JP5239798B2 - 連続鋳造用鋳型の振動方法 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造用鋳型の振動方法に関し、特に、鋳片表皮下の爪状凝固組織に起因する介在物性欠陥及び気泡性欠陥に敏感な鋼種の連続鋳造時に最適な鋳型振動方法に関するものである。
鋼の連続鋳造では、鋳型と凝固シェルとの焼き付きを防止するために、鋳型を周期的且つ連続的に鋳造方向に振動させている。この振動は「オシレーション」とも呼ばれており、この鋳型振動によって、連続鋳造鋳片の表面には凹状の、所謂、オシレーションマークが形成される。そして、極低炭素鋼の場合には、鋳型振動によって凝固初期の凝固シェルが溶鋼側に大きく曲がり、このオシレーションマーク直下の表層部に、所謂、爪状凝固組織が形成される。曲がった爪状凝固組織の内側に、溶鋼中の非金属介在物や気泡が捕捉され、スリバー疵やヘゲ疵といった薄鋼板製品の表面欠陥の原因にもなっている。
このため、このような欠陥感受性が高い極低炭素鋼では、鋳片表面を1〜6mm程度溶削手入れして爪状凝固組織を除去し、その後、熱間圧延するのが一般的であった。しかしながら、このような表面手入れは、生産性、歩留り、エネルギーを損なうことから、これら問題点を解決するべく、爪状凝固組織を浅くする方法が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、鋳型内溶鋼を、デンドライト凝固組織の鋳片厚み方向に対する傾斜角度が15°以上となるように、水平断面内で旋回流を形成させて電磁攪拌し、これにより、爪状凝固組織の深さが2mm以下に制御できることが開示されている。また、非特許文献1には、爪状凝固組織の深さはネガティブストリップ距離の関数として表されることを見出し、ネガティブストリップ距離を小さくすることにより、爪状凝固組織の深さを浅くできることが開示されている。また更に、非特許文献2には、鋳型壁面でのスラグリム(溶融したモールドパウダーが固化したもの)が形成しやすいモールドパウダーでは爪状凝固組織が深くなることを見出し、スラグリムの形成しにくいモールドパウダーを使用することで、爪状凝固組織の深さを浅くできることが開示されている。
また、爪状凝固組織の傾斜角度(鋳片表面と爪状凝固組織の成長方向とがなす角度)が大きくなると、つまり、爪状凝固組織が溶鋼側へ大きく反りだすと、溶鋼中に懸濁する非金属介在物や気泡が爪状凝固組織に捕捉されやすくなることも知られており、従って、爪状凝固組織の深さと同様に、爪状凝固組織の傾斜角度を小さくすることも、薄鋼板製品での表面欠陥を防止する上で重要である。
そこで、爪状凝固組織の傾斜角度に及ぼす影響因子の研究が行われている。例えば、非特許文献3には、鋳型振動が偏倚正弦波形であるときに偏倚正弦波形の正弦波形からのずれの指標である波形歪率λを減少させること、鋳型振動数を増加させること、爪状凝固組織底部の凝固シェル厚みを増大することにより、爪状凝固組織の傾斜角度が小さくなることが報告されている。
ここで、偏倚正弦波形について説明する。図8に、正弦波形及び偏倚正弦波形での鋳型の変位並びに鋳型の振動速度を比較して示す。図8において、Aで示す波形が正弦波形で、Bで示す波形が偏倚正弦波形であり、偏倚正弦波形では、鋳型振動の1サイクル中で鋳型が上昇した時の最大変位をとる時間が正弦波形の場合よりも後半にずれ、且つ、鋳型が下降した時の最大変位をとる時間が正弦波形の場合よりも前半にずれた波形となっている。この偏倚正弦波形の正弦波形とのずれは、偏倚正弦波形における1サイクル中で鋳型が上昇した時の最大変位をとる時間をTnon・sin、正弦波形における1サイクル中で鋳型が上昇した時の最大変位をとる時間をTsinとして、波形歪率λ(λ=(Tnon・sin−Tsin)×100/Tsin)で表示される。尚、図8に示す偏倚正弦波形では、最大変位をとる時間が正弦波形よりも後半にずれているが、正弦波形の場合よりも前半にずらし、且つ下降した時の最大変位をとる時間を正弦波形よりも後半にずらした波形とすることもできる。この場合には、波形歪率λは負の数値となる。この偏倚正弦波形は、例えば特許文献2に開示されている。
