JP5244754B2 - 緊急対策行動支援装置及び方法 - Google Patents

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Description

この発明は、大規模な災害などの緊急事態発生時に、企業や自治体の対策担当者が対策指揮を適切に執ることを支援するための緊急対策行動支援装置及び方法に関する。
企業や自治体の緊急対策担当者は、災害などの緊急事態発生時に組織の各部門に適切な指示を出し、直面する危機に柔軟に対応しなければならない。従来、災害時に組織関係者の対応行動をあらかじめ手順化した「緊急対策マニュアル」があり、それを電子化してコンピュータに搭載し、そこに記載された一つひとつの対応行動を確実に実行することを支援するシステムが開示されている(例えば特許文献1を参照。)。
特開2002−230235号公報
ところが、現実の災害発生時には、緊急対策マニュアルに記載されていない想定外の事象がしばしば発生する。特に、大規模な災害時には、マニュアル及びそれに忠実に従ったシステムは実用に適さないことが多く、早急の対策が切望されていた。
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、想定外の事象が発生しても、当該事象に対応した柔軟性のある対策業務シーケンスを提示可能な緊急対策行動支援装置及び方法を提供することにある。
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、端末との間で通信ネットワークを介して情報の送受信が可能な緊急対策行動支援装置にあって、緊急対策行動計画の構成要素となる複数の対策業務情報をそれぞれ部品データ化し、上記複数の対策業務情報のうち単独で実行可能な対策業務情報についてはその部品データを単独で記憶し、他の関連業務情報と連携して実行される対策業務情報についてはその部品データを上記他の関連業務情報と関連付けて記憶する対策業務データベースを設ける。そして、目的とする業務情報を上記端末から受信した場合に、この受信した目的業務情報に関連する対策業務情報を上記対策業務データベースから検索し、この検索された対策業務情報を目的業務情報に置き換えて当該目的業務情報に関連する対策業務情報を上記対策業務データベースから再度検索する処理を、単独で実行可能な対策業務情報が検索されるまで繰り返し実行する。そして、この検索処理により目的業務情報ごとに検索された一連の対策業務情報シーケンスを緊急対策行動計画の候補として上記端末へ送信しユーザに提示させるように構成したものである。
したがって、目的とする対策業務情報が入力されるごとに、対策業務データベースから当該目的対策業務情報に関連付けられた対策業務情報が順次検索されて複数の対策業務情報シーケンスが作成され、この作成された複数の対策業務情報シーケンスが緊急対策行動計画の候補として端末ユーザに提示される。このため、想定外の事象が発生しても、ユーザは提示された複数の対策業務情報シーケンスの中から、当該想定外の事象に対応した対策業務シーケンスを選択することが可能となる。
また、この発明の第1の観点は、緊急対策行動に携わる要員の業務単位時間に基づいて予め設定された周期で定期的に検索処理を実行し、この定期的な検索処理により新たな対策業務情報シーケンスが作成されるごとに、当該対策業務情報シーケンスを緊急対策行動計画の候補として上記端末へ送信することも特徴とする。
このようにすると、要員の業務単位時間に基づいて設定された周期で、緊急対策行動計画の候補となる対策業務情報シーケンスの検索処理とその提示処理が定期的に行われる。このため、要員が業務を交代するごとに、新たな業務時間帯で使用される緊急対策行動計画が自動的に作成される。したがって、要員は常に新しい緊急対策行動計画に従い対策業務を実行することが可能となる。
また、この発明は次のような態様を備えることも特徴とする。
の態様は、緊急対策行動計画の候補として対策業務情報シーケンスがユーザに提示された状態で、当該提示された対策業務情報シーケンスに含まれる対策業務情報に代わる代替業務情報をユーザが入力した場合に、当該入力された代替業務情報を端末から受信し、この受信された代替業務情報を部品データ化してこれを上記対策業務情報と関連付けて対策業務データベースに記憶させるようにしたものである。
