ところで、上記した特許文献1の従来構成にあっては、制御基板収納ケースの開口窓部に比して、スペーサに設けられた開口部の開口面積が小さいことから、スペーサを取り付けた状態で両者の間に面方向の隙間領域が生ずる。そして、この隙間領域は、外部に露出することから、この隙間領域に負荷を作用させてスペーサを強制的に変形させることによって該スペーサと開口窓部との間に表裏方向で間隙を生じさせ、当該間隙から電極(金属片)等を侵入させる不正行為が行われることが懸念される。特に、このスペーサは板状に形成されていることから、その板厚方向に比較的変形させ易く、前記不正行為を行い易い。
本発明は、上記した問題点を解決し、コネクタ受部を露出する部位から電極等を侵入させる不正行為の防止効果に優れる遊技機用の制御基板収納ケースを提案するものである。
本発明は、制御基板の実装面側を覆うケース主体と、該制御基板の裏面側を覆うケース底体とを装着することにより、制御基板を収納する遊技機用の制御基板収納ケースにおいて、ケース主体が、制御基板の実装面に実装されたコネクタ受部が露出するように設けられたコネクタ接続用開口窓部を備えると共に、制御基板のコネクタ受部に外嵌する嵌合開口部と、該嵌合開口部と前記コネクタ接続用開口窓部との間に生ずる面方向の隙間領域を裏側から閉鎖するように、コネクタ接続用開口窓部に嵌入する肉厚状の嵌合凸面とを具備してなる、ケース主体と制御基板の実装面との間に介装される板状のコネクタ用スペーサを備えるものであることを特徴とする遊技機用の制御基板収納ケースである。
かかる構成にあっては、コネクタ用スペーサがケース主体と制御基板との間に介装された状態で、コネクタ接続用開口窓部に裏側から嵌め込まれたコネクタ用スペーサの嵌合凸面により、該コネクタ接続用開口窓部とコネクタ用スペーサの嵌合開口部との間に生じた隙間領域を閉鎖するようにした構成である。この隙間領域を閉鎖した状態では、コネクタ用スペーサの嵌合凸面が、コネクタ接続用開口窓部の裏側開口端縁に比して表方に位置している。そのため、例えば、隙間領域に負荷を作用させてコネクタ接続用開口窓部とコネクタ用スペーサとの間に表裏方向の間隙を生じさせる場合には、嵌合凸面とコネクタ接続用開口窓部の裏側開口端縁との高さ間隔を越える比較的大きな変形が必要であり、前記した表裏方向の間隙を生じさせ難い。さらに、前記隙間領域を閉鎖する嵌合凸面は肉厚状に形成されていることから、高い強度と剛性とを有し、前記した変形を生じさせ難く、コネクタ接続用開口窓部とコネクタ用スペーサとの間に表裏方向の間隙を生じさせ難い。以上のことから、本構成のコネクタ用スペーサは、コネクタ接続用開口窓部との間に表裏方向の間隙を人為的に生じさせることが極めて難しく、該間隙から該間隙から電極(金属片)等を侵入させるという不正行為を防止する効果が著しく向上する。
また、コネクタ用スペーサは、その嵌合凸面がコネクタ接続用開口窓部に嵌入して配設されることから、コネクタ接続用開口窓部に対して位置ズレして配設されることがなく、ケース主体に対して正確且つ安定して位置決めされる。そのため、例えば、コネクタ用スペーサが位置ズレして配設されてしまい、コネクタ受部にコネクタを接続し難くなったり、接続不良を生じてしまうという不具合を防止できるという利点も有する。
上述した遊技機用の制御基板収納ケースにあって、コネクタ用スペーサは、その嵌合凸面が、ケース主体のコネクタ接続用開口窓部に内嵌する平面状に突成され、且つ嵌合開口部が、前記嵌合凸面に開口形成されてなるものである構成が提案される。
かかる構成にあっては、コネクタ接続用窓部とコネクタ用スペーサの嵌合開口部との間に生じた隙間領域を閉鎖する嵌合凸面が、比較的面積の広い平面状に形成されてなるものであるから、より高い強度と剛性とを有する。これにより、当該隙間領域にあって、嵌合凸面に負荷を作用させて変形を生じさせようとする不正行為を防止する効果が一層向上し、上述した本発明の作用効果が一層向上する。尚、本構成にあっては、コネクタ接続用開口窓部に比して比較的小さな嵌合開口部を備えた構成に好適であり、例えば、一つのコネクタ接続用開口窓部に複数の嵌合開口部が配される構成にも好適に用いられ得る。