特開2007−21572号公報 特開昭60−261655号公報 伊藤等、CAMP-ISIJ、vol.45(2001).15 山内等、CAMP-ISIJ、vol.11(1998).49 Iron & Steel Tech、vol.9(2005)2.p49
非特許文献3には、偏倚正弦波形の波形歪率λ、鋳型振動数、凝固シェル厚みの爪状凝固組織の傾斜角度に及ぼす影響が報告されているが、これら因子の爪状凝固組織の傾斜角度に及ぼす影響度の寄与率や相互の関連が不明である。また、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2には、爪状凝固組織の傾斜角度を低減することについては開示されていない。即ち、上記従来技術では、効果的に爪状凝固組織の傾斜角度を軽減するための鋳型振動条件を見出すことは困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳造される鋼鋳片の爪状凝固組織の傾斜角度を算出する指標を新たに想定し、該指標に基いて鋳型振動条件を設定することによって、鋳型の振動波形が正弦波形または偏倚正弦波形の何れであっても、鋳片の爪状凝固組織の傾斜角度を軽減することのできる、連続鋳造用鋳型の振動方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る連続鋳造用鋳型の振動方法は、鋳型を正弦波形または偏倚正弦波形で振動させて鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型振動のネガティブストリップ時間帯における鋳型の下降速度と鋳片の引抜速度とから、下記の(1)式によって定義される特性値Zが、薄鋼板製品の表面品質上で問題のない値以下となるように、鋳型の振動条件を設定することを特徴とするものである。但し、(1)式において、Vm:鋳型下降速度(mm/sec)、Vc:鋳片引抜速度(mm/sec)、tn:ネガティブストリップ時間(sec)、to:ネガティブストリップ時間帯の開始時刻、Δt:時間刻み(=1/f/360、sec):t:時間(sec)である。
Figure 0005239798
本発明によれば、正弦波形及び偏倚正弦波形の如何に拘わらず、鋳型振動条件から鋳片の爪状凝固組織の傾斜角度を予測できるので、適切な鋳型振動条件の選定により爪状凝固組織の傾斜角度を小さくすることが可能となり、その結果、爪状凝固組織に起因する介在物性欠陥及び気泡性欠陥を未然に防止することができ、表面性状に優れた鋼鋳片つまり薄鋼板製品を安定して製造可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明者らは、鋼の連続鋳造鋳片表層部の爪状凝固組織に起因する介在物性欠陥及び気泡性欠陥を軽減することを目的に、爪状凝固組織の傾斜角度を小さくすることを検討した。
図1に、鋼鋳片表層部の爪状凝固組織の模式図を示す。図面の左側が鋳片の表面であり、オシレーションマークの直下に、鋳片表面から内側に曲がった爪状凝固組織が形成されている。本発明においては、鋳片表面と爪状凝固組織の成長方向とがなす角度θを爪状凝固組織の傾斜角度と定義している。尚、爪状凝固組織の深さは図中のDhで表され、爪状凝固組織の長さは図中のLで表され、オシレーションマークの深さは図中のDoで表される。従って、角度θは、「θ=tan-1(Dh/L)」で求めることができる。
先ず、連続鋳造機の鋳型振動について説明する。図2に、振幅をa(mm)、振動数をf(1/sec)とし、波形歪率λが正(λ>0)である偏倚正弦波形で鋳型を振動させたときの鋳型の変位及び速度を示す。この条件の偏倚正弦波形で鋳型を振動させると、鋳型の上昇速度の絶対値よりも下降速度の絶対値の方が大きくなり、且つ、下降している期間よりも上昇している期間の方が長くなるという特徴がある。正弦波形の場合には、鋳型の上昇速度の絶対値と下降速度の絶対値とは一致する。尚、波形歪率λが負(λ<0)の場合には、鋳型の下降速度及び上昇速度が上記と逆になる。つまり、鋳型の下降速度の絶対値よりも上昇速度の絶対値の方が大きくなり、且つ、上昇している期間よりも下降している期間の方が長くなる。本発明においては、波形歪率λが負(λ<0)である偏倚正弦波形であっても、当然採用することができる。また、波形歪率λがゼロの場合が正弦波形となる。鋳型の振動速度は鋳型の変位を微分することにより得られる。
