JP5230630B2 - 繊維状食物材料 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維状材料に関し、及び特には、繊維状食物材料、その製造方法、及び該繊維状材料の使用方法に関する。重要な局面において、本発明は、代替的タンパク質源由来の肉又は魚代用製品を提供することを目的とする。他の局面において、ゆるい繊維状粒子が、適用の種々の用途を有する成分として用いられる。
過去20年間、繊維状食物テクスチャーの形成は、産業から並びに食物科学者から大きな関心を受けてきた。特に重要な挑戦は、肉製品を、代替的タンパク源由来の製品により置き換えることであった。一般的に、これは、非肉タンパク質に基づく材料により、肉様の構造的及び感覚的特性を形成することを示唆する;すなわち、非肉タンパク質に基づく源から出発し、種々の長さスケールで及び種々の濃度処方計画での異方性構造物が目的とされた。
繊維状タンパク質材料について実施された該研究は、おおまかに、フィブリルへのタンパク質の自己会合及び繊維状組織(texture)へのタンパク質の強制的会合へと分けられうる。
種々のタンパク質、例えばβ−ラクトグロブリン、オボアルブミン及びウシ血清アルブミンタンパク質などの繊維の自己会合は、厳格なpH及び温度条件下で、希釈された及び半希釈された処方計画において達成された(例えば、Veerman et al., J. Rheol. 49(2) (2005) 355-368を参照されたい)。製造された該繊維は、nmの太さ及びμmの長さのオーダーであった。
自己会合の特別な場合が、κ−カゼインのアミロイド繊維形成について報告された(Thorn et al., Biochemistry 44(51) (2005) 17027)。
自己会合とは対照的に、より濃くされた処方計画におけるタンパク質溶液(>10%w/wタンパク質)の強制的会合が、押出又は紡績技術を用いて伝統的に試みられてきたが、他の技術も記載された。
押出調理は、種々の源、例えば大豆粉、コムギ及び乳タンパク質などからのタンパク質を組織化するために用いられてきた。タンパク質の可塑化、融解及び崩壊は押出機バレルにおいて起こり、そして、繊維状きめ(texture)が、長い冷却ダイス中においてタンパク質の整列化に起因して形成されうる。この点において、例えばAguilera & Stanley, Food Rev. Int. 9(4) (1993) 527-550及びCheftel et al., Food Rev. Int. 8(2) (1992) 235-275を参照されたい。
これらの実施態様において、引っ張りに対する縦方向及び横方向の抵抗の比の値は、Thiebaudら(Food Science And Technology-lebensmittel-Wissenschaft & Technologie 29(5-6) (1996) 526-535)に従い、繊維品質の指標となる。引張りに対する縦方向及び横方向の抵抗の典型的な比の値は、バレル温度及びpHに依存して、脱脂大豆粉由来の繊維状押出物について1〜5(前記のCheftel et al.,);及び切断により測定されたときに脱脂大豆粉及び豚肉の押出物について1〜2(Liu et al., Food Sc. Techn. Int. 11(6) (2005) 463-470)である。
2つの前の段落において言及された研究は、動物及び植物の源の混合が許容可能な程度の繊維質を得るために必要とされることを示す。
Tolstoguzov(J.A.O.C.S., 70(4) (1993) 417-424において)は、押出の間に異方性構造物を形成する為に、非相容性のバイオポリマーが要求されることを強調した。
米国特許出願公開第4,118,520号明細書において、カゼイン及び少なくとも1つの熱硬化性タンパク質を含むタンパク質繊維が、カルシウムイオン及びホスフェートイオンを含む水性タンパク質混合物の、該タンパク質混合物のゲル化点より低い温度での乾式紡糸、及び続く該得られた繊維の乾燥により、調製される。
米国特許出願公開第2,830,902号明細書及びその一部継続出願第2,879,163号明細書は、タンパク質に富む原料の懸濁物が熱の影響下で凝固されてタンパク質ゲルを形成し、このゲルが、マカロニ押出機を用いた押出により成形されることを記載する。
一般に、押出技術は多くの欠点を有する。例えばタンパク質変性の為の高温の使用は制御できない化学反応を誘発する;及び、押出の間の高いせん断力の使用は、分子のレベルでさえの(Van den Einde et al., Polymer Degradation And Stability, 85(1) (2004) 589-594、を参照されたい)、構造的要素の破壊をもたらしうる(例えば、Peighambardoust et al., J. Cereal Sc. 43 (2006) 183-197を参照されたい)。さらに、多くの他の混合又は混練装置におけるように押出機では、物理的及び/又は化学的処理についての種々の効果が、該装置内の位置に依存して得られる。
