JP5234611B2 - 超音波探知装置 - Google Patents

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本発明は、探知対象物で反射した超音波エコーを含む受信信号を受信する複数の振動子を備えた超音波探知装置に関する。
図11は、従来の水中探知装置の構成および動作を説明するための図である。まず、図11を参照して、従来の水中探知装置100の構成および動作について説明する。
従来の水中探知装置100は、海面200を航行する船舶150に搭載されており、船舶150の船底に設けられた振動子からなる送受波器101を含んでいる。また、水中探知装置100は、船舶150の進行方向と垂直な面内において、送受波器101から扇状の超音波送信ビーム(図示省略)を下方に放射する。
水中探知装置100は、扇状の探知範囲201をペンシル状の受信ビーム102により走査する。そして、水中探知装置100は、受信ビーム102の走査により受信された、海底202からの超音波エコー(以下、単に「エコー」という)を含む受信信号に基づいて、海底(探知対象物)の画像を表示部103(図12参照)に表示する。
ここで、送受波器101の受信時の指向特性を図13に示す。MLはメインローブ(破線で指向特性の主軸を示す)であり、SLはメインローブMLの左右に生じるサイドローブである。
水中探知装置100では、図11に示すように、鉛直下方を向いた受信ビーム102aにより送受波器101の鉛直下方を探知するとき、海底地点202aからのエコーがメインローブMLにより受信されるとともに、海底地点202aよりも遠方の海底地点202bなどからのエコーがサイドローブSLにより受信される。そして、メインローブMLにより受信したエコーに加えて、サイドローブSLにより受信したエコーも鉛直下方から到来したエコーであるとして処理されるため、図12に示すように、表示部103には、サイドローブSLにより受信したエコーの画像121(サイドローブSLによる偽像121という)が海底202の下方に表示される。
また、水中探知装置100では、図11に示すように、右下方を向いた受信ビーム102bにより海底地点202bの方向を探知するとき、海底地点202bからのエコーがメインローブMLにより受信されるとともに、海底地点202aおよびその近辺からのエコーがサイドローブSLにより受信される。このため、図12に示すように、表示部103には、海底地点202aから送受波器101までの距離や、それよりも幾分大きい距離を半径とする円弧状の画像122(サイドローブSLによる偽像122という)が表示される。
したがって、従来の水中探知装置100では、サイドローブSLによる偽像121および122が表示されることにより、水中探知装置100のオペレータが海底などの探知対象物を誤判定するおそれがある。
そこで、上記のような不都合を解消することが可能な水中探知装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に開示された水中探知装置は、略平行な2つの受信ビームからなるスプリットビームを用いることにより、上記したサイドローブSLによる偽像121および122が表示されないように構成されている。具体的には、この水中探知装置では、2つの受信ビームの位相差に基づいて、受信信号がサイドローブSLにより受信されたか否かを判定する。そして、受信信号がサイドローブSLにより受信されたと判定された場合には、その受信信号に基づく画像は表示部に表示されない。なお、この水中探知装置では、2つの受信ビームを形成するために、送受波器を構成する複数の振動子が2つの振動子群に分割されている。
特開2006−208110号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された水中探知装置では、サイドローブSLによる偽像が表示されるのを抑制することが可能であるが、送受波器を構成する複数の振動子が2つの振動子群に分割されているので、各受信ビーム信号の振幅レベルが小さくなって、S/N比が低下するという問題点がある。
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、サイドローブによる偽像が表示されるのを抑制しながら、S/N比が低下するのを抑制することが可能な超音波探知装置を提供することである。
