JP5231997B2 - WT117AA(−)アイソフォーム特異的siRNAおよびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、WT1遺伝子に対するsiRNAおよびその利用に関するものであり、より詳細には、本発明は、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を抑制するsiRNAを用いた固形腫瘍の増殖抑制および細胞死誘導に関するものである。
ウイルムス腫瘍遺伝子(WT1遺伝子)は、ジンクフィンガー型の転写因子をコードする遺伝子である。WT1遺伝子は、WT1遺伝子のエキソン5からなる17アミノ酸(17AA)部位およびジンクフィンガー3とジンクフィンガー4との間の3アミノ酸(KTS)部位の2ヶ所で選択的スプライシングを生じ、その結果、4つのアイソフォーム(17AA(+)KTS(+)、17AA(+)KTS(−)、17AA(−)KTS(+)および17AA(−)KTS(−))を生じることが知られており、これら4つ全てがヒト固形腫瘍および白血病細胞において発現している(例えば、非特許文献1および2を参照のこと)。
WT1遺伝子は、従来は癌抑制遺伝子と考えられていたが、近年、癌遺伝子として機能しているという知見が示されている。例えば、本発明者らは、変異を有していない野生型WT1遺伝子がほとんど全ての白血病細胞において高発現されており、その発現レベルは白血病患者の予後と逆相関を示すこと(例えば、非特許文献3および4を参照のこと)、WT1アンチセンスDNAを導入することにより白血病細胞の増殖が特異的に抑制されたこと(例えば、非特許文献5を参照のこと)、マウス正常骨髄系前駆細胞および骨髄系前駆細胞株32D cl3が、WT1遺伝子を強制発現させることにより好中球への分化が抑制されて増殖すること(例えば、非特許文献6を参照のこと)をこれまでに報告し、WT1遺伝子が造血系細胞の白血病化に関与していることを示している。また、本発明者らは、野生型WT1遺伝子が、種々の固形腫瘍において高発現していることも報告している(例えば、非特許文献7〜14を参照のこと)。
上述した4つのアイソフォームはそれぞれ異なる機能を有していると考えられている。例えば、WT1 17AA(+)KTS(+)アイソフォームは、癌細胞の増殖に寄与していると考えられており(非特許文献15を参照のこと)、17AA(+)KTS(−)アイソフォームは、悪性リンパ腫の腫瘍形成に関与していると考えられている(非特許文献16を参照のこと)。
近年、本発明者らは、WT1 17AA(+)アイソフォームに特異的なsiRNAが、WT1を発現する白血病細胞株に対してアポトーシスを誘導することを示した(非特許文献17を参照のこと)。
Oji Y.ら、Int.J.Cancer 100:297(2002) Siehl J.M.ら、Ann.Hematol. 83:745(2000) Inoue K.ら、Blood 84:3071(1994) Inoue K.ら、Blood 89:1405(1997) Yamaguchi T.ら、Blood 87:2878(1996) Inoue K.ら、Blood 91:2969(1998) Oji Y.ら、Japanese Journal of Cancer Research 90:194(1999) Oji Y.ら、Int J Cancer;100:297−303(2002) Ueda T.ら、Cancer Science 94:271(2003) Oji Y.ら、Cancer Science 94:523(2003) Oji Y.ら、Cancer Science 94:606(2003) Oji Y.ら、Cancer Science 94:712(2003) Oji Y.ら、Neoplasma 51:17(2004) Oji Y.ら、Jpn.J.Clin.Oncol.34:74(2004) Hubinger G.ら、Exp Hematol 10: 1226−1235(2001) Li H.ら、Int J Hematol 77: 463−470(2003) Ito K.ら、Oncogene ;Mar 6:1(2006) Englert C.ら、Cancer Res 8: 1429−1434(1997) Loeb D.M.ら、Leukemia 17: 965−971(2003)。
上述したように、癌遺伝子様機能を担っているWT1の機能を抑制することにより、癌細胞特異的に分子標的治療を行い得ると考えられる。しかし、これまでに行われているWT1遺伝子の発現を抑制する方法として用いられているアンチセンスオリゴDNA技術またはリボザイム技術では、WT1遺伝子の発現抑制効率および特異性について十分な効果が得られなかった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、WT1の機能を首尾よく制御する、癌細胞特異的な分子標的治療を実現することにある。
上述したように、WT1 17AA(+)アイソフォームについては、癌遺伝子様機能が示されているが、WT1 17AA(−)KTS(+)アイソフォームについては、その機能は未だ不明であるが、17AA(−)KTS(−)アイソフォームについては、骨肉腫細胞においてG1アレストを誘導すること(非特許文献18を参照のこと)および骨髄系前駆細胞株32D cl3細胞においてG1/S期の進行を阻害して分化を促進することが報告されている(非特許文献19を参照のこと)。また、WT1 17AA(−)アイソフォームに特異的なsiRNAはWT1を発現する白血病細胞株およびWT1を発現していないリンパ腫細胞株に対してアポトーシスを誘導しなかった(非特許文献17を参照のこと)。
本発明者らは、固形腫瘍由来の細胞においてWT1 17AA(−)KTS(−)アイソフォームが、アクチン結合タンパク質(コフィリン、アクチニン、ゲルソリン)の発現レベルを調節して細胞骨格を変化させ、その結果、細胞の形態変化、インビトロでの細胞運動の亢進、および細胞浸潤能の亢進を誘導するという、癌遺伝子様の機能を発揮することを初めて明らかにし、さらに、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に阻害することにより腫瘍細胞特異的に細胞死を誘導し得ることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含んでいることを特徴としており、配列番号26に示される塩基配列からなることが好ましい。
本発明に係るポリヌクレオチドは、上記構成を有することにより、WT1 17AA(+)アイソフォームの発現を阻害することなく、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に阻害し得るsiRNAを提供することができる。
本発明に係る医薬用組成物は、固形腫瘍を処置するために、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる、二本鎖RNA;該二本鎖RNAをコードするDNA;または、該DNAが挿入されたベクター、のいずれか1つを含有していることを特徴としている。
WT1 17AA(−)アイソフォームについてのこれまでの報告に鑑みれば、癌抑制遺伝子として機能すると考えられているWT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に阻害するsiRNAが癌抑制機能を発揮することは予想され得ることではなかった。
本発明に係る医薬用組成物において、第2のRNAをコードするDNAは、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが好ましい。
本発明に係る医薬用組成物において、第2のRNAは配列番号29に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基を含んでいることが好ましい。
本発明に係る医薬用組成物において、第1のRNAは配列番号30に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基を含んでいることが好ましい。
本発明に係る医薬用組成物において、上記二本鎖RNAをコードするDNAは配列番号27に示される塩基配列を含んでいることが好ましい。
本発明に係る医薬用組成物において、上記二本鎖RNAは、配列番号29に示される塩基配列を含むRNAと配列番号30に示される塩基配列を含むRNAとが対合してなることが好ましい。
本発明に係る医薬用組成物において、上記細胞は、膀胱癌、腎癌、皮膚扁平上皮癌、頭頚部癌(例えば、扁平上皮細胞頭頚部癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、消化管腫瘍(例えば、食道腫瘍、胃癌、小腸腫瘍、大腸腫瘍、神経膠腫、および中皮腫などからなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る医薬用キットは、固形腫瘍を処置するために、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる、二本鎖RNA;該二本鎖RNAをコードするDNA;または、該DNAが挿入されたベクター、のいずれか1つを備えていることを特徴としている。
本発明に係る固形腫瘍を処置する方法は、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる二本鎖RNAを、固形腫瘍を形成する細胞に対して発現可能に投与する工程、を包含することを特徴としている。
本発明に係る固形腫瘍を処置する方法において、上記投与する工程は、第1のRNAおよび第2のRNAを含むポリヌクレオチドを挿入したベクターの、目的の細胞への導入によることが好ましい。
本発明に係る細胞死誘導剤は、固形腫瘍を形成する細胞にアポトーシスを誘導するために、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる、二本鎖RNA;該二本鎖RNAをコードするDNA;または、該DNAが挿入されたベクター、のいずれか1つを含有していることを特徴としている。
本発明に係る細胞死誘導剤において、第2のRNAをコードするDNAは、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが好ましい。
本発明に係る細胞死誘導剤において、第2のRNAは配列番号29に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基を含んでいることが好ましい。
本発明に係る細胞死誘導剤において、第1のRNAは配列番号30に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基を含んでいることが好ましい。
本発明に係る細胞死誘導剤において、上記二本鎖RNAをコードするDNAは配列番号27に示される塩基配列を含んでいることが好ましい。
本発明に係る細胞死誘導剤において、上記二本鎖RNAは、配列番号29に示される塩基配列を含むRNAと配列番号30に示される塩基配列を含むRNAとが対合してなることが好ましい。
本発明に係る細胞死誘導剤において、上記細胞は、膀胱癌、腎癌、皮膚扁平上皮癌、頭頚部癌(例えば、扁平上皮細胞頭頚部癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、消化管腫瘍(例えば、食道腫瘍、胃癌、小腸腫瘍、大腸腫瘍、神経膠腫、および中皮腫などからなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る細胞死誘導用キットは、固形腫瘍を形成する細胞にアポトーシスを誘導するために、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる、二本鎖RNA;該二本鎖RNAをコードするDNA;または、該DNAが挿入されたベクター、のいずれか1つを備えていることを特徴としている。
