以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、同じ構成要素には同じ符号を付しているので説明を省略する場合もある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における薬剤管理方法のフローチャートである。本実施の形態1の薬剤管理方法は、処方発生ステップS01と調剤作業ステップS02とを有する。そして、薬剤管理方法は、調剤作業ステップS02で処方指示がキャンセルされると、薬剤収納体92の払戻処理を指示する払戻作業ステップS03を有する。なお、薬剤収納体92とは薬剤を収納して搬送する容器である。
そして、処方発生ステップS01は、処方発生部において、処方コードと調剤指示情報とを含んだ処方指示を発生させる。
調剤作業ステップS02は、処方指示に基づいて薬剤収納体92毎に薬剤の調剤が行われる。そして、調剤に関する調剤情報を、薬剤収納体92と処方コードとに対応づけて調剤管理部11に通信し、調剤管理部11の管理情報を更新させる。
調剤作業ステップS02で処方指示がキャンセルされると、払戻作業ステップS03は、キャンセルされた処方コードとキャンセル情報とを得る。そして、管理情報より、キャンセルされた処方コードに対応する薬剤収納体92を特定する。そして、キャンセル情報に基づいて、キャンセルを受けた薬剤収納体92の払戻処理を指示する。
このような薬剤管理方法は、キャンセルされた処方コードとキャンセル情報と薬剤収納体とが紐付いている。そして、キャンセルを受けた薬剤収納体92の払戻処理を行う場合、キャンセル情報に基づいて薬剤収納体92の払戻処理が行われる。
なお、キャンセル情報とは、処方箋に対するキャンセルの指示内容のことであり、キャンセルされる薬剤名と個数とを含む。
そして、払戻作業ステップS03は、例えば、払戻処理として、キャンセルされた薬剤収納体92の薬剤が払戻薬剤に該当しているか否かを、薬剤収納体92の管理情報とキャンセル情報とに基づいて判定する。
例えば、管理情報には、薬剤収納体92の中に収納された薬剤名およびその薬剤の個数を示す収納薬剤の情報がある。この収納薬剤の情報とキャンセル情報とを比較して、薬剤収納体92の中にあるキャンセルを受けた薬剤が払戻薬剤であるか否かを薬剤名より判定する。調剤中のために、処方箋のすべての薬剤が薬剤収納体に揃っていない状況であっても的確な判定ができる。
また、薬剤名とキャンセル情報だけでは、再利用できる払戻薬剤に該当するか否かの正確な判定ができない薬剤がある。管理情報の調剤進行情報を用いてキャンセル薬剤が再利用できるか否かの判定ができる。例えば、混合薬剤が混合済みであれば払戻薬剤でなくは廃棄薬剤にする。例えば、保冷薬剤が長い時間常温環境にあれば払戻薬剤でなく廃棄薬剤とする等である。
さらに、払戻作業ステップS03は、例えば、払戻処理として、キャンセルされた薬剤収納体92のキャンセル情報を提示する。払戻作業を行う場所で、キャンセルされた薬剤収納体92のIDコードを取得し、この薬剤収納体92のIDコードに紐付いた、キャンセル情報を提示する。こうすることで、払戻人は薬剤収納体92のキャンセル情報が分かり、薬剤の払戻しを正確に行うことができる。
さらに、払戻作業ステップS03は、例えば、払戻処理として、キャンセルを受けた薬剤収納体92の薬剤が、払戻薬剤に該当するか、廃棄薬剤に該当するか、非キャンセル薬剤に該当するかを、薬剤収納体の管理情報とキャンセル情報とに基づいて判定する。
キャンセルが発生した場合、1つの薬剤収納体92で保持する個々の薬剤が、払戻薬剤、非キャンセル薬剤、および廃棄薬剤のうちのいずれであるかの切り分けを一度で行うことができる。
次に、本実施の形態1のおける薬剤管理システムの詳細を説明する。図2は、本実施の形態1における薬剤管理システムの概念図である。なお、以下の図において、実線は相互に情報をやり取りすることができることを示している。
図2に示すように、本実施の形態1の薬剤管理システム12は、処方発生部(図示せず)と、進行問合部(図示せず)と、薬剤払出部14と、薬剤取揃部15と、薬剤混合部16と、薬剤払戻部17、薬剤搬送部18と、調剤管理部11とを有する。
処方発生部は、医局13の中にあり、患者に対して医師が処方箋を作成し処方指示を発生するための装置である。進行問合部も、医局13の中にあり、調剤の進行状況を問い合わせ、進行状況を明確にするための装置である。薬剤払出部14は、処方箋に基づいて自動的に薬剤を払い出す。薬剤取揃部15は、薬剤払出部14で自動的に払い出せない薬剤を、補充して取揃えるための装置である。薬剤混合部16は、薬剤払出部14で払い出された、または薬剤取揃部15で取揃えられた少なくとも一方の薬剤を混合するための装置である。薬剤払戻部17は、処方箋がキャンセルされた場合等に、調剤作業を行った薬剤を払い戻すための装置である。薬剤搬送部18は、薬剤管理システム12の装置間で薬剤を搬送するための装置である。調剤管理部11は、これら装置間の情報を管理するための装置である。
また、薬剤管理システム12では、薬剤の調剤作業をするために薬剤収納体92を使用する。具体的には、薬剤トレイを使用する。この薬剤収納体92には、固有のIDコードを有するRFIDタグが取り付けられている。言い換えると、識別コードを有する識別タグ素子が取り付けられている。薬剤管理システム12は、薬剤収納体92をシステム全体で使用する。そして、1つの薬剤収納体92は、薬剤払出部14、薬剤取揃部15、薬剤混合部16、薬剤払戻部17および薬剤搬送部18のうちのいずれかの装置へ移動する。そして、薬剤収納体92で様々な調剤作業が行われる。なお、薬剤収納体92は、薬剤を収納して搬送する薬剤収納容器であればよく、例えば搬送用の薬袋や搬送用のボックスであってもよい。
このようにして構成された薬剤管理システム12の一連の流れを、図3を用いて説明する。図3は、調剤作業ステップが複数に分かれた薬剤管理のフローチャートである。
図3において、まず、処方発生部で処方を発生させる処方発生ステップS11が行われる。次に、薬剤払出部14で発生した処方に基づいて薬剤を自動的に払出す薬剤払出しステップS12が行われる。そして、払い出された薬剤が入れられた薬剤収納体92を薬剤搬送部18等で搬送する薬剤搬送ステップS13が行われる。
その後、薬剤取揃部15まで搬送された薬剤収納体92に、人の手で薬剤を補充取揃える薬剤取揃えステップS14が行われる。そして、その補充取揃えが正確に完了しているか否かを監査するための取揃監査ステップS15が行われる。そして、補充取揃えが無事に完了した状態の薬剤収納体92を薬剤搬送部18等で運ぶ薬剤搬送ステップS16が行われる。
その後、薬剤混合部16まで搬送された薬剤収納体92から必要な薬剤が取り出され、薬剤混合部16で薬剤を混合する薬剤混合ステップS17が行われる。その薬剤混合が正確に完了しているか否かを監査するための混合監査ステップS18が行われる。そして、混合が無事に完了した状態の薬剤が入れられた薬剤収納体92を薬剤搬送部18で搬送する薬剤搬送ステップS19が行われ、患者のもとへ薬剤が搬送される。
なお、図1に示す調剤作業ステップS02は、複数の調剤作業部で行われる複数の調剤作業を意味する。ステップS12〜S19の複数の調剤作業は、ステップS02の一例である。
すなわち、調剤作業ステップS02は、薬剤払出しステップS12、薬剤搬送ステップS13、薬剤取揃えステップS14、取揃監査ステップS15、薬剤搬送ステップS16、薬剤混合ステップS17、混合監査ステップS18および薬剤搬送ステップS19のうちの少なくともいずれかを有する。
そして、薬剤払出しステップS12は、薬剤払出部17で、処方指示に応じて自動的に薬剤を払出して薬剤収納体92に入れる。そして、薬剤収納体92のIDコードと処方指示の処方コードとに対応関係をもたせる。そして、対応関係と薬剤収納体92に入れた薬剤に関する払出情報を調剤管理部11に通信し、調剤管理部11の管理情報を更新する。なお、薬剤払出しの内容を示す払出情報は、調剤情報の1つである。また、管理情報を更新するとは、更新した管理情報を調剤管理部11に保存するという意味を含む。
薬剤取揃えステップS14は、薬剤取揃部15において認証した取揃人を登録者情報と比較してチェックする。そして、薬剤収納体92のIDコードを認識し、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の補充薬剤情報を提示する。そして、取揃人情報を含む取揃情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信し、管理情報を更新する。なお、薬剤取揃えの内容を示す取揃情報は、調剤情報の1つである。
取揃監査ステップS15は、薬剤取揃部15において認証した取揃監査人を登録者情報と比較してチェックする。そして、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92に取揃える取揃薬剤情報を提示する。そして、取揃監査人情報を含む取揃監査情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信し、管理情報を更新する。取揃監査の内容を示す取揃監査情報は、調剤情報の1つである。
薬剤混合ステップS17は、薬剤混合部16において混合人を認証して登録者情報と比較してチェックする。そして、薬剤収納体92のIDコードを認識し、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の混合薬剤情報を提示する。混合人情報を含む混合情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信し、管理情報を更新する。なお、薬剤混合の内容を示す混合情報は、調剤情報の1つである。
混合監査ステップS18は、薬剤混合部16において認証した混合監査人を登録者情報と比較してチェックする。そして、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の混合薬剤の混合監査薬剤情報を提示する。混合監査人情報を含む混合監査情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信し、管理情報を更新する。なお、混合監査の内容を示す混合監査情報は、調剤情報の1つである。
そして、調剤作業ステップS02は、複数の調剤が行われても薬剤収納体92毎に調剤情報管理および進行管理ができている。なお、上述した払出情報、取揃情報、取揃監査情報、混合情報および混合監査情報は、いずれも調剤情報である。
