン系難燃剤を使用したポリカーボネート樹脂組成物が報告されているが、これら組成物は耐衝撃性や耐熱性が低下するという欠点があり、また、環境汚染問題を完全に解消するものでもない。非リン系の難燃材料としては、例えば、特開昭51−45159号公報に、芳香族ポリカーボネートに有機アルカリ金属塩又は有機アルカリ土類金属塩とポリテトラフルオロエチレンとを添加した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。しかしながら、耐熱性と耐衝撃性に優れ、薄肉成形用途で要求されている厚み1mm以下の成形品でのUL燃焼試験V−0という厳しい難燃レベルを満たす樹脂材料を得ることは困難であった。
本発明の目的は、リン系の難燃剤を極く少量使用するか又は使用しないことによって、環境安全性に優れるばかりか、使用時にリン系難燃剤が分解して性能劣化することがなく、しかも、耐衝撃性、耐熱性および成形加工性に優れ、かつリン系難燃剤を使用した場合と同等の厳しい難燃レベルを満たしうる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂に対し、一定量の有機スルホン酸金属塩、フッ化ポリオレフィンおよびジエン含有多層構造重合体を配合することによって、所望の性能を有する優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)有機スルホン酸金属塩としてパーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩0.01〜5重量部、(C)フッ化ポリオレフィン0.01〜5重量部、(D)ジエン含有多層構造重合体0.2〜20重量部を含み、リン系難燃剤の配合量が0.5重量部未満であり、(D)ジエン含有多層構造重合体が、ブタジエンを含む単量体を重合して得られるゴム状重合体から主としてなる内層と、メタクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸エステル系単量体から成る群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体を重合して得られる重合体のみからなる外殻層を有する、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
好ましくは、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂である。好ましくは、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、15,000〜30,000である。好ましくは、(B)有機スルホン酸金属塩は、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩である。好ましくは、(B)有機スルホン酸金属塩の金属はアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。好ましくは、(C)フッ化ポリオレフィンは、ポリテトラフルオロエチレンであり、さらに好ましくは、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンである。
D)ジエン含有多層構造重合体は、ブタジエンを含む単量体を重合して得られるゴム状重合体から主としてなる内層とメタクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸エステル系単量体から成る群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体を重合して得られる重合体のみらなる外殻層とを有する。
本発明の特に好ましい態様においては、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂であり、(B)有機スルホン酸金属塩が、パーフルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であり、(C)フッ化ポリオレフィンが、ポリテトラフルオロエチレンであり、(D)ジエン含有多層構造重合体が、ブタジエンを含む単量体を重合して得られるゴム状重合体から主としてなる内層と、メタクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸エステル系単量体から成る群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体を重合して得られる重合体のみからなる外殻層を有する多層構造重合体である。本発明において、リン系難燃剤の配合量は芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.3重量部以下であり、さらに好ましくは0.1重量部以下であり、特に好ましくはリン系難燃剤は実質的に含まれない。
上記難燃性ポリカーボネート樹脂組成物から成る成形品が提供される。好ましくは、本発明の成形品のアイゾット衝撃強度は392j/m(40kgfcm/cm)以上である。好ましくは、本発明の成形品の荷重撓み温度は129℃以上である。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、非リン系および非臭素系の難燃剤を用いた難燃材料であり、耐衝撃性、耐熱性および成形性に優れ、且つ厳しい難燃レベルを充たし、また環境汚染を低減し成形時の金型及びスクリュー等の腐食性の問題を大幅に改良しており、成形機のシリンダー内における滞留後もシルバーストリーク等の外観不良の発生が少なく耐衝撃性の低下も生じないので、成形上の制限が少なく、更に、吸湿テスト後の難燃性の低下もない。従って、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、各種用途、特に電気電子機器や精密機械分野における大型成形品や薄肉成形品として有用である。
