以下、図面に従って本発明を適用したデジタルカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の一実施形態に係わるデジタルカメラは、撮像素子から取得した画像データに基づいて被写体像を動画表示するライブビュー表示機能が設けられている。また、このデジタルカメラは、レリーズ釦の半押しに応答して撮影準備状態となり、レリーズ釦の全押しに応答して撮影が開始され、このとき取得した静止画の画像データが記録媒体に記録される。また、撮影準備状態では、ライブビュー用に間引いた画像データに基づいて第1のコントラストAFによって撮影レンズは粗い精度で合焦位置に駆動され、さらに、間引かれない画像データを用いて高精度の第2のコントラストによって合焦位置に駆動される。
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタルカメラの電気系を主とする全体構成を示すブロック図である。本実施形態に係わるデジタルカメラは、交換レンズ100とカメラ本体200とから構成され、通信接点291にて電気的に接続されている。なお、交換レンズ100とカメラ本体200を一体に構成しても良い。
交換レンズ100の内部には、焦点調節および焦点距離調節用のフォーカシングレンズ101と、手振れ補正用光学系102と、開口量を調節するための絞り103が配置されている。フォーカシングレンズ101はフォーカス駆動機構109によって駆動され、絞り103は絞り駆動機構108によって駆動され、手振れ補正用光学系102はレンズ防振機構105によって防振駆動される。レンズ防振機構105は、レンズ防振制御回路106に接続されており、このレンズ防振制御回路106は、レンズ振動センサ107から振動検出結果を入力すべく接続されている。
レンズ防振制御回路106、絞り駆動機構108、およびフォーカス駆動機構109は、それぞれレンズCPU111に接続されており、このレンズCPU111は通信接点291を介してカメラ本体200に接続されている。レンズCPU111は交換レンズ100内の制御を行うものであり、フォーカス駆動機構109を制御してピント合わせや、ズーム駆動を行うとともに、絞り駆動機構109を制御して絞り値制御を行う。
また、レンズCPU111は、レンズ防振制御回路106を制御し、レンズ防振制御回路106は、レンズ振動センサ107によって検出された手振れ量に基づいてレンズ防振機構105を制御して、手振れの影響を打ち消すように手振れ補正用光学系102の駆動制御を行う。
カメラ本体200内であって、フォーカシングレンズ101および手振れ補正用光学系102の後方には、露光時間制御用のフォーカルプレーンタイプのシャッタ213が配置されており、このシャッタ213はシャッタ駆動機構237によって駆動制御される。
シャッタ213の後方には撮像素子221が配置されており、フォーカシングレンズ101によって結像される被写体像を電気信号に光電変換する。なお、撮像素子221としては、CCD(Charge Coupled Devices)またはCMOS(Complementary
Metal Oxide Semiconductor)等の二次元固体撮像素子を使用できることは言うまでもない。
撮像素子221は撮像素子駆動回路223に接続され、この撮像素子駆動回路223によって、撮像素子221から画像信号の読出し等が行われる。撮像素子221の出力は、前処理回路225に接続されており、前処理回路225は、信号増幅やAD変換等、画像処理のための前処理を行なう。
前述のシャッタ213と撮像素子221の間には、防塵フィルタ215、赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ217が配置されている。防塵フィルタ215の周囲には圧電素子216が固定されており、この圧電素子216は防塵フィルタ駆動回路235によって、超音波で振動する。防塵フィルタ215に付着した塵埃は、圧電素子216に発生する振動波によって、除塵される。
赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ217は、被写体光束から赤外光成分と、高周波成分を除去するための光学フィルタである。防塵フィルタ215、圧電素子216、赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ217および撮像素子221からなる撮像ユニット219は、塵埃等が侵入しないように気密に一体に構成されている。これら一体化された撮像素子221等を含む撮像ユニット219は、ボディ防振機構233によって、撮像素子221の撮像面におけるX軸方向とY軸方向に沿って、それぞれ移動させることができる。
