JP5240239B2 - 冷凍サイクル装置の室外機 - Google Patents
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また、複数のファンの通風抵抗や送風能力を考慮して、ファンのそれぞれの風量を同一または異なるようにし、ファンの合計電力を低減できる冷凍サイクル装置の室外機が得られる効果がある。
以下、本発明の実施の形態1について説明する。図1は冷凍サイクル装置として例えば空気調和機の室外機を示し、図1(a)は吹出口側から見た斜視図、図1(b)は上面から見た構成図である。ここでは、例えば空気調和機の室外機として説明するが、他の冷凍サイクル装置、例えば給湯器用の室外機も同様の構成である。
図において、9は吹出口、9aはファングリル、30は空気調和機の室外機本体である。この室外機本体30は、複数のファン例えば2個のファン5が鉛直方向に並設される構成であり、吹出口9となる開口は、安全のためにファングリル9aで覆われている。室外機本体30は、2つの側面30a、30c、前面30b、背面30d、上面30e、底面30fで構成され、側面30a、30c、及び背面30dは外部の空気を吸い込む開口を有し、前面30bは外部に空気を吹出す吹出口9となる開口を有する。内部はセパレータ3によってファン5が設置されている送風室1と圧縮機等が設置されている機械室2に分けられている。側面30aと背面30dの内側には熱交換器10がL字状に設けられている。ここで、2つのファンの回転軸22を含む平面に略垂直な方向をX方向、ファン5の並設方向をY方向、ファン5の回転軸22の方向をZ方向とする。2つのファンの回転軸22を含む平面は、Y−Z平面で表される。図1(b)における矢印は、空気の吸い込み方向及び吹出し方向を示している。図のように、空気調和機本体30内に2つのファン5が鉛直方向に並んで設けられる場合、X方向は水平方向に伸び、Y方向は鉛直方向に伸び、室内機本体30の奥行きの方向がZ方向となる。また例えば、空気調和機本体30内に2つのファン5が水平方向に並んで設けられる場合には、X方向は鉛直方向に伸び、Y方向は水平方向に伸びる。
圧縮機11で圧縮されて高温高圧になった冷媒は、熱交換器10に流入してファン5で送られた空気と熱交換した後、減圧手段32で減圧され、熱交換器33に流入する。熱交換器33ではファン34で送られた室内空気と熱交換して、室内を冷房又は除湿し、圧縮機11に循環する。各機器の制御を行う制御基板は基板箱14に格納される。ここで制御信号線は図示を省略する。
送風室1には回転軸22に固定されるボス27の周りに複数、例えば3枚の翼4が取り付けられたプロペラファン5があり、背面にあるファンモータ6で回転駆動される。プロペラファン5(以下、単にファンと記す)の半径方向外側には、吹出口9の外周を囲むようにベルマウス7が室外機の正面パネル8と一体または別体として取り付けられる。このベルマウス7は吸込み側と吹出し側を区切って吹出口9近傍の風路を構成する。また、室外機の外側からベルマウス7を覆うようにファングリル9が正面パネル8に取り付けられている。ファン5の吸込み側には熱交換器10が側面30aと背面30dにかけて略L字状に設けられている。この熱交換器10は、複数のフィンが、フィンの面が略平行になるように並設され、その並設方向にフィンを貫通する伝熱管で構成され、伝熱管内を冷媒が循環する。伝熱管が室外機の側面30aと背面30dにかけて略L字状に伸び、図4に示すようにY方向に複数段の伝熱管がフィンを貫通するように構成される。
Y方向に2つのファン5a、5bが設けられ、さらにファン5a、5bのそれぞれに対応する吹出口9の外周を囲むようにベルマウス7a、7bが設けられる。ベルマウス7a、7bによって吹出口9の近傍の風路が構成される。ファン5a、5bの背面にはファン5a、5bを駆動するファンモータ6a、6bが設けられ、モータ6a、6bの回転軸22a、22bにファン5が固定される。
背面30dから熱交換器10を通過して室外機本体30の内部に流入した空気は、2つのどちらかのファン5a、5bを通過し、ファン5a、5bで昇圧されてベルマウス7a、7bで仕切られた吹出口9を通り、室外機本体30の外に排出される。図8に示すように、2つのファン5a、5bの間の間隙40に向かって流入した空気18は、ファン5a、5bのどちらかに吸い込まれる前に、2つのベルマウス7a、7bの間を通り抜けて正面パネル8に衝突する。そして、衝突した気流は逆流して鉛直方向に軸をもつ渦19に発達し、ファン5a、5bの上流側に停滞する。発生した渦19はエネルギー損失となるだけではなく、ファン5a、5bに流入する気流の障害となるため、室外機本体30を通過する風量の低下を招く。また、乱れた流れがファン5a、5bを構成する翼表面の圧力振動を大きくして騒音も大きくなる。
