JP5247157B2 - エレベータの地震被害予測装置 - Google Patents
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Description
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの地震被害予測装置の全体を概略的に示すブロック構成図である。
図1において、複数(n台)のエレベータ1−1〜1−n(以下、総称して「エレベータ1(n)」という)は、所定の地域に設置されており、エレベータ保守会社の保守管理下にあるものとする。
一般公衆回線2は、固定電話回線、携帯電話回線(PHS含む)、インタネット通信回線など、回線事業者が提供する通信回線すべてを指している。
通報受信部30は、各エレベータ1(n)の自動通報装置12(n)からの通報を受信して、自動通報装置12(n)からの通報内容が記録された通報経過状況311を作成する。通報経過状況取得部31は、通報受信部30で作成された通報経過状況311を取得する。なお、通報受信部30が利用不可能な場合は、入力部33などを用いて、通報経過状況311を通報経過状況取得部31に直接入力してもよい。
出力部34は、各種情報を出力するためのインタフェース全般(ディスプレイやプリンタなど)により構成されており、総被害状況341と、体制別被害状況342と、停止予測現場リスト343とを出力する。
地震被害予測部32に含まれる各機能の詳細については後述する。
さらに、エレベータ地震被害データベース351には、エレベータ保守会社が保有する過去の地震発生時の保守対応履歴を分析して得られた停止確率と相関の高い条件について該当/非該当が記載されることが望ましい。停止確率と相関の高い条件は、たとえば最上階数が高いことや、耐震基準、建物の竣工年度などである。
また、サンプルエレベータは、停止確率と相関の高い指標(たとえば、建物の耐震基準や最上階数、地盤など)の構成比率が、所定の比率(地域全体の比率と一致するか、または地域内で均一になるなど)になるよう選定される。
結局、サンプルエレベータは、以上の選定条件のうちの1つまたは複数の条件を満たすように選定される。
上記選定条件に基づいてサンプルエレベータの選定が完了すると、サンプルエレベータの選定時点までに発生した各地震に対して、以下の式(1)のように、予測停止率Pyとサンプルエレベータの停止率Psとの相関を、線形近似式の傾きαおよび切片δを用いて求めておく。
サンプルエレベータリスト352には、最低限として、サンプルエレベータの管理番号が含まれる。また、サンプルエレベータに設置された自動通報装置の発報遅延時間Tsは、小さい値(地震検知の直後、または地震検知から1分後など)にあらかじめ設定されている。
したがって、サンプルエレベータ以外のエレベータの通報遅延時間Tは、平均通信時間Ta[s]、サンプルエレベータ数Nsおよび通信受信部回線数NLを用いて、以下の式(2)のように算出される。
具体的には、サンプルエレベータ以外のエレベータを10等分して、通報遅延時間Tの経過後から10分間の遅延差を設けるか、または、通報受信部30が1分間に受信可能な通信数を超えないように、サンプルエレベータ以外のエレベータを抽出して、通報遅延時間Tに1分ずつ加えて遅延時間とすることを繰り返してもよい。
こうして算出した全エレベータの通報遅延時間は、通報時間遅延リスト353として記憶部35に保存されてもよい。
なお、前提条件として、エレベータ保守会社は、k台のエレベータ1−1〜1−k(ただし、k<n)を、サンプルエレベータ1(k)として選定しているものとする。また、通報経過状況311は通報受信部30にて作成の上、通報経過状況取得部31に送信するものとする。
このとき、(k−t)台のエレベータ1−(t+1)〜1−k(以下、「エレベータ1(k−t)」という)は、地震感知器11(k−t)が作動していないので、通報受信部30への通報を行うことはない。
図2(a)〜(c)は、地震被害の大小に応じた単位時間当たりの通報受信数をグラフで示しており、横軸は時間であり、実線はサンプルエレベータ1(k)からの通報受信数の時間特性、点線はサンプルエレベータ以外のエレベータ1(n−k)からの通報受信数の時間特性である。
