以下、校正支援装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における校正支援装置のブロック図である。
校正支援装置1は、受付部11、測定値格納部12、許容範囲情報格納部13、分布位置判断部14、算出部15、算出用情報格納部16、出力部17、真値格納部18、変化傾向判断部19、目標値決定部20、目標値出力部21を具備する。
また、図2は、本実施の形態における校正支援装置を備えた生産システムの構成の概略を示す概念図である。
本生産システムは、生産ライン100と、校正支援装置1とを具備している。生産ライン100は、生産設備101〜103と、校正対象200とを具備している。なお、ここでは生産設備を例に挙げて説明しているが、生産設備以外の設備であっても良い。
各生産設備101〜103は、製品等の製造に用いられる生産設備であれば、どのような生産設備であっても良い。例えば、電子部品等の生産設備であっても良い。また、各生産設備101は同じ生産設備であっても異なる生産設備であっても良い。
校正対象200は、校正の対象となる装置やシステム等である。校正対象200は、具体例を挙げると、生産ライン100で製造される製品や中間品についての特性値の計測や検査等に用いられる測定システムである。測定システムは、例えば、計測器や検査器等を備えており、測定値を出力する。計測器は、製品や中間品についての特性、例えば、電圧特性や、温度特性、接点間隔等についての計測を行う装置である。計測器は、具体的には、電圧計測器、レーザ変位計等である。また、検査器は、製品や中間品についての特性についての計測を行い、製品や中間品の特性の合否判定を行い、不良品を判断を行うものである。測定システムは、検査の際に、検査対象、例えば製品や中間品に、駆動電流や、熱等を供給する装置等を、更に備えていても良い。また、測定システムは、計測器または検査器のみにより構成されていても良い。ここでは、生産ライン100に校正対象200が一つである場合について説明しているが校正対象200は複数であっても良く、また、生産ライン100のどの位置に設けられていても良い。校正対象200は、測定値を出力する。校正対象200が計測した測定値、特に後述する最適点検間隔において計測された測定値は、ディスプレイ等に表示されても良いし、校正支援装置1にネットワークや通信回線、配線等を介して送信されてもよい。測定値は、取得される毎に随時送信されてもよいし、複数の測定値を一時記憶等により蓄積した後、複数の測定値毎に送信されても良い。なお、測定値は、着脱可能な記録媒体に蓄積されてもよい。なお、校正対象200が複数設けられている場合、各校正対象200からの測定情報がそれぞれ分別可能に校正支援装置1に出力されるようにすればよい。
なお、本実施の形態において述べる校正とは、校正対象200に対して行われる校正のことであり、具体的には、校正対象200が出力する測定値が、予め設定された基準を満たす値となるように校正対象200の測定値等を補正すること等である。例えば、測定システム等の校正対象200が出力する測定値を調整したり、測定システム等の校正対象200が検査を行う際に製品や中間品等に与える駆動電流や熱等を調整すること等により、測定値の校正が行われる。
受付部11は、校正対象200が取得した測定値を受け付ける。測定値は、具体的には、一の校正対象200から得られる同じ測定項目についての、異なる時刻に測定された測定値である。また、受付部11は、当該測定値が測定された日時等を示す情報等を受けつけても良い。受付部11は、例えば、ネットワークや通信回線、配線等を介して、校正対象200が送信する測定値を受信することで、測定値を受け付けてもよい。また、着脱可能な記録媒体に蓄積された測定値を読み出して、測定値を受けつけても良い。また、キーボード等の入力デバイス等を介して受け付けてもよい。受付部11が受け付けた測定値は、通常、測定値格納部12に蓄積される。また、受付部11が受け付けた、測定値が測定された日時を示す情報も測定値格納部12に蓄積される。なお、ここで述べる測定値は、実質的に測定した値が分かる値であれば、実際に測定した値でなくてもよい。例えば、実際の測定値を補正した値や、実際の測定値から、測定値の真値を減算したいわゆる偏り誤差等を、測定値と考えてもよい。かかることは、他の構成においても同様である。ここで述べる受付とは、例えば、他の機器等から送信される入力信号の受信や、記録媒体等からの情報の読み出し等である。受付部は、受信デバイスや受信デバイスのデバイスドライバーや、記録媒体から情報を読み出す読み出し装置のドライバー、入力デバイスのドライバー等で実現され得る。
測定値格納部12には、受付部11が受け付けた測定値が格納され得る。また、測定値が取得された日時等を示す情報が、測定値に対応付けられて格納されても良い。ここで述べる格納は、長期的な格納や、一時記憶等の一時的な格納も含む概念である。測定値格納部12不揮発性の記録媒体でも、揮発性の記録媒体でも良い。