上述した遊技機用の制御基板収納ケースにあって、コネクタ用スペーサは、嵌合開口部が、その内周面に、ケース主体のコネクタ接続用開口窓部の内周面と表裏方向で重なり合う連続内周面と重なり合わない不連続内周面とを備えてなると共に、嵌合凸面が、前記嵌合開口部の不連続内周面の口端縁に沿って形成されてなるものである構成が提案される。
かかる構成にあっては、嵌合開口部の連続内周面とコネクタ接続用開口窓部との間には隙間領域が形成されておらず、不連続内周面とコネクタ接続用開口窓部との間に隙間領域が形成されるため、この隙間領域を閉鎖するように、不連続内周面の口端縁に沿って嵌合凸面を形成したものである。このように嵌合凸面を形成することによっても、当該コネクタ用スペーサを不正に変形させることが難しく、電極(金属片)等を侵入させる不正行為を防止する効果が適正に生じ得る。尚、本構成にあっては、コネクタ接続用開口窓に比して僅かに小さい開口面積を有する嵌合開口部を備えた構成に好適である。
上述した遊技機用の制御基板収納ケースにあって、コネクタ用スペーサの嵌合凸面は、ケース主体のコネクタ接続用開口窓部に嵌入した状態で、該コネクタ接続用開口窓部よりも表方へ突出しないように形成されてなるものである構成が提案される。
かかる構成にあっては、嵌合凸面がコネクタ接続用開口窓部より突出しないことから、嵌合開口部に内嵌したコネクタ受部にコネクタを取り付ける作業や取り外す作業を行い易く、メンテナンス作業などの作業性に優れている。
本発明の遊技機用の制御基板収納ケースは、上述したように、コネクタ受部が実装された制御基板と、該コネクタ受部が露出するコネクタ接続用開口窓部を備えたケース主体との間に、コネクタ受部を外嵌する嵌合開口部とコネクタ接続用開口窓部に嵌入して面方向の隙間領域を閉鎖する肉厚状の嵌合凸面とを備えた板状のコネクタ用スペーサを介装してなるものであるから、嵌合凸面とコネクタ接続用開口窓部の裏側開口端縁との間に表方向で段差を有すること、および嵌合凸面が高い強度と剛性とを有することによって、コネクタ用スペーサをコネクタ接続用開口窓部を介して表裏方向へ変形させ難い。したがって、これら両者間に人為的に間隙を生じさせる不正行為を抑制する効果が高く、前記間隙から電極(金属片)等を侵入させるという不正行為を防止する効果が著しく向上する。
上述した遊技機用の制御基板収納ケースにあって、コネクタ用スペーサの嵌合凸面が、ケース主体のコネクタ接続用開口窓部に内嵌する平面状に突成され、且つ嵌合開口部が、前記嵌合凸面に開口形成されてなる構成の場合には、平面状の嵌合凸面が一層高い強度と剛性とを有することから、該嵌合凸面による変形抑制効果が一層向上し、上述した本発明の作用効果がさらに高まる。
上述した遊技機用の制御基板収納ケースにあって、コネクタ用スペーサの嵌合開口部が、その内周面に、ケース主体のコネクタ接続用開口窓部の内周面と表裏方向で重なり合う連続内周面と重なり合わない不連続内周面とを備えてなると共に、嵌合凸面が、前記嵌合開口部の不連続内周面の口端縁に沿って形成されてなる構成の場合には、前記嵌合凸面により、当該コネクタ用スペーサの変形抑制効果が高く、上述した本発明の作用効果を適正に生じ得る。
上述した遊技機用の制御基板収納ケースにあって、コネクタ用スペーサの嵌合凸面は、ケース主体のコネクタ接続用開口窓部に嵌入した状態で、該コネクタ接続用開口窓部よりも表方へ突出しないように形成されてなるもの構成とした場合には、嵌合開口部に内嵌したコネクタ受部にコネクタを取り付ける作業や取り外す作業を行い易く、メンテナンス作業などの作業性に優れている。
本発明の実施例を、添付図面を用いて詳述する。
本実施例の遊技機用の制御基板収納ケース1は、パチンコ遊技機やスロットマシンの所定位置に配設されるものである。尚、本実施例にあって、制御基板収納ケース1のケース底体3側を裏側としケース主体2側を表側とし、その表裏方向と直交するケース主体2およびケース底体3の長手方向を前後方向としている。