以下、本発明につき詳細に説明する。なお、本明細書中で用いる「〜」という表示は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含むものである。本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)有機スルホン酸金属塩としてパーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩0.01〜5重量部、(C)フッ化ポリオレフィン0.01〜5重量部、(D)ジエン含有多層構造重合体0.2〜20重量部を含み、リン系難燃剤の配合量が0.5重量部未満である。(D)ジエン含有多層構造重合体は、ブタジエンを含む単量体を重合して得られるゴム状重合体から主としてなる内層と、メタクリル酸エステル系単量体およびアクリル酸エステル系単量体から成る群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体を重合して得られる重合体のみからなる外殻層を有する。本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ヒドロキシ化合物あるいは芳香族ヒドロキシ化合物と少量のポリヒドロキシ化合物との混合物を、ホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることによって調製される分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネートのホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。芳香族ポリカーボネート樹脂を調製するための重合方法としては、界面重縮合(ホスゲネーション法)、溶融クック(エステル交換)法等が挙げられる。
本発明で用いる芳香族ヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、および4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)3−ヘプテン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、および1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、または5−ブロモイサチンビスフェノールなどを前記芳香族ヒドロキシ化合物と一緒に用いればよく、これら化合物の使用量は、芳香族ヒドロキシ化合物およびポリヒドロキシ化合物の全量に対して0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、m−又はp−メチルフェノール、m−又はp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール又はp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、または2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。さらに、樹脂はシロキサン構造を有するポリマーでもよく、例えば、難燃性を高める目的でシロキサン構造を有するオリゴマーを共重合することができる。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2種以上の樹脂を混合したものでもよい。芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、好ましくは15,000〜30,000であり、より好ましくは16,000〜28,000である。
本発明で用いる有機スルホン酸金属塩としては、好ましくは脂肪族スルホン酸金属塩および芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられる。有機スルホン酸金属塩の金属としては、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられ、アルカリ金属およびアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。有機スルホン酸金属塩は、2種以上の塩を混合して使用することもできる。本発明は以下の理論に拘束されることはないが、これら有機スルホン酸金属塩は、芳香族ポリカーボネート樹脂の燃焼時に不燃ガス(二酸化炭素)を発生し、同時に分解・ゲル化による炭化層の生成を促進すると考えられる。
本発明で用いる脂肪族スルホン酸金属塩としては、好ましくは、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩等が挙げられる。パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩としては、好ましくは、パーフルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ金属塩、パーフルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられ、より好ましくは、炭素数4〜8のパーフルオロアルキル基を有するスルホン酸アルカリ金属塩、炭素数4〜8のパーフルオロアルキル基を有するスルホン酸アルカリ土類金属塩などが挙げられる。
パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩の具体例としては、パーフルオロブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸カリウム、およびパーフルオロブタン−スルホン酸のテトラエチルアンモニウム塩などが挙げられる。
芳香族スルホン酸金属塩としては、好ましくは、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホン酸アルカリ土類金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩などが挙げられ、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩は重合体であってもよい。
芳香族スルホン酸金属塩の具体例としては、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4,4'−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、4,4'−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4−クロロ−4'−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホン酸のジカリウム塩などが挙げられる。
有機スルホン酸金属塩の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部である。有機スルホン酸金属塩の配合量が0.01重量部未満であると充分な難燃性が得られにくく、5重量部を越えると熱安定性が低下しやすい。有機スルホン酸金属塩の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.02〜3重量部であり、より好ましくは0.03〜2重量部である。
