JP5240136B2 - 電子部品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波デバイスなどとして利用可能な電子部品およびその製造方法に関する。
近年において、携帯電話をはじめとする移動体通信機の市場が拡大し、通信サービスが高機能化している。これにともなって、高周波用の電子部品および電子部品モジュールは一層小型化される傾向にある。
高周波用の電子部品の例として、温度変化による静電気の発生が少なく、電荷が発生しても速やかに自己中和できるタンタル酸リチウム単結晶を圧電基板として用いた弾性表面波フィルタが開示されている(特許文献1)。
また、実装基板母材上に複数の弾性表面波チップを配置した弾性表面波デバイス(特許文献2)、封止樹脂の帯電防止効果を損なうことなく静電気による焦電破壊を防止することができる表面実装型SAWデバイス(特許文献3)などが開示されている。
特開2008−199635 特開2006−345118 特開2007−96526
ところで、電子部品の小型化にともなって、基板の表面に形成される導電性パターンの間隔が狭くなり、基板表面の絶縁性の劣化に起因する損失が無視できなくなってきている。
一般に、高周波デバイスは、抵抗率が例えば1012Ωcm程度に高い絶縁性の基板上に形成されることが多い。その理由の1つに、抵抗率が高いほど高周波信号の渦電流損失が少ないことが挙げられる。しかし、高周波デバイスを形成するプロセスにおいては、基板表面が様々な薬品、イオン、またはラジカルに曝されて表面の絶縁性が劣化することがある。
しかし、特許文献1〜3の高周波デバイスにおいては、圧電基板の表面に電極薄膜や配線パターンなどを形成して弾性表面波チップを形成するので、その製造プロセス中において、圧電基板の表面が薬品やラジカルなどに曝されて絶縁性が劣化するおそれがある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、基板を製造プロセス中に使われる薬品やラジカルなどから護って絶縁性の劣化を抑制した電子部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
ここで述べる実施形態において、電子部品は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の表面に形成され、TEOS−CVD法を用いて成膜された、表面抵抗率が40KΩ/□以上であるSiO2膜と、前記セラミックス基板上に形成された導電性構造体と、を備える。
本発明によると、基板を製造プロセス中に使われる薬品やラジカルなどから護って絶縁性の劣化を抑制することができる。
本実施形態に係る高周波フィルタの斜視図である。 図1に示す高周波フィルタの等価回路である。 図1に示す高周波フィルタのA−A線矢視断面した構造の例を示す図である。 TEOS−CVD法による成膜装置の例を示す図である。 TEOS−CVD法による成膜メカニズムを説明する図である。 図1に示す高周波フィルタの特性を示す図である。 図1に示す高周波フィルタの表面抵抗率に対する通過損失を示す図である。 本実施形態に係る高周波フィルタの製造方法の例を示す図である。 本実施形態に係る高周波フィルタの製造方法の例を示す図である。 本実施形態に係る高周波フィルタの製造方法の例を示す図である。 通信モジュールの構成の例を示す図である。 通信装置の構成の例を示す図である。
〔帯域通過フィルタ〕
本発明者らは、高周波デバイスの基板の表面の絶縁性の劣化が高周波デバイスの損失に与える悪影響について検討した。その検討に際して、基板の表面に形成される導電性構造体として、図1に示すように分布定数型の帯域通過フィルタ素子X1を用いた。つまり、図1には、基板11の表面に帯域通過フィルタ素子X1が形成された電子部品である高周波フィルタ3が示されている。図2には高周波フィルタ3の等価回路が示されている。
すなわち、図1において、高周波フィルタ3は、基板(配線基板)11上に形成された帯域通過フィルタ素子X1を備える。基板11の表面には、TEOS(Tetraethoxysilane)−CVD(Chemical-Vape-Deposition)法を用いて成膜されたSiO2膜である酸化膜12が形成されている。酸化膜12が形成された基板11は、その表面抵抗率(surface resistivity)が40KΩ/□(40KΩ/cm2 )以上である。
