ところで、特許文献1の空気調和機では複数の室内ユニットに対する配管の分岐箇所が室外ユニットと各室内ユニットの間に設けられているが、その分岐箇所を室外ユニット内に設けることが考えられる。しかし、このような空気調和機では、接続する室内ユニットの台数を多くなるほど室外ユニット内の配管構成が複雑になる。このため、1台の室外ユニットに接続する室内ユニットの台数に限界があり、あまり多くの室内ユニットを設けることができない。多くの室内ユニットを設けるためには、空気調和機を複数台設置する必要がある。
しかし、複数台の空気調和機を設置しても各空気調和機が互いに独立していると、各空気調和機において、圧縮機に異常がある場合など、室外ユニットの圧縮機から室内ユニットに冷媒を供給することができない場合に、その空気調和機の室内ユニットでは空調運転を行うことができない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、室外ユニットに対して複数の室内ユニットが接続された空気調和機を備える空調システムにおいて、空気調和機の室内ユニットで空調運転を実行できない状況になることを回避できるように構成することにある。
第1の発明は、複数の空気調和機(14)を備え、上記各空気調和機(14)は、圧縮機(32)と室外熱交換器(33)が設けられた室外ユニット(23)と、それぞれに室内熱交換器(56)が設けられた複数の室内ユニット(24)とによって形成された冷媒回路(5)を備え、該冷媒回路(5)において冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うように構成されている空調システムを対象とする。この空調システムは、上記各空気調和機(14)の冷媒回路(5)のうち上記室外ユニット(23)に収容された部分に、上記各室内ユニット(24)に1つずつ接続された複数のガス側分岐管(17,18)と、全てのガス側分岐管(17,18)を上記圧縮機(32)に接続するためのガス側合流管(16)と、上記各室内ユニット(24)に1つずつ接続された複数の液側分岐管(37,38)と、全ての液側分岐管(37,38)を上記室外熱交換器(33)に接続するための液側合流管(36)とが設けられ、上記各空気調和機(14)の室外ユニット(23)に、一端が上記ガス側合流管(16)に接続して他端が室外用ガス側接続部(46)を構成するガス側延長管(48)と、一端が上記液側合流管(36)に接続して他端が室外用液側接続部(45)を構成する液側延長管(47)とが設けられ、上記各室外ユニット(23)の室外用ガス側接続部(46)を互いに接続するガス側接続回路(70)と、上記各室外ユニット(23)の室外用液側接続部(45)を互いに接続する液側接続回路(60)とを備えている。
第1の発明では、各室外ユニット(23)が、ガス側接続回路(70)及び液側接続回路(60)によって互いに接続されている。ガス側接続回路(70)は、ガス側合流管(16)から延びるガス側延長管(48)の端部となる室外用ガス側接続部(46)の間を接続している。また、液側接続回路(60)は、液側合流管(36)から延びる液側延長管(47)の端部となる室外用液側接続部(45)の間を接続している。つまり、各室外ユニット(23)の間は、ガス側合流管(16)同士及び液側合流管(36)同士がそれぞれ連通するように互いに接続されている。このため、各空気調和機(14)では、その空気調和機(14)の室内熱交換器(56)が、ガス側接続回路(70)及び液側接続回路(60)を通じて、他の空気調和機(14)の圧縮機(32)から延びるガス側合流管(16)と、他の空気調和機(14)の室外熱交換器(33)から延びる液側合流管(36)とに連通する。そして、各空気調和機(14)に対して、その空気調和機(14)の室内熱交換器(56)と他の空気調和機(14)の室外熱交換器(33)との間で他の空気調和機(14)の圧縮機(32)から吐出された冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うことが可能になる。
また、第1の発明は、上記の構成に加えて、上記各空気調和機(14)は、該冷媒回路(5)の圧縮機(32)から吐出された冷媒が該冷媒回路(5)の室内熱交換器(56)で放熱する通常暖房動作を実行可能に構成される一方、複数の上記空気調和機(14)のうちの1つである第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を行う第1暖房動作と、上記第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合に、該第1空気調和機(14a)とは別の第2空気調和機(14b)の冷媒回路(5b)の圧縮機(32b)から吐出された冷媒を、上記ガス側接続回路(70)及び上記液側接続回路(60)を利用して上記第1空気調和機(14a)の冷媒回路(5a)の室内熱交換器(56a)へ供給して放熱させる第2暖房動作とが実行可能になっている。
第1の発明では、第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を行う第1暖房動作が実行可能になっている。第1空気調和機(14a)の通常暖房動作では、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32)から吐出された冷媒が、第1空気調和機(14a)の室内熱交換器(56)で放熱する。また、第1の発明では、第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合に、第2空気調和機(14b)の冷媒回路(5b)の圧縮機(32b)から吐出された冷媒を、ガス側接続回路(70)及び液側接続回路(60)を利用して第1空気調和機(14a)の冷媒回路(5a)の室内熱交換器(56a)へ供給する第2暖房動作が行われる。
具体的に、第2暖房動作では、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が吐出した冷媒が、ガス側接続回路(70)を通じて第1空気調和機(14a)のガス側合流管(16a)に導入され、そのガス側合流管(16)に導入された冷媒が第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)へ供給される。第1空気調和機(14a)では、第2空気調和機(14b)から供給された冷媒が室内熱交換器(56a)で放熱することで、暖房運転が行われる。そして、室内熱交換器(56a)で放熱した冷媒は、室外ユニット(23a)へ戻って、その液側合流管(36a)から液側接続回路(60)を通じて第2空気調和機(14b)の液側合流管(36b)に戻る。第2空気調和機(14b)の液側合流管(36b)に戻った冷媒は、第2空気調和機(14b)の室外熱交換器(33b)で蒸発して、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)に吸入される。このように、この第1の発明によれば、第1室外ユニット(23a)と第2室外ユニット(23b)の間がガス側合流管(16)同士及び液側合流管(36)同士が連通するように接続されているので、第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合であっても、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)及び室外熱交換器(33b)を利用して、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で暖房運転が行われる。
また、第1の発明は、上記の構成に加えて、上記第1空気調和機(14a)が、上記通常暖房動作中に該室外熱交換器(33)に付着した霜を、該第1空気調和機(14a)又は第2空気調和機(14b)の圧縮機(32)の吐出冷媒によって融解させる除霜動作を実行可能に構成される一方、上記第1空気調和機(14a)が除霜動作を実行する場合に、上記第2暖房動作を行うように構成されている。
第1の発明では、第1空気調和機(14a)が除霜動作を実行可能に構成されている。除霜動作中の第1空気調和機(14a)では、その室外熱交換器(33a)が放熱器となるので、通常暖房動作が実行できない。この第1の発明では、除霜動作によって第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合に、第2暖房動作が行われる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第1空気調和機(14a)の冷媒回路(5a)には、上記ガス側合流管(16a)における上記ガス側延長管(48a)の接続箇所よりも圧縮機(32a)側と上記液側合流管(36a)における上記液側延長管(47a)の接続箇所よりも室外熱交換器(33a)側との間を接続するホットガスバイパス管(49a)と、該ホットガスバイパス管(49a)を開閉するバイパス用開閉弁(51a)とが設けられ、上記第1空気調和機(14a)の除霜動作では、上記バイパス用開閉弁(51a)が開状態に設定されて、該圧縮機(32a)の吐出冷媒が上記ホットガスバイパス管(49a)を通じて上記室外熱交換器(33a)に供給される。
第2の発明では、第1空気調和機(14a)の除霜動作の際に、ホットガスバイパス管(49a)のバイパス用開閉弁(51a)が開状態に設定される。第1空気調和機(14a)では、その圧縮機(32a)の吐出冷媒がホットガスバイパス管(49a)を通過し、その室外熱交換器(33a)へ供給される。
第3の発明は、上記第1の発明において、上記第1空気調和機(14a)の冷媒回路(5a)には、上記除霜動作の際に上記ガス側合流管(16a)と上記室外熱交換器(33a)のガス側とを連通させるためのガス側連通管(53a)と、該ガス側連通管(53a)を開閉する連通用開閉弁(54a)とが設けられ、上記第1空気調和機(14a)の除霜動作では、上記連通用開閉弁(54a)が開状態に設定されて、上記第2暖房動作に伴って上記ガス側接続回路(70)を通じて上記第1空気調和機(14a)のガス側合流管(16a)へ供給される該第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)の吐出冷媒の一部が上記ガス側連通管(53a)を通じて上記室外熱交換器(33a)へ供給される。