本発明におけるフッ化ポリオレフィンとしては、ポリオレフィンの水素原子の全てあるいは大部分がフッ素原子によって置換された構造の重合体であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの共重合体などが挙げられ、好ましくはポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン、即ち、重合体同士を結合して繊維状構造を形成する傾向を示すポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類され、燃焼時の滴下を防止する。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より、テフロン6Jまたはテフロン30Jとして、あるいはダイキン化学工業(株)よりポリフロンとして市販されている(テフロンおよびポリフロンは商品名である)。
フッ化ポリオレフィンの配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部である。フッ化ポリオレフィンの配合量が0.01重量部未満であると滴下防止効果が低く難燃性が不十分となる傾向があり、5重量部を越えると押し出し性、成形性が損なわれる傾向がある。フッ化ポリオレフィンの配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.02〜3重量部であり、より好ましくは0.05〜2重量部である。
本発明で用いるジエン含有多層構造重合体としては、例えば、先の段階の重合体を後の段階の重合体が順次被覆するような連続した多段階シード重合、好ましくは乳化重合によって製造される重合体が挙げられる。ジエン含有多層構造重合体は、重合体構造は内層と外殻層の間に中間層を有する多層構造重合体であってもよく、更に、内層と外側の重合体表面との間で順次組成が変化するような多層構造重合体であってもよい。
コア:シェルの比率は重量比で50:50〜90:10程度が好ましいが、シェルがコアを完全に覆うことができれば特に限定されない。さらに、該内層の中心に、スチレン含有重合体等の芳香族ビニル重合体から形成される芯となるようなコア層があり、該コア層の外側にジエン含有ゴム状重合体から構成される中間層を設けたものを内層(コア)としたものを使用することもできる。
ジエン含有ゴム状重合体は、ガラス転移温度の低い(通常、室温より低い、好ましくは0℃以下、より好ましくは−30℃以下)、化学的あるいは物理的に架橋されたゴム状重合体である。ジエン含有ゴム状重合体としては、ジエン単量体を重合した重合体、ジエン単量体と1種または2種以上のビニル系単量体とを共重合したゴム状重合体などが挙げられる。ジエン単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられ、好ましくはブタジエンが挙げられる。ビニル系単量体としては、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。該ビニル系単量体を使用する場合の使用量としては、該ジエン含有ゴム状重合体を重合する際の全単量体に対して、通常、50重量%以下、好ましくは、30重量%以下の範囲である。
本発明において使用される多層構造重合体においては、ジエン含有ゴム状重合体は、架橋されているものが好ましい。架橋されたジエン含有ゴム状重合体は、ジエン単量体又は該ジエン単量体と共重合成分である単量体との重合の際に、ジビニルベンゼン、ブチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等の分子内に二個以上の重合性エチレン性不飽和結合を有する架橋性単量体を使用することによって、製造することができる。かかる架橋性単量体の使用量は、該重合の際に用いる単量体の全量に対して、通常、0.01〜5重量%の範囲、好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。さらに、アリルメタクリレート等の分子内に二個以上の反応性の異なるエチレン性不飽和結合を有するグラフト化単量体も用いることができる。グラフト化単量体の使用量は、通常、該重合の際に使用される全単量体の使用量に対して、5重量%以下、好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
また、この外殻層も、内層(コア)の場合と同様に、架橋性単量体によって架橋されていてもよい。本発明で用いるジエン含有多層構造重合体は、ブタジエンを含む単量体を重合して得られるゴム状重合体からなる内層とメチルメタクリレートを含む単量体を重合して得られる重合体のみからなる外殻層を有する多層構造重合体が挙げられる。
本発明においては、リン系難燃剤を極く少量だけ配合するか、あるいは配合しなくても、有機スルホン酸金属塩とフッ化ポリオレフィンと共に、ジエン含有多層構造重合体をポリカーボネート樹脂に配合することで、難燃性を十分に維持することができることが判明した。本発明は以下の理論に拘束されることはないが、難燃性は以下の機構によって生じるものと考えられる。
(1)マトリックス樹脂(芳香族ポリカーボネート)に対する多層構造重合体の外殻層の混和性により、ポリカーボネート樹脂中におけるジエン含有多層構造重合体の分散性が向上し、(2)燃焼時に、樹脂組成物からのラジカルが多層構造重合体の内層のジエン成分により補足され、そして(3)多層構造重合体の内層のジエン成分により炭化層が形成する。
本発明で使用するジエン含有多層構造重合体は、粒状であり、好ましくは球状である。ジエン含有多層構造重合体の粒子径は200nm〜500nmの範囲が好ましい。ジエン含有多層構造重合体の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.2〜20重量部である。配合量が0.2重量部未満であると衝撃強度及び難燃性の改善効果が少なくなる傾向があり、20重量部を越えると耐熱性や難燃性が低下する傾向がある。配合量は、好ましくは0.3〜15重量部であり、より好ましくは0.5〜10重量部である。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物においては、リン系難燃剤を配合しないか、配合する場合でもその配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.5重量部未満である。リン系難燃剤を配合しないか、配合量をごく少量にすることによって、アイゾット衝撃強度や耐熱性が高くなり、成形の際にモールドデポジットが生じず、成形品の表面にシルバーストリーク状の外観不良が生じず、さらには吸湿による難燃性の低下も起こらないことが判明した。リン系難燃剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.3重量部以下であり、より好ましくは0.2重量部以下であり、さらに好ましくは0.1重量部以下であり、最も好ましくは実質的に配合しないことである。
