JP5233980B2 - 密閉型電池 - Google Patents

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Description

本発明は、車載用バッテリや各種の電子機器の電源として用いられる密閉型電池に関し、さらに詳しくは内部圧力の異常上昇等のために備えられる安全弁部材と電池蓋との結合構造に関する。
各種の電子機器等には、繰り返し充電が可能なリチウム二次電池やカーボンリチウム二次電池等の二次電池が用いられている。かかる二次電池においては、内部に収納された発電要素が化学変化を起こして内圧が異常に高くなる事態が生じることがある。例えば、リチウム二次電池のような非水電解質電池においては、何らかの原因によって所定の電流値以上の電流が流れて過充電状態となると、電解液が分解されて内部にガスが発生する。非水電解質電池は、この状態が継続されると、電解液や電極活物質の急激な分解が促進されて内部温度が上昇しガス噴出といった事態にまで発展する。
したがって、非水電解質電池においては、安全機構が付設されてかかる事態の発生を防止するように構成されている。安全機構は、発電要素と電池蓋との間に配設された安全弁部材やPTC素子等の部材によって構成され、内部圧力が異常に上昇等した場合に動作して発電要素と電池蓋との電気的接続状態を解除する。非水電解質電池は、かかる安全機構によって発電要素に対する過大な電流をカットすることで、ガス発生を停止して内部圧力の上昇を抑制するようにする。
なお、リチウムイオン二次電池においては、高出力化或いは直列接続等を行う場合には、PTC素子を組み込まずに正極部を電池蓋と安全弁部材とによって構成する。また、リチウムイオン二次電池は、PTC素子の代わりに同形状の低抵抗部品が組み付けられる。
特開2000−90892号公報
リチウムイオン二次電池においては、発電要素の正極集電体に集電リードを介して正極リードが接続され、この正極リードと電池蓋とが安全機構を構成する安全弁部材及びPTC素子等の部材を介して接続されている。安全弁部材は、その中心部に正極リードが弾接するとともに、外周部に形成した外周フランジ部を電池蓋に形成した外周フランジ部と重ね合わされる。安全弁部材は、電池蓋がその外周フランジ部をガスケットを介して電池缶の開口部にかしめ止めされることによって、その外周フランジ部と電池蓋の外周フランジ部との接触状態が弾持されて電気的導通が図られている。
ところで、リチウムイオン二次電池においては、一般にポリプロピレンや(登録商標)等の合成樹脂材料によって成形されたガスケットが用いられている。このため、リチウムイオン二次電池においては、合成樹脂製のガスケットの経時変化に伴って電池蓋と安全弁部材との接触状態を弾持する弾性力が低下するために、これら電池蓋と安全弁部材との間における接触抵抗が増加してしまうといった問題があった。リチウムイオン二次電池は、かかる接触抵抗の増加によって全体の内部抵抗値が増加するために、効率が劣化するといった問題が生じる。
また、リチウムイオン二次電池においては、内部圧力の上昇により、電池蓋や安全弁部材等の各部材に変形が生じることがある。リチウムイオン二次電池は、これによっても電池蓋と安全弁部材との間における接触抵抗が増加し、全体の内部抵抗値が増加するといった問題があった。
したがって、本発明は、経時変化や温度変化等に対しても内部抵抗の増加や変動を抑制して安定した出力を得る密閉型電池を提供することを目的に提案されたものである。
上述した目的を達成する本発明にかかる密閉型電池は、発電要素と電池蓋との間に配設され、内部圧力の異常上昇によって変形してこれら発電要素と電池蓋との電気的接続状態を解除する安全弁部材を備え、電池蓋は、全周に形成された外周フランジ部がガスケットを介して電池缶の開口部に封止されることによってこの電池缶に組み付けられ、安全弁部材には、電蓋の外周フランジ部に対応して外周フランジ部が全周に形成され、外周フランジ部の外周縁に沿って、電蓋の外周フランジ部の外周部をかしめ止めする環状のかしめ凸部が一体に立上り形成され、安全弁部材のかしめ凸部をかしめ、電蓋に対して、かしめ凸部によるかしめ部位に上記レーザ溶接が施されることによって結合される。