本発明の超音波探知装置は、探知対象物で反射した超音波エコーを含む受信信号を受信する複数の振動子を備え、複数の振動子により受信された受信信号に基づいて、探知対象物の画像を表示部に表示する超音波探知装置において、複数の振動子のうち所定の振動子が受信する受信信号を基準にして、所定の振動子以外の振動子が受信する受信信号を整相することにより、1つの受信ビーム信号を探知範囲内の走査角度毎に形成する受信ビーム信号形成部と、受信ビーム信号形成部により形成された受信ビーム信号の位相を走査角度毎に算出する位相算出部と、位相算出部により算出された位相の変化態様に基づいて、各走査角度における受信信号がメインローブにより受信されたか否かを判定するとともに、メインローブにより受信されたと判定された受信信号のみを抽出する抽出部と、をさらに備え、表示部には、抽出部により抽出された受信信号に基づく画像のみが表示される。
このように構成することによって、メインローブによる受信信号に基づく画像のみが表示部に表示されるので、サイドローブによる受信信号に基づく画像(偽像)が表示されるのを抑制することができる。また、複数の振動子が受信する受信信号から1つの受信ビーム信号を形成することにより、全振動子の受信信号を合成した振幅情報が得られるので、上記特許文献1のように、2つの受信ビームからなるスプリットビームを形成するために、複数の振動子を2つの振動子群に分割する場合に比べて、受信ビーム信号の振幅レベルが大きくなり、S/N比が低下するのを抑制することができる。
上記探知装置において、好ましくは、所定の振動子は、複数の振動子のうち最も外側に位置する振動子である。
このように構成することによって、所定の振動子を基準にして対称な位置に振動子が配置されなくなるため、受信信号が整相される際に、移相量が打ち消し合うことがないので、位相の変化態様が認識しにくくなるのを抑制することができる。
上記探知装置において、好ましくは、抽出部は、位相算出部により算出された位相の連続性および変化量に基づいて、各走査角度における受信信号がメインローブにより受信されたか否かを判定する。なお、位相の連続性および変化量とは、ある時刻の探知範囲(走査範囲)内における位相の連続性および変化量のことをいう。
このように構成することによって、所定の振動子が受信する受信信号を基準にして、所定の振動子以外の振動子が受信する受信信号を整相することにより、受信ビーム信号の位相特性が時間の経過とともに変化する場合にも、各走査角度における受信信号がメインローブにより受信されたか否かを正確に判定することができる。
上記位相の連続性および変化量に基づいて受信信号がメインローブにより受信されたか否かを判定する探知装置において、複数の振動子は、平面状に配置されており、抽出部は、位相算出部により算出された位相の連続性が設定値以上である場合に、受信信号がメインローブにより受信されたと判定し、設定値は、走査角度に応じて変更されるようにしてもよい。
このように構成することによって、複数の振動子が平面状に配置されることにより、走査角度に応じて開口長が変化することに起因して走査角度に応じて受信信号の幅が変化する場合にも、各走査角度における受信信号がメインローブにより受信されたか否かを正確に判定することができる。
本発明によれば、サイドローブによる偽像が表示されるのを抑制しながら、S/N比が低下するのを抑制することが可能な超音波探知装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、超音波探知装置の一例である水中探知装置に本発明を適用した場合について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による水中探知装置の全体構成を示したブロック図である。図2は、図1の水中探知装置の送受波器を示した図である。まず、図1および図2を参照して、本実施形態による水中探知装置50の構成について説明する。
本発明の一実施形態による水中探知装置50は、図1に示すように、送受波器1と、送受信切替回路2と、送信信号生成部3と、受信アンプ4と、バンドパスフィルタ(以下、「BPF」という)5と、A/D変換器6と、受信ビーム信号形成部7と、位相算出部8と、メインローブ受信信号抽出部9と、画像処理部10と、表示部11と、制御部12とを備えている。なお、水中探知装置50は、海面を航行する船舶(図示省略)に搭載されている。また、メインローブ受信信号抽出部9は、本発明の「抽出部」の一例である。
送受波器1は、船舶の船底に設けられた複数(本実施形態では、20個)の振動子1aを有する。複数の振動子1aは、船舶の左右方向(船舶の進行方向と直交する方向)に連なるように平面状(ここでは直線状)に配置されている(図2参照)。複数の振動子1aは、超音波を送信することにより、船舶の進行方向と垂直な面内において、船底の下方に扇状の送信ビームを形成するために設けられている。また、複数の振動子1aは、海底70(図8参照)などの探知対象物で反射したエコーを含む受信信号を受信する機能を有する。