許容範囲情報格納部13には、校正対象200の出力する測定値が正常である値の範囲である許容範囲を示す情報である許容範囲情報が格納され得る。許容範囲情報は、許容範囲を指定できる情報であればよく、例えば、測定値の許容範囲の上限値と、下限値との組み合わせであっても良いし、測定値の許容限界の中心と、その中心値に対する許容差の値との組み合わせであっても良い。例えば、測定値が、製品の重量の値であったとすると、許容範囲情報は、製品の重量を正常と判断するための範囲の上限値と下限値であっても良い。なお、ここで述べる測定値は、上述したように、実際に測定した値そのものでなくてもよい。例えば、いわゆる偏り誤差等であってもよい。許容範囲情報格納部13に許容範囲情報がどのように蓄積されるかは問わない。例えば、工場出荷時に蓄積されていても良いし、受付部11等の受付部を介して受け付けた許容範囲情報が蓄積されても良い。許容範囲情報格納部13は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
分布位置判断部14は、許容範囲情報が示す正常である値の範囲に対する、受付部11が受け付けた測定値の分布位置を判断する。分布位置を判断する処理の一例を以下に説明すると、分布位置判断部14は、まず、測定値格納部12に格納されている測定値から、測定値を代表する代表値を求める。代表値とは、1以上の測定値を代表する値であり、具体的には、1以上の測定値の平均値や、中央値、最頻値等である。ここで分布位置の判断に用いられる1以上の測定値は、通常、最新の、予め設定した所定の期間や所定の数の測定値である。例えば、最新の1ロット分等の測定値であっても良いし、最新の20個の測定値であっても良いし、前回校正対象200に校正を行った時点から現在までの期間の全ての測定値であっても良い。なお、測定値としては、最新の値を含む測定値を用いることが好ましいが、代表値を求めるために統計処理を行うため、要求される精度等によっては、必ずしも最新の値を用いなくてもよい。そして、分布位置判断部14は、許容範囲情報格納部13に格納されている許容範囲情報を読み出し、求めた測定値の代表値の位置が、許容範囲情報格納部13内に格納されている許容範囲情報が示す許容範囲の上限値と下限値とのいずれに近いかを判断する。例えば、代表値と許容範囲の上限値との距離の値および代表値と許容範囲の下限値との距離の値とをそれぞれ算出し、代表値と許容範囲の上限値との距離の値が、代表値と許容範囲の下限値との距離の値よりも大きければ、下限値に近い位置に分布していると判断する。また、代表値と許容範囲の上限値との距離の値が、代表値と許容範囲の下限値との距離の値よりも小さければ、上限値に近い位置に分布していると判断する。また、許容範囲の上限値と下限値の平均値を求め、この平均値よりも代表値が大きければ、許容範囲の上限値に近い位置に分布していると判断する。また、この平均値よりも代表値が小さければ、許容範囲の下限値に近い位置に分布していると判断する。なお、代表値が許容範囲の中央に位置する場合、測定値が、許容範囲の下限値または上限値のいずれか一方に近い位置に分布していると判断するように設定しておいても良い。また、測定値の分布位置が、許容範囲の中央であると判断しても良い。ここでは、分布位置判断部14は、判断結果を算出部15に出力する。また、後述する具体例等において説明するように、分布位置判断部14は、最適修正限界を利用して、測定値を監視することで、校正対象200を校正するタイミングを検出するようにしても良い。分布位置判断部14は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。分布位置判断部14の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
算出部15は、分布位置判断部14の判断結果に応じて、校正対象200についての最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する。具体的には、算出部15は、分布位置判断部14が判断した測定値の分布位置に応じた、測定値の許容差を動的に取得し、当該許容差を用いて、最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する。例えば、算出部15は、分布位置判断部14が、代表値が許容範囲の上限値に近いと判断した場合に、許容範囲の上限値と代表値との間隔の値を用いて、最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する。具体的には、許容範囲の上限値と代表値との間隔の値を、測定値の許容差として用いて、最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する。また、算出部15は、分布位置判断部14が、代表値が許容範囲の下限値に近いと判断した場合に、許容範囲の下限値と代表値との間隔の値を用いて、最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する。具体的には、許容範囲の代表値と下限値との間隔の値を、測定値の許容差として用いて、最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する。算出部15が算出に用いるパラメータ等は、予め後述する算出用情報格納部16に格納されており、算出時に適宜読み出して利用するものとする。なお、ここで述べる測定値は、上述したように、実際に測定した値そのものでなくてもよい。例えば、いわゆる偏り誤差等であってもよい。算出部15が最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する処理については後述する。なお、ここで述べる測定値の許容差とは、算出部15が最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する処理において用いる許容差である。