図2に示すVcは鋳片引抜速度、Vmは鋳型の振動速度であり、鋳型振動の下降速度(Vm、単位:mm/sec)の方が鋳片引抜速度(Vc、単位:mm/sec)よりも速い期間がネガティブストリップ時間帯であり、1サイクルのうちでこの期間の時間をネガティブストリップ時間(tn、単位:sec)と呼び、一方、鋳型の下降速度が鋳片引抜速度(Vc)と同一かそれ未満の期間がポジティブストリップ時間帯であり、1サイクルのうちでこの期間の時間をポジティブストリップ時間(tp、単位:sec)と呼び、tn+tp=1/fとなる。尚、図2は偏倚正弦波形の例であるが、正弦波形の場合も同様に、ネガティブストリップ時間(tn)及びポジティブストリップ時間(tp)が定義される。
図3に、正弦波形或いは偏倚正弦波形で鋳型を振動させたときの連続鋳造用鋳型内の溶鋼湯面(「メニスカス」とも記す)近傍の模式図を示す。図3に示すように、連続鋳造時の鋳型内溶鋼湯面における凝固シェルの先端部は、鋳型から離れるように溶鋼側に曲がって形成され、この曲がった部位を爪状凝固組織と呼んでいる。この曲がった凝固シェルを溶鋼がオーバーフローして、オシレーションマークが形成される。メニスカス部の鋳型壁面にはスラグリムが形成されている。
このような鋳型内凝固現象において、爪状凝固組織の形状は、一般的には、溶鋼と溶融状態のモールドパウダーとの界面張力により決定される湯面形状に影響される。また、モールドパウダーの物性に応じて、メニスカス部鋳型壁に形成されるスラグリムの厚みが変化することから、爪状凝固組織に及ぼすモールドパウダーの影響として、従来、ネガティブストリップ時間帯で下降するときのスラグリムによる凝固シェル先端部の押し曲げ量に違いが生じ、これにより爪状凝固組織の形状が変化すると推察されていた。つまり、厚いスラグリムを形成するモールドパウダーでは、凝固シェルの曲がり量が大きくなると推察されている。尚、スラグリムは、鋳型に固着しており鋳型と同期して上下移動する。
換言すれば、スラグリムが厚く成長し、且つ、ネガティブストリップ距離が大きくなると、爪状凝固組織の傾斜角度θが大きくなると考えられていた。これは、スラグリムが幾何学的に凝固シェル先端部を押し込むことにより、爪状凝固組織の傾斜角度が大きくなるとの仮定に基づくものである。
尚、ネガティブストリップ距離とは、ネガティブストリップ時間帯に鋳型が凝固シェルに対して相対的に下降側に進む距離であり、下記の(2)式で求められる。つまり、鋳型の下降速度と凝固シェルの引抜速度との差分をネガティブストリップ時間で積分することで、ネガティブストリップ距離が求められる。但し、(2)式において、NSLはネガティブストリップ距離(mm)、toはネガティブストリップ時間帯の開始時刻、tnはネガティブストリップ時間(sec)である。
Figure 0005239798
上記解釈によれば、爪状凝固組織の深さ(Dh)と傾斜角度(θ)とは比例関係にあることになるが、図4に、これらの関係の調査結果を示すように、実際には比例関係にないことが分かった。
そこで、爪状凝固組織の傾斜角度(θ)と鋳型振動条件との関係を鋭意解析した。その結果、以下の事象が分かった。
爪状凝固組織が傾斜する力学的機構として、スラグリムの下降により、スラグリムと凝固シェルとの間に存在する溶融モールドパウダー中の圧力が上昇し、その圧力により爪状凝固組織が溶鋼側に倒れると考えた。また、このような機構を考えると、溶融モールドパウダー中の圧力によって生じる爪状凝固組織を押す力は、鋳型に固着しているスラグリムの下降速度と凝固シェル先端の下降速度との差によって生じる下向き加速度の積分値に比例すると考えることができる。
このようにして定義される相対加速度Aは下記の(3)式で表される。但し、(3)式において、Δtは時間刻み(=1/f/360、単位:sec)である。
Figure 0005239798
ネガティブストリップ時間帯に爪状凝固組織に作用する下向きの力の総和は、(3)式で示す下向きの相対加速度の積分値であり、下記の(1)式の特性値Zとして表される。但し、(1)式において、tは時間(sec)である。
Figure 0005239798
図5に、(1)式から求められる特性値Zと爪状凝固組織の傾斜角度(θ)との関係の調査結果を示す。図5からも明らかなように、特性値Zと爪状凝固組織の傾斜角度(θ)とは、極めて相関関係が強いことが分かる。