よく定義された繊維状製品を得る為に、構造的要素における破壊と組織誘発との間の微妙な相互作用があるべきことが明白である。本発明は、よく定義された繊維状製品を得ることを許す方法を提供することを目的とする。
さらに、押出調理により調製された製品は一般的に、100℃超の温度で加熱される。そのような製品は加熱されることができるが、焼き及び揚げのような技術(これは魚及び肉によっても得られる効果に至るだろう)を用いてキッチンで処理されることができない。
本明細書上記で言及された他の技術、すなわちバイオポリマーの紡糸は、紡糸口金における及び凝固の間のせん断及び延伸的な流動に起因した、マクロ分子の整列化に基づく(例えば、Gallant et al., Food Microstructure 3 (1984) 175-183)。典型的には、得られた繊維(約100μm)は、酸及び塩溶液を含む浴中で凝固され、その後洗浄される。親水コロイド、例えばカラギーナン(Downey & Burgess, J. Food Techn. 14(1) (1979) 21-31; Downey & Burgess, J. Food Techn. 14(1) (1979) 33-40)及びアルギネート(Antonov et al., Die Nahrung 29(1) (1985) 39; Suchkov et al., Nahrung-Food 24(9) (1980) 893-897)、又は植物タンパク質、例えば大豆(Suchkov et al., Nahrung-Food 32(7)(1988) 669-678)又はソラマメ(field bean)タンパク質(Suchkov et al., Nahrung-Food 32(7)(1988) 679-689)が、製造されたカゼインベースの繊維の水中における溶解度を減少するために、二相混合においてカゼインとの組合せで用いられた。
米国特許出願公開第2,682,466号明細書は、湿式紡糸方法により作られる食用タンパク質繊維を記載する。タンパク質に富む未加工の原料が、アルカリ溶媒中に溶解され、そして次に、酸性塩浴へ細いジェットの形で押出され、該浴中で該繊維が凝固する。
この紡糸方法の不利点は、該凝固及び洗浄浴からの大量の水廃棄流を残すことである。さらに、低いpH及び高い塩濃度の必要、並びに該繊維の凝固の為の化学的添加物の必要が、消費のために適当な繊維の製造の為の方法及び装置の設計を複雑な問題にする。さらに、もし実行可能だとしても、繊維状構造物への紡糸を通じて得られた繊維の組合せは複雑である。
蘭国特許出願第1019816号明細書において製品が調製され、該製品は肉及び魚を置換することを目的とし、及び焼かれることができる。これらの製品はカード(curd)から調製され、これはアルギネート及び/又はホスフェートと水中で混合され、塩溶液中で該混合物は乳化され及びその後激しく攪拌される。その後、該得られた繊維状製品は洗浄され、及び追加的に該水が除去される。該記載された方法は、前記の紡糸方法と同様の不利点を有する。
国際公開第2005/004624号パンフレット及び国際公開第2005/004625号パンフレットにおいても、タンパク質(夫々、乳及び植物タンパク質)と、少なくとも+2の価を有する金属イオンとの接触に付されたときに沈殿する親水コロイドとの混合物が、そのような金属イオンを含む溶液との接触に付されて、食物製品を含む成形された繊維を形成する。
2つの前の段落の方法において得られた製品は、ゲル化親水コロイドに基づく構造を得る。
さらに、背景技術は、種々の用途のためのタンパク質製品を得る為の、タンパク質のトランスグルタミナーゼによる架橋を含むが、肉又は魚置換の為の繊維状テクスチャーは含まない。トランスグルタミナーゼを用いてタンパク質を部分的に架橋する方法に関する欧州特許出願公開第1 085 023号明細書が言及される。その目的は、増粘剤又は結合剤としての、食材において有用な架橋されたタンパク質を提供することである。該材料は、連続的に攪拌される反応器又は固定床反応器から得られ、後者が好ましい。ペースト食品及び乳化食品において有用な乳清タンパク質含有粉に関する欧州特許出願公開第0 821 881号明細書も言及される。該乳清タンパク質はトランスグルタミナーゼにより溶液中で反応される。
他の背景技術は、タンパク質微小繊維構造物を包含し、例えば欧州特許出願公開第0 340 035号明細書などである。ここにおいて記載された方法は、微小繊維を得る為に、キサンタン/タンパク質複合繊維を挽くこと及び高いせん断に該挽かれた繊維を付すことを含む。該得られた製品は、例えば肉成分に基づき、食材で用いられうる。それは、それ自体では、肉又は魚置換構造を有さない。