この許容差は、通常は、測定値の基準値と限界値との差のことで、基準値としては、許容範囲の上限値と下限値との中心値が用いられる。ただし、ここでは、上記のような分布位置判断部14の判断結果に応じた許容差を用いるようにしている。なお、最適修正限界とは、測定値の誤差が、この最適修正限界が示す限界を超えた場合に、校正対象200の修正、すなわち校正、を行うことが、コスト等を考慮して最適となる測定値の誤差の限界のことである。また、最適点検間隔とは、製品、あるいは中間品の特性等が、許容範囲内にあるかどうかを点検するうえで、コスト等を考慮して最適と考えられた間隔である。なお、最低修正限界および最適点検間隔については、公知技術であるので詳細な説明は省略する。算出部15は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。算出部15の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
算出用情報格納部16には、算出部15が、最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する際に用いられる、測定値の許容差以外のパラメータ等が格納されている。算出に利用されるパラメータ等については後述する。算出用情報格納部16には、工場出荷時等に予めパラメータ等が格納されていても良いし、受付部11等の受付部が受け付けたパラメータ等が適宜蓄積されても良い。また、算出部15の算出結果に応じて、蓄積されているパラメータを更新する必要がある場合、算出部15の算出した値で、パラメータを適宜上書きして書き換えられるようにしても良い。算出用情報格納部16は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
出力部17は、算出部15の算出した算出結果を示す情報を出力する。算出結果とは、最終修正限界を示す情報や、最適点検間隔を示す情報等である。ここで述べる出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタによる紙等への印字、外部の装置への送信等を含む概念である。例えば、校正対象200が、自動で最適点検間隔の設定を行うことが可能な装置であった場合、算出部15が算出した最適点検間隔の情報を、出力部17が、校正対象200に出力することにより、これを受信した校正対象200が、受信した最適点検間隔の情報を用いて点検間隔を変更するようにしてもよい。また、出力部17が、算出結果を示す情報をディスプレイ等に表示する場合、どのような表示形態で表示を行っても良く、例えば、最終修正限界を示す情報や、最適点検間隔を示す情報等を数値等で表示しても良いし、グラフ等で表示しても良い。出力部17は、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部17は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
真値格納部18には、検査対象についての真値が格納され得る。検査対象とは、校正対象200による検査の対象となる、製造ライン100で製造される製品あるいは中間品である。真値とは、校正対象200が計測する特性等についての、検査対象、言い換えれば測定対象の真の値である。ただし、実際には測定の対象の真値を知ることは不可能であるため、ここでは、真値の代わりに、真値とみなすことのできる値、いわゆるみなし真値も真値と考える。例えば、本実施の形態においては、標準となる製品あるいは中間品等を予め用意しておき、この製品あるいは中間品を、高精度な計測器で測定して得られた値を真値として用いてもよい。真値は工場出荷時等に予め格納されていても良いし、受付部11等の受付部が受け付けた真値が蓄積されても良く、真値が真値格納部18にどのように蓄積されるかは問わない。真値格納部18は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。不揮発性の記録媒体でも、揮発性の記録媒体でも良い。
変化傾向判断部19は、受付部11が受け付けた測定値の変化の傾向を判断する。測定値の変化の傾向とは、具体的には、受付部11が時系列に沿って受け付けた2以上の測定値が真値に対して単調増加しているか否か、およびが単調減少しているか否か等のことである。例えば、変化傾向判断部19は、受付部11が受け付けた2以上の測定値を時間で微分して、微分した値が正であれば測定値が真値に対して単調増加していることを判断する。また、微分した値が負であれば測定値が単調減少していることを判断する。あるいは、受付部11が受け付けた2以上の測定値を、直前に測定された測定値と順番に比較していき、常に直前の測定値以上である場合、単調増加と判断し、常に直前の測定値以下である場合、単調減少と判断する。変化傾向判断部19が変化傾向を判断する対象となる測定値は、通常、最新の、予め設定した所定の期間や所定の数の測定値である。例えば、最新の1ロット分等の測定値であっても良いし、最新の20個の測定値であっても良いし、前回校正対象200に校正を行った時点から現在までの期間の全ての測定値であっても良い。なお、測定値としては、最新の値を含む測定値を用いることが好ましいが、変化傾向を推定して判断することが可能であれば、必ずしも最新の値を用いなくてもよい。また、測定値が、完全に単調増加あるいは単調減少していなくても、統計処理等により、ほぼ単調増加、あるいは単調減少しているとみなすことができる状態である場合には、要求される精度等によっては、単調増加している、もしくは単調減少していると判断するようにしてもよい。ここでは、変化傾向判断部19は、判断結果を目標値決定部20に出力する。変化傾向判断部19は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。変化傾向判断部19の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