上記の制御基板収納ケース1にあっては、図1のように、例えばパチンコ遊技機の裏面側の所定位置に固定されるケース底体3と、裏方開口された矩形筐体状のケース主体2とを備えてなる。そして、ケース主体2には、図3のように、制御基板71がその実装面72を覆うようにして収納されて、所定の螺子(図示せず)により螺合されて取り付けられる。このケース主体2に、図1のように、その裏方開口を閉鎖するようにケース底体3が装着される。ここで、ケース主体2とケース底体3とは、前記制御基板71の板面方向に沿った前後方向(長手方向)にスライドさせることにより、開閉することができる構成となっている。ケース主体2とケース底体3は、透明性の樹脂素材から成形されており、後述する制御基板71を外部から視認可能としている。
尚、上記したケース主体2に収納される制御基板71としては、薄板状のプリント配線板(図示せず)、その上面に夫々実装された中央制御装置CPUや記憶装置ROMや記憶装置RAMなどの電子部品(図示せず)、該制御基板と他の制御基板や駆動装置などとを電気的に接続する配線ケーブル(図示せず)のコネクタ(図示せず)が連結される複数のコネクタ受部73a〜73fなどを備えている(図3参照)。そして、前記電子部品やコネクタ受部73a〜73fなどが配設されている面側が、実装面72である。
ここで、コネクタ受部73a〜73fは、図3,4のように、合成樹脂材からなる箱形状に形成されており、その下面が上記プリント配線板の上面に固着されるようにして、当該制御基板71の一方の長辺に沿って並設されている。そして、コネクタ受部73a〜73fは、図6のように、矩形状に上方開口した接続開口部74a〜74fと、各接続開口部74a〜74f内に上下方向に起立する複数の端子ピン75とを備えてなる。このようなコネクタ受部73a〜73fには、配線ケーブルの先端に固着されたコネクタ(図示せず)が接続される。このコネクタは、前記コネクタ受部73a〜73fに嵌合するように下方開口した箱形状を成し、その内部に前記端子ピン75と接触する電極が内蔵されている(図示せず)。各コネクタを夫々にコネクタ受部73a〜73fに嵌合することにより、各配線ケーブルと制御基板71とが電気的に接続され、該配線ケーブルを介して他の制御基板(図示せず)や駆動装置(図示せず)等と電気信号を送受信できるようになる。
上記したケース底体3は、図1のように、略長方形板状の底面部11と、該底面部11の対向する二つの長辺から夫々表方へ起立する側壁部12,12と、底面部11の片方の短辺から表方へ起立する側壁部13とから構成されている。ここで、前記の各長辺から起立する側壁部12,12には、その上端縁から内方へ延成された複数の摺動支持片部15が設けられている。さらに、ケース底体3にあって、底面部11の他方の短辺には側壁が形成されておらず、後述するように、ここからケース主体2を面方向に沿って嵌入または取り外しできるように後方開口している。尚、ケース底体3の長手方向(長辺に沿った方向)で、側壁部13が形成された方向を前方とし、その逆方向を後方としている。
また、上記したケース主体2は、長方形状に裏方開口する矩形筐体状を成し、表側の主面部21と、該主面部21より背の低い副面部22,23と、互いに対向する長辺に沿った帯状の摺動側縁部25,25と、該摺動側縁部25,25から裏方へ起立する側壁部27,27と、互いに対向する短辺から裏方へ起立する側壁部28,29とから構成されている。そして、このケース主体2の四隅には、その裏面側に螺子孔(図示省略)が夫々形成されており、各螺子孔に所定の螺子を螺着することにより制御基板71を固定する(図3参照)。ここで、上述したようにケース主体2に取り付けられた制御基板71は、その実装面72が該ケース主体2内に収納されていることから、実装面72に設けられている各電子部品等が当該ケース主体2を介して視認可能であり且つ保護されている。ケース主体2は、前記のように制御基板71を取り付けた状態で、該制御基板71がケース主体2の側壁部27,28,29よりも裏方へ突出しないようにしており、制御基板71を内部に収納している(図6参照)。