欧州特許出願公開第0 420 165号明細書は、根本的に異なるタイプの肉又は魚置換、すなわち粉砕された肉又は魚タンパク質に基づき、該タンパク質を筋肉様構造へと再構築する方法を含む、を言及する。このタイプの置換は、非肉タンパク質源を使用することが望まれるところでは、明らかに適当でない。さらに、球状タンパク質及びカゼイン以外の、本明細書において用いられる最初の肉タンパク質は、それ自体が繊維状タンパク質である。
本発明の目的は、繊維状食物構造及びテクスチュアを調製する方法を提供することであり、ここで本明細書上記において述べられた問題が解決された。
肉及び魚と同様の外見及び挙動を有する製品、特にはやわらかい固形製品を調製することが本発明の更なる目的である。特に、階層的繊維状構造を含む組成物が望ましい。
この点では、階層的構造物は、組織のさらにより高い水準の構造物が、所望の特性及び機能が達成されるまで、該分子からマクロスケールへと次第にまとめられることを含意する。J.M. Aguilera, S.W. Stanley, (1999), Microstructural principles of food processing and engineering, 2nd ed, Aspen Publishing, Inc, Gaithersburg, Maryland, (ISBN 0-8342-1256-0), page 186-187:から採用された。
本明細書において定義されるとおり、やわらかい固形食物製品は、低い弾性係数又は小さい降伏応力のいずれかに起因して、応力を適用した際に弾性変形(弾性変形:G’>G’’)を主として示し、及び実質的な変形を得る為に比較的小さい応力が必要とされる食物製品である。やわらかい固形食物製品についてのさらなる詳細は:P. Walstra (2003) Physical Chemistry of Foods; Chapter 17: Soft-solids; Marcel Dekker, New York、に記載されており、その章は、やわらかい固形食物製品のさらなる説明のために本詳細な説明に、引用することにより組み込まれる。
肉及び魚と類似の外見及び/又は挙動は、好ましくは、揚げ及びいためを含む調理の間の処理の能力及び消費の両方に関係する。特には、本発明の構造物は、加熱の間に短くなるであろう。これは、鶏肉において起こるものと類似の挙動を与える。
さらに、味及び香りの化合物、例えばハーブ及び調味料化合物など、にとって良い吸収及び吸着特性を有する繊維状食物材料を提供することが望ましい。
本発明の他の目的は、実施例を含む本詳細な説明の残りを読んだ後に現れるであろう。
本発明の目的は、濃厚なタンパク質における及び最も好ましくは濃厚なカルシウムカゼイネート(calcium caseinate)組成物における異方性繊維状構造を誘発するための、凝固浴の必要が無く及び高い温度又は高いせん断力を適用する必要が無く、単純せん断流動及び同時の酵素的架橋の適用に基づく技術の使用により満たされる。さらに、洗浄工程の数が非常に減少されることができ、及びしばしば、洗浄工程は全く要求されない。
シアーセル(shear cell)装置を示す図である。 該シアーセル装置のせん断領域の概略図である。該シアーセルは、レオメーターコンセプト及びパイロットスケールシアーセルに基づく。円錐角=100°;円錐及び平板の間の角度(せん断領域)=2.5°;R平板=0.08508m;R平板、投影された=0.06750m;R円錐=0.07638m;R円錐、投影された=0.05851m。静止円錐と回転平板が水により加熱/冷却された。 引張試験後のせん断され且つ架橋された30%Ca−カゼイネートの写真を示す図である。 塩水中での1日間の同じ試料の懸濁後のはっきりとした繊維を示す図である。該測定の間の伸長後に視認できるようになった繊維に注目されたい。脱塩水中での1日間の同じ試料の懸濁後、はっきりとした繊維が見られた。 50℃及び50rpmで35分間せん断された30%Ca−カゼイネート及びTGA(E:P=1:20)の、該シアーセル装置中でかけられた該せん断流動に対して平行(左欄;速度勾配−せん断流動平面)及び垂直(右欄;速度勾配−渦度面)な破壊された表面のSEM画像を示す(C+TG−せん断)図である。A3及びB3中のスケールバーは1μmを示す。 50℃及び50rpmで35分間せん断された30%Ca−カゼイネートの、該シアーセル装置中でかけられた該せん断流動に対して平行(左欄;速度勾配−せん断流動平面)及び垂直(右欄;速度勾配−渦度面)な破壊された表面のSEM画像を示す(C−せん断)図である。 50℃で静止条件下でTGA(E:P=1:20)により架橋された30%Ca−カゼイネートの該シアーセル装置中でかけられた該せん断流動に対して平行(左欄;速度勾配−せん断流動平面)及び垂直(右欄;速度勾配−渦度面)な破壊された表面のSEM画像を示す(C+TG−静止)図である。 50℃及び50rpmで35分間、ミキサー中で混合された、30%Ca−カゼイネート及びTGA(E:P=1:20)の、仮想の「平行」(左欄)及び「垂直」(右欄)方向における、破壊された表面のSEM画像を示す(C+TG−混合)図である。 