第3の発明では、第1空気調和機(14a)の除霜動作の際に、ガス側連通管(53a)の連通用開閉弁(54a)が開状態に設定される。このため、第2暖房動作に伴ってガス側接続回路(70)を通じて第1空気調和機(14a)のガス側合流管(16a)へ供給される第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)の吐出冷媒の一部が、ガス側連通管(53a)を通じて第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)へ供給される。第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)では、付着した霜が高温冷媒によって融解される。第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)で霜に放熱した冷媒は、液側接続回路(60)を通じて第2空気調和機(14b)の液側合流管(36b)に戻り、第2空気調和機(14b)の室外熱交換器(33b)で蒸発した後に第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)に吸入される。この第6の発明では、第1空気調和機(14a)の除霜動作の際に、第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)と第2空気調和機(14b)の室外熱交換器(33b)の間で、第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)が放熱器となって第2空気調和機(14b)の室外熱交換器(33b)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
第4の発明は、上記第1の発明において、上記各空気調和機(14)の液側合流管(36)には、上記通常暖房動作の際に該室内熱交換器(56)で放熱した冷媒を減圧する暖房用減圧弁(41)が設けられ、該暖房用減圧弁(41)よりも室内熱交換器(56)側の位置に上記液側延長管(47)が接続されている。
第4の発明では、各空気調和機(14)の液側合流管(36)に、通常暖房動作の際に室内熱交換器(56)で放熱した冷媒を減圧する暖房用減圧弁(41)が設けられている。このため、第1空気調和機(14a)に対する第2暖房動作では、第1空気調和機(14a)の室内熱交換器(56a)で放熱した冷媒が、第1空気調和機(14a)の暖房用減圧弁(41)を通過せずに、第2空気調和機(14b)の暖房用減圧弁(41)で減圧される。
第5の発明は、上記第1乃至第4の何れか1つの発明において、上記第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)が運転不能になった場合に、上記第2暖房動作を実行するように構成されている。
第5の発明では、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)が運転不能になった場合に、第2暖房動作が行われる。つまり、第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合に、第2暖房動作が行われる。
第6の発明は、上記第1乃至第5の何れか1つの発明において、上記各空気調和機(14)の各液側分岐管(37,38)には、該液側分岐管(37,38)の冷媒流量を調節するための流量調節弁(42,43)がそれぞれ設けられている。
第6の発明では、各室内熱交換器(56)の冷媒流量を調節する流量調節弁(42,43)が室外ユニット(23)に配置されている。このため、第1及び第2暖房動作中に室内熱交換器(56)で放熱した冷媒が、室外ユニット(23)で流量調節弁(42,43)を通過する。
第7の発明は、上記第6の発明において、上記各空気調和機(14)の各ガス側分岐管(17,18)には、上記第1及び第2暖房動作中に該ガス側分岐管(17,18)と同じ室内熱交換器(56)に接続する液側分岐管(37,38)の流量調節弁(42,43)が閉鎖される場合に閉鎖されるガス遮断弁(8,9)がそれぞれ設けられている。
第7の発明では、各ガス側分岐管(17,18)にガス遮断弁(8,9)が設けられている。ガス遮断弁(8,9)は、第1及び第2暖房動作中に、そのガス遮断弁(8,9)が設けられたガス側分岐管(17,18)と同じ室内熱交換器(56)に接続する液側分岐管(37,38)の流量調節弁(42,43)が閉鎖される場合に閉鎖される。つまり、ガス遮断弁(8,9)は、そのガス遮断弁(8,9)が設けられたガス側分岐管(17,18)が接続する室内ユニット(24)で暖房運転が停止される場合に閉鎖される。このため、同じ空気調和機(14)の他の室内ユニット(24)で暖房運転を行われていても、停止中の室内ユニット(24)の室内熱交換器(56)に、そのガス側から冷媒が流入することが阻止される。
第8の発明は、上記第1乃至第7の何れか1つの発明において、上記各空気調和機(14)は、該冷媒回路(5)の圧縮機(32)から吐出された冷媒を該冷媒回路(5)の室内熱交換器(56)で蒸発させる通常冷房動作を実行可能に構成される一方、複数の上記空気調和機(14)のうちの1つである第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を行う第1冷房動作と、上記第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を実行できない場合に、該第1空気調和機(14a)とは別の第2空気調和機(14b)の冷媒回路(5b)の圧縮機(32b)から吐出された冷媒を、上記ガス側接続回路(70)及び上記液側接続回路(60)を利用して上記第1空気調和機(14a)の冷媒回路(5a)の室内熱交換器(56a)へ供給して、該冷媒を室内熱交換器(56a)で蒸発させる第2冷房動作とが実行可能になっている。
第8の発明では、第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を行う第1冷房動作が実行可能になっている。第1空気調和機(14a)の通常冷房動作では、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32)から吐出された冷媒が、第1空気調和機(14a)の室内熱交換器(56)で蒸発する。また、第8の発明では、第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を実行できない場合に、第2空気調和機(14b)の冷媒回路(5b)の圧縮機(32b)から吐出された冷媒を、ガス側接続回路(70)及び液側接続回路(60)を利用して第1空気調和機(14a)の冷媒回路(5a)の室内熱交換器(56a)へ供給して、該冷媒を室内熱交換器(56a)で蒸発させる第2冷房動作が行われる。
具体的に、第2冷房動作では、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が吐出した冷媒が、第2空気調和機(14b)の室外熱交換器(33b)で放熱し、室外熱交換器(33b)で放熱した冷媒が、液側接続回路(60)を通じて、第2空気調和機(14b)の液側合流管(36b)から第1空気調和機(14a)の液側合流管(36a)へ導入され、その液側合流管(36a)に導入された冷媒が第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)へ供給される。第1空気調和機(14a)では、第2空気調和機(14b)から供給された冷媒が室内熱交換器(56a)で蒸発することで、冷房運転が行われる。そして、室内熱交換器(56a)で蒸発した冷媒は、室外ユニット(23a)へ戻って、そのガス側合流管(16a)からガス側接続回路(70)を通じて第2空気調和機(14b)のガス側合流管(16b)に戻る。第2空気調和機(14b)のガス側合流管(16b)に戻った冷媒は、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)に吸入される。このように、この第8の発明によれば、第1室外ユニット(23a)と第2室外ユニット(23b)の間がガス側合流管(16)同士及び液側合流管(36)同士が連通するように接続されているので、第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を実行できない場合であっても、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)及び室外熱交換器(33b)を利用して、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で冷房運転が行われる。
第9の発明は、上記第8の発明において、上記第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)が運転不能になった場合に、上記第2冷房動作を実行するように構成されている。
第9の発明では、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)が運転不能になった場合に、第2冷房動作が行われる。つまり、第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を実行できない場合に、第2冷房動作が行われる。
第10の発明は、上記第1乃至第9の何れか1つの発明において、上記室外ユニット(23)の室外用ガス側接続部(46)に接続するためのガス側接続部(64,65)と、上記室外ユニット(23)の室外用液側接続部(45)に接続するための液側接続部(61,62)とが複数組形成されて、上記ガス側接続回路(70)の一部を構成するガス側接続管(70a)が複数のガス側接続部(64,65)の間を延び、上記液側接続回路(60)の一部を構成する液側接続管(60a)が複数の液側接続部(61,62)の間を延びる接続ユニット(26)を備え、上記接続ユニット(26)のガス側接続部(64,65)及び液側接続部(61,62)の各組に対して、上記複数の空気調和機(14)の室外ユニット(23)の室外用ガス側接続部(46)及び室外用液側接続部(45)をそれぞれ冷媒配管で接続することによって上記ガス側接続回路(70)及び上記液側接続回路(60)が構成されている。