上記の副面部22は、ケース主体2の一方の長辺に沿って且つ長手方向に亘って形成されており、制御基板71のコネクタ受部73a〜73fを露出する矩形状のコネクタ接続用開口窓部24a〜24dが、長手方向に沿って並ぶようにして開口形成されている。同様に、副面部23にも、制御基板71に設けられた図示しないコネクタ受部を露出するための開口部(図示省略)も形成されている。尚、前記したコネクタ接続用開口窓部24a〜24dは、本発明の要部に係り、その詳細については後述する。
上述したケース主体2とケース底体3とは、ケース主体2の摺動側縁部25,25を、ケース底体3の底面部11と摺動支持片部15との間に嵌入するようにして、該底面部11の面方向に沿った前後方向(長手方向)へ相対的に移動することができる。そして、ケース主体2の裏方開口をケース底体3により閉鎖することにより、両者を装着する。このようにケース主体2とケース底体3とは、相対的に前後方向(長手方向)に沿って移動(スライド)させることによって開閉できるようになっている。
ここで、ケース主体2は、ケース底体3の底面部11と各摺動支持片部15とにより表裏方向への移動が拘束され、さらに、ケース底体3の側壁部12,12により短辺方向(底面部11の面方向で長手方向と直交する方向)への移動が拘束される。このように、ケース主体2とケース底体3とは、長手方向への移動(前後方向移動)のみが可能であり、この移動により開閉できるようになっている。
一方、上記したケース底体3の側壁部13には、表裏方向へ貫通する収納孔(図示せず)を備えた封止主部31,31が並設されており、ケース主体2の側壁部28には、前記封止主部31,31と夫々に対となる封止被着部35,35が並設されている。この封止被着部35,35には、裏方開口する係止溝(図示せず)が設けられており、ケース主体2とケース底体3とを装着した状態(閉鎖した状態)で、各係止溝が前記封止主部31,31の各収納孔と表裏方向で連通するようになっている。この封止被着部35,35はそれぞれ、側壁部28から前方へ突出する細杆状の接続杆部36,36を介して設けられており、この接続杆部36,36を、ニッパ等の工具により切断することによって、封止被着部35,35をケース主体2から切り離すことできるようになっている。
上記した封止主部31の収納孔内には、該封止主部31と封止被着部35との前後方向移動を拘束するためのロック片41が保持される。ロック片41は、その上端部に、内外方向へ弾性変形可能な矢印状の弾性係止爪部42を備えており、この弾性係止爪部42により、収納孔内の仮止め位置と上端部を収納孔から表方へ突出する拘束位置とに位置決められるようになっている。詳述すると、前記収納孔の孔内には、内方へ突出する仮止め係合部(図示せず)が設けられており、前記ロック片41を当該収納孔内へ裏側から押し入れて、弾性係止爪部42を仮止め係合部上に係止することによって、当該ロック片41を収納孔内の仮止め位置に保持できる。さらに、ケース主体2とケース底体3とを装着した状態で、ロック片41を仮止め位置から表方へ押し込むことにより、弾性係止爪部42が収納孔から表方へ突出して該収納孔の上部孔周縁に係止して、当該ロック片41を拘束位置に位置決められる。この拘束位置では、ロック片41の上端部が封止被着部35の係合溝内に挿入し且つ該ロック片41の下部が封止主部31の収納孔内に在るため、ロック片41の所謂閂作用によって、封止主部31と封止被着部35とを前後方向へ移動不能とする。これにより、ケース主体2とケース底体3とを装着状態で封止することができる。そして、この封止した状態では、ロック片41が封止主部31と封止被着部35とにより被覆されているために、当該ロック片41を拘束位置から移動させることができない。この封止状態を解除する場合には、封止被着部35の接続杆部36,36を切断して、該封止被着部35をケース主体2から切り離す。これにより、ケース主体2とケース底体3とを前後方向へ移動可能となり、開放することができる。尚、封止後に開放すると、封止被着部35を切断した痕跡が確実に残る。そして、前記のように、封止被着部35を切断しなければ開放できないことから、不正に開放する行為を防止することができ得る。