リン系難燃剤を使用する場合、その種類は特に限定されないが、公知のリン酸エステル系難燃剤などが好ましく使用され、例えば燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジルなどの燐酸エステル、フェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェートなどの縮合燐酸エステルなどが挙げられる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物においては、臭素系難燃剤も配合しないか、配合するとしても臭素系難燃剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.5重量部未満である。臭素系難燃剤の配合量が0.5重量部以上であると、燃焼時に臭素系ガスの発生が著しく、環境を悪化させるだけでなく、成形機の金型などの腐食などが発生しやすくなる。臭素系難燃剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、より好ましくは0.3重量部以下であり、さらに好ましくは0.1重量部以下であり、最も好ましくは配合しないことである。臭素系難燃剤としては、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロデカンなどが挙げられる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、所望の物性を得る等の必要に応じて、その性能を著しく損なわない範囲で他の追加成分を含んでいてもよい。他の追加成分としては、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤等の安定剤、顔料、染料、滑剤、その他難燃剤、離型剤、摺動性改良剤等の添加剤、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維等の強化材、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカーなどを配合することができる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、また、芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合することができる。芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂の種類および配合量は、成形性、耐薬品性等の性能を向上するなどの目的で、適宜選択できる。芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレン及び/又HIPSとの混合樹脂などが挙げられる。スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、HIPS、AS樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、好ましくは、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル系樹脂、HIPS、ABS樹脂などが挙げられる。芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂の配合量は、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂の合計量の50重量%未満であり、より好ましくは40重量%以下であり、最も好ましくは30重量%以下である。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては特に制限はなく、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、有機スルホン酸金属塩、ジエン含有多層構造重合体及びフッ化ポリオレフィン等を一緒に溶融混練する方法、芳香族ポリカーボネート樹脂とフッ化ポリオレフィンをあらかじめ混練後、有機スルホン酸金属塩及びジエン含有多層構造重合体を配合し溶融混練する方法などが挙げられる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形、押出成形などの各種成形方法により種々の成形品に成形することができる。特に、本発明の樹脂組成物は、従来のブロム系難燃剤含有組成物、あるいはリン酸エステル難燃剤含有組成物と比較して、成形加工時の熱安定性が大幅に改善されている。最近の製品の薄肉化により、より厳しい成形条件が求められているが、その様な条件下でもシルバーストリーク、パール光沢等の外観不良或いは物性の低下が抑制されている。従って、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、例えば携帯電話或いはパーソナルコンピューター等のバッテリーケースなど、軽量化、小型化が求められている電子情報機器の部品などの用途に特に好適に使用される。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品は、厚み0.8mmであってもV−0という厳しいレベルの難燃性を満足し、且つ、耐熱性や耐衝撃性にも優れており、厚さ1mm以下の部分を有する薄肉成形品において有用である。本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品のアイゾット衝撃強度は、好ましくは392j/m(40kgfcm/cm)以上であり、より好ましくは441j/m(45kgfcm/cm)以上であり、最も好ましくは490j/m(50kgfcm/cm)以上である。本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品の荷重撓み温度は、好ましくは129℃以上であり、より好ましくは130℃以上である。
本発明を以下の実施例により更に具体的に説明するが、実施例は本発明の単なる例示を意図するものに過ぎない。本発明の精神から離れることなく実施例に変更、修正または改良を加えることができることは当業者に自明であり、本発明の範囲は実施例によって限定されることはない。
実施例および比較例においては次に記載の原材料を用いた。