カメラ本体200内には、カメラ本体200に加えられた手振れ等による振動を検出し、手振れ信号を出力するボディ振動センサ231が配置されている。ボディ防振制御回路232は、ボディ振動センサ231に接続され、手振れ信号を受け手振れ等の振動を除去するための手振れ補正信号を生成する。
前述のボディ防振機構233は、ボディ防振制御回路232からの手振れ補正信号を入力し、この信号に基づいて、撮像素子ユニット219を撮像面に沿ってシフトさせ、カメラ本体200に加えられた手振れ等の振動を打ち消すように、撮像素子221等を移動させ、防振を行なう。
前述の前処理回路225は、ASIC(Application Specific
Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)250内のデータバス252に接続されている。このデータバス252には、シーケンスコントローラ(以下、「ボディCPU」と称す)251、画像処理回路257、圧縮伸張回路259、ビデオ信号出力回路261、SDRAM制御回路265、入出力回路271、通信回路273、記録媒体制御回路275、フラッシュメモリ制御回路279、スイッチ検知回路283が接続されている。
データバス252に接続されているボディCPU251は、後述するフラッシュメモリ281に記憶されているプログラムに従って、このデジタルカメラの動作を制御するものである。
データバス252に接続された画像処理回路257は、デジタル画像データのデジタル的増幅(デジタルゲイン調整処理)、色補正、ガンマ(γ)補正、コントラスト補正、ライブビュー表示用画像生成等の各種の画像処理を行なう。また、画像処理回路257は、撮像素子221から出力される画像データから被写体の輝度を求める。
さらに、画像処理回路257は、画像データに基づいて高周波成分を抽出し、この高周波成分に基づくコントラスト値をボディCPU251に出力する。また、コントラスト値を求める際に、ライブビュー表示用に間引かれた画像データからコントラスト値を求め、また、間引きされていない画像データからコントラスト値を求めることを選択的に切り換えられる。このための構成については、図2を用いて後述する。
圧縮伸張回路259はSDRAM267に記憶された画像データをJPEGやTIFF等の圧縮方式で圧縮し、また記録されている圧縮画像データを伸張するための回路である。なお、画像圧縮はJPEGやTIFFに限らず、他の圧縮方式も適用できる。
ビデオ信号出力回路261は液晶モニタ駆動回路263を介して背面液晶モニタ26に接続される。背面液晶モニタ26は、カメラ本体200の背面に配置されるが、撮影者が観察できる位置であれば、背面に限らないし、また液晶に限らず他の表示装置でも構わない。また、背面液晶モニタ26は、ライブビュー表示を行い、また、撮影済みの被写体像を再生表示し、撮影情報やメニューを表示するための表示装置である。
ビデオ信号出力回路261は、SDRAM267および記録媒体277に記憶された画像データや、画像処理回路257から出力されるライブビュー用の画像データや、その他のカメラ制御用の種々の情報を、背面液晶モニタ26に表示するためのビデオ信号に変換するための回路である。
SDRAM267は、SDRAM制御回路265を介してデータバス252に接続されており、このSDRAM267は、画像処理回路257によって画像処理された画像データまたは圧縮伸張回路259によって圧縮された画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリである。
上述の撮像素子駆動回路223、ボディ防振制御回路232、防塵フィルタ駆動回路235、シャッタ駆動機構237に接続される入出力回路271は、データバス252を介してボディCPU251等の各回路とデータの入出力を制御する。
レンズCPU111と通信接点291を介して接続された通信回路273は、データバス252に接続され、ボディCPU251等とのデータのやりとりや制御命令の通信を行う。データバス252に接続された記録媒体制御回路275は、記録媒体277に接続され、この記録媒体277への画像データ等の記録及び画像データ等の読み出しの制御を行う。
記録媒体277は、xDピクチャーカード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード(登録商標)またはメモリスティック(登録商標)等の書換え可能な記録媒体のいずれかが装填可能となるように構成され、カメラ本体200に対して着脱自在となっている。その他、通信接点を介してハードディスクを接続可能に構成してもよい。
フラッシュメモリ制御回路279は、フラッシュメモリ(Flash Memory)281に接続され、このフラッシュメモリ281は、前述したようにデジタルカメラの動作を制御するためのプログラムを記憶しており、ボディCPU251はこのフラッシュメモリ281に記憶されたプログラムに従ってデジタルカメラの制御を行う。なお、フラッシュメモリ281は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。