ここで、本実施例にあっては、上記した封止主部31および封止被着部35が夫々に二つ設けられていることから、正規に開放した場合に再度封止することができる。
次に、本発明の要部について説明する。
上記した制御基板収納ケース1は、図3のように、そのケース主体2の副面部22と、該ケース主体2に取り付けられる制御基板71との間に介装されるコネクタ用スペーサ51を備えている。このコネクタ用スペーサ51は、上記した副面部22の裏面を全体的に覆うように、長尺の矩形平板形状に形成されている。尚、本実施例で用いられる「外嵌」および「内嵌」については、嵌め合わされる物同士がほとんど隙間なく嵌合することを意味し、嵌合した状態では嵌合物同士の境界から金属片(電極)等を侵入させることができない。
コネクタ用スペーサ51は、図2のように、その両端部に円形状の貫通口52,52が形成されており、ケース主体2の副面部22の裏面側に突成された円板状の挿通部(図示せず)と嵌め合わされることによって位置決めされるようになっている。ここで、副面部22の挿通部は、該副面部22の裏面から裏方への突出高さがコネクタ用スペース51の板厚と同じに設定されていると共に、その中心部に、所定の螺子(図示省略)を螺合する螺子孔(図示省略)が形成されている。すなわち、コネクタ用スペーサ51を、ケース主体2の裏面側から、貫通口52,52と前記した挿通部(図示せず)とを嵌合するようにして、副面部22に被着し、その後、前記螺子を螺子孔に螺合することによって制御基板71とケース主体2とを固定する。これにより、ケース主体2の副面部22と制御基板71との間にコネクタ用スペーサ51を挟持する(図3参照)。尚、コネクタ用スペーサ51を副面部22に被着した状態では、該コネクタ用スペーサ51の上面51aとケース主体2の副面部22の裏面とが面接触する(図6参照)。
上記したコネクタ用スペーサ51には、ケース主体2の副面部22に被着した状態で制御基板71のコネクタ受部73a〜73fに対向する部位に、各コネクタ受部73a〜73fに外嵌する矩形状の嵌合開口部53a〜53fが開口形成されている。嵌合開口部53a〜53fは、当該コネクタ用スペーサ51が副面部22に被着された状態で、該副面部22のコネクタ接続用開口窓部24a〜24dと表裏方向で連通するように位置決めされる。これにより、図4〜6のように、制御基板71のコネクタ受部73a〜73fは、嵌合開口部53a〜53fとコネクタ接続用開口窓部24a〜24dとを介して外部に露出する。
ここで、ケース主体2の副面部22には、上記したように、制御基板71の各コネクタ受部73a〜73fを露出する複数のコネクタ接続用開口窓部24a〜24dが開口形成されている。これらコネクタ接続用開口窓部24a〜24dは、図5,6のように、夫々が露出する各コネクタ受部73a〜73fに比して大きな開口面積に形成されており、該コネクタ受部73a〜73fを確実に露出することができるようになっている。例えば、コネクタ接続用開口窓部24bは、三つのコネクタ受部73b〜73dを露出している。このようなコネクタ接続用開口窓部24a〜24fに比して、上記した嵌合開口部53a〜53fは、その開口面積が小さく且つコネクタ受部73a〜73fに外嵌するように形成されている。そのため、上述したように、嵌合開口部53a〜53fがコネクタ接続用開口窓部24a〜24dに夫々連通するように位置決められることによって、コネクタ受部73a〜73fは、嵌合開口部53a〜53fとコネクタ接続用開口窓部24a〜24dとを介して外部に露出する。