このようにすると、緊急対策行動計画の候補として提示された対策業務情報シーケンスが現状に適していない場合に、ユーザは現状に適した代替業務情報を入力して対策業務情報シーケンスを再構築することが可能となり、この結果想定外の事象に対してより適切な対策業務情報シーケンスを利用することが可能となる。また、上記代替業務情報は対策業務データベースに自動的に追加されるので、次回からは代替業務情報を入力しなくても済む利点がある。
の態様は、対策業務情報シーケンスを対策行動履歴として記憶するためのログ情報データベースをさらに設ける。そして、対策業務データベースの検索処理により対策業務情報シーケンスが作成されるごとに、当該作成された対策業務情報シーケンスを上記ログ情報データベースに格納すると共に、上記ログ情報データベースから過去の対策業務情報シーケンスを読み出し、この読み出した過去の対策業務情報シーケンスを上記端末へ送信してユーザに提示させるようにしたものである。
このようにすると、例えば前回の業務時間帯において使用された対策業務情報シーケンスがユーザに提示される。このため、ユーザは緊急対策行動計画の候補として新たに提示された対策業務情報シーケンスを選択する際に、前回使用された対策業務情報シーケンスを参照することが可能となる。
の態様は、緊急対策行動計画の標準シーケンスを記憶する標準手順データベースをさらに設ける。そして、新たに検索された対策業務シーケンスを端末へ送信する際に、上記標準手順データベースから標準シーケンスを読み出して、この読み出した標準シーケンスを上記端末へ送信して上記新たな対策業務シーケンスと連動して表示させるようにしたものである。
このようにすると、ユーザは緊急対策行動計画の候補として新たに提示された対策業務情報シーケンスを選択する際に、標準シーケンスを参照することが可能となる。
すなわちこの発明によれば、想定外の事象が発生しても、当該事象に対応した柔軟性のある対策業務シーケンスを提示可能な緊急対策行動支援装置及び方法を提供することができる。
この発明の一実施形態に係わる緊急対策行動支援装置を備えたシステムの概略構成図である。 この発明の一実施形態に係わる緊急対策行動支援装置としての支援サーバの構成を示すブロック図である。 図2に示した支援サーバに設けられる対策業務データベースの階層構成の一例を示す図である。 図3に示した対策業務データベースの階層のうち業務層における業務情報の記憶例を示す図である。 図2に示した支援サーバによるIAP作成処理の手順と処理内容を示すフローチャートである。 図5に示したIAP作成処理のうち業務シーケンス検索処理の手順と処理内容を示すフローチャートである。 図6に示した業務シーケンス検索処理の処理内容を説明するための図である。 端末に表示される標準手順、IAP情報及び進捗状況の表示形態の一例を示す図である。 想定外事象とIAP候補の具体例を示す図である。
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる緊急対策行動支援装置を備えたシステムの概略構成図である。
このシステムは、例えば企業の本店A及び複数の支店B1〜Bnに緊急対策用ターミナルとしてそれぞれ設置された端末TM0〜TMnを、通信ネットワークNWを介して緊急対策行動支援装置としての支援サーバSVに接続可能としたものである。
通信ネットワークNWは、IP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするためのアクセス網とから構成される。アクセス網としては、光公衆通信網、携帯電話網、LAN(Local Area Network)、無線LAN、CATV(Cable Television)網等が用いられる。
端末TM0〜TMnは、例えば据え置き型のパーソナル・コンピュータ或いはワークステーションからなり、この発明を実施する上で必要な機能として、Webにアクセスのためのブラウザを備えている。
支援サーバSVは、例えばWebサーバからなり、以下のように構成される。図2はその機能構成を示すブロック図である。
すなわち、支援サーバSVは、制御ユニット10と、通信インタフェース20と、記憶ユニット30を備えている。通信インタフェース20は、通信ネットワークNWとの間で所定の通信プロトコルに従い情報の送受信を行う。
記憶ユニット30には、対策業務データベース(対策業務DB)301と、緊急対策行動計画(IAP)ログデータベース(IAPログDB)302と、資源データベース(資源DB)303と、イベントデータベース(イベントDB)304と、標準手順データベース(標準手順DB)305が設けられている。