図3において、総被害状況算出部321は、まず、通報経過状況取得部31内の通報経過状況311と、記憶部35内のサンプルエレベータリスト352とから、サンプルエレベータ1(k)の停止台数Nspを求める(ステップS1)。
さらに、サンプルエレベータの停止率Psから算出した予測対象地区全体の予測停止率Pyと、エレベータ保守会社の予測対象地域における全管理台数Nzとを乗算して、以下の式(4)のように、予測停止台数Nyを算出する(ステップS5)。
また、地震被害予測部32は、入力部33からユーザが指定した体制別(区別や町名別などの行政単位別、または、エレベータ保守会社が定めた管理体制別など)での被害を算出するために、体制別被害状況算出部322を呼び出す。
図4において、体制別被害状況算出部322は、まず、通報経過状況311に記載された全エレベータが、ユーザが指定した体制区分のいずれの区分に該当するかを、記憶部35に保存されたエレベータ地震被害データベース351を用いて分類し(ステップS11)、この分類に基づく計算から体制別停止数Niを割り出す(ステップS12)。
なお、回線事業者が発信/着信制限している場合には、回線事業者ごとに発信/着信制限のタイミングが異なるとしても、制限される地域は、概して被災地域全域に及ぶことが多く、被災地域のうちの、たとえばある行政単位のみに規制がかかることは少ない。
Nxy=Ny×Px[%]/100[台] ・・・(6)
また、地震が大規模であって、体制別被害状況算出部322の処理終了後も、通報受信部30にて継続的に通報を受信している場合には、時間をあけて、体制別被害状況算出部322を繰り返し呼び出してもよく、これにより、出力部34での体制別被害状況342の予測精度を向上させることができる。
このとき、当該地震の状況として、震源位置や震源深さ、マグニチュード、各地の震度などが入手されていることが望ましい。
図5において、停止予測現場リスト更新部323は、まず、入手した範囲内で、震源位置や震源深さ、マグニチュード、各地の震度など、当該地震の状況を読み込む(ステップS20)。
なお、当該地震の状況が電子化されていない場合には、入力部33を用いて、ユーザが当該地震の状況を入力してもよい。
ステップS22において、Na/Nk≦Ng/Nz(すなわち、NO)と判定されれば、続いて、Na/Nk=Ng/Nzであるか否かを判定する(ステップS23)。
P=Po+Pτu (γ≧q)・・・(7’)
また、ステップS23において、Na/Nk<Ng/Nz(すなわち、NO)と判定されれば、分析中の条件に該当する他のエレベータの停止確率が、平均的な地震に比べて低いと考えられるので、比率割合γにしたがい、当該条件に該当する管理現場の停止確率Pの引き下げ再計算を行う(ステップS25)。
P=Po−Pτd (γ≦q) ・・・(8’)
なぜなら、当該条件管理現場比率Ng/Nzと当該条件被害現場比率Na/Nkとが等しければ、分析中の条件に該当する他のエレベータの停止確率が、平均的な地震と同程度と考えられるので、停止確率Pの再計算が不要となるからである。
なお、停止予測現場リスト343には、最低限として、エレベータの管理番号、号機番号、予測停止確率が含まれる。また、保守作業員への作業指示に必要な情報(物件所在地やエレベータ機種名など)が含まれてもよい。
これにより、エレベータに設置された自動通報装置との通信量を必要最低限に抑えつつ、地震の大小にかかわらず、自動通報装置からの通報が継続して通報受信部30に送信されている状態であっても、地震による被害を予測することが可能となり、地震被害規模に応じた復旧体制を早期に整えることができる。
これにより、停止予測現場リスト343を用いて、復旧進捗率の管理や保守作業員の巡回計画作成などを早期に行うことが可能となり、地震発生から復旧完了までの時間をさらに短縮することができる。
なお、上記実施の形態1(図1)では、情報センタ100において、地震被害予測部32に停止予測現場リスト323を設け、出力部34に停止予測現場リスト343を設けたが、図6に示すように、停止予測現場リスト323および停止予測現場リスト343を削除してもよい。
