JP5234540B2 - 新規生理活性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、オオバギ由来の天然化合物から誘導される生理活性を示す新規化合物、その
製造方法および該化合物を有効成分とする腫瘍剤に関する。
人類はその長い歴史の中で、植物、動物、鉱物などの天然資源の中から病気を治す数々の「薬」を発見し、現代の人類の健康管理においてもこれらの果たす役割は大きい。
一方、西洋医学においては、特に抗生物質や抗癌剤を中心に天然物由来の化合物が多く存在し、その割合から言うと医薬の化合物としての由来は有機化学的手法で合成されたものが最も多いが、経験的に薬効が認識されている天然資源の中から活性成分を分離・同定し、構造を決定して化学合成を行い、さらに修飾を行うことで活性の強い優れた医薬品が生み出されることも少なくない。
このように、天然物は人智の及ばない多彩な化学構造を有する新規物質の宝庫であり、重要な新薬の供給源として期待される。
Macaranga tanarius (L.) MuLL.-ARG.(和名:オオバギ)
トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、オオバギ属(Macaranga)に属する。低地から山地の林縁などに生える常緑小高木。高さは4-10mで傘を広げたような樹形となる。オオバギは大きな葉が特徴で、別名parasol leaf treeとも呼ばれている。
トウダイグサ科の植物は日本にはそれほど多くないが世界で約335属、8000種近くが報告されている。1年草、多年草、低木、高木、多肉質とその生態はきわめて多様である。ポインセチアなど観賞用で知られる他、ハズやヒマシなどは峻下剤として薬用に用いられるなど、伝統的な治療薬として用使用されてきたものも多い。近年では、抗腫瘍活性や抗ウイルス活性が報告されているものもあり、有用な生理活性を有するさらなる新規天然化合物の探索が続けられている。
厚生労働省の統計によると悪性新生物(癌)による死因が最も多く、優れた腫瘍剤の出現が望まれている。上記のごとく、オオバギはまだまだ未知の有用な生理活性物質が発見される可能性は高く、オオバギ由来化合物からの有用な腫瘍剤等の生理活性化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、驚くべきことにオオバギ由来の化合物(3)および化合物(4)を水素化することにより、天然物化合物より優れた腫瘍効果を有する化合物(1)および化合物(2)の新規化合物を創製し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、化合物(1)および化合物(2)からなる群から選択される1以上の化合物を有効成分として含有する腫瘍剤を提供する。
本発明により、特定植物由来の生理活性を有する化合物の側鎖に含まれる不飽和結合を水素化することにより、より効能の優れた生理活性剤を提供することができる。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(略号の説明)
以下に本明細書で使用される略号を説明する。
1H NMR: Proton Nuclear Magnetic Resonance
1H核磁気共鳴)
13C NMR: Carbon-13 Nuclear Magnetic Resonance
13C核磁気共鳴)
HR-FAB-MS: High Resolution Fast Atom Bombardment Mass Spectroscopy
(高分解能高速原子衝撃質量分析法)
HR-ESI-MS: High Resolution Electro Spray Ionization Mass Spectroscopy
(高分解能エレクトロスプレーイオン化質量分析法)
COSY: HH-Correlation Spectroscopy
HMBC: Heteronuclear Multiple Bond Connectivity
PNOESY: Phase sensitive NOE correlated Spectroscopy
(位相検知NOE相関スペクトル)
IR: Infrared Spectroscopy
(赤外吸収スペクトル)
UV: Ultraviolet Spectroscopy
(紫外線吸収スペクトル)
CD: Circular Dichroism
(円二色性スペクトル)
HPLC: High-Performance Liquid Chromatography
(高速液体クロマトグラフィー)
DCCC: Droplet Counter Current Chromatography
(液滴向流分配クロマトグラフィー)
CC: Column Chromatography
(カラムクロマトグラフィー)
TLC: Thin Layer Chromatography
(薄層クロマトグラフィー)
ODS: Octadecylsilanized Silica gel
(オクタデシルシリル化シリカゲル)
Cpd: Compound