対策業務DB301には、緊急対策行動計画の構成要素となる多数の対策業務情報がそれぞれ部品としてデータ化された状態で記憶される。目的とする対策業務の中には単独で実行できるものと、この目的業務を実行するためには先行して別の対策業務を実行する必要があるものがある。このうち単独で実行可能な目的業務についてはその情報が単独で対策業務DB301に記憶される。一方、先行業務が必要な対策業務については、その情報が先行業務の情報と関連付けられて対策業務DB301に記憶される。さらに、上記先行業務の代替業務が存在する場合には、この代替業務の情報も上記対策業務の情報に関連づけられて対策業務DB301に記憶される。図4は対策業務DB301に記憶された情報の一例を示すもので、目的業務Y1,Y2にそれぞれ先行業務X1,X2が関連付けられ、さらに代替業務X1′,X1″及びX2′,X2″が関連付けられた場合を例示している。
また、上記対策業務DB301に記憶された対策業務情報は、検索の絞り込みを容易にするために、階層化された状態で記憶される。図3はその階層構造の一例を示すものである。すなわち、階層構造は、目的業務カテゴリCが記憶される上位層と、業務部品群Dが記憶される中位層と、対策業務Eが記憶される下位層とから構成される。目的業務カテゴリとしては、例えば「災害体制確立」C1、「被害状況把握」C2及び「対策復旧」C3が記憶される。業務部品群Dとしては、「お客様申告」D21、「設備被害把握」D22及びその他Dmが記憶される。
なお、上記対策業務DB301に対する対策業務情報の記憶処理方法としては、既存の標準手順を示すマニュアルに記載された標準的な対策業務と、それ以外の実行が想定される対策業務を、オペレータ自身が入力して記憶させる方法と、支援サーバSVが上記マニュアルや辞書(オントロジ)からキーワード検索技術等を利用して対策業務を抽出し、自動的に記憶させる方法が利用可能である。
IAPログDB302は、後述するIAP作成モジュール102により作成された緊急対策行動計画(IAP)の履歴を格納するために用いられる。資源DB303は、緊急対策業務に係わる人や物資等の資源を表す情報を格納するために用いられる。イベントDB304は、例えば地震災害時において次々と発生する火災や道路の寸断等のイベントの履歴を格納するために用いられる。標準手順DB305は、災害発生時の緊急対策標準手順を表す情報を記憶するために用いられる。この緊急対策標準手順を表す情報は自治体もしくは社内で予め作成される。
制御ユニット10は例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、この発明を実施するために必要な機能モジュールとして、業務検索モジュール101と、IAP作成モジュール102と、ログ表示モジュール103と、進捗管理モジュール104と、資源管理モジュール105と、イベント収集表示モジュール106と、標準手順編集表示モジュール107と、Webモジュール108を備えている。これらの機能モジュールは、いずれも図示しないプログラム・メモリに格納されたアプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
IAP作成モジュール102は、以下の処理を実行する。
(1) 端末TN0〜TMnからIAP作成要求を受信した場合に、当該要求に含まれる目的業務Yの指定情報をもとに業務検索モジュール101に対し対策業務Xの検索処理を指示する処理。
(2) 上記業務検索モジュール101による検索の結果、IAP候補が得られたか否かを判定する。そして、IAP候補が得られた場合にはこのIAP候補の情報を上記要求元の端末TM0〜TMnへ送信して表示させる処理。
(3) 端末TM0〜TMnにおいて、上記送信したIAP候補の一つが選択されその選択情報を受信した場合に、該当するIAP情報を作成してその情報をIAPログDB302に記憶させる処理。
(4) 上記業務検索モジュール101による検索の結果、IAP候補が得られなかった場合に、要求元の端末TM0〜TMnに対し代替業務の入力を促すガイダンスメッセージを送信する。そして、端末TM0〜TMnにおいて代替業務X′,X″,…が入力され、その情報を受信した場合に、当該代替業務X′,X″,…を表す情報を対策業務DB301に追加登録すると共に、上記代替業務X′,X″,…を含むIAP情報を作成する処理。
業務検索モジュール101は、以下の処理を実行する。
(1) 上記IAP作成モジュール102から検索を指示された目的業務Yを表す情報に応じて対策業務DB301に対しアクセスし、該当する対策業務Xを表す情報を検索する処理。