レリーズ釦の第1ストローク(半押し)を検出する1Rスイッチや、第2ストローク(全押し)を検出する2Rスイッチを含む各種スイッチ285は、スイッチ検知回路283を介してデータバス252に接続されている。また、各種スイッチ285としては、電源釦に連動するパワースイッチ、メニュー釦に連動するメニュースイッチ、再生釦に連動する再生スイッチ、その他の操作部材に連動するその他の各種スイッチ等を含んでいる。パワースイッチがオンとなると、カメラを動作状態に設定することができる。
スイッチ検知回路283は各種スイッチ285のスイッチのオン・オフ状態等を検知する。また、スイッチ検知回路283には着脱検知スイッチ287が接続されている。着脱検知スイッチ287は、カメラ本体200に交換レンズ100が装着されているか、外されているかを検出するためのスイッチである。
次に、画像処理回路257における、ライブビュー表示とコントラストAFのためのコントラスト情報を取得するための構成について、図2に示すブロック図を用いて説明する。
撮像部300は、前述の撮像素子221、前処理回路225等の被写体画像の画像データを生成するためのブロックである。この撮像部300からの出力は、画像処理回路257内のスイッチ301に接続されている。このスイッチ301の制御端は制御部320に接続され、制御部320からの制御信号に応じて、撮像部300からの画像データを出力する出力端の切り換えを行う。なお、制御部200は、ボディCPU251等から構成される。
スイッチ303の一方の出力端301aは間引き処理部303に接続され、この間引き処理部303の出力は第1表示画像生成部305に接続されている。間引き処理部303は、ライブビュー表示用に、全画素の画像データの内からとびとびに画像データを抽出する。
第1表示画像生成部305は、間引き処理された画像データを用いて、ライブビュー表示を行うための画像データを生成する。すなわち、図3に示すように、全画素画像350から間引き処理された画像データを用いて、第1表示画像生成部305はライブビュー表示画像351を生成する。
スイッチ301の他方の出力端301bは切り出し処理部307に接続され、この切出処理部307の出力は第2画像表示画像生成部309に接続されている。切出処理部307は、全画素の画像データの中から、制御部320によって指定された切出領域に属する画像データのみを抽出する。
第2表示画像生成部309は、切り出された画像データを用いて、高精度のコントラストAFを行い、また拡大表示するための画像データを生成する。すなわち、図3に示すように、全画素画像350から切り出し処理された画像データを用いて、第2表示画像生成部309は拡大画像352を生成する。
第1表示画像生成部305および第2表示画像生成部309の出力は、画像表示部330とコントラスト検出部311に接続される。コントラスト検出部311は、コントラストAFのためのコントラスト値を算出する。すなわち、第1表示画像生成部305および第2表示画像生成部309から出力される画像データを入力し、この画像データの高周波成分を抽出する。
コントラスト検出部311の出力はピーク検出部311に接続される。ピーク検出部311は、コントラスト値のピークを検出する。すなわち、コントラストAF時には、フォーカス駆動機構109によってフォーカシングレンズ101を駆動しながら、コントラスト値の検出を行う。このとき、ピーク検出部311は、コントラスト値が増加から減少に切り換わる点を検出し、この切り換わり(ピーク)を検出すると、制御部320に出力する。
画像表示部330は、ビデオ信号出力回路261、液晶モニタ駆動回路263、背面液晶モニタ26等から構成される。この画像表示部330は、第1表示画像生成部305および第2表示画像生成部309から出力された画像を背面液晶モニタ26に表示する。
このように画像処理回路257は構成されているので、間引き処理部303によって間引かれ、少ない画素数であるが、画面全体に対応する画像データ(図3のライブビュー表示画像351に対応する画像データ)がコントラスト検出部311に入力されと、この画像データに基づいて、粗い精度で自動焦点調節(AF)を実行することができる。また、切出処理部307によって画面全体の中の一部分に対応する画像データ(図3の拡大画像352に対応する画像データ)が、コントラスト検出部311に入力されると、画面の一部ではあるが、その部分について高精度の自動焦点調節(AF)を実行することができる。
次に、本発明の一実施形態におけるデジタルカメラの動作について図4乃至図7に示すフローチャートを用いて説明する。カメラ本体200側のボディCPU251によるカメラ本体200に電池が装填されると、図4に示すパワーオンリセットのフローがスタートし、はじめにカメラ本体200のパワースイッチがオンであるかを判定する(#1)。
