JP5240940B2 - パネル用アンカー金具 - Google Patents
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Description
しかし、この取付構造では、溶接やモルタル補修などの手間を要し、さらに、壁パネルに形成したフックボルトを貫通させる貫通孔により外観が著しく阻害される。
このため、近年では、壁パネルの内部に埋設したアンカー金具と取付金具とを連結固定し、この取付金具を建物躯体に固定する取付構造(例えば、特許文献1参照)が主として採用されている。
すなわち、ALC壁パネルPは、その内部に埋設されたパネル用アンカー金具100に外部金物41(イナズマプレート)が係合されることにより、建物躯体(図示略)に取付けられる。
パネル用アンカー金具100は、壁パネルP内に埋設される棒状部材20と、パネルP内に埋設されてその直径方向に設けられた貫通孔133に棒状部材20を貫通する筒状の係止金具130と、さらに、この係止金具130の一端側軸方向に設けられたボルト挿入孔132に螺合されるボルト40とから構成されている。
外部金物41(イナズマプレート)は、図5に示すように、ボルト挿通孔42を備えた段付きの板状金属部材であって、そのボルト通孔42を挿通させたボルト40を係止金具130のボルト挿入孔132に螺合することにより、壁パネルPの室内側壁面P1に取付けられる。
パネル室内側壁面孔12は、パネル室内側壁面P1に開口したパネル厚さ方向に延びる断面円形の孔であり、また、小口面孔17は、小口面P2に開口したパネル室内側壁面P1に沿って延びる断面円形の孔である。
そして、これらパネル室内側壁面孔12と小口面孔17とは、壁パネルPの内部で連通している。
そして、ボルト挿入孔132の内周面には、ボルト40を螺合するための雌ネジが螺刻されている。また、棒状部材貫通部135はやや楕円形気味に押し潰されて、その短軸径方向に貫通孔133を貫通させた形状となっている。
棒状部材20は、パネル室内側壁面孔12内に埋設された係止金具130が壁パネルPから外へ脱落しないように、係止金具130の貫通孔133へ挿通される棒状の部材である。
さらに、外部金物41を介して係止金具130のボルト挿入孔132にボルト40を螺合仮止めさせた状態で、壁パネルPを建物躯体の所定の取付位置へ移動させる。
そして、外部金物41とパネル室内側壁面P1との間に建物駆体(例えばL型アングル)を挟持させた状態で、ボルト40を本締めすることにより、パネルPを建物駆体に強固に取付固定する。
この係止金具130は、ボルト挿通部134が円形であるに対して、棒状部材貫通部135は、やや楕円形気味に押し潰されている。これは、棒状部材貫通部135の貫通孔133に棒状部材20が容易に挿通できるように、係止金具130の製造過程において、棒状部材貫通部135をやや楕円形気味に押し潰したのちに、棒状部材20の直径に遊び寸法を加算した大きめの貫通孔133を穿設するためである。
そのため、施工現場においてボルトの共通化を図ろうとして、通常使用されるより首下長さが長いボルト40を係止金具130に螺合させようとしても、図6に示すように、棒状部材貫通部135がやや楕円気味に押し潰されて内部の空間が狭くなっているため、ボルト40が所定の深さ以上奥へ螺進することができない。
その結果、少しでも所定の首下長さを超えた長めのボルト40は、係止金具130に対して全く使用することができなかった。
さらに、この係止金具230は、その構造から内周面の全域もしくは奥深くまで雌ネジを螺刻することにより、通常使用されるより首下長さの長いボルト40であっても共通して使用することが可能となる。
しかし、この場合、通常使用されるボルト40の首下長さに比べて、それ以上の首下長さに対応できる深さまで雌ネジを予め螺刻しておくことが必要となり、これは、その加工コストが余分にかかるようになる。