種々の30%Ca−カゼイネート構造物の95%信頼区間による、G’(A)及びtanδ(B)のLVE特性を示す図である。C=Ca−カゼイネート;TG=TGA;(非)せん断=シアーセル装置中でせん断された(せん断されていない);混合=ミキサー中で混合された。 せん断流動に対して平行及び垂直方向において伸長された、50℃及び50rpmで35分間せん断された30%Ca−カゼイネート及びTGA(E:P=1:20)の典型的な応力歪み曲線(C+TG−せん断)を示す図である。 種々の30%Ca−カゼイネート物質の95%信頼区間を有する、引張特性、降伏応力σ、降伏歪みε及びヤング係数Eを示す図である。C=Ca−カゼイネート;TG=TGA;(非)せん断=シアーセル装置でせん断された(せん断されていない);混合=ミキサー中での混合。 濃いCa−カゼイネート中におけるせん断により及び酵素により誘発された異方性の模式的外観を示す:Ca−カゼイネート(A)のせん断後に観察された層状構造及びTGAの存在下でのCa−カゼイネートのせん断後に観察された繊維状構造を示す図である。 せん断され及び架橋された30%Ca−カゼイネート、15%パーム油及びTGA(1:20)のマクロ構造物を示す図である。A.120s−1での30分間のせん断後に得られた繊維状マクロ構造物である。 せん断され及び架橋された30%Ca−カゼイネート、15%パーム油及びTGA(1:20)のマクロ構造物を示す図である。B.120s−1での60分間のせん断後に得られた損傷したマクロ構造物である。 30%Ca−カゼイネート及びTGA(1:20)(左)並びに25%Ca−カゼイネート及びTGA(1:17)(右)についての、該シアーセル装置におけるせん断の間のトルクに対するせん断時間の効果を示す図である。全ての試料は15%パーム油を含んだ。アスタリスク()は、せん断後に繊維状でなかった材料を示す。「TG無し」は、TGA無しでの30%Ca−カゼイネート試料を示す。 TGA(1:20)により架橋された30%Ca−カゼイネート及び15%パーム油の、該シアーセル中でかけられたせん断流動に対して平行(左欄;速度勾配−せん断流動平面)及び垂直(右欄;速度勾配−渦度面)な破壊された表面のSEM画像を示す図である。 120s−1での種々のせん断時間でのせん断後に得られた、せん断され且つ架橋された25%及び30%Ca−カゼイネート並びに15%パーム油材料(夫々TGA1:17及び1:20)の選択されたCSLM画像を示す図である。架橋されていない30%Ca−カゼイネート−油物質も同様に示されている該画像は、速度−せん断流動平面からとられる。 10×の倍率での少なくとも6の画像を用いた画像分析により決定された、選択されたCa−カゼイネート−油試料の油滴直径の平均累積頻度及び変形パラメーターDを示す図である。 30%Ca−カゼイネート及びTGA(1:20)、25%Ca−カゼイネート及びTGA(1:17)並びにTGA無しの30%Ca−カゼイネートの95%信頼区間によるLVE特性G’及びtanδについてのせん断時間の効果を示す図である。全ての試料は、15%パーム油を含んでいた。塗りつぶしていない記号は、せん断後に繊維状でなかった試料を示す。 30%Ca−カゼイネート、15%パーム油及びTGA(1:20)から成る材料の歪み振幅掃引により測定されたときの、歪みγの関数としての線形粘弾(LVE)領域におけるG’値により正規化されたG’値に対する、せん断時間(A.)及びせん断速度(B.)の効果を示す図である。正規化されたカーブは、複数回測定の平均である。「TG無し」と示された試料は、TGAにより架橋されなかった。塗りつぶしていない記号は、せん断後に繊維状でなかった試料を示す。 種々のせん断処理後に得られた、25%及び30%Ca−カゼイネート、15%パーム油及びTGA(夫々1:17及び1:20)の、測定されたクリープ曲線(データ点)を示す図である。該線は、6因子Burgersモデルにより適合された曲線を表す。該挿入されたグラフは、非架橋のせん断されたCa−カゼイネート−油を示す。非繊維状試料がアスタリスクにより示される。 25%Ca−カゼイネート及びTGA(1:17)、30%Ca−カゼイネート及びTGA(1:20)又はTGA無し(TG無し)の、95%信頼区間による、引張特性、降伏応力σ、降伏歪みε及びヤング係数Eに対するせん断時間の効果を示す図である。全ての試料は15%パーム油を含んだ。該引張特性は、該シアーセル装置中でかけられた該せん断流動に対して平行及び垂直に測定された。 30%Ca−カゼイネート及びTGA(1:20)についての該シアーセル装置中でのせん断の間の時間の関数としての、トルクに対するせん断速度の効果を示す図である。アスタリスク()は、せん断後に繊維状でなかった材料を示す。 