JP5233548B2 - 内臓脂肪測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内臓脂肪測定装置に関するものである。
従来、X線CTやMRIを用いて撮影された断層画像から、内臓脂肪量を測定する方法が知られている。かかる測定方法によれば、内臓脂肪量を高精度に測定できるものの、大型の設備が必要であり、X線CTやMRIが設置された医療施設でしか測定することができない。従って、かかる測定方法によって日常的に内臓脂肪量を測定するのは現実的ではない。なお、X線CTは、MRIに比べて繊細な画像を撮影できるが、被爆のリスクを伴う。
そこで、内臓脂肪量を簡易的かつ非侵襲的に測定できる装置の実現が望まれている。
なお、関連する技術としては、特許文献1に開示されたものがある。
特開2002−369806号公報
本発明の目的は、内臓脂肪量の測定を簡易的かつ非侵襲的に行うことを可能とする内臓脂肪測定装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明の内臓脂肪測定装置は、
胴体のうち腹部を通り胴体の体軸に垂直な断面の胴体断面積を算出する基礎となる胴体測定情報と、
手足から胴体を通るように電流を流し、胴体表面の一部の電位差を測定することで得られた胴体全体のインピーダンス情報と、
複数の電極を有するベルトを胴体に巻くことで、胴体の表層付近を通るように電流を流し、胴体表面の一部の電位差を測定することで得られた胴体表層部のインピーダンス情報と、
に基づいて、内臓脂肪量を算出する内臓脂肪測定装置であって、
前記ベルトは、
測定対象者の背中に押し当てられ、かつ前記電極が設けられた押し当て部材と、
該押し当て部材の両側にそれぞれ固定された一対のベルト部と、
これら一対のベルト部を固定するバックルと、
を備え、
前記一対のベルト部には、ベルトにおける基準(例えば、押し当て部材に対するベルト部の固定位置や押し当て部材の幅方向の中心位置)となる位置からの距離を示す指標(例えば、目盛,数値,文字,記号,図形、及びこれらのうち2以上の組合せ)がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
なお、本発明における「内臓脂肪量」には、内臓脂肪断面積,内臓脂肪体積及び腹部断面積に対する内臓脂肪断面積の割合など、内臓脂肪量を示す指標となるものが含まれる。
本発明によれば、胴体断面積を算出する基礎となる胴体測定情報と、胴体全体のインピ
ーダンス情報と、胴体表層部のインピーダンス情報から、内臓脂肪量を測定できる。ここで、胴体断面積を算出する基礎となる胴体測定情報としては、腰部の周囲長(ウエスト長)や胴体の縦横幅を挙げることができ、これらは簡単に測定することができる。また、人体(生体)に電流を流した状態で電位差を測定することでインピーダンス情報が得られるため、インピーダンス情報も簡単に得ることができる。従って、内臓脂肪量の測定を比較的容易に、かつ非侵襲的に行うことができる。
また、本発明においては、電極が設けられた押し当て部材を、測定対象者の背中に押し当てるようにベルトを胴体に巻くことで、電極を所定の位置に接触させる構成を採用している。そのため、電極を所定の位置に合わせるのが難しいことも懸念される。しかしながら、本発明においては、一対のベルト部には、基準となる位置からの距離を示す指標がそれぞれ設けられている。従って、この指標を見ながらベルトを腰に巻くことで、押し当て部材の位置調整(つまり、電極の位置調整)を簡単に行うことができる。
ここで、前記胴体表面の一部の電位差を測定する場合には、背中側の電位差を測定するとよい。
また、前記胴体表面の一部の電位差を測定する場合には、胴体の体軸方向の電位差を測定するとよい。
前記バックルには、前記一対のベルト部がそれぞれ巻かれて、これら一対のベルト部をそれぞれ支持する一対のローラが設けられているとよい。
このように、ベルト部を支持するものがローラにより構成されることで、バックルに対するベルト部の移動が円滑になり、押し当て部材の位置調整作業を円滑に行うことができる。
前記バックルの中央には透明板が設けられており、この透明板には前記バックルの幅方向の中心を示す指標が設けられているとよい。
これにより、バックルにおける腹部の中心への位置合わせを容易に行うことができ、上記のベルト部に設けられた指標との相乗効果により、押し当て部材の位置調整(つまり、電極の位置調整)をより一層簡単に行うことができる。
前記押し当て部材における背中に押し当てる面の裏面には、前記押し当て部材の幅方向の中心位置を示す指標が設けられているとよい。
このようにすれば、測定対象者以外の第三者が、押し当て部材を測定対象者の背中に押し当てる場合に、押し当て部材の位置合わせを簡単に行うことができる。
前記胴体全体のインピーダンス情報から脂肪を除く除脂肪断面積を算出し、前記胴体表層部のインピーダンス情報から皮下脂肪断面積を算出し、前記胴体測定情報から算出された胴体断面積からこれら除脂肪断面積及び皮下脂肪断面積を減ずることで内脂肪断面積を算出するとよい。