(化合物)
fr.: fraction
(画分)
br.: broad
s : singlet
d: doublet
t: triplet
q: quartet
quint.: quintet
m: multiplet
(本発明化合物の製造)
本発明の化合物(1)および化合物(2)は以下に示される水素化反応により製造することができるが、これに限定するものではなく、フラボノイド骨格を基礎とした各種の合成反応の組合せ等で製造することも可能である。
化合物(3)および化合物(4)をそれぞれ酸化白金IV) (Adams触媒) を用いて水素化し、それぞれ化合物(1)および化合物(2)を得ることができるが、水素化反応については、なんらこの反応に限定されることなく各種の水素化触媒を用いたり、電気化学的還元を用いても良い。
(生理活性の評価)
生理活性についてはここではヒト口腔内類表皮癌 (KB) 細胞をもちいて、評価した。
MTT法は生細胞のみを測定する簡便な方法で、抗腫瘍活性の1次スクリーニングとしてよく用いられており、培養腫瘍細胞に対する増殖阻害活性を指標に新しい抗腫瘍物質候補を探索する際によく用いられる方法である。
MTT (3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]-2,5-diphenyltetrazolium bromide) が細胞内ミトコンドリアの脱水素酵素の基質となり、MTTが還元された結果生じるMTTホルマザン量が生存細胞数とよく対応する。MTTホルマザンは有機溶媒によって溶解し、紫色に呈色するので、540 nmで比色定量し、無処置対照と比較することで細胞増殖阻害率を算出する。
(処方)
本明細書において「薬学的に受容可能なキャリア」は、医薬または動物薬のような農薬を製造するときに使用される物質であり、有効成分に有害な影響を与えないものをいう。そのような薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、賦形剤および/または薬学的アジュバント。
本発明の処置方法において使用される薬剤の種類および量は、本発明の方法によって得られた情報(例えば、疾患に関する情報)を元に、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、投与される被検体の部位の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明のモニタリング方法を被検体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。疾患状態をモニタリングする頻度としては、例えば、毎日−数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回−1ヶ月に1回)のモニタリングが挙げられる。1週間−1ヶ月に1回のモニタリングを、経過を見ながら施すことが好ましい。
必要に応じて、本発明の治療では、2種類以上の薬剤が使用され得る。2種類以上の薬剤を使用する場合、類似の性質または由来の物質を使用してもよく、異なる性質または由来の薬剤を使用してもよい。このような2種類以上の薬剤を投与する方法のための疾患レベルに関する情報も、本発明の方法によって入手することができる。
(薬学的組成物)
本明細書において薬剤の「有効量」とは、その薬剤が目的とする薬効を発現することができる量をいう。本明細書において、そのような有効量のうち、最小の濃度を最小有効量ということがある。そのような最小有効量は、当該分野において周知であり、通常、薬剤の最小有効量は当業者によって決定されているか、または当業者は適宜決定することができる。そのような有効量の決定には、実際の投与のほか、動物モデルなどを用いることも可能である。本発明はまた、このような有効量を決定する際に有用である。
本発明の処置方法において使用される薬剤の種類および量は、本発明の方法によって得られた情報(例えば、疾患に関する情報)を元に、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、投与される被検体の部位の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明のモニタリング方法を被検体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。疾患状態をモニタリングする頻度としては、例えば、毎日〜数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回〜1ヶ月に1回)のモニタリングが挙げられる。1週間〜1ヶ月に1回のモニタリングを、経過を見ながら施すことが好ましい。
必要に応じて、本発明の治療では、2種類以上の薬剤が使用され得る。2種類以上の薬剤を使用する場合、類似の性質または由来の物質を使用してもよく、異なる性質または由来の薬剤を使用してもよい。このような2種類以上の薬剤を投与する方法のための疾患レベルに関する情報も、本発明の方法によって入手することができる。
