以下,本発明の実施の形態について,図を用いて説明する。
図1は,EMI測定結果のスペトラムチャートの例を示す図である。
ここでは,まず,EMI測定の結果であるスペクトラムチャートを用いたEMI対策について説明する。
EMI測定では,例えば,スペクトラムアナライザを用いて,被測定装置から放射される電磁波ノイズの周波数ごとの電界強度を測定する。EMI測定では,通常,30MHz〜1000MHzまでの周波数範囲を一度に測定するのではなく,いくつかの帯域に分割して測定を行う。図1に示すスペクトラムチャートは,複数の周波数帯域に分割されて行われたEMI測定の結果が,コンピュータで統合され,印刷されたものである。
EMI対策においては,技術者が,図1に示すようなEMI測定の結果として印刷されるスペクトラムチャートを見ながら,EMI測定の対象である被測定装置から発生される電磁波ノイズへの対策を検討する。
図1に示すスペクトラムチャートにおいて,A点でノイズの電界強度レベルが規制値をオーバーしている。図1において,規制値は,VCCIなどで規定された,被測定装置から発生される電磁波ノイズを規制するための電界強度レベルの限度値である。すなわち,図1の例では点Aでノイズが規制値をオーバーしているので,被測定装置に対してノイズを低減するための対策を行う必要がある。
一般的に,情報処理装置では,特定のクロック周波数の整数倍の周波数の高調波が発生している。そのため,A点の周波数において測定されたノイズへの対策を行うためには,A点の周波数の整数分の1のクロック周波数で動作する回路を,ノイズ発生源の回路として検出する必要がある。しかし,近年のIT機器には複数のクロック回路が存在するため,ノイズ発生源の検出が困難となっている。
図2は,EMI測定結果のデータリストの例を示す図である。
図2に示すEMI測定結果のデータリストは,図1に示すEMI測定結果のスペクトラムチャートに対応する。
図2に示すEMI測定結果のデータリストにおいて,各レコードは,測定された周波数ポイントごとのデータである。EMI測定において,スペクトラムアナライザでは,その管面のドットに対応する周波数の電界強度が測定する。EMI測定結果のデータリストの周波数ポイントは,スペクトラムアナライザのドットに対応する。ここでは,30MHz〜1000MHzの間で,4000個の周波数ポイントがあるものとする。以下,周波数ポイントを単にポイントとも呼ぶ。
図2に示すデータリストにおいて,“Frequency ”は,その周波数ポイントにおける周波数(MHz)を示している。また,“Limit ”は,その周波数ポイントの周波数における規制値(dBμV)を示している。規制値は,例えば,30MHz〜230MHzまでは30dB,230MHz〜1000MHzまでは37dBというように,周波数の範囲ごとに規定されている。また,“Level ”は,その周波数ポイントにおけるノイズ放射レベル(dBμV)である。また,“Margin”は,その周波数ポイントにおける規制値とノイズ放射レベルとのマージン値(dB),すなわち規制値からノイズ放射レベルを差し引いた値である。
以下,図1と図2とを用いて,技術者がクロック周波数の検出を試みる手順の例を説明する。
技術者は,例えば図1に示すスペクトラムチャートの印刷物から,ノイズレベルが規制値を超えたA点を含む等間隔のポイントを,目視で検出する。例えば,図1に示す例では,A点〜B点間,B点〜C点間が等間隔であるように見える。このため,技術者は,A点,B点,C点が特定のクロック周波数を基本の周波数とするノイズの高調波である可能性があると予測する。
技術者は,検出された3点の周波数値を,図2に示すデータリストから目視で検出する。例えば,技術者は,図1において,点Aの周波数がおおよそ420MHzぐらいであることを確認する。次に,技術者は,図2に示す4000個のポイントから,周波数が420MHzぐらいで,マージン値が最も小さいまたはノイズレベルが最も大きいポイントを検出し,A点と判断する。ここでは,図2に示すように,A点,B点,C点の周波数として,それぞれ426.4MHz,520.8MHz,616.0MHzが検出される。
技術者は,得られた各点の周波数値から,A点〜B点間の周波数の差分値,B点〜C点間の周波数の差分値を算出する。以下では,周波数の差分値をギャップ値とも呼ぶ。
ここで,A点とB点の両方の周波数が,それぞれA点〜B点間のギャップ値の整数倍であれば,A点とB点とは,A点〜B点間のギャップ値を基本の周波数とするノイズの高調波である。さらに,A点〜B点間とB点〜C点間が等間隔であり,B点とC点との両方の周波数が,A点〜B点間のギャップ値およびB点〜C点間のギャップ値の整数倍あれば,A点,B点,C点の3点が,同じクロック回路から発生したノイズの高調波であると推測できる。技術者は,A点がA点〜B点間のギャップ値を基本の周波数とするノイズの高調波であることがわかった場合に,その基本の周波数で動作する回路に対してEMI抑制対策を行うことで,A点におけるノイズレベルの改善を図る。
ここで,一般的には,所定の±0.1〜0.5%以内程度の測定系の誤差を含んだ値が,同一値として扱われる。
しかし,実際に図2に示す例では,測定系誤差が例えば±0.5%以内であったとしても,問題のA点の周波数426.4MHzは,A点〜B点間のギャップ値94.4MHzの整数倍ではない。すなわち,A点がA点〜B点間のギャップ値を基本の周波数とするノイズの高調波ではないことがわかる。同様に,B点の周波数520.8とC点の周波数616.0も,それぞれA点〜B点間のギャップ値94.4MHzやB点〜C点間のギャップ値95.2MHzの整数倍ではない。つまり,目視ではA点,B点,C点の3点が等間隔に見えても,実際にはこれらは特定の周波数のノイズの高調波ではない。
そこで,技術者は,図2に示すようにA点〜C点間のギャップ値を計算して,高調波の検出を試みる。しかし,同様に,A点の周波数426.4MHzとC点の周波数616.0とは,A点〜C点間のギャップ値189.6MHzの整数倍ではない。
このように,技術者が手間のかかる計算を繰り返しても,高調波の検出は困難である。また,高調波のもととなるノイズの周波数を検出できたとしても,それが回路図などの装置情報に登録されていない場合や,対策技術者の知識にない場合もあり,その周波数の回路が装置内に実在するのか否かも不明な場合もある。
以下では,コンピュータによって特定の周波数のノイズの高調波を自動検出し,その特定の周波数からノイズ発生源となる回路を推定する,本実施の形態による電磁波妨害対策支援装置について説明する。
図3は,本実施の形態による電磁波妨害対策支援装置の構成例を示す図である。
電磁波妨害対策支援装置100は,ノイズ発生源の抽出を支援する装置である。より具体的には,電磁波妨害対策支援装置100は,EMI測定結果のスペクトラムチャートにおけるノイズレベルの高い周波数ポイントから,周波数が特定の周波数の整数倍である高調波を検出する。電磁波妨害対策支援装置100は,高調波検出のもととなった特定の周波数が,あらかじめ準備しておいた被測定装置が備える回路のクロック周波数リストに存在すれば,その特定周波数で動作する回路がノイズ対策の目標であることを,対策技術者にナビゲーションする。
電磁波妨害対策支援装置100は,コンピュータが備えるCPU,メモリ等のハードウェアと,ソフトウェアプログラムとにより実現される。電磁波妨害対策支援装置100は,EMI測定結果取得部101,EMI測定結果記憶部102,高調波検出方式選択部103,候補周波数抽出部104,候補周波数データ記憶部105,高調波検出部106,高調波検出結果記憶部107,ノイズ発生源推定部108,クロック周波数リスト記憶部109,支援情報出力部110,ノイズ対策決定部111を備える。
EMI測定結果取得部101は,EMI測定の結果を取得する。本実施の形態では,EMI測定結果取得部101は,EMI測定の結果として,例えば図2に示すようなEMI測定結果のデータリストを取得する。取得されたEMI測定の結果は,EMI測定結果記憶部102に記憶される。EMI測定結果記憶部102は,EMI測定の結果を記憶する記憶装置である。
高調波検出方式選択部103は,EMI測定の結果に基づいて,特定の周波数のノイズの高調波を検出する方式を選択する。本実施の形態では,高調波の検出方式が2通り用意されており,高調波検出方式選択部103は,2つの高調波検出方式から最適な方式を選択する。第一の高調波検出方式は,周波数ポイント間の周波数のギャップ値から高調波を検出する方式である。また,第二の高調波検出方式は,周波数の整数分の1の値から高調波を検出する方式である。