(2) 上記検索された対策業務Xが単独で実行可能な業務であるか否かを判定し、単独で実行可能な業務でなければ当該検索された対策業務を目的業務に置き換えて、再度当該対策業務に関連する対策業務を検索する。以後、単独で実行可能な対策業務が検索されるまで上記検索処理を繰り返し、これにより得られた複数の対策業務シーケンスをIAP候補として、制御ユニット30内のメモリに保存する。
ログ表示モジュール103は、以下の処理を実行する。
(1) 上記IAP作成モジュール102により作成されたIAP情報をIAPログDB102から読み出し、要求元の端末TM0〜TMnへ送信して表示させる処理。
(2) 前回の作業期間(例えば8時間前)において作成されたIAP情報が存在する場合には、当該IAP情報を参考のために要求元の端末TM0〜TMnへ送信して表示させる処理。
進捗管理モジュール104は、上記IAP作成モジュール102により作成されたIAP情報を端末TM0〜TMnに表示させた後に、当該IAP情報に記載された複数の対策業務の各々について実行済みか否かを判定する。そして、その判定結果を表す情報の表示データを作成して端末TM0〜TMnへ送信し表示させる処理を実行する。
資源管理モジュール105は、端末TM0〜TMnからの表示要求に応じて、緊急対策に必要な要員や物資等の現在の保有資源に関する情報を資源DB303から読み出し、この読み出した保有資源に関する情報を要求元の端末TM0〜TMnへ送信し表示させる処理を実行する。またそれと共に、端末TM0〜TMnからの登録要求に応じて、資源DB303に対し保有資源に関する情報を記憶させる処理を実行する。
イベント収集表示モジュール106は、火災や道路の寸断等の被害の発生を示すイベント情報を収集し、この収集したイベント情報をイベントDB304に記憶させる。またそれと共に、上記イベント情報をその発生位置を示す位置情報と共に地図データ上に重ねて表示させた地図表示システム(GIS)情報を作成し、この作成したGIS情報を端末TM0〜TMnへ送信し表示させる処理を実行する。
標準手順編集表示モジュール107は、以下の処理を実行する。
(1) 端末TM0〜TMnの要求に応じて、標準手順DB305に記憶された災害発生時の緊急対策標準手順を表す情報を編集し直す処理。
(2) 端末TM0〜TMnから受信した目的業務Y又は対策業務DB301から検索された対策業務Xを、上記標準手順DB305に記憶された緊急対策標準手順を表す情報に元来記載されていた手順と連動させた表示データを作成し、この表示データを端末TM0〜TMnへ送信して表示させる処理。
Webモジュール108は、通信インタフェース20を制御することにより端末TM0〜TMnのブラウザとの間で情報の送受信し、これにより上記各モジュールが作成した表示データを端末TM0〜TMnへ送信して表示させ、かつ端末TM0〜TMnにおいて操作入力された情報を受信する処理を実行する。
次に、以上のように構成されたシステムによる緊急対策行動支援動作を、支援サーバSVの処理手順に沿って説明する。
なお、対策業務DB301には、例えば図3に示すように多数の対策業務情報が階層化され、さらに図4に示すように目的となる対策業務情報Yに対し複数の先行業務情報X,X′,X″が関連付けられて記憶されているものとして説明を行う。
例えば、いま災害が発生したとする。この場合、緊急対策スタッフは先ず自身の端末TM1においてブラウザを起動して支援サーバSVに対しアクセスし、目的業務情報Yを入力する。そうすると、上記入力された目的業務情報Yは、通信ネットワークNWを介して支援サーバSVに送られる。
これに対し支援サーバSVは、以下のようにIAP作成処理を実行する。図5はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、支援サーバSVの制御ユニット10は、端末TM1から送信された目的業務情報Yが通信インタフェース20で受信されたことをステップS51で検出すると、ステップS52に移行して業務検索モジュール101及びIAP作成モジュール102を起動し、IAP候補を作成するために対策業務DB301の検索処理を実行する。図6はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
業務検索モジュール101は、先ずステップS71により目的業務情報Yを取り込み、この取り込んだ目的業務情報Yに対応する対策業務情報XをステップS72により検索する。そして、検索された対策業務情報Xが単独業務であるか否かをステップS73により判定する。この判定は、検索された対策業務情報Xが対策業務DB301に単独で記憶されているか、或いは先行業務情報X′,X″,…が関連付けられて記憶されているかにより行われる。