本発明に係る細胞死を誘導する方法は、固形腫瘍を形成する細胞にアポトーシスを誘導するために、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる二本鎖RNAを、細胞に対して発現可能に投与する工程、を包含することを特徴としている。
本発明に係る細胞死を誘導する方法において、上記投与する工程は、第1のRNAおよび第2のRNAを含むポリヌクレオチドを挿入したベクターの、目的の細胞への導入によることが好ましい。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、TYK卵巣癌細胞における形態学的変化の誘導を示す図であり、4つのTYK細胞株(各々が異なる4つのWT1アイソフォームを導入している)におけるWT1タンパク質の発現を示すウエスタンブロット解析の結果を例示的に示す。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、TYK卵巣癌細胞における形態学的変化の誘導を示す図であり、TYK細胞における各WT1アイソフォームの安定的な発現による細胞形態の変化を例示的に示す。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、TYK卵巣癌細胞における形態学的変化の誘導を示す図であり、3つの細胞クローンからの8個以上の個々の細胞の相対的な面積の平均を示す。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、種々の型の癌細胞における形態学的変化の誘導を示す図であり、GFPタグを付加したWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを、種々の型のガン細胞(例えば、ZR−75、HT−1080、MKN28、SKBr3およびTE10)に一過性に発現させ、トランスフェクションの48〜72時間後の細胞を、共焦点顕微鏡を使用して形態学的に解析した。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、種々の型の癌細胞における形態学的変化の誘導を示す図であり、9個以上の個々の細胞の相対的な面積の平均を示す。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの安定的な発現による、細胞−基質間接着の抑制を示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞またはコントロールベクターを導入したTYK細胞を、細胞接着アッセイにより細胞−基質間接着について解析した。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの安定的な発現による、細胞−基質間接着の抑制を示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞またはコントロールベクターを導入したTYK細胞を、細胞剥離アッセイにより細胞−基質間接着の強度について解析した。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による細胞移動の増強を示す図であり、GFP−WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを発現している個々のTYK細胞の運動または発現していない個々のTYK細胞の運動を、Time lapseビデオレコーダを用いて2分間隔で5時間記録した。細胞の速度を算出した。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による細胞移動の増強を示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォーム発現ベクターを導入したTYK細胞(■)またはコントロールベクターを導入したTYK細胞(□)を、創傷治癒アッセイによって集団的な移動について解析した。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による細胞移動の増強を示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォーム発現ベクターを導入したTYK細胞(■)またはコントロールベクターを導入したTYK細胞(□)を、Transwell Migrationアッセイによって、5%FBSを含むDelbucco’s modified Eagle’s mediumに対する走化性について解析した。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、繊維性アクチン(F−アクチン)およびアクチン結合タンパク質(ABP)の発現の変化を示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞またはコントロールベクターを導入したTYK細胞を、F−アクチン、接着斑タンパク質ビンキュリンおよび核について免疫組織染色した結果を示す。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、繊維性アクチン(F−アクチン)およびアクチン結合タンパク質(ABP)の発現の変化を示す図であり、コントロールベクターを導入した個々の細胞からの溶解物(レーン1および2)、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した個々の細胞からの溶解物(レーン3および4)を、総アクチン、F−アクチン、α−チュブリンまたはGAPHに特異的な抗体でイムノブロットした。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、繊維性アクチン(F−アクチン)およびアクチン結合タンパク質(ABP)の発現の変化を示す図であり、コントロールベクターを導入した、個々に単離したTYK細胞クローン(n=3、レーン1〜3)またはWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した、個々に単離したTYK細胞クローン(n=3、レーン4〜6)におけるmRNAの発現を、表1に示した条件下でRT−PCRによって分析した。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、繊維性アクチン(F−アクチン)およびアクチン結合タンパク質(ABP)の発現の変化を示す図であり、コントロールベクターを導入したTYK細胞クローン(レーン1および2)またはWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞クローン(レーン3〜4)を、α−アクチニン1、コフィリンおよびゲルソリンに特異的な抗体でイムノブロットした。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、繊維性アクチン(F−アクチン)およびアクチン結合タンパク質(ABP)の発現の変化を示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームまたはコントロールベクターを導入したTYK細胞を、α−アクチニン1、コフィリンおよびゲルソリンについて免疫組織染色し、細胞の核をヨウ化プロピジウムで染色した。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、繊維性アクチン(F−アクチン)およびアクチン結合タンパク質(ABP)の発現の変化を示す図であり、コントロールベクターまたはWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したHT−1080細胞クローンを、α−アクチニン1、コフィリンおよびゲルソリンに特異的な抗体でイムノブロットした。 WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、繊維性アクチン(F−アクチン)およびアクチン結合タンパク質(ABP)の発現の変化を示す図であり、コントロールベクターまたはWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTE10細胞クローンを、α−アクチニン1、コフィリンおよびゲルソリンに特異的な抗体でイムノブロットした。 α−アクチニンおよびコフィリンの安定的な発現が、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの導入によって誘導されるTYK細胞の表現型を、その親TYK細胞の表現型へ回復することを示す図である。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、α−アクチニン発現ベクターおよびコフィリン発現ベクター(TW/ACTN−CFL)またはコントロールベクター(TW/Mock)を同時トランスフェクトし、α−アクチニンおよびコフィリンの発現レベルをウエスタンブロット分析により決定した結果を示す。 α−アクチニンおよびコフィリンの安定的な発現が、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの導入によって誘導されるTYK細胞の表現型を、その親TYK細胞の表現型へ回復することを示す図である。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、α−アクチニン発現ベクターおよびコフィリン発現ベクター(TW/ACTN−CFL)またはコントロールベクター(TW/Mock)を同時トランスフェクトし、細胞をMayGrunwald−Giemsaで染色した結果を示す。 α−アクチニンおよびコフィリンの安定的な発現が、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの導入によって誘導されるTYK細胞の表現型を、その親TYK細胞の表現型へ回復することを示す図である。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、α−アクチニン発現ベクターおよびコフィリン発現ベクター(TW/ACTN−CFL)またはコントロールベクター(TW/Mock)を同時トランスフェクトし、NIH Image softwareを使用して細胞の面積を算出した結果を示す(1:TW/Mock細胞クローン;2および3:それぞれ異なるTW/ACTN−CFL細胞クローン)。 α−アクチニンおよびコフィリンの安定的な発現が、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの導入によって誘導されるTYK細胞の表現型を、その親TYK細胞の表現型へ回復することを示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、α−アクチニン発現ベクターおよびコフィリン発現ベクター(TW/ACTN−CFL)またはコントロールベクター(TW/Mock)を同時トランスフェクトし、剥離アッセイにより決定した細胞−基質間接着を示す。 