EMI測定により検出されるノイズの種類には,ブロードバンドノイズとナローバンドノイズとがある。ブロードバンドノイズは,ある程度の連続する帯域に渡ってノイズレベルがあまり大きく変動しない周波数領域のノイズである。ナローバンドノイズは,近傍の他の周波数ポイントのノイズに対して,ノイズレベルが突出して高くなっているノイズである。周波数が特定の周波数の整数倍である高調波は,ナローバンドノイズである。
高調波が連続して存在するような場合には,ギャップ値から検出するほうが確度が高いため,第一の高調波検出方式の方が適している。一部の周波数帯域がブロードバンドノイズによって隠れているような場合には,その帯域で高調波が途切れるため,第二の高調波検出方式の方が適している。
高調波検出方式選択部103は,ナローバンドノイズとブロードバンドノイズとの切り分けによって,どちらが最適な高調波検出方式かを判定し,選択する。具体的には,高調波検出方式選択部103は,ナローバンドノイズの周波数ポイントの検出を行い,所定周波数帯域幅で連続してナローバンドノイズが検出されなかった場合には,第二の高調波検出方式を選択し,それ以外の場合には第一の高調波検出方式を選択する。
例えば,高調波検出方式選択部103は,連続した100MHzの範囲内にナローバンドノイズが1個以上存在するような場合には,高調波は途切れていないと判断して第一の高調波検出方式を選択する。高調波検出方式選択部103は,連続した100MHzの範囲内にナローバンドノイズが存在しないような場合には,高調波が途切れていると考えられるため,第二の高調波検出方式を選択する。
図4は,本実施の形態によるナローバンドノイズとブロードバンドノイズとの切り分けを説明する図である。
高調波検出方式選択部103は,ナローバンドノイズとブロードバンドノイズとの切り分けを行うために,EMI測定結果の各周波数ポイントについて,そのポイントのノイズレベルと,近傍の所定周波数帯域幅におけるノイズレベルの平均値との比較を行う。
例えば,高調波検出方式選択部103は,図4のP点について,P点のノイズレベルと,P点の周波数±α(MHz)の周波数帯域幅におけるノイズレベルの平均値との比較を行う。高調波検出方式選択部103は,例えばαが2MHzであれば,P点の周波数−2MHz〜P点の周波数+2MHzの範囲のノイズレベル平均値を算出する。
なお,近傍の所定周波数帯域幅は,判定対象のポイントの前後5ポイントというように,周波数ポイントの数で表現されてもよい。例えば,判定対象のポイントの近傍における周波数ポイント間の周波数差が0.4MHzであれば,判定対象のポイントの前後5ポイントは,判定対象のポイントの周波数−2MHz〜判定対象のポイントの周波数+2MHzの周波数帯域幅となる。また,近傍の所定周波数帯域幅が固定でなくてもよい。例えば,被測定装置が備える回路のクロック周波数を低い順に並べて,差が最も小さいものを基準として近傍の所定周波数帯域幅を決定するようにしてもよい。
高調波検出方式選択部103は,判定対象のポイントのノイズレベルが,近傍の所定周波数帯域幅におけるノイズレベルの平均値よりも所定値以上高い場合に,判定対象のポイントにおけるノイズをナローバンドノイズとする。また,高調波検出方式選択部103は,判定対象のポイントのノイズレベルが,近傍の所定周波数帯域幅におけるノイズレベルの平均値よりも所定値以上高くない場合に,判定対象のポイントにおけるノイズをブロードバンドノイズとする。
例えば図4において,高調波検出方式選択部103は,P点のノイズレベルが,P点近傍のノイズレベルの平均値よりも3dB以上高いので,P点のノイズをナローバンドノイズと判定する。また,高調波検出方式選択部103は,Q点のノイズレベルが,Q点近傍のノイズレベルの平均値よりも3dB以上高くないので,Q点のノイズをブロードバンドノイズと判定する。
このように,高調波検出方式選択部103によって,ノイズの状況に応じて適した高調波の検出方式を選択することができ,高調波検出の確度を上げることができる。
図3において,候補周波数抽出部104は,EMI測定の結果から,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する。EMI測定の結果から抽出された候補周波数のデータは,候補周波数データ記憶部105に保存される。候補周波数データ記憶部105は,抽出された高調波の検出対象とする候補周波数のデータを記憶する記憶装置である。
例えば図2にも示すように,EMI測定により得られたスペクトラムチャートは,数千ポイントのデータで構成されている。しかし,そのような多数のポイントから単純に高調波のポイントを検出しようとすると,ノイズレベルの低い周波数ポイントも検出されてしまう。そのため,高調波の検出対象を,あらかじめノイズレベルの高いポイントだけに凝縮しておく必要がある。例えば,候補周波数抽出部104は,図2に示す4000個のポイントのデータを,100個以下の候補周波数のポイントのデータに低減する。
また,各国の規制によりノイズレベルが規制される周波数範囲は様々であるが,代表的な日本国内規制であるVCCIでは,30MHz〜1000MHzの周波数範囲のノイズレベルが規制されている。候補周波数抽出部104は,このように広い範囲において,周波数ポイントが偏らないように,高調波の検出対象を凝縮する必要がある。
すなわち,候補周波数抽出部104は,規定された周波数範囲において周波数ポイントが偏らないようにしながら,ノイズレベルの高い周波数ポイントを高調波の検出対象の候補周波数のポイントとして抽出する。
図5は,本実施の形態による候補周波数の抽出を説明する図である。
図2に示す4000個のポイントからなるEMI測定結果のデータにおいて,候補周波数抽出部104は,まず,奇数番目のポイントのデータと偶数番目のポイントのデータとの比較を行う。候補周波数抽出部104は,規制値に対するノイズレベルのマージン値が小さいポイントのデータを残し,規制値に対するノイズレベルのマージン値が大きいポイントのデータを削除する。すなわち,候補周波数抽出部104は,ノイズレベルが高いポイントのデータを残し,ノイズレベルが低いポイントのデータを削除して,データのポイント数を半減する。候補周波数抽出部104は,半減されたデータについて,同様に隣合うデータのマージン値またはノイズレベルの高低を判定して,さらにデータを半減する処理を繰り返す。
例えば,図5において,候補周波数抽出部104は,周波数が500.4MHzのポイントと周波数が500.8MHzのポイントとのマージン値を比較し,マージン値が小さい500.8MHzのポイントのデータを残して,500.4MHzのポイントを削除する。また,候補周波数抽出部104は,同様に,周波数が501.2MHzのポイントと周波数が501.6MHzのポイントとのマージン値を比較し,マージン値が小さい501.2MHzのポイントのデータを残す。次の段階では,候補周波数抽出部104は,残った周波数が500.8MHzのポイントと周波数が501.2MHzのポイントとのマージン値を比較し,マージン値が小さい501.2MHzのポイントのデータを残して,500.8MHzのポイントを削除する。
候補周波数抽出部104は,このようにデータを半減する処理を繰り返す。例えば,候補周波数抽出部104が,データを半減する処理を6回繰り返すと,候補周波数のデータは,2の6乗分の1個すなわち1/64個になる。例えば,EMI測定結果のデータの個数が4000ポイントの場合には,候補周波数抽出部104は,候補周波数のポイント数を,周波数の偏りがないように63ポイントに低減できる。
なお,候補周波数を抽出する処理には,図5に示す方法以外にも様々な方法がある。例えば,候補周波数抽出部104が隣接した4ポイントの中から最大のノイズレベルのポイントを1個残せばデータは1/4になり,これを3回繰り返すようにしてもよい。また,例えば,4000個のデータを50個に減らすと決めてある場合に,候補周波数抽出部104が連続する80ポイントのデータごとに最大のノイズレベルのポイントを1つずつ抽出し,候補周波数のデータとするようにしてもよい。
また,周波数が特定の周波数の整数倍である高調波はナローバンドノイズであるため,候補周波数抽出部104が,図4に示す方法によって,ブロードバンドのポイントを除外して,候補周波数のポイントをナローバンドノイズのポイントに絞り込むようにしてもよい。ナローバンドノイズによる候補周波数のポイントの絞込みの処理は,図5に示す候補周波数抽出処理の前や,図5に示す候補周波数抽出処理の後,後述の高調波検出部106による高調波の検出時などの,どのタイミングで実行しても問題はない。