このようにファン5a、5bの間に仕切り板15を設けたことによって、ファン5a、5bの間に渦や乱れが生じるのを防止できる。このため、風量の低下を防止でき、ファン電力を低減できる。さらに流れの乱れによる翼表面の圧力振動の増加を防止でき、騒音を低減できる。
このように、上流側先端16aと熱交換器10の下流端10aとの間に空間によって、領域Kでは両方のファン5a、5bの吸い込み力が作用して気流の動力を確保することができ、上流側先端16aで分流された空気が側面部15c、15dによってファン5a、5bに導かれる。
また、側面部15c、15dは、直線でなくてもよく、外側に凸状や凹状の曲線であってもよい。また、凸状と凹状とを組み合わせた波状を成していてもよい。
図11は本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の室外機本体30の内部を示し、熱交換器10を取り除いて示す斜視図である。本実施の形態でも実施の形態1と同様、上下2つのベルマウス7a、7b間の正面パネル8に、略三角柱形状の仕切り板15を設ける。図12は、図11のXII−XII線における断面図である。図において、実施の形態1と同一符号は、同一または相当部分を示す。仕切り板15の断面形状は、上流側先端16aを頂点とし、2つの下流側底部16b、16cを接続して底辺15eとし、2つの側面部15c、15dを二辺とする略三角形を成す。さらに、上流側先端16aはX方向に伸びるように設けている。実施の形態1と同様、仕切り板15を設けることで、ベルマウス7a、7bの間に発生する渦や気流の乱れを防止し、風量が低減するのを防止できる。このため、ファンの合計電力を低減できる効果がある。
ファンの電力(仕事)は、効率を1とすると、ファンの昇圧(△P)×風量(Q)で表わされる。室外機本体30の動作時には、搭載されたファンの昇圧と風路の圧力損失(抵抗)は釣り合っている。即ち、ファンの昇圧(△P)は室外機本体30の風路の圧力損失(△PD)と言い換えることができる。風路の圧力損失(△PD)とは、風路の途中に配置されている熱交換器10、セパレータ3、ベルマウス7、ファングリルなどを通過するために消費するエネルギー損失を表し、文献によると風速(V)の2乗に比例する。ここで、文献は、例えば初級標準テキスト 冷凍空調技術 日本冷凍空調学会 第267頁である。また、風速(V)=風量(Q)/面積(S)であるため、ファンの電力は以下のように表される。
=風路の圧力損失(ΔPD)×風量(Q)
∝(風速(V))**2×風量(Q)
∝(風量(Q)/面積(S))**2×風量(Q)
∝(風量(Q))**3
上記のことからファンの電力は風量(Q)の3乗に比例する。今、2つのファン5a、5bを搭載した室外機本体30で、ファン5a、ファン5bの電力をそれぞれW1、W2、通過風量をQ1、Q2とすると、ファン全体の電力WはW1+W2となり、風量QはQ1+Q2となる。
以下の式1は電力Wを示す。
図15は本発明の実施の形態3に係る冷凍サイクル装置の室外機本体30の縦断面を示す構成図である。本実施の形態では、室外機本体30に搭載された2つの異なるファン径を有するファン5a、5bで、例えば24a<24bとし、上側に配置するファン5aの径24aが、下側に配置するファン5bの径24bに比べて小さい。このように室外機本体30に複数のファンを搭載する場合、ファンの大きさは全て同じであるとは限らない。例えば上側のファン径24aを、下側のファン径24bに比べて小さい構成とすれば、上側のファンを軽くし、重心を下げて運転時の振動を抑制することができる。また、室外機本体30内で、ファンモータや圧縮機を動作させる基板を格納した基板箱14を配置するスペースによっては、複数のファンを全て同じ大きさにできない場合がある。
なお、図15の構成例とは逆に下側のファン5bのファン径が上側のファン5aのファン径よりも小さい場合は、仕切り板15の上流側先端16aをファン5bに近い位置に偏って配置するように、上下を逆に構成すれば同様の効果が得られる。