第10の発明では、各室外ユニット(23)の室外用ガス側接続部(46)及び室外用液側接続部(45)に接続するためのガス側接続部(64,65)及び液側接続部(61,62)が形成された接続ユニット(26)を用いて、第1室外ユニット(23a)と第2室外ユニット(23b)が接続されている。第1室外ユニット(23a)と第2室外ユニット(23b)は、接続ユニット(26)のガス側接続部(64,65)と各室外ユニット(23)の室外用ガス側接続部(46)の間を冷媒配管で接続して、接続ユニット(26)の液側接続部(61,62)と各室外ユニット(23)の室外用液側接続部(45)との間を冷媒配管で接続することによって接続される。
第11の発明は、上記第1乃至第10の何れか1つの発明において、上記ガス側接続回路(70)には、各室外用ガス側接続部(46)との間における冷媒の流通を個別に断続するための複数のガス側開閉弁(74,75,76)と、上記液側接続回路(60)には、各室外用液側接続部(45)との間における冷媒の流通を個別に断続するための複数の液側開閉弁(71,72,73)とが設けられている。
第11の発明では、ガス側接続回路(70)に複数のガス側開閉弁(74,75,76)が設けられ、液側接続回路(60)に複数の液側開閉弁(71,72,73)が設けられている。各ガス側開閉弁(74,75,76)は、各室外用ガス側接続部(46)との間における冷媒の流通を個別に断続する。各液側開閉弁(71,72,73)は、各室外用液側接続部(45)との間における冷媒の流通を個別に断続する。
本発明では、各室外ユニット(23)間がガス側合流管(16)同士及び液側合流管(36)同士が連通するように接続されているので、各空気調和機(14)に対して、その空気調和機(14)の室内熱交換器(56)と他の空気調和機(14)の室外熱交換器(33)との間で他の空気調和機(14)の圧縮機(32)から吐出された冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うことが可能になる。つまり、各空気調和機(14)の室内ユニット(24)では、他の室外ユニット(23)の圧縮機(32)及び室外熱交換器(33)を利用して、空調運転を行うことが可能である。従って、空気調和機(14)において室外ユニット(23)の圧縮機(32)から室内ユニット(24)へ冷媒を供給することができない場合でも、その空気調和機(14)の室内ユニット(24)で空調運転を実行できない状況になることを回避できる。
また、本発明では、第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合であっても、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)及び室外熱交換器(33b)を利用して、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で暖房運転が行われる。つまり、例えば第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)が故障した場合であっても、第2暖房動作を行うことで、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で暖房運転を行うことが可能である。従って、第1空気調和機(14a)において室外ユニット(23a)の圧縮機(32a)から室内ユニット(24)へ冷媒を供給することができない場合でも、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で暖房運転を実行できない状況になることを回避できる。
また、本発明では、除霜動作によって第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合に、第2暖房動作が行われる。従って、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)は、除霜動作中であっても、第2暖房動作によって暖房運転を継続することができる。
また、上記第3の発明では、第1空気調和機(14a)で除霜に用いられた冷媒が第2空気調和機(14b)の室外熱交換器(33b)で蒸発した後に第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)に吸入される。このため、液圧縮によって第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が損傷する危険性を低下させることができる。また、第1空気調和機(14a)で除霜に用いられた冷媒を熱交換器で蒸発させない場合に比べて、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が吸入する冷媒のエンタルピの値が大きくなる。従って、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が吐出する冷媒の温度が高くなるので、第1空気調和機(14a)での除霜時間を短縮することができる。
また、上記第4の発明では、第1空気調和機(14a)に対する第2暖房動作において、第1空気調和機(14a)の室内熱交換器(56a)で放熱した冷媒が、第2空気調和機(14b)の暖房用減圧弁(41)で減圧されるようにしている。このため、第1空気調和機(14a)から第2空気調和機(14b)へ戻る冷媒の液成分の割合が多くなるので、第1空気調和機(14a)から第2空気調和機(14b)へ戻る冷媒の圧力損失を減らすことができる。従って、第2暖房動作時の運転効率が圧力損失によって低下することを抑制することができる。また、第2暖房動作時に、通常暖房動作を実行できない空気調和機(14)の暖房用減圧弁(41)を閉鎖するようにすれば、その通常暖房動作を実行できない空気調和機(14)の室外熱交換器(33)に液冷媒が溜まることを防止することができる。
また、上記第5の発明では、圧縮機(32a)が運転不能になって第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合に、第2暖房動作が行われる。従って、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)は、圧縮機(32a)が運転不能になっても、第2暖房動作によって暖房運転を行うことができる。
また、上記第6の発明では、第1及び第2暖房動作中に室内熱交換器(56)で放熱した冷媒が、室外ユニット(23)で流量調節弁(42,43)を通過する。冷媒は流量調節弁(42,43)を通過する際にその圧力が低下する。つまり、第1及び第2暖房動作中に室内熱交換器(56)で放熱した冷媒が室外ユニット(23)に戻ってから流量調節弁(42,43)で減圧される。このため、室内熱交換器(56)で放熱して室外ユニット(23)へ戻る冷媒の液成分の割合が多くなるので、その冷媒の圧力損失を減らすことができ、第1及び第2暖房動作時の運転効率が圧力損失によって低下することを抑制することができる。
また、上記第7の発明では、各室内ユニット(24)に接続する各ガス側分岐管(17,18)に該室内ユニット(24)で暖房運転が停止される場合に閉鎖されるガス遮断弁(8,9)を設けているので、同じ空気調和機(14)の他の室内ユニット(24)で暖房運転が行われていれも、停止中の室内ユニット(24)の室内熱交換器(56)に、そのガス側から冷媒が流入することが阻止される。
ここで、室外ユニット(23)に対して複数の室内ユニット(24)が接続されている従来の空気調和機では、ある室内ユニット(24)で暖房運転が停止された後も、他の室内ユニット(24)で暖房運転が行われていれば、暖房運転を停止した室内ユニット(24)に対応する流量調節弁(42,43)を閉鎖しても、停止中の室内ユニット(24)の室内熱交換器(56)にガス側から冷媒が流入して凝縮する。そして、停止中の室内ユニット(24)の室内熱交換器(56)に冷媒が溜まってゆき、他の室内ユニット(24)で冷媒が不足するおそれがある。このため、従来の空気調和機では、停止中の室内ユニット(24)に冷媒が溜まりにくくするために、停止中の室内ユニット(24)に対応する流量調節弁(42,43)を僅かに開けて、停止中の室内ユニット(24)に微量の冷媒を流通させていた。しかし、この場合は、停止中の室内ユニット(24)で冷媒の温熱が無駄に消費されてしまうという問題がある。
これに対して、この第7の発明では、同じ空気調和機(14)の他の室内ユニット(24)で暖房運転が行われていても、停止中の室内ユニット(24)の室内熱交換器(56)に、そのガス側から冷媒が流入することが、ガス遮断弁(8,9)によって阻止される。従って、停止中の室内ユニット(24)に冷媒が溜まり込むことを防止することができるのは勿論のこと、その停止中の室内ユニット(24)で冷媒の温熱が無駄に消費されることを防止することができる。
また、上記第8の発明では、第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を実行できない場合であっても、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)及び室外熱交換器(33b)を利用して、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で冷房運転が行われる。つまり、例えば第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)が故障した場合であっても、第2冷房動作を行うことで、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で冷房運転を行うことが可能である。従って、第1空気調和機(14a)において室外ユニット(23a)の圧縮機(32a)から室内ユニット(24)へ冷媒を供給することができない場合でも、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で冷房運転を実行できない状況になることを回避できる。
また、上記第9の発明では、圧縮機(32a)が運転不能になって第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を実行できない場合に、第2冷房動作が行われる。従って、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)は、圧縮機(32)が運転不能になっても、第2冷房動作によって冷房運転を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〈空調システムの全体構成〉