図6は,本実施の形態による候補周波数データの例を示す図である。
図6に示すように,本実施の形態では,候補周波数抽出部104により,図2に示す4000ポイントのEMI測定結果のデータから,50ポイントの高調波検出の対象とする候補周波数のデータが抽出されるものとする。図6において,各データの左側の番号は,50個の候補周波数のデータに対して,周波数が低い順番に付された番号である。
図6に示すように,候補周波数抽出部104によって,30MHz〜1000MHzの範囲で周波数の偏りがないように,ノイズレベルが高いナローバンドノイズの周波数が抽出される。図6に示す候補周波数データは,候補周波数データ記憶部105に記憶される。
なお,ここで,候補周波数抽出部104が,後述の支援情報の提示に備えて,抽出した候補周波数の中から,ノイズレベルが規制値をオーバーしている周波数すなわちマージン値がマイナス値の周波数を,摘出しておくようにしてもよい。
図3において,高調波検出部106は,候補周波数から特定の周波数のノイズの高調波を検出する。
高調波検出部106は,第一の高調波検出部120,第二の高調波検出部130を備える。第一の高調波検出部120は,周波数ポイント間の周波数のギャップ値から高調波を検出する第一の高調波検出方式によって,候補周波数から特定の周波数のノイズの高調波を検出する。第二の高調波検出部130は,周波数の整数分の1の値から高調波を検出する第二の高調波検出方式によって,候補周波数から特定の周波数のノイズの高調波を検出する。
第一の高調波検出部120は,周波数間差分値算出部121,ギャップ値配列データ記憶部122,高調波検出判定部123を備える。
周波数間差分値算出部121は,候補周波数ごとに他の候補周波数との差分値すなわちギャップ値を算出し,それらのギャップ値のデータをギャップ値配列データとしてギャップ値配列データ記憶部122に記憶する。ギャップ値配列データ記憶部122は,ギャップ値配列データを記憶する記憶装置である。
図7は,本実施の形態によるギャップ値配列データの例を示す図である。
周波数間差分値算出部121は,図6に示す候補周波数データの各周波数ポイントについて,それぞれ1個先から10個先までのギャップ値を算出し,図7に示すようなギャップ値配列データを生成する。なお,求めるギャップ値が,必ずしも10個先までのギャップ値である必要はない。
図7に示すギャップ値配列データにおいて,小さい文字で記載されているギャップ値は,そのギャップ値で該当候補周波数が割り切れないことを示している。また,大きい文字で記載されているギャップ値は,そのギャップ値で該当候補周波数が割り切れることを示している。
該当候補周波数がその先の他の候補周波数とのギャップ値で割り切れなければ,その候補周波数がそのギャップ値を周波数とするノイズの高調波の周波数である可能性はない。そのため,該当候補周波数を割り切れないギャップ値は,ノイズ発生源のクロック周波数の候補から除外される。すなわち,周波数間差分値算出部121は,該当候補周波数を割り切れないギャップ値を,ギャップ値配列データから削除する。図7に示すギャップ値配列データの例では,小さい文字で記載されているギャップ値が,削除される。
例えば,図7に示すギャップ値配列データにおいて,周波数192.2とその7個先の周波数298.6とは,そのギャップ値106.4で割り切れないため,周波数192.2と周波数298.6とは,ギャップ値106.4を周波数とするノイズの高調波の周波数ではない。そのため,そのギャップ値106.4は,図7に示すギャップ値配列データから削除される。
一方,該当候補周波数がギャップ値で割り切れれば,その候補周波数はそのギャップ値を周波数とするノイズの高調波の周波数である。例えば,図7に示すギャップ値配列データにおいて,周波数319.8とその6個先の周波数426.4とは,ギャップ値106.6±0.2%で割り切れるため,周波数319.8と周波数426.4とは,ギャップ値106.6を周波数とするノイズの3倍と4倍の高調波の周波数である。
なお,ここでは,測定系の誤差範囲を±0.2%とする。すなわち,周波数間差分値算出部121は,該当候補周波数をギャップ値で割った値が±0.2%範囲で整数に近似すれば,該当候補周波数がギャップ値で割り切れたものと判断する。
また,ギャップ値の値で割り切れなくても,ギャップ値の半分の値で該当候補周波数が割り切れる場合には,その候補周波数はそのギャップ値の半値を周波数とするノイズの奇数倍の高調波の周波数である。例えば,図7に示すギャップ値配列データにおいて,周波数745.6とその8個先の周波数958.8とは,それぞれギャップ値213.2の半値106.6を周波数とするノイズの,7倍と9倍の奇数倍高調波の周波数である。 図7に示すギャップ値配列データにおいて,斜体の文字で記載されているギャップ値は,そのギャップ値の半値で該当候補周波数が割り切れることを示している。
高調波検出判定部123は,ギャップ値またはその半値が同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,その個数が所定数以上存在する場合に,そのギャップ値または半値を基本の周波数とするノイズの高調波が検出されたと判定する。なお,ここでも,測定系の誤差範囲を±0.2%とする。すなわち,高調波検出判定部123は,±0.2%範囲で一致するギャップ値を,同じ値のギャップ値と判定する。
例えば,図7に示すギャップ値配列データにおいて,ギャップ値またはその半値が106.6±0.2%であるものの出現回数は,最多の6回である。同様に,ギャップ値またはその半値が213.2,116.2,71.8,58.2であるものの出現回数は,2回である。
このように高調波検出を行った上で,高調波検出判定部123は,出現回数が所定回数以上,ここでは出現回数が3回以上のギャップ値またはその半値を,対策を行う被測定装置の回路のクロック周波数の候補として選出する。図7に示すギャップ値配列データからは,106.6MHzが対策を行う被測定装置の回路のクロック周波数の候補として選出される。なお,高調波検出判定部123が,ノイズレベルが規制値を超えた周波数のノイズが高調波となるノイズの周波数を,選出するようにしてもよい。
図7に示すように,周波数319.8,426.4,532.8,639.6,745.6,958.8は,それぞれ基本となる周波数106.6MHzの3倍,4倍,5倍,6倍,7倍,9倍の高調波の周波数である。
選出された対策を行う被測定装置の回路のクロック周波数の候補は,高調波検出の結果として高調波検出結果記憶部107に記憶される。
ここで,図7に示すように,対策を行う被測定装置の回路のクロック周波数の候補として選出された106.6MHzの周波数は,候補周波数として抽出されていない。これは,106.6MHzのノイズが他のノイズに埋もれてしまい,ナローバンドノイズとして抽出されなかったものと考えられる。特定の周波数のアンテナとなるものがない場合には,その特定の周波数のノイズがスペクトラムアナライザ上で他のノイズに埋もれてしまう可能性がある。
図3において,第二の高調波検出部130は,周波数整数分の1値算出部131,整数分の1値配列データ記憶部132,高調波検出判定部133を備える。
周波数整数分の1値算出部131は,候補周波数ごとに周波数の整数分の1値を算出し,それらの整数分の1値のデータを整数分の1値配列データとして整数分の1値配列データ記憶部132に記憶する。整数分の1値配列データ記憶部132は,整数分の1値配列データを記憶する記憶装置である。
図8は,本実施の形態による整数分の1値配列データの例を示す図である。
周波数整数分の1値算出部131は,図6に示す候補周波数データの各周波数ポイントについて,それぞれ1/1から1/10までの整数分の1値を算出し,図8に示すような整数分の1値配列データを生成する。なお,求める整数分の1値が,必ずしも1/10までの整数分の1値である必要はない。
図8に示す整数分の1値配列データにおいて,小さい文字で記載されている整数分の1値は,値が10MHz未満となった整数分の1値である。図8に示す例では,周波数整数分の1値算出部131は,値が10MHz未満となった整数分の1値を,整数分の1値配列データから削除する。