α−アクチニンおよびコフィリンの安定的な発現が、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの導入によって誘導されるTYK細胞の表現型を、その親TYK細胞の表現型へ回復することを示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、α−アクチニン発現ベクターおよびコフィリン発現ベクター(TW/ACTN−CFL)またはコントロールベクター(TW/Mock)を同時トランスフェクトし、創傷治癒アッセイにより評価した集団的な細胞移動を示す。細胞移動を、異なる3つの部位での最初の細胞を剥離した幅に対する突出長の割合(パーセント)の平均として決定した。 α−アクチニンおよびコフィリンの安定的な発現が、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの導入によって誘導されるTYK細胞の表現型を、その親TYK細胞の表現型へ回復することを示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、α−アクチニン発現ベクターおよびコフィリン発現ベクター(TW/ACTN−CFL)またはコントロールベクター(TW/Mock)を同時トランスフェクトし、ウエスタンブロット分析により決定したゲルソリンの発現レベルを示す。 ゲルソリンの発現抑制が細胞移動を低減するが形態または細胞−基質間接着には影響しないことを示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、ゲルソリン特異的siRNAベクター(TW/GSNsiRNA)またはコントロールベクター(TW/siMock)とともに導入し、ウエスタンブロット分析により決定したゲルソリンタンパク質の発現レベルを示す。 ゲルソリンの発現抑制が細胞移動を低減するが形態または細胞−基質間接着には影響しないことを示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、ゲルソリン特異的siRNAベクター(TW/GSNsiRNA)またはコントロールベクター(TW/siMock)とともに導入し、細胞をMayGrunwald−Giemsaで染色した結果を示す。 ゲルソリンの発現抑制が細胞移動を低減するが形態または細胞−基質間接着には影響しないことを示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、ゲルソリン特異的siRNAベクター(TW/GSNsiRNA)またはコントロールベクター(TW/siMock)とともに導入し、TW/Mock細胞クローンおよびTW/GSNsiRNA細胞クローンの面積をNIH Image softwareを用いて算出した結果を示す。 ゲルソリンの発現抑制が細胞移動を低減するが形態または細胞−基質間接着には影響しないことを示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、ゲルソリン特異的siRNAベクター(TW/GSNsiRNA)またはコントロールベクター(TW/siMock)とともに導入し、剥離(detachment)アッセイによって決定した細胞−基質間接着を示す。 ゲルソリンの発現抑制が細胞移動を低減するが形態または細胞−基質間接着には影響しないことを示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、ゲルソリン特異的siRNAベクター(TW/GSNsiRNA)またはコントロールベクター(TW/siMock)とともに導入し、創傷治癒アッセイにより評価した集団的な細胞運動性を示す。 ゲルソリンの発現抑制が細胞移動を低減するが形態または細胞−基質間接着には影響しないことを示す図であり、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、ゲルソリン特異的siRNAベクター(TW/GSNsiRNA)またはコントロールベクター(TW/siMock)とともに導入し、ウエスタンブロット解析により決定したα−アクチニン1およびコフィリンの発現レベルを示す。 細胞骨格ダイナミクスの調節におけるWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの役割の可能性を示す図である。 WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に抑制するsiRNAベクターの標的部位を示す概略図である。 WT1 17AA(−)アイソフォーム特異的siRNAベクターの導入による、WT1発現細胞またはWT1非発現細胞におけるアポトーシス誘導の有無を示す図である。 WT1 17AA(−)アイソフォームの発現の抑制による、ヒト腫瘍細胞を皮下に移植したマウスでの腫瘍形成の抑制を示す図である。
〔1〕WT1 17AA(−)アイソフォーム特異的siRNA
本発明は、WT1 17AA(−)アイソフォーム特異的siRNAを提供するためのポリヌクレオチドに関する。
近年、分子標的治療法としてRNA干渉(RNAi)技術が注目されている。二重鎖RNA(dsRNA)によって開始されるRNAiは、siRNAによって相同なRNAの分解が引き起こされる、配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングプロセスである。
siRNAは、遺伝子特異的な発現抑制を行うためには十分な長さを有していることが必要とされるが、哺乳動物細胞中での悪影響を回避するために十分に短いことが必要とされる。よって、siRNAは、15〜49塩基長からなるヌクレオチドの塩基対であることが好ましく、15〜30塩基長からなるヌクレオチドの塩基対であることがより好ましい。
すなわち、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むことを特徴としている。上述したように、WT1遺伝子は、2ヶ所で選択的スプライシングを生じ、4つのアイソフォーム(17AA(+)KTS(+)(配列番号32および33)、17AA(+)KTS(−)(配列番号34および35)、17AA(−)KTS(+)(配列番号36および37)および17AA(−)KTS(−)(配列番号38および39))を生じることが知られている。配列番号26および配列番号27に示される塩基配列は、17AAでの選択的スプライシングによって生じるので、本発明に係るポリヌクレオチドは、上記構成を有することにより、WT1 17AA(+)アイソフォームの発現を阻害することなく、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に阻害し得るsiRNAを提供することができる。
本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、「遺伝子」、「核酸」または「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。本明細書中で使用される場合、用語「塩基配列」は、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」と交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチド(A、G、CおよびTと省略される)の配列として示される。
本発明に係るポリヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、または、非コード鎖(アンチセンス鎖としても知られる)であり得る。
ポリヌクレオチドは、短いものはジヌクレオチド(二量体)、トリヌクレオチド(三量体)といわれ、長いものは30マーまたは100マーというように重合しているヌクレオチドの数で表される。本発明に係るポリヌクレオチドは、より長いポリヌクレオチドのフラグメントとして生成されても、化学合成されてもよい。
本発明に係るポリヌクレオチドを用いて提供されたsiRNAは、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる、二本鎖RNAであることが好ましいが、二本鎖RNAをコードするDNAとして提供されても、または二本鎖RNAをコードするDNAが挿入されたベクターとして提供されてもよい。
本明細書中で使用される場合、「WT1 17AA(−)アイソフォーム特異的siRNA」は「17AA(−)siRNA」と交換可能に使用される。17AA(−)siRNAは,標的配列として上記ポリヌクレオチドが提供されているので、当該分野において公知の任意の方法に従えば容易に作製され得、例えば、化学合成されても、組換え発現されてもよい。
上述したように17AA(−)siRNAは、15〜49塩基長からなるヌクレオチドの塩基対であることが好ましく、15〜30塩基長からなるヌクレオチドの塩基対であることがより好ましい。なお、本明細書中で使用される場合、siRNAにおいて、dsRNAにおけるRNA同士が対合している部分以外は、完全に対合している必要はなく、ミスマッチなどの不対部分が存在してもよい。
また、17AA(−)siRNAは、その末端部分が突出していてもいなくてもよく、突出している場合は、RNAi効果を誘導し得る塩基数であれば限定されない。
好ましくは、17AA(−)siRNAにおいて、第2のRNAをコードするDNAは、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る。
ハイブリダイゼーションは、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法のような周知の方法に従って行われ得る。通常、温度が高いほど、塩濃度が低いほどストリンジェンシーは高くなり(ハイブリダイズし難くなる)、より相同なポリヌクレオチドを取得することができる。適切なハイブリダイゼーション温度は、塩基配列やその塩基配列の長さによって異なり、例えば、アミノ酸6個をコードする18塩基からなるDNAフラグメントをプローブとして用いる場合、50℃以下の温度が好ましい。
本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、ハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む)中にて42℃で一晩インキュベーションした後、約65℃にて0.1×SSC中でフィルタを洗浄することが意図される。ポリヌクレオチドの「一部」にハイブリダイズするポリヌクレオチドによって、参照のポリヌクレオチドの少なくとも約15ヌクレオチド(nt)、そしてより好ましくは少なくとも約20nt、さらにより好ましくは少なくとも約30nt、そしてさらにより好ましくは約30ntより長いポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNAまたはRNAのいずれか)が意図される。このようなポリヌクレオチドの「一部」にハイブリダイズするポリヌクレオチドは、検出用プローブとしても有用である。
17AA(−)siRNAがdsRNAとして提供される場合、17AA(−)siRNAは、配列番号29に示される塩基配列を含むRNAと配列番号30に示される塩基配列を含むRNAとが対合してなることが好ましい。
また、17AA(−)siRNAが該siRNAをコードするDNAまたは該DNAが挿入されたベクターとして提供される場合、第2のRNAは配列番号29に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基を含んでいることが好ましく、第1のRNAは配列番号30に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基を含んでいることが好ましい。また上述したヘアピン(ステムループ)状のRNAを生成するために、第1のRNAと第2のRNA(またはこれらをコードするDNA)は配列番号31に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドで連結されていることが好ましいがこれに限定されない。