目標値決定部20は、真値格納部18に格納されている真値を取得し、当該真値を用いて、変化傾向判断部19の判断結果に応じて、校正の目標値を決定する。具体的には、変化傾向判断部19が、測定値が単調増加していると判断した場合に、目標値を真値よりも小さい値に決定する。どの程度小さい値とするかの、値の幅や割合等は予め設定しておく。ここで、目標値決定部20が校正対象200についての最適修正限界を示す情報を、算出部15や、受付部11等の受付部等を介して外部から取得し、変化傾向判断部19が、測定値が単調増加していると判断した場合に、目標値を、真値よりも、最適修正限界の半分だけ小さい値に決定するようにすることが好適である。また、目標値決定部20は、変化傾向判断部19が、測定値が単調減少していると判断した場合に、目標値を真値よりも大きい値に決定することが好適である。どの程度大きい値とするかの、値の幅や割合等は予め設定しておく。ここで、目標値決定部20が校正対象200についての最適修正限界を示す情報を上記のように取得し、変化傾向判断部19が、測定値が単調減少していると判断した場合に、目標値を、真値よりも、最適修正限界の半分だけ大きい値に決定することが好ましい。なお、変化傾向判断部19の判断結果が単調増加および単調減少のいずれでもない場合、校正の目標値を、例えば真値に決定するようにすればよい。なお、校正の目標値を、真値を基準として、真値との差で表すようにしても良い。目標値決定部20は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。目標値決定部20の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
目標値出力部21は、目標値決定部20が決定した目標値を出力する。ここで述べる出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタによる紙等への印字、外部の装置への送信等を含む概念である。例えば、校正対象200が、自動で測定値が目標値となるように校正することが可能な装置であった場合、目標値決定部20が決定した目標値を、目標値出力部21が、校正対象200に出力することにより、これを受信した校正対象200が、受信した目標値を用いて校正を行うようにしてもよい。また、目標値出力部21が、目標値をディスプレイ等に表示する場合、どのような表示形態で表示を行っても良く、例えば、目標値を数値等で表示しても良いし、グラフ等で表示しても良い。目標値出力部21は、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。目標値出力部21は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
以下、算出部15が行う最適修正限界と最適点検間隔とを算出する処理について説明する。
上述した非特許文献1に示されているように、最適点検間隔と最適修正限界は、損失関数として、「損失=校正コスト+偏り誤差によるコスト」を求め、この損失を最小化する点検間隔と修正限界とを求めることで、算出される。具体的には、最適点検間隔nおよび最適修正限界Dは、
A:許容限界を超えたときの損失の平均(円/個)
B:計測器(校正対象)の点検に要する経費(円)
C:計測器(校正対象)の修正に要する経費(円)
u
0:現行の平均修正間隔
D
0:現行の修正限界
Δ:許容差
で表される。
図3は、許容範囲と測定値との関係を模式的に示すグラフであり、横軸は測定値の値、縦軸はサンプル数を示す。ここで、SL、SUは、予め指定された、測定値を正常と判断するための許容範囲の下限値および上限値である。この許容範囲の下限値および上限値は、許容範囲情報格納部に格納されている許容範囲情報により得られる値である。測定値の許容限界の中心は、(SL+SU)/2となる。この許容限界の中心から、許容範囲の上限値または下限値までの距離、すなわち差の絶対値が、許容差Δである。従来は、この許容差Δが、式1の許容差Δとして用いられていた。この許容差を、便宜上、Δ0として図3(a)に示す。
ここで、図3(a)に示すように、測定値が、許容範囲の中心に分布している場合、仮に、校正対象200に図に示すような偏り誤差Eが生じても、測定値は、許容範囲内となるため、製品は正常であると判断され、製品の歩留まり等には影響を与えない。
しかしながら、図3(b)に示すように、測定値が、許容範囲の中心からずれて分布している場合、校正対象200に同じ偏り誤差Eが生じると、測定値が許容範囲からはずれてしまい、製品が異常と判断されることが起こりうる。この結果、歩留まりが低下し、不良コストが増大することとなる。
したがって、このような測定値の分布位置による不良コストの増加を抑えるためには、測定値の分布が許容範囲の中心からずれているか否か等を、式1に示した最適点検間隔と最適修正限界とを求める式に反映させることが必要となる。