高調波検出判定部133は,整数分の1の値が同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,その個数が所定数以上存在する場合にその整数分の1の値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する。なお,ここでも,測定系の誤差範囲を±0.2%とする。すなわち,高調波検出判定部133は,±0.2%範囲で一致する整数分の1の値を,同じ値の整数分の1の値と判定する。
例えば,図8に示す整数分の1の値配列データにおいて,整数分の1の値が106.6±0.2%であるものの出現回数は,最多の7回である。
このように高調波検出を行った上で,高調波検出判定部133は,出現回数が所定回数以上,ここでは出現回数が3回以上の整数分の1の値を,対策を行う被測定装置の回路のクロック周波数の候補として選出する。図8に示す整数分の1の値配列データからは,106.6MHzが対策を行う被測定装置の回路のクロック周波数の候補として選出される。なお,高調波検出判定部133が,ノイズレベルが規制値を超えた周波数のノイズが高調波となるノイズの周波数を,選出するようにしてもよい。
図8に示すように,周波数319.8,426.4,532.8,639.6,745.6,852.8,958.8は,それぞれ基本となる周波数106.6MHzの3倍,4倍,5倍,6倍,7倍,8倍,9倍の高調波の周波数である。
選出された対策を行う被測定装置の回路のクロック周波数の候補は,高調波検出の結果として高調波検出結果記憶部107に記憶される。
ここで,第一の高調波検出方式は,ギャップ値の整数倍になっている候補周波数のみを高調波検出の対象としているので,第二の高調波検出方式と比較して,高調波が検出された場合の信頼性が高い。また,ギャップ値の整数倍になっている候補周波数のみに処理が限定されるため,同じギャップ値の出現回数を求めるときの処理負荷が低い。しかし,連続する広い周波数帯域に渡ってブロードバンドノイズが発生しているような場合には,その帯域で高調波が途切れてしまっているので,高調波の検出が難しくなる。
これに対して,第二の高調波検出方式は,連続する広い周波数帯域に渡ってブロードバンドノイズが発生しているような場合でも,高調波の検出が可能である。しかし,候補周波数がすべて高調波の検出対象となるので,整数分の1値が同じ値となるものが出現しやすく,第一の高調波検出方式と比較して,高調波が検出された場合の信頼性が低い。また,すべての候補周波数におけるすべての整数分の1値が処理の対象となるため,同じ整数分の1値の出現回数を求めるときの処理負荷が高い。
図3において,ノイズ発生源推定部108は,クロック周波数リスト記憶部109にあらかじめ準備しておいたクロック周波数リストの中から,高調波が検出されたと判定された基本の周波数を動作周波数とする回路を検出し,ノイズ発生源を推定する。クロック周波数リスト記憶部109は,EMI測定における被測定装置が備える回路とその回路の動作周波数との対応情報であるクロック周波数リストを記憶する記憶装置である。
図9は,本実施の形態によるクロック周波数リストの例を示す図である。
図9に示すクロック周波数リストにおいて,“ノイズ源”は,EMI測定における被測定装置が備えるノイズ発生源となり得る回路の名称である。また,“クロック”は,その回路の動作周波数である。
ノイズ発生源推定部108は,例えば高調波検出部106により106.6MHzを基本周波数とするノイズの高調波が検出されたと判定された場合に,図9に示すクロック周波数リストから,106.6MHzを動作周波数とする回路を検出する。なお,ここでも,測定系の誤差範囲を±0.2%とする。すなわち,ノイズ発生源推定部108は,図9に示すクロック周波数リストから,106.6MHz±0.2%で近似する動作周波数の回路を検出する。
ここでは,図9に示すクロック周波数リストから,動作周波数が106.5MHzであるDVI(Digital Visual Interface)の1440ドットを出力する回路が検出される。ノイズ発生源推定部108は,DVIの1440ドットを出力する回路を,ノイズ発生源として推定する。
図3において,支援情報出力部110は,ノイズ発生源の推定情報や検出された高調波の情報などのノイズ発生源に関する情報を,例えば表示装置や印刷装置などの出力装置(図示省略)に出力する。
図10は,本実施の形態による検出された高調波と推定されるノイズ発生回路の印刷提示例である。
図10に示す例では,106.6MHz間隔で検出された高調波がスペクトラムチャート上の太枠で提示されており,推定されるノイズ発生回路“DVI 1440”が提示されている。
技術者は,このような電磁波妨害対策支援装置100により提示された支援情報を見るだけで,高調波の発生状況や,そこから推定されるノイズ発生源となる回路の情報を得ることができるようになる。これにより,技術者によりEMI対策への労力や時間を,大幅に短縮できるようになる。
図3において,ノイズ対策決定部111は,ノイズ発生源に対するノイズ低減の対策を決定する。例えば,ノイズ対策決定部111は,図6の50個の周波数のすべて,または規制値をオーバーして問題となっている周波数などの一部の周波数について,一般的に知られる以下の式(1)を用いてコンデンサの最適容量Cを計算する。
C=1/((2πf)^2*L) ・・・・(1)
式(1)において,fは対策を行う周波数,Lはコンデンサの内部インダクタンスESL(Equivalent Series Inductance)を表している。
支援情報出力部110は,ノイズ発生源の推定結果とともに,ノイズ対策として算出されたコンデンサの容量Cを,例えば表示装置や印刷装置などの出力装置(図示省略)に出力する。この容量Cのコンデンサが,上記で推定されたノイズ源クロック回路の電源グランド間や信号グランド間に挿入されれば,EMIノイズ低減の効果が期待できる。
図11は,本実施の形態によるノイズ対策の提示例を示す図である。
図11(A)には,推定されるノイズ発生回路とその対策の画面提示例が示されている。図11に示すように,支援情報出力部110は,ノイズレベルが規定値をオーバーした周波数や,検出された高調波の発生間隔,推定されたノイズ発生源の回路,発生したノイズへの対策などの情報を,ユーザに提示する。なお,同じ動作クロックの複数の回路がノイズ発生源として推定された場合には,支援情報出力部110は,それらの推定されたノイズ発生源回路を並べて提示するなどする。
図11(B)には,推定されるノイズ発生回路とその対策の印刷提示例が示されている。図11(B)に示す提示例は,例えば,図10に示す印刷物に同時に印刷されて提示される。支援情報出力部110は,図10に示すような支援情報のほかに,図11(B)に示すような発生したノイズへの対策などの情報を,ユーザに提示する。なお,図11(B)において,コンデンササイズ1005の場合には,ESL=0.5nHとして計算が行われ,コンデンササイズ1608の場合には,ESL=0.7nHとして計算が行われている。
このように,ノイズ発生源などの情報と同時に発生ノイズへの対策情報も提示することにより,ユーザのノイズ対策への労力や時間をさらに削減することができる。
以下,電磁波妨害対策支援装置100による処理の流れをフローチャートを用いて説明する。
図12は,本実施の形態の電磁波妨害対策支援装置による電磁波妨害対策支援処理フローチャートである。
電磁波妨害対策支援装置100において,EMI測定結果取得部101は,EMI測定の結果を取得し(ステップS10),取得されたEMI測定の結果をEMI測定結果記憶部102に記憶する。
高調波検出方式選択部103は,第一の高調波検出方式と第二の高調波検出方式から,使用する高調波検出方式を選択する(ステップS11)。第一の高調波検出方式は,周波数ポイント間の周波数のギャップ値から高調波を検出する方式であり,第二の高調波検出方式は,周波数の整数分の1の値から高調波を検出する方式である。
電磁波妨害対策支援装置100は,高調波検出方式の選択結果を判定する(ステップS12)。
第一の高調波検出方式が選択された場合(ステップS12の第一の高調波検出方式),まず,候補周波数抽出部104が,EMI測定の結果から,高調波検出の対象とする候補周波数を抽出する(ステップS13)。第一の高調波検出部120は,第一の高調波検出方式による高調波検出の処理を行う(ステップS14)。
ノイズ発生源推定部108は,高調波の検出結果に基づいて,ノイズ発生源を推定する(ステップS15)。ノイズ対策決定部111は,ノイズ発生源から発生されるノイズを低減するためのノイズ対策を決定する(ステップS16)。支援情報出力部110は,推定されたノイズ発生源や,決定されたノイズ対策などの支援情報をユーザに提示する(ステップS17)。