30%Ca−カゼイネートとTGA(1:20)あり及びTGA無し(TG無し)との95%信頼区間による引張特性、降伏応力σ、降伏歪みε及びヤング係数Eに対するせん断速度の効果を示す図である。全ての試料は15%パーム油を含んだ。 処理時間の関数としての、凝固速度及びせん断速度の比に基づくダイアグラムを示す図である。線a、b及びcは、4つの構造領域への遷移を表す:すなわち、(1)等方性液体物質(Il)、(2)繊維状物質(F)、(3)等方性固体物質(Is)及び(4)損傷した「顆粒状」物質(G)。丸、三角及び四角は、種々の処理条件で得られた30%Ca−カゼイネート、15%パーム油及びTGA(1:20)に基づく、繊維状、顆粒状及び等方性の物質を夫々表す。 せん断され且つ架橋された20%Ca−カゼイネート及び0.5%キサンタン(トランスグルタミナーゼ 1:20、50rpm、50℃で34分)の写真を示す。
第1の局面において、本発明は、階層的繊維状食物構造物の調製の方法であって、食用タンパク質懸濁物を単純せん断流動及び酵素的架橋に付すことを含み、前記食用タンパク質がカゼインに基づくものである、上記方法に関する。該酵素的架橋は、単純せん断流動操作と同時に実施される。
本発明の方法は、単純せん断である、特定の種の変形に依存する。語「単純せん断」は、当技術分野でよく知られており、そして、材料平面が1方向にだけ互いに滑り合うことを意味する。これに関して、C.W. Macosko, "Rheology, Principles, Measurements and Applications", VCH Publishers Inc., New York (1994)、特には27〜29、40及び70〜75頁が言及される;この参考文献は該「単純せん断」概念を定義する目的のために引用することにより本詳細な説明中に組み込まれる。
上記で同定された先行文献方法の多くは、タンパク質及び多糖の相分離した系であって、一の相における整列化が、他の相により課され又はむしろ保持されるものに関するが、本発明は、タンパク質/水混合物中のタンパク質物質の整列化を包含する。すなわち、整列化及び繊維状構造形成は、本発明に従い、一つの同じ相内で起こる。本発明により得られた構造物は、ゲル化に基づく先行文献方法が行うような別のマトリックス中での固定化を要求しない。
本発明の方法において、タンパク質懸濁物は、単純線形せん断プロファイルに付され、これは例えば平板(plate)及び円錐(cone)の間;円錐及び円錐の間;又はクエットにおいては円錐及び平板反応器中において、確立されうる。適当な装置の例は、図1に描かれており、ここで図1aは、実験室規模のセル装置の写真を示し、図1bは該装置のせん断区域の模式図である。特に、該ポリマーは、図1の実施態様において、平板及び円錐を用いることにより、単純線形せん断プロファイルに付されてよく、ここで角度α平板は例えば約105°であり、及びα円錐は例えば100°である。図1の該シアーセル装置は、約70mlの容積を有する。回転平板及び固定された円錐は水により加熱される(又は冷却される)。物質の温度は、該円錐内に置かれた熱電対により測定される。該装置は、Brabender Do−Corder 330(Brabender OHG、デュイスブルグ、ドイツ)に取付けられて、せん断速度制御、並びにトルク及び温度読み取りを可能にする。図1の装置は、Journal of Cereal Science. 42(1) (2005) 59-68においてPeighambardoustらにより記載された装置に基づき、該文献は本発明における使用のために適当な装置のさらなる定義のために、引用することにより本明細書に組み込まれる。
せん断の間に適用される応力は、該タンパク質の破壊をもたらさないべきである。一般的に、該適用される応力は、(該平板の投影された半径に基づき計算される)25kPaを超えるべきでなく、好ましくは20kPaを超えるべきでない。
この方法において、該単純せん断流動は、該タンパク質の整列化をもたらし、一方で酵素的架橋は凝固をもたらす。
もちろん、繊維状材料をなお与える、単純せん断流動プロファイル(profile)の小さな変動も、本発明により包含される。
本発明の知識に基づき、「非せん断装置」、すなわちせん断を適用する為に通常は用いられない装置、例えばミキサーなど、における単純せん断プロファイルを実現することが考えられるが、ただし好ましくはない。そのような装置において、実際に単純せん断が起こる処理ドメインが存在する。もしそのようなことが行われるならば、例えば該非せん断装置内の該単純せん断ドメインに付された該材料のそれらのタンパク質だけを、例えば攪拌された装置の壁から得るように注意すべきである。また、もしミキサーのような非せん断装置が用いられるならば、該成分を添加する順序が、繊維状構造物の形成のためにより重要であろう。そのような装置において、該液体相(水、油)、及び該酵素的架橋剤は、該タンパク質に先立ち添加されるべきである。いくつかの用途について、一部分だけが異方性である(及び例えば等方性マトリックスに含まれている)材料が十分でありうるだろうことが考えられる。