siRNA発現ベクター、すなわち、siRNAに対応するDNAを外来DNA断片として挿入してなるDNAベクターを用いれば、17AA(−)siRNAを体内で効果的に発現させかつ作用させることができる。このようなDNAベクターとしては、当該分野において公知の種々のベクター系が適宜選択され得る。なお、17AA(−)siRNAに対応するDNA断片は、当該分野において公知の方法に従えば容易に調製され得る。
上述した発現ベクターとしては、プロモータの下流に、siRNAのセンス鎖に対応するDNA配列とアンチセンス鎖に対応するDNA配列が1本のDNAにコードされている「ヘアピン型」または「ステムループ型」が知られており、このようなベクターに挿入されたDNA断片は、体内で転写されてヘアピン(ステムループ)状のRNAを生成し、酵素反応によってsiRNAを生成する。
siRNAの発現ベクターは、当業者に公知の方法で作製され得、このような発現ベクターとしては、例えば、各種ウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなど)が挙げられるが、これらに限定されない。アデノウイルスベクターは、分裂速度が遅い細胞(例えば、神経細胞等)にも遺伝子導入を可能とし、かつ、導入効率が非常に高い。
RNA自体は不安定な物質であり、血液中に注入された場合は、RNA分解酵素などによって分解されてしまう。しかし、17AA(−)siRNAは、当該分野で公知のドラッグ・デリバリー・システム(DDS)などを用いることにより、固形腫瘍の処理に適用され得る。17AA(−)siRNAは、機能性リポソーム、高分子ミセルなどのキャリア内に封入されるか、あるいは両端をPEGなどにより修飾されることにより、血液および/または細胞内での安定性を得ることができる。
〔2〕WT1 17AA(−)アイソフォーム特異的siRNAの利用
(1)医療用組成物
本発明は、WT1 17AA(−)アイソフォーム特異的siRNA(17AA(−)siRNA)を含有している医薬用組成物を提供する。本発明に係る医薬用組成物は、固形腫瘍を処置するために有効である。
本発明に係る医薬用組成物は、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる、二本鎖RNA;該二本鎖RNAをコードするDNA;または、該DNAが挿入されたベクター、のいずれか1つを含有していることが好ましい。
「腫瘍」は新生物(neoplasm)としても知られ、新生物細胞を含む新生物(new growth)である。また「新生物細胞」は増殖疾患を有する細胞としても知られており、異常に高速に増殖する細胞が意図される。新生物は異常な組織成長物であり、概して別個の集団を形成し、それらは正常な組織成長物よりもより急速な細胞増殖により成長する。新生物は部分的または全体的に、正常組織との構造的な組織化、および/または機能的協調の欠陥を呈する。
腫瘍は良性(良性腫瘍)または悪性(悪性腫瘍または癌)であり得る。悪性腫瘍は、大きく3つの主要タイプに分類され得る。上皮構造から発生した悪性腫瘍は、癌腫と呼ばれる。筋肉、軟骨組織、脂肪、または骨のような結合組織由来の悪性腫瘍は肉腫と呼ばれ、免疫系成分を含む造血構造(血液細胞形成に関連する構造)に影響する悪性腫瘍は白血病またはリンパ腫と呼ばれる。他の新生物として、神経線維腫が挙げられるが、これに限定されない。
癌(腫瘍)には、白血病のように造血組織またはリンパ組織であっても、悪性化したあとは常時血液中を移動しながら増殖して、全身の造血組織およびその他の臓器に広がるもの、ならびに、白血病以外の多くの腫瘍のように特定の組織臓器に腫瘍塊として存在しているものとが存在する。本明細書中で使用される場合、用語「固形腫瘍」は、白血病以外の腫瘍が意図されるが、本発明に係る医薬用組成物が適用され得る固形腫瘍としては、膀胱癌、腎癌、皮膚扁平上皮癌、頭頚部癌(例えば、扁平上皮細胞頭頚部癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、消化管腫瘍(例えば、食道腫瘍、胃癌、小腸腫瘍、大腸腫瘍、神経膠腫、および中皮腫などが特に意図される。
本明細書中で使用される場合、用語「処置」は、症状の軽減または排除が意図され、予防的(発症前)または治療的(発症後)に行われ得るもののいずれもが包含される。「固形腫瘍を処置する」とは、固形腫瘍の成長(増殖)を抑制または阻止することが意図される。固形腫瘍を処理する方法を適用することにより、固形腫瘍が、この方法により処理されていない同一の腫瘍と比較して、低重量化または小型化することが意図される。腫瘍の成長(増殖)は、腫瘍の重量または大きさにおける正味の減少が生じる程度まで抑制されることが好ましい。
上述したsiRNAまたはsiRNAの発現ベクターを活性成分として含有する組成物は、その目的、成分などに応じて、緩衝液および/または補助剤などの当業者に公知の任意の成分を含有している。
本実施形態に係る医薬用組成物の形態は、血中にて高濃度をもたらし得る形態、すなわち、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下、および関節内の注射に適切な「注入可能な形態」であることが好ましいがこれらに限定されず、例えば、錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含むが、徐放性であることが好ましい)、散剤、顆粒剤、シロップ剤などの経口剤、あるいは、注射剤、坐剤、ペレット、点滴剤などの非経口剤であってもよい。本発明に係る医薬用組成物は、毒性が低いので経口的または非経口的に投与され得る。用語「非経口」は、本明細書中で使用される場合、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下、および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
本発明に係る医薬用組成物は、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与され得る。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内などに投与され得る。
本発明に係る医療用組成物は、製薬分野における公知の方法により製造することができる。本発明に係る医療用組成物における17AA(−)siRNAの含有量は、投与形態、投与方法などを考慮し、当該医療用組成物を用いて後述の投与量範囲で17AA(−)siRNAを投与できるような量であれば特に限定されない。
なお、組成物は一般に、物質A単独を含有する組成物、物質Aと物質Bとを含有する単一の組成物、または物質A単独を含有する組成物と物質B単独を含有する組成物のいずれかであり得る。これらの組成物は、物質Aおよび物質B以外に他の成分(例えば、薬学的に受容可能なキャリア)を含有してもよい。本発明に係る医療用組成物は、物質Aとして上述した17AA(−)siRNAを含有することを特徴としているので、17AA(−)siRNAを含有する組成物を他の成分(物質B)を含有する組成物と併用する場合は、これらを全体として一組成物として認識し得ないが、この場合は、後述する「キット」の範疇に入り得、組成物としてではなくキットとして提供され得ることを当業者は容易に理解する。
なお、17AA(−)siRNAを被験体に投与する工程を包含する固形腫瘍を処置する方法もまた、本発明の範囲内であることを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。
(2)医療用キット
本発明はまた、上述した17AA(−)siRNAを備えている、医療用キットを提供する。本明細書中において使用される場合、用語「キット」は、特定の材料を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュなど)を備えた包装が意図される。好ましくは該材料を使用するための指示書を備える。本明細書中においてキットの局面において使用される場合、「備えている」は、キットを構成する個々の容器のいずれかの中に内包されている状態が意図される。また、本発明に係る医療用キットは、複数の異なる組成物を1つに梱包した包装であり得、ここで、組成物の形態は上述したような形態であり得、溶液形態の場合は容器中に内包されていてもよい。本発明に係る医療用キットは、物質Aおよび物質Bを同一の容器に混合して備えても別々の容器に備えてもよい。「指示書」は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD−ROMなどのような電子媒体に付されてもよい。本発明に係る医療用キットはまた、希釈剤、溶媒、洗浄液またはその他の試薬を内包した容器を備え得る。さらに、本発明に係る医療用キットは、治療法に適用するために必要な器具をあわせて備えてもよい。
本発明に係る医療用キットにおける17AA(−)siRNAおよびその他の物質の使用方法は、上述した組成物の使用形態に準じればよいことを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。
(3)治療法
本発明はさらに、治療法を提供する。本発明に係る方法は、上述した本発明に係る化合物を被験体に投与する工程を包含することを特徴としている。
本発明に係る方法における17AA(−)siRNAおよびその他の物質の適用は、上述した組成物の使用形態に準じればよいことを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。
WT1遺伝子は癌細胞に高発現しているのでWT1 17AA(−)アイソフォームの発現抑制による細胞死の誘導は、癌細胞に特異的に現れ、正常細胞には生じ得ない。よって本発明を用いれば、癌細胞特異的な分子標的治療を行うことができる。
本明細書において、WT1 17AA(−)アイソフォーム特異的siRNAの用途を固形腫瘍の処置を例に挙げて説明してきたが、WT1 17AA(−)アイソフォーム特異的siRNAによって固形腫瘍を形成する細胞にアポトーシスを誘導し得る観点から、固形腫瘍を形成する細胞にアポトーシスを誘導するための細胞死誘導剤、細胞死誘導用キットおよび細胞死誘導方法もまた本発明に包含されることを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。
本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
〔材料および方法〕
[1.細胞培養]
ヒトの癌細胞株(卵巣癌細胞(TYK−nu.CP−r細胞(以下、TYK細胞と称する。))、胃癌細胞(MKN28細胞)、乳癌細胞(ZR−75細胞およびSKBr3細胞)、食道癌細胞(TE10細胞)、膵癌細胞(MiaPaCa2細胞)、結腸癌細胞(SW480細胞)および子宮頸癌細胞(HelaAG細胞))およびヒト線維肉腫細胞株(HT−1080細胞)を、実験に用いた。TE10細胞およびSW480細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したRPMI−1640培地中で培養した。他の細胞株を、10%FBSを含むDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM)中で培養した。
[2.ベクター構築]
