JP5643372B2 - 回転機の良否診断システム - Google Patents

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Description

本発明は、負荷が接続された状態で稼働している電動機や発電機といった回転機で発生する異常の有無を診断する技術に関するものである。
従来、例えば、回転機の巻線の異常を診断する場合には、インパルス試験を用いた技術が報告されている(非特許文献1参照)。
株式会社電子制御国際 インパルス巻線試験機DXW−01、05 取扱説明書
しかし、従来の手法(非特許文献1)は、回転機が停止した状態で診断する技術であり、実際に稼働中の回転機に対しては適用することができないという問題点があった。
本発明は、負荷が接続された状態で稼働している回転機で発生する異常の有無を、回転機を停止させることなく診断できるシステムの提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の回転機の良否診断システムは、
負荷が接続されて稼働している正常な回転機の各相に流れる電流を様々な大きさの負荷毎に計測し、様々な大きさの負荷の場合に対して特徴量を求め、それらの特徴量が分布する領域を求め、その正常な回転機における特徴量の分布する領域の基準となる線(特徴量分布線)を求めて、該特徴量分布線からの距離の関数として回転機の良否判定に用いる指標(故障確率)の確率密度関数を定義し、特徴量と特徴量分布線との距離がある値になるときに、判定指標が特定の値を取るように、確率密度関数中の標準偏差の値を決定して、この値をコンピュータのメモリに記憶させておき、
回転機を診断する際に特徴量が得られると、その特徴量と前記特徴量分布線との距離を求め、この距離の値と予め求めておいた前記標準偏差の値を用いて、判定指標である故障確率を算出し、その値に閾値を設けるなどして、稼働時の回転機の良否を診断する
ことを要旨とする。
稼働している回転機で発生する異常の有無を、負荷が接続された状態で、その負荷の大きさが様々に変化する場合でも、回転機を停止させることなく診断できるものとなる。
また、本発明の回転機の良否診断システムは、
負荷が接続されて稼働している正常な回転機の各相に流れる電流を様々な負荷毎に計測し、様々な大きさの負荷の場合に対して、回転機に流れる電流に含まれる特定の周波数成分の電流を周波数解析など行うことで抽出し、その特定周波数成分の電流から特徴量を求め、それらの特徴量が分布する領域を求め、その正常な回転機における特徴量の分布する領域の基準となる線(特徴量分布線)を求めて、該特徴量分布線からの距離の関数として回転機の良否判定に用いる指標(故障確率)の確率密度関数を定義し、特徴量と特徴量分布線との距離がある値になるときに、判定指標が特定の値を取るように、確率密度関数中の標準偏差の値を決定して、この値をコンピュータのメモリに記憶させておき、
回転機を診断する際に特徴量が得られると、その特徴量と前記特徴量分布線との距離を求め、この距離の値と予め求めておいた前記標準偏差の値を用いて、判定指標である故障確率を算出し、その値に閾値を設けるなどして、稼働時の回転機の良否を診断する
ことを要旨とする。
こうすれば、稼働している回転機で発生する異常の有無を、負荷が接続された状態で、その負荷の大きさが様々に変化する場合でも、回転機を停止させることなく診断できるシステムを容易に構築できるものとなる。
また、本発明の回転機の良否診断システムにおいて、前記回転機正常時の特徴量の分布領域を1本の特徴量分布線で近似するのではなく、区間毎に分けて複数の線で近似して診断するものとすることもできる。
こうすれば、特徴量分布領域を1本の線で近似する場合よりも、より正確に分布領域を近似できるようになる。
また、本発明の回転機の良否診断システムにおいて、前記様々な大きさの負荷の場合に対して求められる特徴量の数として、100点以上求めておくものとすることもできる。
こうすれば、分布線を求めるときの誤差が少なくなる。
また、本発明の回転機の良否診断システムにおいて、前記特徴量を抽出する際に、電流に含まれるノイズ成分を除去するためにフィルタを用いるものとすることもできる。
こうすれば、ノイズの影響を受けない特徴量を取り出すことができ、正しい値の特徴量を得ることができて、得られる特徴量分布線も正確な値が得られる。
また、本発明の回転機の良否診断システムにおいて、前記特徴量を3次元空間で示し、その3次元空間分布をコンピュータ画面上で回転させる機能を持たせることで、様々な角度からの特徴量の分布領域を確認し、回転機器の正常時と異常時の特徴量の変化を視覚的に確認するように構成することもできる。