本実施形態は、本発明に係る空調システム(10)である。この空調システム(10)は、冷媒を循環させて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路(5)を有する空気調和機(14)として、図1に示すように、第1空気調和機(14a)と第2空気調和機(14b)と第3空気調和機(14c)とを備えている。この空調システム(10)では、これらの3つの空気調和機(14)が接続ユニット(26)によって互いに接続されることによって、1つの空調回路(15)が構成されている。空調回路(15)には、R410AなどHFC冷媒を2種類以上含む混合冷媒が充填されている。
各空気調和機(14)では、室外ユニット(23)に複数台の室内ユニット(24)が接続されている。具体的に、第1空気調和機(14a)の第1室外ユニット(23a)には、第1室内ユニット(24a)及び第2室内ユニット(24b)が接続されている。第2空気調和機(14b)の第2室外ユニット(23b)には、第3室内ユニット(24c)及び第4室内ユニット(24d)が接続されている。第3空気調和機(14c)の第3室外ユニット(23c)には、第5室内ユニット(24e)及び第6室内ユニット(24f)が接続されている。なお、各室外ユニット(23)に対して接続する室内ユニット(24)の台数は単なる例示である。
《室外ユニット》
室外ユニット(23)には室外回路(31)が収容されている。室外回路(31)には、圧縮機(32)、室外熱交換器(33)及び四路切換弁(34)が設けられている。
圧縮機(32)は、例えば全密閉の高圧ドーム型のスクロール圧縮機として構成されている。圧縮機(32)には、インバータを介して電力が供給される。圧縮機(32)は、インバータの出力周波数を変化させることによって、その運転容量を段階的に調節することができるように構成されている。圧縮機(30)は、その吐出側が四路切換弁(34)の第1ポート(P1)に接続され、その吸入側が四路切換弁(34)の第2ポート(P2)に接続されている。
室外熱交換器(33)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器により構成されている。室外熱交換器(33)の近傍には、室外熱交換器(33)に室外空気を送るための室外ファン(35)が設けられている。室外熱交換器(33)では、冷媒と室外空気との間で熱交換が行われる。室外熱交換器(33)のガス側は、四路切換弁(34)の第4ポート(P4)に接続されている。室外熱交換器(33)の液側には、液ライン(13)の一部を構成する液側合流管(36)が接続されている。液ライン(13)は、室外熱交換器(33)の液側から後述する各室内熱交換器(56)まで延びている。
液側合流管(36)には、開度可変の電子膨張弁により構成された第1膨張弁(41)が設けられている。第1膨張弁(41)は暖房用減圧弁(41)を構成している。また、液側合流管(36)は、室外熱交換器(33)に接続されている方とは逆側が、第1液側分岐管(37)と第2液側分岐管(38)に分岐している。第1液側分岐管(37)と第2液側分岐管(38)は、液ライン(13)の一部を構成している。
第1液側分岐管(37)は第1液側閉鎖弁(39)に接続され、第2液側分岐管(38)は第2液側閉鎖弁(40)に接続されている。各液側閉鎖弁(39,40)は、室内ユニット(24)を接続するための室内用液側接続部(39,40)を構成している。また、第1液側分岐管(37)には第2膨張弁(42)が設けられ、第2液側分岐管(38)には第3膨張弁(43)が設けられている。第2膨張弁(42)及び第3膨張弁(43)は、開度可変の電子膨張弁である。第2膨張弁(42)及び第3膨張弁(43)は、流量調節弁(42,43)を構成している。第2膨張弁(42)及び第3膨張弁(43)の各々は、対応する室内ユニット(24)で空調運転が停止される場合に閉鎖される。
四路切換弁(34)の第3ポート(P3)には、ガスライン(12)の一部を構成するガス側合流管(16)が接続されている。ガスライン(12)は、室外熱交換器(33)のガス側から後述する各室内熱交換器(56)まで延びている。ガス側合流管(16)は、四路切換弁(34)に接続されている方とは逆側が、第1ガス側分岐管(17)と第2ガス側分岐管(18)に分岐している。第1ガス側分岐管(17)と第2ガス側分岐管(18)は、ガスライン(12)の一部を構成している。
第1ガス側分岐管(17)は第1ガス側開閉弁(19)に接続され、第2ガス側分岐管(18)は第2ガス側開閉弁(20)に接続されている。各ガス側開閉弁(19,20)は、室内ユニット(24)を接続するための室内用ガス側接続部(19,20)を構成すると共に、ガス遮断弁(8,9)を構成している。第1ガス側開閉弁(19)及び第2ガス側開閉弁(20)は、電磁式の閉鎖弁により構成されている。第1ガス側開閉弁(19)及び第2ガス側開閉弁(20)の各々は、対応する室内ユニット(24)で空調運転が停止される場合に閉鎖される。
なお、室外ユニット(23)では、ガス側開閉弁(19,20)と液側閉鎖弁(39,40)が対になっている。ガス側開閉弁(19,20)と液側閉鎖弁(39,40)は、2組設けられているが、3組以上設けることも可能である。
四路切換弁(34)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)が互いに連通して第2ポート(P2)と第4ポート(P4)が互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)が互いに連通して第2ポート(P2)と第3ポート(P3)が互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)との間で、切換自在に構成されている。
本実施形態の室外ユニット(23)には、他の室外ユニット(23)を接続するための一対の室外用液側閉鎖弁(45)及び室外用ガス側閉鎖弁(46)が設けられている。室外用液側閉鎖弁(45)は室外用液側接続部(45)を構成し、室外用ガス側閉鎖弁(46)は室外用ガス側接続部(46)を構成している。室外用液側閉鎖弁(45)には液側合流管(36)から分岐した液側延長管(47)が接続されている。液側延長管(47)は、第1膨張弁(41)よりも室内側の位置から分岐している。また、室外用ガス側閉鎖弁(46)にはガス側合流管(16)から分岐したガス側延長管(48)が接続されている。
また、本実施形態の室外回路(31)では、液側合流管(36)とガス側合流管(16)の間が、ホットガスバイパス管(49)で接続されている。ホットガスバイパス管(49)は、液側合流管(36)においては室外熱交換器(33)と第1膨張弁(41)の間に接続され、ガス側合流管(16)においては四路切換弁(34)とガス側延長管(48)の接続箇所の間に接続されている。ホットガスバイパス管(49)には、液側合流管(36)側から順番に、キャピラリーチューブ(50)とバイパス用開閉弁(51)が設けられている。バイパス用開閉弁(51)は、開閉自在の電磁弁により構成されている。なお、キャピラリーチューブ(50)は、圧縮機(32)の入口側と出口側の差圧を取るために設けられている。
《室内ユニット》
室内ユニット(24)には室内回路(55)が収容されている。室内回路(55)は、そのガス側端に室内ガス側接続具(58)が設けられ、その液側端に室内液側接続具(57)が設けられている。室内ガス側接続具(58)には、室外ユニット(23)のガス側開閉弁(19,20)に接続されたガス側連絡管が接続されている。室内液側接続具(57)には、室外ユニット(23)の液側閉鎖弁(39,40)に接続された液側連絡管が接続されている。ガス側連絡管はガスライン(12)の一部を構成し、液側連絡管は液ライン(13)の一部を構成している。
また、室内回路(55)には、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器により構成された室内熱交換器(56)が接続されている。室内熱交換器(56)の近傍には、室内熱交換器(56)に室内空気を送るための室内ファン(59)が設けられている。室内熱交換器(56)では、冷媒と室内空気との間で熱交換が行われる。
《接続ユニット》
接続ユニット(26)には、液側接続管(60a)とガス側接続管(70a)が収容されている。液側接続管(60a)は液側接続回路(60)の一部を構成し、ガス側接続管(70a)はガス側接続回路(70)の一部を構成している。液側接続管(60a)とガス側接続管(70a)は互いに独立している。
液側接続管(60a)は、第1液側接続部(61)と第2液側接続部(62)と第3液側接続部(63)を相互に接続している。また、液側接続管(60a)では、第1液側接続部(61)に分岐した配管に第1接続側開閉弁(71)が、第2液側接続部(62)に分岐した配管に第2接続側開閉弁(72)が、第3液側接続部(63)に分岐した配管に第3接続側開閉弁(73)が、それぞれ設けられている。第1乃至第3の各接続側開閉弁(71〜73)は液側開閉弁(71,72,73)を構成している。各液側接続部(61〜63)は、液側接続回路(60)の一部を構成する冷媒配管を介して、室外ユニット(23)の室外用液側閉鎖弁(45)に接続されている。
一方、ガス側接続管(70a)は、第1ガス側接続部(64)と第2ガス側接続部(65)と第3ガス側接続部(66)を相互に接続している。また、ガス側接続管(70a)では、第1ガス側接続部(64)に分岐した配管に第4接続側開閉弁(74)が、第2ガス側接続部(65)に分岐した配管に第5接続側開閉弁(75)が、第3ガス側接続部(66)に分岐した配管に第6接続側開閉弁(76)が、それぞれ設けられている。第4乃至第6の各接続側開閉弁(74〜76)はガス側開閉弁(74,75,76)を構成している。各ガス側接続部(64〜66)は、ガス側接続回路(70)の一部を構成する冷媒配管を介して、室外ユニット(23)の室外用ガス側閉鎖弁(46)に接続されている。
−空調システムの運転動作−
以下に、本実施形態の空調システム(10)の運転動作について説明する。
<冷房運転>