すなわち、胴体全体のインピーダンスは、脂肪を除く除脂肪(内臓と筋肉と骨格)の量の影響が大きく、このインピーダンスから除脂肪断面積を算出することができる。そして、胴体表層部のインピーダンスは、皮下脂肪の量の影響が大きく、このインピーダンスから皮下脂肪断面積を算出することができる。なお、皮下脂肪は、一般的に胴体の腹側よりも脇腹から背中側に多く蓄積することから、背中側でインピーダンスを測定したほうが、
より正確に皮下脂肪の断面積を測定することができる。このようにして得られた除脂肪断面積と皮下脂肪断面積を用いて、胴体断面積からこれらの面積を減ずることで、内臓脂肪断面積が得られる。
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
以上説明したように、本発明によれば、内臓脂肪量の測定を簡易的かつ非侵襲的に行うことができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例)
図1〜図12を参照して、本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置について説明する。
<内臓脂肪測定原理>
図1及び図2を参照して、本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置における内臓脂肪の測定原理について説明する。図1及び図2はインピーダンスを測定する際の様子を示した模式図である。なお、図1及び図2においては、内臓脂肪を測定するユーザの背中側から見た様子を示している。
図1は胴体全体のインピーダンス情報を得る場合の様子を示している。図示のように、内臓脂肪を測定するユーザの両手にそれぞれ電極EILa10,EIRa10が取り付けられる。また、ユーザの両足にもそれぞれ電極EILb10,EIRb10が取り付けられる。そして、ユーザの胴体の背中側の位置に、胴体の体軸方向に並ぶように設けられる一対の電極が、胴体の横幅方向に4箇所取り付けられる。つまり、合計8個の電極EVa11,EVb11,EVa12,EVb12,EVa13,EVb13,EVa14,EVb14が取り付けられる。
この状態で、両手両足のそれぞれ取り付けられた電極EILa10,EIRa10,EILb10,EIRb10を用いて胴体を通る電流I10を流す。そして、一対の電極EVa11,EVb11を用いて電位差V11を測定し、一対の電極EVa12,EVb12を用いて電位差V12を測定し、一対の電極EVa13,EVb13を用いて電位差V13を測定し、一対の電極EVa14,EVb14を用いて電位差V14を測定する。つまり、背中側の4箇所にて、胴体表面の一部の電位差を測定する。
このようにして測定された電位差から、胴体全体のインピーダンスZtを算出する。なお、4箇所で電位差V11,V12,V13,V14を測定し、これらの平均値を用いて胴体全体のインピーダンスを算出することによって、胴体内の脂肪分布のばらつき等の影響を低減させることができる。
ここで、胴体から離れた両手両足から電流I10を流した場合には、電流I10の殆どは、電気抵抗の低い部分、すなわち脂肪以外の部分を通る。従って、このような電流I10を用いて測定された電位差V11,V12,V13,V14から算出された胴体全体のインピーダンスZtは、脂肪を除く除脂肪(内臓と筋肉と骨格)の量の影響が大きい。従って、このインピーダンスZtから除脂肪断面積Sa(推定値)を算出することができる
図2は胴体のうち背中側の胴体表層部のインピーダンス情報を得る場合の様子を示している。図示のように、ユーザの胴体のうち背中側に、胴体の体軸方向に並ぶように設けられる一対の電極が、胴体の横幅方向に4箇所取り付けられる。つまり、合計8個の電極EIa21,EIb21,EVa21,EVb21,EIa22,EIb22,EVa22,EVb22が取り付けられる。
この状態で、一対の電極EIa21,EIb21を用いて電流I21を流し、一対の電極EIa22,EIb22を用いて電流I22を流す。なお、電流I21の電流値と電流I22の電流値は同じである。そして、一対の電極EVa21,EVb21を用いて電位差V21を測定し、一対の電極EVa22,EVb22を用いて電位差V22を測定する。つまり、背中側の2箇所にて、胴体表面の一部の電位差を測定する。
このようにして測定された電位差から、胴体のうち背中側の胴体表層部のインピーダンスZsを算出する。なお、2箇所で電位差V21,V22を測定し、これらの平均値を用いて胴体表層部のインピーダンスZsを算出することによって、皮下脂肪のばらつき等の影響を低減させることができる。なお、電流を流していた電極を、電位差を測定する電極とし、かつ電位差を測定していた電極を、電流を流すための電極とするように回路を切り替えることで、4箇所で電位差を測定することも可能である。こうすることで、皮下脂肪のばらつき等の影響をより一層低減させることができる。