こうすれば、3次元空間に表示させた特徴量分布を回転し、分布の状態を様々な角度から見ることで、回転機器の正常時と異常時の特徴量の変化を視覚的に確認することができるようになる。
そして、後述するが、何本の特徴量分布線を用いて特徴量の分布を近似するのがよいかが分かるようになる。
また、本発明の回転機の良否診断システムにおいて、前記正常な回転機における特徴量の分布する領域の基準となる線が、直線または曲線であるものとすることもできる。
こうすれば、最適な分布を選ぶことができる。
本診断システムの全体的な流れを示すシステム概要図である。 正常な電動機から得られる特徴量分布図である。 短絡発生時の電動機から得られる特徴量分布図である。 正常時の特徴量と特徴量分布線との距離dのヒストグラム図である。 短絡時の特徴量と特徴量分布線との距離dのヒストグラム図である。 故障確率の確率密度関数を示す図である。 一次関数の場合の確率密度関数を示す図である。 指数関数の場合の確率密度関数を示す図である。 各相に流れる電流の正側の最大値を特徴量として抽出する説明図である。 負荷を変動させたときにW相に流れる負荷電流の正側の最大値Iwmaxの変化を示す図である。 図10の負荷を変動させたときに算出される故障確率を示す図である。 短絡を発生させた場合の負荷電流の正側の最大値Iwmaxの変化を示す図である。 図12の負荷を変動させたときに算出される故障確率を示す図である。 特徴量分布線の求め方の説明図である。 特徴量分布と特徴量分布線の図である。 各特徴量と特徴量分布線との距離を示す図である。 ノイズ除去フィルタの効果を示す図である。 多くの周波数成分が含まれる電流からの特徴量抽出を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態を説明する。
本診断システムの全体的な流れを図1に示す。
本診断システムにおいて診断までの処理は、大きく二つのプロセスに分けることができる。一つが診断の前段階に相当する前処理プロセス(前処理工程)であり、もう一つが実際に故障確率を算出し、回転機内部の巻線で発生する短絡の有無を判定する診断プロセス(診断工程)である。
1.前処理プロセス(前処理工程)
はじめの前処理プロセスでは、正常な回転機を稼働させた状態で特徴量、すなわち各相に流れる電流の正側の最大値を計測する。
その3次元の特徴量分布から特徴量分布線を導出する。そして、導出した特徴量分布線と各特徴量間の距離dを算出し、そのヒストグラムを求める。
そしてそのヒストグラムに基づいて、故障確率を決定する確率密度関数の標準偏差σを求めておき、これを記憶部に記憶させておく。
こうした状態で、次の診断プロセスへ移る。
2.診断プロセス(診断工程)
診断プロセスでは、回転機を稼働させた状態で特徴量、すなわち各相に流れる電流の正側の最大値を計測する。このときの特徴量を特徴量Fとする。
次に、特徴量Fと特徴量分布線との距離dを求める。ここで使用する特徴量分布線は、前処理プロセスで求めておいたものである。
いま、特徴量Fと特徴量分布線との距離dとしてd=dが得られたとする。このd=dと後述の(2)式を用いることで、故障確率Pを算出することができる。
こうして求めた故障確率の値に対して閾値などを設定することで、負荷が変動しながら稼働している回転機の固定子巻線が正常なのか、それとも短絡等の故障があるかの判定を統計的に行うことができる。
ここで、具体的な短絡診断方法の説明にあたり、回転機として、電動機を例にとって理論説明をする。そして、故障の例として、電動機内部の固定子巻線のコイルで短絡が発生した場合を考える。
いま、正常な電動機に電源を接続して稼働させる。また、この電動機には負荷が接続されている。この負荷の大きさが変化しながら稼働しているこの電動機の各相に流れる電流を同期して計測し、そこから特徴量を抽出する。
ここでは特徴量として、図9に示すように、各相電流波形が最低一周期分は含まれるような時間区間において、U相,V相,W相の各相に流れる電流の正側の最大値とすると、特徴量は(Iumax,Ivmax,Iwmax)となる。
負荷の大きさがある値のとき(例えば、負荷状態1とする)に得られる特徴量を特徴量F(Iumax 1,Ivmax 1,Iwmax 1)とする。
次に、負荷が別の大きさの値をとるとき(例えば、負荷状態2とする)に得られる特徴量を特徴量F(Iumax 2,Ivmax 2,Iwmax 2)とする。
これを様々な負荷状態に対して同様に求めていくと、多数(N点)の特徴量F(Iumax N,Ivmax N,Iwmax N)の点が得られる。
このようにして100点より多くの特徴量を求める。