ヒトWT1の4つのアイソフォームのいずれかを含むpcDNA3.1(+)(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を構築し、TYK細胞においてこれらのWT1アイソフォームの発現に用いた。pUC19ベクターにクローニングしたWT1アイソフォームの配列を、Pfx Taq polymerase(Invitrogen)を用いるPCRによって増幅し、pEGFPベクター(Clontech,PaloAlto,CA,USA)に挿入し、緑色蛍光タンパク質(GFP)タグ化WT1アイソフォームの一過性の発現に用いた。PCRで増幅した配列の全てにおいて、変異がないことを、BigDye Terminator V1.1 cycle sequencing kit(Applied Biosystems,Branchberg,NI,USA)を用いるdirect sequenceing法によって確認した。
α−アクチニンおよびコフィリンについての発現ベクターを調製するために、TYK細胞から単離したmRNAからcDNAを調製し、Pfx Taq polymeraseを用いてこれらの遺伝子の配列をPCR増幅した。α−アクチニンおよびコフィリンの配列を、pcDNA3.1/Zeo(+)ベクター(Invitrogen)に挿入した。
ゲルソリンのsiRNAベクターを調製するために、ゲルソリンmRNA(5’−UCCAGGAUGAAGCAGUCGCCAUUGUUGAA−3’:配列番号25)の配列を標的化する一対のDNA配列を合成し(Japan BioScience,Saitama,Japan)、アニールし、そして、tRNA−shRNA発現ベクターであるpiGENE tRNA Pur(Clontech)に挿入した。
[3.ベクターの構成的発現]
哺乳動物発現ベクターおよびゲルソリンを標的化するsiRNAベクターを、PvuIで線状化し、Gene Pulsor II(Bio−Rad,CA,USA)を用いるエレクトロポレーションによって細胞に導入した。対応する選択用抗生物質を用いて、ベクターを安定して発現する細胞クローンを単離した。
〔ベクターの一過性発現〕
5×10細胞/mLの細胞密度で、Fugene 6(Roche,Indianapolis,IN,USA)を製造業者の指示書に従って用いて、ベクターDNA(2μg)を細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、示した時点で回収し、分析に用いた。
[4.逆転写PCR]
ISOGEN(Nippon Gene,Tokyo,Japan)を用いて総RNAを単離し、ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水中に溶解した。Moloney murine leukemia virus reverse transcriptase(Promega,Madison,WI,USA)を使用して、総RNA(2μg)をcDNAに変換した。
11個のアクチン結合タンパク質(ゲルソリン、プロフィリン、p125fak、パキシリン、α−アクチニン1、VASPおよびグリセロアルデヒド−3リン酸脱水素酵素(GAPDH:コントロールとして使用した)を含む)のPCRプライマー配列および増幅条件はSalazar R er al. Exp Cell Res;249:22−32(1999)に従った。タリン、コフィリン、エズリン、ラディキシンおよびモエシンについての条件を表1に示した。PCR産物を、エチジウムブロミドを含む2%アガロースゲル上で分離し、UV光で可視化した。
(上記のプライマー対を使用して、アクチン結合タンパク質のmRNAを逆転写PCR(アニーリング温度60℃で20サイクル)によって増幅した。
[5.ウエスタンブロット分析]
細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、SDSサンプル緩衝液(0.125M Tris−HCl(pH6.8)、100mM ジチオトレイトール、4% SDS、10%スクロースおよび0.004%ブロモフェノールブルー)で溶解した。細胞溶解物をSDS−PAGEに供し、Immobilon polyvinylidene difluoride membrane (Millipore, Bedford, MA, USA)に転写し、WT1(Dakocytomation,Carpinteria,CA,USA)、GAPDH、アクチン(Chemicon,Temecula,CA,USA)、F−アクチン(Abcam,Cambridge,UK)、α−チュブリン、コフィリン(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA,USA)、ゲルソリン(Sigma,St Louis,MO,USA)およびα−アクチニン1(clone AT6/172;Upstate Cell Signaling Solutions,New York,NY,USA)に特異的な抗体でイムノブロットした。
[6.免疫組織化学]
ほぼコンフルエントな細胞を回収し、6ウェルプレートの各ウェルに配置した24×24mmの滅菌カバーガラス上に5×10細胞/mLの細胞密度で10% FBSを含むDMEM1mL中に播いた。一晩培養した後、カバーガラス上の細胞を風乾し、パラホルムアルデヒド(0.5%(アクチンストレスファイバー染色用)または4%(他のタンパク質の染色用))で固定し、0.05% Tween20を含むPBSで2回洗浄し、1% Triton X−100を含むPBSで透過性にし(10分間)、ブロッキング緩衝液(2%BSA、0.2% Tween20、6.7%グリセリンおよび0.1% NaNを含むPBS)中で30分間インキュベートし、そしてゲルソリン、α−アクチニン1またはコフィリンに対する一次抗体で1時間イムノブロットした。0.05% Tween20を含むPBSで洗浄した後、細胞を、対応する二次抗体で1時間インキュベートした。アクチンストレスファイバーおよび接着斑タンパク質ビンキュリンを、FAK100 staining kit(Chemicon)を製造業者の指示書に従って用いて染色した。これらのタンパク質の発現を、共焦点顕微鏡(LSM510 ver2.8;Carl Zeiss,Germany)を用いて解析した。
[7.細胞接着(attachment)アッセイおよび細胞剥離(detachment)アッセイ]
細胞接着アッセイを、Yu D.H. et al. J.Biol.Chem. 273:21 125−131(1998)に従って行った。0.5%FBSを含むDMEM中にて一晩血清を枯渇させた後、10μg/mLフィブロネクチン(Sigma)でコートした96ウェルプレートにて100μLの無血清DMEM中で1×10細胞/ウェルの細胞密度で、細胞(1×10細胞)を播き、5%CO存在下、37℃で30分間インキュベートした。PBSで2回洗浄した後、接着した細胞をトリプシン処理して計数した。
細胞剥離アッセイを、Grille S.J. et al. Cancer Res. 63:2172−8(2003)に従って行った。24ウェルプレートにて10%FBSを含むDMEM1mL中に細胞を播き、一晩インキュベートして細胞を接着させた。次いで、細胞を。0.25%トリプシン(Tacalai Tesque,Kyoto,Japan)で室温にて処理し、トリプシン処理の2分後に回収した。
[8.個々の細胞運動の解析]
Time lapseの顕微鏡を使用して、個々の細胞運動を解析した。要約すると、細胞を、30%コンフルエンシーで35mmディッシュに播き、48時間インキュベートした。次いで、細胞を5%O、5%CO、90%N下にて37℃でインキュベートし、Meta cam software(Universal Imaging Software,Buckinghamshire,UK)を用いて、2分間隔で5時間記録した。特定の時点でのトレースした細胞の位置([X,Y])を、Commotion Pro 4.0 software(Pinnacle Systems,CA,USA)を用いて決定し、2分間毎に移動した距離を計算した。トレースした細胞の速度(μm/h)を、記録した5時間における総移動距離から決定した。
[9.創傷治癒アッセイ]
創傷治癒アッセイを、Stahle M, et al. J.Cell.Sci.;116:3835−46(2003)に従って行った。簡単には、細胞懸濁液(2×10細胞/2mL)を、6ウェルプレートにて10%FBSを含むDMEM2mL中に1×10細胞/mLの細胞密度で播き、コンフルエントまで増殖させた。コンフルエントな細胞単層を黄チップで傷付け細胞を剥がし、無血清DMEMで穏やかに2回洗浄し、10%FBSを含むDMEM中でインキュベートした。細胞の剥がれた部分を、創傷時および創傷12時間後に撮影した。細胞移動を、同一の写真上でのいくつかの視野における異なる3つの部位での傷の長さに対する突出した長さの割合(パーセント)の平均として決定した。
[10.Transwell Migrationアッセイ]
走化性侵入(chemotaxis invasion)アッセイを、Yoshioka K.et al. Proc Natl Acad Sci USA;100,7247−52(2003)に従って行った。0.1%BSAを含む無血清DMEM中での2時間のインキュベートの後、0.1%BSAを含む無血清DMEM200μL中の細胞(3×10細胞)を、Transwell upper chamber(PET membrane 8μm pore size;BD Falcon,NJ,USA)にアプライした。下部チャンバを、0.1%BSAを含む5%血清DMEMで満たした。18時間後、PET membraneの下側およびウェルの底面まで移動した細胞を、70%メタノールで固定し、計数した。
[11.インビボでのshRNAの導入]
WT1を発現するヒト腫瘍細胞HT−1080(5×10個)を100μlのPBSで懸濁し、これを50μlのマトリゲル(BD)と混和した後に6週齢のメスのBalb/c nu/nuマウスの腹側の皮下に移植した。移植3日目よりWT1 17AA(−)アイソフォームを標的とするWT1−shRNA(50μg)またはコントロールのshRNAベクター(50μg)をlinear−polyethylenimine(L−PEI)を用いて、1週間に2回麻酔下にて腫瘍細胞移植部位に投与し、腫瘍細胞移植部位の腫瘤の長径および短径を2週間後に測定した。腫瘍容積を(長径)×(短径)×(短径)/2と定義した。
[12.統計学的解析]
試験群の平均の間における差異の統計学的な有意差を、対応のないt検定(unpaired t−test)を用いて評価した。
[13.図面に関する説明]
図1は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、TYK卵巣ガン細胞における形態学的変化の誘導を示す図である。(a)は、4つのTYK細胞株(各々が異なる4つのWT1アイソフォームを導入している)におけるWT1タンパク質の発現を示すウエスタンブロット解析の結果を例示的に示す図である。(b)は、TYK細胞における各WT1アイソフォームの安定的な発現による細胞形態の変化を例示的に示す図である。スケールバーは10μmである。(c)は、3つの細胞クローンからの8個以上の個々の細胞の相対的な面積の平均を示す図である。面積をNIH Image Softwareを用いて算出した。
図2は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、種々の型のガン細胞における形態学的変化の誘導を示す図である。(a)は、GFPタグを付加したWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを、種々の型のガン細胞(例えば、ZR−75、HT−1080、MKN28、SKBr3およびTE10)に一過性に発現させた結果を示す図である。トランスフェクションの48〜72時間後の細胞を、共焦点顕微鏡を使用して形態学的に解析した。上パネルは透過光イメージであり、下パネルは蛍光イメージである。矢印は、GFPタグを付加したWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを発現している細胞を示す。スケールバーは10μmである。(b)は、9より多い個々の細胞の相対的な面積の平均を示す図である。面積をNIH Image Softwareを用いて算出した。