以上のように構成された本発明にかかる密閉型電池によれば、電蓋と安全弁部材とが強固に接続されて低接触抵抗値の状態に保持されるようになるとともに、経時変化や内部圧力の増加に伴う構成部材の変形等によってもこれら電蓋と安全弁部材との間における抵抗値の増加が抑制されるようになる。密閉型電池においては、これによって全体の内部抵抗値が安定した状態に保持され、大電流出力を効率的に出力する。
以上詳細に説明したように、本発明にかかる密閉型電池によれば、電蓋と安全弁部材とをそれぞれの外周フランジ部を重ね合わせた後に溶接を施して強固に結合することから、経時変化や仕様環境の温度或いは内部圧力の増加に伴う構成部材の変形等によってもこれら電蓋と安全弁部材との間が低接触抵抗値の状態に確実に保持されるようになる。したがって、密閉型電池によれば、全体の内部抵抗値が安定した状態に保持されて大電流出力を効率的に出力することが可能となる。
本発明の実施の形態として示す、リチウムイオン二次電池の要部縦断面図である。 同リチウムイオン二次電池に備えられる発電要素の構成を説明する図である。 同リチウムイオン二次電池に備えられる電池蓋構体の縦断面図である。 同リチウムイオン二次電池に備えられる抵抗溶接法を採用して好適な電池蓋構体の分解縦断面図である。 同リチウムイオン二次電池に備えられるレーザ溶接法を採用して好適な電池蓋構体を示す縦断面図である。 リチウムイオン二次電池の内部抵抗値を測定する測定装置の構成図である。 リチウムイオン二次電池の電池蓋と安全弁部材との間の抵抗値を測定する測定装置の構成図である。 参考例リチウムイオン二次電池と比較例リチウムイオン二次電池との、電池蓋と安全弁部材間の抵抗値と保存期間−保存温度の特性図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態として図1に示した密閉型電池1は、例えばハイブリットシステムカーに搭載されるバッテリー装置に用いられる比較的大型のリチウムイオン二次電池であり、負極を構成する電池缶2の内部に発電要素3を収納するとともに、この電池缶2を正極を構成する電池蓋構体4によって密閉してなる。電池缶2は、有底円筒形を呈する金属 缶からなり、上端の開口縁から所定の高さ位置にビード加工を施して小径に絞ることにより電池蓋構体4の受け部2aが形成されている。電池缶2は、受け部2aから上方部位が、後述するように電池蓋構体4をかしめ止めするかしめ部位2b部として構成されてなる。
発電要素3は、シート状の負極材5と、正極材6と、セパレータ7と、負極集電板8と、正極集電板9等の部材と電解液とによって構成されている。発電要素3は、負極材5と負極集電板8とを多数個の負極集電リード10によって電気的に接続するとともに、正極材6と正極集電板9とを多数個の正極集電リード11によって電気的に接続してなる。
負極材5は、詳細を省略するが、例えば厚みが15μmの銅箔からなる負極集電体の両面に負極活物質合剤を塗布して全体の厚みが60μmとされたシート体からなる。負極活物質合剤は、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な、例えばグラファイトや難黒鉛化炭素或いは易黒鉛化炭素等の炭素材料を負極活物質として、バインダにポリフッ化ビニリデン(PVdF)、溶剤としてn−メチルピロリドン(NMP)を加えてスラリー状化したものが用いられる。負極活物質合剤は、具体的には平均粒径が20μmの炭素粒子90重量部に対して10重量部のPVdFを加えてNMPに分散させてなる。