上記判定の結果、先行業務情報X′,X″,…が関連付けられて記憶されていたとする。この場合業務検索モジュール101は、上記検索された対策業務情報XをステップS74により目的業務情報Yに置換したのち、再度ステップS72に戻って上記置換された目的業務情報Yに対応する対策業務情報Xを検索する。以後、検索された対策業務情報XがステップS73で単独業務と判定されるまで、上記ステップS74〜ステップS73による検索処理が繰り返し実行される。
そして、上記検索処理の結果、最終的に検索された対策業務情報Xが単独業務と判定されたとする。そうすると、IAP作成モジュール102が、ステップS75において、上記検索処理により目的業務Yごとに検索された一連の対策業務情報シーケンスをIAP候補として保存する。
図7はその検索処理の一例を示したものである。同図では、当初入力された目標業務情報Y1に対し先ず対策業務情報X1,X1′,X1″が検索され、続いてこの検索された対策業務情報X1,X1′,X1″をそれぞれ目的業務情報として対策業務情報Xn,Xmが検出される。そして、対策業務情報X1’’’ が検索されると、この対策業務情報X1’’’ は単独で実行可能な業務なので、この対策業務情報X1’’’ が検索された時点で検索処理が終了となる場合を例示している。したがって、この場合には図7に示すように4個の対策業務シーケンスが作成され、これらがIAP候補として保存される。同様に、当初入力された目標業務情報Y2に対しては、検索処理により図7に示すように3個の対策業務シーケンスが作成されて、これらがIAP候補として保存される。
上記検索処理が終了するとIAP作成モジュール102は、当該検索処理の結果をもとにIAP候補が得られたか否かをステップS53で判定する。この判定の結果、IAP候補が得られた場合には、ステップS54により当該IAP候補の情報をIAPログDB302に保存した後、ステップS55により通信インタフェース20から端末TM1へ向けて送信する。
これに対し端末TM1は、支援サーバSVから送信されたIAP候補の情報を受信すると、この受信したIAP候補の情報をディスプレイに表示する。この結果、IAP候補が図7に例示したように複数個ある場合には、これらのIAP候補が並べられて一覧可能な状態で表示される。そして、この状態で緊急対策スタッフが、上記表示された複数のIAP候補の中から一つを選択したとする。そうすると端末TM1は、上記IAP候補の選択情報を支援サーバSVへ送信する。
例えば、図7に示すように目標業務情報Y1に関する4個のIAP候補の中から、緊急対策スタッフが「Xn⇒X1″⇒Y1」を選択したとすると、この「Xn⇒X1″⇒Y1」を選択した旨の情報が支援サーバSVへ送信される。同様に、目標業務情報Y2に関する3個のIAP候補の中から、緊急対策スタッフが「X1’’’ ⇒Y2」を選択したとすると、この「X1’’’ ⇒Y2」の選択情報が支援サーバSVへ送信される。
支援サーバSVでは、IAP作成モジュール102がステップS56においてIAP候補の選択情報の到来を監視している。この状態で、選択情報が受信されると、ステップS57により上記選択情報に対応するIAP情報を作成し、この作成したIAP情報を通信インタフェース20から端末TM1に向け送信する。また、それと共にステップS58においてログ表示モジュール103が、上記作成されたIAP情報をIAPの使用履歴を表す情報としてIAPログDB102に格納する。かくして、緊急対策スタッフは上記IAP情報をもとに緊急対策行動を開始することが可能となる。
一方、先に述べたステップS52による検索処理の結果、IAP候補が得られなかったとする。この場合IAP作成モジュール102は、ステップS59によりIAP候補が存在しない旨のガイダンスメッセージを作成して端末TM1へ送信する。上記ガイダンスメッセージを受け取ると、緊急対策スタッフは自身の端末TM1において適切な代替業務情報を入力する。また、支援サーバSVから送られたIAP候補の中に適切なIAP候補が存在しなかった場合にも、緊急対策スタッフは自身の端末TM1において適切な代替業務情報を入力する。この入力された代替業務情報は支援サーバSVに送られる。
支援サーバSVのIAP作成モジュール102は、ステップS60により上記代替業務情報を受信すると、この受信した代替業務情報をステップS61により対策業務DB301に追加記憶する。このとき、緊急対策スタッフが代替業務情報を単独で実行可能な情報として入力した場合には、この代替業務情報は対策業務DB301に単独で記憶される。これに対し、緊急対策スタッフが代替業務情報を既に記憶されている対策業務情報に代わる情報として入力した場合には、この代替業務情報は既存の目的業務情報に関連付けられて記憶される。