そして、上記のように、各嵌合開口部53a〜53fの開口面積は、夫々が連通する各コネクタ接続用開口窓部24a〜24dの開口面積に比して小さいことから、コネクタ用スペーサ51を副面部22に被着した状態で、夫々連通する嵌合開口部53a〜53fとコネクタ接続用開口窓部24a〜24fとの間に、面方向(コネクタ用スペーサ51の板面方向)に沿った隙間領域59a〜59dが夫々に生ずる。コネクタ用スペーサ51には、この各隙間領域59a〜59dを裏側から閉鎖するように、その上面51aよりも表方へ突出する嵌合凸面55a〜55dが設けられている。この嵌合凸面55a〜55dが上面となるように設けられた部位(以下、嵌合凸部54a〜54dという)は、その他の部位に比して肉厚となっている。そのため、コネクタ用スペーサ51を副面部22に被着した状態では、嵌合凸部54a〜54dがコネクタ接続用開口窓部24a〜24dに裏側から嵌入して埋め込まれた状態となる。これにより、嵌合凸部54a〜54dの嵌合凸面55a〜55dが、前記した隙間領域59a〜59dを閉鎖する。
さらに、嵌合開口部53a〜53fと嵌合凸部54a〜54d(嵌合凸面55a〜55d)とについて詳述する。図5,6(A)のように、コネクタ用スペーサ51には、コネクタ接続用開口窓部24a,24bに夫々内嵌する平板状の嵌合凸部54a,54bを備えている。そして、嵌合凸部54aには、嵌合開口部53aが開口形成されており、嵌合凸部54bには、嵌合開口部53b〜53dが開口形成されている。これにより、このコネクタ用スペーサ51を副面部22に被着した状態で、コネクタ接続用開口窓部24a,24bに嵌合凸部54a,54bが内嵌し、コネクタ接続用開口窓部24aから嵌合開口部53aが臨み、コネクタ接続用開口窓部24bから嵌合開口部53b〜53dが臨む。ここで、嵌合凸部54a,54bは、コネクタ接続用開口窓部24a,24bに夫々内嵌することから、両者はほとんど隙間無く嵌め合わされている。そして、前記被着した状態で、コネクタ接続用開口窓部24aと嵌合開口部53aとの面方向の隙間領域59aが、嵌合凸部54aの嵌合凸面55aにより閉鎖され、コネクタ接続用開口窓部24bと嵌合開口部53b〜53dとの面方向の隙間領域59bが、嵌合凸部54bの嵌合凸面55bにより閉鎖されている。
また、嵌合開口部53e,53fは、図5,6のように、コネクタ接続用開口窓部24c,24dに比して、長手方向の長さが等しく且つ幅が狭い長方形状に開口形成されている。そして、当該コネクタ用スペーサ51を副面部22に被着した状態で、嵌合開口部53e,53fの一方の長辺と、その対となるコネクタ接続用開口窓部24c,24dの一方の長辺とが表裏方向で重なり合い、さらに、嵌合開口部53e,53fの両側の短辺も、その対となるコネクタ接続用開口窓部24c,24dの各短辺と部分的に表裏方向で重なり合う(図6(B)参照)。このように嵌合開口部53e,53fは、その内周面が、コネクタ接続用開口窓部24c,24dの一方の長辺および両側の短辺と表裏方向で重なり合う長辺および短辺に沿った連続内周面61〜63と、コネクタ接続用開口窓部24c,24dの他方の長辺と重なり合わない長辺に沿った不連続内周面64とから構成されている。これにより、前記被着状態で、コネクタ接続用開口窓部24cから嵌合開口部53eが臨み、コネクタ接続用開口窓部24dから嵌合開口部53fが臨む。さらに、前記不連続内周面64の上部開口端縁に沿って、コネクタ接続用開口窓部24c,24dに嵌入する細長い嵌合凸部54c、54dが設けられている。この嵌合凸部54c,54dは、当該コネクタ用スペーサ51の被着状態で、コネクタ接続用開口窓部24c,24dと嵌合開口部53e,53fとの面方向の隙間領域59c,59dを埋めるように形成されており、嵌合凸部54c,54dの上面となる嵌合凸面55c,55dにより前記隙間領域59c,59dが裏側から閉鎖される。尚、嵌合凸部54c、54dをコネクタ接続用開口窓部24c,24dに嵌入した状態では、該コネクタ接続用開口窓部24c,24dの、嵌合開口部53e,53fと表裏方向で連通しない内周面に隙間無く嵌入する。