基板11は、誘電率が4以上のセラミック基板であり、本実施形態ではLTCC( Low Temperature Co-fired Ceramics)基板である。基板11は、内層金属配線パターンおよびビアを有する。
帯域通過フィルタ素子X1を形成する工程(プロセス)中に、犠牲層形成工程および犠牲層除去工程が含まれている。
図1に示されるように、帯域通過フィルタ素子X1は、入力端21a、出力端21b、Kインバータ22a〜22d、および可変キャパシタ23a〜23cなどを備える。入力端21aから出力端21bに至る線路SRが設けられている。
図2をも参照して、各可変キャパシタ23a〜23cおよびその近辺の線路SRによって、それぞれ共振器RN1〜3が形成される。各共振器RN1〜3における線路SRの長さは、例えば通過帯域の中心波長λの2分の1の整数倍に設定される。各共振器RN1〜3において、可変キャパシタ23a〜23cの静電容量が可変されることによって共振周波数が可変される。
Kインバータ22a〜22dは、インピーダンス変換を行って各共振器RN1〜3の間の整合を行う。Kインバータ22a〜22dにより、入力端21a、出力端21b、および各共振器RN1〜3において、高周波信号が反射することなく、インピーダンス整合が行われて伝達される。
なお、このような帯域通過フィルタ素子X1それ自体の構成については、特開2008−278147を参照することが可能である。
図3には、高周波フィルタ3の一部を構成する可変キャパシタ23bの構造の例が、断面図として示されている。
図3において、高周波フィルタ3は、多層の内部配線を有するLTCCウエハからなる基板11上に形成されている。
基板11は、複数層の絶縁層11a,11a…を互いに接合することにより形成されている。図3に示す例では、絶縁層11aは3層である。各絶縁層11aには、一方の主面から他方の主面に至るように貫通孔が形成され、その貫通孔内に導電部を備えたビア11bが形成されている。また、絶縁層11aにおける層間には、配線パターン11cが内部配線として形成されている。配線パターン11cの一部が、グランド接続されたグランド層11dとなっている。グランド層11dは、絶縁層31aによる所定の間隙を介して線路SRと対向する。
また、配線パターン11cの相互間、配線パターン11cとパッド部38a〜dとの間、および、配線パターン11cと線路SRとの間は、必要な箇所がビア11bによって接続されている。場合によっては、配線パターン11cと線路SRとの間をビア31bによって接続してもよい。絶縁層31aは、LTCC以外のセラミクス、ガラス、またはその他の誘電体で形成することができる。
基板11の表側の表面には酸化膜12が形成されている。酸化膜12は、上に述べたように、TEOS−CVD法を用いて成膜されたSiO2膜である。酸化膜12の形成方法およびこれによる帯域通過フィルタの特性については後で説明する。
基板11の酸化膜12の上に、線路SR、駆動電極35a,35b、アンカー部37a,37bが形成され、裏側の表面にパッド部38a〜eが形成されている。
駆動電極35a,35bおよびアンカー部37a,37bは、基板31の内部配線およびビア31bなどを経由して、パッド部38a〜eなどのいずれかに電気的に接続されている。駆動電極35a,35bの表面に誘電体膜を形成してもよい。
アンカー部37a,37bにより支持されて、可変電極33が設けられている。可変電極33は、その中央部の厚肉の可動キャパシタ電極33a、およびその両側の薄肉のバネ電極33b,33bを有する。バネ電極33b,33bは、弾性変形可能な低抵抗金属材料、例えばAu、Cu、Alなどで形成される。
これら、可変電極33、駆動電極35a,35b、およびアンカー部37a,37bなどによって、可変キャパシタ23bが形成される。つまり、線路SRの上面と可動キャパシタ電極33aの下面との間は、自由状態で所定の間隙を有し、それに応じた静電容量Cgを有する。間隙の大きさは、例えば0.1〜10μm程度である。
なお、線路SRの表面に誘電体ドットを設けて線路SRと可動キャパシタ電極33aとの間の静電容量Cgが増大させてもよい。