室内ユニット(24)が冷房運転を行う場合の冷媒の流れについて説明する。この空調システム(10)は、各空気調和機(14)の室内ユニット(24)の冷房運転時の動作として、該空気調和機(14)に対して2種類の冷房動作を選択的に行うことが可能である。以下では、第1空気調和機(14a)に対して行われる第1冷房動作及び第2冷房動作についてそれぞれ説明する。なお、第2空気調和機(14b)に対して行われる第1−2冷房動作と、第3空気調和機(14c)に対して行われる第1−3冷房動作とは、第1冷房動作と同様の冷媒の流れであり、第2空気調和機(14b)に対して行われる第2−2冷房動作と、第3空気調和機(14c)に対して行われる第2−3冷房動作とは、第2冷房動作と同様の冷媒の流れであるため、説明は省略する。
≪第1冷房動作≫
まず、第1空気調和機(14a)に対する第1冷房動作について、図2を参照にして説明する。第1冷房動作では、四路切換弁(34a)が第2状態に設定され、第1膨張弁(41a)が全開に設定される。また、ホットガスバイパス管(49a)のバイパス用開閉弁(51a)は閉状態に設定される。
そして、この状態で、第1空気調和機(14a)は、圧縮機(32a)及び室外ファン(35a)の運転を行うことによって通常冷房動作を行う。また、通常冷房動作によって冷房運転を行う室内ユニット(24)は室内ファン(59a,59b)の運転を行い、さらに該室内ユニット(24)に対応する第2及び第3膨張弁(42a,43a)の開度が、対応する室内ユニット(24)の室内熱交換器(56a,56b)の出口の冷媒の過熱度が一定値(例えば5℃)になるようにそれぞれスーパーヒート制御される。各室内熱交換器(56a,56b)の冷媒流量は、第2膨張弁(42a)及び第3膨張弁(43a)によって調節される。
通常冷房動作では、第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)が凝縮器(放熱器)となって第1空気調和機(14a)の各室内熱交換器(56a,56b)が蒸発器となる蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。この冷凍サイクルでは、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)から吐出された冷媒が、第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)と第1空気調和機(14a)の各室内熱交換器(56a,56b)の間を循環する。
具体的に、圧縮機(32a)で圧縮された冷媒は、圧縮機(32a)から吐出されて、四路切換弁(34a)によって室外熱交換器(33a)へ送られる。室外熱交換器(33a)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(33a)で凝縮した冷媒は、液側合流管(36)を通過して、第1液側分岐管(37a)と第2液側分岐管(38a)に分岐する。第1液側分岐管(37a)に分配された冷媒は、第2膨張弁(42a)で減圧された後に、室内熱交換器(56a)で室内空気から吸熱して蒸発する。一方、第2液側分岐管(38a)に分配された冷媒は、第3膨張弁(43a)で減圧された後に、室内熱交換器(56b)で室内空気から吸熱して蒸発する。各室内ユニット(24)では、冷媒によって冷却された空気が室内へ供給される。
各室内熱交換器(56a,56b)で蒸発した冷媒は、室外回路(31a)に戻り、他の室内熱交換器(56a,56b)で蒸発した冷媒と合流する。そして、合流した冷媒は、圧縮機(32a)に吸入されて再び圧縮される。
なお、第2及び第3空気調和機(14b,14c)が通常冷房動作中であれば、接続ユニット(26)の第1〜第6接続側開閉弁(71〜76)は全て開状態に設定される。但し、第2及び第3の各空気調和機(14b,14c)で通常冷房動作が停止される場合は、停止する空気調和機(14b,14c)に対応する接続側開閉弁(72,73,75,76)は閉状態に設定される。各空気調和機(14)の室内ユニット(24)の冷房負荷に応じて、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)では、他の空気調和機(14b,14c)の室内ユニット(24)との間で冷媒流量が、ガス側接続回路(70)及び液側接続回路(60)を通じてバランスされる。なお、空気調和機(14)間を冷媒が流通しないように、接続ユニット(26)の全ての接続側開閉弁(71〜76)を閉状態に設定してもよい。
≪第2冷房動作≫
続いて、第1空気調和機(14a)に対する第2冷房動作について、図3を参照にして説明する。この第2冷房動作は、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)に異常がある場合、つまり第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を実行できない場合に行われる。
第2冷房動作では、接続ユニット(26)の全ての接続側開閉弁(71〜76)が開状態に設定される。なお、他の設定は第1冷房動作時と基本的に同じである。但し、第2及び第3空気調和機(14b,14c)のうち一方の空気調和機(14b,14c)で通常冷房動作が停止中であれば、その停止中の空気調和機(14b,14c)に対応する接続側開閉弁(72,73,75,76)は閉状態に設定される。なお、停止中の空気調和機(14b,14c)がある場合は、第2冷房動作の開始に伴って、その停止中の空気調和機(14b,14c)において圧縮機(32b,32c)だけを起動させてもよい。この場合、圧縮機(32b,32c)を起動させる空気調和機(14b,14c)に対応する接続側開閉弁(72,73,75,76)が開状態に設定される。
第2冷房動作では、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の室外熱交換器(33b,33c)が凝縮器(放熱器)となって第1空気調和機(14a)の各室内熱交換器(56a,56b)が蒸発器となる蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。この冷凍サイクルでは、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の圧縮機(32b,32c)から吐出された冷媒が、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の室外熱交換器(33b,33c)と第1空気調和機(14a)の各室内熱交換器(56a,56b)の間を循環する。
具体的に、第2及び第3空気調和機(14b,14c)では、室外熱交換器(33b,33c)で凝縮して液側合流管(36b,36c)を流れる冷媒の一部が、液側延長管(47b,47c)に流入する。液側合流管(36b,36c)を流れる残り冷媒は、その空気調和機(14b,14c)の各室内熱交換器(56)へ供給される。第2及び第3空気調和機(14b,14c)では、第1空気調和機(14a)に対する第2冷房動作の開始後も通常冷房動作が継続される。
第2空気調和機(14b)の液側延長管(47b)に流入した冷媒と、第3空気調和機(14c)の液側延長管(47c)に流入した冷媒は、接続ユニット(26)の液側接続管(60a)で合流し、第1空気調和機(14a)の液側延長管(47a)を通じて、第1空気調和機(14a)の液側合流管(36a)に流入する。
第1空気調和機(14a)では、液側合流管(36a)に流入した冷媒が、第1液側分岐管(37a)と第2液側分岐管(38a)に分岐する。各液側分岐管(37a,37b)に分岐した冷媒の流れは、上記第1冷房動作と同じである。各室内ユニット(24a,24b)では、第2及び第3空気調和機(14b,14c)から供給された冷媒が室内熱交換器(56a,56b)で蒸発することによって冷房運転が行われる。
室内ユニット(24a,24b)から室外ユニット(23a)に戻った冷媒は、ガス側延長管(48a)を通じて、接続ユニット(26)のガス側接続管(70a)に流入する。ガス側接続管(70a)に流入した冷媒は、一部がガス側延長管(48b)を通じて第2空気調和機(14b)のガス側合流管(16b)に流入し、残りがガス側延長管(48c)を通じて第3空気調和機(14c)のガス側合流管(16c)に流入する。
第2空気調和機(14b)では、ガス側合流管(16b)に流入した冷媒が、各室内ユニット(24c,24d)で蒸発した冷媒と合流した後に、圧縮機(32b)に吸入されて再び圧縮される。なお、第3空気調和機(14c)のガス側合流管(16b)に流入した冷媒の流れも第2空気調和機(14b)と同様であるため、説明は省略する。このように、第1空気調和機(14a)では、その圧縮機(32a)を運転させることができない場合であっても、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の圧縮機(32)及び室外熱交換器(33)を利用して、各室内ユニット(24)で冷房運転を行うことが可能である。
<暖房運転>
室内ユニット(24)が暖房運転を行う場合の冷媒の流れについて説明する。この実施形態では、各空気調和機(14)の室内ユニット(24)の暖房運転時の動作として、該空気調和機(14)に対して2種類の暖房動作を選択的に行うことが可能である。以下では、第1空気調和機(14a)に対して行われる第1暖房動作及び第2暖房動作についてそれぞれ説明する。なお、第2空気調和機(14b)に対して行われる第1−2暖房動作と、第3空気調和機(14c)に対して行われる第1−3暖房動作とは、第1暖房動作と同様の冷媒の流れであり、第2空気調和機(14b)に対して行われる第2−2暖房動作と、第3空気調和機(14c)に対して行われる第2−3暖房動作とは、第2暖房動作と同様の冷媒の流れであるため、説明は省略する。
≪第1暖房動作≫
まず、第1空気調和機(14a)に対する第1暖房動作について、図4を参照にして説明する。第1暖房動作では、四路切換弁(34a)が第1状態に設定される。また、第1膨張弁(41a)は開状態に設定される。また、ホットガスバイパス管(49a)のバイパス用開閉弁(51a)は閉状態に設定される。