特徴量分布線を求める際、多数の特徴量の点が必要となる。この多数の特徴量の点のうち、1点がノイズ等の影響で大きく外れた領域に分布する場合に、特徴量の点の数が多いと、特徴量分布線を求めるときにこの点の影響はあまり受けないが、特徴量の点の数が少ないと、この点の影響を大きく受けてしまう。このため、特徴量の分布領域を近似する特徴量分布線を正しく求めることができなくなる。以上のことから、100点以上の特徴量の点が必要となる。
今回、800点の特徴量を計測して、それらを3次元空間の特徴量分布に表示すると図2のようになる。
図2によると、負荷の大きさが様々に変化しているが、そのとき得られる特徴量は、ほぼ線状に分布していることがわかる。
次に、この電動機の内部固定子巻線において、その内部の隣同士のコイルが短絡した状態で、上記と同様に負荷の値を変化させながら電動機を稼働しつづけ、特徴量を求める。そして100点以上の特徴量を求める。
今回は800点の特徴量を求め、それらを図2に示す巻線正常時の特徴量分布と一緒に3次元空間にプロットし、これを新たに図3とする。
図3の結果より、電動機内部で短絡が発生した場合には、正常時に得られる特徴量と分布する領域が異なることから、この情報を電動機の良否診断に用いることが可能となる。
このように、負荷が接続されて稼働している回転機の各相に流れる電流を様々な大きさの負荷毎に計測した結果、回転機に流れる電流から得られる特徴量の分布がほぼ線状となる事実を発見し、また、正常時の電流分布領域と、短絡発生時の電流分布領域が異なることを発見したことに基づき、本発明を案出したのである。
次に、短絡診断方法を実施するための前処理工程を具体的に説明する。
まず始めに、図2に示す正常電動機から得られる特徴量分布において、その分布を近似する線として直線を求める。この直線は、分布の真ん中を通るような直線とする。イメージ図を図14に示す。
図2では、特徴量の値が小さな領域、すなわち電動機が無負荷に近い状態で稼働している場合には、他の負荷状態と比較して、特徴量の分布を近似する直線の傾きが若干異なっている。
そこで、図2の特徴量分布から1本の特徴量分布直線を求めるのではなく,Iwmaxの分布する範囲(ここでは6Aから14Aの間)を適当な間隔に区切り、各区間毎に特徴量分布直線を求めることにする。
こうすることで、例えば図15に示すように、特徴量の分布領域がカーブしている場合でも、数本の直線で分布を近似できるようになり、特徴量分布領域を1本の直線で近似する場合よりも、より正確に分布領域を近似できるようになる。こうして求めた数本の正常時の特徴量の分布直線を、便宜的に「特徴量分布直線」と呼ぶことにする。
特徴量分布直線としては、例えば次のようにする。
ある一相、ここではW相に流れる電流Iwを基準とすると、Iwから得られる今回の特徴量Iwmaxの値は6Aから14Aの間を取るので、この区間を2A間隔に区切り、Iwmaxが6〜8Aのときの特徴量分布直線を直線1、8〜10Aのときの特徴量分布直線を直線2、10〜12Aのときの特徴量分布直線を直線3、12〜14Aのときの特徴量分布直線を直線4とする。
そして、Iwmaxの値に応じて、図16に示すように、各特徴量からそれに対応する特徴量分布直線に直角な垂線を下したときの距離dを求める。
例えば特徴量としてIwmaxの値が7.0Aであるものが与えられたとすると、そのときの特徴量分布直線としては前述した直線1を使い、この特徴量の点と直線1との距離dを求める。
このように、各特徴量と特徴量分布直線との距離dを新たな特徴量と見なす。
こうすることで、3次元の特徴量(Iumax,Ixmax,Iwmax)を1次元の特徴量dとすることができ、取り扱いが容易となる。
正常時ならびに短絡時の各特徴量の点と、上記で求めた特徴量分布直線との距離dのヒストグラムをそれぞれ図4と図5に示す。図4と図5の横軸は距離dを表し、縦軸は発生頻度、即ち発生件数を表す。
図3の特徴量分布では、巻線正常時と短絡時とで両者の特徴量の重なる領域が少ないことから、ヒストグラム上でも重なりが少なくなっている。
このヒストグラムから診断に必要なパラメータ(ここでは標準偏差σ)を算出する。
次に、短絡診断方法を実施するための診断工程を具体的に説明する。
今回は巻線の状態を評価する指標として、故障確率を指標として定義する。
この故障確率の確率密度関数f(d)を距離dの関数として、以下の正規分布の式で表すことにする。
Figure 0005643372
ここでσは標準偏差を表す。また、(1)式の確率密度関数において、平均は特徴量分布直線上に相当するd=0とする。さらに、距離dは常に正の値を取るため、ここでは一般的な正規分布の式を2倍した式を用いる。こうすることで、f(d)を距離d=0から∞まで積分した値が1となる。
回転機を稼働させた状態で特徴量、すなわち各相に流れる電流の正側の最大値を計測する。そして、このときの特徴量を特徴量Fd(Iumax d,Ivmax d,Iwmax d)とする。この特徴量Fdと特徴量分布直線との距離dの値としてd=dが得られたとすると、このときの故障確率Pは、次式で計算することができる。