また、基板11の上側の表面において、線路SRおよび可変電極33などを含む帯域通過フィルタ素子X1の全体をパッケージング部材によって覆い、これによって帯域通過フィルタ素子X1の全体を封止してもよい。
このように構成された高周波フィルタ3は、パッド部38a〜eを利用して図示しないプリント基板などの表面に半田付けすることができ、これによって表面実装を行うことが可能である。
パッド部38a〜eなどを介して駆動電極35a,35bに制御電圧Vbを印加することにより、駆動電極35a,35bとバネ電極33b,33bとの間に静電引力が発生する。制御電圧Vbの大きさつまり静電引力の大きさに応じて、バネ電極33b,33bが撓み、間隙の大きさが変化する。間隙の大きさの変化に応じて、線路SRの表面と可動キャパシタ電極33aとの間の静電容量Cgが変化する。これに応じて、共振器RNにおける共振周波数が変化する。制御電圧Vbを調整することによって、通過帯域の中心周波数(中心波長)を調整することができる。
次に、酸化膜12の成膜方法について説明する。
図4には平行平板タイプのPECVD(Plasma-Enhanced-Chemical-Vape-Deposition) 装置100の概略が示されている。
図4において、ハウジング101の内部のチャンバSCは、真空ポンプによって排気されて減圧され、真空に近い状態となっている。チャンバSCに配置された支持台102には基板11が載置されている。基板11の上方に、流入口105に接続されたシャワーノズル104が配置される。シャワーノズル104の上方にシールド103が配置される。シャワーノズル104には、マッチングボックス112を介して、高周波電源111による高周波電力(RF Power)が供給される。支持台102には、マッチングボックス114を介して、低周波電源113による電力(LF Power)が供給される。
流入口105からチャンバSC内にTEOSによる原料ガスを流し、プラズマPMを生成することにより、原料ガスの分子(原料分子)を分解し、基板11上に薄膜である酸化膜12を堆積する。まずは、原料分子と電子との衝突により、原料分子のイオン化、電子付着、励起、解離が起こる。この過程は、通常、一次反応過程と呼ばれる。一次反応過程で生成された化学種は、ガス分子やラジカルなどと衝突しながら、基板11の表面に輸送される。基板11に到着するまでの間に、一部の化学種は気相での再結合などの二次反応過程を経験する。二次反応を経験した後の化学種のうち、化学的に活性を有しかつ基板11の表面に到着できるものは堆積に寄与することができる。反応性に富む一次反応の生成物であるほど、気相中で再結合し安定な分子に変換される確率が高い。より多い一次反応の生成物を成膜に寄与させるため、基板11の表面まで輸送される間に衝突が起こらないように、チャンバSC内の圧力を減少させる。
基板11の表面に到着した化学種は、一般的に、安定なサイトに吸着されるか、他の吸着や表面と衝突して、反応して結合するまで表面を泳動(マイグレーション)する。基板11の温度の上昇や表面におけるイオン衝突などによってマイグレーションを支援することにより、より安定な場所や状態で結合を形成する。このため、堆積される膜の特性は良くなる。表面におけるイオン衝突を増やすのは、高周波電力を増やすことが有効である。また、高周波電力の増加は基板11の温度の上昇にも寄与すると考えられる。基板11の温度が低い状態で緻密な膜を形成したい場合には、高周波電力を増やす必要があると考えられる。
図5には、TEOSを原料とするTEOS−PECVDの成膜メカニズムが示されている。化学式を以下に示す。
Si (OC2H5) 4 → SiO2 + by-products
基本的には、2つの酸素原子が解離することによって、SiO2が生成される。TEOSは通常では液体であるので、加熱してその蒸気をチャンバSCに供給する。O2を加えることによって、成膜レートを上昇することができる。TEOS−PECVD法は、ステップカバレージ性、埋め込み性に優れる。また、O3を添加することによるTEOS−SiO2の成膜もできる。O3を添加した場合は、より良いステップカバレージ性、埋め込み性が得られる。
次に、帯域通過フィルタにおける通過損失の基板表面抵抗率への依存性について説明する。