図6において、情報センタ100A内の地震被害予測部32Aおよび出力部34Aは、前述(図1)の停止予測現場リスト更新部323および停止予測現場リスト343が削除されている。
一般に、中規模以下の地震においては、復旧体勢を整えるまでに通報受信が完了することも多いので、通報経過状況取得部31内の通報経過状況311を、停止予測現場リスト343として代用することにより、前述の実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
なお、上記実施の形態1、2(図1、図6)では、特に言及しなかったが、図7に示すように、情報センタ100B内にサンプルエレベータリスト作成部36を設けるとともに、記憶部35B内に通報遅延時間設定リスト353を作成してもよい。
図8において、サンプルエレベータリスト作成部36は、まず、記憶部35B内のエレベータ地震被害データベース351から記憶情報を読み込み、サンプルエレベータの上限台数と、サンプルエレベータリスト352の選定条件から満たすべき条件とを、少なくとも1つ以上指定する(ステップS31)。
このとき、複数の選定条件を指定する場合は、選定条件の中で、さらに優先順位をつけてもよい。
一方、誤差≦許容値(すなわち、YES)と判定されれば、抽出したエレベータの情報をサンプルエレベータリスト352に出力する(ステップS36)。
最後に、全エレベータ1(n)について、管理番号、号機番号および通報遅延時間を、通報遅延時間リスト353に出力し(ステップS38)、サンプルエレベータリスト作成部36の処理を終了する(ステップS39)。
したがって、サンプルエレベータを使用した予測対象地区全体の停止率および停止数の予測精度を向上させることができる。
なお、上記実施の形態3(図7)では、特に言及しなかったが、図9に示すように、情報センタ100C内に通報遅延時間設定送信部37を設けるとともに、各エレベータ1C(n)内に通報遅延時間設定受信部13−1〜13−n(以下、総称して「通報遅延時間設定受信部13(n)」という)を設けてもよい。
を示す。
また、n台のエレベータ1C(n)には、それぞれ、通報遅延時間設定受信部13(n)が設けられており、通報遅延時間設定受信部13(n)は、一般公衆回線2を介して、通報遅延時間設定送信部37からの送信情報を受信するように構成されている。
通報遅延時間設定送信部37は、記憶部35B内に通報遅延時間リスト353が作成されている状態で送信を開始する。
このとき、通報遅延時間リスト353においては、たとえば、1番目のエレベータ1C−1の通報遅延時間が「10分」と記載されている状態で、エレベータ1C−1の現在の通報遅延時間設定が「1分」となっているものとする。
通報遅延時間設定受信部13−1は、通報遅延時間設定送信部37からの通信を受信し次第、エレベータ1C−1の通報遅延時間設定を「1分」から「10分」に変更する。
これにより、エレベータ設置現場に保守作業員を派遣することなく、通報遅延時間の設定を自動的に変更することができる。なお、通報遅延時間設定送信部37と通報遅延時間設定受信部13(n)との通信処理は、複数日の夜間に分けて、通信負荷を分散させてもよい。
また、各エレベータ1C(n)の通報遅延時間を、情報センタ100C側(リモート)で設定することにより、通報遅延時間の設定を容易に行うことができる。
また、通報遅延時間設定受信部13(n)は、通報遅延時間設定送信部37から通報遅延時間設定を受信して、自動通報装置12(n)の通報遅延時間設定を変更するので、各エレベータ1C(n)に遅延時間設定を自動送信することができる。
Claims (6)
- 複数のエレベータの各エレベータを特定する情報と過去の地震における保守対応履歴とから得られたエレベータ地震被害データベースを有する記憶部と、
前記複数のエレベータに関する通報経過状況を取得する通報経過状況取得部と、
前記エレベータ地震被害データベースおよび前記通報経過状況に基づいて地震被害を予測する地震被害予測部と、
を備えたエレベータの地震被害予測装置であって、
前記地震被害予測部は、体制別被害状況算出部を有し、
