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Description

本発明は、低密度で、製本したときのめくりやすさがあり、しかも表面強度の高い印刷用紙に関するものである。
近年、省資源の観点から、紙にも軽量化の要求が高まっている。紙の軽量化とは、紙の厚さは維持したままで軽量化する、すなわち、密度を低くすることである。一方、コミックや雑誌、書籍などに用いられる印刷用紙では、製本したときにページのめくりやすさや開いたときに閉じることなく、開いた状態を保つしなやかさが要求されている。
紙の密度を低くする方法としては、パルプ間に低密度の無機物を満たす方法、発泡性粒子を用いる方法などがある。しかしながら、パルプ間に充填物を満たす方法や発泡性粒子を用いる方法では紙力が著しく低下するほか、添加量が多くなると印刷時の粉落ちの問題が生じる。
また、紙の密度を低くする方法として、嵩高剤を用いる方法が知られている。嵩高剤は紙料中に添加して抄紙することによって紙の密度が低下する機能を有する薬品であり、分子内に疎水基と親水基の両方を有するもの、例えば、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、高級アルコールのプロピレンオキサイド付加物、高級アルコールのブチレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物等のノニオン界面活性剤、あるいは脂肪族ポリアミドアミンなどを例示することができる。
一方、紙のしなやかさは、パルプの種類、紙の密度、紙の水分等多くの因子が関与して発現するものと考えられている。家庭用の紙製品、例えばトイレットペーパー、ティッシュペーパーなどは、その用途上適度な柔らかさが要求されるため、これまでに多くの柔軟剤が開発されている。例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、尿素、パラフィン乳化物、第4級アンモニウム塩などが紙に柔軟性を発現させる効果を持つことが知られている。また、ジ長鎖アルキル型第4級アンモニウム塩を含有する柔軟剤、ジ長鎖アルキル型第4級アンモニウム塩及びグリセリンと、水又は炭素数4以下の脂肪族アルコールを含有する柔軟剤、ラノリン及びラノリン誘導体を含有する柔軟剤、ウレタンアルコール又はその4級化物を含有する柔軟剤、カチオン性オリゴマーを含有する柔軟剤、ポリアミド誘導体を含有する柔軟剤、ピロリドンカルボン酸もしくはその塩なども報告されている。
嵩高剤と柔軟剤は、明確に分類できるものではなく、両方の効果を発揮する薬品もある。
低密度で柔軟性に優れる印刷用紙として、低密度化薬品を含有する紙に尿素と浸透剤を含む表面処理剤を塗工または含浸する柔軟性印刷用紙が開示されている。(特許文献1)しかしながら、剛度を低下させて柔軟性を与えたものであり、しなやかさはあるが、製本したときのめくりやすさについては検討されていない。紙のしなやかさは、剛度によって決まってくるに対し、製本したときのページのめくりやすさは、剛度に加えて平滑度や摩擦係数などが影響しており、剛度を低下させることだけが、めくりやすさを向上させる手段ではない。また、特許文献1では、表面処理剤を塗工または含浸する際に、通常の方法である2ロールサイズプレスコーターやゲートロールコーターによる塗工を前提としており、紙に機械的な圧縮力がかかるので、低密度化という点で不利である。
一方、しっとり感、柔らかさなどの肌触り性に優れた衛生用紙として、保湿剤と柔軟剤を含む薬液を含有し、JISP8111で規定する条件で調湿後の水分率が9.50〜15.00%とされた衛生用紙が提案されている。(特許文献2)しかしながら、衛生用紙に関するものであり、製本したときのめくりやすさや表面強度について検討されたものではない。
紙を嵩高でしなやかにするために、前述した嵩高剤や柔軟剤を使用するほか、原料のパルプの叩解を弱くして、嵩高にする方法がある。しかしこのようにすると、パルプの繊維間結合が弱くなるので表面強度が弱く、印刷時に紙粉、紙むけなどのトラブルが発生するという問題がある。
特開2001−288691号公報 特開2005−113368号公報
本発明の課題は、上記問題の解決を意図したものである。すなわち、低密度であると同時に、製本したときのめくりやすさがあり、しかも表面強度の高い印刷用紙を提供することである。
本発明者らは、印刷用紙を製本したときのめくりやすさを向上させる手段について鋭意検討した結果、単に剛度を低下させるのではなく、平衡水分を通常より高くすることが、めくりやすさに影響を与えることを知見した。
そして、印刷用紙の抄紙工程において、保湿剤を含有させ、標準状態における平衡水分を特定範囲とするとともに、スプレー方式により表面処理剤を塗布することにより、低密度であると同時に、製本したときのめくりやすさがあり、しかも表面強度の高い印刷用紙を提供することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(請求項1の発明)