また、進行問合部および処方発生部のある医局等から処方箋のキャンセルがあった場合、ステップS12〜S19で調剤作業が行われている薬剤収納体92は、薬剤払戻部17へ移動される。そして、薬剤の払戻しが、払戻作業ステップS20で行われる。なお、ステップS20で払い戻された薬剤は、調剤管理部11等でその個数等を管理することにより、薬剤払出部14、薬剤取揃部15、または薬剤混合部16に戻すこともできる。
続いて、薬剤管理システム12のそれぞれの構成についての詳細を説明する。図4に薬剤管理システム12のブロック図に示す。医局13には、処方発生部21と進行問合部22がある。処方発生部21は、患者に対する医師の処方に基づいて処方コードと調剤指示情報とを含んだ処方指示を発生する。進行問合部22は、処方指示に対する調剤の進行状況を問い合わせる。
なお、本実施の形態1では、処方発生部21と進行問合部22とが医局13にある場合について説明している。しかし、これらの構成は、システムの運用が考慮されれば、処方発生部21と進行問合部22との少なくとも一方が、薬局や薬剤室や集中管理室等の別の場所にも適宜配置することが可能である。
処方発生部21は、処方入力器23と、処方通信器24と、処方表示器20とを有する。処方入力器23は、処方指示を入力するためのPCのキーボードやタッチパネル等を有する。なお、処方指示は処方コードと調剤指示情報とを含む。処方通信器24は、薬剤払出部14の払出通信器および調剤管理部11の管理通信器と通信する。処方表示器20は、処方入力器23で入力される処方指示を表示する。この時の調剤指示情報は、医師の処方箋に基づいた患者への施薬情報であり、薬剤名やその個数やその混合処理内容等の調剤に関係する情報である。なお、個数は分量を含んだ意味で使用し、薬剤は薬品を含んだ意味で使用する。
調剤管理部11は、サーバ等の情報管理機器により構成される。そして、管理通信器25と、管理記憶器26と、管理処理器27とを有する。管理通信器25は、他の装置と情報の送受信を行う。管理記憶器26は、薬剤管理情報を記憶する。管理処理器27は情報の処理を行うためのCPU等である。
薬剤払出部14は、処方指示に応じて自動的に薬剤を払出して薬剤収納体92に入れる。さらに、薬剤収納体92に入れた薬剤に関する払出情報を調剤管理部11へ通信し、管理情報を更新する。
そのために、薬剤払出部14は、払出薬剤収納器31と、ロボットアーム32と、払出通信器33と、RFIDリーダ34と、払出処理器35とを有する。払出薬剤収納器31は払出薬剤を収納する。ロボットアーム32は払出薬剤収納器31から薬剤収納体92へ薬剤を運ぶ。払出通信器33は、薬剤管理システム12の各装置間と通信を行う。RFIDリーダ34は、薬剤収納体92のRFIDタグを読み取る。払出処理器35は、薬剤払出部14の各機器を管理する。
薬剤取揃部15は、薬剤払出部14から取出された薬剤収納体92と調剤指示情報とを比較して、薬剤収納体92に不足している薬剤を補充するためのものである。薬剤取揃部15では、薬剤取揃えおよび取揃監査が行われる。
そのために、薬剤取揃部15は、薬剤取揃棚40と、薬剤収納体設置部41と、人認証器42と、取揃表示器43と、取揃通信器44と、バーコードリーダ45と、取揃処理器46と、を有する。薬剤取揃棚40は薬剤を保管する。薬剤収納体設置部41は薬剤収納体92を置くための設置部である。人認証器42は、取揃人および取揃監査人の認証を行う。取揃表示器43は各種情報を提示する。取揃通信器44は薬剤管理システム12の各装置との間で情報を通信する。バーコードリーダ45は薬剤の薬剤情報を読み取る。取揃処理器46は薬剤取揃部15の各機器を制御する。
薬剤混合部16で、薬剤収納体92に集められた薬剤を必要に応じて混合する薬剤混合と、薬剤混合を監査する混合監査と、が行われる。
そのために、薬剤混合部16は、薬剤混合棚50と、薬剤収納体設置部51と、人認証器52と、混合表示器53と、混合通信器54と、バーコードリーダ55と、混合処理器56とを有する。
薬剤収納体設置部51は、薬剤収納体92を置くための設置部である。人認証器52は、混合人および混合監査人の認証を行う。混合表示器53は各種情報を提示する。混合通信器54は、薬剤管理システム12の各装置との間で情報を通信する。バーコードリーダ55は薬剤の薬剤情報を読み取る。混合処理器56は薬剤混合部16の各機器を制御する。
薬剤搬送部18は、薬剤管理システム12の装置間で薬剤収納体92の搬送を行うためのものである。そのために、薬剤搬送部18は、人認証器62と、搬送表示器63と、搬送通信器64と、RFIDリーダ65と、搬送棚66と、リセットボタン67と、搬送処理器68とを有する。人認証器62は搬送人を認証する。搬送表示器63は各種情報を提示する。搬送通信器64は薬剤管理システム12の各装置との間で情報を通信する。RFIDリーダ65は薬剤収納体92を検出する。搬送棚66は薬剤収納体92を保管する。リセットボタン67は薬剤搬送部18の停止状態を解除する。搬送処理器68は薬剤搬送部18の各機器を制御する。
進行問合部22は、医師や看護師や薬剤師が、調剤作業の進行状況について問い合わせるための装置である。
進行問合作業は、進行問合部22において、処方コードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、処方コードに対応する調剤進行情報を提示する。
そのために、医局13にある進行問合部22は、問合入力器71と、問合表示器72と、問合通信器73とを有する。問合入力器71は処方コードを含んだ調剤問合情報を入力される。問合表示器72は調剤進行情報を表示する。問合通信器73は薬剤管理システム12の各装置との間で情報を通信する。
薬剤払戻部17は、処方指示の全部または一部がキャンセルされた場合に、キャンセルされた薬剤の払戻作業を行うための装置である。
薬剤払戻作業は、薬剤払戻部17において、処方指示に対してキャンセルが発生すると、キャンセルされた処方指示の処方コードに対応する薬剤収納体92のIDコードが特定される。そして、薬剤収納体92の薬剤が払戻薬剤に該当しているか否かは、薬剤収納体92のキャンセル情報および管理情報に基づいて判定される。
そのために、薬剤払戻部17は、薬剤払戻棚80と、薬剤収納体設置部81と、人認証器82と、払戻表示器83と、払戻通信器84と、払戻処理器85とを有する。薬剤払戻棚80は薬剤を保管する。薬剤収納体設置部81は薬剤収納体92を置くための設置部である。人認証器82は払戻人の認証を行う。払戻表示器83は各種情報を提示する。払戻通信器84は薬剤管理システム12の各装置との間で情報を通信する。払戻処理器85は薬剤払戻部17の各機器を制御する。
次に、各装置の動作について説明する。図5に、本実施の形態1における処方発生部21での処方発生のフローチャートを示す。処方発生部21では、処方入力器23により入力された処方コードと調剤指示情報とを含んだ処方指示を発生させる処方発生ステップS31が行われる。次に、薬剤払出部14で薬剤払出が行われる。
薬剤払出部14は、所定の種類の薬剤を、所定の払出薬剤収納器31に瓶、ボトル、アンプル、バイアル等の形で保管収納している。この薬剤払出部14で、処方発生部21の処方指示に応じて払出薬剤収納器31から薬剤が払出される。そして、払出された薬剤は薬剤収納体92に入れられる。薬剤払出部14は、払出薬剤名とその薬剤の個数とに関連する払出情報を、調剤管理部11の管理情報に記録する。さらに、薬剤払出部14は、払出情報と共に、処方指示の処方コードと薬剤収納体92のIDコードとを調剤管理部11の管理情報に記録する。なお、薬剤払出部14への処方指示は、処方発生部21から調剤管理部11を経由して薬剤払出部14へ通信することも可能である。
図6は、薬剤払出部14の主要部分の概略構成図であり、図7は、薬剤払出部14で行われる薬剤払出しを説明するための図である。
図6に示すように、薬剤払出部14は払出薬剤収納器31を6個有する。そして、それぞれの払出薬剤収納器31には同一種類の薬剤が複数個収納されている。ベルトコンベア91aは、その上に置かれた薬剤収納体92を、薬剤払出部14の本体部分に取り込むための構成である。
ここでは、薬剤収納体92に取り付けられたRFIDタグ93は、薬剤収納体92毎に付与されたIDコードを記録する。薬剤払出部14の払出通信器33は、ここでの払出終了後に、払出薬剤名と、その個数と、払出時刻とに関連する払出情報を処方指示の処方コードと薬剤収納体92のIDコードと共に、調剤管理部11の管理通信器25に通信する。
そして調剤管理部11の管理情報が更新される。ベルトコンベア91bは、薬剤払出部14で薬剤の払出しが済んだ薬剤収納体92を、薬剤払出部14の外部へ運び出す。
この薬剤払出部14の払出し動作について説明する。図7に示すように、ロボットアーム32は、処方指示に応じて動く。例えば、払出薬剤収納器94に収納されている薬剤95を1個取り出して薬剤収納体92に入れ、払出薬剤収納器96に収納されている薬剤97を1個取り出して薬剤収納体92に入れる。
RFIDリーダ34は、薬剤収納体92のRFIDタグ93のIDコードを読み取り、払出通信器33に伝える。ここで、薬剤収納体92のRFIDタグ93を読み取るRFIDリーダ34は、薬剤収納体92のIDコードを読み取るためのIDコード読取器である。なお、RFIDリーダ34は、識別タグ素子の読取器でもある。
RFIDタグ93は、IDコードが記録されたRFIDタグに限らず一次元バーコードや二次元バーコード等を使用することも可能である。バーコードを読み取るために、RFIDリーダ34をバーコードリーダに変更することも、本発明に含まれるものである。
また、払出薬剤収納器94、96から薬剤95、97を取り出すには、多関節型のロボットアーム32に限らず、直交型のロボット等、他の取出機構を適宜用いてもよい。これらの薬剤払出部14での各機器は、それぞれの構成と接続された払出処理器35により制御される。
図8は、薬剤払出部14で行われる薬剤払出しのフローチャートである。図8に示すように、薬剤払出部14で、処方指示に応じて払出薬剤収納器94、96から払出薬剤を取り出して薬剤収納体92に入れる自動払出ステップS41が行われる。そして、薬剤収納体92のIDコードと処方指示の処方コードとに対応関係をもたせ、その対応関係と薬剤収納体92に入れた薬剤に関する払出情報とを調剤管理部11に通信する払出通信ステップS42が行われる。
薬剤払出部14で薬剤払出しが行われた後、薬剤取揃部15で薬剤取揃えが行われる。薬剤取揃部15は、薬剤払出部14から取出された薬剤収納体92に対して、調剤指示情報と比較して不足している薬品を補充するための装置である。調剤指示情報での薬剤には、劇薬や毒薬に該当する薬剤が含まれているが、これらは厳重な管理が必要な管理薬である。なお、劇薬とは、激しい薬理作用をもつ薬剤を意味する。