負極活物質合剤は、負極集電体の両面に例えばドクターブレード法等によって均一に塗布され、乾燥炉内において乾燥処理が施されてNMPが飛ばされた後にロールプレス等の加圧処理が施されて高密度化が図られることによって、負極集電体の両面に負極活物質層を構成する。負極材5は、負極集電体の負極活物質合剤の未塗布部位に負極集電リード10が接続されてなる。
正極材6は、詳細を省略するが、例えば厚みが20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に正極活物質合剤を塗布して全体の厚みが80μmとされたシート体からなる。正極活物質合剤は、正極活物質に導電剤とバインダとを加え、これを溶剤に分散させてスラリー状としたものが用いられる。正極活物質には、例えばLiMO(式中、Mは一種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態で異なり、通常0.05以上1.10以下である。)を主体とするリチウム複合酸化物が用いられ、具体的には高電圧の発生が可能でかつエネルギー密度に優れた、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1−y(0<y<1)が用いられる。導電剤には、例えば黒鉛粉末が用いられる。
正極活物質合剤は、例えば上述した正極活物質、具体的にはLiCoO粉末86重量部に対して、黒鉛粉末10重量部、PVdF樹脂を4重量部が加えられ、これをNMPに分散させてスラリー状化される。正極活物質合剤は、正極集電体の両面に例えばドクターブレード法等によって均一に塗布され、乾燥炉内において乾燥処理が施されてNMPが飛ばされた後にロールプレス等の加圧処理が施されて高密度化が図られることによって、正極集電体の両面に正極活物質層を構成する。正極材6は、正極集電体の負極活物質合剤の未塗布部位に正極集電リード11が接続されてなる。
電解液には、例えばエチレンカーボネート(EC)や、プロピレンカーボネート(PC)或いはブチレンカーボネート(BC)が用いられる。電解液には、カチオンとアニオンとが組み合わされてなり、溶剤に相溶する電解質塩が混合される。電解質塩には、具体的には六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムが、電解液に溶解可能な濃度で用いられる。
上述した負極材5と正極材6とは、セパレータ7を介して重ね合わされた状態で、図2に示すようにその一端から半割り状の巻芯治具12の外周部に順次巻き付けられる。負極材5と正極材6とは、所定数を巻回した状態で最外周部を例えばテープによって固定された後、巻芯治具12から取り外されることによって螺旋状の巻回体を構成する。
ところで、負極材5と正極材6には、重ね合わせ状態で相対する側となるそれぞれの一方側縁に沿った領域が電極活物質の未塗布領域とされ、これら未塗布領域に負極集電リード10或いは正極集電リード11を接合するリード接合部が短冊状に形成されている。したがって、負極材5と正極材6とは、巻回された状態において両端部にそれぞれリード接合部が突出される。
発電要素3は、上述した負極材5と正極材6及びセパレータ7との巻回体が、それぞれ各リード接合部と接合された負極集電リード10と正極集電リード11とを引き出して負極集電板8と正極集電板9とに接続されることによって構成する。各負極集電リード10と正極集電リード11とは、負極集電板8と環状の負極押え金具13及び正極集電板9と環状の正極押え金具14とに挟み込まれた後に、それぞれレーザ溶接が施されて強固に接続固定される。
以上のように構成された発電要素3は、負極集電板8側を装填側として開口部から電池缶2の内部に装填される。発電要素3は、負極集電板8が電池缶2の底面と接触するとともに抵抗溶接等が施されることによって、電気的導通が図られて電池缶2を負極として構成させる。発電要素3は、後述するように正極蓋構体4が電池缶2の開口部にガスケット15を介してかしめ止めされることによって、正極集電板9と正極リード16とが弾接することにより正極蓋構体4との電気的導通が図られる。