第二の高調波検出方式が選択された場合も(ステップS12の第二の高調波検出方式),第一の高調波検出方式が選択された場合と同様に,まず,候補周波数抽出部104が,EMI測定の結果から,高調波検出の対象とする候補周波数を抽出する(ステップS18)。第二の高調波検出部130は,第二の高調波検出方式による高調波検出の処理を行う(ステップS19)。
以下,第一の高調波検出方式の場合と同様に,ノイズ発生源推定部108がノイズ発生源を推定し(ステップS15),ノイズ対策決定部111が発生されるノイズを低減するためのノイズ対策を決定し(ステップS16),支援情報出力部110が支援情報をユーザに提示する(ステップS17)。
図13は,本実施の形態の高調波検出方式選択部による高調波検出方式選択処理フローチャートである。
高調波検出方式選択部103は,ナローバンドノイズとブロードバンドノイズとの切り分けによって,最適な高調波検出方式を選択する。
高調波検出方式選択部103は,周波数カウンタnを1にセットする(ステップS20)。
高調波検出方式選択部103は,EMI測定の結果におけるn番目の周波数ポイントについて,前後5ポイントを含む計11ポイントの範囲のノイズレベルの平均値を算出する(ステップS21)。
高調波検出方式選択部103は,EMI測定の結果におけるn番目の周波数ポイントのノイズレベルが,算出された近傍のノイズレベルの平均値より3dB以上大きいかを判定する(ステップS22)。
n番目の周波数ポイントのノイズレベルが平均値より3dB以上大きい場合には(ステップS22のYES),高調波検出方式選択部103は,そのn番目の周波数ポイントのノイズをナローバンドノイズと判定する(ステップS23)。
n番目の周波数ポイントのノイズレベルが平均値より3dB以上大きくない場合には(ステップS22のNO),高調波検出方式選択部103は,そのn番目の周波数ポイントのノイズをブロードバンドノイズと判定する(ステップS24)。
高調波検出方式選択部103は,周波数カウンタnを1つアップする(ステップS25)。
高調波検出方式選択部103は,EMI測定の結果における全周波数ポイントについて,ノイズの種類の判定が完了したかを判定する(ステップS26)。
まだすべての周波数ポイントについて完了していなければ(ステップS26のNO),高調波検出方式選択部103は,ステップS21の処理に戻り,次の周波数ポイントについての判定を行う。
すべての周波数ポイントについて完了していれば(ステップS26のYES),高調波検出方式選択部103は,連続する100MHzの範囲内にナローバンドノイズが1個以上存在するかを判定する(ステップS27)。
連続する100MHzの範囲内にナローバンドノイズが1個以上存在する場合には(ステップS27のYES),高調波検出方式選択部103は,高調波が途切れていないと判断して,第一の高調波検出方式を選択する(ステップS28)。第一の高調波検出方式は,周波数ポイント間の周波数のギャップ値から高調波を検出する方式である。
連続する100MHzの範囲内にナローバンドノイズがない場合には(ステップS27のNO),高調波検出方式選択部103は,高調波が途切れていると判断して,第二の高調波検出方式を選択する(ステップS29)。第二の高調波検出方式は,周波数の整数分の1の値から高調波を検出する方式である。
図14,図15は,本実施の形態の候補周波数抽出部による候補周波数抽出処理フローチャートである。
図14,図15に示す例では,候補周波数抽出部104は,まず図14に示すようにナローバンドノイズが測定された周波数を候補周波数として抽出し,次に図15に示すように,周波数の偏りがないようにマージン値が小さい周波数を候補周波数として抽出する。なお,図14に示すようなナローバンドノイズが測定された周波数の抽出は,図15に示すマージン値が小さい周波数の抽出の後で実行するようにしても良いし,後の高調波検出処理時に実行するようにしてもよい。
候補周波数抽出部104は,周波数カウンタnを1にセットする(ステップS30)。
候補周波数抽出部104は,EMI測定の結果におけるn番目の周波数ポイントについて,前後5ポイントを含む計11ポイントの範囲のノイズレベルの平均値を算出する(ステップS31)。
候補周波数抽出部104は,EMI測定の結果におけるn番目の周波数ポイントのノイズレベルが,算出された近傍のノイズレベルの平均値より3dB以上大きいかを判定する(ステップS32)。
n番目の周波数ポイントのノイズレベルが平均値より3dB以上大きい場合には(ステップS32のYES),候補周波数抽出部104は,そのn番目の周波数ポイントを,高調波検出の対象とする候補周波数の抽出ポイントとして残す(ステップS33)。
n番目の周波数ポイントのノイズレベルが平均値より3dB以上大きくない場合には(ステップS32のNO),候補周波数抽出部104は,そのn番目の周波数ポイントを削除する(ステップS34)。
候補周波数抽出部104は,周波数カウンタnを1つアップする(ステップS35)。
候補周波数抽出部104は,EMI測定の結果における全周波数ポイントについて,候補周波数の抽出処理が完了したかを判定する(ステップS36)。
まだすべての周波数ポイントについて完了していなければ(ステップS36のNO),候補周波数抽出部104は,ステップS31の処理に戻り,次の周波数ポイントについて候補周波数の抽出処理を行う。
すべての周波数ポイントについて完了していれば(ステップS36のYES),候補周波数抽出部104は,周波数カウンタnを1にセットする(ステップS37)。
候補周波数抽出部104は,残った周波数ポイントを,周波数が低い順に並べ替える(ステップS38)。
候補周波数抽出部104は,n番目の周波数ポイントのノイズレベルがn+1番目の周波数ポイントのノイズレベルより大きいかを判定する(ステップS39)。
n番目の周波数ポイントのノイズレベルがn+1番目の周波数ポイントのノイズレベルより大きければ(ステップS39のYES),候補周波数抽出部104は,n+1番目の周波数ポイントを削除する(ステップS40)。
n番目の周波数ポイントのノイズレベルがn+1番目の周波数ポイントのノイズレベルより大きくなければ(ステップS39のNO),候補周波数抽出部104は,n番目の周波数ポイントを削除する(ステップS41)。
候補周波数抽出部104は,周波数カウンタnを2つアップする(ステップS42)。
候補周波数抽出部104は,全周波数ポイントについて,候補周波数の抽出処理が完了したかを判定する(ステップS43)。
まだすべての周波数ポイントについて完了していなければ(ステップS43のNO),候補周波数抽出部104は,ステップS39の処理に戻り,次の2つの周波数ポイントからの候補周波数の抽出処理を行う。
すべての周波数ポイントについて完了していれば(ステップS43のYES),候補周波数抽出部104は,残った周波数ポイントが所定数以下に削減されたかを判定する(ステップS44)。所定数は,例えば100個などである。
残った周波数ポイントが所定数以下でなければ(ステップS44のNO),候補周波数抽出部104は,ステップS37の処理に戻り,さらに候補周波数のポイントの絞込みを行う。
残った周波数ポイントが所定数以下であれば(ステップS44のYES),候補周波数抽出部104は,処理を終了する。候補周波数抽出部104は,残った周波数ポイントを周波数が低い順に並べ替えたものを,候補周波数データとして候補周波数データ記憶部105に記憶する。
図16,図17は,本実施の形態の第一の高調波検出部による第一の高調波検出処理フローチャートである。
第一の高調波検出部120において,周波数間差分値算出部121は,周波数カウンタfを1にセットする(ステップS50)。
また,周波数間差分値算出部121は,ギャップ値カウンタgを1にセットする(ステップS51)。
周波数間差分値算出部121は,候補周波数データにおけるf番目の周波数ポイントの周波数と,f+g番目の周波数ポイントの周波数とのギャップ値を算出し,算出されたギャップ値をギャップ値配列(f,g)に記憶する(ステップS52)。
周波数間差分値算出部121は,候補周波数データにおけるf番目の周波数ポイントの周波数を,ギャップ値配列(f,g)に記憶されたギャップ値で割り切れるかを判定する(ステップS53)。また,周波数間差分値算出部121は,候補周波数データにおけるf番目の周波数ポイントの周波数を,ギャップ値配列(f,g)に記憶されたギャップ値の半分の値で割り切れるかを判定する(ステップS54)。