次に支援サーバSVのIAP作成モジュール102は、ステップS62において、上記代替業務情報を反映したIAP情報を再構成し、この再構成されたIAP情報を端末TM1に向け送信する。なお、このとき対策業務DB301を最初から検索し直してIAP候補を求め、このIAP候補を端末TM1へ送信して緊急対策スタッフに適切なIAP候補を選択させるようにしてもよい。
以上詳述したようにこの実施形態では、多数の対策業務情報をそれぞれ部品データ化し、これらの対策業務情報のうち単独で実行できるものはそのまま記憶し、先行して他の対策業務情報を実行する必要があるものについてはこれらの情報と関連付けて記憶した対策業務DB301を設けている。そして、業務検索モジュール101及びIAP作成モジュール102の制御の下で、目的とする業務情報に関連する対策業務情報を上記対策業務DB301から検索し、この検索された対策業務情報を目的業務情報に置き換えて当該目的業務情報に関連する対策業務情報を上記対策業務DB301から再度検索する処理を、単独で実行可能な対策業務情報が検索されるまで繰り返し実行する。そして、この検索処理により目的業務情報ごとに検索された一連の対策業務情報シーケンスをIAP候補として端末TM0〜TMnへ送信して表示させるようにしている。
したがって、目的とする対策業務情報が入力されるごとに、対策業務DB101から当該目的対策業務情報に関連付けられた対策業務情報が順次検索されて複数の対策業務情報シーケンスが作成され、この作成された複数の対策業務情報シーケンスがIAP候補として端末ユーザに提示される。このため、想定外の事象が発生しても、ユーザは提示された複数の対策業務情報シーケンスの中から、当該想定外の事象に対応した対策業務シーケンスを選択することが可能となる。
図9は、想定外の事象とIAP候補の具体例を示す図である。同図では、発生した災害の状況に応じて入力された各目的業務に対してそれぞれ3個のIAP候補が提示された場合を示し、さらにこれら3個のIAP候補の中からそれぞれ下線を付したIAP候補が緊急対策スタッフにより選択された場合を示している。
また、この実施形態では、IAP候補が端末TM1に表示された状態で、当該提示されたIAP候補に含まれる対策業務情報に代わる代替業務情報を緊急対策スタッフが入力した場合に、当該入力された代替業務情報を端末TM1から受信してこれを上記対策業務情報と関連付けて対策業務DB101に追加記憶させるようにしている。
したがって、表示されたIAP候補が現状に適していない場合に、緊急対策スタッフは現状に適した代替業務情報を入力してIAP情報を再構築することが可能となる。このため、緊急対策スタッフは想定外の事象に対してより適切なIAP情報を利用することが可能となる。また、上記代替業務情報は対策業務DB101に自動的に追加されるので、次回からは代替業務情報を入力しなくても済む利点がある。
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、端末TN0〜TMnからIAP作成要求を受信するごとにIAP作成モジュール102がIAP作成処理を実行するようにした。しかし、一度IAP作成要求を受信した後は、要員の単位業務時間をもとに予め設定した周期でIAP作成モジュールを自動作成するようにしてもよい。IAPの作成周期は、例えば要員が8時間を1単位作業期間として交代しながら作業するものとすると、この1単位作業期間に合わせて8時間に設定するとよい。
また、IAP候補の情報を端末TM1に送信する際に、ログ表示モジュール103によりIAPログDB302から過去のIAP情報、例えば1単位作業期間前に使用したIAP情報を読み出し、この読み出した過去のIAP情報を端末TM1へ送信して表示させる処理を行うこともできる。このようにすると、例えば1単位作業期間前において使用されたIAP情報が端末TM1においてIAP候補の情報と共に表示される。このため、緊急対策スタッフは表示されたIAP候補の中から適切なものを選択する際に、1単位作業期間前に使用されたIAP情報を参照することが可能となる。
さらに、端末TM1へIAP情報を送信する際に、支援サーバSVが標準手順編集表示モジュール107の制御の下で、標準手順DB305から標準手順マニュアルを読み出して端末TM1へ送信し、この標準手順マニュアルを端末TM1においてIAP情報と共に表示させるようにしてもよい。このようにすると、緊急対策スタッフは表示されたIAP候補の中から適切なものを選択する際に、標準手順マニュアルを参照することが可能となる。