ステップ#1における判定の結果、パワースイッチがオフの場合には、低消費電力の状態であるスリープ状態となる(#3)。このスリープ状態ではパワースイッチがオンとなった場合のみに割り込み処理を行い、ステップ#5以下においてパワースイッチオンのための処理を行う。パワースイッチがオンとなるまでは、パワースイッチ割り込み処理以外の動作を停止し、電源電池の消耗を防止する。
ステップ#1における判定の結果、パワースイッチがオンであった場合、またはステップ#3におけるスリープ状態を脱した場合には、電源供給を開始する(#5)。なお、電源供給開始すると、ライブビュー表示を開始する。すなわち、撮像素子221によって取得した画像データに基づいて、被写体像を背面液晶26に動画表示を開始する。
電源供給を開始すると、次に、防塵フィルタ215における塵埃除去動作を行う(#7)。これは防塵フィルタ215に固着された圧電素子216に防塵フィルタ駆動回路235から駆動電圧を印加し、超音波振動波によって塵埃等を除去する動作である。
続いて、ボディ防振機構の初期化を行う(#9)。ボディ防振機構の初期化では、ボディCPU251からボディ防振制御回路232に対してセンタリング制御信号を出力することにより、センタリング動作を行う。
ボディ防振機構の初期化を行うと、続いて、測光・露光量演算を行なう(#11)。このステップでは、画像処理回路257は撮像素子221から取得した画像データに基づいて被写体輝度を求め、この被写体輝度に基づいてボディCPU251は露光量を演算し、この露光量を用いて撮影モード・撮影条件に従ってシャッタ速度や絞り値等の露光制御値の演算を行う。なお、この演算された露光制御値は、背面液晶モニタ26または図示されないコントロールパネル等の表示部に表示される。
測光・露光量の演算が終わると、次に、再生スイッチがオンか否かの判定を行う(#13)。再生モードは、再生釦が操作された際に、記録媒体277に記録された静止画データを読み出して背面液晶モニタ26に表示するモードである。判定の結果、再生スイッチがオンの場合には、再生動作を実行する(#31)。
ステップ#13における判定の結果、再生スイッチがオンではなかった場合には、メニュースイッチがオンか否かの判定を行なう(#15)。このステップでは、メニュー釦が操作され、メニューモードが設定されたか否かを判定する。判定の結果、メニュースイッチがオンであった場合には、背面液晶モニタ26にメニュー表示し、メニュー設定動作を行う(#33)。メニュー設定動作によって、ホワイトバランス、ISO感度設定、ドライブモードの設定等、各種の設定動作を行うことができる。また、メニュー設定動作において、スポットAFモードや顔検出AFモード等のAFモードの選択も行うことができる。
ステップ#15における判定の結果、メニュースイッチがオンでなかった場合には、レリーズ釦が半押しされたか、すなわち、1Rスイッチがオンか否かの判定を行う。判定の結果、1Rスイッチがオンであった場合には、撮影準備と撮影を行う撮影動作のサブルーチンを実行する(#35)。このサブルーチンの詳細は図5を用いて後述する。
ステップ#17における判定の結果、1Rスイッチがオンでなかった場合には、交換レンズ100が取り外されたか否かの判定を行う(#19)。このステップでは、着脱検知スイッチ287の状態を検出し判定を行う。この判定の結果、交換レンズ100が取り外されていた場合には、カメラ本体200および交換レンズ100に対して電源供給を停止する(#37)。
電源供給を停止すると、次に交換レンズ100が装着されたか否かの判定を行う(#39)。判定の結果、装着されていない場合には、ステップ#39に戻る待機状態となる。なお、ステップ#37において電源供給を停止しても、ボディCPU251、着脱検知スイッチ287等の制御系には電源が供給されており、交換レンズ100の装着の判定を行うことができる。ステップ#39における判定の結果、レンズ装着を検出すると、ステップ#5に戻る。
ステップ#19における判定の結果、交換レンズ100が装着されていた場合には、ステップ#1と同様に、パワースイッチがオンか否かの判定を行なう(#21)。この判定の結果、パワースイッチがオンであった場合には、ステップ#11に戻り、前述の動作を繰り返す。一方、パワースイッチがオンではなかった場合には、電源供給を停止し(#23)、ステップ#3に戻り、前述のスリープ状態となる。なお、ステップ#23において電源供給の停止を行う際に、ライブビュー動作の停止も併せて行う。
次に、ステップ#35における撮影動作のフローについて、図5に示すフローチャートを用いて説明する。前述したように、1Rスイッチがオンとなるとこのフローに入る。まず、スポットAFにおけるAFポイントが選択済みか否かの判定を行う(#41)。このステップでは、スポットAFによってAFポイントが選択されたか否かの判定を行う。