ガスケット15は、ポリプロピレンやテフロン等の合成樹脂材料によって全体が段付き筒状を呈して成形されている。ガスケット15は、大径部の外径が電池缶2の内径とほぼ等しく、また小径部の外径が受け部2aの内径よりもやや小径とされている。ガスケット15は、後述するように電池缶2に電池蓋構体4が組み付けられた状態でかしめ部位2bにかしめ処理が施されることによって、電池蓋構体4によって電池缶2の開口部を封止する。
正極蓋構体4は、図1及び図3に示すように、電池蓋(トップカバー)17と、安全弁部材18と、ディスクホルダ19と、ストリッパディスク20と、サブディスク21等の部材によって構成されている。電池蓋17は、導電性の円盤状金属材料に例えばプレス深絞り加工を施すことによって全体が略円筒形を呈して形成してなる。電池蓋17には、その一端側の開口部の外周縁部に全周に亘って外周フランジ部17aが一体に張り出し形成されている。電池蓋17は、リチウムイオン二次電池1がバッテリー装置に装填された状態において、筒状部位がバッテリー装置のケースから外方に臨ませられてガス抜き孔を構成する。外周フランジ部17aは、その外径が、電池缶2の内径に対してやや小径とされるとともに、受け部2aの内径よりもやや大径とされている。
安全弁部材18も、導電性の円盤状金属材料に例えばプレス加工を施して、発電要素3側に膨出された膨出部位18aの外周縁に外周フランジ部18bを全周に亘って一体に張り出し形成した、全体略浅皿状を呈して形成されてなる。外周フランジ部18bは、電池蓋17の外周フランジ部17aに対応して、その外径が電池缶2の内径よりもやや小径とされるとともに受け部2aの内径よりもやや大径とされている。
安全弁部材18には、膨出部位18aの中心部に接続凸部18cが一体に突設されている。安全弁部材18は、詳細を後述するように外周フランジ部18bが電池蓋17の外周フランジ部17aと重ね合わされた状態でスポット溶接が施されることによって、この電池蓋17の内孔を閉塞するとともにスポット溶接部22を介して電池蓋17と機械的かつ電気的に一体化される。
ディスクホルダ19は、絶縁性の合成樹脂によって安全弁部材18の中央部位18aの外径とほぼ等しい内径を有する全体筒状に成形され、内部を仕切るようにして隔壁19aが一体に形成されている。ディスクホルダ19は、安全弁部材18の中央部位18aの外周部に圧入されて一体的に組み付けられる。ディスクホルダ19は、この状態において隔壁19aに形成した貫通孔19bを介して安全弁部材18の接続凸部18cを発電要素3側へと突出させる。
ストリッパディスク20は、その外径がディスクホルダ19の内径とほぼ同径とされた円盤状を呈して形成されてなり、その底面にサブディスク21が接合されている。ストリッパディスク20は、ディスクホルダ19の隔壁19aによって安全弁部材18の中央部位18aとの絶縁が保持されている。ストリッパディスク20には、その中央部に安全弁部材18の接続凸部18cを発電要素3側へと貫通させる中心孔20aが形成されるとともに、この中心孔20aの周囲に位置して内圧の異常を検出して安全弁部材18を変位させる検出孔20bが形成されている。
ストリッパディスク20には、中心孔20aを閉塞するようにしてサブディスク21が結合されている。サブディスク21は、検出孔20bを閉塞させない外径を有しており、正極リード16の一端部が結合される。正極リード16は、例えばアルミ材を略U字状に折曲して形成してなり、その一端部がレーザ溶接によってサブディスク21と一体化されるとともに、他端側が後述するように電池蓋構体4を電池缶2に組み付けた状態において正極集電板9に弾接する。
上述したディスクホルダ19には、その内孔に対して、一方側からサブディスク21を結合固定したストリッパディスク20が圧入されるとともに、他方側から安全弁部材18がその膨出部位18aを圧入されることによって組み付けられる。安全弁部材18は、その外周フランジ部18bがディスクホルダ19から突出されるとともに、接続凸部18cがストリッパディスク20の中心孔20aに臨んでサブディスク21と結合される。安全弁部材18は、接続凸部18cとサブディスク21との結合部分に超音波溶接が施されることによって、サブディスク21を介してストリッパディスク20と一体化される。安全弁部材18とストリッパディスク20とは、ディスクホルダ19の隔壁19aが介在してその絶縁が保持されている。