単純せん断処理工程は好ましくは、変性温度を有さないタンパク質材料、例えばカルシウムカゼイネートなど(本明細書の下記も参照されたい)を用いて実施され、又は好ましくはタンパク質材料の該変性温度より低い温度で実施される。該単純せん断それ自体については、該タンパク質溶液又は分散物が流動できる限り、該温度の下限は重要ではない。効果的に、穏やかな加熱工程はより速い整列化をもたらす。該同時の酵素的架橋についての温度要求はより重要であり得る。実際に、本発明の方法は、約15〜60℃、好ましくは環境温度、すなわち20〜25℃から、55℃まで、より好ましくは35〜50℃の温度範囲で、適当に実施される。
本発明の方法は、好ましくは水又は少なくとも水性(他の非変性性溶媒も用いられうる)の系における、むしろ濃いタンパク質溶液又は分散物を要求する。好ましくは、該タンパク質の濃度は、該溶液又は分散物全体の重量に対し、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、及びさらにより好ましくは少なくとも20重量%であり、発見された最良の形態では、さらに好ましくは少なくとも25重量%、及びより好ましくは30重量%以上のタンパク質が用いられる。該タンパク質濃度の上限は、該タンパク質材料が該媒体中で整列化される為に十分移動可能でなければならないという要件により支配される。これは、本出願に基づき当技術分野の当業者により容易に決定されうる。実際には、タンパク質含有量は、約60重量%より高くなく、及び好ましくは50重量%より高くないであろう。
本発明の好ましい局面において、該食用タンパク質は、カゼイン、及び特には牛乳カゼインに基づく。牛乳カゼインは主に、αS1−、αS2−、β−及びκ−カゼインから、4:4:2:1の比で成る。α−及びβ−カゼインのセリン及びスレオニルホスフェートが、カルシウム(Ca2+)並びに他の2価及び3価イオンと相互作用することができる。この相互作用に起因して、カルシウムカゼイネート分散物が、乳中のカゼインミセル(約(〜)100〜300nm)と類似するタンパク質凝集物を含む;ナトリウムカゼイネートは、より開放的な三次構造を有し且つ約50nmのタンパク質凝集物を形成する。
消費の為に安全であらねばならない陽イオンである2以上の価の陽イオンを含む、及びより好ましくはカルシウムイオンを含むカゼイネート分散物中のより大きなタンパク質凝集物の故に、2以上の価の陽イオン型のカゼイネートは、本発明における使用にとって特に好ましい。しかしながら、油性の種から誘導されうる(風味除去された)大豆及び他の植物タンパク質;一般には植物タンパク質、乳清タンパク質濃厚物(WPC粉)、乳清透過液、乳タンパク質、カゼイン、ポテトタンパク質、オボアルブミン及びそのようなタンパク質の混合物が用いられうる。
タンパク質架橋のために、比較的多数の種類の酵素、例えばプロテインジスルフィドイソメラーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、リジルオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、マッシュルームチロシナーゼ、リポキシゲナーゼ及びグルコースオキシダーゼなどが原理的に適格である。該言及された酵素は種々の反応を触媒し、そして、出発製品中に存在する整列化されるべきタンパク質に依存して、当業者は適当な酵素を選択することができる。トランスグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ及びグルコースオキシダーゼは、とりわけそれらの利用可能性の故に、非常に適当である。
好ましい実施態様において、トランスグルタミナーゼが、タンパク質架橋酵素として用いられる。2種類のトランスグルタミナーゼが知られている:動物の及び微生物のものである。動物トランスグルタミナーゼとは対照的に、微生物により製造されたトランスグルタミナーゼの活性は、カルシウムイオンの存在に依存しない。該酵素トランスグルタミナーゼは、タンパク質間の特定の架橋反応を触媒する。より特には、タンパク質分子のグルタミン基が、共有結合を介して、タンパク質分子のリジン基と結合され、それにより分子間結合が形成されうる。
述べられたとおり、本発明の方法において用いられるべき好ましいタンパク質は、カゼインに基づき、より好ましくはカルシウムカゼイネートである。カゼインは、トランスグルタミナーゼにとって適当な基質を形成する。この酵素のさらなる説明については、Lorenzen及びSchlimmeによる、Bulletin of the IDF 332, pages 47-53、Kieler Milchwirtschaftliche Forschungsberichte 49(3) 221-227 (1997)、及びNahrung-Food 42(3-4) (1998) 151-154における論文、Nonaka et al., J. Food Sc. 57(5) (1992) 1214、及び欧州特許出願公開第0 610 649号明細書が言及される。トランスグルタミナーゼは、市販入手可能であり、とりわけ味の素株式会社、東京、日本、から市販入手可能である。