さらに、ボルト40の外径43と同じ直径の棒状部材20を挿通させる(あるいは、挿通し易くするために少し大きめの)貫通孔233を穿設しようとすると、外径寸法および板厚が一定の円筒形状物であるため、係止金具230の内周(板厚)部分を削って穿設することになってしまい、係止金具としての強度を著しく低下させることになる。
また、外径寸法および板厚が同一の円筒形状物を加工した係止金具230の場合は、内周面の全域に渡って雌ネジを螺刻することによりボルト40が奥深くまで螺進できるようにしても、かえって、深くなった雌ネジ部にALCパネルの母材粉(ALC粉末)が噛み込むようになり、ボルト40の螺合の作業性が著しく阻害されるという問題も包含していた。
前記係止金具は、板厚が2.0〜3.5mmの範囲である単一厚さの筒状本体の一端側に、内周面に雌ネジが螺刻されたボルト挿入孔を備えたボルト挿入部を、また同じく他端側に、前記棒状部材が貫通する貫通孔を備えた棒状部材貫通部を、それぞれ備えると共に、前記筒状本体を絞り成型することで、前記棒状部材貫通部の外径寸法を、前記ボルト挿入部の外径寸法よりも大きく構成してなるパネル用アンカー金具を採用した。
(1)前記棒状部材貫通部の外径寸法が、前記ボルト挿入孔に螺合されるボルトの外径よりも3.0〜7.0mm大きいこと、
(2)前記ボルト挿入部の外径が14〜19mmであり、前記棒状部材貫通部の外径寸法が16〜28mmであること、
(3)前記ボルト挿入部の長さが2mm以上で、かつ前記ボルトの外径以下であり、前記棒状部材貫通部の長さが25〜60mmであること、
これら(1)〜(3)を好ましい条件とした。
また、その他端側は棒状部材20が貫通する貫通孔33を備えた棒状部材貫通部35となっている。
さらに、この係止金具30は、パイプ状の筒状体を絞り成型(加工)することにより加工後の筒状本体31において、ボルト挿入部34と棒状部材貫通部35とを軸方向になめらかに連続させるとともに、棒状部材貫通部35の外径寸法がボルト挿入部34の外径寸法よりも大きくなるように一体的に成型されている。
このように、絞り成型(加工)を採用することにより、ボルト挿入部34と棒状部材貫通部35との間で外形寸法が異なった筒状本体31であっても、安価にしかも容易に製造することが可能となる。
(1)係止金具30の内周面(板厚)を削ることなく、ボルト外径と同径の棒状部材20 が挿通できる貫通孔33を、さらに遊び寸法を設けて棒状部材貫通部35に棒状部 材貫通部35に穿設することが可能になる。
そして、これは削られること考慮してボルト挿入部34および棒状部材貫通部の板 厚を予め厚く設定する必要がなくなるため、あわせて軽量・小型化が図られる。
(2)棒状部材貫通部35の内部がボルト40先端の逃がし空間として作用する。
すなわち、図4に示すように、螺進するボルト40に押されたALC粉が逃がし空 間36に落ちるため、ALC粉が雌ネジ部に噛み込むことを防止できる。
(3)ボルト40の先端が棒状部材貫通部35の内部を十分深くまで螺進できるため、首 下長さが通常使用されるボルト40より長めであっても共通使用が可能となる。ま た、ボルト挿入部32にのみ雌ネジを螺刻しておけばボルトは十分に螺合がなされ るため、内周面の全域に渡って螺刻をする場合と比べて加工コストを大幅に低減す ることができる。
すなわち、この寸法であれば、例えば、筒状本体31の板厚を2mm、ボルト40の外径43を12mm、棒状部材20の外径を9mm、棒状部材20を貫通孔33に挿通させる際の遊び寸法を3mmとした場合は、筒状本体31の内周面(板厚)を削ることがなく直径12mmの貫通孔33を穿設することが可能となる。
すなわち、図4に示すように、ボルト挿入部34の外径寸法は、ボルト40の外径43が通常10〜12mmであり、筒状本体31の板厚が通常2.0〜3.5mmであることから、「ボルトの外径10mm+(筒状本体31の板厚2mm×2)」〜「ボルトの外径12mm+(筒状本体31の板厚3.5mm×2)」で導かれた値となる。