ステップ#41における判定の結果、既にAFポイントが選択されている場合には、コントラスト検出AF1のサブルーチンにて、選択されたAFポイントについてコントラストAFを行う(#44)。本実施形態に係るデジタルカメラでは、複数のポイントの中から撮影者が意図するポイントを指定し、そのポイントについてコントラストAFを行う場合には、間引き処理部303によって間引かれた画像データに基づいて行う。コントラスト検出AF1のサブルーチンについては、図6を用いて後述する。
ステップ#41における判定の結果、AFポイントが選択されていなかった場合には、全画面の画像データを分析して、画面内に人物の顔が存在しているか否かの判定を行う(#43)。この判定の結果、画面内に顔が存在していることを検出した場合には、その顔の位置をAFポイントに定める(#42)。AFポイントを定めると、その顔ポイントについて、前述したステップ#44において、コントラスト検出AF1のサブルーチンを実行する。
この場合のコントラストAFも、間引き処理部303によって間引かれた画像データに基づいて行う。
ステップ#43における判定の結果、顔検出できなかった場合には、コントラスト検出AF1を実行する(#45)。このコントラスト検出AF1のサブルーチンでは、全画面に対応する画像データから間引き処理部303によってライブビュー表示用に間引いた画像データを用い、コントラスト法によって最至近の被写体に対して自動焦点調節を行う。ステップ#45において、合焦したポイントは、全画面AFで検出されたAFポイントとして決定される(#47)。コントラスト検出AF1の詳しい動作については、図6を用いて後述する。
次に、イメージャ読み出しモードの変更を行う(#49)。すなわち、スイッチ301を出力端301aから出力端301bに切り換え、撮像部300から出力される画像データを切出処理部307に出力する。
続いて、イメージャ読み出し範囲の設定を行う(#51)。このステップでは、ステップ#41またはステップ#47において選択・設定されたAFポイントを含む範囲の画像データのみを、切出処理部307によって切り出す(抽出する)。これによって、コントラスト検出部311と画像表示部330は、切出処理部307によって切り出された画像データを入力する。
イメージャ読み出し範囲を設定すると、次に、拡大表示を行う(#53)。このステップでは、切出処理部307によって切り出された画像データに基づいて、画像表示部330(背面液晶モニタ26)に、拡大画像352(図3参照)を表示する。
拡大画像を表示すると、コントラスト検出AF2を行う(#55)。このコントラスト検出AF2では、切出処理部307によって切り出された画像データを用いて、コントラスト検出部311がコントラスト法によって自動焦点調節(AF)を行う。切出処理部307から出力される画像データは、間引きを行っていないことから、コントラスト検出部311は、高精度のコントラスト検出を行うことができる。このコントラスト検出AF2の詳しい動作は、図7を用いて後述する。
コントラスト検出AF2が終わると、次に、イメージャ読み出しモード変更を行う(#57)。ここでは、スイッチ301を出力端301bから出力端301aに切り換え、撮像部300からの画像データを間引き処理部303に出力するようにする。
次に、全画面表示を行う(#59)。ここでは、間引き処理部303からの画像データに基づいて、ライブビュー表示画像351(図3参照)の表示を行う。したがって、ステップ#5において、電源供給が開始されると、全画面表示でライブビュー表示が開始され、ステップ#53〜ステップ#57の間だけ、拡大表示でライブビュー表示がなされ、ステップ#59からは全画面表示でライブビュー表示がなされる。
全画面表示を行うと、続いて、合焦表示を行う(#61)。ステップ#55におけるコントラスト検出AF2を実行することにより、高精度で合焦検出されフォーカスレンズ101が合焦位置に駆動されていることから、このステップ#61において、背面液晶モニタ26等に合焦表示を行う。
合焦表示を行うと、次に、2Rスイッチがオンか否かの判定を行う(#63)。露光動作を行うために、レリーズ釦を全押ししたかの判断である。この判定の結果、2Rスイッチがオンでなかった場合には、1Rスイッチがオンか否かの判定を行う(#65)。この判定の結果、1Rスイッチがオンであった場合には、再びステップ#63に戻り、ステップ#63とステップ#65を交互に判定する待機状態となる。そして、ステップ#65における判定の結果、1Rスイッチがオンでなくなると、元のフローに戻る。
ステップ#63における判定の結果、2Rスイッチがオンとなると、露光動作に移る。まず、絞り込みを行う(#67)。このステップでは、ボディCPU251はレンズCPU111に対して、絞り込み指示を行い、レンズCPU111は絞り込み指示を受けると、絞り駆動機構108に絞り103の絞り込み動作を実行させる。