図3は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの安定的な発現による、細胞−基質間接着の抑制を示す図である。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞クローンの細胞数の平均を(■)で、コントロールベクターを導入した細胞クローンの細胞数の平均を(□)で示す。実験を、各細胞クローンについて独立して3回行った。(a)WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞またはコントロールベクターを導入したTYK細胞を、細胞接着アッセイにより細胞−基質間接着について解析した。(b)WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞またはコントロールベクターを導入したTYK細胞を、細胞剥離アッセイにより細胞−基質間接着の強度について解析した。
図4は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による細胞運動の増強を示す図である。(a)GFP−WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを発現している個々のTYK細胞の運動または発現していない個々のTYK細胞の運動を、Time lapseビデオレコーダを用いて2分間隔で5時間記録した。細胞の速度を算出した。GFP−WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを発現している細胞の速度の平均を(■)で示し、発現していない細胞の速度の平均を(□)で示す。バーはSEを示す。実験を、独立して10回行った。(b)WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォーム発現ベクターを導入したTYK細胞(■)またはコントロールベクターを導入したTYK細胞(□)を、創傷治癒アッセイによって集団的な移動について解析した。実験を各細胞クローンについて独立して3回行った。細胞移動を、異なる3つの部位での最初にチップで細胞を剥離した幅に対する突出長の割合(パーセント)の平均として決定した。バーは50μmである。(c)WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォーム発現ベクターを導入したTYK細胞(■)またはコントロールベクターを導入したTYK細胞(□)を、Transwell Migrationアッセイによって、5%FBSを含むDelbucco’s modified Eagle’s mediumに対する走化性について解析した。実験を各細胞クローンについて独立して3回行った。上部チャンバから下部チャンバへ侵入した細胞を、MayGrunwald−Giemsaで染色し、計数した。バーは50μmである。
図5は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、線維性アクチン(F−アクチン)およびアクチン結合タンパク質(ABP)の発現の変化を示す図である。(a)は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞またはコントロールベクターを導入したTYK細胞を、F−アクチン、接着斑タンパク質ビンキュリンおよび核について免疫組織染色した結果を示す図である。スケールバーは10μmである。(b)は、コントロールベクターを導入した個々の細胞からの溶解物(レーン1および2)、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した個々の細胞からの溶解物(レーン3および4)を、総アクチン、F−アクチン、α−チュブリンまたはGAPHに特異的な抗体でイムノブロットした。スケールバーは10μmである。(c)は、コントロールベクターを導入した、個々に単離したTYK細胞クローン(n=3、レーン1〜3)またはWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した、個々に単離したTYK細胞クローン(n=3、レーン4〜6)におけるmRNAの発現を、表1に示した条件下でRT−PCRによって分析した。スケールバーは10μmである。(d)は、コントロールベクターを導入したTYK細胞クローン(レーン1および2)またはWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞クローン(レーン3〜4)を、α−アクチニン1、コフィリンおよびゲルソリンに特異的な抗体でイムノブロットした。(e)は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームまたはコントロールベクターを導入したTYK細胞を、α−アクチニン1、コフィリンおよびゲルソリンについて免疫組織染色し、細胞の核をヨウ化プロピジウムで染色した。スケールバーは10μmである。(f)は、コントロールベクターまたはWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したHT−1080細胞クローンを、α−アクチニン1、コフィリンおよびゲルソリンに特異的な抗体でイムノブロットした。(g)は、コントロールベクターまたはWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTE10細胞クローンを、α−アクチニン1、コフィリンおよびゲルソリンに特異的な抗体でイムノブロットした。
図6は、α−アクチニンおよびコフィリンの安定的な発現が、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの導入によって誘導されるTYK細胞の表現型を、その親TYK細胞の表現型へ回復することを示す図である。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、α−アクチニン発現ベクターおよびコフィリン発現ベクター(TW/ACTN−CFL)またはコントロールベクター(TW/Mock)を同時トランスフェクトした。(a)は、α−アクチニンおよびコフィリンの発現レベルをウエスタンブロット分析により決定した結果を示す。(b)は、細胞をMayGrunwald−Giemsaで染色した結果を示す。(c)は、NIH Image softwareを使用して細胞の面積を算出した結果を示す。1:TW/Mock細胞クローン;2および3:それぞれ異なるTW/ACTN−CFL細胞クローン。スケールバーは10μmである。TW/ACTNCFL細胞を(■)で示し、TW/Mock細胞を(□)で示す。(d)は、剥離アッセイにより決定した細胞−基質間接着を示す。TW/ACTNCFL細胞を(■)で示し、TW/Mock細胞を(□)で示す。(e)は、創傷治癒アッセイにより評価した集団的な細胞移動を示す。細胞移動を、異なる3つの部位での最初の細胞を剥離した幅に対する突出長の割合(パーセント)の平均として決定した。TW/ACTNCFL細胞を(■)で示し、TW/Mock細胞を(□)で示す。(f)は、ウエスタンブロット分析により決定したゲルソリンの発現レベルを示す。
図7は、ゲルソリンの発現抑制が細胞移動を低減するが形態または細胞−基質間接着には影響しないことを示す図である。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞に、ゲルソリン特異的siRNAベクター(TW/GSNsiRNA)またはコントロールベクター(TW/siMock)とともに導入した。(a)は、ウエスタンブロット分析により決定したゲルソリンタンパク質の発現レベルを示す。異なる3つの細胞クローンを試験した。(b)は、細胞をMayGrunwald−Giemsaで染色した結果を示す。スケールバーは10μmである。(c)は、TW/Mock細胞クローンおよびTW/GSNsiRNA細胞クローンの面積をNIH Image softwareを用いて算出した結果を示す。ゲルソリンに特異的なsiRNAベクターを導入した細胞クローンを(■)で示し、Mock siRNAベクターを導入した細胞クローンを(□)で示す。(d)は、剥離(detachment)アッセイによって決定した細胞−基質間接着を示す。ゲルソリンに特異的なsiRNAベクターを導入した細胞クローンを(■)で示し、Mock siRNAベクターを導入した細胞クローンを(□)で示す。(e)は、創傷治癒アッセイにより評価した集団的な細胞運動性を示す。ゲルソリンに特異的なsiRNAベクターを導入した細胞クローンを(■)で示し、Mock siRNAベクターを導入した細胞クローンを(□)で示す。(f)は、ウエスタンブロット解析により決定したα−アクチニン1およびコフィリンの発現レベルを示す。
図8は、細胞骨格ダイナミクスの調節におけるWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの役割の可能性を示す図である。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現は、α−アクチニン1およびコフィリンの両方の発現を下方制御し、ゲルソリンの発現を上方制御する。さらに、α−アクチニン1/コフィリンおよびゲルソリンは、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの下流シグナル伝達において相互に調節されている。よって、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの機能(形態学的な変化の誘導、細胞−基質間接着の減少、および細胞運動の増強)の全てまたは一部は、α−アクチニン1/コフィリンおよびゲルソリンの調節を介して作動する。
〔実施例1:種々の型の癌細胞においてWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、形態学的変化の誘導〕
癌細胞のふるまいに対するWT1遺伝子の効果を試験するために、4つのWT1遺伝子のいずれか1つを、TYK卵巣癌細胞に安定的に発現させ、形質導入されたWT1アイソフォームを高レベルで発現するTYK細胞クローンを単離した(図1a)。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの安定な発現は、TYK細胞において、小サイズで線維芽細胞様の細胞形態によって特徴付けられる形態学的変化を誘導した(図1b、c)。対照的に、17AA(−)/KTS(−)アイソフォーム以外のWT1アイソフォームの安定な発現は、TYK細胞において何ら形態学的な変化を誘導しなかった。