一方、棒状部材貫通部35の外径寸法は、棒状部材20の外径寸法が通常9〜18mm、遊び寸法が通常3mm、筒状本体31の板厚が通常2.0〜3.5mmであることから、「棒状部材の外径寸法9mm+遊び3mm+(筒状本体31の板厚2mm×2)」〜「棒状部材の外径18mm+遊び3mm+(筒状本体31の板厚3.5mm×2)」で導かれた値となる。
すなわち、係止金具におけるボルト40の雌ネジ部への掛かり代(長さ)は、このボルト40の外径43の寸法以下で十分である。そのため、この外径43をボルト挿入部34の上限の長さとして、それ以外の係止金具の長さ部分を外形寸法の大きな棒状部材貫通部35とすることで、ボルト40先端が進む空間を最大限大きく(長く)することができるようになり、ALC粉が雌ネジに噛み込む不具合を防止することができるようになる。
また、貫通孔33は断面形状が円形の孔であって、その直径は棒状部材20の直径より大きくさらに遊び寸法(通常は3mm)も含めて穿設されている。さらに棒状部材20を安定に把持させるために、貫通孔33の内部に上記従来例(特許文献1)で使用されているような弾性部材が必要に応じて装着される。
この弾性部材の使用によって、棒状部材20が貫通孔33を挿通している状態で、例えば、壁パネルPを移動させたり、壁パネルPをフランジに取付けようとして壁パネルPの小口面P2を下に向けたりすることで、棒状部材20がその自重でずれたり脱落したりする問題を回避する。
また、本発明に係るパネル用アンカー金具を使用する取付構造において、あえて、首下長さの非常に長いボルト40を用いて、そのボルト先端が棒状部材20に到達するまで螺進させて棒状部材20を拘束することで、棒状部材20と係止金具30とを強固に結合させてパネル内におけるそれぞれの遊動を防止することができる。
12 パネル室内側壁面孔
17 小口面孔
20 棒状部材(埋設アンカー棒)
30 係止金具
31 筒状本体
32 ボルト挿入孔
33 貫通孔
34 ボルト挿入部
35 棒状部材貫通部
36 逃がし空間
40 ボルト
41 外部金物(イナズマプレート)
42 ボルト通孔
43 ボルトの外径
100 パネル用アンカー金具
130 係止金具
132 ボルト挿入孔
133 貫通孔
134 ボルト挿入部
135 棒状部材貫通部
230 係止金具
233 貫通孔
P 壁パネル
P1 パネル室内側壁面
P2 小口面
Claims (4)
- パネル内に埋設される棒状部材と、同じくパネル内に埋設されてその直径方向に設けられた貫通孔に前記棒状部材を貫通する筒状の係止金具と、この係止金具の一端側軸方向に設けられたボルト挿入孔に螺合されるボルトとからなるパネル用アンカー金具であって、
前記係止金具は、板厚が2.0〜3.5mmの範囲である単一厚さの筒状本体における一端側に、内周面に雌ネジが螺刻されたボルト挿入孔を備えたボルト挿入部を、また同じく筒状本体の他端側に、前記棒状部材が貫通する貫通孔を備えた棒状部材貫通部を、それぞれ備えると共に、前記筒状本体を絞り成型することで、前記棒状部材貫通部の外径寸法を、前記ボルト挿入部の外径寸法よりも大きく構成してなることを特徴とするパネル用アンカー金具。 - 前記棒状部材貫通部の外径寸法が、前記ボルト挿入孔に螺合されるボルトの呼び直径よりも3.0〜7.0mm大きいことを特徴とする請求項1に記載のパネル用アンカー金具。
- 前記ボルト挿入部の外径が14〜19mmであり、前記棒状部材貫通部の外径寸法が16〜28mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のパネル用アンカー金具。
- 前記ボルト挿入部の長さが2mm以上で、かつ前記ボルトの外径以下であり、前記棒状部材貫通部の長さが25〜60mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネル用アンカー金具。
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