f番目の周波数ポイントの周波数がギャップ値配列(f,g)のギャップ値またはその半分の値のどちらでも割り切れない場合には(ステップS53のNOかつステップS54のNO),周波数間差分値算出部121は,ギャップ値配列(f,g)の値を消去する(ステップS55)。
周波数間差分値算出部121は,ギャップ値カウンタgを1つアップする(ステップS56)。
周波数間差分値算出部121は,候補周波数データにf+g番目の値が存在し,かつgが10以下であるかを判定する(ステップS57)。
候補周波数データにf+g番目の値が存在し,かつgが10以下である場合には(ステップS57のYES),周波数間差分値算出部121は,ステップS52の処理に戻り,候補周波数データのf番目の周波数ポイントにおける次のギャップ値の処理を行う。
候補周波数データにf+g番目の値が存在しない,またはgが10より大きい場合には(ステップS57のNO),周波数間差分値算出部121は,周波数カウンタfを1つアップする(ステップS58)。
周波数間差分値算出部121は,候補周波数データにおいて,f番目の周波数ポイントが最後の周波数ポイントであるかを判定する(ステップS59)。
f番目の周波数ポイントが最後の周波数ポイントでなければ(ステップS59のNO),周波数間差分値算出部121は,ステップS51の処理に戻り,候補周波数データにおける次の周波数ポイントの処理を行う。
f番目の周波数ポイントが最後の周波数ポイントであれば(ステップS59のYES),高調波検出判定部123は,出現回数カウンタ配列の値をすべて0にセットする(ステップS60)。
高調波検出判定部123は,周波数カウンタfを1にセットする(ステップS61)。
また,高調波検出判定部123は,ギャップ値カウンタgを1にセットする(ステップS62)。
高調波検出判定部123は,ギャップ値配列(f,g)の値があるかを判定する(ステップS63)。
ギャップ値配列(f,g)の値があれば(ステップS63のYES),高調波検出判定部123は,全ギャップ値配列データにおいて,ギャップ値配列(f,g)のギャップ値が出現する回数と,ギャップ値配列(f,g)のギャップ値の倍値が出現する回数との合計をカウントする。高調波検出判定部123は,得られた値を出現回数カウンタ(f,g)に記憶する(ステップS64)。
高調波検出判定部123は,ギャップ値カウンタgを1つアップする(ステップS65)。
高調波検出判定部123は,gが10より大きいかを判定する(ステップS66)。
gが10より大きくなければ(ステップS66のNO),高調波検出判定部123は,ステップS63の処理に戻り,次のギャップ値配列(f,g)の処理を行う。
gが10より大きければ(ステップS66のYES),高調波検出判定部123は,周波数カウンタfを1つアップする(ステップS67)。
高調波検出判定部123は,候補周波数データにおける全周波数ポイントについて処理が完了したかを判定する(ステップS68)。
全周波数ポイントについて処理が完了していなければ(ステップS68のNO),高調波検出判定部123は,ステップS62の処理に戻り,候補周波数データにおける次の周波数ポイントの処理を行う。
全周波数ポイントについて処理が完了していれば(ステップS68のYES),高調波検出判定部123は,全出現回数カウンタの配列から,出現回数の最大値hを取得する(ステップS69)。
高調波検出判定部123は,出現回数の最大値hが3以上であるかを判定する(ステップS70)。
出現回数の最大値hが3以上でなければ(ステップS70のNO),高調波検出判定部123は,高調波が検出されなかったものとして,処理を終了する。
出現回数の最大値hが3以上であれば(ステップS70のYES),高調波検出判定部123は,ギャップ値配列データから,出現回数の最大値hが得られるギャップ値を取得し,取得されたギャップ値をノイズ発生源の周波数の候補としてHARMに代入する(ステップS71)。出現回数の最大値hが得られるギャップ値が2つ以上存在する場合には,高調波検出判定部123は,最大のギャップ値を選んでHARMに代入する。
なお,図16,図17に示す第一の高調波検出処理では,出現回数が最大となるギャップ値のみが選択されているが,出現回数が所定回数以上のすべてのギャップ値を選択するようにしてもよい。
図18,図19は,本実施の形態の第二の高調波検出部による第二の高調波検出処理フローチャートである。
第二の高調波検出部130において,周波数整数分の1値算出部131は,周波数カウンタfを1にセットする(ステップS80)。
また,周波数整数分の1値算出部131は,分数値カウンタwを1にセットする(ステップS81)。
周波数整数分の1値算出部131は,候補周波数データにおけるf番目の周波数ポイントの周波数の1/wの値すなわち整数分の1値を算出し,算出された整数分の1値を整数分の1値配列(f,w)に記憶する(ステップS82)。
周波数整数分の1値算出部131は,分数値カウンタwを1つアップする(ステップS83)。
周波数整数分の1値算出部131は,wが10より大きいかを判定する(ステップS84)。
wが10より大きくなければ(ステップS84のNO),周波数整数分の1値算出部131は,ステップS82の処理に戻り,次の整数分の1値配列(f,w)の処理を行う。
wが10より大きければ(ステップS84のYES),周波数整数分の1値算出部131は,周波数カウンタfを1つアップする(ステップS85)。
周波数整数分の1値算出部131は,候補周波数データにおける全周波数ポイントについて処理が完了したかを判定する(ステップS86)。
全周波数ポイントについて処理が完了していなければ(ステップS86のNO),周波数整数分の1値算出部131は,ステップS81の処理に戻り,候補周波数データにおける次の周波数ポイントの処理を行う。
全周波数ポイントについて処理が完了していれば(ステップS86のYES),高調波検出判定部133は,出現回数カウンタ配列の値をすべて0にセットする(ステップS87)。
高調波検出判定部133は,周波数カウンタfを1にセットする(ステップS88)。
また,高調波検出判定部133は,分数値カウンタwを1にセットする(ステップS89)。
高調波検出判定部133は,整数分の1値配列(f,w)の整数分の1値が出現する回数をカウントし,得られた値を出現回数カウンタ(f,w)に記憶する(ステップS90)。
高調波検出判定部133は,分数値カウンタwを1つアップする(ステップS91)。
高調波検出判定部133は,wが10より大きいかを判定する(ステップS92)。
wが10より大きくなければ(ステップS92のNO),高調波検出判定部133は,ステップS90の処理に戻り,次の整数分の1値配列(f,w)の処理を行う。
wが10より大きければ(ステップS92のYES),高調波検出判定部133は,周波数カウンタfを1つアップする(ステップS93)。
高調波検出判定部133は,候補周波数データにおける全周波数ポイントについて処理が完了したかを判定する(ステップS94)。
全周波数ポイントについて処理が完了していなければ(ステップS94のNO),高調波検出判定部133は,ステップS89の処理に戻り,候補周波数データにおける次の周波数ポイントの処理を行う。
全周波数ポイントについて処理が完了していれば(ステップS94のYES),高調波検出判定部133は,全出現回数カウンタの配列から,出現回数の最大値hを取得する(ステップS95)。
高調波検出判定部133は,出現回数の最大値hが3以上であるかを判定する(ステップS96)。
出現回数の最大値hが3以上でなければ(ステップS96のNO),高調波検出判定部133は,高調波が検出されなかったものとして,処理を終了する。
出現回数の最大値hが3以上であれば(ステップS96のYES),高調波検出判定部133は,整数分の1値配列データから,出現回数の最大値hが得られる整数分の1値を取得し,取得された整数分の1値をノイズ発生源の周波数の候補としてHARMに代入する(ステップS97)。出現回数の最大値hが得られる整数分の1値が2つ以上存在する場合には,高調波検出判定部133は,最大の整数分の1値を選んでHARMに代入する。
なお,図18,図19に示す第二の高調波検出処理では,出現回数が最大となる整数分の1値のみが選択されているが,出現回数が所定回数以上のすべての整数分の1値を選択するようにしてもよい。