解析には、上に述べた高周波フィルタ3の3次元モデルを用いた。基板11の表面抵抗率(シート抵抗率)を数値化するために、基板11の表面に表面抵抗率の定義ができる無限に薄い層を付加して3次元電磁界解析を行い、通過損失の基板表面抵抗率への依存性を検討した。
図6には、表面抵抗率を変化させた場合の、通過損失の周波数特性の違いが示されている。図7には、表面抵抗率を変化させた場合の中心周波数の通過損失の変化が示されている。
図6において、例えば、曲線CV1は理想状態(表面抵抗率が無限大)の場合の通過損失であり、曲線CV2,3は、表面抵抗率が20KΩ/□、8KΩ/□の場合の通過損失である。
図7において、表面抵抗率が低いときには通過損失が大きく、表面抵抗率が大きくなる程損失が少なくなることが示されている。表面抵抗率が40KΩ/□になると、通過損失はかなり小さくなり、40KΩ/□以上になっても通過損失は余り変わらないことが分かる。つまり、通過損失は表面抵抗率が40KΩ/□以上になると飽和することが分かる。
このような解析結果から、帯域通過フィルタのような高周波デバイスでは、基板11の内部の抵抗だけではなく、基板11の表面抵抗率も高くすることが必要であることが分かる。
高周波デバイスの場合は、入力された高周波信号によって、信号線の周辺に電磁界が発生し、周辺部にある導電性のある構造体に渦電流を引き起こす。これにより、引き起こした渦電流を介して、エネルギーの一部が熱となって失われ、損失となる。基板の表面の絶縁性が劣化した場合に、信号線の周辺の基板の表面を流れる渦電流が増え、損失の増大に繋がると考えることができる。
基板の表面の絶縁性が劣化する原因について説明する。なお、ここでは上に述べた帯域通過フィルタを例として述べる。しかし、基板の表面の絶縁性の必要性、および絶縁性の劣化を防ぐ手段に関しては、例としてあげていない他の基板および高周波デバイスにも適用可能である。
上に例示した高周波フィルタ3では、内層配線を有するセラミクス配線基板を用いて、フィルタ構造の一部例えば配線部やグランドの一部を基板内に形成し、他の構造体を基板の表面に形成している。セラミクス配線基板は、配線、ビア、および一部の構造体を、基板の内部に形成できる利点がある。これらの利点と合わせて、セラミクス配線基板をウエハとして使用できるよう、セラミクス配線基板の技術を高度化することが考えられる。その場合に、薄膜技術やフォトリソグラフィ技術などの半導体製造技術によって、バッチ製造プロセスで基板の表面にも構造体やMEMS可変素子を形成することが可能になる。そして、高周波デバイスの構造を、2次元空間から3次元空間に広げることができ、様々な可変機能をも備えることになる。
さらに、材料の組成を選定することにより、高い誘電率をもたらすことも可能であり、分布定数型の高周波デバイスの小型化、低損失化に好適である。セラミクス配線基板の材料の中で、LTCCは1000°C以下の温度で焼成することができるので、Ag、Cuなどの低融点材料または高導電率を持つ金属材料を内層金属材料として利用することができる。これにより、W(タングステン)などの高融点金属に比べて、導体損が減る利点もある。
上述したように、LTCCなどのセラミクスウエハは、半導体製造プロセスを通す過程で様々な腐食問題を発生する。高誘電率を持つほとんどのセラミクス材料は、複合金属酸化物であって、製造プロセス中に使用している様々な薬品に腐食される。それにより、一部の金属元素が複合金属酸化物の骨格構造から析出され、骨格構造が空洞化されることがある。空洞化された骨格構造に、水や金属電解質など導電性が引き起こす可能性のある物質が付着され、基板の表面の絶縁性を劣化させることがある。
セラミクス基板の表面は、研磨した場合であっても、単結晶材料と違って微小な凸凹を有する。製造プロセス中において、加速されたイオンにたたかれた場合は、その凸凹がさらに拡大される。加速されたイオンやラジカルに曝された場合、表面の分子構造に欠陥が生じることによって、薬品に腐食され易くなることも考えられる。
実際の試作により、表面粗さが悪い程、耐薬品性が落ちることが確認された。また、このような凸凹のある、または骨格構造が空洞化された表層を有する基板に、蒸着やスパッタリングなどの方法で形成した金属膜が凹凸の底部や空洞化された骨格に入ることがある。これにより、金属層の不要な箇所において、金属膜が十分に除去できずに表面に残った場合も、表面の絶縁性の劣化に繋がる。