そして、この状態で、第1空気調和機(14a)は、圧縮機(32a)及び室外ファン(35a)の運転を行うことによって通常暖房動作を行う。また、通常暖房動作によって暖房運転を行う室内ユニット(24)は室内ファン(59a,59b)の運転を行い、さらに該室内ユニット(24)に対応する第2及び第3膨張弁(42a,43a)の開度が、対応する室内ユニット(24)の室内熱交換器(56a,56b)の出口の冷媒の過冷却度が一定値(例えば5℃)になるようにそれぞれサブクール制御される。なお、第1膨張弁(41a)の開度は、室外熱交換器(33a)の出口の冷媒の過熱度が一定値(例えば5℃)になるようにスーパーヒート制御される。通常暖房動作では、主に第1膨張弁(41a)が室内熱交換器(56a,56b)で凝縮した冷媒を減圧し、各室内熱交換器(56a,56b)の冷媒流量が第2膨張弁(42a)及び第3膨張弁(43a)によって調節される。
通常暖房動作では、第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)が蒸発器となって第1空気調和機(14a)の各室内熱交換器(56a,56b)が凝縮器(放熱器)となる蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。この冷凍サイクルでは、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)から吐出された冷媒が、第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)と第1空気調和機(14a)の各室内熱交換器(56a,56b)の間を循環する。
具体的に、圧縮機(32a)で圧縮された冷媒は、圧縮機(32a)から吐出されて、四路切換弁(34a)によってガス側合流管(16a)へ送られ、第1ガス側分岐管(17a)と第2ガス側分岐管(18a)に分岐する。第1ガス側分岐管(17a)に分配された冷媒は、第1室内ユニット(24a)の室内熱交換器(56a)で室内空気に放熱して凝縮する。一方、第2ガス側分岐管(18a)に分配された冷媒は、第2室内ユニット(24b)の室内熱交換器(56b)で室内空気に放熱して凝縮する。各室内ユニット(24)では、冷媒によって加熱された空気が室内へ供給される。
各室内熱交換器(56a,56b)で凝縮した冷媒は、室外回路(31a)に戻り、他の室内熱交換器(56a,56b)で凝縮した冷媒と合流した後に、第1膨張弁(41a)で減圧される。そして、第1膨張弁(41a)で減圧された冷媒は、室外熱交換器(33a)で室外空気から吸熱して蒸発し、圧縮機(32a)に吸入されて再び圧縮される。
なお、第2及び第3空気調和機(14b,14c)が通常暖房動作中であれば、接続ユニット(26)の第1〜第6接続側開閉弁(71〜76)は全て開状態に設定される。但し、第2及び第3の各空気調和機(14b,14c)で通常暖房動作が停止される場合は、停止する空気調和機(14b,14c)に対応する接続側開閉弁(72,73,75,76)は閉状態に設定される。各空気調和機(14)の室内ユニット(24)の暖房負荷に応じて、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)では、他の空気調和機(14b,14c)の室内ユニット(24)との間で冷媒流量が、ガス側接続回路(70)及び液側接続回路(60)を通じてバランスされる。なお、空気調和機(14)間を冷媒が流通しないように、接続ユニット(26)の全ての接続側開閉弁(71〜76)を閉状態に設定してもよい。
≪第2暖房動作≫
続いて、第1空気調和機(14a)に対する第2暖房動作について、図5を参照にして説明する。この第2暖房動作は、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)に異常がある場合と、第1空気調和機(14a)で後述する除霜動作が行われる場合、つまり第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合に行われる。
第2暖房動作では、接続ユニット(26)の全ての接続側開閉弁(71〜76)が開状態に設定される。なお、他の設定は第1暖房動作時と基本的に同じである。但し、第2及び第3空気調和機(14b,14c)のうち一方の空気調和機(14b,14c)で通常暖房動作が停止中であれば、その停止中の空気調和機(14b,14c)に対応する接続側開閉弁(72,73,75,76)は閉状態に設定される。なお、停止中の空気調和機(14b,14c)がある場合は、第2暖房動作の開始に伴って、その停止中の空気調和機(14b,14c)において圧縮機(32b,32c)だけを起動させてもよい。この場合、圧縮機(32b,32c)を起動させる空気調和機(14b,14c)に対応する接続側開閉弁(72,73,75,76)が開状態に設定される。
第2暖房動作では、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の室外熱交換器(33b,33c)が蒸発器となって第1空気調和機(14a)の各室内熱交換器(56a,56b)が凝縮器となる蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。この冷凍サイクルでは、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の圧縮機(32b,32c)から吐出された冷媒が、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の室外熱交換器(33b,33c)と第1空気調和機(14a)の各室内熱交換器(56a,56b)の間を循環する。
具体的に、第2及び第3空気調和機(14b,14c)では、圧縮機(32b,32c)から吐出されてガス側合流管(16b,16c)を流れる冷媒の一部が、ガス側延長管(48b,48c)に流入する。ガス側合流管(16b,16c)を流れる残りの冷媒は、その空気調和機(14b,14c)の各室内熱交換器(56)へ供給される。第2及び第3空気調和機(14b,14c)では、第1空気調和
機(14a)に対する第2暖房動作の開始後も通常暖房動作が継続される。
第2空気調和機(14b)のガス側延長管(48b)に流入した冷媒と、第3空気調和機(14c)のガス側延長管(48c)に流入した冷媒は、接続ユニット(26)のガス側接続管(70a)で合流し、第1空気調和機(14a)のガス側延長管(48a)を通じて、第1空気調和機(14a)のガス側合流管(16a)に流入する。
第1空気調和機(14a)では、ガス側合流管(16a)に流入した冷媒が、第1ガス側分岐管(17a)と第2ガス側分岐管(18a)に分岐する。各液側分岐管(37a,37b)に分岐した冷媒の流れは、上記第1暖房動作と同じである。各室内ユニット(24a,24b)では、第2及び第3空気調和機(14b,14c)から供給された冷媒が室内熱交換器(56a,56b)で凝縮することによって暖房運転が行われる。
室内ユニット(24a,24b)から室外ユニット(23a)に戻った冷媒は、液側延長管(47a)を通じて、接続ユニット(26)の液側接続管(60a)に流入する。液側接続管(60a)に流入した冷媒は、一部が液側延長管(47b)を通じて第2空気調和機(14b)の液側合流管(36b)に流入し、残りが液側延長管(47c)を通じて第3空気調和機(14c)の液側合流管(36c)に流入する。
第2空気調和機(14b)では、液側合流管(36b)に流入した冷媒が、各室内ユニット(24c,24d)で凝縮した冷媒と合流した後に、第1膨張弁(41b)で減圧される。第1膨張弁(41b)で減圧された冷媒は、室外熱交換器(33b)で室外空気から吸熱して蒸発し、圧縮機(32b)に吸入されて再び圧縮される。なお、第3空気調和機(14c)の液側合流管(36c)に流入した冷媒の流れも第2空気調和機(14b)と同様であるため、説明は省略する。このように、第1空気調和機(14a)では、その圧縮機(32a)を運転させることができない場合であっても、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の圧縮機(32)及び室外熱交換器(33)を利用して、室内ユニット(24)で暖房運転を行うことが可能である。
<除霜動作>
本実施形態の空調システム(10)の各空気調和機(14)は、通常暖房動作を実行中にその空気調和機(14)の室外熱交換器(33)の着霜量が多くなった場合に、その室外熱交換器(33)の霜を融解させるための除霜動作を行うように構成されている。以下では、第1空気調和機(14a)が除霜動作を行う場合について、図6を参照にして説明する。
第1空気調和機(14a)では、除霜動作を開始する際に、ホットガスバイパス管(49a)のバイパス用開閉弁(51a)が開状態に設定される。また、第1膨張弁(41a)は全閉に設定される。また、室外ファン(35a)は停止される。この状態で、圧縮機(32a)の運転が行われると、第1空気調和機(14a)では、圧縮機(32a)と室外熱交換器(33a)との間で冷媒が循環する。
具体的に、第1空気調和機(14a)の除霜動作では、圧縮機(32a)から吐出された冷媒が、四路切換弁(34a)によってガス側合流管(16a)へ送られ、ホットガスバイパス管(49a)へ流入する。ホットガスバイパス管(49a)へ流入した冷媒は、キャピラリーチューブ(50a)で減圧された後に、液側合流管(36a)を通じて室外熱交換器(33a)へ流入する。室外熱交換器(33a)では、付着した霜が高温冷媒によって融解される。室外熱交換器(33a)で冷却された冷媒は、圧縮機(32a)に吸入されて再び圧縮される。
なお、この空調システム(10)では、第1空気調和機(14a)が除霜動作を実行する際に、除霜動作を実行する第1空気調和機(14a)に対しては、第1暖房動作から第2暖房動作への切り換えが行われる。第1空気調和機(14a)の各室内ユニット(24a,24b)では、第2空気調和機(14b)及び第3空気調和機(14c)から供給される高温冷媒によって暖房運転が継続される。
−実施形態の効果−
上記実施形態によれば、各室外ユニット(23)の間がガス側合流管(16)同士及び液側合流管(36)同士が連通するように接続されているので、各空気調和機(14)において、その空気調和機(14)の室内熱交換器(56)と他の空気調和機(14)の室外熱交換器(33)との間で他の空気調和機(14)の圧縮機(32)から吐出された冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うことが可能になる。つまり、各空気調和機(14)の室内ユニット(24)では、他の室外ユニット(23)の圧縮機(32)及び室外熱交換器(33)を利用して、空調運転を行うことが可能である。従って、空気調和機(14)において室外ユニット(23)の圧縮機(32)から室内ユニット(24)へ冷媒を供給することができない場合でも、その空気調和機(14)の室内ユニット(24)で空調運転を実行できない状況になることを回避できる。