(1)ポリカーボネート樹脂:ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート、商品名:ユーピロン(登録商標)H−3000、粘度平均分子量18,900、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製品。(以下、「PC樹脂」とも称する。)
(2)有機スルホン酸金属塩−1:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩、商品名:F−114、大日本インキ化学工業(株)製品。
(3)有機スルホン酸金属塩−2:ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム塩、商品名:KSS、ユーシービージャパン製品。
(4)リン系難燃剤−1:燐酸エステル、TPP、大八化学(株)製品。
(5)ポリテトラフルオロエチレン:商品名:ポリフロンF−201L、ダイキン(株)製品。(以下、「PTFE」とも称する。)
(6)多層構造重合体−1:ポリブタジエンで形成された内層とメチルメタクリレート・エチルアクリレート共重合体で形成された外殻層からなる多層構造重合体、商品名:パラロイドEXL−2603、呉羽化学(株)製品。
(7)多層構造重合体−2:ブタジエン・スチレン共重合体で形成された内層とポリ(メチルメタクリレート)で形成された外殻層からなる多層構造重合体、商品名:メタブレンE−901、三菱レイヨン(株)製品。
(8)多層構造重合体−3:ポリ(アルキルアクリレート)で形成された内層とポリ(メチルメタクリレート)で形成された外殻層からなる多層構造重合体、商品名:パラロイドEXL−2315、呉羽化学(株)製。
(9)多層構造重合体−4:シロキサン含有ポリ(アルキルアクリレート)で形成された内層とポリ(メチルメタクリレート)で形成された外殻層からなる多層構造重合体、商品名:メタブレンSX−005 三菱レイヨン(株)製品(10)多層構造重合体−5:シロキサン含有ポリ(アルキルアクリレート)で形成された内層とスチレン・アクリロニトリル系共重合体で形成された外殻層からなる多層構造重合体、商品名:メタブレンSRX−200、三菱レイヨン(株)製品
試験片の物性評価は次に記載のように行った。
(11)燃焼性:0.8mm厚みのUL規格の試験片により垂直燃焼試験を行い、評価した。総燃焼時間は5本10回燃焼時の燃焼時間の合計、最大燃焼時間は10回の燃焼で最大の燃焼時間、綿着火は(着火回数)/(滴下回数)の比である。滴下回数は、試験で滴下した試料の数に等しい。評価結果はアンダーライターズ・ラボラトリーズが定める燃焼性試験に関する安全規格(UL−94)に基づき判定し,「NG」は試料がV−2に合格しないことを示す。
(12)衝撃強度:3.2mmのアイゾット衝撃試験片を成形し、その後0.25Rのノッチを切削し評価を行った。
(13)荷重撓み温度:6.4mmの曲げ試験片を使用し、1.82Mpa(18.5kgf/cm2)荷重の下での荷重撓み温度を測定した。
(14)滞留試験:成形の際、成形機のシリンダー内に樹脂を300℃で3分間滞留させた後、アイゾット衝撃試験片および外観評価用試験片を成形した。
(15)外観評価:滞留試験後の成形品表面におけるシルバーストリークの有無を調べた。シルバーストリークが観察されない場合を○、シルバーストリークが少し観察される場合を△、シルバーストリークが多く観察される場合を×とした。
(16)調湿試験:燃焼試験用試験片を、温度23℃、湿度50%の環境中に1ヶ月管保存後、燃焼性を測定した。
(17)加湿試験:アイゾット衝撃試験片(3.2mm)及び引張り試験片を温度60℃、湿度90%の条件下で500時間保存後、アイゾット衝撃強度及び引張り伸びを測定した。該引張り伸びについては,下記の式に従い、伸びの保持率を算出した。
引張り伸びの保持率(%)=加湿試験後の伸び(%)/加湿試験前の伸び(%)×100
〔実施例1〕
芳香族ポリカーボネート樹脂を100重量部、有機スルホン酸金属塩−1を0.1重量部、ポリテトラフルオロエチレンを0.4重量部、多層構造重合体−1を2重量部配合し、混合物をタンブラーにて15分間混合後、30mm二軸押出機にてシリンダー温度280℃でペレット化し、射出成形機にて0.8mm厚みの燃焼試験片を成形し、燃焼性を評価した。さらに、シリンダー温度270℃にて、アイゾット衝撃試験片及び曲げ試験片を成形し、各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、多層構造重合体−1を多層構造重合体−2に変更する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1において、有機スルホン酸金属塩−1を有機スルホン酸金属塩−2に変更する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例1において、有機スルホン酸金属塩−1の量を0.05重量部に変更する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
実施例1において、多層構造重合体−1の量を5重量部に変更する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005247765
〔比較例1〕
実施例1において、多層構造重合体−1を使用しない以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、多層構造重合体−1を多層構造重合体−3に変更する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
実施例1において、多層構造重合体−1を多層構造重合体−4に変更する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
実施例1において、多層構造重合体−1を多層構造重合体−5に変更する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
実施例1において、リン系難燃剤−1を0.5重量部配合する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例6〕
実施例1において、リン系難燃剤−1を5重量部配合する以外は実施例1と同様の方法でペレット化し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005247765
〔実施例6〕
実施例1において得られたペレットを用いて,滞留試験及び調湿後の難燃性の評価を行った。その結果を表3に示す。また、(17)加湿試験後のアイゾット衝撃強度及び引張り伸びを測定した結果を表4に示す。
〔実施例7〕
実施例1の組成にさらに燐酸エステル0.3重量部を添加してペレットを作成し、実施例6と同様の評価を行った。この結果を表3及び表4に示す。