これらの管理薬は、薬剤払出部14により簡易に自動払い出しを行うことができない。そのため、薬剤取揃部15で厳重な管理を行う。そして、薬剤師や看護師等の限られた調剤作業者によって補充し取揃される必要がある。また、温度管理の必要な輸液バッグも薬剤取揃部15において補充取揃される必要がある。なお、薬剤取揃部15の各機器は、取揃処理器46により制御される。
図9は、薬剤取揃部15の主要部分の概略構成図である。薬剤収納体92は、調剤作業者によって薬剤取揃部15に運ばれる。調剤作業者は、人認証器42によって虹彩認証による取揃人の認証を行う。
まず、人認証器42は虹彩認証により得られた調剤作業者の作業者情報を登録者情報と比較する。そして、補充取揃を許可されている調剤作業者、すなわち取揃人であるか否かをチェックする。登録者情報には、作業許可されている薬剤師や看護師の虹彩情報と所属や氏名等が登録されている。登録されていない調剤作業者が認証動作を行った場合には、「不許可」という文字が取揃表示器43に表示される。登録されている調剤作業者が認証動作を行った場合には、「許可」という文字が取揃表示器43に表示される。
ここで、人認証器42の認証方法は、虹彩認証に限らず、指紋認証や静脈認証等を用いてもよい。また、認証作業に若干手間を要するが、セキュリティカードによる人認証も可能であり、本発明に含まれる。なお、本実施の形態で人認証を虹彩認証としているのは、取揃人の両手がふさがっている場合や手が汚れている場合等を考慮し、常に確実に人認証を行うことを目的としているためである。
作業許可された取揃人は、薬剤収納体92を専用の薬剤収納体設置部41に置く。RFIDリーダ41aは、薬剤収納体92のRFIDタグ93を読み取り、薬剤収納体92のIDコードを得る。取揃通信器44は、調剤管理部11の管理通信器25と通信して薬剤収納体92のIDコードに対応した管理情報を取得する。
なお、薬剤取揃部15は薬剤の取揃えを視覚的にサポートするために、収納体対応表示器98を有する。さらに、薬剤取揃部15は、管理薬剤を保管する管理薬剤棚ケース99と保冷薬剤を保管する保冷棚ケース100とを有する。さらに、薬剤取揃部15は、調剤作業者が薬剤取揃えの終了したことまたは取揃監査の終了したことを入力するためのボタン101を有する。
図10は、薬剤取揃部15の取揃表示器43の表示画面を示す図である。調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体設置部41に置かれている薬剤収納体92の補充薬剤情報を取揃表示器43に表示する。この取揃表示器43の表示画面を図10に示す。図10に示すような場合は、取揃えられるべき薬剤は、薬剤Aが1個と、薬剤Bが1個と、薬剤Cが1個と、薬剤Dが1個と、輸液バッグEが1個である。
図11は、収納体対応表示器98の概要を示す図である。図11に示すように、収納体対応表示器98には、薬剤収納体92の大きさと区分けに対応した表示内容で、どこにどの薬剤を取揃えるべきかを表示する。そのため、収納体対応表示器98には、対応する薬剤収納体92の区分け場所に向いた三角矢印を有する区分け表示内容が、図11に示すように3つに分かれて表示される。
この薬剤取揃部15での取揃え動作について説明する。まず、人認証器42によって、調剤作業者を取揃人として作業許可がでると、薬剤取揃棚40の管理薬剤棚ケース99と保冷棚ケース100のロックが解除される。取揃人は、取揃表示器43、収納体対応表示器98の表示を参照しながら、薬剤取揃棚40の管理薬剤棚ケース99や保冷棚ケース100から必要な薬剤を取り出す。取揃人は、取り出した薬剤のビン等をバーコードリーダ45に通して正しい補充取揃薬剤であるか否かをチェックする。取揃表示器43および収納体対応表示器98は、バーコードリーダ45を通した薬剤が補充取揃薬剤に該当していれば「正しい」という文字を表示し、補充取揃薬剤に該当していなければ「間違い」という文字を表示する。取揃人は、取揃表示器43および収納体対応表示器98が「正しい」という文字を表示する場合に、取り出した薬剤を薬剤収納体92の該当場所に入れる。
ここで、バーコードリーダ45で読み取った薬剤について、収納体対応表示器98の該当薬剤名の色を変えることで、現在どの薬剤を取り扱っているかを容易に取揃人に伝えることが可能である。また、薬剤収納体92の区分けに対応する区分け表示内容の枠の色を変えることで、どの区分け場所に取揃えるかについても、取揃人に容易に伝えることが可能である。
そして、薬剤の取揃えがすべて終えると、取揃人はボタン101を押し、取揃動作を終了する。取揃通信器44は、調剤管理部11の管理通信器25と通信する。そして、取揃人情報を含む取揃情報を薬剤収納体92のIDコードと共に調剤管理部11の管理通信器25に通信する。そして、管理情報が更新される。
ここで、取揃情報に、補充取揃薬剤名、個数、および取揃日時の少なくともいずれかを必要に応じて含めてもよい。また、バーコードリーダ45は薬剤のコードを読み取る薬剤コード読取器である。薬剤の薬剤コードはビン等にバーコードを貼り付けた形式に限らず、RFID等別の記録体に記録して貼り付けてもよく、これらの構成についても本発明に含まれるものである。
次に、取揃監査作業に移る。調剤作業者は、人認証器42によって虹彩認証による取揃監査人の認証を行う。人認証器42は調剤作業者の調剤作業者情報を登録者情報と比較し、取揃監査を許可されている調剤作業者、つまり、取揃監査人であるか否かをチェックする。
登録されていない調剤作業者が認証動作を行った場合には、「不許可」という文字が取揃表示器43に表示される。登録されている調剤作業者が認証動作を行った場合には、「許可」という文字が取揃表示器43に表示される。
取揃監査人が作業許可を受けた場合、取揃通信器44は、RFIDリーダ34によって取得された薬剤収納体92のIDコードに対応した管理情報を、調剤管理部11より取得する。調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体設置部41に置かれている薬剤収納体92の取揃薬剤情報を取揃表示器43と、収納体対応表示器98とに表示する。この表示方式としては、図10、図11に示した取揃のための表示と同様である。しかし、表示内容は、既に薬剤収納体92に取揃えられている取揃済み薬剤が表示されている点が、図10、図11の表示内容と異なる。
取揃監査人は、取揃表示器43または収納体対応表示器98の表示と薬剤収納体92の取揃薬剤とを比較し照合を行う。薬剤の取揃えが正しく行われていた場合に、取揃監査人はボタン101を押し、取揃監査を終了する。このボタン101としては、収納体対応表示器98の一部に設置されたタッチパネル部や、専用の入力ボタン等を用いることができる。取揃通信器44は、取揃監査人情報を含む取揃監査情報を薬剤収納体92のIDコードと共に調剤管理部11の管理通信器25に通信する。そして、調剤管理部11は管理情報を更新する。
ここで、取揃監査情報に、取揃薬剤名や個数や取揃監査日時等を必要に応じて含めてもよい。
なお、取揃人と取揃監査人が同一人の場合には取揃監査人の人認証は不要であるが、作業を区切る意味から再度の人認証動作を入れることが好ましい。
また、取揃間違いを低減させるために、取揃人と取揃監査人は別人であることが好ましい。
図12は、薬剤取揃部15での薬剤取揃および取揃監査のフローチャートである。図12に示すように、薬剤取揃部15では、調剤作業者の調剤作業者情報を登録者情報と比較してチェックする取揃人認証ステップS51が行われる。そして、薬剤収納体92のIDコードを認識する取揃収納体認識ステップS52が行われる。
その後、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の補充薬剤情報を提示する取揃提示ステップS53が行われる。取揃人情報を含む取揃情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する取揃通信ステップS54が行われる。
薬剤取揃部15で薬剤取揃えが行われた後に、続けて取揃監査が行われる。薬剤取揃部15では、取揃監査人を認証し、登録者情報と比較してチェックする取揃監査人認証ステップS55が行われる。薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92に取揃える取揃薬剤情報を提示する取揃監査提示ステップS56が行われる。取揃監査人情報を含む取揃監査情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する取揃監査通信ステップS57が行われる。
ここで、取揃人認証ステップS51と取揃収納体認識ステップS52はどちらが先に行われてもよい。また、取揃通信ステップS54は取揃監査通信ステップS57と同時に行ってもよい。取揃人と取揃監査人が同一の場合には、取揃監査人認証ステップS55は省略できる。
薬剤取揃部15で、薬剤取揃えと取揃監査とが行われた後、薬剤混合部16で薬剤混合と混合監査とが行われる。薬剤混合部16は、薬剤収納体92に取揃えられた薬剤を必要に応じて混合するための構成である。処方指示の調剤指示情報には、混合する薬剤名と分量が含まれている。例えば、輸液バッグに必要量の劇薬を混入させる等の指示情報である。この薬剤混合部16での各機器は、混合処理器56により制御される。
図13は、薬剤混合部16の主要部分の概略構成図である。薬剤収納体92は調剤作業者によって薬剤混合部16の薬剤混合棚50に運ばれる。調剤作業者は、人認証器52によって虹彩認証による混合人の認証を行う。人認証器52は調剤作業者の作業者情報を登録者情報と比較し、混合作業を許可されている調剤作業者、つまり混合人であるか否かをチェックする。登録者情報には、混合人として作業許可されている薬剤師や看護師の虹彩情報と所属や氏名等が登録されている。登録されていない調剤作業者が認証動作を行った場合には、「不許可」という文字が混合表示器53に表示される。登録されている人が認証動作を行った場合には、「許可」という文字が混合表示器53に表示される。
作業許可された混合人は、薬剤収納体92を専用の置き場所である薬剤収納体設置部51に置く。RFIDリーダ51aは薬剤収納体92のRFIDタグ93を読み取り、薬剤収納体92のIDコードを得る。混合通信器54は、調剤管理部11と通信して薬剤収納体92のIDコードに対応した管理情報を取得する。調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体設置部51に置かれている薬剤収納体92の混合薬剤情報を混合表示器53に表示する。