このように、製造プロセス(製造工程)に起因する基板の表面の絶縁抵抗の劣化について、様々な要因が存在する。製造プロセスにおいて、基板の表面の絶縁性の劣化によって余分な高周波損失を招くことが課題である。製造プロセスにおける基板の表面の絶縁性劣化の原因についてまとめると次のようになる。
(1)基板の表面がウエットプロセス中に用いる薬品に腐食される。これにより、基板の表面の骨格構造が空洞化される。そして、基板の表面に水、電化質、または金属イオンなど導電性に繋がる物質が吸着し易くなる。
(2)基板の表面がドライプロセス中に用いる加速された各種のイオンやラジカルにエッチングされる。これにより、基板の表面が粗くなり、基板の表面に水、電化質、または金属イオンなど導電性に繋がる物質が吸着し易くなる。
(3)製造プロセス中に使用している様々な薬品に腐食され、一部の金属元素が表面の複合金属酸化物の骨格構造から析出され、表面が導電性になってしまう。
(4)基板の表面に形成された導電性膜の不要な箇所において、導電性膜の除去が不十分である。つまり、基板の表面に導電性物質の残渣がある。これにより、基板の表面が腐食され、粗くなった表面に形成された導電性膜が除去し難くなり、残渣として残り易い傾向がある。
(5)以上の要因の複合現象や相乗現象がある。
このように、基板の表面の劣化によって、余分な渦電流損失を生じる弊害がある。災厄の場合は基板の表面の導体間のショートを引き起こす可能性もある。
このような課題に対して、上に述べた高周波フィルタ3においては、基板11の表面にTEOS−CVD法を用いて成膜されたSiO2膜である酸化膜12を形成する。そして、その表面抵抗率を40KΩ/□以上とする。
これによる効果は次のとおりである。
(1)酸化膜12は耐薬品性が良く、かつ、加速イオンやラジカルに強い保護膜となる。酸化膜12によって、製造プロセス中において、基板11の表面が薬品や加速されたイオンまたはラジカルに曝されることがなくなる。このように、酸化膜12によって基板11が保護され、製造プロセスに起因する絶縁性の劣化を防止または抑制することができる。基板11の表面の絶縁抵抗の劣化が阻止されることにより、余分な高周波損失を招くことがなくなる。また、TEOS−CVD酸化膜はセラミクスとの相性がよい。酸化膜12の上に導電性構造体を形成すると密着性が良好であり、構造が丈夫になる。
(2)酸化膜12によって表面抵抗率を40KΩ/□以上にすることにより、帯域通過フィルタにおける通過損失が問題とならない程度に抑えられる。なお、解析は分布定数型の帯域通過フィルタ素子X1に対して行ったが、通過損失が飽和する傾向および飽和になり始めるしき値は一般性があると考えられる。
(3)酸化膜12は、絶縁性が良いので、除去する必要がない。したがって、高周波デバイスの製造プロセスが簡単化される。
次に、高周波フィルタ3の製造方法について説明する。
図8(A)に示すように、基板11の表面に、SiO2膜である酸化膜12を形成する。酸化膜12の表面抵抗率は40KΩ/□以上である。酸化膜12にビア用の貫通穴41をあける。
図8(B)に示すように、酸化膜12の表面にシード層42を形成する。シード層42として、例えばチタン−金(Ti−Au)を用いる。シード層42の上にレジスト43を形成し、金メッキによってアンカー部37a,37bおよび線路SRを形成する。
図8(C)に示すように、レジスト43およびシード層42を除去し、駆動電極35a,35bをスパッタにより形成する。駆動電極35a,35bとして、例えばチタン−金を用いる。
図9(A)に示すように、酸化膜12、駆動電極35a,35b、およびアンカー部37a,37bの表面に、シード層44を形成する。シード層44として、例えばモリブデン−銅(Mo−Cu)を用いる。シード層44の上に1回目の犠牲層用のレジスト(レジストパターン)45を形成する。そして、犠牲層46を形成する。犠牲層46として銅を用いる。
図9(B)に示すように、2回目の犠牲層用のレジストパターンを形成し、2回目の犠牲層47を形成する。犠牲層47として銅を用いる。これによって犠牲層46,47を平坦化する。
図9(C)に示すように、レジスト45を除去し、バネ電極33bを形成する。バネ電極33b,33bの形成のために、スパッタを行ってパターン形成する。パターン形成に際して、リフトオフまたはミリングなどを用いることができる。