ここで、送風能力は、ファン径、翼の面積、翼枚数等で決定され、送風能力が異なるファンとは、上記のようにファン径が異なるファンを備えた場合の他に、翼面積、翼枚数などが異なると、送風能力が異なる。例えば、翼の面積が異なる場合は(D1/D2)の2乗を面積比として考え、上記と同様にして面積が大きいファンに風量を多く流すようにして全体の電力を抑制することができる。
例えば、通風抵抗の大きいファンの送風能力が、通風抵抗の小さいファンの送風能力よりも大きい場合には、2つのファン5a、5bの通風抵抗から考慮した風量差と送風能力から考慮した風量差とが打ち消しあうことになる。このような場合には、長手方向(X方向)に垂直な断面で、上流側先端16aを2つのファン5a、5bの回転軸22a、22bを結ぶ線分の中点23上に配置することで、ファンの合計電力を低減できることもある。
図17は本発明の実施の形態4に係る冷凍サイクル装置の室外機の送風室1を背面側30dから見た斜視図である。ここで、熱交換器を取り除いて示す。また、図18は送風室1の縦断面を示す構成図であり、図18(a)は図19の点線Cにおける断面を示し、図18(b)は図19の点線Dにおける断面を示す。ここで、ファン5a、5bは、実施の形態1と同様、同じ大きさのファンとし、それぞれの配置されている風路における通風抵抗もほぼ同一とする。
図20は本発明の実施の形態5に係る冷凍サイクル装置の室外機の送風室1を背面側30dから見た斜視図である。ここで、熱交換器、ファンを取り除き、正面パネル8、ベルマウス7a、7b、及び正面パネル8に固定された仕切り板15を示す。また、図21は仕切り板15を示す断面図である。図21において、回転軸28近傍における断面でのベルマウス7の位置も共に示しており、仕切り板15のZ方向の下流側底部16b、16cは正面パネル8に固着しているが、少なくともベルマウス上流端17よりも下流側まで伸びた構成であればよい。
風路の一部を構成する壁面に段差や急曲がり部があると、壁面上で渦を発生させてエネルギー損失や騒音増加の原因となる。これに対し、本実施の形態では仕切り板15の両側面部15c、15dを滑らかな曲線としているため、仕切り板15の上流側先端16aからベルマウス7a、7b側へ、より滑らかに気流を受け渡しできる。このため、ファン5a、5bに気流が吸い込まれやすくなり、その結果、エネルギー損失をさらに抑制し、ファン電力の増加を防止できる。さらにスムーズな流れとすることで騒音を低減できる室外機が得られる。
このように構成することで、抵抗係数の大きなファンの風量を、抵抗係数の小さなファンの風量よりも少なくでき、ファンの合計電力を低減できる。また、複数のファンで、送風能力が異なるときも同様であり、送風能力の小さいファンの風量を少なくすることで、ファンの合計電力を低減できる。
また、仕切り板15の断面形状は図23に示すような形状に限るものではない。図22に示した構成の仕切り板15の全体を、風量を小さくしたいファンの方にずらして正面パネル8に固着しても同様の効果を得ることができる。
また、ここでは、両側面部15c、15dを外側に凸状の曲線で形成したが、外側に凹状の曲線で形成してもよい。また、凸状と凹状を組み合わせた波状としてもよい。
図24は本発明の実施の形態6に係る冷凍サイクル装置の室外機の送風室1を示す縦断面図(図24(a))及び背面図(図24(b))である。ここで、図24(b)に示す背面図では、熱交換器、ファンを取り除き、正面パネル8に固定された仕切り板15を示す。
実施の形態1〜実施の形態6では、室外機から吹出す風向きが水平方向の装置について説明したが、例えばビルなどの大型機種に用いられるような、室外機から吹出す風向きが鉛直方向の室外機について説明する。この室外機の場合、複数のファン5a、5bはY方向に並んで配設されている。Z方向は回転軸22a、22bの方向であり、例えば鉛直方向である。また、X方向は、回転軸22a、22bを含む平面(Y−Z平面)に垂直な方向で、例えば水平方向である。
図25は冷凍サイクル装置の室外機本体38を示す斜視図、図26は室外機本体38を示す上面図、図27は2つのファン5a、5bの回転軸を含む平面(Y−Z平面)を示す断面構成図である。図において、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示す。なお、この室外機の構成は、複数例えば2つのファン5a、5bを有し、図26の点線で示すように熱交換器10がファン5a、5bのそれぞれをコの字形に取り囲むように配置される。このため、四方の側面38a、38b、38c、38dのうち、三方の側面38a、38b、38cに熱交換器10が配置され、他方の側面38dは閉じた壁面で構成される。ここで、ファン上部に取り付けられるファングリルの図示は省略している。