ここで、背中のうち腹部の裏側の位置に取り付けられた一対の電極によって電流I21,I22を流した場合には、電流I21,I22の殆どは胴体の表層部を通る。従って、このような電流I21,I22を用いて測定された電位差V21,V22から算出された胴体表層部のインピーダンスZsは、皮下脂肪量の影響が大きい。従って、このインピーダンスZsから皮下脂肪断面積Sb(推定値)を算出することができる。
従って、胴体断面積(胴体のうち腹部を通り胴体の体軸に垂直な断面の面積)をStとすると、内臓脂肪断面積Sxは、
Sx=St−Sa−Sb
となり、内臓脂肪断面積Sxを算出することができる。
ここで、胴体断面積Stは、腰部の周囲長(ウエスト長)や、胴体(腹部付近)の縦横幅から算出することができる。例えば、胴体の縦横幅から算出する場合、胴体の横幅が2a,縦幅が2bであれば、胴体の断面はおおよそ楕円形であるので、胴体断面積はおおよそπ×a×bとなる。ただし、この値は誤差が大きいので、誤差を補正するための係数を乗ずることによって、より正確な胴体断面積Stを得ることができる。この係数としては、例えば、多数のX線CT画像サンプルに基づいて、X線CT画像から得られる胴体断面積St’とaとbとの関係から、St’=α×π×a×bを満足するようなαの最適値を求めることができる。
これにより、胴体の横幅2aと縦幅2bに基づいて、より誤差の少ない胴体断面積St(=α×π×a×b)を算出することができる。なお、上記補正のために乗ずるαに関しては、性別,年齢層,身長,体重等(以下、これらをユーザ情報と称する。)に応じて適宜最適値が異なり得るため、測定するユーザに応じてαの値を変更することで、より一層正確な胴体断面積Stを算出することが可能となる。
また、上記の通り、除脂肪断面積Saは、胴体全体のインピーダンスZtから算出することができる。ただし、この胴体全体のインピーダンスZtのみでは、除脂肪断面積Sa
を算出することはできない。すなわち、この除脂肪断面積Saは胴体の大きさに比例すると共に、インピーダンスZtから得られる値を除脂肪断面積Saに換算する必要がある。より具体的には、例えば、この除脂肪断面積Saは、
Sa=β×a×(1/Zt)
で表すことができる。
ここで、aは上記の通り胴体の横幅の半分の値であり、胴体の大きさに関係する値である。この値に関しては、これに限らず、例えば、胴体の縦横幅の値が反映されるように(a×b)を用いてもよいし、胴体断面積Stを用いてもよいし、腰部の周囲長(ウエスト長)を用いてもよい。
また、βは、除脂肪断面積Saに換算するための係数であり、上記αを求めた場合と同様に、多数のX線CT画像サンプルから最適値を求めることができる。すなわち、多数のX線CT画像サンプルに基づいて、X線CT画像から得られる除脂肪断面積Sa’と、aと、当該X線CT画像の撮影対象となった人物の胴体全体のインピーダンスZtとの関係から、Sa’=β×a×(1/Zt)を満足するようなβの最適値を求めることができる。
更に、上記の通り、皮下脂肪断面積Sbは、背中のうち腹部の裏側の位置における胴体表層部のインピーダンスZsから算出することができる。ただし、この表層部のインピーダンスZsのみでは、皮下脂肪断面積Sbを算出することはできない。すなわち、この皮下脂肪断面積Sbは胴体の大きさに比例すると共に、インピーダンスZsから得られる値を皮下脂肪断面積Sbに換算する必要がある。より具体的には、例えば、この皮下脂肪断面積Sbは、
Sb=γ×a×Zs
で表すことができる。
ここで、aは上記の通り胴体の横幅の半分の値であり、胴体の大きさに関係する値である。この値に関しては、これに限らず、例えば、胴体の縦横幅の値が反映されるように(a×b)を用いてもよいし、胴体断面積Stを用いてもよいし、腰部の周囲長(ウエスト長)を用いてもよい。
また、γは、皮下脂肪断面積Sbに換算するための係数であり、上記αを求めた場合と同様に、多数のX線CT画像サンプルから最適値を求めることができる。すなわち、多数のX線CT画像サンプルに基づいて、X線CT画像から得られる皮下脂肪断面積Sb’と、aと、当該X線CT画像の撮影対象となった人物の胴体表層部のインピーダンスZsとの関係から、Sb’=γ×a×Zsを満足するようなγの最適値を求めることができる。
なお、上述のβ及びγは、腹部の断面積を求める場合に用いたαの場合と同様に、ユーザ情報に応じて適宜最適値が異なり得る。従って、測定するユーザに応じてβ及びγの値を変更することで、より一層正確な除脂肪断面積Sa及び皮下脂肪断面積Sbを算出することが可能となる。
以上のように、本実施例に係る内臓脂肪測定装置においては、胴体断面積Stと、胴体全体のインピーダンスZtに基づいて算出される除脂肪断面積Saと、胴体表層部のインピーダンスZsに基づいて算出される皮下脂肪断面積Sbから内臓脂肪断面積Sxが算出される。
すなわち、
Sx=St−Sa−Sb
で表される。