このため、本実施の形態においては、以下に説明するように、上記の式1において、測定値の分布位置に応じた許容範囲を指定する許容差Δを与えることで、測定値の分布位置による不良コストの増加を抑えることが可能な最適点検間隔と最適修正限界とを算出するようにしている。
まず、校正支援装置1の算出部15において、測定値の分布と許容範囲の下限値SLおよび上限値SUの位置関係から、計測性能を管理するための許容範囲の下限値SL'および上限値SU'を算出する。具体的には、受付部11が受け付けた校正対象200の測定値の平均値を求める。測定値としては最新の1ロット分の製品についての測定値を使っても良いし、前回の校正日からのすべての測定値を使ってもよい。次に、求められた測定値の代表値、ここでは例として平均値Xbarから、許容範囲情報格納部13に格納されている許容範囲情報が示す許容範囲の下限値SLと、上限値SUまでの間隔の値を次式で求める。ただし、ここでは、間隔であるので、値の絶対値を取るものとする。
さらに、算出部15では、式2で算出したこれらの間隔の値の大小関係を比較し、図3(c)に示すような計測性能を管理するための許容範囲(SL',SU')を決定する許容差Δを算出する。
具体的には、「下限値までの間隔」<「上限値までの間隔」のとき、測定値の分布が許容範囲の下限値SL側にずれていることなるため、計測性能を管理するための許容範囲の上限値および下限値(SL',SU')を次式で表されるものとする。
一方、「下限値までの間隔」≧「上限値までの距離」のとき、測定値の分布が許容範囲の上限値SU側にずれていることをあらわし、計測性能を管理するための許容範囲の上限値および下限値(SL',SU')を次式で表されるものとする。
したがって、本実施の形態の校正支援装置1の算出部15では、上記のように、許容範囲情報格納部13の許容範囲情報を用いて、分布位置判断部14の分布位置の判断結果に応じた許容差Δを構成し、この許容差Δを用いて、上記の式1により最適点検間隔および最適修正限界、もしくはいずれか一方を算出する。すなわち、
により、最適点検間隔nおよび最適修正限界Dが算出される。また、
により、最適点検間隔nおよび最適修正限界Dが算出される。
なお、式1のA、B、C、u0、D0等の値は、算出用情報格納部16に格納されており、算出時に適宜読み出されるものとする。また、算出部15が算出した結果により、算出用情報格納部16に格納されている情報は、必要に応じて、適宜更新される。
また、上記においては、「下限値までの間隔」=「上限値までの間隔」のときは、
により許容差Δを求めるようにしたが、この場合、(SU−Xbar)=(Xbar−SL)となることから、
により許容差Δを求めるようにしても良い。
次に、校正支援装置1の動作について図4のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、最初に校正対象200についてのi=1回目の校正がすでに行われているものとする。また、予め、測定値の許容範囲情報を用いて算出された最適点検間隔n(i)および最適修正限界D(i)が設定されているものとする。これらの情報は、例えば算出用情報格納部16等に予め蓄積しておく。また、ここでは、j番目の測定値を含む点検データを、キーボード等の入力デバイスを介して、もしくは、校正対象200からネットワーク等を介して受け付ける場合について説明する。
(ステップS401)校正支援装置1は、カウンターiに1を代入する。
(ステップS402)校正支援装置1は、カウンターjに1を代入する。
(ステップS403)受付部11は、j番目の点検データであるj番目の測定値を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、受け付けた測定値を、測定値格納部12に蓄積してステップS404へ進む。受け付けていない場合、ステップS403に戻る。また、受け付けた測定値を、出力部17等を用いてディスプレイ等に表示するようにしても良い。なお、j番目の測定値は、受付部11が測定値を受け付けるタイミングにおいて測定された一の測定値であっても良いし、受付部11が測定値を受け付けるタイミング近傍において複数の検査対象からそれぞれ測定した複数の測定値の代表値、例えば平均値等、であってもよい。
(ステップS404)分布位置判断部14は、j番目の測定値を用いて、i回目の校正のj回目の点検の偏り誤差Y(i,j)を算出する。偏り誤差は、(j番目の測定値−真値)で算出される。
(ステップS405)分布位置判断部14は、ステップS404において算出した偏り誤差Y(i,j)が、i回目の校正の際に算出された最適修正限界D(i)の上限値DU(i)よりも大きいか否かを判断する。最適修正限界D(i)の上限値DU(i)は、DU(i)=D(i)/2である。大きくない場合、ステップS406に進み、大きい場合、ステップS407に進む。
(ステップS406)分布位置判断部14は、ステップS404において算出した偏り誤差が、i回目の校正の際に算出された最適修正限界D(i)の下限値DL(i)よりも小さいか否かを判断する。最適修正限界D(i)の下限値DL(i)は、DL(i)=−D(i)/2である。小さい場合、ステップS407に進み、小さくない場合、ステップS423に進む。
(ステップS407)分布位置判断部14は、校正対象200に対するi回目の校正後に受け付けた測定値の代表値、ここでは例として平均値Xbar(i)、を算出する。