安全弁部材18には、上述したようにその外周フランジ部18bに電池蓋17の外周フランジ部17aが重ね合わされ、複数箇所にスポット溶接が施されることによって電池蓋17と一体化される。スポット溶接は、例えば超音波溶接、抵抗溶接或いはレーザ溶接等の適宜の溶接法によって行われる。超音波溶接法は、仕上りの精度が高くまた微小クラックによる漏液等を生じさせることも無いので有効である。電池蓋17と安全弁部材18とは、図3に示すように外周フランジ部17aと外周フランジ部18bとの複数箇所が溶接部位22によって固定される。サブディスク21には、上述したように安全弁部材18の接続凸部18cが溶接されるとともに、正極リード16の他端部が溶接されている。
電池蓋構体4は、上述したように電池蓋17と、安全弁部材18と、サブディスク21と、正極リード16がそれぞれ各部を溶接によって一体化されている。したがって、電池蓋構体4は、各部材が充分な機械的強度を以って組み合わされており、また実質的に一体の部材を構成することで各部材間における接触抵抗もほとんど無視することができる構成となっている。
以上のように構成された電池蓋構体4は、発電要素3が装填されるとともに開口部にガスケット15が組み付けられかつ電解液が注入された電池缶2に組み付けられる。ガスケット15は、その大径部が電池缶2のかしめ部位2bの内周面に全周に亘って接触した状態にあり、また小径部が受け部2bから内方へと延在した状態にある。電池蓋構体4は、一体化された電池蓋17と安全弁部材18の外周フランジ部17a、18bの外周縁によって、ガスケット15の大径部を電池缶2のかしめ部位2bの内周面に密着させる。電池蓋構体4は、安全弁部材18の外周フランジ部18bがガスケット15の大径部と小径部とを連結する底面部を介して、電池缶2の受け部2a上に保持される。
電池缶2には、上述したように電池蓋構体4を組み付けた状態で、かしる部位2bを内側へと折曲するかしめ処理が施される。電池蓋構体4は、これによって弾性変形したガスケット15を介して、電池蓋17と安全弁部材18の外周フランジ部17a、18bの周縁部が受け部2aとかしめ部位2bとによって挟持されることで、電池缶2の開口部を封止する。電池缶2と電池蓋構体4とは、かかる構成によって内部に発電要素3と電解液とを密閉したリチウムイオン二次電池1を構成する。
以上のように構成されたリチウムイオン二次電池1においては、ガスケット15の経時変化によって電池蓋17と安全弁部材18の外周フランジ部17a、18bに対する弾性力が次第に低下する。リチウムイオン二次電池1は、上述したように電池蓋構体4を構成する各部材を溶接によって一体化していることから、かかるガスケット15の弾性力の低下によっても各部材間の接触抵抗値が変化するといったことは無い。したがって、リチウムイオン二次電池1は、全体の内部抵抗値が安定した状態に保持され、大電流出力を効率的に出力する。
リチウムイオン二次電池1においては、何らかの原因によって発電要素3に定常値よりも大きな電流が流れて過充電状態が継続して内部にガスが発生することによって電池缶2の内部圧力が異常に上昇した場合に、従来のリチウムイオン二次電池と同様に安全弁部材18が動作する。安全弁部材18には、ストリッパディスク20の検出孔20bを介して異常上昇した内部圧力が作用される。安全弁部材18には、外周フランジ部18bが固定されていることから、中央領域が電池蓋17側へと膨らむ膨出変形が生じる。安全弁部材18は、この膨出変形に伴って、接続凸部18cを介して接続されたサブディスク21に対して電池蓋17側への引上げ力を作用させる。