送受信切替回路2、受信アンプ4、BPF5、およびA/D変換器6は、各振動子1a毎に設けられており、各振動子1aの送受信の際のチャンネルを形成する。送信信号生成部3は、送受信切替回路2を介して各振動子1aに送信信号を出力することにより、各振動子1aを駆動して超音波を送信するために設けられている。具体的には、送信信号生成部3は、所定周波数(たとえば、40kHz)の正弦波の送信信号を各振動子1aに所定時間(たとえば、1ms)だけ出力する。
受信アンプ4は、振動子1aから送受信切替回路2を介して入力された受信信号を増幅する機能を有する。BPF5は、受信アンプ4により増幅された受信信号から所定の帯域幅以外の帯域の周波数成分をノイズとして除去する。
A/D変換器6は、BPF5によりノイズが除去された受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する機能を有する。このA/D変換器6は、送信信号と同じ周波数の正弦波信号の第1位相と、第1位相と90度だけ位相の異なる第2位相とで受信信号をサンプリングし、サンプリングした信号を順次出力するように構成されている。そして、第1位相のデータを虚部、第2位相のデータを実部として、複素数演算を行う。
ここで、本実施形態では、受信ビーム信号形成部7は、複数の振動子1aのうち所定の振動子1bが受信する受信信号を基準にして、所定の振動子1b以外の振動子1cが受信する受信信号を整相する機能を有する。なお、所定の振動子1bは、図2に示すように、複数の振動子1aのうち最も外側に配置されている。このため、所定の振動子1bは、複数の振動子1aが配置される領域Rの中心以外に位置している。
また、受信ビーム信号形成部7は、各振動子1aの受信信号にチャンネル毎のウェイト値を乗算する機能も有する。なお、チャンネル毎のウェイト値は、ガウス関数やハニング窓により決定される。そして、受信ビーム信号形成部7は、ウェイト値が乗算された各チャンネルの受信信号を加算することにより、1つの受信ビーム信号を形成するように構成されている。
また、受信ビーム信号形成部7は、探知範囲内(たとえば、−55度〜+55度)の走査角度(たとえば、1度)毎に受信ビーム信号を形成するように構成されている。位相算出部8は、受信ビーム信号形成部7により形成された受信ビーム信号の位相を走査角度毎に算出する機能を有する。メインローブ受信信号抽出部9、画像処理部10および表示部11の詳細については後述する。制御部12は、水中探知装置50の動作を制御する機能を有する。
ここで、図2を参照して、走査角度がθである場合の整相動作について説明する。まず、各振動子1aが受信する受信信号Xは、以下の式(1)により表される。
=α×exp(jθ) ・・・(1)
なお、nは振動子の番号であり、αは各振動子の受信信号の振幅であり、θは各振動子の受信信号の位相である。
また、複素回転子Yは、以下の式(2)により表される。
=β×exp(jθ1) ・・・(2)
なお、βは各振動子のウェイト値である。また、θ1は各振動子の整相量であり、以下の式(3)により算出される。
θ1=n×d×sinθ ・・・(3)
なお、dは振動子間の距離である。
受信信号Xに複素回転子Yが乗算されることにより、各振動子1aの受信信号Xが整相される。そして、
Figure 0005234611
のように各受信信号を整相して合成することにより、以下の式(4)により表される受信ビーム信号の振幅Aと、以下の式(5)により表される受信ビーム信号の位相Pとが算出される。なお、上式において、Nは振動子の総数である。
A=√(Re+Img) ・・・(4)
P=tan−1(Img/Re) ・・・(5)
メインローブ受信信号抽出部9は、1走査分の走査角度毎の位相の変化態様、具体的には1走査分の受信ビーム信号の位相の変化量および連続性に基づいて、各走査角度の受信信号がメインローブにより受信されたか否かを判定する。この場合、メインローブ受信信号抽出部9は、
(1)メインローブによる受信信号は位相が必ずゼロクロスする。
(2)メインローブによる受信信号とサイドローブによる受信信号とは位相が不連続になる。
(3)メインローブによる受信信号はサイドローブによる受信信号に比べて位相の連続性が大きい。
といった諸特性を利用して、受信信号がメインローブにより受信されたか否かを判定することが可能である。この判定の詳細については後述する。
また、メインローブ受信信号抽出部9は、メインローブにより受信されたと判定した受信信号のみを抽出するように構成されている。すなわち、メインローブ受信信号抽出部9は、メインローブによる受信信号の振幅データのみを画像処理部10に出力するとともに、サイドローブによる受信信号の振幅データを画像処理部10に出力しないように構成されている。
また、メインローブ受信信号抽出部9は、ある時刻の受信信号に対する1走査分の信号処理を終了すると、次の時刻の受信信号に対する1走査分の信号処理を引き続き行うことにより、最大探知距離からの受信信号に対する信号処理が終了するまで1走査分の信号処理を繰り返し行うように構成されている。