さらに、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームがTYK細胞以外の種々の癌細胞において形態学的変化を誘導するか否かについて試験するために、GFPタグを付加したWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを、MKN28細胞、ZR−75細胞、SKBr3細胞、TE10細胞、MiaPaCa2細胞、SW480細胞およびHelaAG細胞、ならびにHT−1080細胞に一過性に発現させた(図2)。共焦点顕微鏡解析は、GFPタグ化WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの一過性の発現は、MKN28細胞、ZR−75細胞、SKBr3細胞、TE10細胞およびHT−1080細胞において、細胞サイズ(より小さく)および細胞の三次元形状における形態学的な変化を誘導した。GFPコントロールベクターの発現は、これらの細胞株において形態学的変化を何ら誘導しなかった。残りの3つの細胞株(MiaPaCa2細胞、SW480細胞およびHelaAG細胞)において、明白な形態学的変化は観察されなかった(示さず)。
WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームのみが癌細胞における形態学的変化を誘導し得ることを検証するために、他の3つのGFPタグを付加したWT1アイソフォームのいずれか1つを、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームが形態学的変化を誘導したHT−1080細胞およびTE10細胞において一過性に発現させた。共焦点顕微鏡解析は、3つのGFPタグを付加したWT1アイソフォームのいずれもがこれら2つの細胞株において形態学的変化を誘導しなかったことを示した(示さず)。
〔実施例2:WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、細胞−基質間接着の抑制〕
WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを形質導入した細胞において観察された形態学的な変化が細胞の伸張能の変化に起因するか否かを試験するために、細胞−基質間接着に対するWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現の効果を、TYK細胞において解析した。細胞接着アッセイは、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞クローンにおいて(n=4)、Mockベクターを導入した細胞クローンと比較して(n=4)、基質に対する細胞接着が有意に低下することを示した(図3a)。さらに、細胞剥離アッセイは、Mockベクター導入細胞(n=5)と比較して、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞(n=5)の細胞−基質間接着の強度が有意に低下したことを示した(図3b)。細胞剥離アッセイにおいて、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォーム導入細胞の53.3%が、トリプシン処理の2分後にプラスチック基質から剥離したが、コントロールベクター導入細胞ではその9.8%のみが剥離した。よって、細胞−基質間接着の強度は、コントロールベクター導入細胞と比較してWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォーム導入細胞において低下した。
〔実施例3:WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、細胞運動の増強〕
細胞移動に対するWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現の効果を試験するために、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを誘導した細胞の、個々の移動、集団的な移動およびインビトロ侵入(invasion)を解析した。
微速度撮影の顕微鏡を用いて、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入したTYK細胞の個々の細胞の運動を評価した(図4a)。GFP−WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの一過性の発現あり(n=19)または発現なし(n=19)の条件下で、個々のTYK細胞の移動を、2分間隔で5時間記録した。次いで、細胞運動をトレースし、細胞運動の速度を算出した。10回の独立した実験からの結果は、GFP−WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを発現するTYK細胞におけるランダムな運動速度が、GFP−WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを発現していない細胞と比較して1.8倍増加することを示した。しかし、GFP−mockベクターを発現する個々のTYK細胞の移動は、GFP−mockベクターを発現していない細胞と有意な差はなかった(示さず)。
GFP−WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォーム導入細胞の増強された運動能をさらに明確にするために、創傷治癒アッセイを使用して集団的な移動を解析した(図4b)。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞クローン(n=4)は、Mockベクターを導入した細胞(n=5)と比較して、創傷後12時間の間の細胞運動の距離が1.8倍増加したことを示した。
さらに、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞クローンのインビトロでの侵入を、Transwell Migrationアッセイによって試験した(図4c)。膜を通過して侵入した細胞の数を、上側のチャンバに細胞を播いた18時間後に計数した。WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞クローン(n=4)のFBSに対する走化性は、Mockベクターを導入した細胞(n=5)と比較して8倍に増強されていた。
〔実施例4:WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現による、線維性アクチンおよびアクチン結合タンパク質の発現変化〕
WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームの構成的な発現は、TYK細胞において、形態学的な変化を誘導し、細胞−基質間接着を減弱させ、そして細胞運動を増強した。これらの結果が細胞骨格構造の変化を示唆するので、免疫細胞化学により解析を行った。予想したとおり、これらの細胞において、線維性アクチン(F−アクチン)ネットワークは減少し、接着斑は減少していた(図5a)。ウエスタンブロット分析は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞において、Mockベクターを導入した細胞と比較してF−アクチンの発現レベルが減少したが、アクチンおよびα−チュブリンの総発現レベルは変化しないままであったことを示した(図5b)。そこで、RT−PCRにより、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞における11個のアクチン結合タンパク質(α−アクチニン1、コフィリン、ゲルソリン、FAK、プロフィリン、VASP、タリン、エズリン、モエシンおよびラディキシンを含む)のmRNA発現を調べた。図5cに示すように、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞において、α−アクチニン1およびコフィリンの発現は抑制されており、ゲルソリンの発現は増加していた。α−アクチニン1およびコフィリンの減少およびゲルソリンの増加を、ウエスタンブロット分析によってタンパク質レベルで確認した(図5d)。免疫細胞化学は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞の細胞質において、α−アクチニン1タンパク質およびコフィリンタンパク質の発現が抑制されていることを示し、ゲルソリンタンパク質の発現が増加していることを示した(図5e)。残り8つのアクチン結合タンパク質mRNA発現については、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞とMockベクターを導入した細胞との間で変化していなかった(示さず)。
さらに、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームによるゲルソリン、α−アクチニンおよびコフィリンの発現調節を確認するために、HT−1080細胞およびTE10細胞にWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを安定的に発現させた。ウエスタンブロット解析を行ったところ、コントロールpcDNA3.1/Zeo(+)ベクターを導入した細胞と比較してWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞において、α−アクチニン1およびコフィリンの発現が減少しているが、ゲルソリンの発現は増加していることが示された(図5f、g)。
〔実施例5:α−アクチニン1およびコフィリンの両方の構成的な発現による、またはゲルソリン特異的siRNAでのゲルソリンの抑制による、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォームを導入した細胞の表現型の回復〕
WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムを導入したTYK細胞において、α−アクチニン1およびコフィリンの発現低下が形態学的変化、接着斑の減少および細胞移動の増加に関与するか否かを調べるために、α−アクチニン1/pcDNA3.1/Zeo(+)発現ベクタ−およびコフィリン/pcDNA3.1/Zeo(+)発現ベクタ−を、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムを導入したTYK細胞に同時に導入し、そして、α−アクチニン1およびコフィリンの発現レベルがTYK親細胞に相当する細胞クロ−ン(TW/ACTN−CFL細胞を単離した(図6a)。TW/ACTN−CFL細胞の形質を、コントロ−ルpcDNA3.1/Zeo(+)ベクタ−を導入したWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムを導入したTYK細胞クロ−ン(TW/Mock)と比較した。TW/ACTN−CFL細胞は、TYK親細胞のように十分に伸張した細胞形状へと形態学的な変化を示したが、TW/Mock細胞は示さなかった(図6b,c)。細胞剥離アッセイを行ったところ、トリプシン処理2分後のTW/ACTN−CFL細胞クロ−ン(n=3)における剥離細胞の数がTW/Mock細胞(n=3)と比較して減少し、TYK親細胞の数と同等であった(図6d)。さらに、創傷治癒アッセイを行ったところ、TW/ACTN−CFL細胞クロ−ン(n=3)の細胞運動性が、TW/Mock細胞クロ−ン(n=3)と比較して減少し、TYK親細胞の細胞運動性と同等であった(図6e)。対照的に、コフィリンまたはα−アクチニン1のいずれか一方の構成的な発現は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムを導入したTYK細胞を親TYK細胞に匹敵する形質へ回復し得なかった(示さず)。このことは、TYK細胞の形態および挙動の調節にはα−アクチニン1およびコフィリンが協働して作用することを示す。