ここで、St=α×π×a×bであり、Sa=β×a×(1/Zt)であり、Sb=γ×a×Zsである。そして、aは胴体の横幅の半分の値であり、bは胴体の縦幅の半分の値である。また、α,β,γは、多数のX線CT画像サンプルに基づいて得られた、St,Sa,Sbの最適値を求めるための係数である。なお、これらの係数は、上記の通り、ユーザ情報に応じて変更し得るものである。
上記の式からも分かるように、測定(算出)される内臓脂肪量は、内臓脂肪断面積である。ただし、測定結果としての内臓脂肪量は、内臓脂肪断面積に限らず、胴体断面積に対する内臓脂肪断面積の割合や、内臓脂肪断面積から換算される内臓脂肪体積とすることもできる。
なお、本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置の内臓脂肪測定原理においては、上記の式から分かるように、内臓脂肪断面積Sxが、胴体断面積Stから除脂肪断面積Sa及び皮下脂肪断面積Sbを減ずることで得られるという考え方に基づいている。
しかしながら、本発明に係る内臓脂肪測定装置は、必ずしも、上記の式Sx=St−Sa−Sbをそのまま適用したものに限らず、このような原理を応用したものも含まれる。
例えば、
Sx=St−Sa−Sb+δ(δは補正量)
から内臓脂肪断面積Sxを求めることもできる。つまり、上記のα,β,γを求めた場合と同様の手法によって、多数のX線CT画像サンプルに基づいて、補正量δを加えるようにすることもできる。
また、
Sx=St−F(Zt,Zs,a,b)
から内臓脂肪断面積Sxを求めることもできる。なお、F(Zt,Zs,a,b)は、Zt,Zs,a,bをパラメータとする関数である。
すなわち、除脂肪断面積Sa及び皮下脂肪断面積Sbの合計値は、胴体全体のインピーダンスZt,胴体表層部のインピーダンスZs及び胴体の大きさ(本実施例では、胴体の縦横幅)と相関関係がある。従って、除脂肪断面積Sa及び皮下脂肪断面積Sbの合計値を、t,Zs,a,bをパラメータとする関数F(Zt,Zs,a,b)から求めることも可能である。なお、この関数F(Zt,Zs,a,b)についても、多数のX線CT画像サンプルから導き出すことができる。
<内臓脂肪測定装置の全体構成>
図3を参照して、本実施例に係る内臓脂肪測定装置の全体構成について説明する。図3は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置の全体構成図である。
本実施例に係る内臓脂肪測定装置は、装置本体100と、手足に電極を取り付けるための4個のクリップ201,202,203,204と、背中に電極を取り付けるためのベルト300と、胴体の縦横幅を測定するための測定ユニット400と、装置本体100に電力を供給するためのコンセント500とを備えている。
装置本体100は、各種入力情報や測定結果を表示する表示部110と、装置本体100の電源をオンまたはオフにしたり、各種情報を入力したりするための操作部120とを備えている。
クリップ201,202,203,204は、それぞれ電極を備えている。そして、これらのクリップ201,202,203,204を、手足(好適には手首と足首)に挟み込むように取り付けることによって、手足に電極を密着させることができる。なお、クリップ201,202,203,204にそれぞれ備えられた電極は、図1に示した電極EILa10,EIRa10,EILb10,EIRb10に相当する。
ベルト300は、測定対象者であるユーザの背中に押し当てる押し当て部材310と、押し当て部材310の両側にそれぞれ固定されたベルト部320と、ベルト部320を固定するためのバックル330とを備えている。そして、押し当て部材310には、合計8個の電極Eが設けられている。このように構成されたベルト300を、押し当て部材310が、尾てい骨の少し上の辺りに当るように腰に巻き付けることによって、8個の電極Eを、ユーザの背中のうち腹部の裏側の位置に密着させることができる。なお、これらの8個の電極Eは、図1に示す8個の電極EVa11,EVB11,EVa12,EVb12,EVa13,EVb13,EVa14,EVb14、及び図2に示す8個の電極EIa21,EIb21,EVa21,EVb21,EIa22,EIb22,EVa22,EVb22に相当する。つまり、胴体全体のインピーダンスZtを算出する場合と、胴体表層部のインピーダンスZsを算出する場合とで、装置本体100において、電気回路を切り替えることによって、8個の電極Eの役割を変えることができる。
測定ユニット400は、横幅測定用カーソル部401a及び縦幅測定用カーソル部401bを備えたカーソル支持部401を備えている。このカーソル支持部401は、上下方向及び左右方向に移動可能に構成されている。この測定ユニット400を用いて、例えば、ユーザがベッドに寝そべった状態で、横幅測定用カーソル部401aと縦幅測定用カーソル部401bを、それぞれ横腹とへその辺りに接触させる位置にカーソル支持部401を移動させることで、胴体の横幅2aと縦幅2bを測定することができる。なお、本実施例においては、カーソル支持部401の位置情報に基づいて、装置本体100において、胴体の横幅2aと縦幅2bが電気的な情報(データ)として得られるように構成されている。このようにして得られた胴体の横幅2aと縦幅2bに関する情報から胴体断面積が算出されることについては、内臓脂肪測定原理の中で説明した通りである。