一方、図6に、偏倚正弦波形の波形歪率λと爪状凝固組織の傾斜角度(θ)との関係の調査結果を示す。図6に示すように、偏倚正弦波形の波形歪率λが20%を超える範囲では、非特許文献3で報告されるように、波形歪率λと傾斜角度(θ)との関係にはそれなりの相関が認められるが、波形歪率λが20%以下の範囲では、傾斜角度(θ)に及ぼす波形歪率λの影響はほとんど認めることができない。つまり、波形歪率λでは爪状凝固組織の傾斜角度(θ)を推定することはできない。
即ち、図5と図6とを対比すれば明らかなように、(1)式から求められる特性値Zを用いることで、偏倚正弦波形の波形歪率λ(−40〜+46%)に関わりなく、爪状凝固組織の傾斜角度(θ)を正確に予測できることが分かる。これは、特性値Zと爪状凝固組織の傾斜角度(θ)とが極めて強い比例関係にあるためである。波形歪率λがゼロのときは通常の正弦波形であることから、正弦波形の場合も特性値Zにより爪状凝固組織の傾斜角度(θ)を正確に予測することができる。
このように、爪状凝固組織の傾斜角度(θ)は、(1)式で定義される特性値Zで予測できることが確認されたので、本発明では、特性値Zを管理することで、鋳片の爪状凝固組織の傾斜角度(θ)を予測すると同時に、爪状凝固組織の傾斜角度(θ)を制御することとした。即ち、本発明は、鋳型の振動条件から(1)式によって定まる特性値Zが、経験的に薄鋼板製品での表面品質上で問題のない値以下となるように、鋳型の振動条件を設定することを特徴とする。
鋼種ごとに、鋳片引抜速度、使用するモールドパウダーなどの鋳造条件別に(1)式により特性値Zを求め、特性値Zと、当該鋳片から製造される薄鋼板製品におけるスリバー疵やヘゲ疵などの表面欠陥の発生頻度との関係を予め求めておき、つまり、鋼種別且つ鋳造条件別に薄鋼板製品での表面欠陥に問題のない上限の特性値Zを予め求めておくことで、その後は、新たな鋳造条件の設定の毎に、鋳型振動条件及び鋳片引抜速度から特性値Zを算出し、算出した特性値Zが前記上限の特性値Zを超えないように、鋳型振動条件を設定することで、表面性状に優れた薄鋼板製品用の鋳片が製造可能となる。
本発明によれば、このようにして、鋳型の振動条件を設定するので、正弦波形及び偏倚正弦波形の如何に拘わらず、鋳型振動条件から鋳片の爪状凝固組織の傾斜角度を予測でき、適切な鋳型振動条件の選定により爪状凝固組織の傾斜角度を小さくすることが可能となり、その結果、爪状凝固組織に起因する介在物性欠陥及び気泡性欠陥を未然に防止することができ、表面性状に優れた鋼鋳片つまり薄鋼板製品を安定して製造可能となる。
鋳型振動条件及び鋳片引抜速度を変化させ、極低炭素鋼(C:0.0015質量%、Si:0.05質量%以下、Mn:0.15〜0.45質量%、P:0.010〜0.015質量%、S:0.001〜0.005質量%、Al:0.020〜0.050質量%、Ti:0.015〜0.025質量%)を垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機で、厚みが220mm、幅が1400〜1600mmのスラブ鋳片に鋳造した。この鋳造にあたり、鋳型振動条件以外の因子による鋳片の爪状凝固組織への影響を極力小さくするために、鋳造時のタンディッシュ内溶鋼の過熱度を20〜30℃とし、使用するモールドパウダーは1種類(塩基度:1.0、凝固温度:1120℃、1300℃での粘性:1.2P)とし、また、浸漬ノズルへのArガス吹込み量を13NL/minとし、更に鋳型内溶鋼流動状況がほぼ一定になるように調整した。
鋳造後、鋳片から試料を採取して鋳片の爪状凝固組織の傾斜角度(θ)及び深さ(Dh)を調査した。この調査は、鋳片長辺面表層下の鋳造方向長さ300mmの範囲をピクリン酸飽和水溶液で腐食して凝固組織を現出させ、図1に示す要領で傾斜角度(θ)及び深さ(Dh)を測定し、鋳片の幅方向6等分の5箇所断面位置の平均値を代表値とした。