サブディスク21は、ディスクホルダ19及びストリッパディスク20によって移動が規制されている。したがって、安全弁部材18は、接続凸部18cとサブディスク21との接続状態が切り離され、正極リード16、換言すれば発電要素3との電気的接続が解除される。リチウムイオン二次電池1は、これによって発電要素3に対する電流供給が絶たれることでガスの発生が停止し、内部圧力の上昇が抑制される。
上述した電池蓋構体4においては、電池蓋17と安全弁部材18とが、重ね合わされた外周フランジ部17a、18bとを超音波溶接によって一体化したが、抵抗溶接やレーザ溶接等の他の重ね溶接法によって一体化するようにしてもよいことは勿論である。図4に示した電池蓋構体30は、より効率的かつ高精度の抵抗溶接法が施されるように構成したものである。なお、電池蓋構体30は、構成各部材、部位がその基本的な構成を上述した電池蓋構体4の構成各部材、部位と同等とすることから、それぞれ同一符号を付すことによって詳細な説明を省略する。
すなわち、電池蓋構体30は、電池蓋17の外周フランジ部17aに複数個の溶接凸部31を一体に打ち出し形成したことを特徴とする。各溶接凸部31は、外周フランジ部17aの安全弁部材18の外周フランジ部18bと相対する主面側に突出される。各溶接凸部31は、抵抗溶接を施す箇所に対応して、外周フランジ部17aに同一円周上にほぼ等間隔で形成されている。
以上のように構成された電池蓋17と安全弁部材18とは、それぞれの外周フランジ部17a、18bが重ね合わされた状態で、各溶接凸部31に対応した箇所が溶接電極によって挟み込まれる。電池蓋17と安全弁部材18とは、溶接電極に電流が流されると溶接凸部31が溶融して溶接が行われて一体化する。電池蓋17と安全弁部材18とは、短時間の電流供給によって溶接凸部32が効率的に発熱溶融することで、高精度の溶接が行われるようになる。
図5に示した電池蓋構体35は、より効率的かつ高精度のレーザ溶接法が施されるように構成したものである。電池蓋構体35は、安全弁部材18の外周フランジ部18bの外周縁をかしめるかしめ凸壁36を一体に立設したことを特徴とする。かしめ凸壁36は、その内径を電池蓋17の外周フランジ部17aの外径とほぼ等しくされた筒状立壁からなる。
以上のように構成された安全弁部材18には、かしめ凸壁36によって囲まれた内部に電池蓋17が装填され、それぞれの外周フランジ部17a、18bが重ね合わされて組み合わされる。安全弁部材18には、この状態でかしめ凸壁36を図5矢印で示すように内側へと折曲するかしめ処理が施される。電池蓋17と安全弁部材18とは、外周フランジ部17aが、外周フランジ部18bと折曲されたかしめ凸壁36との間に挟持されることで一体的に組み合わされる。しかしながら、電池蓋17と安全弁部材18とは、このままの状態では外周フランジ部17a、18bとの間が圧接状態であることから、かしめ強度により浮き上がりが生じるとともにその材質を異にする金属によって形成された場合に使用する環境温度によって膨張率が異なる等により接触抵抗が大きくなる。
電池蓋構体35は、電池蓋17と安全弁部材18とをかしめ凸壁36を介してかしめ止めるとともに、これら部材にレーザ溶接機の出射部37からレーザを照射してレーザ溶接を施して一体化する。レーザ溶接は、この場合、図5に示すように折曲されたかしめ凸壁36側から行うようにする。電池蓋構体35は、万一溶接不良によってかしめ凸壁36と外周フランジ部17a間にブローホールが発生した場合にも、裏側の外周フランジ部17a、18b間にまでその影響が及ばないために密閉性が保持されて漏液が生じることは無い。したがって、電池蓋構体35は、電池蓋17と安全弁部材18とがより効率的かつ高精度にレーザ溶接される。