ゲルソリン発現レベルの増加がWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムを導入したTYK細胞における形態学的な変化、減少した細胞−基質間接着および増強された細胞運動に関与するか否かを調べるために、これらの細胞にゲルソリン特異的siRNAベクタ−またはMockベクタ−を導入し、ゲルソリンの発現レベルが親TYK細胞におけるゲルソリン発現レベルに匹敵する細胞クロ−ンを単離した(TW/GSNsiRNA)(n=3)(図7a)。ゲルソリン特異的siRNAベクタ−によるゲルソリン発現抑制は、mock siRNAベクタ−を導入しWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムを導入したTYK細胞(TW/siMock)(n=3)と比較して、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムを導入したTYK細胞において形態学的な変化を誘導しなかった(図7b,c)。剥離アッセイは、TW/GSNsiRNA細胞とTW/siMock細胞との間で細胞−基質間接着の強度において差異がないことを示した(図7d)。しかし、創傷治癒アッセイを行ったところ、TW/GSNsiRNA細胞の細胞運動が、TW/siMock細胞の細動運動と比較して減少し、抑制されたゲルソリン発現を伴って顕著に低減し、TYK親細胞の細胞移動と同等のレベルであった(図7e)。
さらに、アクチニン/コフィリンの発現とゲルソリンの発現が一致するか否かを調べるために、TW/ACTN−CFL細胞およびTW/Mock細胞におけるゲルソリンタンパク質発現レベルを調べた。α−アクチニン1およびコフィリンの構成的な発現は、ゲルソリンの発現を抑制した(図6f)。反対に、ゲルソリンの抑制は、α−アクチニン1およびコフィリンの発現を増加させた(図7f)。
要約すると、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムの構成的な発現は、α−アクチニン1およびコフィリンの両方の発現を下方制御し、そしてゲルソリンの発現を上方制御する(図8)。さらに、α−アクチニン1/コフィリン遺伝子発現およびゲルソリン遺伝子発現は、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムの下流シグナル伝達において互いに調節される。よって、形態学的変化を誘導し、細胞−基質間接着を低減させ、そして細胞移動を増強するというWT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムの機能の全てまたは一部は、α−アクチニン1/コフィリンおよびゲルソリンの調節を介して作動する。
以上の結果より、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムは、固形腫瘍を形成する細胞において癌遺伝子様の機能を発揮するということがわかった。
〔実施例6:WT1 17AA(−)アイソフォーム発現抑制による固形腫瘍におけるアポトーシス誘導〕
WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に抑制するsiRNAベクターを構築した。具体的には、図9に示すように、17AA領域がspliced outすることにより形成される領域を標的配列とすべく、WT1 17AA(−)アイソフォームの配列5’−AGCCACCTTAAAGGGCCACAGCACAGGGTA−3’(配列番号26)を標的とした。センス鎖(5’−agccaccuuaaagggccgcgguauagggua(標的配列のセンス鎖に下線部で変異を加えた配列))−cttcctgtca(human pre−miR−23のloop配列)−uacccugugcuguggcccuuuaagguggcu(標的配列のアンチセンス鎖)からなるオリゴヌクレオチド(配列番号27)の両側に制限酵素部位を付加したオリゴDNA、および当該オリゴDNAに相補的なオリゴDNAを合成した(Japan Bio Service)。これらのオリゴDNAをアニーリングした後、piGENEtRNA Pur Vector(Clonetech)のtRNAValプロモータの下流に挿入し、loop配列を含むdsRNAを転写するWRI−17AA(−)siRNAベクターを構築した。
WT1発現細胞株(線維肉腫細胞 HT−1080、胃癌細胞 AZ−521、神経膠腫細胞A172)およびWT1非発現細胞株(肺癌細胞 PC−14)を、5%CO存在下にて37℃で10%FBS含有DMEM培地中において培養した。
6ウェルプレートに播き(2×10細胞)一日培養した細胞に、WT1−siRNA発現ベクターまたはMockベクター(2μg)を、FuGENE6(Roche)を用いたリポフェクション法により導入した。導入3日後にトリプシン処理を行い、細胞数を計数し、フローサイトメトリー解析に供した。
1.0×10個の細胞をPBSで洗浄した後、MEBCYTO Apoptosis kit(Medical and Biological Laboratories Co., Ltd,Nagoya,Japan)を用いて、Annexin V−FITC、およびPIを室温で15分間反応させて細胞を染色した。これらの細胞を、FACScan flowcytometer(Becton Dickinson,San Jose,CA)で解析し、Annexin V−FITC陽性/PI陰性の細胞をアポトーシス細胞として規定した。
WT1を発現しているHT−1080細胞、AZ−521細胞およびA172細胞において、WT1 17AA(−)アイソフォーム特異的siRNAベクターWRI−17AA(−)の導入によりアポトーシスが誘導されたが、WT1を発現していない細胞株PC−14にWRI−17AA(−)を導入してもアポトーシスが誘導されなかった(図10)。
〔実施例7:WT1 17AA(−)アイソフォームの発現の抑制によるインビボでの腫瘍形成の抑制〕
WT1 17AA(−)アイソフォームを標的とするWT1−shRNA(WRI)投与を行った群2匹およびコントロールshRNAベクター(mock)投与を行った群2匹における、接種したHT−1080細胞により形成された腫瘍のサイズを計測した結果を図11に示す。示すように、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を抑制することにより、腫瘍の増殖がインビボで抑制された。なお、図には各群の平均を示した。
このように、WT1 17AA(−)/KTS(−)アイソフォ−ムが癌遺伝子様の機能を発揮している固形腫瘍の細胞に、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に抑制するsiRNAを適用すれば、腫瘍細胞特異的な細胞死を誘導し、制癌作用を導き出すことができる。
本発明を用いれば、固形腫瘍を形成する細胞を特異的にアポトーシスに誘導し得、固形腫瘍を処置することができる。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
WT1遺伝子は癌細胞に特異的に高発現しているのでWT1 17AA(−)アイソフォームの発現抑制による細胞死の誘導は、癌細胞に特異的に現れ、正常細胞には生じ得ない。よって本発明は癌細胞特異的な分子標的治療法開発のための基盤技術として、医学分野、製薬分野において非常に有用である。

Claims (11)

  1. 配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含む21〜49塩基長のポリヌクレオチドであって、WT1 17AA(+)アイソフォームの発現を阻害することなく、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に阻害し得るsiRNAを提供することができることを特徴とするポリヌクレオチド。
  2. 配列番号26に示される塩基配列からなることを特徴とするポリヌクレオチド。
  3. 固形腫瘍を処置するための医薬用組成物であって、
    配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含む21〜49塩基長のポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる、WT1 17AA(+)アイソフォームの発現を阻害することなく、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に阻害し得る二本鎖RNA;
    該二本鎖RNAをコードするDNA;または
    該DNAが挿入されたベクター
    のいずれか1つを含有していることを特徴とする医薬用組成物。
  4. 第2のRNAをコードするDNAが、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含むポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とする請求の範囲3に記載の医薬用組成物。
  5. 第2のRNAが配列番号29に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基を含んでいることを特徴とする請求の範囲3に記載の医薬用組成物。
  6. 第1のRNAが配列番号30に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基を含んでいることを特徴とする請求の範囲3に記載の医薬用組成物。
  7. 前記二本鎖RNAをコードするDNAが配列番号27に示される塩基配列を含んでいることを特徴とする請求の範囲3に記載の医薬用組成物。
  8. 前記二本鎖RNAが、配列番号29に示される塩基配列を含むRNAと配列番号30に示される塩基配列を含むRNAとが対合してなることを特徴とする請求の範囲3に記載の医薬用組成物。
  9. 固形腫瘍を処置するための医薬用キットであって、
    配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含む21〜49塩基長のポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる、WT1 17AA(+)アイソフォームの発現を阻害することなく、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に阻害し得る二本鎖RNA;
    該二本鎖RNAをコードするDNA;または
    該DNAが挿入されたベクター
    のいずれか1つを備えていることを特徴とする医薬用キット。
  10. 固形腫瘍を処置するための医薬を製造するための二本鎖RNAの使用であって、
    該二本鎖RNAは、配列番号26に示される塩基配列の連続する少なくとも15塩基からなりかつ配列番号27に示される塩基配列を含む21〜49塩基長のポリヌクレオチドに相補的なDNAによりコードされる第1のRNAと、第1のRNAに対合し得る第2のRNAとからなる、WT1 17AA(+)アイソフォームの発現を阻害することなく、WT1 17AA(−)アイソフォームの発現を特異的に阻害し得るものであり、
    該医薬は、固形腫瘍を形成する細胞に対して投与された際に該二本鎖RNAが発現可能となるものである
    ことを特徴とする使用。
  11. 前記投与が、第1のRNAおよび第2のRNAを含むポリヌクレオチドを挿入したベクターの、目的の細胞への導入によることを特徴とする請求の範囲10に記載の使用。
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