(ステップS408)分布位置判断部14は、許容範囲情報格納部13から許容範囲情報を取得して、許容範囲の上限値SUおよび下限値SLを取得する。
(ステップS409)分布位置判断部14は、許容範囲の上限値SUと測定値の代表値である平均値Xbar(i)との間隔が、許容範囲の下限値SLと測定値の平均値Xbar(i)との間隔より大きいか否かを判断する。大きい場合、ステップS410に進み、大きくない場合、ステップS411に進む。
(ステップS410)算出部15は、i回目の校正後の許容差Δ(i)=Xbar(i)−SLを算出する。そして、ステップS412へ進む。
(ステップS411)算出部15は、i回目の校正後の許容差Δ(i)=SU−Xbar(i)を算出する。そして、ステップS412へ進む。
(ステップS412)算出部15は、i+1回目の校正後の最適修正限界D(i+1)を算出する。算出した最適修正限界D(i+1)の値を、算出用情報格納部16に蓄積する。なお、最適修正限界D(i+1)を算出しない場合、この処理は無視される。
(ステップS413)算出部15は、i+1回目の校正後の最適点検間隔n(i+1)を算出する。算出した最適点検間隔n(i+1)の値を、算出用情報格納部16に蓄積する。なお、最適点検間隔n(i+1)を算出しない場合、この処理は無視される。
(ステップS414)出力部17は、算出部15が算出した最適修正限界n(i+1)および最適点検間隔n(i+1)を出力する。例えば、最適修正限界n(i+1)および最適点検間隔n(i+1)を、グラフ等を用いてディスプレイに表示する。なお、いずれか一方のみを表示しても良い。
(ステップS415)変化傾向判断部19は、i番目の校正後に受け付けた1番目からj番目までの測定値を、測定値格納部12から読み出す。
(ステップS416)変化傾向判断部19は、i番目の校正後の測定値が単調増加であるか否かを判断する。例えば、i番目の校正により決定された最適点検間隔n(i)で測定されたj個の測定値のそれぞれについて偏り誤差Y(i、k)(ただしkは、1〜jの整数)を求め、点検された順番に沿って隣接する偏り誤差Y(i、k)間の全ての傾きを求める。そして、全ての傾きが0以上である場合に、単調増加と判断する。単調増加と判断しなかった場合、ステップS417に進む。単調増加と判断した場合、ステップS420に進む。
(ステップS417)変化傾向判断部19は、i番目の校正後の測定値が単調減少であるか否かを判断する。例えば、i番目の校正により決定された最適点検間隔n(i)で測定されたj個の測定値のそれぞれについて偏り誤差Y(i、k)(ただしkは、1〜jの整数)を求め、点検された順番に沿って隣接する偏り誤差Y(i、k)間の全ての傾きを求める。そして、全ての傾きが0以下である場合に、単調減少と判断する。単調減少と判断しなかった場合、ステップS418に進み、単調減少と判断した場合、ステップS421に進む。
(ステップS418)目標値決定部20は、偏り誤差Y(i,j)=0、すなわち、j番目の測定値を真値に修正することを、校正の目標値に決定する。
(ステップS419)目標値出力部21は、校正の目標値を出力する。具体的には、測定値が、ステップS418や後述するステップS420やステップS421等で決定した目標値となるように、校正対象200を校正する指示を出力、例えば表示、する。そして、ステップS422に進む。
(ステップS420)目標値決定部20は、偏り誤差Y(i,j)=−D(i+1)/2、すなわちj番目の測定値を「真値−D(i+1)/2」となるように修正することを、校正の目標値に決定する。そして、ステップS419に進む。
(ステップS421)目標値決定部20は、偏り誤差Y(i,j)=D(i+1)/2、すなわちj番目の測定値を「真値+D(i+1)/2」となるように修正することを、校正の目標値に決定する。そして、ステップS419に進む。
(ステップS422)校正支援装置1は、カウンターiを1インクリメントする。そして、ステップS402に戻る。
(ステップS423)校正支援装置1は、カウンターjを1インクリメントする。そして、ステップS403に戻る。
なお、図4のフローチャートにおいて、受付部11が、校正対象200等から最適点検間隔ごとに、測定値を読み出して受け付けるようにしてもよい。
なお、図4のフローチャートにおいては、ステップS409で用いられる下限までの距離は、Xbar(i)−SLで表され、上限までの距離は、Xbar(i)−SUで表される。なお、Xbar(i)は、i回目の校正後の測定値の平均値である。
また、許容範囲の上限値SUと測定値の代表値である平均値Xbar(i)との間隔が、許容範囲の下限値SLと測定値の平均値Xbar(i)との間隔より大きい場合のi回目の校正後の許容差Δ(i)は、
である。また、このとき、ステップS412で算出されるi+1番目の最適修正限界D(i+1)およびステップS413で算出されるi+1番目の最適点検間隔n(i+1)は、
A(i):i番目の校正後の許容限界を超えたときの損失の平均(円/個)
B(i):i番目の校正後の計測器(校正対象)の点検に要する経費(円)
C(i):i番目の校正後の計測器(校正対象)の修正に要する経費(円)
u(i):i番目の校正後の平均修正間隔
D(i):i番目の最適修正限界
で表される。なお、平均修正間隔とは、前回修正を行った時期から今回修正を行った時期までの期間である。すなわち、u(i)は、i番目の校正を行った時期から、i+1番目の校正を行う間での期間である。