なお、本実施例では、内臓脂肪測定装置に測定ユニット400が備えられており、この測定ユニット400によって、胴体の縦横幅や胴体断面積が自動的に測定されるように構成されている。しかしながら、その他の測定装置、あるいは人の手で測定したり計算したりして得られた値を、装置本体100に入力する構成を採用することもできる。
<内臓脂肪測定装置の制御構成>
図4を参照して、本実施例に係る内臓脂肪測定装置の制御構成について説明する。図4は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置の制御ブロック図である。
本実施例に係る内臓脂肪測定装置においては、装置本体100Bに、制御部(CPU)130Bと、表示部110Bと、操作部120Bと、電源部140Bと、メモリ部150Bと、電位差検出部160Bと、回路切替部170Bと、定電流生成部180Bと、ユーザ情報入力部190Bとが設けられている。
表示部110Bは、操作部120Bやユーザ情報入力部190Bからの入力情報や、測定結果などを表示させる役割を担っており、液晶ディスプレイなどにより構成される。操作部120Bは、ユーザ等が各種情報を入力可能とするための役割を担っており、各種ボタンやタッチパネルなどにより構成される。なお、本実施例では、操作部120Bからのユーザ情報の入力以外にも、バーコードリーダ,カードリーダあるいはUSBメモリなど
からもユーザ情報入力部190Bを介して、ユーザ情報が入力されるように構成されている。
電源部140Bは、制御部10などに電力を供給する役割を担っており、操作部120Bによって、電源がオンにされると、各部に電力を供給し、電源がオフにされると、電力供給を停止させる。メモリ部150Bは、内臓脂肪を測定するための各種データやプログラムなどを記憶している。
そして、クリップ201,202,203,204にそれぞれ設けられた電極E及びベルトに設けられた電極Eが、装置本体100Bに設けられている回路切替部170Bに電気的に接続されている。また、測定ユニット400に備えられた体格情報計測部400Bが、装置本体100Bに設けられている制御部130Bに電気的に接続されている。
制御部130Bは、内臓脂肪測定装置全体の制御を司る役割を担っている。また、制御部130Bには、演算処理部131Bが備えられている。そして、この演算処理部131Bには、制御部130Bに送られた各種情報に基づいて、インピーダンスを算出するインピーダンス算出部131Baと、算出されたインピーダンスに基づいて各種の脂肪量を算出する各種脂肪量算出部131Bbとが備えられている。
回路切替部170Bは、例えば、複数のリレー回路によって構成される。この回路切替部170Bは制御部130Bからの指令に基づいて、電気回路を変更する役割を担っている。すなわち、上記の通り、胴体全体のインピーダンス情報を得る場合には、図1に示す回路構成とし、背中側の胴体表層部のインピーダンス情報を得る場合には、図2に示す回路構成とするように電気回路を変更する。
定電流生成部180Bは、制御部130Bからの指令に基づいて、高周波電流(例えば、50kHz,500μA)を流す。より具体的には、図1に示す電気回路の場合には、電極EILa10,EIRa10と電極EILb10,EIRb10間に電流I10を流す。また、図2に示す電気回路の場合には、電極EIa21と電極EIb21との間、及び電極EIa22と電極EIb22との間にそれぞれ電流I21,I22を流す。
電位差検出部160Bは、定電流生成部180Bによって電流が流されている間における所定の電極間の電位差を検出する。より具体的には、図1に示す電気回路の場合には、電極EVa11と電極EVb11との間で電位差V11を検出し、電極EVa12と電極EVb12との間で電位差V12を検出し、電極EVa13と電極EVb13との間で電位差V13を検出し、電極EVa14と電極EVb14との間で電位差V14を検出する。また、図2に示す電気回路の場合には、電極EVa21と電極EVb21との間で電位差V21を検出し、電極EVa22と電極EVb22との間で電位差V22を検出する。
そして、電位差検出部160Bにて検出された電位差情報は、制御部130Bに送られる。
また、測定ユニット400により測定されて得られた体格情報は、体格情報計測部400Bから装置本体100Bの制御部130Bに送られる。なお、本実施例における体格情報は、上記の通り、胴体の横幅2aの寸法と、縦幅2bの寸法に関する情報である。