前記体制別被害状況算出部は、前記通報経過状況から、エレベータ保守会社が定めた区分別での通報受信比率を求め、前記区分別の被害率または被害台数を予測し、
前記記憶部、前記地震被害予測部および前記通報経過状況取得部に接続された通報受信部をさらに備え、
前記通報受信部は、前記複数のエレベータにそれぞれ設置された自動通報装置からの通報を受信して、前記複数のエレベータの通報経過状況を作成する
ことを特徴とするエレベータの地震被害予測装置。 - 前記記憶部は、前記複数のエレベータのうちのサンプルエレベータを記載したサンプルエレベータリストを有し、
前記地震被害予測部は、総被害状況算出部を有し、
前記総被害状況算出部は、前記通報経過状況から前記サンプルエレベータの停止率を算出し、前記サンプルエレベータの停止率から予測対象地域の総停止率または総停止数を予測することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの地震被害予測装置。 - 前記記憶部に接続されたサンプルエレベータリスト作成部を備え、
前記サンプルエレベータリスト作成部は、あらかじめ定められた条件に基づいて前記サンプルエレベータを選定し、前記サンプルエレベータリストを作成することを特徴とする請求項2に記載のエレベータの地震被害予測装置。 - 前記地震被害予測部は、停止予測現場リスト更新部を有し、
前記停止予測現場リスト更新部は、前記通報経過状況と前記エレベータ地震被害データベースとを用いてエレベータの予測停止確率を補正し、当該地震における停止予測現場リストを作成することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータの地震被害予測装置。 - 前記記憶部および前記地震被害予測部および前記通報経過状況取得部の少なくともいずれか1つに接続されて、各種情報を入出力するためのマンマシンインタフェース機能を有する入力部および出力部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエレベータの地震被害予測装置。
- 複数のエレベータの各エレベータを特定する情報と過去の地震における保守対応履歴とから得られたエレベータ地震被害データベースを有する記憶部と、
前記複数のエレベータに関する通報経過状況を取得する通報経過状況取得部と、
前記エレベータ地震被害データベースおよび前記通報経過状況に基づいて地震被害を予測する地震被害予測部と、
を備えたエレベータの地震被害予測装置であって、
前記地震被害予測部は、体制別被害状況算出部および停止予測現場リスト更新部を有し、
前記体制別被害状況算出部は、前記通報経過状況から、エレベータ保守会社が定めた区分別での通報受信比率を求め、前記区分別の被害率または被害台数を予測し、
前記停止予測現場リスト更新部は、前記通報経過状況と前記エレベータ地震被害データベースとを用いてエレベータの予測停止確率を補正し、当該地震における停止予測現場リストを作成するものであって、
前記停止予測現場リスト更新部は、
前記過去の地震発生時の保守対応履歴を分析することにより得られた停止確率と相関の高い条件の個々について、前記エレベータ保守会社管理下にある全エレベータ数Nz、当該条件に該当する現場数Ng、通報経過状況311に記載された件数Nk、通報経過状況311に記載された件数Nkのうち当該条件に該当する現場数Naを、それぞれ求め、
前記エレベータ保守会社管理下にある当該条件に該当する管理現場比率Ng/Nzと、前記通報経過状況に記載された当該条件に該当する被害現場比率Na/Nkとを比較し、 被害現場比率Na/Nkが管理現場比率Ng/Nz以上の場合には、当該条件の管理現場比率Ng/Nzに対する当該条件の被害現場比率Na/Nkの現場比率割合にしたがい、当該条件に該当する管理現場の停止確率の引き上げ再計算を行い、
被害現場比率Na/Nkが管理現場比率Ng/Nzよりも小さい場合には、前記現場比率割合にしたがい、当該条件に該当する管理現場の停止確率の引き下げ再計算を行う
ことを特徴とするエレベータの地震被害予測装置。
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