このようなコネクタ用スペーサ51を、ケース主体2の副面部22と制御基板71との間に挟持して取り付けることにより、該コネクタ用スペーサ51の上面51aが副面部22の裏面に面接触すると共に、制御基板71のコネクタ受部73a〜73fが、嵌合開口部53a〜53fに内嵌して、副面部22のコネクタ接続用開口窓部24a〜24dを介して外部に露出する。これにより、ケース底体3を装着して封止した後に、所定の配線ケーブルのコネクタを、各コネクタ受部73a〜73fに適宜接続することができる。
ここで、コネクタ用スペーサ51は、その嵌合開口部53a〜53fにより制御基板71の各コネクタ受部73a〜73fを内嵌していることから、該嵌合開口部53a〜53fとコネクタ受部73a〜73fとの間隙がほとんど無く、ここから金属片等を侵入させることができない。また、コネクタ用スペーサ51は、その嵌合凸部54a〜54d(嵌合凸面55a〜55d)により、嵌合開口部53a〜53fとコネクタ接続用開口窓部24a〜24dとの面方向の間隙を裏側から閉鎖していることから、コネクタ用スペーサ51と副面部22との間から金属片等を侵入させることができない。特に、嵌合凸面55a〜55dは、コネクタ用スペーサ51の上面51aより表方へ突出していることから、副面部22の裏面と段差が生じているため、副面部22の裏面との間(境界)に金属片等を侵入させ難くなっている。これに加え、嵌合凸部54a〜54dは、肉厚状に形成されていることから、高い強度と剛性とを有しているため、表方から人為的な負荷を作用させることによって変形させることも難くなっている。以上のことから、コネクタ用スペーサ51と副面部22との間に強制的に間隙を生じさせることが極めて難しく、該間隙を人為的に生成して金属片等を侵入させるという不正行為を防止でき得る。
尚、嵌合開口部53e,53fは、上述したように、その連続内周面61〜63がコネクタ接続用開口窓部24c,24dの内周面と表裏方向で重なり合っていることから、これらの境界から金属片等を強制的に侵入させることは難しい。さらに、嵌合開口部53e,53fの不連続内周面64に沿って設けられた嵌合凸部54c、54dの形状効果によって、連続内周面61〜63の上部開口端縁の剛性も向上するため、前記境界を強制的に生じさせる変形を抑制する効果が高く、総じて、金属片等を侵入させるという不正行為を防止でき得る。
さらに、コネクタ用スペーサ51の各嵌合凸部54a〜54dは、その嵌合凸面55a〜55dが副面部22の表面(コネクタ接続用開口窓部24a〜24dの表側開口端)よりも表方へ突出しないように形成されている。そのため、コネクタ受部73a〜73fとコネクタとを接続する作業や取り外し作業を行い易く、メンテナンス作業や交換作業などの作業性が向上する。
このように、本実施例のコネクタ用スペーサ51を、ケース主体2の副面部22と制御基板71との間に介装することによって、該副面部22のコネクタ接続用開口窓部24a〜24dから電極(金属片)等を内部に侵入させる不正行為を確実に防止することができる。また、嵌合凸部54a〜54d(嵌合凸面55a〜55d)は、高い強度を有することから、不正に破損させて金属片を侵入させる孔等をつくることも難しく、金属片を侵入する不正行為を防止する効果が高い。
また、コネクタ用スペーサは、制御基板に設けられたコネクタ受部の配設数や形状などに応じて適宜設定されたものを用いることが好適である。これにより、コネクタ受部の異なる制御基板を収納する場合には、その制御基板に適したコネクタ用スペーサを用いることにより、上記した本発明の作用効果を奏する。換言すれば、制御基板に応じたコネクタ用スペーサを用いれば、同じ形状寸法のケース主体やケース底体を用いて、様々なタイプの制御基板に対応することができ、高い汎用性を発揮できる。
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。