さらに、端末TM1にIAP情報が表示された状態で、支援サーバSVが進捗管理モジュール104の制御の下で、当該IAP情報に記載された複数の対策業務の各過程について実行済みか否かを判定して、その判定結果を表す情報の表示データを端末TM1へ送信し表示させるようにしてもよい。なお、上記実行済みか否かの判定は、例えば各対策業務を実行中の要員が所持する携帯端末から送信される進捗状況を表す情報を受信し、この受信した情報をもとに行うことができる。図8は、上記標準手順マニュアル、進捗状況を表す情報及びIPA情報の表示レイアウトの一例を示す図である。
さらに、複数のIAP候補の中から端末TN0〜TMnの緊急対策スタッフが選択したIAP候補の情報を選択履歴情報としてIAPログDB302に記憶しておき、次回同一のIAP候補が作成された場合には、当該IAP候補の表示順序を最上位に変更して端末TN0〜TMnに表示させるようにするとよい。このようにすると、複数のIAP候補が表示された場合に、端末TN0〜TMnの緊急対策スタッフは前回の選択履歴を参照してIAP候補を選択することが可能となる。
さらに、IAP候補を構成する対策業務X,X′,X″,…のうち、オペレータが新たに登録した代替業務については、他の業務との差別化を図るために、表示フォントの種類、表示サイズ又は表示色を変えるか、或いは新たに登録した代替業務であることを示すマークを付加して表示するようにてもよい。
その他、支援サーバの構成、IAP作成処理の手順と処理内容、災害の種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
SV…支援サーバ、NW…通信ネットワーク、A…本店、B1〜Bn…支店、TM0〜TMn…端末、10…制御ユニット、20…通信インタフェース、30…記憶ユニット、101…業務検索モジュール、102…IAP作成モジュール、103…ログ表示モジュール、104…進捗管理モジュール、105…資源管理モジュール、106…イベント収集表示モジュール、107…標準手順編集表示モジュール、108…Webモジュール、301…対策業務データベース(対策業務DB)、302…IAPログデータベース(IAPログDB)、303…資源データベース(資源DB)、304…イベントデータベース(イベントDB)、305…標準手順データベース(標準手順DB)。

Claims (8)

  1. 端末との間で通信ネットワークを介して情報の送受信が可能な緊急対策行動支援装置であって、
    緊急対策行動計画の構成要素となる複数の対策業務情報をそれぞれ部品データ化し、前記複数の対策業務情報のうち単独で実行可能な対策業務情報についてはその部品データを単独で記憶し、他の関連業務情報と連携して実行される対策業務情報についてはその部品データを前記他の関連業務情報と関連付けて記憶する対策業務データベースと、
    目的とする業務情報を前記端末から受信した場合に、この受信した目的業務情報に関連する対策業務情報を前記対策業務データベースから検索し、この検索された対策業務情報を目的業務情報に置き換えて当該目的業務情報に関連する対策業務情報を前記対策業務データベースから再度検索する処理を、単独で実行可能な対策業務情報が検索されるまで繰り返し実行する検索手段と、
    前記検索手段により目的業務情報ごとに検索された一連の対策業務情報シーケンスを緊急対策行動計画の候補として前記端末へ送信しユーザに提示させる候補送信手段と
    を具備し、
    前記検索手段は、緊急対策行動に携わる要員の業務単位時間に基づいて予め設定された周期で定期的に検索処理を実行し、
    前記候補送信手段は、前記検索手段の定期的な検索処理により新たな対策業務情報シーケンスが作成されるごとに、当該対策業務情報シーケンスを緊急対策行動計画の候補として前記端末へ送信する
    ことを特徴とする緊急対策行動支援装置。
  2. 前記対策業務情報シーケンスが緊急対策行動計画の候補としてユーザに提示された状態で、当該提示された対策業務情報シーケンスに含まれる対策業務情報に代わる代替業務情報をユーザが入力した場合に、当該入力された代替業務情報を前記端末から受信する手段と、
    前記受信された代替業務情報を部品データ化し、前記対策業務情報と関連付けて前記対策業務データベースに記憶させる手段と
    を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載の緊急対策行動支援装置。