制御部130Bにおける演算処理部131Bにおいては、電位差検出部160Bから送られた電位差情報に基づいて、インピーダンス算出部131Baにて、胴体全体のインピーダンスZt及び胴体表層部のインピーダンスZsを算出する。また、演算処理部131Bにおいては、算出された胴体全体のインピーダンスZt及び胴体表層部のインピーダン
スZsと、体格情報計測部400Bから送られる体格情報と、操作部120Bやユーザ情報入力部190Bから送られる各種情報に基づいて、各種脂肪量算出部131Bbにて各種脂肪量(内臓脂肪断面積を含む)を算出する。
次に、本実施例に係る内臓脂肪測定装置における測定手順について簡単に説明する。
まず、内臓脂肪測定を行うユーザまたは当該ユーザの測定を行う者は、装置本体100(100B)の電源をオンにすると共に、ユーザ情報を入力する。そして、測定ユニット400によって、ユーザの胴体の縦横幅の測定を行う。これにより、ユーザの胴体の横幅2aと縦幅2bに関する情報が装置本体100(100B)に送られる。なお、装置本体100(100B)においては、これらの情報に基づいて、胴体断面積St(=α×π×a×b)を算出する。なお、αはメモリ部150Bから読み取られる。
次に、ユーザの手足にクリップ201,202,203,204を取り付けると共に、ユーザの腰にベルト300を巻く。そして、インピーダンスの測定を開始する。
本実施例においては、最初に、回路切替部170Bによって、図1に示す電気回路となるように制御される。これにより、制御部130Bのインピーダンス算出部131Baによって胴体全体のインピーダンスZtが算出される。そして、各種脂肪量算出部131Bbによって、この算出されたインピーダンスZt,測定ユニット400により測定されて得られたa、及びメモリ部150Bに記憶されているβから除脂肪断面積Sa(=β×a×(1/Zt))が算出される。
次に、回路切替部170Bによって、図2に示す電気回路となるように制御される。これにより、制御部130Bのインピーダンス算出部131Baによって胴体表層部のインピーダンスZsが算出される。そして、各種脂肪量算出部131Bbによって、この算出されたインピーダンスZs,測定ユニット400により測定されて得られたa、及びメモリ部150Bに記憶されているγから皮下脂肪断面積Sb(=γ×a×Zs)が算出される。
そして、制御部130Bは、演算処理部131Bによって、上記のようにして得られた胴体断面積St,除脂肪断面積Sa及び皮下脂肪断面積Sbから内臓脂肪断面積Sx(=St−Sa−Sb)を算出し、測定結果として内臓脂肪断面積Sx等の値を表示部110(110B)に表示させる。なお、この測定手順では、各種脂肪量算出部にて、Sx=St−Sa−Sbを用いて内臓脂肪断面積Sxを求める場合について説明したが、内臓脂肪測定原理の中で説明したとおり、Sx=St−Sa−Sb+δやSx=St−F(Zt,Zs,a,b)などを用いて内臓脂肪断面積Sxを求めるようにしてもよい。
<ベルト>
図5〜図12を参照して、ベルト300について、更に詳細に説明する。図5は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルの外観斜視図である。図6は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルを分離した様子を示す斜視図である。図7は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルにベルト部を取り付ける際の様子を示す斜視図である。図8及び図9は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルにベルトを固定した状態を示す模式的断面図である。図10は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるベルトの一部破断平面図である。図11は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルの平面図である。図12は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置における押し当て部材の裏面図である。
本実施例においては、上記の通り、押し当て部材310が尾てい骨の少し上の辺りに当
るようにベルト300を腰に巻き付けることで、押し当て部材310に設けられた合計8個の電極Eを、ユーザの背中のうち腹部の裏側の位置に密着させる構成を採用している。
ここで、押し当て部材310は左右対称となるように構成されており、押し当て部材310の幅方向の中心が背中の幅方向の中心となるように背中に押し当てた状態で測定することで、正確な測定を行うことができる。
このように、正しく測定するためには、押し当て部材310の幅方向の中心が背中の幅方向の中心となるように、押し当て部材310の位置合わせを行った状態でベルト300を腰に巻く必要がある。しかしながら、測定対象者であるユーザ自身がベルト300を腰に巻く作業を行う場合、背中側に位置する部材の位置合わせを行うことは、通常、困難である。そこで、本実施例に係るベルト300においては、押し当て部材310の位置合わせを簡単にする様々な工夫が施されている。以下、これについて詳細に説明する。