以上のようにして製作された本発明の参考例リチウムイオン二次電池と従来の比較例リチウムイオン二次電池について、それぞれ図6及び図7に示した測定装置40、50によって電池内部抵抗値(DCR値)及び電池蓋17と安全弁部材18との間の抵抗値(TC−SC値)の測定を行った。測定装置40は、リチウムイオン二次電池の電池缶2の底面と電池蓋17とにそれぞれ測定端子41、42を接続し、これら測定端子41、42の一方側に電圧計43を接続するとともに他方側に負荷44を接続して構成した。各リチウムイオン二次電池のDCR値は、電圧計43によって、9Aの電流を5秒通電後の電圧値V1と27Aの電流を5秒通電後の電圧値V2とをそれぞれ計測し、(V2−V1)/(27A−9A)によって求めた。
測定装置50は、リチウムイオン二次電池の電池蓋17と安全弁部材18とにそれぞれ測定端子51、52を接続し、これら測定端子51、52の一方側に電圧計53を接続するとともに他方側に電流計54と直流電源55とを接続して構成した。TC−SC値は、電圧計53の計測値Vと電流計54の計測値Aとを計測して、V/Aにより間接的に求めた。
DCR値及びTC−SC値の測定は、各参考例リチウムイオン二次電池と比較例リチウムイオン二次電池について、それぞれ保存温度25℃及び40℃の状態で、保存日数が0日、6日、12日、20日、25日、32日、41日に計測した抵抗値の平均を求めた。参考例リチウムイオン二次電池のDCR値及びTC−SC値は、表1の通りであった。また、比較例リチウムイオン二次電池のDCR値及びTC−SC値は、表2の通りであった。また、図8は、TC−SC値を縦軸とし、保存日数を横軸として示した参考例リチウムイオン二次電池と比較例リチウムイオン二次電池との特性図である。
Figure 0005233980
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参考例リチウムイオン二次電池は、表1及び図8から明らかなように、保存温度25℃においてDCR値が、保存日数0日で4.33mΩであり、保存日数の増加にしたがって次第に増加して保存日数20日で4.61mΩ、保存日数41日で4.72mΩであった。また、参考例リチウムイオン二次電池は、保存温度40℃においてDCR値が保存日数0日で4.33mΩであり、保存日数の増加にしたがって次第に増加して保存日数20日で4.94mΩ、保存日数41日で5.39mΩであった。
また、参考例リチウムイオン二次電池は、表1及び図8から明らかなように、保存温度25℃においてTC−SC値が、保存日数0日で0.12mΩであったが保存日数の増加によってもほとんど変化は無く、保存日数20日で0.15mΩ、保存日数41日で0.14mΩであった。また、参考例リチウムイオン二次電池は、保存温度40℃においてTC−SC値が保存日数0日で0.12mΩであったが保存日数の増加によってもほとんど変化は無く、保存日数20日で0.17mΩ、保存日数41日で0.14mΩであった。
参考例リチウムイオン二次電池は、電池蓋17と安全弁部材18とを溶接して一体化した構成であることから、保存温度条件或いは保存期間によってもこれら部材間の接触抵抗値(TC−SC値)にほとんど変化を生じない。したがって、参考例リチウムイオン二次電池においては、保存期間の経過や温度条件による内部抵抗値(DCR値)の変動が小さく、安定した状態に保持されて大電流出力を効率的に出力する。
一方、比較例1のリチウムイオン二次電池は、表2及び図8から明らかなように、保存温度25℃においてDCR値が、保存日数0日で5.56mΩであり、保存日数の増加にしたがって次第に増加して保存日数20日で5.89mΩ、保存日数41日で6.11mΩであった。また、比較例1のリチウムイオン二次電池は、保存温度40℃においてDCR値が保存日数0日で4.94mΩであり、保存日数の増加にしたがって次第に増加して保存日数20日で6.00mΩ、保存日数41日で7.44mΩであった。
また、比較例2のリチウムイオン二次電池は、表2及び図8から明らかなように、保存温度25℃においてDCR値が、保存日数0日で4.78mΩであり、保存日数の増加にしたがって次第に増加して保存日数20日で5.11mΩ、保存日数41日で5.39mΩであった。また、比較例2のリチウムイオン二次電池は、保存温度40℃においてDCR値が保存日数0日で4.83mΩであり、保存日数の増加にしたがって次第に増加して保存日数20日で6.83mΩ、保存日数41日で7.28mΩであった。