Figure 0005643372
この故障確率Pは、標準偏差σの決め方により様々な値を取る。
今回の電動機では、図4に示すように、巻線正常時の距離dの発生頻度がd=0.06のとき最大となる。そこで、d=0.06における故障確率が20%となるように、すなわちP=0.20となるように、標準偏差を定めることにする。
これは、特徴量分布直線との距離がd=0.06以下となる空間に特徴量が存在する確率が20%であることを意味する。
このように決定した標準偏差σは0.244となる。この値を保存しておく。
標準偏差σを0.244としたときの確率密度関数f(d)を図6に示す。
今回は、故障確率の確率密度関数f(d)として(1)式で表わされる式で表現したが、これを一次関数や指数関数の形として表わしてもよい。
例えば一次関数の場合は(3)式のようになる。ここでA、Bは正の定数である。
また、指数関数の場合は(4)式のような形となる。ここでA、Bは正の定数である。
距離dの値のときに故障確率Pの値をどのように定めるかによって、定数A、Bを決定することとなる。
一次関数の場合の波形は図7のようになり、指数関数の場合は図8のようになる。
f(d)=−Ad+B ・・・(3)
f(d)=Aexp(−Bd) ・・・(4)
以下に、電動機内部固定子巻線で発生する短絡の有無を判定できていることを確認するため、診断結果について、実験データを交えて説明する。
まず、固定子巻線が正常状態にある電動機に対する診断を行う。
各相の電流計測は同期して30秒間隔で計測する。そして、1回の計測では、例えば図9に示すように、各相電流波形が最低一周期分は含まれるような時間区間において、各相の電流の正側の最大値を導出し、これを特徴量とする。そして電動機に接続されている負荷の大きさを任意に変えたときに得られる60点分のデータそれぞれに対して故障確率を算出し、評価する。
負荷を変動させたときにW相に流れる負荷電流の正側の最大値Iwmaxと、このとき算出された故障確率の変化をそれぞれ図10と図11に示す。
図10の横軸はデータ数、縦軸は電流の正側の最大値Iwmaxである。また、図11の横軸はデータ数、縦軸はそのとき得られた特徴量に対して算出した故障確率である。
負荷の大きさにより特徴量Iwmaxも様々に変化し、得られる故障確率にも変動が見られるものの、その値は概ね低くなっている。そして、60点のデータに対する故障確率の平均は23.5%である。
次に、固定子巻線に短絡を発生させた場合で同様に評価する。
このときの負荷電流の正側の最大値と、そのとき算出された故障確率をそれぞれ図12と図13に示す。
固定子巻線で短絡が発生していると、得られる特徴量分布は正常時からずれて分布するため、距離dの値が大きくなり、結果的に故障確率が高い値で推移していることがわかる。この60点の特徴量に対する故障確率の平均は91.9%である。
以上の結果から、電動機に接続された負荷の大きさが様々に変化する場合でも、その負荷の大きさによらず、その電動機内部固定子巻線で発生する短絡の有無を判定できていることが確認できる。
今回は、各相に流れる電流の正側の最大値を特徴量とした。しかし、一般的に回転機に流れる電流にはノイズ成分が含まれる。そのため、電流からノイズ成分を除去しないと、得られる特徴量もノイズの影響を受けてしまい、図2や図3に示す特徴量の分布領域のばらつきが大きくなる。そこで回転機に流れる電流に含まれるノイズ成分を除去するために、ローパスフィルタLPFや移動平均フィルタを用いる。
図17に示すように、例えば60[Hz]の基本波成分の電流にノイズが重畳している場合でもローパスフィルタを用いることで、綺麗な基本波成分を取り出すことができ、ノイズの影響を受けない特徴量を取り出すことができる。
また、LPFのカットオフ周波数は電流の基本周波数成分の20倍以下とする。例えば、電流の基本波成分が60[Hz]であれば、カットオフ周波数は1200[Hz]以下とする。
このように余分なノイズ成分を除去することで、正しい値の特徴量を得ることができ、得られる特徴量分布直線も正確な値が得られるようになる。
なお、電流に様々な周波数成分が含まれる場合には、FFTなどの周波数解析を行うことで、各周波数成分を求めることができる。
図18に示すように、周波数解析することで、電流に含まれる各周波数成分を算出することができる。そして、特定の周波数成分(例えば60[Hz]など)に注目し、そのスペクトル強度S60を特徴量としてもよい。
また、前述したように特定周波数成分の電流における正側の最大値を特徴量としてもよい。