本実施例に係るベルト300におけるバックル330は、図6に示すように、左右に分離可能な一対の部材(以下、第1部材331,第2部材332と称する)から構成されている。これら第1部材331と第2部材332は異なる形状で構成されているが、これらを接続して構成されるバックル330は、左右対称形状となるように構成されている。
また、このバックル330には、左右の両端付近に、それぞれローラ331a,332aが設けられている。これら一対のローラ331a,332aは、一対のベルト部320をそれぞれ支持するためのものである。
また、本実施例においては、ベルト部320の表面が面ファスナによって構成されており、ベルト部320の先端に設けられた把持部321をベルト部320に押し付けることで、把持部321がベルト部320に固定されるように構成されている。
ベルト300を腰に巻いて固定する場合には、図7〜図9に示すように、ベルト部320の先端をローラ331a(332a)の下側から通して、ローラ331a(332a)を巻くようにして上側から引っ張り出した状態で、把持部321をベルト部320に固定させる。なお、図8においては、ウエスト長が比較的長いユーザの場合を示しており、図9においては、ウエスト長が比較的短いユーザの場合を示している。本実施例では、上記の通り、ベルト部320の表面が面ファスナで構成されているため、自由な位置に把持部321を固定させることができる。
ここで、ベルト300を腰に巻く場合、押し当て部材310やバックル330の位置合わせを行いながらベルト300を腰に巻き付けるために、一対のベルト部320の先端の把持部321を両手でそれぞれ引っ張るような作業が必要となる。この場合、本実施例においては、上記の通り、ベルト部320を支持するものがローラ331a,332aによって構成されているので、バックル330に対してベルト部320を移動させる際の抵抗が少なく、バックル330に対するベルト部320の移動が円滑に行われる。従って、押し当て部材310やバックル330の位置合わせを行いながらベルト300を腰に巻き付ける作業を円滑に行うことができる。また、上記の通り、把持部321を自由な位置に固定させることができることと相俟って、位置合わせの微調整も容易に行うことができる。
また、本実施例においては、一対のベルト部320には、押し当て部材310にベルトにおける基準となる位置からの距離を示す指標322が印刷されている。ここで、本実施例においては、押し当て部材310は左右対称となるように構成されており、当該指標322は、押し当て部材310の幅方向の中心位置からの距離を示す指標ということもできる。なお、より具体的には、本実施例では、図10に示すように、把持部321側から順
に、1,2,3、・・・と、数字が等間隔に印刷されている。従って、ベルト300を腰に巻く際に、バックル330の両側からそれぞれ引き出した一対のベルト部320のうち、バックル330の両端近傍の辺り(図8及び図9中矢印Vで示す辺り)に見える数字が、同じ数字となるようにすることで、バックル330の真後ろの位置に押し当て部材310を位置させることができる。
また、本実施例においては、バックル330の位置合わせを行い易いように、バックル33の底板333が透明な板によって構成されている。更に、この底板333の幅方向の中央には、バックル330の幅方向の中心を示す指標となるべく、中心が略円形となるように構成されたスリット334が設けられている。これにより、このスリット334のうち略円形の部分にへそが位置するようにバックル330を位置決めすることで、簡単にバックル330の位置合わせを行うことができる。
以上のように、バックル330を、バックル330の底板333に設けられたスリット334のうち略円形の部分にへそが位置するようにバックル330を位置決めし、かつ、バックル330の両端近傍の辺りに見える数字が同じになるように一対のベルト部320を引き出すことで、押し当て部材310の幅方向の中心が背中の幅方向の中心となるように、押し当て部材310の位置決めを行うことが可能となる。
また、本実施例においては、図12に示すように、押し当て部材310における背中に押し当てる面の裏面には、押し当て部材310の幅方向の中心位置を示す指標となるスリット311が設けられている。これにより、測定対象者であるユーザ以外の第三者が、押し当て部材310をユーザの背中に押し当てる場合に、押し当て部材310の位置合わせを簡単に行うことができる。