比較例1のリチウムイオン二次電池は、表2及び図8から明らかなように、保存温度25℃においてTC−SC値が、保存日数0日で1.47mΩであったが保存日数の増加による変化が生じ、保存日数20日で1.53mΩ、保存日数41日で1.55mΩであった。また、比較例1のリチウムイオン二次電池は、保存温度40℃においてTC−SC値が保存日数0日で0.54mΩであったが保存日数の増加にしたがって次第に増加して保存日数20日で0.90mΩ、保存日数41日で1.76mΩであった。
また、比較例2のリチウムイオン二次電池は、表2及び図8から明らかなように、保存温度25℃においてTC−SC値が、保存日数0日で0.36mΩであったが保存日数の増加による変化が生じ、保存日数20日で0.37mΩ、保存日数41日で0.39mΩであった。また、比較例2のリチウムイオン二次電池は、保存温度40℃においてTC−SC値が保存日数0日で0.45mΩであったが保存日数の増加にしたがって次第に増加して保存日数20日で1.84mΩ、保存日数41日で1.91mΩであった。
比較例リチウムイオン二次電池は、電池蓋17と安全弁部材18とが外周フランジ部17a、18bをガスケット15の弾性力によって圧接された構成であることから、製品毎にこれら部材間の接触抵抗値(TC−SC値)のバラツキが大きい。また、比較例リチウムイオン二次電池においては、保存日数の増加或いは保存温度によって電池蓋17と安全弁部材18の接触抵抗値が大きく変動するとともに増加する。したがって、比較例リチウムイオン二次電池は、電池蓋17と安弁部材18の接触抵抗値のバラツキ或いは保存期間の経過や保存温度条件によって内部抵抗値(DCR値)の変動が大きくなり、またその値も大きくなることで次第に大電流の出力が劣化する。
なお、上述した参考例リチウムイオン二次電池は、電池蓋17と安全弁部材18の外周フランジ部17a、18bを超音波溶接によって結合したものを用いたが、上述した抵抗溶接或いはレーザ溶接によって結合したリチウムイオン二次電池も同等の特性を有する。
また、本発明は、上述したリチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、電池蓋17に安全弁部材18が組み付けられたその他の密閉型電池、例えばリチウム一次電池等にも適用可能である。
1 リチウムイオン二次電池、2 電池缶、3 発電要素、4 電池蓋構体、5 負極材、6 正極材、7 セパレータ、15 ガスケット、16 正極リード、17 電池蓋、17a 外周フランジ部、18 安全弁部材、18b 外周フランジ部、18c 接続凸部、19 ディスクホルダ、20 ストリッパディスク、21 サブディスク、22 溶接部位、30 電池蓋構体、31 溶接凸部、35 電池蓋構体、36 カシメ部位、37 レーザ溶接機の出射部

Claims (1)

  1. 発電要素と電池蓋との間に配設され、内部圧力の異常上昇によって変形してこれら発電要素と電池蓋との電気的接続状態を解除する安全弁部材を備え、
    上記電池蓋は、全周に形成された外周フランジ部がガスケットを介して電池缶の開口部に封止されることによってこの電池缶に組み付けられ、
    上記安全弁部材には、上記電蓋の外周フランジ部に対応して外周フランジ部が全周に形成され、上記外周フランジ部の外周縁に沿って、上記電蓋の外周フランジ部の外周部をかしめ止めする環状のかしめ凸部が一体に立上り形成され、
    上記安全弁部材の上記かしめ凸部をかしめ、上記電蓋に対して、上記かしめ凸部によるかしめ部位に上記レーザ溶接が施されることによって結合される密閉型電池。
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