ここで、混合薬剤情報の表示としては、混合する薬剤名、その個数および混合手順が表示される。なお、個数の代わりに分量を示すこともある。
混合人は、混合表示器53に提示された混合薬剤情報に従って作業する。混合人は、薬剤収納体92から薬剤を取り出して、バーコードリーダ55で薬剤名をチェックする。すると、混合表示器53に混合薬剤情報が提示され、混合人は提示された混合情報に従い薬剤の混合を行う。例えば、混合人は、注射液を指定量、注射器(図示せず)に吸引する。次に、混合人は、薬剤収納体92から輸液バッグ(図示せず)を取り出して、輸液バッグのバーコードをバーコードリーダ55で読み取り薬剤名をチェックする。そして、注射器内の薬剤をこの輸液バッグに注入する。これにより、輸液バッグに薬剤が混合される。混合人は、混合された輸液バッグを薬剤収納体92に戻し、残った薬剤は廃棄する。
薬剤の混合を終えると、混合人はボタン59を押し、混合作業を終了する。このボタン59としては、混合表示器53の一部に設置されたタッチパネル部や、専用の入力ボタン等を用いることができる。混合通信器54は、調剤管理部11と通信をする。そして、混合人情報、混合作業内容を含む混合情報を薬剤収納体92のIDコードと共に調剤管理部11に通信する。そして、調剤管理部11は管理情報を更新する。ここで、混合人情報を含む混合情報に、混合薬剤名やその個数、分量、混合日時等を必要に応じて含めてもよい。
次に、混合監査作業に移る。調剤作業者は、虹彩認証を行う人認証器52によって虹彩認証による混合監査人の認証を行う。人認証器52は調剤作業者の作業者情報を登録者情報と比較し、混合監査を許可されている調剤作業者、つまり混合監査人であるか否かをチェックする。登録されていない調剤作業者が認証動作を行った場合には、「不許可」という文字が混合表示器53に表示される。登録されている調剤作業者が認証動作を行った場合には、「許可」という文字が混合表示器53に表示される。
混合監査人が作業許可を受けた場合は、混合通信器54は、RFIDリーダ51aによって取得された薬剤収納体92のIDコードを、調剤管理部11と通信する。そして、薬剤収納体92のIDコードに対応した管理情報を取得する。調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体設置部51に置かれている薬剤収納体92の混合監査薬剤情報を混合表示器53に表示する。
混合監査人は、混合表示器53の混合監査薬剤情報を参照して薬剤収納体92の混合薬剤をチェックする。混合表示器53に表示された混合監査薬剤情報と薬剤収納体92の混合薬剤が一致した場合に、混合監査人はボタン59を押し、混合監査作業を終了する。混合通信器54は、混合監査人情報を含む混合監査情報を薬剤収納体92のIDコードと共に調剤管理部11の管理通信器25に通信する。そして、調剤管理部11は管理情報を更新する。
ここで、混合監査情報に、混合薬剤名やチェック箇所や混合監査日時等を必要に応じて含めてもよい。なお、混合人と混合監査人が同一人の場合には混合監査人の人認証は不要である。しかし、作業を区切る意味から再度の人認証を行うことが好ましい。また、混合間違いを低減させるために、混合人と混合監査人が異なることが好ましい。また、混合監査薬剤情報は必要に応じて提示すればよいが、混合監査薬剤情報としてチェック項目やチェックポイントを表示させることが好ましい。このことは、混合監査の抜けを防ぐことに繋がる。
図14は、薬剤混合部16での薬剤混合および混合監査のフローチャートである。図14に示すように、薬剤混合部16では、混合人を認証し、登録者情報と比較してチェックする混合人認証ステップS61が行われる。次に、薬剤収納体92のIDコードを得る混合収納体認識ステップS62が行われる。次に、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の混合薬剤情報を提示する混合提示ステップS63が行われる。次に、混合人情報を含む混合情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する混合通信ステップS64が行われる。
薬剤混合部16で混合作業が行われた後、続けて混合監査作業が行われる。薬剤混合部16では、混合監査人を認証し、登録者情報と比較してチェックする混合監査人認証ステップS65が行われる。次に、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の混合薬剤の混合監査薬剤情報を提示する混合監査提示ステップS66が行われる。次に、混合監査人情報を含む混合監査情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する混合監査通信ステップS67が行われる。
ここで、混合人認証ステップS61と混合収納体認識ステップS62とは、いずれが先に行われてもよい。混合通信ステップS64は混合監査通信ステップS67と同時に行ってもよい。混合人と混合監査人が同一の場合には、混合監査人認証ステップS65は省略できる。
図15は、薬剤搬送部18の概略構成図である。図15に示すように、薬剤搬送部18は、薬剤収納体92を載せて、病棟に搬送したり、薬剤管理システム12の各機器間を搬送したりするための装置である。
病棟に運ばれる薬剤収納体92は、必ずしも薬剤混合部16で薬剤混合および混合監査を終えたものではない。混合作業が不要な薬剤収納体92は、薬剤取揃部15から、直接、薬剤搬送部18に移される。補充取揃作業と混合作業が不要な薬剤収納体92は、薬剤払出部14から、直接、薬剤搬送部18に移される。これら複数の薬剤収納体92が混在して薬剤搬送部18に移されて病棟等に運ばれる。
本実施の形態1では、薬剤搬送部18として搬送カートを使用している。調剤作業者(図示せず)は、薬剤収納体92を薬剤搬送部18の取手部107に設けられたRFIDリーダ65に近接させる。RFIDリーダ65は薬剤収納体92のRFIDタグ93を読み取り、薬剤収納体92のIDコードを得る。薬剤搬送部18は、搬送通信器64を介して、調剤管理部11と通信して薬剤収納体92のIDコードに対応した管理情報を取得する。
調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の搬送可否情報を搬送表示器63に表示する。
ここで、搬送可否情報とは、薬剤収納体92が搬送許可であるか不許可であるかを示す情報である。搬送不許可の場合には、どの作業が未実施であるかを搬送表示器63に表示する。搬送不許可の薬剤収納体92は、未実施作業の専用保管場所(図示せず)に戻される。なお、薬剤搬送部18の各機器は、搬送処理器68により制御される。
調剤作業者は、搬送許可の薬剤収納体92を薬剤搬送部18の搬送棚66に収納する。調剤作業者は、虹彩認証による人認証器62によって搬送人としての認証を行う。人認証器62は調剤作業者の作業者情報を登録者情報と比較し、搬送作業を許可されているか否かをチェックする。登録者情報には、作業許可されている搬送人の虹彩情報と所属や氏名等が登録されている。薬剤搬送部18はブレーキをかけて停止状態にある。
登録されていない調剤作業者が認証動作を行った場合には、薬剤搬送部18は、「不許可」という文字を搬送表示器63に表示する。さらに、ブレーキにロックをかけて停止状態を維持する。登録されている調剤作業者が認証動作を行った場合には、薬剤搬送部18は、「許可」という文字を搬送表示器63に表示し、薬剤搬送部18は搬送人によって移動可能になる。
所定個数の薬剤収納体92が載せられると、搬送人は薬剤搬送部18を病棟に搬送する。また、搬送不許可の薬剤収納体92を一度でも検知した場合には、人認証器62によって搬送作業を許可される。その後に、搬送人がリセットボタン67を押さなければ薬剤搬送部18はブレーキにロックをかけた停止状態を維持する。搬送通信器64は、搬送人情報と、搬送時刻とを含む搬送情報を調剤管理部11の管理通信器25に通信する。そして、調剤管理部11は管理情報を更新する。
図16は、薬剤搬送部18で行われる搬送作業のフローチャートである。図16に示すように、薬剤搬送部18では、薬剤収納体92のIDコードを得る搬送収納体認識ステップS71が行われる。次に、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の搬送可否情報を提示する搬送提示ステップS72が行われる。次に、調剤作業者の作業情報を登録者情報と比較してチェックする搬送人認証ステップS73が行われる。次に搬送人情報やカート情報を含む搬送情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する搬送通信ステップS74が行われる。
ここで、搬送人認証ステップS73は搬送収納体認識ステップS71の前で行ってもよい。また、搬送収納体認識ステップS71と搬送提示ステップS72とは、所要個数の薬剤収納体92を薬剤搬送部18に載せるまで繰り返して行ない、その後に、搬送人認証ステップS73と搬送通信ステップS74を行ってもよい。
なお、上述した、薬剤払出部14と、薬剤取揃部15と、薬剤混合部16と、薬剤搬送部18とは、薬剤管理システム12の調剤作業部である。また、薬剤払出しと、薬剤取揃えと、取揃監査と、薬剤混合と、混合監査と、薬剤搬送とは、調剤作業部で行われる調剤作業である。また薬剤払出部14での自動払出しと、薬剤取揃部15での薬剤取揃えは、収納体に薬剤を集めることなので、薬剤収集作業と考えてもよい。
上述した薬剤払出部14は、注射薬の自動払出しについて記載しているが、自動散薬分包機、自動錠剤分包機についても、薬剤払出部14として考えられる。よって、薬剤払出部14が2台存在する場合も考えられる。
図4に示す、進行問合部22は、医師や看護師や薬剤師等の問合人が調剤作業の進行状況について問い合わせるための装置である。進行問合部22は、問合入力器71と問合表示器72を備えている。問合人は、問合入力器71によって処方指示の処方コードを含んだ調剤問合情報を入力し、問合通信器73を介して調剤管理部11に通信する。調剤管理部11は、処方コードに対応づけられた薬剤収納体92の管理情報に基づいて、処方指示に対応する調剤進行情報を進行問合部22に通信する。進行問合部22の問合表示器72は、調剤管理部11の調剤進行情報を表示する。ここで、調剤進行情報は、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいた調剤の進行状況を表す情報である。例えば、薬剤払出し終了、薬剤取揃え終了、薬剤混合終了、搬送中等である。