図3は、メインローブ受信信号抽出部9の動作を説明するためのフローチャートである。図4は、シミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号の振幅特性を示したグラフであり、図5〜7は、同シミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号の位相特性を示したグラフである。ここで、図1および図3〜図7を参照して、メインローブ受信信号抽出部9の動作について説明する。なお、このシミュレーションでは、点音源を振動子1aの直下に配置して、走査角度を1度ずつ変えながら、−90度から+90度までの範囲を走査した。
まず、メインローブ受信信号抽出部9(図1参照)では、図3のステップS1において、位相のゼロクロス点が算出される。具体的には、1走査分の位相データを走査角度の負側から正側に向かって調べることにより、位相のゼロクロス点を算出する。図5における黒丸のそれぞれが、ゼロクロス点Zを表している。
次に、ステップS2において、ゼロクロス点から負側に向かって位相データを順番に調べるとともに、ゼロクロス点から正側に向かって位相データを順番に調べることにより、位相の変化量および連続性が算出される。位相の変化量は、たとえば各ゼロクロス近傍における位相曲線の傾きで表され、位相の連続性は、たとえば各ゼロクロス点から正側および負側に位相が連続している走査角度範囲で表される。
ここで、位相の連続性は、複素平面上で計算される。このため、図5〜図7に示したグラフの縦軸(位相)の−180度と+180度とは、同じ位置であることを意味しており連続していると判断される。したがって、例えば図5で太線で示した位相曲線は、−8度から+8度の走査角度範囲Raで連続しており、このRa(=16度)が位相の連続性を表すパラメータとなる。また、位相の変化量は、以下の式(6)を用いて算出される。式(6)は、2次元ベクトルAとBのなす角(回転角)φを算出する。
φ=atan2(A×B,A・B) ・・・(6)
(−180°<φ≦+180°)
なお、A×Bは2次元ベクトルAとBの外積であり、A・Bは2次元ベクトルAとBの内積である。また、atan2は、C言語において用いられる演算記号であり、4象限表現による逆正接を表す。
次に、ステップS3において、位相の変化量が閾値以上であり、かつ、位相の連続性が設定値以上であるか否かが判断される。そして、位相の変化量が閾値以上で、位相の連続性も設定値以上である場合には(ステップS3:Yes)、ステップS4に移る。ステップS4では、振幅データが有効であると判断される。すなわち、位相の変化量が閾値以上であり、かつ、位相の連続性が設定値以上であると判断された走査角度内の受信信号は、メインローブにより受信されているので、その範囲内の振幅データを有効であると判断する。一方、ステップS3において、位相の変化量が閾値未満であるか位相の連続性が設定値未満である場合(ステップS3:No)は、ステップS5に移る。ステップS5では、振幅データが無効であると判断される。すなわち、位相の変化量が閾値未満または位相の連続性が設定値未満と判断された走査角度内の受信信号は、サイドローブにより受信されているので、その範囲内の振幅データを無効であると判断する。
その後、ステップS6において、全てのゼロクロス点を処理したか否かが判断される。すなわち、1走査分の信号処理が終了したか否かが判断される。そして、全てのゼロクロス点が処理されたと判断された場合には、ステップS7に移る。その一方、全てのゼロクロス点が処理されていないと判断された場合には、ステップS3に戻る。
たとえば、前記のシミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号では、まず、図5に示すように、15個のゼロクロス点Zが算出される(ステップS1)。そして、走査角度が−71度のゼロクロス点(一番左端のゼロクロス点)における位相の変化量および連続性が算出され(ステップS2)、それらと閾値および設定値との関係が判断される(ステップS3)。この場合には、位相の連続性は設定値以上であるが、位相の変化量が閾値未満であると判断されるので(ステップS3:No)、ステップS5を経てステップS6に移る。このとき、14個のゼロクロス点が未処理であり、全てのゼロクロス点が処理されていないと判断されるので(ステップS6:No)、ステップS3に戻る。その後、−57度、−47度、−39度、−32度、−25度、および−18度のゼロクロス点についても、上記と同様に処理される。なお、−18度のゼロクロス点などにおいては、位相の変化量が閾値以上となるが、位相の連続性が設定値未満であるため、ステップS3での判定はNoとなる。