図10(A)に示すように、レジスト(レジストパターン)48を形成し、バネ電極33bを厚くするための可動キャパシタ電極33aを形成し、アンカー部37a,37bを金メッキにより厚くする。
図10(B)に示すように、レジスト48を除去する。
図10(C)に示すように、犠牲層46,47およびシード層44を除去する。このとき、シード層44としてモリブデン−銅を用いたことにより、犠牲層46,47の除去と同時にシード層44を除去することができる。つまり、シード層44のモリブデンおよび銅が、銅である犠牲層46,47のエッチャントに溶解する。なお、モリブデンは密着性に優れるため、モリブデンのシード層44を設けることにより構造が丈夫になる。
これにより、可変キャパシタ23bの部分が完成する。同様にして、これと同時に、または別の製造プロセスにより、高周波フィルタ3を製造することができる。
高周波フィルタ3の製造プロセスにおいて、酸化膜12によって基板11が保護されており、基板11の表面抵抗率の劣化がない。また、高周波フィルタ3の使用による表面抵抗率の経年変化もない。したがって、高周波フィルタ3の高周波損失の低下を防ぐことができる。
なお、基板11の表面抵抗率は、種々の公知の方法で計測することができる。基板11に酸化膜12を成膜した後のタイミングで計測することができる。量産においては抜き取りで計測してもよい。また、酸化膜12の成膜プロセスが正常に行われている場合には計測を省略してもよい。
本実施形態に示したTEOS−CVD酸化膜による基板11の腐食対策は、セラミックス基板のみではなく、各種のガラス基板、石英基板、高抵抗Si基板、または樹脂基板など、種々の高抵抗基板に適用することができる。また、SOG(spin-on-glass)表面にも適用することができる。
上に述べた実施形態において、酸化膜12の形成のためにTEOSガスをチャンバSCに供給したが、このときに、適量の酸素を供給するとよい。
上に述べた実施形態において、酸化膜12の形成においてプラズマCVDを例に説明したが、熱CVD、その他のCVDであってもよい。TEOS−CVD法による酸化膜12は、低温で形成することができ、しかも膜質がよい。基板11の熱膨張率は一般に高いので、低温で高質の酸化膜12を形成できることは有利である。
また、基板11としてLTCC基板を用いることにより、低温により、例えば200〜250°C程度により形成することができる。
上に述べた実施形態において、導電性構造体が帯域通過フィルタ素子X1である場合について説明したが、これ以外の高周波フィルタ素子、またはキャパシタ素子、可変キャパシタ素子、その他の種々の導電性構造体に適用することができる。導電性構造体は、MEMS技術を用いて形成することができるが、これに限ることなく、種々の技術を用いて形成することができる。
〔通信モジュール〕
図11において、通信モジュールTMは、送信フィルタ51および受信フィルタ52からなる。送信フィルタ51および受信フィルタ52として、上に述べた高周波フィルタ3、またはその他の高周波フィルタを適用することが可能である。
高周波フィルタが周波数固定型である場合には、複数のそれらフィルタの中からその時々の通信に合ったフィルタが選択される。周波数可変型である場合には、各フィルタに制御電圧Vbが与えられ、その時々の通信に合うように、中心周波数、減衰周波数、および通過損失特性が決定される。したがって、この場合には、送信フィルタ52または受信フィルタ53におけるフィルタの数を減らすことができ、通信装置TSの小型化を図ることができる。また、フィルタの数を減らすことによって回路が簡素化され、回路損失や回路ノイズなどを低減することが可能であり、通信モジュールTMの性能の向上を図ることが可能である。 なお、通信モジュールTMは、図11に示した以外の種々の構成とすることが可能である。
〔通信装置〕
上に述べた高周波フィルタ3は、携帯電話機、携帯端末機などの移動体通信装置、Base−station(基地局)装置、固定通信装置など、種々の通信装置に適用することができる。
図12において、通信装置TSは、制御処理部60、送信部61、送信フィルタ62、受信フィルタ63、受信部64、およびアンテナATなどを有する。
処理制御部60は、通信装置TSに必要なデジタル処理およびアナログ処理を行い、またユーザとの間のヒューマンインタフェ−スを行うなど、通信装置TSの全体を制御する。