架橋酵素を用いる凝固は、本発明者らにより、所望の異方性構造物形成を得る為に必須であることが発見された。本発明の方法により得られる繊維状物質は、それぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)及び機械的解析により夫々測定されうる、ミクロスケール及びマクロスケールの両方について異方性を示した。
SEMは、約100〜200nmの直径を有するタンパク質繊維を明らかにした一方、視覚的には最大で1mmの繊維が観察された。
単純せん断及び架橋酵素、好ましくはトランスグルタミナーゼ、の両方が、大きな程度で該繊維の強化に影響した一方で、該せん断流動に対して垂直方向における機械的特性は一定のままであった。
該レオロジー特性は等方性であり、そして、該架橋酵素により影響されただけであった。
トランスグルタミナーゼ無しでCa−カゼイネートをせん断した後、わずかに異方性の層状構造が見られたが、繊維は形成されなかった。せん断の不在下における架橋、及び混合の間の架橋の両方とも、何らの整列化も無いCa−カゼイネートゲルを結果した。
このように、本発明は、単純せん断と酵素による架橋との組み合わせの適用により得られる相乗効果に基づく。この効果は、本明細書の以下の、単純せん断及びトランスグルタミナーゼ(TGA;TGaseともいわれる)を用いた、Ca−カゼイネートについての実施例1の表2に示される。引張特性の値が得られ、せん断の効果(静止条件下での架橋されたCa−カゼイネートにより正規化された、せん断され且つ架橋されたCa−カゼイネート)及びTGAの効果(TGA無しのせん断されたCa−カゼイネートにより正規化された、せん断され且つ架橋されたCa−カゼイネート)が推定されるように、Ca−カゼイネート試料の相当する値により正規化された。せん断及びTGAは両方とも、平行方向における、すなわち異方性微小構造の方向における引張特性に大きな程度で影響した。さらに、正規化された降伏応力値を考慮すると、(TGAの存在下における)せん断の強化効果はTGAだけの効果の約2倍であった。
本発明の方法において、層状構造が形成される。特に、単純せん断の間の該酵素的架橋が、タンパク質凝集体の形態を繊維に変える。
第二の主な局面において、本発明はそれ故に、ミクロスケールにおける異方性(すなわち、SEMを用いて該形態を研究したときに、方向付けられた構造を有する)及びマクロスケールにおける異方性(すなわち、視覚的に該形態を研究したときに、方向付けられた構造を有する)を有する、繊維状階層的食用タンパク質構造物であって、前記食用タンパク質がカゼインに基づくものである、前記構造物に関する。マクロスケールにおける異方性も引張強度試験を用いて決定されてよく;マクロスケールの異方性について、異なる引張強度が、異なる方向において試験片を測定したときに得られる。
これらのタンパク質構造物は、肉のように振る舞い、及び、焼いたときに褐色化を示しさえする。この褐色化をより明確にする為に、少量の還元糖、好ましくはラクトースが添加されうる。
第三の主な局面において、本発明は、食品用途の為の成分として用いられるのに適当な異方性繊維形態を有するゆるい繊維状の食用タンパク質粒子であって、前記食用タンパク質がカゼインに基づくものである、前記粒子に関する。該粒子状特徴の故に、これらの粒子は粘度を増加する効果を有する。これらの粒子は、まさに液体からほとんど固体の製品までを含む広い範囲にわたり、製品の粘度を制御することを許す。
加えて、該繊維状粒子は、(粘稠な)液体産物の流動挙動に影響しうる。該粒子の該異方性特徴は、そのような繊維が用いられるところの該系の慣性の増加に追加の効果を与える。同様の効果が、降伏挙動を有するより硬い系に適用される。該タンパク質の該構造の細かいチューニングにより;すなわち、ミクロ又はマクロスケールにおけるより多い又はより少ない量の異方性を構造物に備えることにより、該同じタンパク質含有量を有し、全く異なる粘度及び/又は流動挙動を有する製品が調製されうる。
該分散した相の該異方性特徴は、せん断希釈化挙動及び、任意的に、製品への降伏挙動を提供する機会も与えうる。すなわち、粘稠な製品がせん断に付されたときに、該産物の該粘度が減少する。粘稠な製品は流動可能に又はスプーンで食べられるようになりうるし、及びその後、再度粘稠になりうる。