機械パルプを60〜100重量%含有し、保湿剤が内添および/または外添され、紙力増強剤として酸化澱粉を含む表面処理剤が湿紙にスプレー塗布され、前記酸化澱粉の塗布量が片面あたり0.5〜1.8g/m2でありかつ、温度23℃、湿度50%RHにおける平衡水分が9.0〜12%となるように調整されたことを特徴とする、坪量40〜65g/m2、密度0.20〜0.40g/cm3、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.1:2000 ワックスによる表面強さ試験方法(A法)に基づくワックスピックが10A以上の印刷用紙。
(作用効果)
機械パルプを含有するので、低密度となり、しなやかさを付与することができる。機械パルプの含有率が高く、保湿剤が添加されているので平衡水分が高くなり、摩擦係数が高くなるので、めくりやすさを向上させることができる。更に紙力増強剤を含む表面処理剤により表面強度を付与するとともに、スプレー方式による塗布なので、塗布の際に圧縮力がかかることがなく、低密度でしなやかな印刷用紙を得ることができる
(請求項2の発明)
紙力増強剤として酸化澱粉を含む表面処理剤が湿紙にスプレー塗布する際の湿紙の水分率が、5〜15%であることを特徴とする請求項1記載の印刷用紙。
本発明によれば、低密度で、製本したときのめくりやすさがあり、しかも表面強度の高い印刷用紙を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の印刷用紙の製造には、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、リールパートの各工程からなる抄紙機を用いる。そして抄紙機には表面処理剤を湿紙に塗布するスプレー装置が設置されている。スプレー装置は、ドライヤーパート内に設置することも出来るし、ゲートロールコーター等の既存の塗布装置があれば、その位置に設置することもできる。
本発明にかかる印刷用紙は、原料パルプとして、クラフトパルプ、古紙パルプ、機械パルプなどが使用できる。クラフトパルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、などが使用できる。また、古紙パルプとしては、新聞古紙脱墨パルプ、上質古紙脱墨パルプなどの脱墨パルプが使用できる。機械パルプとしては、ストーングラウンドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等を使用することができる。
本発明にかかる印刷用紙は、機械パルプを60重量%〜100重量%含有している。60〜100重量%の高い配合率とすることで、嵩高さを得ることができるとともにしなやかさを得ることができる。機械パルプのカナダ標準ろ水度(CSF)は100〜200mlに調整されていることが好ましい。ろ水度が100mlより低いと嵩高さが得られず、200mlより高いと結束繊維が多くなり、印刷適性が劣ることになる。
また、上記原料パルプのほかに熱融着性バインダー繊維を使用することもできる。熱融着性バインダー繊維としては、例えば、ポリプロピレンの短繊維、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせが挙げられる。また、ポリエチレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーも使用することができる。これらの熱融着性バインダー繊維は、印刷用紙に必要な表面強度や内部強度を付与することができる。
本発明の印刷用紙には必要に応じて填料を添加することができる。填料の種類は特に限定されず、一般に印刷用紙に使用されている填料を使用することができる。具体的には、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、クレー、シリカなどの無機填料やプラスチックピグメント等を使用することができる。填料はパルプよりも吸湿性が低いので、填料の添加量が多くなると印刷用紙の平衡水分が低くなり、めくりやすさが悪くなるとともに表面強度が低くなるので、紙中灰分として3%以下とするのが好ましい。
本発明では、原料パルプに硫酸バンド、サイズ剤、嵩向上剤、紙力増強剤などを添加できる。サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸などのサイズ剤が使用できる。紙力増強剤としては、カチオン澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂などが使用できる。その他、必要に応じ、湿潤紙力増強剤、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤、消泡剤、染料等の添加剤も使用することができる。