送信部61は、変調などを行って高周波信号S11を出力する。高周波信号S11には、互いに異なる周波数帯域の信号が含まれる。
送信フィルタ62は、送信部61から出力される高周波信号S11に対し、処理制御部60により指定された周波数帯域のみを通過させるようフィルタリングを行う。送信フィルタ62からは、フィルタリングされた高周波信号S12が出力される。送信フィルタ62として、上に述べた高周波フィルタ3、またはその変形されたものが用いられる。
受信フィルタ63は、アンテナATで受信した高周波信号S13の中から、処理制御部60により指定された周波数帯域のみを通過させるようフィルタリングを行う。受信フィルタ63からは、フィルタリングされた高周波信号S14が出力される。受信フィルタ63として、上に述べた高周波フィルタ3、またはその変形されたものが用いられる。
受信部64は、受信フィルタ63から出力される高周波信号S14に対し、増幅および復調などを行い、得られた受信信号S15を処理制御部60に出力する。
アンテナATは、送信フィルタ62から出力される高周波信号S12を電波として空中に輻射し、また図示しない無線局などから送信された電波を受信する。
なお、上に述べた通信装置TSの構成において、フィルタは、送信フィルタ62および受信フィルタ63以外の回路素子として、例えば中間周波数用の帯域通過フィルタとして、設けられることがある。また、送信時と受信時とにおいて、アンテナAT、送信フィルタ62、または受信フィルタ63を切り換えるためのスイッチが必要に応じて設けられる。送信フィルタ62および受信フィルタ63として、上に述べた通信モジュールTMを用いることも可能である。
また、通信装置TSには、低ノイズ増幅器、パワー増幅器、デュプレクサ、AD変換器、DA変換器、周波数シンセサイザ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit ) 、DSP(Digital Signal Processor) 、電源装置などが必要に応じて設けられる。
通信装置TSが携帯電話機である場合には、通信方式に応じた構成とし、送信フィルタ62または受信フィルタ63についても通信方式に応じた周波数帯域が選択される。
上に述べた種々の実施形態および変形例において、基板11、酸化膜12、帯域通過フィルタ素子X1、高周波フィルタ3、通信モジュールTM、および通信装置TSの各部または全体の構成、構造、回路、形状、材質、個数、配置などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
3 高周波フィルタ(電子部品)
11 基板
12 酸化膜
46,47 犠牲層
X1 帯域通過フィルタ素子(導電性構造体、高周波フィルタ素子)
TM 通信モジュール(電子部品)
TS 通信装置

Claims (8)

  1. セラミックス基板と、
    前記セラミックス基板の表面に形成され、TEOS−CVD法を用いて成膜された、表面抵抗率が40KΩ/□以上であるSiO2膜と、
    前記セラミックス基板上に形成された導電性構造体と、を備える、
    電子部品。
  2. 前記セラミック基板は、LTCC基板である、
    請求項記載の電子部品。
  3. 前記セラミックス基板の誘電率は4以上である、
    請求項または記載の電子部品。
  4. 前記導電性構造体は高周波フィルタ素子である、
    請求項1ないしのいずれかに記載の電子部品。
  5. 前記導電性構造体はキャパシタである、
    請求項1ないしのいずれかに記載の電子部品。
  6. 請求項1ないしのいずれかに記載の電子部品を備えた通信モジュール。
  7. セラミックス基板の表面に、TEOS−CVD法を用いてSiO2膜を形成する工程と、
    表面にSiO2膜が形成された前記セラミックス基板に、MEMS技術を用いて導電性構造体を形成する工程と、
    を含む電子部品の製造方法。
  8. 前記導電性構造体を形成する工程中に犠牲層形成工程および犠牲層除去工程が含まれている、
    請求項記載の電子部品の製造方法。
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