本発明では、いったん類似の種類(例えば、ヒトに対するマウスなど)の生物、培養細胞、組織などに関し、ある特定の糖鎖構造の分析結果と、疾患レベルとが相関付けられた場合、対応する糖鎖構造の分析結果と、疾患レベルとが相関付けることができることは、当業者は容易に理解する。そのような事項は、例えば、動物培養細胞マニュアル、瀬野ら編著、共立出版、1993年などに記載され支持されており、本明細書においてこのすべての記載を援用する。
本発明はまた、有効量の治療剤の被験体への投与による、疾患または障害(例えば、感染症)の処置および/または予防の方法を提供する。治療剤は、薬学的に受容可能なキャリア型(例えば、滅菌キャリア)と組み合せた、本発明の組成物を意味する。
治療剤を、個々の患者の臨床状態(特に、治療剤単独処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮に入れ、例えば、「治療薬マニュアル2006」医学書院 監修:高久 史麿/矢崎 義雄、編集:関 顕/北原 光夫/上野 文昭/越前 宏俊に従って処方および投薬する。従って、本明細書において目的とする「有効量」は、このような考慮を行って決定される。
治療剤を、経口的、直腸内、非経口的、槽内、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与し得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。本明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤の適切な例は、経口的、直腸内、非経口的、槽内、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与され得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。本明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤の適切な例は、適切なポリマー物質(例えば、成形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態の半透過性ポリマーマトリックス)、適切な疎水性物質(例えば、許容品質油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂、および貧可溶性誘導体(例えば、貧可溶性塩)を包含する。
非経口投与のために、1つの実施態様において、一般に、治療剤は、それを所望の程度の純度で、薬学的に受容可能なキャリア、すなわち用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、かつ処方物の他の成分と適合するものと、単位投薬量の注射可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で混合することにより処方される。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化、および治療剤に対して有害であることが知られている他の化合物を含まない。
一般に、治療剤を液体キャリアまたは微細分割固体キャリアあるいはその両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次に、必要であれば、生成物を所望の処方物に成形する。好ましくは、キャリアは、非経口的キャリア、より好ましくはレシピエントの血液と等張である溶液である。このようなキャリアビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液が挙げられる。不揮発性油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒクルもまた、リポソームと同様に本明細書において有用である。
キャリアは、等張性および化学安定性を高める物質のような微量の添加剤を適切に含有する。このような物質は、用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、このような物質としては、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸および他の有機酸またはその塩類のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド(例えば、ポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸;セルロースまたはその誘導体、ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン;および/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