また、許容範囲の上限値SUと測定値の代表値である平均値Xbar(i)との間隔が、許容範囲の下限値SLと測定値の平均値Xbar(i)との間隔より大きくない場合のi回目の校正後の許容差Δ(i)は、
である。また、このとき、ステップS412で算出されるi+1番目の最適修正限界D(i+1)およびステップS413で算出されるi+1番目の最適点検間隔n(i+1)は、
なお、図4のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
以下、本実施の形態における校正支援装置の具体的な動作について説明する。校正支援装置の概念図は図2である。
ここでは、校正支援装置1には、予め設定された測定値の許容範囲を示す情報として、許容範囲の上限値SUおよび下限値SLが、許容範囲情報格納部13に格納されているものとする。また、ここでは既に、第i回目の校正対象200の校正が行われているものとする。さらに、上記の許容範囲情報を用いて算出された、最適点検間隔n(i)および最適修正限界D(i)が、算出用情報格納部16等に蓄積されているものとする。
まず、予め校正されている校正対象200を用いて、予め設定されている最適点検間隔毎に、検査対象の測定を行い、測定値を取得する。なお、点検においては、真値が自明な製品あるいは中間品を用いて測定を行う。そして、この測定値と、この測定値を取得した点検日時を示す情報と、を含む点検データを、キーボードなどの入力デバイス等を介して、校正支援装置1に入力する。受付部11は、キーボードなどの入力デバイス等から入力された、点検データを受け付ける。なお、点検データは、LAN経由等で、校正対象200から自動取得しても良い。そして、例えば、算出部15等が、当該測定情報に含まれる測定値から、真値格納部18に格納されている真値を減算して、偏り誤差を算出し、算出結果を、例えば、図5に示すようなグラフに表示する。
図5は、出力部17が出力する、校正時期を監視するためのグラフであり、横軸は点検の日時を、また、縦軸は偏り誤差、すなわち測定値−真値、をそれぞれ示している。また、このグラフでは、校正の際に取得された最適点検間隔が校正日を基点として横軸に垂直な補助線として表され、校正の際に取得された最適修正限界が縦軸に垂直な管理基準線として表示される。図5に示すグラフにおいては、最適修正限界の中央の値を、真値に設定している。すなわち最適修正限界の中央の値を0に設定している。これにより、例えば、i回目の校正後の最適修正限界D(i)の上限値は、D(i)/2となり、下限値は−D(i)/2となる。
上述したように測定情報が入力されると、測定値に対応した偏り誤差のプロット点が図5に示すようなグラフ上に描画される。なお、ここで述べるように、あらかじめ真値を校正支援装置1に登録しておき、測定値を入力することで偏り誤差を計算してプロットするようにしてもよいし、校正対象200が、実際の測定値から真値を減算して算出した偏り誤差を測定値として出力する場合には、受付部11が、この測定値を直接プロットしても良い。
分布位置判断部14では、偏り誤差の監視が行われ、点検データに応じてプロットされた偏り誤差が、現在の最適修正限界を超えると、最適修正限界の再計算を行うことを決定する。例えば、図5において、点検日時が「3/17」となったときに、測定値から得られた偏り誤差が、最適修正限界D(i)の上限値であるD(i)/2を超えているため、最適修正限界D(i+1)を算出することを決定する。
そして、分布位置判断部14は、直前の校正後に受け付けた測定値の平均値Xbarを算出する。分布位置判断部14は、この平均値と、許容範囲情報格納部13に格納されている許容範囲情報を用いて、測定値の分布位置を判断する。
そして、分布位置判断部14の分布位置の判断結果に応じて、算出部15が最適修正限界D(i+1)および最適点検間隔n(i+1)を算出する。例えば、図6(a)に示すように、測定値の平均値Xbarが、許容範囲の中心値よりも小さい場合、上述した式8および式9により最適修正限界D(i+1)および最適点検間隔n(i+1)が算出される。また、図6(b)に示すように、測定値の平均値Xbarが、許容範囲の中心値以上である場合、上述した式11および式12により最適修正限界D(i+1)および最適点検間隔n(i+1)が算出される。
そして、新たに算出部15により算出された最適修正限界D(i+1)を示す管理基準線および最適点検間隔n(i+1)を示す補助線を、出力部17が、図7に示すように、グラフに表示する。
一方、校正支援装置1の変化傾向判断部19では、測定値により算出された偏り誤差が、最適修正限界を超えたことを検出した場合に、現在の最適点検間隔n(i)で測定された偏り誤差Y(i,j)(ただしj=1,2,3・・・)を呼び出し、各区間の傾きを求める。このとき、各区間の傾きが、すべて0以上になるとき、偏り誤差の変化、すなわち測定値の変化が単調増加と判断する。そして、目標値決定部20は、偏り誤差の値を、新たに算出部で算出された最適修正限界D(i+1)の下限値である−D(i+1)/2とすることを、i+1回目の校正の際の目標値に決定する。また、各区間の傾きが、すべて0以下になるとき、偏り誤差の変化、すなわち測定値の変化が単調増加と判断する。そして、目標値決定部20は、偏り誤差の値を、新たに算出部で算出された最適修正限界D(i+1)の上限値であるD(i+1)/2とすることを、i+1回目の校正の際の目標値に決定する。また、それ以外の場合は目標値決定部20は、偏り誤差の値を、0とすることを、i+1回目の校正の際の目標値に決定する。