  3. 前記対策業務情報シーケンスを対策行動履歴として記憶するためのログ情報データベースと、
    前記検索手段の検索処理により対策業務情報シーケンスが作成されるごとに、当該作成された対策業務情報シーケンスを前記ログ情報データベースに格納すると共に、前記ログ情報データベースから過去の対策業務情報シーケンスを読み出し、この読み出した過去の対策業務情報シーケンスを前記端末へ送信してユーザに提示させるログ情報送信手段と
    を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載の緊急対策行動支援装置。
  4. 緊急対策行動計画の標準シーケンスを記憶する標準手順データベースと、
    前記候補送信手段が前記検索手段により検索された新たな対策業務シーケンスを端末へ送信する際に、前記標準手順データベースから標準シーケンスを読み出して、この読み出した標準シーケンスを前記端末へ送信して前記新たな対策業務シーケンスと連動して表示させる手段と
    を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載の緊急対策行動支援装置。
  5. 端末との間で通信ネットワークを介して情報の送受信が可能であり、かつ緊急対策行動計画の構成要素となる複数の対策業務情報をそれぞれ部品データ化し、前記複数の対策業務情報のうち単独で実行可能な対策業務情報についてはその部品データを単独で記憶し、他の関連業務情報と連携して実行される対策業務情報についてはその部品データを前記他の関連業務情報と関連付けて記憶する対策業務データベースを備えた緊急対策行動支援装置が実行する緊急対策行動支援方法であって、
    目的とする業務情報を前記端末から受信した場合に、この受信した目的業務情報に関連する対策業務情報を前記対策業務データベースから検索し、この検索された対策業務情報を目的業務情報に置き換えて当該目的業務情報に関連する対策業務情報を前記対策業務データベースから再度検索する処理を、単独で実行可能な対策業務情報が検索されるまで繰り返し実行する検索過程と、
    前記検索過程により目的業務情報ごとに検索された一連の対策業務情報シーケンスを緊急対策行動計画の候補として前記端末へ送信しユーザに提示させる過程と
    を具備し、
    前記検索過程では、緊急対策行動に携わる要員の業務単位時間に基づいて予め設定された周期で定期的に検索処理を実行し、
    前記緊急対策行動計画の候補を送信する過程では、前記検索過程での定期的な検索処理により新たな対策業務情報シーケンスが作成されるごとに、当該対策業務情報シーケンスを緊急対策行動計画の候補として前記端末へ送信する
    ことを特徴とする緊急対策行動支援方法。
  6. 前記緊急対策行動計画の候補がユーザに提示された状態で、当該提示された候補に含まれる対策業務情報に代わる代替業務情報をユーザが入力した場合に、当該入力された代替業務情報を前記端末から受信する過程と、
    前記受信された代替業務情報を部品データ化し、前記対策業務情報と関連付けて前記対策業務データベースに記憶させる過程と
    を、さらに具備することを特徴とする請求項記載の緊急対策行動支援方法。
  7. 前記緊急対策行動支援装置が、前記対策業務情報シーケンスを対策行動履歴として記憶するためのログ情報データベースを備える場合に、
    前記検索過程の検索処理により対策業務情報シーケンスが作成されるごとに、当該作成された対策業務情報シーケンスを前記ログ情報データベースに格納すると共に、前記ログ情報データベースから過去の対策業務情報シーケンスを読み出し、この読み出した過去の対策業務情報シーケンスを前記端末へ送信してユーザに提示させるログ情報送信過
    、さらに具備することを特徴とする請求項記載の緊急対策行動支援方法。
  8. 前記緊急対策行動支援装置が、緊急対策行動計画の標準シーケンスを記憶する標準手順データベースを備える場合に、
    前記緊急対策行動計画の候補を送信する過程で、前記検索過程により作成された新たな対策業務シーケンスを端末へ送信する際に、前記標準手順データベースから標準シーケンスを読み出して、この読み出した標準シーケンスを前記端末へ送信して前記新たな対策業務シーケンスと連動して表示させる過
    、さらに具備することを特徴とする請求項記載の緊急対策行動支援方法。
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