図20は,本実施の形態の電磁波妨害対策支援装置による支援情報提示処理フローチャートである。
ノイズ発生源推定部108は,クロック周波数リスト記憶部109に記憶されたクロック周波数リストに,ノイズ発生源の候補である周波数HARMを動作周波数とする回路があるかを判定する(ステップS100)。
周波数HARMを動作周波数とする回路がなければ(ステップS100のNO),電磁波妨害対策支援装置100は,ノイズ発生源を特定できなかったものとして処理を終了する。
周波数HARMを動作周波数とする回路があれば(ステップS100のYES),ノイズ発生源推定部108は,周波数HARMを動作周波数とする回路をノイズ発生源と推定する(ステップS101)。
ノイズ対策決定部111は,ノイズ発生源の動作周波数が共振周波数となるコンデンサの容量を計算する(ステップS102)。
支援情報出力部110は,ノイズ発生源の名称と,その動作周波数,ノイズ低減の対策に用いるコンデンサの容量などの支援情報を,印刷データに追加する(ステップS103)。
また,支援情報出力部110は,ノイズ発生源の名称と,その動作周波数,ノイズ低減の対策に用いるコンデンサの容量などの支援情報を,ディスプレイなどの画面に出力する(ステップS104)。
このように,本実施の形態による電磁波妨害対策支援装置100により,EMI測定の結果から,自動的に高調波を検出してノイズの発生源を推定し,発生されたノイズを低減する対策を決定して,それらの対策支援情報を技術者に提示することができる。これにより,技術者のEMI対策への労力や時間を,大幅に低減することができる。
以上説明した電磁波妨害対策支援装置100による処理は,コンピュータが備えるCPU,メモリ等のハードウェアとソフトウェアプログラムとにより実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
以上説明した本実施の形態の特徴を列記すると以下のとおりである。
(付記1)
EMIの測定結果を記憶する記憶装置にアクセス可能なコンピュータが実行するノイズ発生源抽出支援プログラムであって,
前記コンピュータに,
前記記憶装置に記憶されたEMI測定の結果における周波数ごとのノイズレベルの高低を判定することにより,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する手順と,
前記候補周波数ごとに他の候補周波数との差分値を算出し,前記候補周波数が前記差分値またはその半値の整数倍になっている場合の差分値またはその半値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその差分値またはその半値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する手順と,
前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数で,前記記憶装置に記憶された,前記EMI測定における被測定装置が備える回路とその回路の動作周波数との対応情報を参照することにより,前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数のノイズ発生源を推定する手順と,
前記推定されたノイズ発生源に関する情報を出力する手順とを
実行させるためのノイズ発生源抽出支援プログラム。
(付記2)
EMIの測定結果を記憶する記憶装置にアクセス可能なコンピュータが実行するノイズ発生源抽出支援プログラムであって,
前記コンピュータに,
前記記憶装置に記憶されたEMI測定の結果において,近傍の所定周波数帯域幅におけるノイズレベルの平均値より所定値以上高いノイズレベルが測定された周波数の検出を行い,所定周波数帯域幅で連続して検出されなかった場合には第二の高調波検出方式を選択し,それ以外の場合には第一の高調波検出方式を選択する手順と,
前記記憶装置に記憶されたEMI測定の結果における周波数ごとのノイズレベルの高低を判定することにより,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する手順と,
前記第一の高調波検出方式が選択された場合に,前記候補周波数ごとに他の候補周波数との差分値を算出し,前記候補周波数が前記差分値またはその半値の整数倍になっている場合の差分値またはその半値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその差分値またはその半値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する手順と,
前記第二の高調波検出方式が選択された場合に,前記候補周波数ごとに周波数の整数分の1の値を算出し,前記整数分の1の値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその整数分の1の値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する手順と,
前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数で,前記記憶装置に記憶された,前記EMI測定における被測定装置が備える回路とその回路の動作周波数との対応情報を参照することにより,前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数のノイズ発生源を推定する手順と,
前記推定されたノイズ発生源に関する情報を出力する手順とを
実行させるためのノイズ発生源抽出支援プログラム。
(付記3)
EMIの測定結果を記憶する記憶装置にアクセス可能なコンピュータが実行するノイズ発生源抽出支援プログラムであって,
前記コンピュータに,
前記記憶装置に記憶されたEMI測定の結果における周波数ごとのノイズレベルの高低を判定することにより,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する手順と,
前記候補周波数ごとに周波数の整数分の1の値を算出し,前記整数分の1の値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその整数分の1の値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する手順と,
前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数で,前記記憶装置に記憶された,前記EMI測定における被測定装置が備える回路とその回路の動作周波数との対応情報を参照することにより,前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数のノイズ発生源を推定する手順と,
前記推定されたノイズ発生源に関する情報を出力する手順とを
実行させるためのノイズ発生源抽出支援プログラム。
(付記4)
前記コンピュータに,
前記推定されたノイズ発生源に対するノイズ低減の対策を決定する手順と,
前記決定されたノイズ低減の対策を出力する手順とを
実行させるための付記1から付記3までのいずれかに記載されたノイズ発生源抽出支援プログラム。
(付記5)
EMI測定の結果を記憶するEMI測定結果記憶部と,
前記EMI測定の結果における周波数ごとのノイズレベルの高低を判定することにより,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する候補周波数抽出部と,
前記候補周波数ごとに他の候補周波数との差分値を算出し,前記候補周波数が前記差分値またはその半値の整数倍になっている場合の差分値またはその半値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその差分値またはその半値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する高調波検出部と,
前記EMI測定における被測定装置が備える回路と,その回路の動作周波数との対応情報であるクロック周波数情報を記憶するクロック周波数情報記憶部と,
前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数で,前記クロック周波数情報を参照することにより,前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数のノイズ発生源を推定するノイズ発生源推定部と,