絞り込みを行うと、次に、露光を行う(#69)。露光は、シャッタ213の先幕を走行させ、シャッタを開放すると共に、撮像素子221に電荷蓄積を開始させる。所定の時間が経過すると、シャッタ213の後幕を走行させ、シャッタ213を閉じるとともに、撮像素子221の電荷蓄積を終了する。
露光動作が終了すると、次に、絞りを開放する(#71)。このステップでは、ボディCPU251はレンズCPU111に対して、絞り開放の指示を行い、レンズCPU111は絞り開放指示を受けると、絞り駆動機構108に絞り103の絞り開放動作を実行させる。
絞りを開放すると、次に、画像処理を行う(#73)。このステップでは、撮像素子駆動回路233によって、撮像素子221から画像データの読み出しを行い、この読み出された画像データに対して、前処理回路225、画像処理回路257、圧縮伸張回路259等によって、画像処理を行う。画像処理を行うと、次に、画像処理された画像データの画像記録を行う(#75)。このステップでは、記録媒体275によって記録媒体277に画像データの記録を行う。画像記録が終わると、元のフローに戻る。
次に、ステップ#44およびステップ#45におけるコントラスト検出AF1の動作について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
コントラスト検出AF1のフローに入ると、まず、AFポイントが決定済みであるか否かの判定を行う(#80)。すなわち、ステップ#41における判定の結果、スポットAFでのAFポイントが選択されていた場合、または顔有りの場合でステップ#42においてAFポイントが決定されていた場合には、このステップ#80における判定の結果、AFポイント決定済みと判定される。一方、スポットAFでもなく、かつ全画面に顔が存在しなかった場合には、コントラスト検出AF1のフローを実行する際には、AFポイントが未決定と判定される。
ステップ#80における判定の結果、AFポイントが決定されていなかった場合には、イメージャ読み出し範囲は全域に設定される。この結果、間引き処理部303における間引き処理は、全画像データの全範囲について行う。一方、ステップ#80における判定の結果、AFポイントが決定されていた場合には、イメージャ読み出し範囲は全域に設定されるが、ピーク検出範囲はAFポイントに設定される(#82)。
次に、レンズリセット駆動を行う(#83)。このステップでは、ボディCPU251はレンズCPU111に対して、フォーカスレンズ101をリセット位置(本実施形態においては無限端)への移動を指示する。
次に、レンズ駆動量1を設定する(#84)。このレンズ駆動量1は、図8(a)に示すように、1回の駆動でフォーカスレンズ101を移動させる駆動量である。続いて、コントラスト比較データをクリアする(#85)。コントラストAFは、前回と今回のコントラスト値を比較し、コントラスト値が最大となる方向に向けてフォーカスレンズ101を駆動する。コントラスト比較データは、この比較のために一時記憶する前回のコントラスト値である。
コントラスト比較データをクリアすると、次に、画像データの取り込みを行う(#87)。このステップでは、間引き処理部303で間引き処理され、第1表示画像生成部305で生成された1フレーム分の画像データを、コントラスト検出部311が取り込む。続いて、コントラスト値の算出を行う(#89)。ここでは、ステップ#87で取り込んだ画像データに基づいて、コントラスト検出部311がコントラスト値を求める。
コントラスト値を算出すると、次に、コントラスト値が増加したか否かの判定を行う(#91)。ここでは、前回と今回のコントラス値を比較し、前回に比較し、コントラスト値が増加しているか否かの判定を行う。この判定の結果、コントラスト値が増加していた場合には、コントラスト比較データの更新を行う(#93)。すなわち、次回、コントラスト値の比較を行う際に使用するために、今回のコントラスト値を前回のコントラスト値として一時記憶する。
コントラスト比較データの更新を行うと、次に、レンズ駆動量1でレンズ駆動を行う(#95)。コントラスト値が増加する傾向にあることから、無限端から繰り出し方向にフォーカスレンズ101をレンズ駆動量1で駆動する。レンズ駆動量1でフォーカスレンズ101を駆動すると、ステップ#87に戻り、再び、画像データを取り込み、前述した動作を実行する。
このように、ステップ#87〜#95を繰り返し実行することにより画像コントラストが次第に増加していく。そして、コントラスト値がピークを過ぎると、コントラストが減少し、ステップ#91における判定の結果、Noとなり、元のフローに戻る。なお、ステップ#45におけるコントラスト検出AF1からステップ#47に移る際、またはステップ#44におけるコントラスト検出AF1からステップ#49に移る際には、フォーカスレンズ101は合焦点から若干通り過ぎた位置で停止する。