また、上記実施形態では、第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合であっても、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の圧縮機(32b,32c)及び室外熱交換器(33b,33c)を利用して、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で暖房運転が行われる。例えば、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)が故障した場合や、第1空気調和機(14a)が除霜動作を行う場合であっても、第2暖房動作を行うことで、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で暖房運転を行うことが可能である。また、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が故障した場合や、第2空気調和機(14b)が除霜動作を行う場合であっても、第1及び第3空気調和機(14a,14c)の圧縮機(32a,32c)及び室外熱交換器(33a,33c)を利用した第2−2暖房動作を行うことで、第2空気調和機(14b)の室内ユニット(24)で暖房運転が行われる。また、第3空気調和機(14c)の圧縮機(32c)が故障した場合や、第3空気調和機(14c)が除霜動作を行う場合であっても、第1及び第2空気調和機(14a,14b)の圧縮機(32a,32b)及び室外熱交換器(33a,33b)を利用した第2−3暖房動作を行うことで、第3空気調和機(14c)の室内ユニット(24)で暖房運転が行われる。各空気調和機(14)では、その室外ユニット(23)の圧縮機(32)から室内ユニット(24)へ冷媒を供給することができない場合でも、その空気調和機(14)の室内ユニット(24)で暖房運転を実行できない状況になることを回避できる。
また、上記実施形態では、第1空気調和機(14a)に対する第2暖房動作において、第1空気調和機(14a)の室内熱交換器(56a)で放熱した冷媒が、第2空気調和機(14b)の暖房用減圧弁(41)で減圧されるようにしている。このため、第1空気調和機(14a)から第2空気調和機(14b)へ戻る冷媒の液成分の割合が多くなるので、第1空気調和機(14a)から第2空気調和機(14b)へ戻る冷媒の圧力損失を減らすことができる。従って、第2暖房動作時の運転効率が圧力損失によって低下することを抑制することができる。また、第2暖房動作時に、圧縮機(32)の故障等によって通常暖房動作を実行できない空気調和機(14)の第1減圧弁(41)を閉鎖するようにすれば、その通常暖房動作を実行できない空気調和機(14)の室外熱交換器(33)に液冷媒が溜まることを防止することができる。なお、第2冷房動作時も、圧縮機(32)の故障等によって通常冷房動作を実行できない空気調和機(14)の第1減圧弁(41)は閉鎖される。
また、上記実施形態では、除霜動作によって第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合に、第2暖房動作が行われる。従って、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)は、除霜動作中であっても、第2暖房動作によって暖房運転を継続することができる。
また、上記実施形態では、圧縮機(32a)が運転不能になって第1空気調和機(14a)が通常暖房動作を実行できない場合に、第2暖房動作が行われる。従って、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)は、圧縮機(32a)が運転不能になっても、第2暖房動作によって暖房運転を行うことができる。
また、上記実施形態では、第1及び第2暖房動作中に室内熱交換器(56)で放熱した冷媒が、室外ユニット(23)で流量調節弁(42,43)を通過する。冷媒は流量調節弁(42,43)を通過する際にその圧力が低下する。つまり、第1及び第2暖房動作中に室内熱交換器(56)で放熱した冷媒が室外ユニット(23)に戻ってから流量調節弁(42,43)で減圧される。このため、室内熱交換器(56)で放熱して室外ユニット(23)へ戻る冷媒の液成分の割合が多くなるので、その冷媒の圧力損失を減らすことができ、第1及び第2暖房動作時の運転効率が圧力損失によって低下することを抑制することができる。
また、上記実施形態では、各室内ユニット(24)に接続する各ガス側分岐管(17,18)に該室内ユニット(24)で暖房運転が停止される場合に閉鎖されるガス遮断弁(8,9)を設けているので、同じ空気調和機(14)の他の室内ユニット(24)で暖房運転が行われていれも、停止中の室内ユニット(24)の室内熱交換器(56)に、そのガス側から冷媒が流入することが阻止される。従って、停止中の室内ユニット(24)に冷媒が溜まり込むことを防止することができるのは勿論のこと、その停止中の室内ユニット(24)で冷媒の温熱が無駄に消費されることを防止することができる。
また、上記実施形態では、第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を実行できない場合であっても、第2及び第3空気調和機(14b,14c)の圧縮機(32b,32c)及び室外熱交換器(33b,33c)を利用して、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で冷房運転が行われる。例えば、第1空気調和機(14a)の圧縮機(32a)が故障した場合であっても、第2冷房動作を行うことで、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)で冷房運転を行うことが可能である。また、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が故障した場合であっても、第1及び第3空気調和機(14a,14c)の圧縮機(32a,32c)及び室外熱交換器(33a,33c)を利用した第2−2冷房動作を行うことで、第2空気調和機(14b)の室内ユニット(24)で冷房運転が行われる。また、第3空気調和機(14c)の圧縮機(32c)が故障した場合であっても、第1及び第2空気調和機(14a,14b)の圧縮機(32a,32b)及び室外熱交換器(33a,33b)を利用した第2−3冷房動作を行うことで、第3空気調和機(14c)の室内ユニット(24)で冷房運転が行われる。各空気調和機(14)では、その室外ユニット(23)の圧縮機(32)から室内ユニット(24)へ冷媒を供給することができない場合でも、その空気調和機(14)の室内ユニット(24)で冷房運転を実行できない状況になることを回避できる。
また、上記実施形態では、圧縮機(32a)が運転不能になって第1空気調和機(14a)が通常冷房動作を実行できない場合に、第2冷房動作が行われる。従って、第1空気調和機(14a)の室内ユニット(24)は、圧縮機(32)が運転不能になっても、第2冷房動作によって冷房運転を行うことができる。
また、上記実施形態では、3台の室外ユニット(23)間が、接続ユニット(26)のガス側接続部(64〜66)と各室外ユニット(23)の室外用ガス側閉鎖弁(46)の間を配管で接続して、接続ユニット(26)の液側接続部(61〜63)と各室外ユニット(23)の室外用液側閉鎖弁(45)との間を配管で接続することによって接続されている。接続ユニット(26)には、各室外ユニット(23)に対して分岐するように配管同士が接続された液側接続管(60a)及びガス側接続管(70a)が設けられている。このため、空調システム(10)の設置作業において室外ユニット(23)間を接続する際に、各室外ユニット(23)に対して分岐した配管を構成する必要がないので、その設置作業を容易化することができる。また、各接続側開閉弁(71〜76)が、室外に露出しておらず接続ユニット(26)に収容されている。このため、各接続側開閉弁(71〜76)の信頼性を向上させることができる。
−実施形態の変形例−
本実施形態の変形例について説明する。この変形例の各空気調和機(14)では、図7に示すように、上記実施形態のホットガスバイパス管(49)の代わりに、ガス側連通管(53)が設けられている。以下では、上記実施形態と異なる点について説明する。
ガス側連通管(53)は、その一端がガス側合流管(16)に接続され、その他端が四路切換弁(34)の第2ポート(P2)と圧縮機(32)の吸入側との間に接続されている。ガス側連通管(53)は、除霜動作の際にガス側合流管(16)と室外熱交換器(33)のガス側を連通させるためのものである。ガス側連通管(53)の他端は、四路切換弁(34)の第4ポート(P4)と室外熱交換器(33)の間に接続されていてもよい。
ガス側連通管(53)には、ガス側合流管(16)側から順番に、連通用開閉弁(54)とキャピラリーチューブ(50)とが設けられている。連通用開閉弁(54)は、開閉自在の電磁弁により構成されている。なお、ガス側連通管(53)にキャピラリーチューブ(50)がなくてもよい。
この変形例の空調システム(10)の動作は、除霜動作のみが上記実施形態と異なっている。なお、除霜動作を実行する空気調和機(14)に対して第1暖房動作から第2暖房動作への切り換え(第1−2暖房動作から第2−2暖房動作への切り換え、第1−3暖房動作から第2−3暖房動作への切り換え)が行われる点は、上記実施形態と同じである。
除霜動作を行う空気調和機(14)では、室外ファン(35)が停止され、四路切換弁(34)が第1状態に設定され、さらに連通用開閉弁(54a)が開状態に設定される。なお、連通用開閉弁(54)は、除霜動作以外のときは閉状態に設定される。また、除霜動作を行う空気調和機(14)では、圧縮機(32)が停止され、第1膨張弁(41)が一定の開度の維持される。以下では、第1空気調和機(14a)の除霜動作に関する冷媒の流れについて、図8を参照にして説明する。なお、通常暖房動作が停止中の空気調和機(14b,14c)がある場合は、除霜動作の開始に伴って、その停止中の空気調和機(14b,14c)に対応する接続側開閉弁(72,73,75,76)を開状態に設定すると共に、その空気調和機(14b,14c)において圧縮機(32b,32c)だけを起動させてもよい。