ファン5a、5bの間に流れる気流は、仕切り板15の上流側先端16aでファン5a側とファン5b側とに分流され、下流に流れる。このとき、上流側先端16aがファン5b側の近くに設けられているので、ファン5bよりもファン5aの方に多くの風量の空気が流れる。ファン5bはファン5aよりも通風抵抗が高く抵抗係数が大きい。抵抗係数の低いファン5aに多くの風量の空気が流れることで、風量が同一であるよりもファン5a、5bの合計電力は少なくてよい。このため、省エネルギー化を実現できる効果がある。
なお、鉛直方向から吹出す構成の室外機において、仕切り板15を実施の形態3〜6に示すように構成すれば、実施の形態3〜6で得られる効果と同様の効果を奏する。
2 機械室
3 セパレータ
4 翼
5、5a、5b ファン
6、6a、6b ファンモータ
7a、7b ベルマウス
8 正面パネル
9 吹出口
9a ファングリル
10 熱交換器
11 圧縮機
12 配管
13 基板
14 基板箱
15 仕切り板
15a、15b 端面
15c、15d 側面部
15e 底辺
16a 上流側先端
16b、16c 下流側底部
17a、17b ベルマウス上流端
21a、21b 翼上流端
22 ファン中心軸
27 ボス
30 室外機本体
32 減圧手段
33 熱交換器
38 室外機本体
41a、41b ベルマウス外周面
Claims (6)
- 室外機本体内に並設され、外部空気を吸い込み翼間を通過させ吹出口に導く気流を形成する少なくとも2つのファンと、前記ファンの各々の吹出口の外周を囲むように設けられ前記吹出口近傍の風路を構成するベルマウスと、前記ファンの吸込み側に設けられ吸い込まれる空気と熱交換する熱交換器と、前記室外機本体内で前記2つのファンの間に設けられ、長手方向が前記2つのファンの回転軸のそれぞれを含む平面に略垂直な方向に伸びる仕切り板と、を備え、
前記仕切り板の長手方向に垂直な断面は、
前記ファンを構成する前記翼の上流端と前記熱交換器との間に位置する上流側先端と、2つの前記ベルマウスのそれぞれの近傍に配置され前記ベルマウスの上流端よりも下流側に位置する2つの下流側底部と、前記上流側先端と前記下流側底部のそれぞれを接続する2つの側面部と、を有すると共に、前記2つの側面部間の距離が、前記下流側底部側よりも上流側で短い形状であって、
前記熱交換器を通過した空気が、前記仕切り板の前記上流側先端で分流され、前記側面部に沿って流れてそれぞれの前記ファンに導かれるように構成されているとともに、
前記仕切り板の長手方向に垂直な方向における前記2つの下流側底部間の長さが、前記仕切り板の長手方向において両端部が中央部よりも長く構成されていることを特徴とする冷凍サイクル装置の室外機。 - 前記仕切り板の長手方向に垂直な断面形状は、前記上流側先端を頂点とし、前記2つの下流側底部を接続して底辺とし、前記2つの側面部を二辺とする略三角形であることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル装置の室外機。
- 前記仕切り板の長手方向に垂直な断面形状で、前記上流側先端は、2つの前記ファンのうちの通風抵抗の大きい方のファンに近い位置に偏って配置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷凍サイクル装置の室外機。
- 前記仕切り板の長手方向に垂直な断面形状で、前記上流側先端は、2つの前記ファンのうちの送風能力の小さい方のファンに近い位置に偏って配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の冷凍サイクル装置の室外機。
- 前記仕切り板の前記2つの下流側底部のそれぞれは、対向する前記ベルマウスの外周面に沿って湾曲する形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷凍サイクル装置の室外機。
- 前記仕切り板の長手方向に垂直な断面形状で、前記2つの側面部のそれぞれは、曲線を成していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の冷凍サイクル装置の室外機。
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