図17は、進行問合部22での進行問合せのフローチャートである。進行問合部22では、処方指示の処方コードを含んだ調剤問合情報を、調剤管理部11に通信する進行問合ステップS81が行われる。そして、調剤管理部11の管理情報に基づいて、処方指示に対応する調剤進行情報を報知する進行回答ステップS82が行われる。
図4に示す、調剤管理部11は、一連の調剤作業の各種情報を記録して管理するための装置である。調剤管理部11は、処方発生部21、薬剤払出部14、薬剤取揃部15、薬剤混合部16、薬剤搬送部18、薬剤払戻部17および進行問合部22のいずれかと通信して、所要の情報を更新する。管理通信器25は、処方通信器24と、払出通信器33と、取揃通信器44と、混合通信器54と、搬送通信器64と、払戻通信器84と、問合通信器73とを通信ネットワークで繋げる。なお、通信ネットワークは、有線、無線どちらでもよい。
管理処理器27は、薬剤管理システム12の各装置から入手した情報を加工し、薬剤収納体92のIDコードに対応づけて、処方コードと管理情報とを管理記憶器26に更新する。管理情報は、調剤指示情報、払出情報、取揃情報、取揃監査情報、混合情報、混合監査情報、搬送情報および払戻情報を含んでいる。
管理処理器27は、管理記憶器26の情報を管理通信器25に引き渡し、処方発生部21、薬剤払出部14、薬剤取揃部15、薬剤混合部16、薬剤搬送部18、薬剤払戻部17および進行問合部22と各種情報を通信する。
これにより、薬剤収納体92のIDコードに対応づけられた処方コード、調剤指示情報、払出情報、取揃情報、取揃監査情報、混合情報、混合監査情報、払戻情報、搬送情報および問合情報が、管理情報の一部として管理記憶器26に更新される。なお、本実施の形態1では、調剤指示情報、払出情報、取揃情報、取揃監査情報、混合情報、混合監査情報、払戻情報および搬送情報より、収納薬剤の情報を作成し管理情報に記録する。なお、収納薬剤の情報とは薬剤収納体で保持する薬剤の薬剤名および個数である。
なお、薬剤取揃部15と、薬剤混合部16と、薬剤搬送部18と、薬剤払出部14との各人認証器の登録者情報を調剤管理部11に保存し、各人認証器での認証情報との比較を管理処理器27で行うようにしてもよい。
図18は、調剤管理部11の情報更新のフローチャートである。調剤管理部11では、薬剤払出部14と薬剤取揃部15と薬剤混合部16と薬剤搬送部18と進行問合部22と薬剤払戻部17とに通信する管理制御ステップS86が行われる。薬剤収納体92のIDコードに対応づけて、処方コードと調剤指示情報と払出情報と取揃情報と取揃監査情報と混合情報と混合監査情報と搬送情報と払戻情報等を管理情報として更新する更新ステップS87が行われる。
このように、薬剤管理システム12を用いた薬剤管理方法は、薬剤収納体92毎に調剤作業に関する調剤情報の管理および調剤作業の進行管理ができる。よって、調剤作業が複数に分かれていても、各調剤作業部で行われた調剤作業の内容を正確に把握することができる。
図4に示す、薬剤払戻部17は、処方指示の全部または一部がキャンセルされた場合に、キャンセルされた薬剤の払戻しを行うための装置である。薬剤払戻部17は、払戻処理器85と薬剤払戻棚80とを有する。払戻処理器85は、払戻通信器84を介して医師による処方のキャンセルを受け付ける。そして、処方コードに基づいて、処方指示の処方内容の全部または一部がキャンセルされたことを調剤管理部11の管理通信器25に通信する。これにより、調剤管理部11は、キャンセルされた処方コードとキャンセル情報を得る。ここで、キャンセル情報には全キャンセル、一部キャンセルがある。
図19は、薬剤払戻部17の概略構成図である。薬剤収納体92は調剤作業者によって薬剤払戻棚80に運ばれる。人認証器82は虹彩認証による払戻人の認証を行う。人認証器82は調剤作業者の認証情報を登録者情報と比較し、薬剤払戻を許可された調剤作業者、つまり、払戻人であるか否かをチェックする。登録者情報には、作業許可されている薬剤師や看護師の虹彩情報と所属や氏名等が登録されている。登録されていない調剤作業者が認証動作を行った場合には、「不許可」という文字を払戻表示器83に表示する。登録されている人が認証動作を行った場合には、「許可」という文字を払戻表示器83に表示し、以下の作業を許可する。薬剤払戻部17の各機器は、払戻処理器85により制御される。
払戻人は、薬剤収納体92を専用の置き場所である薬剤収納体設置部81に置く。RFIDリーダ81aは薬剤収納体92のRFIDタグ93を読み取り、薬剤収納体92のIDコードを得る。払戻通信器84は管理通信器25と通信し、調剤管理部11より薬剤収納体92のIDコードに対応した管理情報を取得する。そして、調剤管理部11の管理情報に基づいて、置かれている薬剤収納体92の薬剤払戻情報を払戻表示器83に表示する。薬剤払戻情報とは、薬剤の払戻を行うための各種情報である。
この時、払戻表示器83には薬剤払戻情報として、キャンセルした薬剤名と個数とが含まれるキャンセル情報を提示する。
人認証器82によって払戻人の作業許可がでると、薬剤払戻棚80の管理薬剤払戻ケース111と保冷薬剤払戻ケース112とはロック解除される。払戻人は、払戻表示器83の表示を参照しながら、払戻対象の薬剤を薬剤収納体92から取り出し、薬剤のビン等のバーコードをバーコードリーダ88に読み取らせる。
払戻表示器83は、バーコードリーダ88を通した薬剤が払戻薬剤に該当していれば「払戻薬剤」という文字を薬剤払戻情報として表示する。払戻薬剤に該当していなければ「廃棄薬剤」という文字または「非キャンセル薬剤」という文字を薬剤払戻情報として表示する。払戻人は、「払戻薬剤」という文字の場合に取り出した払戻薬剤を管理薬剤払戻ケース111や保冷薬剤払戻ケース112の所要の棚ケースに払い戻す。
廃棄薬剤であった場合、払戻人は、薬剤払戻情報の廃棄指示に従ってその薬剤を廃棄処理する。薬剤の払戻作業を終えると、払戻人はボタン89を押し、払戻作業を終了する。払戻通信器84は、払戻人情報を含む払戻作業情報を薬剤収納体92のIDコードと共に調剤管理部11に通信し、管理記憶器26の管理情報を更新する。ここで、払戻作業情報に、払戻薬剤名や個数や払戻日時等を必要に応じて含めてもよい。
図20は、薬剤払戻作業ステップS03の概要を示すフローチャートである。まず、処方指示の処方内容の全部または一部がキャンセルされたことを調剤管理部11に通信するキャンセルステップS91が行われる。次に、処方コードを含んだ調剤管理部11の管理情報に基づいて、処方コードに対応した薬剤収納体92のIDコードを得る収納体特定ステップS92が行われる。
そして、キャンセルを受けた薬剤収納体92が、薬剤払戻棚80で認識されると、薬剤収納体92のキャンセル情報を提示するキャンセル提示ステップS93が行われる。
払戻人は、このキャンセル提示を参照して、キャンセル薬剤の薬剤情報をバーコードで検出する。すると、検出された薬剤毎に、払戻薬剤であるか否か判定結果は薬剤払戻情報として払戻表示器83に提示される。
その後、薬剤収納体92のキャンセルされた薬剤が、払戻薬剤に該当している否かを、薬剤収納体92の管理情報に基づいて判定するキャンセル薬剤判定ステップS94が行われる。その判定結果に基づいて薬剤払戻情報が作成される。そして、払戻表示器83に表示される薬剤払戻情報に従いキャンセル薬剤が払い戻される薬剤払戻ステップS95が行われる。
そして、払戻が行われた払戻薬剤名と個数とを含んだ払戻作業情報を、薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する払戻通信ステップS96が行われる。
このように調剤作業において、処方指示に対してキャンセルが発生すると、キャンセルされた処方指示の処方コードに対応する薬剤収納体92が特定される。薬剤払戻部17は、薬剤収納体92の薬剤が払戻薬剤に該当しているかの否かを、薬剤収納体92の管理情報に基づいて判定する。さらに、管理情報に基づいて薬剤収納体92の薬剤払戻情報が提示される。
薬剤払戻情報は、検出された薬剤毎に、払戻薬剤であるか否か判定結果を含む。このように薬剤払戻部17で、払戻薬剤が提示されることにより、キャンセルした薬剤の再利用が可能になる。
なお、払戻作業ステップS03は、キャンセル薬剤判定ステップS94を有する。キャンセル薬剤判定ステップS94は、例えば、払戻処理として、キャンセルされた薬剤収納体92の薬剤が、払戻薬剤に該当しているか否かを、薬剤収納体92の管理情報とキャンセル情報とに基づいて判定する。
キャンセル情報だけでは、再利用できる払戻薬剤に該当するか否かの正確な判断ができない薬剤がある。管理情報を用いてキャンセル薬剤が再利用できるか否かの判定が行われる。キャンセル情報のみでは判断することが困難なキャンセル薬剤に対して、正確な判断を行うことができる。
さらに、払戻作業ステップS03は、例えば、払戻処理として、キャンセルされた薬剤収納体92のキャンセル情報を提示するキャンセル提示ステップS93を有する。
払戻作業を行う場所で、キャンセルされた薬剤収納体92のIDコードを取得し、この薬剤収納体92のIDコードに紐付いた、キャンセル情報を提示する。こうすることで、払戻人は薬剤収納体92のキャンセル情報が分かり、薬剤の払戻しを正確に行うことができる。
さらに、払戻作業ステップS03は、例えば、払戻処理として、薬剤の薬剤情報を検出する薬剤情報検出ステップを有する。さらに、検出した薬剤毎に、払戻薬剤に該当しているか否かの判定を行うキャンセル薬剤判定ステップS94を有する。さらに、払戻薬剤判定結果を薬剤払戻情報として提示する薬剤払戻情報提示ステップを有する。
このように、払戻作業ステップS03が、薬剤情報検出ステップと、キャンセル薬剤判定ステップと薬剤払戻情報提示ステップとを有することで、キャンセル薬剤毎に払戻薬剤判定結果を払戻人へ提示することが可能となる。よって、薬剤の取間違いのない正確な薬剤払戻が行われる。また、キャンセル薬剤判定ステップS94は、キャンセルを受けた薬剤収納体92の薬剤が、払戻薬剤に該当するか、廃棄薬剤に該当するか、非キャンセル薬剤に該当するかを、薬剤収納体の管理情報より判定する。
キャンセルが発生した場合、1つの薬剤収納体92で保持する個々の薬剤が、払戻薬剤、非キャンセル薬剤、および廃棄薬剤のいずれかであるかの切り分けを一度で行うことが可能となる。
また、キャンセル薬剤判定ステップS94は、薬剤収納体92のキャンセルを受けた薬剤が、払戻薬剤に該当するか否かを薬剤収納体92の管理情報にある調剤進行情報より判定する。調剤の進行状況を基に、払戻薬剤に該当するか否かの判定を行うため、より正確な判定を行うことができる。