第1空気調和機(14a)では、第1空気調和機(14a)に対する第2暖房動作に伴ってガス側接続回路(70)を通じて第1空気調和機(14a)のガス側合流管(16a)へ供給された第2及び第3空気調和機(14b,14c)の圧縮機(32b,32c)の吐出冷媒の一部が、ガス側連通管(53a)を通じて室外熱交換器(33a)へ供給される。室外熱交換器(33a)では、付着した霜が高温冷媒によって融解される。一方、第1空気調和機(14a)へ供給された第2及び第3空気調和機(14b,14c)の圧縮機(32b,32c)の吐出冷媒の残りは、室内ユニット(24a,24b)へ供給されて各室内熱交換器(56a,56b)で凝縮し、室外回路(31a)へ戻ってくる。
室外熱交換器(33a)で霜に放熱した冷媒は、各室内熱交換器(56a,56b)で凝縮した冷媒と合流した後に、液側接続回路(60)を通じて第2及び第3空気調和機(14b,14c)の液側合流管(36b,36c)に戻る。第2空気調和機(14b)では、液側合流管(36b)に戻った冷媒が、室外熱交換器(33b)で蒸発した後に第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)に吸入される。なお、第3空気調和機(14c)に戻った冷媒の流れも第2空気調和機(14b)と同様である。
この変形例では、第1空気調和機(14a)の除霜動作の際に、第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)と第2及び第3空気調和機(14b,14c)の室外熱交換器(33b,33c)の間で冷媒が循環して、第1空気調和機(14a)の室外熱交換器(33a)が放熱器となって第2及び第3空気調和機(14b,14c)の室外熱交換器(33b,33c)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。このため、蒸発器となる熱交換器が存在しない上記実施形態の除霜動作に比べて、除霜動作の冷凍サイクルの成績係数を向上させることができる。
また、この変形例では、上記実施形態の除霜動作とは異なり、第1空気調和機(14a)で除霜に用いられた冷媒が第2空気調和機(14b)の室外熱交換器(33b)で蒸発した後に第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)に吸入される。このため、液圧縮によって第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が損傷する危険性を低下させることができる。
また、第1空気調和機(14a)で除霜に用いられた冷媒を熱交換器で蒸発させない場合に比べて、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が吸入する冷媒のエンタルピの値が大きくなる。従って、第2空気調和機(14b)の圧縮機(32b)が吐出する冷媒の温度が高くなるので、第1空気調和機(14a)での除霜時間を短縮することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態について、第2膨張弁(42)及び第3膨張弁(43)が、室外ユニット(23)ではなく各室内ユニット(24)における室内熱交換器(56)の液側に配置されていてもよい。第2膨張弁(42)及び第3膨張弁(43)を室内ユニット(24)に配置する場合は、冷房運転時の液側連絡管における冷媒の圧力損失を低減させることができる。
また、上記実施形態では、各ガス側開閉弁(19,20)が、室内用ガス側接続部(19,20)とガス遮断弁(8,9)とに兼用されているが、各ガス側開閉弁(19,20)を手動式の閉鎖弁によって構成し、さらにガス側分岐管(17,18)に電磁弁によって構成したガス遮断弁(8,9)を別途に設置してもよい。
また、上記実施形態について、各空気調和機(14)が通常冷房動作と通常暖房動作のうち通常暖房動作のみを行うように構成されていてもよい。この場合、各空気調和機(14)には、冷暖切換用の四路切換弁(34)を設けない。各空気調和機(14)では、圧縮機(32)の吐出側が常に室内熱交換器(56)に連通し、圧縮機(32)の吸入側が常に室外熱交換器(33)に連通する。
また、上記実施形態について、各空気調和機(14)が通常冷房動作と通常暖房動作のうち通常冷房動作のみを行うように構成されていてもよい。この場合、各空気調和機(14)には、冷暖切換用の四路切換弁(34)を設けない。各空気調和機(14)では、圧縮機(32)の吐出側が常に室外熱交換器(33)に連通し、圧縮機(32)の吸入側が常に室内熱交換器(56)に連通する。
また、上記実施形態について、空調回路(15)に充填される冷媒が、1種のC3HmFn冷媒(分子式1:C3HmFn(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で表され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒)と、1又は2種以上のHFC冷媒とからなる混合冷媒であってもよい。なお、「HFC冷媒」とは、C3HmFn冷媒を含まないハイドロフルオロカーボン系の冷媒を表している。この混合冷媒は、C3HmFn冷媒の割合が70質量%以上94質量%以下で、HFC冷媒の割合が6質量%以上30質量%以下であれば好ましい。
また、この混合冷媒では、C3HmFn冷媒として、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yfといい、化学式はCF3−CF=CH2で表される。)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペン(HFO−1225yeといい、化学式はCF3CF=CHFで表される。)、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234zeといい、化学式はCF3−CH=CHFで表される。)、1,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yeといい、化学式はCHF2−CF=CHFで表される。)、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HFO−1243zfといい、化学式はCF3−CH=CH2で表される。)、1,2,2−トリフルオロ−1−プロペン(化学式はCH3−CF=CF2で表される。)、2−フルオロ−1−プロペン(化学式はCH3−CF=CH2で表される。)のうち何れかを用いることができる。
また、この混合冷媒では、HFC冷媒として、HFC−32(ジフルオロメタン)を用いることができる。この場合、C3HmFn冷媒が77質量%以上87質量%以下でHFC−32の割合が13質量%以上23質量%以下であれば好ましく、C3HmFn冷媒の割合が77質量%以上79質量%以下でHFC−32の割合が21質量%以上23質量%以下であれば更に好ましい。例えば、HFO−1234yfの割合が78.2質量%で、HFC−32の割合が21.8質量%の混合冷媒を用いることができる。
また、この混合冷媒では、HFC冷媒として、HFC−125(ペンタフルオロエタン)を用いることができる。この場合、混合冷媒に占めるHFC−125の割合は、10質量%以上が好ましく、更に20質量%以下が好ましい。
また、この混合冷媒では、HFC冷媒が2種類以上であってもよい。具体的に、HFC冷媒としてHFC−125とHFC−32の2種類を使用した混合冷媒を用いることができる。
また、この混合冷媒では、HFC冷媒として、HFC−32及びHFC−125以外の冷媒を用いることもできる。具体的に、HFC冷媒としては、HFC−134(1,1,2,2―テトラフルオロエタン)、HFC−134a(1,1,1,2―テトラフルオロエタン)、HFC−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HFC−161(フルオロエタン)、HFC−227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、HFC−236ea(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−236fa(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)を用いることができる。
また、上記実施形態について、C3HmFn冷媒と炭化水素とを含む混合冷媒を用いることができる。具体的に、混合冷媒に用いる炭化水素冷媒としては、メタン、エタン、プロパン、プロペン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2−メチルブタン、シクロペンタンを用いることができる。炭化水素冷媒は、1種類でもよいし複数種類でもよい。また、C3HmFn冷媒とジメチルエーテルとを含む混合冷媒を用いることができる。また、C3HmFn冷媒とビス−トリフルオロメチル−サルファイドとを含む混合冷媒を用いることができる。また、C3HmFn冷媒とヘリウムとを含む混合冷媒を用いることができる。また、HFO−1234yfと二酸化炭素とを含む混合冷媒を用いることができる。
また、上記実施形態について、上記C3HmFn冷媒、上記HFC冷媒、炭化水素、二酸化炭素など上述した冷媒の何れか1成分のみからなる単一冷媒を用いてもよい。
また、上記実施形態について、空調システム(10)が、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い値に設定される超臨界サイクルを行うように構成されていてもよい。この場合、冷媒としては例えば二酸化炭素の単一冷媒が用いられ、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも低い値に設定される通常の冷凍サイクルでは凝縮器となる熱交換器が、ガスクーラとして動作する。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。