−18度のゼロクロス点につきステップS3、S5、S6を実行した後、走査角度が0度のゼロクロス点における位相の変化量および連続性が判断される(ステップS3)。この場合には、図5で太線で示した位相曲線からわかるように、位相の変化量も連続性も大きいので、位相の変化量が閾値以上であり、かつ、位相の連続性が設定値以上であると判断され(ステップS3:Yes)、ステップS4に移る。これにより、走査角度が−8度から+8度までの角度範囲Raの受信信号はメインローブにより受信されているので、角度範囲Ra内の振幅データ(図4参照)が有効であると判断される(ステップS4)。その後、18度、25度、32度、39度、47度、57度、71度の7個のゼロクロス点が未処理であり、全てのゼロクロス点が処理されていないと判断されるので(ステップS6:No)、ステップS3に戻る。
18度、25度、32度、39度、47度、および57度のゼロクロス点についても、上記した−71度のゼロクロス点の場合と同様に処理される。その後、走査角度が71度のゼロクロス点(一番右端のゼロクロス点)における位相の変化量および連続性が判断される(ステップS3)。この場合には、位相の連続性は設定値以上であるが、位相の変化量が閾値未満であると判断されるので(ステップS3:No)、ステップS5を経てステップS6に移る。このとき、全てのゼロクロス点が処理されていると判断されるので(ステップS6:Yes)、ステップS7に移る。
次に、ステップS7において、全走査分の処理が完了したか否か、すなわち最大探知距離からの受信信号を処理したか否かが判断される。そして、全走査分の処理が完了したと判断された場合には、ステップS8に移る。その一方、全走査分の処理が完了していないと判断された場合には、ステップS1に戻る。
次に、ステップS8において、ステップS4で有効であると判断された振幅データが画像処理部10に出力される。すなわち、メインローブによる受信信号の振幅データのみが画像処理部10に出力され、サイドローブによる受信信号の振幅データは画像処理部10に出力されない。
たとえば、前記のシミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号では、図4に示すように、メインローブによる受信信号であると判断された角度範囲Raの振幅データのみが画像処理部10に出力され、サイドローブによる受信信号であると判断された角度範囲Ra以外の振幅データは画像処理部10に出力されない。
なお、本実施形態では、所定の振動子1bが受信する受信信号を基準にして、所定の振動子1b以外の振動子1cが受信する受信信号を整相することにより、図6および図7に示すように、受信ビーム信号の位相特性が時間の経過とともに変化する。図6は、図5に示した受信ビーム信号が1/4周期経過した後の受信ビーム信号の位相特性であり、図7は、図5に示した受信ビーム信号が1/2周期経過した後の受信ビーム信号の位相特性である。しかしながら、図6および図7に示した受信ビーム信号について、上記した処理を行う場合にも、太線で示したようにRaの範囲で位相の連続性が維持されるため、図5に示した受信ビーム信号の場合と同様に、走査角度が−8度から+8度までの角度範囲Raの受信ビーム信号がメインローブにより受信されていると判断される。すなわち、本実施形態では、受信ビーム信号の位相特性が時間の経過とともに変化するが、位相の連続性を判断することにより、メインローブにより受信されたか否かを正確に判断することが可能である。
画像処理部10は、メインローブ受信信号抽出部9から出力される振幅データの受信時刻および走査角度の情報に基づいて、表示部11に表示される画像の表示位置を算出する。そして、表示部11には、振幅データに応じた濃淡または色彩により探知対象物(海底70)の画像が表示される。すなわち、表示部11は、メインローブにより受信された受信信号に基づく画像のみが表示され、サイドローブにより受信された受信信号(図4の角度範囲Ra以外の振幅データ)に基づく画像が表示されないように構成されている。これにより、本実施形態による水中探知装置50では、海底70を探知する場合に、表示部11には、図8に示すように、サイドローブによる偽像121および122(図12参照)が表示されない。
図9は、別のシミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号の振幅特性を示したグラフである。図10は、同シミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号の位相特性を示したグラフである。このシミュレーションでは、振動子1aの直下と、+40度の方向とに点音源を配置して、走査角度を1度ずつ変えながら、−90度から+90度までの範囲を走査した。
このシミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号では、図10に示すように、位相の変化量および連続性に基づいて、走査角度が−8度から+8度までの角度範囲Rbの受信信号と、走査角度が+30度から+51度までの角度範囲Rcの受信信号とがメインローブにより受信されたと判断される。これにより、角度範囲RbおよびRcの振幅データ(図9参照)が画像処理部10に出力される。
ここで、図2のように複数の振動子1aが直線状に配置されていることにより、走査角度(受信信号の入射角度)に応じて、送受波器1の開口長が変化する。このため、走査角度に応じて、受信信号の幅が変化する。すなわち、振動子1aの直下方向に対する開口長に比べて、+40度方向に対する開口長が小さくなるので、振動子1aの直下の点音源から入射する受信信号の角度範囲Rbに比べて、+40度方向の点音源から入射する受信信号の角度範囲Rcが大きくなる。具体的には、直下方向に対する開口長がLである場合、θ2方向に対する開口長がL×cosθ2になる。
したがって、位相の連続性を判断する際の設定値は、走査角度に応じて変更される。たとえば、走査角度が0度の位相の連続性を判断する場合には、設定値として基準値が用いられ、走査角度がθ2の位相の連続性を判断する場合には、設定値として、基準値を(1/cosθ2)倍した値が用いられる。
本実施形態では、上記のように、メインローブ受信信号抽出部9を設けることによって、メインローブによる受信信号に基づく画像のみが表示部11に表示されるので、サイドローブによる受信信号に基づく画像(偽像)が表示されるのを抑制することができる。また、受信ビーム信号形成部7によって、複数の振動子1aが受信する受信信号から1つの受信ビーム信号を形成することにより、全振動子の受信信号を合成した振幅情報が得られるので、スプリットビーム方式(特許文献1)のように複数の振動子を2つの振動子群に分割する場合に比べて、受信ビーム信号の振幅レベルが大きくなり、S/N比が低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、所定の振動子1bを複数の振動子1aのうち最も外側に配置することによって、所定の振動子1bを基準にして対称な位置に振動子1aが配置されなくなるため、受信信号が整相される際に、移相量が打ち消し合うことがないので、位相の変化態様が認識しにくくなるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、位相の連続性および変化量に基づいて、各走査角度における受信信号がメインローブにより受信されたか否かを判定することによって、所定の振動子1bが受信する受信信号を基準にして、所定の振動子1b以外の振動子1cが受信する受信信号を整相することにより、受信ビーム信号の位相特性が時間の経過とともに変化する場合にも、各走査角度における受信信号がメインローブにより受信されたか否かを正確に判定することができる。
また、本実施形態では、位相の連続性を判断する際の設定値を走査角度に応じて変更することによって、複数の振動子1aが直線状に配置されることにより、走査角度に応じて開口長が変化することに起因して走査角度に応じて受信信号の幅が変化する場合にも、各走査角度における受信信号がメインローブにより受信されたか否かを正確に判定することができる。
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、本発明を水中探知装置50に適用する例を示したが、これに限らず、たとえば、本発明を医療用の超音波探知装置に適用してもよい。
また、上記実施形態では、複数の振動子1aが直線状に配置される例を示したが、これに限らず、複数の振動子が球面状に配置されていてもよい。この場合には、走査角度に応じて開口長が変化しないので、メインローブによる受信信号の幅が各走査角度において同じになる。
また、グレーティングローブによる受信信号の幅はメインローブによる受信信号の幅よりも大きいので、グレーティングローブによる受信信号を判別して削除することが可能である。その結果、複数の振動子の間隔を大きくすることができる。具体的には、送受波器における振動子の配列ピッチをd、超音波の波長をλとしたとき、グレーティングローブはθ=sin−1(nλ/d)の角度に発生することが知られている。たとえば、d=1.2λの場合は、θ=±56°の角度に発生する。そして、メインローブに比べ、グレーティングローブの開口長はcosθ倍となり、ビーム幅は1/cosθ倍広くなる。このビーム幅の違いによってメインローブとグレーティングローブの区別ができ、グレーティングローブを除去することができる。