図21から図27は、払戻作業の詳細なフローチャートである。次に、これらのフローチャートを用いて薬剤払戻作業の詳細な説明を行う。
医師の判断で、一度、処方指示を発生した処方箋に対して、変更、中止がある場合、医師により進行問合部22等は処方箋のキャンセルを発生する。そして、処方指示がキャンセルされたことを調剤管理部11へ通信するキャンセルステップS101が行われる。
キャンセル情報は、まず、薬剤払戻部17へ届く。その後、薬剤払戻部17から調剤管理部11へもキャンセル情報が送られる。キャンセル情報には、調剤指示情報の全部の薬剤、または一部薬剤をキャンセルするという内容が含まれる。
そして、調剤管理部11では、キャンセルされた処方指示の処方コードに対応する薬剤収納体92のIDコードを特定する収納体特定ステップS102が行われる。キャンセル情報は、管理情報の中に、薬剤収納体92のIDコードと紐づけて記録される。
キャンセルされた薬剤収納体92が調剤作業部、例えば薬剤取揃部15に運ばれる。すると、薬剤取揃部15は薬剤収納体92のIDコードを検出し、この調剤管理部11に問い合わせてIDコードに対応する処方指示を取得する。
この時、調剤管理部11では、薬剤収納体92に対するキャンセル情報の有無をチェックしており、キャンセル情報があると、薬剤取揃部15へ、薬剤収納体92に対してキャンセルが発生していることを伝える。そして、薬剤取揃部15は、薬剤収納体92に対してキャンセルが発生していることを提示する。
調剤作業者は、キャンセルが発生していることを知り、薬剤収納体92を薬剤払戻部17へ運び込む。キャンセルを受けた薬剤収納体92が薬剤払戻部17に運び込まれると、薬剤払戻作業が始まる。まず、人認証器82で払戻人の認証する払戻人認証ステップS103が行われる。
人認証器82は調剤作業者の作業者情報を登録者情報と比較し、薬剤払戻を許可された調剤作業者、つまり払戻人であるか否かをチェックする。そして、作業許可されていれば払戻人として認証される。
次に、運び込まれた薬剤収納体92のRFIDタグ93が、RFIDリーダ81aにより読み取られる。つまり、薬剤収納体92のIDコードを認識する払戻収納体認識ステップS104が行われる。
そして、調剤管理部11に問い合わせ、認識された薬剤収納体92のIDコードに対するキャンセル情報の有無が確認される。キャンセル情報があれば、キャンセル情報を含む薬剤収納体92の管理情報を取得する管理情報取得ステップS105が行われる。
図28に管理情報を記した薬剤管理表120を示す。薬剤管理表120には、管理情報として処方コードと、調剤指示情報と、収納体コードと、調剤進行情報と、収納薬剤と、キャンセル情報と、払戻状況と、キャンセル薬剤コードとが記録される。調剤進行情報には、調剤作業が行われた作業時間と、調剤作業を行った作業者が記録されている。調剤作業が行われた作業時間と調剤作業を行った作業者とは、調剤情報である払出情報、取揃情報および混合情報により決定する。
収納薬剤は、薬剤収納体92に集められた薬剤を意味する。調剤情報である払出情報、取揃情報および混合情報より、薬剤収納体92へ集められた薬剤が算出される。
図21のフローチャートに戻り説明する。キャンセル情報を含む管理情報を取得した後、払戻表示器83に薬剤収納体92のキャンセル情報が提示されるキャンセル提示ステップS106が行われる。
キャンセル情報が提示された後、払戻人は薬剤収納体92の中にある薬剤を1つずつ摘み上げて、薬剤のバーコードをバーコードリーダ88で読み取る。そして、薬剤情報検出ステップS107が行われる。
薬剤払戻部17は、検出された薬剤の薬剤情報より薬剤名を認識する。そして、その薬剤名がキャンセル薬剤であるか否かの判定が行われる(ステップS108)。
キャンセル薬剤であれば、検出された薬剤の薬剤名より薬剤種別の分類が行われる(ステップS109)。ここでいう薬剤種別とは、薬剤の管理によるグループや、調剤方法によるグループに分けられる。具体的には、一般薬剤と、取り扱いに薬剤師等による管理を必要とする管理薬剤と、複数の薬剤を合わせて使用する混合薬剤と、温度管理を必要とする保冷薬剤と、に分けられる。混合薬剤は、一般薬剤と、管理薬剤としても考えられるが、ここでは、混合目的の一般薬剤と管理薬剤とは、混合薬剤とする。
薬剤種別の分類は薬剤名がどの薬剤種別に属するかで判断される。次に、分類された薬剤種別毎の払戻作業について説明する。
まず、図22の第2のフローチャートを用いて、一般薬剤に分類された場合を説明する。検出された薬剤が一般薬剤として分類されると、まず、薬剤払戻情報作成ステップS110が行われる。
一般薬剤は、再利用可能な払戻薬剤に該当するので判定結果は払戻薬剤となる。例えば、一般薬剤である薬剤Aが検出されると、一般薬剤は払戻薬剤として薬剤払戻情報が作成される。
そして、薬剤払戻情報として、キャンセル薬剤の判定結果と、キャンセル薬剤の返却先と、キャンセル薬剤の一時置場である置場と、キャンセル薬剤コードとが決まる。
図22のステップS110に薬剤払戻情報の一部を示す。判定結果が払戻薬剤とは、キャンセル薬剤が払戻薬剤に該当したことを意味する。返却先の薬剤払出部A3とは、払戻薬剤を薬剤払出部14の第3ケースへ返却するという意味である。置場とは、薬剤払戻部17で、一時的に払戻薬剤を保管しておくための容器番号、または廃棄薬剤を捨てる廃棄箱を意味する。第1仮置とは、薬剤払出部14へ返却する薬剤を保管する仮置容器を意味する。キャンセル薬剤コードとは、キャンセルを受けた薬剤を管理するための識別番号である。
そして、払戻表示器83で、払戻人へ検出された薬剤の薬剤払戻情報を提示する薬剤払戻情報提示ステップS111が行われる。
次に、キャンセル薬剤であることを示すキャンセル認証情報を記録するキャンセル認証記録ステップS112が行われる。具体的には、キャンセル認証情報として薬剤払戻情報が記録されたラベルを印刷する。次に、調剤管理部11の管理情報およびキャンセル薬剤情報の更新を行う情報更新ステップS113が行われる。
この時、払戻人は、印刷されたラベルを薬剤Aに貼り、提示された薬剤払戻情報に従い、薬剤Aを第1仮置に入れる。薬剤払戻情報が記録されたラベルを薬剤に貼ることは、払戻作業でキャンセル薬剤としての判定を受けた薬剤に対してキャンセル認証情報が記録されたことを意味する。
払戻薬剤として再利用される場合、薬剤に張り付けたシールラベルを見ることにより、通常の薬剤であるか払戻薬剤であるか否かの判断が容易に行うことができる。
なお、キャンセル認証情報の記録としては、ラベルでなくとも、薬剤のRFIDに払戻薬剤であることを記録してもよい。また、薬剤の表面に直接印刷を行ってもよい。薬剤の表面とは、薬瓶、薬袋等の表面の意味も含む。また、薬剤払戻情報でなくとも、単にキャンセル薬剤であることを示すマークであってもよい。
図29は、ラベルを貼りつけたキャンセル薬剤の正面図である。キャンセル薬剤である払戻薬剤121に貼り付けたラベル122には、様々な情報が記録されている。バーコード123は、キャンセル薬剤コードが記録されている。また、ラベル122の切り取り線124の下方には、返却先が記載される。なお、上述した薬剤払戻情報は薬剤Aに関する場合なので、例えば一般薬剤である薬剤Bの場合、返却先は異なる場所になる。
また、情報更新ステップS113では、管理情報に加えてキャンセル薬剤情報の更新が行われる。
図30はキャンセル薬剤情報のキャンセル薬剤管理表を示す図である。キャンセル薬剤管理表130には、キャンセル薬剤コード、判定結果、薬剤名、返却容器のIDコード、置場、返却先、払戻人および払戻作業時刻等のキャンセル薬剤管理情報が記録されている。図30に記載していないが、調剤進行情報を含めてもよい。
上述したように、払戻作業ステップS03は、払戻薬剤または廃棄薬剤として判定を受けたキャンセル薬剤に対して、キャンセル薬剤であることを示すキャンセル認証記録情報を記録するキャンセル認証記録ステップS112を有する。
そして、キャンセル認証情報をキャンセル薬剤毎に記録することで、新規の薬剤とキャンセル薬剤とが混在していても、どれがキャンセル薬剤なのか識別することができる。よって、キャンセル認証情報には、「払戻薬剤」「廃棄薬剤」の文字があるとよい。すると、見ただけで、キャンセル薬剤あることを識別できるようにしておく。
また、キャンセル認証記録ステップS112は、払戻薬剤に対して、キャンセル薬剤コードを含むキャンセル認証情報を記録するとよい。図28に示すよう、薬剤管理表120には、管理情報としてキャンセル薬剤コードが記録されている。このキャンセル薬剤コードを記録することで、キャンセル薬剤コードから、払戻薬剤の履歴を知ることができる。
次に、図23の第3のフローチャートを用いて、管理薬剤に分類された場合ついて説明する。検出された薬剤が管理薬剤として分類されると、まず、薬剤払戻情報作成ステップS114が行われる。管理薬剤は、再利用可能な払戻薬剤に該当するので、判定結果は払戻薬剤となる。よって、管理薬剤は払戻薬剤として薬剤払戻情報が作成される。
図23のステップS114に示す、判定結果が払戻薬剤とは、管理薬剤である薬剤Dが払戻薬剤に該当したことを意味する。返却先が薬剤取揃部15のB3とは、薬剤取揃部15の管理薬剤棚ケース99の第3ケースへ返却するという意味である。置場が、管理薬剤払戻ケースF2とは、管理薬剤払戻ケース111の第2ケースに払戻薬剤を一時的に保管することを意味する。この時、図示していないが、キャンセル薬剤コードも薬剤払戻情報として作成される。
管理薬剤を保管するために、管理薬剤払戻ケース111のそれぞれのケースにも施錠機能を有する。払戻表示器83より払戻人へ薬剤払戻情報を提示する薬剤払戻情報提示ステップS115が行われる。次に、管理薬剤払戻ケース111の第2ケースの施錠を解除する施錠解除ステップS116が行われる。次に、薬剤払戻情報が記録されたラベルが印刷されるキャンセル認証記録ステップS117が行われる。
この時、払戻人は、印刷されたラベルを薬剤Dに貼り、提示された薬剤払戻情報に従い、薬剤Dを管理薬剤払戻ケース111の第2ケースに入れる。
払戻人は、管理薬剤払戻ケース111の施錠をするために、薬剤払戻部17の施錠ボタン(図示せず)を押す。すると、薬剤払戻部17の管理庫が施錠する施錠ステップS118が行われる。そして、調剤管理部11のキャンセル薬剤情報、管理情報の更新する情報更新ステップS119が行われる。
次に、図24の第4のフローチャートを用いて、混合薬剤として分類された場合を説明する。キャンセル薬剤判定ステップS94は、薬剤収納体92の薬剤に混合薬剤が存在する場合、薬剤収納体92の管理情報にある調剤進行情報が混合前であると、混合薬剤は払戻薬剤に該当すると判定する。