本発明の印刷用紙には、保湿剤を含有させる。保湿剤とは紙に含有させて、紙の平衡水分を高くする効果のあるものであればよく、具体的には、グリセリン、ポリエチレングリコール、尿素、パラフィン乳化物、第4級アンモニウム塩、カチオン性オリゴマーなどがあげられる。保湿剤を印刷用紙に含有させることにより、保湿剤が繊維を膨潤させて、繊維の水素結合を緩ませ、しなやかさを高めることが出来る。さらに、平衡水分を高くすることにより、摩擦係数を上げることができるので、めくりやすさを向上させることができる。保湿剤を含有させる方法としては、内添および/または外添による。
本発明では、表面強度向上を目的に、紙力増強剤を含む表面処理剤を塗布する。とくに、スプレー装置を用いて紙力増強剤を含む表面処理剤を塗布するのが好ましい。一般的に使用される2ロールサイズプレスコーターやゲートロールコーターなどのロールコーターを用いて表面処理剤を塗布すると、紙がロール間に挟まれ圧縮力を受けるので、紙の密度が高くなると同時に紙のしなやかさを阻害してしまう。一方スプレー塗布では、塗布する際に紙にこのような圧縮力がかることがないので、印刷用紙の嵩を高く維持したまま表面強度を向上することができる。スプレー塗布する紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、酸化澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、スチレンマレイン酸系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体などが使用できる。紙力増強剤に加えて、前述した保湿剤を塗布することもできる。
スプレー塗布する際の湿紙の水分率は5〜15%が好ましく、5〜10%がさらに好ましい。5%より低いとスプレー塗布による水分率の急激な変化により、抄紙工程内での印刷用紙の伸縮が大きくなるのでシワ入りが懸念され、抄紙安定性に乏しくなる。スプレー塗布する際の湿紙水分が15%より高いと、紙力増強剤の紙層内部への浸透が大きく、しなやかさを阻害することになる。
スプレー塗布する表面処理剤のスプレー量は5〜15g/mが好ましい。5g/mより少ないと塗布が不均一になりやすく、15g/mを超えると、スプレー塗布による水分率の変化が大きくなり、抄紙工程内での印刷用紙の伸縮が大きくなるのでシワ入りが懸念され、抄紙安定性が悪くなる。
スプレー塗布では、塗布量が不均一にならないように、スプレーノズルの形状や配置、塗布濃度、塗布量、圧力の設定を行う。
本発明で使用するスプレー方式は1流体スプレー、気−液の2流体スプレーのいずれでもよいが、圧縮空気の必要ない1流体スプレーが好ましい。スプレーノズルの噴霧パターンは扇形、充円錐、空円錐などいずれでもよい。スプレーノズルについては塗布が不均一にならないように間隔や設置本数を調整する必要がある。このようにして、表面処理剤が塗布された印刷用紙の表面強度は、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.1:2000 ワックスによる表面強さ試験方法(A法)に基づくワックスピックで10A以上、好ましくは12A以上とされている。
本発明では、通常の印刷用紙より平衡水分を高くしており、温度23℃、湿度50%の条件での平衡水分を9.0〜12%としている。平衡水分を通常より高くすることで、本をめくる際のめくりやすさを向上させることができる。その理由は、次のように考えられる。すなわち、平衡水分を高くすることにより、印刷用紙のしなやかさが増すとともに、製本したときに紙をめくるときに印刷用紙と指との摩擦が大きくなり、紙が滑りにくくなるので、これらの相乗効果により、めくりやすさが向上すると考えられる。
平衡水分が9.0%より低いと印刷用紙のめくりやすさが不十分となり、12%を超えると、表面強度が低くなり、印刷適性の悪化を招くという問題が生じる。
平衡水分を高くする方法としては、保湿剤を添加するのが有効であるが、その他の方法としては、前述したように填料の添加量を少なくすることのほか、次の方法が挙げられる。
例えば、クラフトパルプを使用する印刷用紙では、クラフトパルプに代えて機械パルプや古紙パルプの含有量を増やすと、紙の平衡水分を高くすることができる。機械パルプはクラフトパルプに比べ、リグニン含有量が多く、平衡水分が高くなる。また、古紙パルプはクラフトパルプに比べ、一般に叩解が進んでおり、パルプ繊維の表面積が大きく、水分の吸着面積が大きいので平衡水分が高くなる。
その他、原料のパルプの叩解を進めて、フリーネスを下げることも、同じ理由で紙の平衡水分を高くすることができる。
これらの手段を組み合わせて、平衡水分を9.0〜12%にすることができる。
本発明の印刷用紙の抄造時の水分率は7〜9%が好ましい。抄造時の水分を高く設定すると紙の水分プロファイルの変動幅が大きくなる傾向があり、一定の品質の紙を製造するのが難しくなる。抄造時の水分を低くすると水分プロファイルの変動幅が小さくなるので、見かけ上、均一な紙が得られるが、高湿条件で使用された場合に吸湿量が大きいので、カールや波うちのトラブルを起こしやすくなる。よって、これらを考慮して、平衡水分よりやや低い7〜9%の水分率で抄造するのが望ましい。