次に、ステップ#55におけるコントラスト検出AF2の動作について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。このコントラスト検出AF2のフローは、それ以前にコントラスト検出AF1のフローを実行することにより、粗い精度ではあるが、フォーカスレンズ101は合焦点付近に到達している。コントラスト検出AF2のフローは、この状態から、選択・設定されたAFポイントのエリアにおける切出画像データを用いて高精度の合焦検出を行う。
コントラスト検出AF2のフローに入ると、まず、画像データの取り込みを行う(#105)。ステップ#49において、イメージャ読み出しモードが変更され、撮像部300からの画像データは、間引き処理部303から切出処理部307に出力先が変更されている。したがって、コントラスト検出部311は切出処理部307によって切り出し処理された画像データを取り込む。
続いて、コントラス値の算出を行う(#107)。すなわち、コントラスト検出部311は、切出処理部307によって切り出された画像データを用い、この画像データのコントラスト値を算出する。
ステップ#107のコントラスト値算出を行うと、次に、コントラスト比較データの設定を行う。ここで設定するコントラスト比較データとしては、コントラスト検出AF1で最後に算出したコントラスト値、またはステップ#107において算出したコントラスト値を設定する。
コントラスト比較データの設定を行うと、次に、レンズ駆動量2を設定する(#111)。レンズ駆動量2は、図8(b)に示すように、レンズ駆動量1よりは小さい量であり、高精度のコントラストAFを行うにあたって、撮像素子221の画素ピッチや、許容錯乱径等を考慮して定める。
レンズ駆動量2を設定すると、レンズ駆動量2でレンズ駆動を行う(#113)。ここでは、ボディCPU251はレンズCPU111に対してフォーカスレンズ101をレンズ駆動量2で駆動するように指示する。駆動方向としては、コントラスト検出AF1のフローにおいて、最初、繰り出し方向(至近方向)に駆動し、コントラスト値が減少したときに停止していることから、コントラスト検出AF2のフローでは、まず、繰り込み方向(無限遠方向)に駆動する。レンズ駆動が終わると、次に、ステップ#105と同様に画像データを取り込む(#115)。すなわち、切出処理部307で切り出し処理された画像データの取り込みを行う。
画像データを取り込むと、次に、ステップ#107と同様に、コントラスト値の算出を行う(#117)。続いて、コントラスト値が増加したか否かの判定を行う(#119)。このステップでは、前回のコントラスト値と今回のコントラスト値を比較し、増加したか否かを判定する。なお、最初、比較する際には、コントラスト検出AF2としてのコントラスト値がないことから、ステップ#109において設定したコントラスト値と比較する。
ステップ#119における判定の結果、コントラスト値が増加した場合には、コントラスト比較データの更新を行う(#121)。このステップでは、今回得たコントラスト値を、前回のコントラスト値として一時記憶する。コントラスト比較データの更新を行うと、ステップ#113に戻り、レンズ駆動量2でレンズ駆動を行い、コントラスト値を算出し、コントラスト値が増加したか否かを判定する。
ステップ#113〜ステップ#121を繰り返し実行することにより、図8(b)に示すように、画像コントラストが増加していく。そして、コントラスト値がピークを過ぎると、コントラストが減少することから、ステップ#119における判定の結果が、Noとなる。コントラスト値が増加しなくなると、次に、レンズ駆動量3でレンズ反転駆動を行う(#123)。
すなわち、ステップ#119における判定の結果、コントラスト値が減少した場合には、コントラスト値のピークを通り過ぎたことを意味するので、フォーカスレンズ101をピーク位置で停止させるために、レンズ駆動量3だけ戻している。なお、レンズ駆動量3としては、レンズ駆動量2の半分程度が望ましい。レンズ反転駆動を行うと、元のフローに戻る。
以上、説明したように本実施形態においては、全画面の画像データから間引いた画像データを用いて、粗いコントラストAFを行い、さらに、間引きを行わない画像データを用いて高精度のコントラストを行っている。このため、高精度でコントラストAFを行うことができ、ライブビュー表示の際に、可動ミラーを動作させる位相差AFを用いる必要がない。
また、本実施形態においては、まず、AFポイントを決定し(#42、#47参照)、この決定されたAFポイントに基づいて画像データから間引いた画像データを切り出し(#51参照)、高精度のコントラストAFを行っている。このため、ピントを合わせたい領域について高精度で自動焦点調節を行うことができる。