つまり、検出された薬剤が混合薬剤として分類されると、まず、混合薬剤が混合作業済みであるか否かの判定が行われる(ステップS120)。
図28に示す薬剤管理表120にあるように、管理情報の中には調剤進行情報が含まれ、調剤作業の履歴が記録されている。例えば、処方コードBQ44の薬剤収納体92にある薬剤は、調剤進行情報を見ると薬剤混合済である。
混合作業済と判定されると、混合作業前で、同じ混合薬剤を含む処方指示がないか調剤管理部11の管理情報が検索される。そして、他の処方指示に同じ混合薬剤があるか否かの判定が行われる(ステップS121)。
混合済みの薬剤は、ある一定の時間以内に使用しなければ、薬剤とし利用できなくなる。ここでは、同じ病院内の処方指示の中に同様の混合薬剤があれば、別の所で使用してもらうための方法である。
他の処方指示に同じ混合薬剤があると、再利用可能な払戻薬剤として薬剤払戻情報を作成する薬剤払戻情報作成ステップS123が行われる。
図24のステップS123に、薬剤払戻情報の一部が示されている。薬剤混合部C1とは薬剤混合部16の第1ケースへ返却するという意味である。置場の緊急容器とは、取急ぎ必要とする調剤作業部へ、払戻薬剤を届けるための容器である。緊急容器にある薬剤は、1つの薬剤収納体92の払戻作業が終わると、返却先へ運ばれる。
また、ステップS121で他の処方指示に同じ混合薬剤がない場合、キャンセル薬剤は廃棄薬剤として薬剤払戻情報作成ステップS124が行われる。
このような混合薬剤は払戻薬剤に該当せず、廃棄薬剤となる。混合薬剤は、時間経過と共に再利用が難しい。すでに処方指示が発生していない混合済みの薬剤は、廃棄薬剤とする。
このような場合、混合薬剤は廃棄薬剤として薬剤払戻情報が作成される。図24のステップS124に、薬剤払戻情報の一部が示されている。判定結果は廃棄薬剤であり、置き場は廃棄薬剤を捨てる廃棄箱となる。
また、ステップ120で、混合作業前と判定されると、再利用可能な払戻薬剤として薬剤払戻情報作成ステップS125が行われる。このような場合、混合薬剤は払戻し薬剤として薬剤払戻情報が作成される。図24のステップS125に薬剤払戻情報の一部が示されている。この時、判定結果は払戻薬剤であり、返却先は薬剤払出部A7であり、置場は第1仮置である。
この時の混合薬剤は一般薬剤でもあるので、薬剤払出部14へ戻されるが、混合薬剤が管理薬剤である場合、返却先は薬剤取揃部15となる。
このように、管理情報の調剤進行情報より混合薬剤の条件分けを行い、混合薬剤が払戻薬剤に該当するか否かが判定された後、薬剤払戻情報作成ステップが行われる。
そして、薬剤払戻情報作成ステップS123、S124、S125が終わると、払戻表示器83で、払戻人へ薬剤払戻情報を提示する薬剤払戻情報提示ステップS126が行われる。次に、薬剤払戻情報が記録されたラベルを印刷するキャンセル認証記録ステップS127が行われる。次に、調剤管理部11のキャンセル薬剤情報、管理情報を更新する情報更新ステップS128が行われる。
この時、払戻人は、印刷されたラベルを薬剤に貼り、提示された薬剤払戻情報に従い、薬剤を指定された置場に置く。なお、廃棄薬剤であっても印刷されたラベルを貼り、払戻薬剤との混同を防ぐようにする。
次に、図25の第5のフローチャートを用いて、保冷薬剤に分類された場合を説明する。キャンセル薬剤判定ステップS94は、薬剤収納体92の薬剤に保冷薬剤が存在する場合、薬剤収納体92の管理情報にある調剤進行情報の取揃え時刻から、保冷薬剤が常温環境へ取り出されてからの滞在時間である常温作業時間を算出する。
そして、常温作業時間が常温管理時間未満であると、保冷薬剤は払戻薬剤に該当すると判定する。つまり、検出された薬剤が保冷薬剤として分類されると、保冷薬剤が常温環境へ取り出されてからの滞在時間である常温作業時間が算出される。そして、常温作業時間が常温管理時間未満であるか否かの判定(ステップS129)が行われる。
図28に示すように、管理情報の中には調剤進行情報が含まれ、調剤作業が行われた時刻が記録されている。この薬剤取揃時刻から、薬剤払戻部17で薬剤が検出された時刻までを常温作業時間として算出される。そして、常温環境にあっても薬剤の利用が可能な時間、常温管理時間と常温作業時間が比較される。
常温作業時間が常温管理時間未満であれば、保冷薬剤は再利用できる払戻薬剤として薬剤払戻情報を作成する薬剤払戻情報作成ステップS130が行われる。
図25のステップS130に薬剤払戻情報の一部を示す。判定結果は払戻薬剤であり、返却先は薬剤取揃部15の保冷棚ケース100であり、置場は保冷薬剤払戻ケース112である。
また、ステップS129で、常温作業時間が常温管理時間以上であれば、保冷薬剤は廃棄薬剤として薬剤払戻情報を作成する薬剤払戻情報作成ステップS131が行われる。
このような保冷薬剤は払戻薬剤に該当せず、廃棄薬剤となる。そして、図25のステップS131に薬剤払戻情報の一部を示す。判定結果は廃棄薬剤であり、置場は廃棄箱となる。
そして、薬剤払戻情報作成ステップS130、S131が終わると、払戻表示器83より払戻人へ薬剤払戻情報の提示する薬剤払戻情報提示ステップS132が行われる。そして、作業者情報が記録されたラベルを印刷するキャンセル認証記録ステップS133が行われる。そして、調剤管理部11のキャンセル薬剤情報および管理情報の更新を行う情報更新ステップS134が行われる。この時、払戻人は、印刷されたラベルを薬剤に貼り、提示された薬剤払戻情報に従い、薬剤を指定された置場に置く。
次に、非キャンセル薬剤の場合を説明する。図21に示すように、薬剤種別の分類(ステップS109)が行われる前に、キャンセル薬剤の判定(ステップS108)が行われる。
処方指示に対するキャンセル情報は、一部の薬剤のキャンセルもあるので、薬剤収納体92の中には、キャンセル薬剤ではない、非キャンセル薬剤も存在する。そのような、非キャンセル薬剤は、キャンセル薬剤を取り除いた後に、薬剤収納体92に戻す。
図26に示すように、キャンセル薬剤の判定(ステップS108)でキャンセル薬剤でないと判定されると、非キャンセル薬剤の薬剤払戻情報を作成する薬剤払戻情報作成ステップS135が行われる。薬剤払戻情報としては、検出された薬剤の判定結果が非キャンセル薬であることを作成する。そして、薬剤払戻情報の提示する薬剤払戻情報提示ステップS136が行われる。そして払戻人へ検出された薬剤が非キャンセル薬であること知らせる。
ステップS130で作成された薬剤払戻情報は、払戻人へメッセージを提示する。しかし、管理情報を更新し、ラベルを印刷することはない。
そして、ステップS113、ステップS119、ステップS128、ステップS134およびステップS136のいずれかが終わると、図27の第7のフローチャートに示すように、薬剤収納体92で保持する薬剤の全数検出が完了したか否かの判定(ステップS137)が行われる。
管理情報にある収納薬剤のすべての薬剤がまだ検出されていなければ、ステップS107に戻る。
管理情報にある収納薬剤のすべての薬剤の検出が終わると、キャンセル情報が全キャンセルであるか否かの判定がなされる(ステップS138)。
全キャンセルであれば、薬剤収納体92は収納体置き場へ返却する。そのために、払戻表示器83に収納体置場への移動メッセージを提示する移動メッセージ提示ステップS139が行われる。
全キャンセルでなければ、非キャンセル薬を薬剤収納体92に戻す。そして、その薬剤収納体92を調剤作業部へ戻す必要がある。よって、薬剤収納体92の移動先を示す移動情報作成ステップS140が行われる。次に、移動情報を払戻表示器83に提示する移動情報提示ステップS141が行われる。次に、収納体移動情報が印刷されたラベルを印刷するラベル印刷ステップS142が行われる。
払戻人は、この移動情報に従い、非キャンセル薬を入れた薬剤収納体92を移動する。このようにして薬剤の払戻作業が行われる。このように、薬剤管理システム12は、患者毎に調剤情報管理と調剤作業の進行管理を行うことができる。そして、各患者への正確な調剤を行うことができる。よって、キャンセル薬剤が発生した場合でも、調剤情報管理と調剤作業の進行管理が正確に行われているので、再利用できる払戻薬剤の判定が可能になる。
なお、払戻し作業は、薬剤払戻部17で行わなくとも、各調剤作業部で行うようにしてもよい。その場合、各調剤作業部で払戻作業を行う場合は、調剤作業部を通常モードから払戻モードに変更して、払戻作業が行われる。
また、バーコードリーダ88で薬剤を検出した時に、払戻薬剤の判定が行われているが、薬剤収納体92が薬剤収納体設置部81に置かれた時に、払戻薬剤の判定が行われてもよい。そして、払戻表示器83には薬剤払戻情報として、キャンセル情報に加えて、払戻薬剤の判定結果を表示させてもよい。バーコードリーダ88で薬剤を検出する前に、払戻人は、薬剤収納体92にある払戻薬剤がどれなのかを知ることができる。
そして、薬剤払戻作業が行われ、置場に払戻薬剤が貯まると、調剤作業者は、管理薬剤払戻ケース111等を調剤作業部へ運び、各調剤作業部で薬剤返却作業を行う。
次に、払戻薬剤を各調剤作業部に戻す返却作業の説明を行う。返却作業の具体例として、薬剤取揃部15に対する管理薬剤の返却作業について説明する。
図31は薬剤取揃部15で行われる、返却作業のフローチャートである。調剤作業者は、薬剤払戻部17の管理薬剤棚ケース99の1つを返却容器として薬剤取揃部15へ運ぶ。そして、調剤作業者は、薬剤取揃部15を薬剤取揃えおよび取揃監査モードから返却作業モードへ切り替える。そして、薬剤取揃部15で返却作業を行う。
まず、返却人認証ステップS151が行われる。人認証器42は調剤作業者の調剤作業者情報を登録者情報と比較し、返却作業を許可されている調剤作業者、つまり、返却人であるか否かをチェックする。登録されていない調剤作業者が認証動作を行った場合には、「不許可」という文字を取揃表示器43に表示する。登録されている調剤作業者が認証動作を行った場合には、「許可」という文字を取揃表示器43に表示し、返却作業を許可する。
つまり、返却人認証ステップS151は、返却人の作業者情報を取得し、返却人に薬剤の返却資格があれば、調剤作業部への薬剤の返却を許可する。
このようにして、払戻薬剤として判定を受けた薬剤を、調剤作業部へ返却する時、返却作業者の作業者情報を取得し、返却作業者に薬剤の返却資格があれば、調剤作業部への薬剤の返却が行われるようにする。
その後、返却容器認識ステップS152が行われる。返却容器のIDコードを認識した後、調剤管理部11より返却容器に収納された払戻薬剤のキャンセル薬剤情報を取得するキャンセル薬剤情報取得ステップS153が行われる。