また、鋳片に熱間圧延、冷間圧延、更には溶融亜鉛メッキを施し、製造された溶融亜鉛メッキ冷延薄鋼板製品(厚み:0.8mm)の表面欠陥(スリバー疵、ヘゲ疵、スケール疵)率を調査した。表面欠陥の検査は、溶融亜鉛メッキ冷延薄鋼板製品の表面を目視検査し、幅0.5mm以上、長さ50mm以上のスケール性欠陥の有無(コイル1000m長さあたり欠陥が2個以下の製品を合格製品と判定)を検査し、製造チャンスにおける全製品質量に対する不良製品質量の比率でスケール性欠陥発生率(=不良製品質量×100/製品質量)を評価した。鋳造条件及び調査結果を表1に示す。
Figure 0005239798
尚、本実施例においては、特性値Z及びネガティブストリップ距離NSLを求める際に、正弦波形及び偏倚正弦波形の変位(y)を、波形歪率λがゼロ以上のときには下記の(4)式により、また、波形歪率λがゼロ未満のときには下記の(5)式により求めた。但し、(4)式及び(5)式において、yは鋳型の変位、STは鋳型振動のストローク、aiは定数、fは鋳型の振動数、tは時間である。
Figure 0005239798
ここで、定数aiは、偏倚正弦波形の波形歪率λによって定まる数値であり、本実施例では、表2に示す値を採用している。
Figure 0005239798
変位(y)が定まれば、それに基づいて鋳型下降速度(Vm)(変位yの微分値)及びネガティブストリップ時間(tn)も定まり、それに基づき、特性値Z及びネガティブストリップ距離NSLが表1に示すとおり求められる。
(1)式によって定まる特性値Zとスケール性欠陥発生率との関係を図7に示す。図7に示すように、(1)式によって定まる特性値Zと、爪状凝固組織に起因すると考えられる介在物性欠陥及び気泡性欠陥の発生率とが相関良く整理でき、且つ、特性値Zを減少する方向で鋳型振動条件を変更することが、表面欠陥の抑制に効果的であることが確認できた。
また、表1の結果から、溶融亜鉛メッキ冷延薄鋼板製品におけるスケール性欠陥発生率を、操業上問題の無い範囲である0.2%以下にしようとするときには、鋳片引抜速度が1.74m/minの場合には、試験No.6の結果から特性値Zを少なくとも9.5mm/sec2以下にすればよく、また、鋳片引抜速度が1.84m/minの場合には、試験No.13の結果から特性値Zを少なくとも19.2mm/sec2以下にすればよいことが分かる。
鋳片引抜速度が1.26m/minである試験No.11、鋳片引抜速度が1.47m/minである試験No.15及び鋳片引抜速度が1.40m/minである試験No.16は、何れも特性値Zが13mm/sec2を超えており、鋳片引抜速度が1.74m/minの場合の上限特性値Z(≒9.5mm/sec2)と比較しても、鋳片引抜速度が低いにも拘わらず大きく、従って、試験No.11、試験No.15及び試験No.16では、スケール性欠陥発生率が0.2%を越えると考えられる。尚、表1の備考欄には、仮に上記のようにして特性値Zの上限値を設定した場合に、本発明の範囲内の操業を「本発明例」として表示し、それ以外は「比較例」として表示している。
鋼鋳片表層部の爪状凝固組織の模式図である。 波形歪率λが正(λ>0)である偏倚正弦波形で鋳型を振動させたときの鋳型の変位及び速度を示す図である。 連続鋳造用鋳型内の溶鋼湯面近傍の模式図を示す図である。 爪状凝固組織の深さと傾斜角度との関係を示す図である。 特性値Zと爪状凝固組織の傾斜角度との関係を示す図である。 波形歪率λと爪状凝固組織の傾斜角度との関係を示す図である。 特性値Zと薄鋼板製品でのスケール性欠陥発生率との関係を示す図である。 正弦波形及び偏倚正弦波形での鋳型の変位並びに鋳型の振動速度を比較して示す図である。

Claims (1)

  1. 鋳型を正弦波形または偏倚正弦波形で振動させて鋼を連続鋳造するにあたり、鋳型振動のネガティブストリップ時間帯における鋳型の下降速度と鋳片の引抜速度とから、下記の(1)式によって定義される特性値Zが、薄鋼板製品の表面品質上で問題のない値以下となるように、鋳型の振動条件を設定することを特徴とする、連続鋳造用鋳型の振動方法。
    Figure 0005239798
    但し、(1)式において、Vm:鋳型下降速度(mm/sec)、Vc:鋳片引抜速度(mm/sec)、tn:ネガティブストリップ時間(sec)、to:ネガティブストリップ時間帯の開始時刻、Δt:時間刻み(=1/f/360、sec):t:時間(sec)である。
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