治療的投与に用いられるべき任意の薬剤は、生物・ウイルスを含まない状態、すなわち、無菌状態であり得る。滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロンメンブラン)で濾過することにより無菌状態は容易に達成される。一般に、治療剤は、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下用注射針で穿刺可能なストッパー付の静脈内用溶液バッグまたはバイアルに配置される。
治療剤は、通常、単位用量または複数用量容器、例えば、密封アンプルまたはバイアルに、水溶液または再構成するための凍結乾燥処方物として貯蔵される。凍結乾燥処方物の例として、10mlのバイアルに、滅菌濾過した1%(w/v)治療剤水溶液5mlを充填し、そして得られる混合物を凍結乾燥する。凍結乾燥した治療剤を、注射用静菌水を用いて再構成して注入溶液を調製する。
本発明はまた、本発明の治療剤の1つ以上の成分を満たした一つ以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関する政府機関による承認を表す。さらに、治療剤を他の治療用化合物と組み合わせて使用し得る。
本発明の治療剤は、単独または他の治療剤と組合わせて投与され得る。組合わせは、例えば、混合物として同時に;同時にまたは並行してだが別々に;あるいは経時的のいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が、治療用混合物として共に投与されるという提示、およびまた、組み合わされた薬剤が、別々にしかし同時に、例えば、同じ個体に別々の静脈ラインを通じて投与される手順を含む。「組み合わせて」の投与は、一番目、続いて二番目に与えられる化合物または薬剤のうち1つの別々の投与をさらに含む。
以下に実施例、参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これにより本発明がなんら限定されるものではない。
<化合物の分析方法>
(旋光度)
旋光度はJASCO P-1030 (日本分光工業)デジタル旋光度計を用いて測定した。測定溶媒及び温度は各測定値に付記した。
(核磁気共鳴(NMR)スペクトル)
JEOL a-400およびJEOL ECA-600(日本電子)核磁気共鳴装置を使用して測定した(共鳴周波数:1H NMR:400 MHzおよび600 MHz、13C NMR:100 MHzおよび150 MHz)。いずれも溶媒中のDシグナルをinternal lock signalとした。ケミカルシフト値の表示は内部標準物質テトラメチルシラン (TMS) からのδ値 (ppm) で示し、1H NMRスペクトルにおける結合定数は括弧内にHz単位で記した。シグナルの多重度の表記には以下の略号を用いた。s :singlet, d :doublet, t :triplet, q :quartet, m :multiplet, br. :broad
(質量分析(MS))
高分解能ESI-MSはApplied BiosystemsのQSTAR XL systemにより測定した。
(赤外吸収 (IR) スペクトル)
赤外吸収スペクトルはHORIBA FT-710(堀場製作所)分光光度計を使用し、フィルム法にて試料を調製し測定した。
(紫外吸収 (UV) スペクトル)
JASCO V-520(日本分光工業)分光光度計を使用し、層長1 cmの石英製セルを用いて測定した。測定溶媒はメタノールを用いた。
(円偏光二色性 (CD) スペクトル)
円偏光二色性はJASCO J-720(日本分光工業)円二色性分散計を使用して測定した。測定溶媒はメタノールを用いた。
<クロマトグラフィー>
(順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー)
230-400 meshのkiesel gel 60 Silica gel (Merck) を使用した。
(逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー)
Cosmosil75 C18OPN (Nacalai Tesque) を使用した。
(逆相系多孔性樹脂カラムクロマトグラフィー)
DiaionHP-20 (三菱化学) を使用した。
(サイズ排除カラムクロマトグラフィー)
SephadexLH-20 (GE Healthcare)を使用した。
(高速液体クロマトグラフィー)
分取用カラムにInertsil ODS(6.0×250 mm, ガスクロ工業)およびCosmosil 5C18-AR-II (20×250 mm, Nacalai Tesque) を使用し、検出にUV 8000(東ソー)、RI 8000(東ソー)、溶媒にメタノール‐水系、メタノール‐2-プロパノール‐水系およびアセトニトリル‐水系を用いて、流速1.6 ml/min または5.0 ml/minで、紫外部吸収の検出波長は254 nmで行った。
(薄層クロマトグラフィー (TLC))