例えば、電流が様々な周波数成分を含む場合における、特定周波数成分を取り出す方法について、図18を用いて説明する。ここでは特定周波数成分として60Hzとする。
まず、様々な周波数成分を含む電流に対して、FFT(高速フーリエ変換)を行う。このとき、この電流に対する周波数スペクトルが得られる。
そして60Hzに相当するスペクトル成分の値だけ残し、それ以外のスペクトル成分をすべてゼロとする。
次に、60Hz成分のみを残した周波数スペクトルに対して、IFFT(逆高速フーリエ変換)を行う。こうすることで、60Hz成分の電流波形のみを抽出することができるようになる。こうして得られた特定周波数成分の電流における正側の最大値を特徴量としてもよい。
そしてこれらの周波数解析を三相すべての電流に対して行い、抽出した特徴量の分布を求めてもよい。
今回の実施の形態では、故障の一例として電動機の固定子巻線における短絡を考えたが、それ以外にも、ベアリングの内輪や外輪、転動体などの損傷時、回転子での損傷の有無を診断の対象としてもよい。
なお、上記実施の形態では、正常な回転機における特徴量の分布する領域の基準を直線で例示しているが、直線に限らず曲線を用いることができる。

Claims (7)

  1. 負荷が接続されて稼働している正常な回転機の各相に流れる電流を様々な大きさの負荷毎に計測し、様々な大きさの負荷の場合に対して特徴量を求め、それらの特徴量が分布する領域を求め、その正常な回転機における特徴量の分布する領域の基準となる線(特徴量分布線)を求めて、該特徴量分布線からの距離の関数として回転機の良否判定に用いる指標(故障確率)の確率密度関数を定義し、特徴量と特徴量分布線との距離がある値になるときに、判定指標が特定の値を取るように、確率密度関数中の標準偏差の値を決定して、この値をコンピュータのメモリに記憶させておき、
    回転機を診断する際に特徴量が得られると、その特徴量と前記特徴量分布線との距離を求め、この距離の値と予め求めておいた前記標準偏差の値を用いて、判定指標である故障確率を算出し、その値に閾値を設けるなどして、稼働時の回転機の良否を診断する
    ことを特徴とする回転機の良否診断システム。
  2. 負荷が接続されて稼働している正常な回転機の各相に流れる電流を様々な大きさの負荷毎に計測し、様々な大きさの負荷の場合に対して、回転機に流れる電流に含まれる特定の周波数成分の電流を周波数解析など行うことで抽出し、その特定周波数成分の電流から特徴量を求め、それらの特徴量が分布する領域を求め、その正常な回転機における特徴量の分布する領域の基準となる線(特徴量分布線)を求めて、該特徴量分布線からの距離の関数として回転機の良否判定に用いる指標(故障確率)の確率密度関数を定義し、特徴量と特徴量分布線との距離がある値になるときに、判定指標が特定の値を取るように、確率密度関数中の標準偏差の値を決定して、この値をコンピュータのメモリに記憶させておき、 回転機を診断する際に特徴量が得られると、その特徴量と前記特徴量分布線との距離を求め、この距離の値と予め求めておいた前記標準偏差の値を用いて、判定指標である故障確率を算出し、その値に閾値を設けるなどして、稼働時の回転機の良否を診断する
    ことを特徴とする回転機の良否診断システム。
  3. 前記回転機正常時の特徴量の分布領域を1本の特徴量分布線で近似するのではなく、区間毎に分けて複数の線で近似して診断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転機の良否診断システム。
  4. 前記様々な大きさの負荷の場合に対して求められる特徴量の数として、100点以上求めておくことを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか記載の回転機の良否診断システム。
  5. 前記特徴量を抽出する際に、電流に含まれるノイズ成分を除去するためにフィルタを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載の回転機の良否診断システム。
  6. 前記特徴量を3次元空間で示し、その3次元空間分布をコンピュータ画面上で回転させる機能を持たせることで、様々な角度からの特徴量の分布領域を確認し、回転機器の正常時と異常時の特徴量の変化を視覚的に確認するように構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか記載の回転機の良否診断システム。
  7. 前記正常な回転機における特徴量の分布する領域の基準となる線が、直線または曲線であることを特徴とする請求項1ないし請求項6いずれか記載の回転機の良否診断システム。
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