本発明の印刷用紙の製造に際しては、ドライヤーで乾燥後に、カレンダー装置により平滑化するが、目的の平滑性が得られれば、カレンダー処理をしなくてもよい。かかるカレンダー装置としては、チルドカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダーなどの一般に使用されているカレンダー装置が使用できる。要求される平滑性に応じて、ニップ数やニップ圧、ロール温度、ロール材質、ロール硬度などを設定する。
以下、実施例及び比較例により、本発明の効果を具体的に表す。なお、%は特に断りのない限り重量%を表し、添加量は絶乾パルプに対する固形分または有効成分で表す。
(実施例1)
サーモメカニカルパルプ80重量部(110mlCSF)と新聞古紙脱墨パルプ20重量部(230mlCSF)からなる原料パルプ分散液を、硫酸バンドでpHを5.5に調整し、酸性ロジンサイズ剤0.50重量%、嵩高剤(花王株式会社製、商品名:KB−115)0.80重量%を添加して印刷用紙を抄紙した。ドライヤーパートで水分11%の湿紙に酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:王子エースA)を塗布量が片面当たり1.0g/m、保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ソフティーナGT−105)を塗布量が片面当たり0.50g/mとなるようにスプレー塗布、乾燥し、坪量51.2g/mの印刷用紙を得た。スプレー装置は、フラット散水型スプレーノズル(株式会社ニイクラ製 1/4 SO495)を抄紙機の幅方向5cm間隔で配列したもの4系列を紙面両面に塗布できるように設置し使用した。得られた印刷用紙の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
サーモメカニカルパルプ90重量部(110mlCSF)と新聞古紙脱墨パルプ10重量部(230mlCSF)からなる原料パルプ分散液を、硫酸バンドでpHを5.5に調整し、酸性ロジンサイズ剤0.50重量%、嵩高剤(花王株式会社製、商品名:KB−115)0.50重量%を添加して印刷用紙を抄紙した。ドライヤーパートで水分11%の湿紙に酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:王子エースA)を塗布量が片面当たり1.5g/m、保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ソフティーナGT−105)を塗布量が片面当たり0.50g/mとなるようにスプレー塗布、乾燥し、坪量51.2g/mの印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
サーモメカニカルパルプ100重量部(130mlCSF)からなる原料パルプ分散液を、硫酸バンドでpHを5.5に調整し、酸性ロジンサイズ剤0.50重量%、嵩高剤(花王株式会社製、商品名:KB−115)0.50重量%、保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ペレミンES30R)を2重量%添加して印刷用紙を抄紙した。ドライヤーパートで水分11%の湿紙に酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:王子エースA)を塗布量が片面当たり1.8g/mとなるようにスプレー塗布、乾燥し、坪量51.2g/mの印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
サーモメカニカルパルプ100重量部(140mlCSF)からなる原料パルプ分散液を、硫酸バンドでpHを5.5に調整し、酸性ロジンサイズ剤0.50重量%、嵩高剤(花王株式会社製、商品名:KB−115)0.50重量%、保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ペレミンES30R)を2.0重量%添加して印刷用紙を抄紙した。ドライヤーパートで水分11%の湿紙に酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:王子エースA)を塗布量が片面当たり1.0g/m、保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ソフティーナGT−105)を塗布量が片面当たり1.0g/mとなるようにスプレー塗布、乾燥し、坪量51.2g/mの印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