TLCプレートとして厚さ0.25 mmのSilica gel 60 F254 (Merck) を使用し、プレート上のスポットはUV (254 nm) 照射及び10%硫酸を噴霧後、加熱し呈色させ検出した。
参考例
<化合物(3)の製造方法>
2003年7月に沖縄県国頭郡で採集したオオバギの乾燥葉 (12.1 kg) をメタノールで3回 (75 L) 抽出し、それらをヘキサン (3 L) で抽出した。メタノール層を濃縮後、水 (3 L) に懸濁させ、酢酸エチル、ブタノールをそれぞれ3 Lで連続的に抽出、濃縮し、ヘキサン層 (211 g)、酢酸エチル層 (54.4 g)、ブタノール層 (344 g)、水層 (301 g) を得た。
このうち酢酸エチル可溶分画 (437 g) を予め1 Lのシリカゲルに吸着させ、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒 [ヘキサン‐酢酸エチル (20 : 1, 6 L)、(5 : 1, 6 L)、(4 : 1, 6 L)、(3 : 1, 6 L)、(2 : 1, 6 L)、(1 : 1, 6 L)、酢酸エチル6 L、そしてメタノール6 L] を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(内径10 cm×高さ50 cm、1フラクション=1 L)に付した。
このうちヘキサン : 酢酸エチル=5 : 1→4 : 1溶出分画のフラクション8~16 (145 g) をトルエンとアセトンの混合溶媒 [トルエン 6 L、トルエン‐アセトン (100 : 1, 6 L)、(70 : 1, 3 L)、(50 : 1, 3 L)、(40 : 1, 3 L)、(30 : 1, 3 L)、(10 : 1, 3 L)、(5 : 1, 3 L)、アセトン 3 L、メタノール 8 L] を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(内径10 cm×高さ50 cm、1フラクション=1 L)に付した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーから得られたトルエン : アセトン=40 : 1→5 : 1溶出分画のフラクション19~28 (102 g) を、水‐メタノール (1 : 3, 9 L)、メタノール9 L、メタノール‐クロロホルム (1 : 1, 9 L)、クロロホルム 9 Lを用いた逆相系多孔性樹脂Diaion HP-20カラムクロマトグラフィー(内径11 cm×高さ50 cm、1フラクション=1 L)に付し、そのメタノール溶出画分 (フラクション10~18, 68.7 g)をさらに逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(50 %メタノール2 L→100 %メタノール2 L;linear gradient, 1フラクション=10 g)にかけ、そのフラクション247~276 (2.45 g) を高速液体カラムクロマトグラフィー(90 %メタノール+0.2 %ジクロロメタン)にかけ、その保持時間31~37分の比屈折率 (RI) のピークから得られたフラクション (366 mg) をさらに高速液体カラムクロマトグラフィー(83 %メタノール)で精製し、その保持時間58分の比屈折率 (RI)のピークから化合物(3) (26.2 mg) を、を得た。化合物(3)の性状および分析データを表1および表2に示す。
<化合物(4)の製造方法>
上記シリカゲルカラムクロマトグラフィーから得られたトルエン : アセトン=40 : 1→5 : 1溶出分画のフラクション19~28 (102 g) を、水‐メタノール (1 : 3, 9 L)、メタノール9 L、メタノール‐クロロホルム (1 : 1, 9 L)、クロロホルム 9 Lを用いた逆相系多孔性樹脂Diaion HP-20カラムクロマトグラフィー(内径11 cm×高さ50 cm、1フラクション=1 L)に付し、そのメタノール‐クロロホルム (1 : 1)→クロロホルム溶出画分 (フラクション19~36, 21.8 g) を2回に分けて逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[50 %メタノール1 L→100 %メタノール1 L, 100 %メタノール 1 L→メタノール‐クロロホルム (1 : 1, 1 L)→クロロホルム 1 L;linear gradient, 1フラクション=13 g]にかけ、そのフラクション1~120 (1.29 g) を2回に分けてサイズ排除Sephadex LH-20カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1 : 1)に付し、そのフラクション42~55 (390 mg) を高速液体カラムクロマトグラフィー(85 %メタノール)にかけ、その保持時間44~47分の比屈折率 (RI) のピークから得られたフラクション (57.8 mg) をさらに高速液体カラムクロマトグラフィー(メタノール:2-プロパノール:水=3 : 3 : 4)で精製し、その保持時間211分の比屈折率 (RI) のピークから化合物(4) (11.9 mg) を得た。化合物(4)の性状および分析データを表3および表4に示す。