また、上記実施形態では、全走査分の処理が完了した後(ステップS7:Yes)、振幅データを画像処理部10に出力する例を示したが、これに限らず、1走査分の信号処理を行う毎に、振幅データを画像処理部10に出力するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、1走査分の受信ビーム信号のゼロクロス点を全て算出した後、各ゼロクロス点について位相の変化量および連続性を判断する例を示したが、これに限らず、ゼロクロス点を算出する毎に、そのゼロクロス点について位相の変化量および連続性を判断するようにしてもよい。
また、上記実施形態において、図3のステップS1の前に、受信信号の強度が所定の値以上であるか否かを判定するステップを追加し、受信信号の強度が所定の値以上になってから、位相のゼロクロス点の算出を開始するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、所定の振動子1bを複数の振動子1aのうち最も外側に配置する例を示したが、これに限らず、所定の振動子を基準にして所定の振動子以外の振動子が全て対称な位置に配置されていなければよい。
本発明の一実施形態による水中探知装置の全体構成を示したブロック図である。 図1の水中探知装置の送受波器を示した図である。 メインローブ受信信号抽出部の動作を説明するためのフローチャートである。 シミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号の振幅特性を示したグラフである。 同シミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号の位相特性を示したグラフである。 図5の受信ビーム信号が1/4周期経過した後の受信ビーム信号の位相特性を示したグラフである。 図5の受信ビーム信号が1/2周期経過した後の受信ビーム信号の位相特性を示したグラフである。 図1の水中探知装置の表示部を示した図である。 別のシミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号の振幅特性を示したグラフである。 同シミュレーションによって求めた1走査分の受信ビーム信号の位相特性を示したグラフである。 従来の水中探知装置の構成および動作を説明するための図である。 図11の水中探知装置の表示部を示した図である。 図11の水中探知装置の送受波器の受信時の指向特性を示した図である。
符号の説明
1a 振動子
1b 所定の振動子
1c 所定の振動子以外の振動子
7 受信ビーム信号形成部
8 位相算出部
9 メインローブ受信信号抽出部(抽出部)
11 表示部
50 水中探知装置(超音波探知装置)
Z ゼロクロス点

Claims (4)

  1. 探知対象物で反射した超音波エコーを含む受信信号を受信する複数の振動子を備え、
    前記複数の振動子により受信された受信信号に基づいて、前記探知対象物の画像を表示部に表示する超音波探知装置において、
    前記複数の振動子のうち所定の振動子が受信する受信信号を基準にして、前記所定の振動子以外の振動子が受信する受信信号を整相することにより、1つの受信ビーム信号を探知範囲内の走査角度毎に形成する受信ビーム信号形成部と、
    前記受信ビーム信号形成部により形成された受信ビーム信号の位相を走査角度毎に算出する位相算出部と、
    前記位相算出部により算出された位相の変化態様に基づいて、各走査角度における受信信号がメインローブにより受信されたか否かを判定するとともに、メインローブにより受信されたと判定された受信信号のみを抽出する抽出部と、をさらに備え、
    前記表示部は、前記抽出部により抽出された受信信号に基づく画像のみを表示することを特徴とする超音波探知装置。
  2. 請求項1に記載の超音波探知装置において、
    前記所定の振動子は、前記複数の振動子のうち最も外側に位置する振動子であることを特徴とする超音波探知装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の超音波探知装置において、
    前記抽出部は、前記位相算出部により算出された位相の連続性および変化量に基づいて、各走査角度における受信信号がメインローブにより受信されたか否かを判定することを特徴とする超音波探知装置。
  4. 請求項3に記載の超音波探知装置において、
    前記複数の振動子は、平面状に配置されており、
    前記抽出部は、前記位相算出部により算出された位相の連続性が設定値以上である場合に、受信信号がメインローブにより受信されたと判定し、
    前記設定値は、走査角度に応じて変更されることを特徴とする超音波探知装置。
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