次に、本発明の一実施形態の変形例について図9を用いて説明する。一実施形態においては、切出処理部307によって切り出された画像データは、間引かれることなく、そのまま第2表示画像生成部309に出力され、ライブビュー表示やコントラスト検出に使用されていた。この変形例では、切り出された画像データについても、間引き処理部303ほどではないが、間引き処理を行っている。
この変形例の構成は、図9に示すように、切出処理部307の出力は、第2間引き処理部308に接続され、この第2間引き処理部308の出力は、第2表示画像生成部309に接続されている。第2間引き処理部308を設けた以外は、一実施形態と同様である。
本変形例における第2間引き処理部308は、切出し処理部307から出力される画像データを間引き処理するが、間引きの度合は、間引き処理部303よりは低い。したがって、第1表示画像生成部305から出力される画像データを用いてのコントラストAFよりは、はるかに高精度のコントラストAFを実行することができる。
以上、説明したように、本発明の実施形態によれば、コントラスト法による焦点検出を行うにあたって、ライブビュー表示用の間引き処理された画像データよりも、間引き処理の度合の低い、または間引き処理されていない画像データを用いて、コントラストAFを行っている。このため、高精度の焦点検出を行うことができる。このため、位相差AFを行う必要がない。
なお、本発明の実施形態におけるカメラは、可動ミラーやペンタプリズムを有する一眼レフタイプではないが、もちろん、一眼レフタイプのカメラにも適用できる。この場合、光学ファインダモードの場合には、位相差AFによって自動焦点調節を行い、ライブビュー表示モードの場合には、本実施形態と同様に、高精度のコントラストAFを実行すれば良い。
また、本発明の実施形態においては、撮像素子221から全画素データを読み出してから、間引き処理部303や切出し処理部307によって、間引き処理や切出し処理を行っていたが、CMOSタイプ等の撮像素子を採用した場合には、画素データを読み出す際に、間引き処理や切り出し処理を行うようにしても良い。
さらに、本発明の実施形態においては、レリーズ釦が半押しされ、1Rスイッチがオンとなると、高精度のコントラスト検出AF2を実行していたが、レリーズ釦が全押しされ、2Rスイッチがオンとなってからコントラスト検出AF2を実行するようにしても勿論かまわない。
さらに、本発明の実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラやコンパクトデジタルカメラ以外にも、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、撮像素子からの画像データを用いてコントラストAFを行う撮像装置であれば、本発明を適用することができる。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
26・・・液晶モニタ、100・・・交換レンズ、101・・・フォーカシングレンズ、102・・・手振れ補正用光学系、103・・・絞り、105・・・レンズ防振機構、106・・・レンズ防振制御回路、107・・・レンズ振動センサ、108・・・絞り駆動機構、109・・・フォーカス駆動機構、111・・・レンズCPU、200・・・カメラ本体、213・・・フォーカルプレーンシャッタ、215・・・防塵フィルタ、216・・・圧電素子、217・・・赤外カットフィルタ・ローパスフィルタ、221・・・撮像素子、223・・・撮像素子駆動回路、225・・・前処理回路、231・・・ボディ振動センサ、232・・・ボディ防振制御回路、233・・・ボディ側防振機構、235・・・ 防塵フィルタ駆動回路、237・・・シャッタ駆動機構、250・・・ASIC、251・・・シーケンスコントローラ(ボディCPU)、252・・・データバス、253・・・コントラストAF回路、257・・・画像処理回路、259・・・圧縮伸張回路、261・・・ビデオ信号出力回路、263・・・液晶モニタ駆動回路、265・・・SDRAM検知回路、267・・・SDRAM、271・・・入出力回路、273・・・通信回路、275・・・記録媒体制御回路、277・・・記録媒体、279・・・フラッシュメモリ制御回路、281・・・フラッシュメモリ、283・・・スイッチ検知回路、285・・・各種スイッチ、287・・・着脱検知スイッチ、291・・・通信接点、300・・・撮像部、301・・・スイッチ、301a・・・出力端、301b・・・出力端、303・・・間引き処理部、305・・・第1表示画像生成部、307・・・切出処理部、308・・・第2の間引き処理部、309・・・第2表示画像生成部、311・・・コントラスト検出部、313・・・ピーク検出部、320・・・制御部、330・・・画像表示部、350・・・全画素画像、351・・・ライブビュー表示画像、352・・・拡大画像