キャンセル薬剤情報には、返却容器のIDコードも含まれている。返却容器のIDコードより、返却容器に収納する払戻薬剤のキャンセル薬剤情報を取得する。そして、薬剤棚の管理薬剤棚ケース99の施錠を解除する施錠解除ステップS154が行われる。そして、管理薬剤棚ケース99への管理薬剤の返却が可能となる。
ここで、返却人は搬送用管理庫にある管理薬剤を1つずつ取り出し、バーコードリーダ45で払戻薬剤121のラベル122を検出する。薬剤取揃部15では、ラベル122よりキャンセル薬剤コードを検出する薬剤コード検出ステップS155が行われる。そして、検出されたキャンセル薬剤コードに対応したキャンセル薬剤情報が、ステップS153で取得したキャンセル薬剤情報にあるか否かの判定が行われる。つまり、キャンセル薬剤照合ステップS156が行われる。
キャンセル薬剤情報にキャンセル薬剤コードがあると、返却先を提示する返却先提示ステップS157が行われる。例えば、「管理薬剤棚の第2ケースへ返却」という文字が取揃表示器43へ提示される。キャンセル薬剤情報にキャンセル薬剤コードがないと、払戻薬剤以外が持ち込まれたと判断さる。そして、返却できない薬剤である旨の警告メッセージを提示する警告メッセージステップS158が行われる。
このように、払戻薬剤として判定を受けた薬剤のみ、調剤作業部へ返却できないようにする。
そのために、払戻作業ステップS20は、払戻薬剤に対して、キャンセル薬剤コードを含むキャンセル認証情報を記録すると共に、調剤管理部11へキャンセル薬剤コードを記録するキャンセル認証記録ステップS112、S117、S127、S133を有する。
そして、返却作業ステップは、払戻薬剤として判定を受けた薬剤を調剤作業部へ返却する時、次の判定を行うキャンセル薬剤照合ステップS156とを有する。キャンセル薬剤照合ステップS156は、調剤作業部で検出されたキャンセル認証情報のキャンセル薬剤コードが、調剤管理部11に記録されているか否かを判定する。
そして、調剤管理部にキャンセル薬剤コードが記録されていると、適正な薬剤返却が行われていることである。調剤管理部にキャンセル薬剤コードないと、不適切な薬剤返却が行われていることである。
また、払戻薬剤121を返却する時に、返却人が、図29に示す切り取り線124で、返却先と記録しているシール片を切り取る。薬剤取揃部15で、払戻薬剤が使われる時、調剤作業者は、通常の薬剤でなく払戻薬剤であることを、薬剤を見るだけで知ることができる。
そして、ステップS155、ステップS156が終わると、搬送用管理庫の薬剤の全数検出が完了したか否かの判定(ステップS157)が行われる。
全数が完了していなければステップS155に戻り、全数が完了していれば調剤管理部11のキャンセル薬剤情報の更新する情報更新ステップS160が行われる。キャンセル薬剤情報の更新として、払戻作業時間と払戻人とがキャンセル薬剤情報に記録される。
上述のように薬剤管理システム12は、薬剤収納体を特定して正確なキャンセルを行うので、キャンセル時の払戻間違いを低減できる。さらに、薬剤管理システム12は、薬剤搬送に用いる薬剤収納体92に直接薬剤を取揃えることができ、薬剤の移し替え作業は不要になる。また、薬剤収納体92毎に調剤作業管理が可能になる。すなわち、薬剤収納体92に対応した補充薬剤情報を提示でき、取揃間違いを低減できる。また、薬剤収納体92に対応した取揃薬剤情報を提示でき、取揃監査の間違いを低減できる。
そのために、薬剤管理システム12は、処方発生部21と、薬剤払出部14と、薬剤取揃部15と、薬剤混合部16と、薬剤払戻部17と、薬剤搬送部18とを有する。
そして、薬剤管理システム12を用いて以下の方法で、薬剤管理が行われる。処方発生部21では、処方コードと調剤指示情報とを含んだ処方指示を発生させる処方発生ステップS31が行われる。
薬剤払出部14では、薬剤払出しステップS12が行われる。薬剤払出しステップS12は、自動払出しステップS41と払出通信ステップS42とを有する。
自動払出しステップS41は、IDコードを有する薬剤収納体92を使用し、処方指示に応じて自動的に薬剤を薬剤収納体92に払い出す。
払出通信ステップS42は、薬剤収納体92のIDコードと処方指示の処方コードとに対応関係をもたせ、対応関係と薬剤収納体に入れた薬剤に関する払出情報とを調剤管理部11に通信する。
薬剤取揃部15では、薬剤取揃えステップS14と取揃監査ステップS15とが行われる。薬剤取揃えステップS14は、取揃人認証ステップS51と、取揃収納体認識ステップS52と、取揃提示ステップS53と、取揃通信ステップS54とを有する。取揃監査ステップS15は、取揃監査人認証ステップS55と、取揃監査提示ステップS56と、取揃監査通信ステップS57とを有する。
取揃人認証ステップS51は、認証した取揃人を登録者情報と比較してチェックする。取揃収納体認識ステップS52は、薬剤収納体92のIDコードを認識する。取揃提示ステップS53は、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の補充薬剤情報を提示する。取揃通信ステップS54は、取揃人情報を含む取揃情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する。
取揃監査人認証ステップS55は、認証した取揃監査人を登録者情報と比較してチェックする。取揃監査提示ステップS56は、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92に取揃える取揃薬剤情報を提示する。
取揃監査通信ステップS57は、取揃監査人情報を含む取揃監査情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する。
薬剤混合部16では、薬剤混合ステップS17と、混合監査ステップS18とが行われる。薬剤混合ステップS17は、混合人認証ステップS61と、混合収納体認識ステップS62と、混合提示ステップS63と、混合通信ステップS64とを有する。
混合監査ステップS18は、混合監査人認証ステップS65と、混合監査提示ステップS66と、混合監査通信ステップS67と、を有する。
そして、混合人認証ステップS61は、認証した混合人を登録者情報と比較してチェックする。混合収納体認識ステップS62は、薬剤収納体92のIDコードを得る。混合提示ステップS63は、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の混合薬剤情報を提示する。混合通信ステップS64は、混合人情報を含む混合情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する。
そして、混合監査人認証ステップS65は、認証した混合監査人を登録者情報と比較してチェックする。混合監査提示ステップS66は、薬剤収納体92のIDコードに対応した管理情報に基づいて、薬剤収納体92の混合監査薬剤情報を提示する。
混合監査通信ステップS67は、混合監査人情報を含む混合監査情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する。
薬剤搬送部18で、薬剤搬送ステップS19が行われる。薬剤搬送ステップS19は、搬送収納体認識ステップS71と、搬送提示ステップS72と、搬送人認証ステップS73と、搬送通信ステップS74とを有する。
そして、搬送収納体認識ステップS71は、薬剤収納体92のIDコードを得る。搬送提示ステップS72は、薬剤収納体92のIDコードに対応した調剤管理部11の管理情報に基づいて、薬剤収納体92の搬送可否情報を提示する。
搬送人認証ステップS73は、認証した搬送人を登録者情報と比較してチェックする。搬送通信ステップS74は、搬送人情報とカート情報とを含む搬送情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する。進行問合部22で、進行問合ステップS81と進行回答ステップS82が行われる。
進行問合ステップS81は、処方指示の処方コードを含んだ調剤問合情報を調剤管理部11に通信する。進行回答ステップS82は、処方コードと対応づけられた薬剤収納体のIDコードの管理情報に基づいて、処方指示に対応する調剤進行情報を報知する。
薬剤払戻部17で払戻作業ステップS03が行われる。払戻作業ステップS03は、キャンセルステップS91と、収納体特定ステップS92と、キャンセル提示ステップS93と、キャンセル薬剤判定ステップS94と、薬剤払戻しステップS95と、払戻通信ステップS96とを有する。
そして、キャンセルステップS91は、処方指示の処方コードに基づいて、処方指示の処方内容の全部または一部がキャンセルされたことを調剤管理部11に通信する。収納体特定ステップS92は、処方コードを含んだ調剤管理部11の管理情報に基づいて、処方コードに対応した薬剤収納体92のIDコードを得る。キャンセル提示ステップS93は、薬剤収納体92のキャンセル情報を提示する。
キャンセル薬剤判定ステップS94は、キャンセルされた薬剤収納体92の薬剤が、払戻薬剤に該当しているか否かを、薬剤収納体92の管理情報とキャンセル情報に基づいて判定する。薬剤払戻しステップS95は、薬剤収納体92のキャンセルされた薬剤を払い戻す。払戻通信ステップS96は、払戻薬剤名と個数とを含んだ払戻情報を薬剤収納体92のIDコードに対応づけて調剤管理部11に通信する。
調剤管理部11は、管理制御ステップS86と、更新ステップS87とが行われる。管理制御ステップS86は、薬剤払出部14と薬剤取揃部15と薬剤混合部16と薬剤搬送部18と進行問合部22と薬剤払戻部17に通信する。
更新ステップS87は、薬剤収納体92のIDコードに対応づけて、処方コード、調剤指示情報、払出情報、取揃情報、取揃監査情報、混合情報、混合監査情報、搬送情報、払戻情報等の管理情報を更新する。
薬剤管理システム12は、このような構成により、薬剤管理が行われる。
なお、薬剤払戻作業は、調剤作業部と別の場所、別室である薬剤払戻部17で行ってもよい。キャンセルされた薬剤収納体92の払戻薬剤が、未使用の薬剤を保管する薬剤棚等に混入して、キャンセルされた薬剤の紛失や、薬剤払戻作業の忘れを防ぐことができる。
また、薬剤払戻作業は、調剤作業部と別の場所、別室等である薬剤払戻部17で行ってもよい。キャンセルされた薬剤収納体92を特定した調剤作業部で、直ちに薬剤払戻作業を行うことにより、保冷薬剤の常温放置時間となす常温作業時間を短縮でき、廃棄薬剤を減らすことができる。