〔比較例7〕
比較例5において得られたペレットを用いて、実施例6と同様の滞留試験および調湿後の難燃性の評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
〔比較例8〕
比較例6において得られたペレットを用いて、実施例6と同様の滞留試験および調湿後の難燃性の評価を行った。結果を表3および表4に示す。
Figure 0005247765
Figure 0005247765
表1、表2、表3および表4に示す結果から、以下のことが判明した。
(1)実施例1および実施例2が示すように、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に、有機スルホン酸金属塩−1を0.1重量部、ポリテトラフルオロエチレンを0.4重量部、ジエン含有多層構造重合体を2重量部配合すると、0.8mm厚みでのUL−94燃焼試験においてV−0を達成でき、しかもアイゾット衝撃強度は588j/m(60kgfcm/cm)以上の値を示し、荷重撓み温度は130℃以上であり、難燃性、耐衝撃性および耐熱性に優れている。
(2)実施例3が示すように、有機スルホン酸金属塩の種類を変更しても、難燃性のV−0を達成でき、耐衝撃性および耐熱性に優れている。
(3)実施例4および実施例5に示すように、有機スルホン酸金属塩あるいはジエン含有多層構造重合体の配合量を変更しても、難燃性のV−0を達成でき、耐衝撃性および耐熱性に優れている。
(4)比較例1が示すように、ジエン含有多層構造重合体を配合しない場合は、0.8mm厚みでのUL燃焼試験においてはV−2となり難燃性は低く、かつアイゾット衝撃強度も低い。
(5)比較例2〜4が示すように、ジエンを含まない多層構造重合体を配合すると、いずれも0.8mm厚みでのUL−94燃焼試験においては滴下綿着火が有り、燃焼時間も長くV−2もしくはNGとなる。
(6)比較例5〜6が示すように、リン系難燃剤を配合すると、耐衝撃性および耐熱性が低下する。
(7)実施例6が示すように、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、滞留試験後も、シルバーストリークの発生がなく、耐衝撃性にも優れており、吸湿テスト後も難燃性のV−0を達成できる。
(8)比較例7〜8が示すように、リン系難燃剤を配合すると、滞留後はシルバーストリークが発生し、耐衝撃性も低下し、吸湿テスト後は難燃性も低下する。

Claims (13)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)有機スルホン酸金属塩0.01〜5重量部、(C)フッ化ポリオレフィン0.01〜5重量部、(D)ジエン含有多層構造重合体0.2〜20重量部を含み、(B)有機スルホン酸金属塩が、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩であり、リン系難燃剤の配合量が0.5重量部未満であり、(D)ジエン含有多層構造重合体が、ブタジエンを含む単量体を重合して得られるゴム状重合体から主としてなる内層と、メタクリル酸エステル系単量体および/またはアクリル酸エステル系単量体のみを重合して得られる重合体からなる外殻層を有する、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂である、請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が、15,000〜30,000である、請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. (B)有機スルホン酸金属塩の金属がアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. (C)フッ化ポリオレフィンが、ポリテトラフルオロエチレンである、請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. ポリテトラフルオロエチレンが、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンである、請求項5に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂であり、(B)有機スルホン酸金属塩が、パーフルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であり、(C)フッ化ポリオレフィンが、ポリテトラフルオロエチレンである、請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. リン系難燃剤の配合量が芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.3重量部以下である、請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  9. リン系難燃剤の配合量が芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.1重量部以下である、請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  10. リン系難燃剤を実質的に含まない、請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  11. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)有機スルホン酸金属塩0.01〜5重量部、(C)フッ化ポリオレフィン0.01〜5重量部、(D)ジエン含有多層構造重合体0.2〜20重量部を含み、(B)有機スルホン酸金属塩が、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩であり、リン系難燃剤の配合量が0.5重量部未満であり、(D)ジエン含有多層構造重合体が、ブタジエンを含む単量体を重合して得られるゴム状重合体から主としてなる内層と、メタクリル酸エステル系単量体および/またはアクリル酸エステル系単量体のみを重合して得られる重合体からなる外殻層を有する、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物から成る成形品。
  12. アイゾット衝撃強度が392j/m(40kgfcm/cm)以上である、請求項11に記載の成形品。
  13. 荷重撓み温度が129℃以上である、請求項11に記載の成形品。
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