サーモメカニカルパルプ90重量部(140mlCSF)とポリビニルアルコール系バインダー(1dt×3mm、70℃溶融タイプ)10重量部からなる原料分散液を、硫酸バンドでpHを5.5に調整し、酸性ロジンサイズ剤0.50重量%添加して印刷用紙を抄紙した。ドライヤーパートで水分11%の湿紙に酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:王子エースA)を塗布量が片面当たり0.50g/m、保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ソフティーナGT−105)を塗布量が片面当たり0.50g/mとなるようにスプレー塗布、乾燥し、坪量51.2g/mの印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1に示す。
(実施例6)
サーモメカニカルパルプ100重量部(140mlCSF)からなる原料パルプ分散液を、硫酸バンドでpHを5.5に調整し、酸性ロジンサイズ剤0.50重量%、保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ペレミンES30R)を3.0重量%添加して印刷用紙を抄紙した。ドライヤーパートで水分11%の湿紙に酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:王子エースA)を塗布量が片面当たり1.0g/m、保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ソフティーナGT−105)を塗布量が片面当たり2.0g/mとなるようにスプレー塗布、乾燥し、坪量51.2g/mの印刷用紙を得た。得られた印刷用紙の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
表面処理剤を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様に印刷用紙を製造した。
(比較例2)
保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ソフティーナGT−105)を塗布量が片面当たり0.10g/mとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様に印刷用紙を製造した。得られた印刷用紙の評価結果を表1に示す。
(比較例3)
嵩高剤を添加しなかったことと、保湿剤(ミヨシ油脂株式会社製、商品名:ソフティーナGT−105)を塗布量が片面当たり0.10g/mとなるように塗布したことと、表面処理剤の塗布装置をゲートロールコーターに変えたこと以外は実施例1と同様にして、印刷用紙を製造した。得られた印刷用紙の評価結果を表1に示す。
なお、試験方法は次のとおりである。
(厚さ、密度)JISP8118:1998紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法
(平衡水分)JISP8111:1998で規定する条件に基づき標準状態に調湿した後、JISP8127:1998紙及び板紙−水分試験方法−乾燥器による方法により測定
(めくりやすさ評価)印刷用紙を150枚重ねて、A5縦目(縦210mm×横148mm)の寸法に断裁し、ラテックス系接着剤を縦1辺の断裁面に塗布して製本し、官能評価により、めくりやすさを次の4段階で評価した。(◎優れる、○良い、△やや悪い、×悪い)
(表面強度)J.TAPPI紙パルプ試験方法No.1:2000 ワックスによる表面強さ試験方法(A法)
Figure 0005246551
※注)塗工方法のSはスプレー、Gはゲートロールコーターを表す。
表1に示したように、本発明の実施例では、いずれもめくりやすさの評価が良好で、表面強度が良好となっている。特に、平衡水分が高い実施例2、4、6のめくりやすさの評価が優れている。一方、比較例1は、保湿剤を含んでいないので、平衡水分が低く、めくりやすさの評価が悪くなっている。また、表面処理剤を塗布していないので、表面強度が低くなっており、印刷に適さないことが予想される。比較例2は、保湿剤が少ないので、平衡水分が低く、めくりやすさの評価が悪い。比較例3は表面処理剤をゲートロール塗工しており、密度が高く、めくりやすさの評価が悪くなっている。

Claims (2)

  1. 機械パルプを60〜100重量%含有し、保湿剤が内添および/または外添され、紙力増強剤として酸化澱粉を含む表面処理剤が湿紙にスプレー塗布され、前記酸化澱粉の塗布量が片面あたり0.5〜1.8g/m2でありかつ、温度23℃、湿度50%RHにおける平衡水分が9.0〜12%となるように調整されたことを特徴とする、坪量40〜65g/m2、密度0.20〜0.40g/cm3、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.1:2000 ワックスによる表面強さ試験方法(A法)に基づくワックスピックが10A以上の印刷用紙。
  2. 紙力増強剤として酸化澱粉を含む表面処理剤が湿紙にスプレー塗布する際の湿紙の水分率が、5〜15%であることを特徴とする請求項1記載の印刷用紙。
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