例えば、図7に示したグラフにおいては、i回目の校正後の測定値が単調増加しているため、偏り誤差の値を、新たに算出部で算出された最適修正限界D(i+1)の下限値である−D(i+1)/2とすること、すなわち、測定値を、真値に対して−D(i+1)/2とすることを、i+1回目の校正の際の目標値に決定する。
そして、目標値出力部21は、例えば、図7に示すように、「測定値を真値に対して−D(i+1)/2となるように修正してください。」等の出力、ここではディスプレイへの表示、を行う。
このような表示に基づいて、ユーザにより校正対象200の校正を行われる。その後同様の処理が繰り返される。
ここで、例えば、図8に示すように、測定値と真値との差である偏り誤差が単調増加する場合、または単調減少する場合において、最適修正限界の範囲を超えた際に、図8(a)や図8(b)のように、校正により偏り誤差を0に修正すると、実質的な修正限界の範囲が最適修正限界の範囲の半分になってしまう。そのため、校正周期M1が短く、校正回数の頻度が増加してしまう。結果として、校正コストが増大してしまう。
これに対して、測定値と真値との差である偏り誤差が単調増加する場合、図8(c)に示すように、校正により偏り誤差を最適修正限界の下限値に修正すると、実質的な修正限界が、最適修正限界と同じ範囲となるため、上記のように偏り誤差を0に修正する場合に比べて、校正周期M2が長くなり、校正回数の頻度を低減し、校正周期を長くして、校正コストを減少させることができる。
同様に、測定値と真値との差である偏り誤差が単調減少する場合、図8(d)に示すように、校正により偏り誤差を最適修正限界の上限値に修正すると、実質的な修正限界が、最適修正限界と同じ範囲となるため、上記のように偏り誤差を0に修正する場合に比べて、校正周期M2が長くなり、校正回数の頻度を低減し、校正周期を長くして、校正コストを減少させることができる。
以上、本実施の形態によれば、測定値の分布位置に応じて、最適修正限界または最適点検間隔を算出するようにしたことにより、測定値の分布位置により、最適修正限界や最適点検間隔を最適化して、不良コストを減少させることができるとともに、校正コストを減少させることが効果がある。
また、本実施の形態によれば、測定値の分布傾向に応じて、校正の目標値を出力するようにしたことにより、測定値の分布傾向に応じて、校正周期が長くなるような校正を行うことができ、校正コストを低減させることができる。
なお、上記実施の形態においては、測定値の分布位置に応じて算出部15が算出した最適修正限界を用いて、目標値決定部20が目標値を決定するようにしたが、本発明においては、測定値の分布位置に応じた最適修正限界を算出するための算出部15等の構成を省略して、予め設定されている最適修正限界や、従来と同様の、測定値の分布を考慮しないで算出された最適修正限界を用いて、目標値決定部20が校正の目標値を決定するようにしても良い。
また、上記実施の形態において、測定値の変化傾向に応じて構成の目標値を決定する構成を省略して、測定値の分布位置に応じて算出部15が算出した最適修正限界や最適点検間隔を取得する校正支援装置を構成してもよい。
なお、上記実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
なお、上記実施の形態における校正支援装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、校正対象の校正を支援する処理を実行させるためのプログラムであって、前記校正対象が取得した測定値を受け付ける受付ステップと、格納されている許容範囲情報であって、前記校正対象の測定値が正常である値の範囲である許容範囲を示す情報である許容範囲情報が示す正常である値の範囲に対する、前記受付ステップで受け付けた測定値の分布位置を判断する分布位置判断ステップと、前記分布位置判断ステップによる判断結果に応じて、前記校正対象についての最適修正限界または最適点検間隔の少なくとも一方を算出する算出ステップと、前記算出ステップにより算出した算出結果を示す情報を出力する出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
また、このプログラムは、コンピュータに、校正対象の校正を支援する処理を実行させるためのプログラムであって、前記校正対象が取得した測定値を受け付ける受付ステップと、前記受付ステップにより受け付けた前記測定値の変化の傾向を判断する変化傾向判断ステップと、格納されている真値であって、検査対象についての真値を取得し、前記変化傾向判断ステップによる判断結果に応じて、校正の目標値を決定する目標値決定ステップと、前記目標値決定ステップが決定した目標値を出力する目標値出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
また、上記実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段(情報送信部など)は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
また、上記実施の形態では、校正支援装置がスタンドアロンである場合について説明したが、校正支援装置は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、画面を出力したりすることになる。