前記推定されたノイズ発生源に関する情報を出力するノイズ対策支援情報出力部とを備える
ことを特徴とするノイズ発生源抽出支援装置。
(付記6)
EMI測定の結果を記憶するEMI測定結果記憶部と,
前記EMI測定の結果において,近傍の所定周波数帯域幅におけるノイズレベルの平均値より所定値以上高いノイズレベルが測定された周波数の検出を行い,所定周波数帯域幅で連続して検出されなかった場合には第二の高調波検出方式を選択し,それ以外の場合には第一の高調波検出方式を選択する高調波検出方式選択部と,
前記EMI測定の結果における周波数ごとのノイズレベルの高低を判定することにより,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する候補周波数抽出部と,
前記高調波検出方式選択部によって第一の高調波検出方式が選択された場合に,前記候補周波数ごとに他の候補周波数との差分値を算出し,前記候補周波数が前記差分値またはその半値の整数倍になっている場合の差分値またはその半値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその差分値またはその半値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する第一の高調波検出部と,
前記高調波検出方式選択部によって第二の高調波検出方式が選択された場合に,前記候補周波数ごとに周波数の整数分の1の値を算出し,前記整数分の1の値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその整数分の1の値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する第二の高調波検出部と,
前記EMI測定における被測定装置が備える回路と,その回路の動作周波数との対応情報であるクロック周波数情報を記憶するクロック周波数情報記憶部と,
前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数で,前記クロック周波数情報を参照することにより,前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数のノイズ発生源を推定するノイズ発生源推定部と,
前記推定されたノイズ発生源に関する情報を出力するノイズ対策支援情報出力部とを備える
ことを特徴とするノイズ発生源抽出支援装置。
(付記7)
EMI測定の結果を記憶するEMI測定結果記憶部と,
前記EMI測定の結果における周波数ごとのノイズレベルの高低を判定することにより,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する候補周波数抽出部と,
前記候補周波数ごとに周波数の整数分の1の値を算出し,前記整数分の1の値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその整数分の1の値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する高調波検出部と,
前記EMI測定における被測定装置が備える回路と,その回路の動作周波数との対応情報であるクロック周波数情報を記憶するクロック周波数情報記憶部と,
前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数で,前記クロック周波数情報を参照することにより,前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数のノイズ発生源を推定するノイズ発生源推定部と,
前記推定されたノイズ発生源に関する情報を出力するノイズ対策支援情報出力部とを備える
ことを特徴とするノイズ発生源抽出支援装置。
(付記8)
記憶装置を備えるコンピュータによるノイズ発生源抽出支援方法であって,
前記コンピュータが,
前記記憶装置に記憶されたEMI測定の結果における周波数ごとのノイズレベルの高低を判定することにより,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する過程と,
前記候補周波数ごとに他の候補周波数との差分値を算出し,前記候補周波数が前記差分値またはその半値の整数倍になっている場合の差分値またはその半値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその差分値またはその半値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する過程と,
前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数で,前記記憶装置に記憶された,前記EMI測定における被測定装置が備える回路とその回路の動作周波数との対応情報を参照することにより,前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数のノイズ発生源を推定する過程と,
前記推定されたノイズ発生源に関する情報を出力する過程とを実行する
ことを特徴とするノイズ発生源抽出支援方法。
(付記9)
記憶装置を備えるコンピュータによるノイズ発生源抽出支援方法であって,
前記コンピュータが,
前記記憶装置に記憶されたEMI測定の結果において,近傍の所定周波数帯域幅におけるノイズレベルの平均値より所定値以上高いノイズレベルが測定された周波数の検出を行い,所定周波数帯域幅で連続して検出されなかった場合には第二の高調波検出方式を選択し,それ以外の場合には第一の高調波検出方式を選択する過程と,
前記記憶装置に記憶されたEMI測定の結果における周波数ごとのノイズレベルの高低を判定することにより,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する過程と,
前記第一の高調波検出方式が選択された場合に,前記候補周波数ごとに他の候補周波数との差分値を算出し,前記候補周波数が前記差分値またはその半値の整数倍になっている場合の差分値またはその半値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその差分値またはその半値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する過程と,
前記第二の高調波検出方式が選択された場合に,前記候補周波数ごとに周波数の整数分の1の値を算出し,前記整数分の1の値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその整数分の1の値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する過程と,
前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数で,前記記憶装置に記憶された,前記EMI測定における被測定装置が備える回路とその回路の動作周波数との対応情報を参照することにより,前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数のノイズ発生源を推定する過程と,
前記推定されたノイズ発生源に関する情報を出力する過程とを実行する
ことを特徴とするノイズ発生源抽出支援方法。
(付記10)
記憶装置を備えるコンピュータによるノイズ発生源抽出支援方法であって,
前記コンピュータが,
前記記憶装置に記憶されたEMI測定の結果における周波数ごとのノイズレベルの高低を判定することにより,高調波の検出対象とする候補周波数を抽出する過程と,
前記候補周波数ごとに周波数の整数分の1の値を算出し,前記整数分の1の値が所定の誤差範囲内で同じ値になる候補周波数の個数をカウントし,前記個数が所定数以上存在する場合にその整数分の1の値を基本の周波数とする電磁波ノイズの高調波が検出されたと判定する過程と,
前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数で,前記記憶装置に記憶された,前記EMI測定における被測定装置が備える回路とその回路の動作周波数との対応情報を参照することにより,前記高調波が検出されたと判定された基本の周波数のノイズ発生源を推定する過程と,
前記推定されたノイズ発生源に関する情報を出力する過程とを実行する
ことを特徴とするノイズ発生源抽出支援方法。