<化合物(1)の製造>
化合物(3)2 mgと酸化白金IV) (Adams触媒) 1 mgをメタノール1 ml 中に加え、水素ガス雰囲気で1時間攪拌した。この反応溶液はろ過して濃縮し、MTE-3a-betaを得た。反応生成物の化学構造はNMR, MSスペクトルなどの物理化学データより確認した。化学構造の確認は2D-NMR (HSQC, HMBC)にて確認した。化合物(1)の性状および分析データを表5および表6に示す。
<化合物(2)の製造>
化合物(4)2 mgと酸化白金IV) (Adams触媒) 1 mgをメタノール1 ml 中に加え、水素ガス雰囲気で1時間攪拌した。この反応溶液はろ過して濃縮し、MTE-4a-alphaを得た。反応生成物の化学構造はNMR, MSスペクトルなどの物理化学データより確認した。化学構造の確認は2D-NMR (HSQC, HMBC)にて確認した。化合物(2)の性状および分析データを表7および表8に示す。
<抗腫瘍活性試験>
(KB細胞増殖抑制活性試験)
(細胞培養)
細胞はヒト口腔内類表皮癌 (KB) 細胞を用いた。およびヒト扁平上皮肺癌 (A549) 細胞を用いた。培地は牛胎児血清を含むDMEM (Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium) -10 %FCS (Fetal Calf Serum) 500 mlに、抗生物質としてamphotericin B (sigma A9528) 2000倍濃度溶液を250 ml加えたものを使用した。抗生物質はγ線照射済みの amphotericinBを無菌的に20 mlの滅菌ミリQ水で溶解し、1 mlずつ滅菌1.5 mlチューブに分注して−20℃で凍結保存した。注射用アンプル入りkanamycin sulfate 1 g(力価)/4 mlと上記のamphotericin B soln 1 mlを無菌的に混和することで抗生物質の2000倍溶液とした。FCSは56℃、30分処理することで非働化し、50 mlチューブに分注して−20℃で凍結保存した。細胞の培養は37℃、5 %CO2のインキュベーター (TABAI, SANYO) を用いて培養した。
(試薬の調製)
MTT試薬は、PBS (Phosphate-Buffered Saline) に溶解し、5 mg/mlになるように調製した。使用時には培地で10倍希釈 (0.5 mg/ml) したものを用いた
(試料の調製)
サンプルとしてオオバギ葉部の酢酸エチル可溶分画から得られた化合物1~11を用いた。乾燥させたサンプルを1.5 mlチューブに量り取り、DMSOに溶解させて10 mMに調製し、さらに段階希釈したものを用意した。陽性対照として、EtoposideをDMSOで溶解させ、50 mMに調製したものを用いた。
(MTT法)
アッセイはtriplicateで行なった。KB細胞を3×103 cell/well (90 ml medium) で96 well plateに播き、37℃で24時間培養した。培養後、サンプル及び対照をそれぞれ培地で10倍希釈したものを10 mlずつ各wellに加え、37℃で72時間培養した。その後、培地をアスピレーターで吸い出し、培地で10倍希釈したMTT溶液100 mlを各wellに加え、37℃で1.5時間培養した。Plateを逆さにして培地を捨て、100 mlのDMSOを加えて細胞を溶解させた後、分光マイクロプレートリーダー (L1=540 nm, L2=620 nm, L1−L2) で比色定量した。
データ解析は各試料の吸光度の平均値を対照の平均値で割った値に100をかけて算出した生存率(%)から、細胞増殖抑制率を算出した(表9)。
生存率=(試料入り)/(対照)×100
本発明に従って、オオバギ由来の天然化合物を水素化することにより、より効能の優れた腫瘍フラバノン化合物を提供する。
図1は、本発明の新規化合物(1)および新規化合物(2)についてKB細胞およびA549細胞の増殖活性評価試験の結果を示す。比較例として原料の化合物(3)および化合物(4)についての評価結果も示す。

Claims (6)

  1. 下記化学式(1)で表される化合物。
  2. 下記化学式(2)表される化合物。
  3. 請求項1および請求項2に記載の、化学式(1)および化学式(2)で表される化合物からなる群から選択される、少なくとも1以上の化合物を有効成分として含有する、生理活性組成物。
  4. 生理活性組成物が、腫瘍組成物である請求項3に記載の生理活性組成物。
  5. 下記化学式(3)で表される化合物を水素化することを特徴とする、請求項1に記載の化学式(1)の製造方法。
  6. 下記化学式(4)で表される化合物を、水素化することを特徴とする、請求項2に記載の化学式(2)の製造方法
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