図1はインピーダンスを測定する際の様子を示した模式図である。 図2はインピーダンスを測定する際の様子を示した模式図である。 図3は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置の全体構成図である。 図4は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置の制御ブロック図である。 図5は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルの外観斜視図である。 図6は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルを分離した様子を示す斜視図である。 図7は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルにベルト部を取り付ける際の様子を示す斜視図である。 図8は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルにベルトを固定した状態を示す模式的断面図である。 図9は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルにベルトを固定した状態を示す模式的断面図である。 図10は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるベルトの一部破断平面図である。 図11は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置におけるバックルの平面図である。 図12は本発明の実施例に係る内臓脂肪測定装置における押し当て部材の裏面図である。
符号の説明
100,100B 装置本体
110,110B 表示部
120,120B 操作部
130B 制御部
131B 演算処理部
131Ba インピーダンス算出部
131Bb 各種脂肪量算出部
140B 電源部
150B メモリ部
160B 電位差検出部
170B 回路切替部
180B 定電流生成部
190B ユーザ情報入力部
201,202,203,204 クリップ
300 ベルト
310 押し当て部材
311 スリット
320 ベルト部
321 把持部
322 指標
330 バックル
331 第1部材
331a ローラ
332 第2部材
332a ローラ
333 底板
334 スリット
400 測定ユニット
400B 体格情報計測部
401 カーソル支持部
401a 横幅測定用カーソル部
401b 縦幅測定用カーソル部
500 コンセント
E 電極

Claims (7)

  1. 胴体のうち腹部を通り胴体の体軸に垂直な断面の胴体断面積を算出する基礎となる胴体測定情報と、
    手足から胴体を通るように電流を流し、胴体表面の一部の電位差を測定することで得られた胴体全体のインピーダンス情報と、
    複数の電極を有するベルトを胴体に巻くことで、胴体の表層付近を通るように電流を流し、胴体表面の一部の電位差を測定することで得られた胴体表層部のインピーダンス情報と、
    に基づいて、内臓脂肪量を算出する内臓脂肪測定装置であって、
    前記ベルトは、
    測定対象者の背中に押し当てられ、かつ前記電極が設けられた押し当て部材と、
    該押し当て部材の両側にそれぞれ固定された一対のベルト部と、
    これら一対のベルト部を固定するバックルと、
    を備え、
    前記一対のベルト部には、ベルトにおける基準となる位置からの距離を示す指標がそれぞれ設けられていることを特徴とする内臓脂肪測定装置。
  2. 前記胴体表面の一部の電位差を測定する場合には、背中側の電位差を測定することを特徴とする請求項1に記載の内臓脂肪測定装置。
  3. 前記胴体表面の一部の電位差を測定する場合には、胴体の体軸方向の電位差を測定することを特徴とする請求項1または2に記載の内臓脂肪測定装置。
  4. 前記バックルには、前記一対のベルト部がそれぞれ巻かれて、これら一対のベルト部をそれぞれ支持する一対のローラが設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の内臓脂肪測定装置。
  5. 前記バックルの中央には透明板が設けられており、この透明板には前記バックルの幅方向の中心を示す指標が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の内臓脂肪測定装置。
  6. 前記押し当て部材における背中に押し当てる面の裏面には、前記押し当て部材の幅方向の中心位置を示す指標が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の内臓脂肪測定装置。
  7. 前記胴体全体のインピーダンス情報から脂肪を除く除脂肪断面積を算出し、前記胴体表層部のインピーダンス情報から皮下脂肪断面積を算出し、前記胴体測定情報から算出された胴体断面積からこれら除脂肪断面積及び皮下脂肪断面積を減ずることで内脂肪断面積を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の内臓脂肪測定装置。
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