「非せん断装置」に関して上記で言及されたとおり、いくつかの適用のために、異方性部分が等方性マトリックス中に含まれる物質を得ることが考えられる。この例は、ゆるい繊維、すなわち階層的構造の必ずしも部分ではないがマトリックスにより互いから大きく離れている繊維、を調製する為の方法でもある。そのようなゆるい繊維を調製する為に、せん断されるべき該懸濁物中に存在する追加の相を有することが必須であると思われる。特に、化学的な結合に参加しないであろう多糖又はタンパク質がゆるい繊維を形成しうる。存在するこの追加の相を有することにより、最終的にはゆるい繊維となる、階層的組織中のよりゆるい関係が生じうる。このゆえに、該懸濁物に存在する追加の相の該存在に依存して及び処理パラメータに依存して、階層的構造物若しくはゆるい繊維又はゆるい繊維と階層的構造物の間の中間領域が得られうる。この点において、本明細書以下の実施例3を参照されたい。
この方法において用いられるべき適当な多糖はキサンタン、カラギーナン、ガラクトマンナン、グアーガム、タラガム、キャロブビーンガム、アラビアガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含むセルロース、及び、加工デンプンを含むデンプンである。
該多糖は、本発明に従い処理されるべき該懸濁物中のタンパク質含有量を減少することを許し及び/又は該繊維のまとまり及び組織形成能力における変化を許し、及び、最終的にはゆるい繊維の形成をもたらしうる。
該懸濁物に添加されるべきそのようなタンパク質又は多糖の適当な量は一般に、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜1.5重量%であり、及び/又は、追加のタンパク質又は多糖の(重量における)量は、整列されるべきタンパク質の重量に対して、1:1000〜1:5、好ましくは1:500〜1:8、より好ましくは1:100〜1:10である。
好ましい実施態様において、これらの繊維状構造物は本発明の方法により得られる。
トランスグルタミナーゼにより架橋されたカゼイネートに基づく繊維状構造物が非常に好ましい。
本発明の異方性繊維状試料は、垂直方向と比較して平行方向において非常に強い。これは特に、降伏応力比により反映されることができる。好ましい実施態様において、本発明の繊維状構造物は、少なくとも6、好ましくは少なくとも7、及び最も好ましくは少なくとも8の降伏応力比σ平行/σ垂直を有する。カルシウムカゼイネートについては、該降伏応力比σ平行/σ垂直は適当には、約9でありうる。
せん断及び酵素により誘発された異方性構造物の形成は、該整列されたタンパク質凝集物のせん断及び同時の凝固に起因した、タンパク質凝集物の増強された層分離により説明された。
単純せん断及び酵素的架橋を用いたカルシウムカゼイネートの酵素的ゲル化は、新規の繊維状タンパク質構造物を誘発する。該得られたミクロ構造的特性がSEM分析により研究された。小さい及び大きい変形を伴う、所望の線形粘弾性特性及び所望の機械的特性をもたらす構造的特徴が明らかにされ、これは本明細書以下においてトランスグルタミナーゼにより架橋されたカルシウムカゼイネート構造物についてより詳細に説明されるであろう。
実際に、第1に、適当な溶媒、好ましくは水性溶媒中におけるタンパク質の溶液又は分散物がプレミックスとして作られる。このプレミックスはシアーセルに移され、そして好ましくは35〜50℃の温度に加熱される。架橋酵素は、該せん断セル中に導入され又は好ましくは該プレミックスへと既に導入されており、そして該混合物は、単純せん断に付される。最適な結果のために、すなわち良く規定されたせん断場の為に、該シアーセルの完全な充填が要求される。該せん断は、該タンパク質材料の整列化に影響するのに十分高くあらねばならないが、該構造物が壊れうるので高すぎてはならない。
本発明に従い、異方性繊維状タンパク質構造物、好ましくは異方性Ca−カゼイネート構造物が、せん断により誘発された構造物形成及び同時の凝固に基づく技術を用いて形成された。せん断をする間の酵素の架橋は、該異方性構造物形成にとって必須であるとみえる。得られた該高い異方性と組み合わせられた該方法の簡単さは、新規の食物構造物及び適用にとって、該技術の高い潜在能力を示す。
せん断の間の該架橋が必須であるので、用いられる特定のタンパク質についての酵素種類及び活性、せん断速度及び処理時間の調節は、該特定のタンパク質に依存する。25〜30重量%カルシウムカゼイネートを含有する水性媒体について、例えば、トランスグルタミナーゼ(TGA)を用いた図1(本明細書以下を参照されたい)に示される該装置における最小せん断速度は、24s−1であり、該処理時間は300〜3600秒である。該最適温度は、該用いられる酵素により決定される。TGAについて、これは約50℃である。
本明細書以下の実施例において、TGAとの組合せにおけるカルシウムカゼイネートは、本発明についてモデル系として用いられる。せん断及びTGAを用いる酵素的架橋の後、異方性繊維状構造物が、マクロ及びミクロスケールについて濃厚なCa−カゼイネートマトリックス中に形成された。最大で1mmの線維が視覚的に観察されたが、SEM画像は、約50〜200nmの直径を有するタンパク質繊維を明らかにし、これは鎖状のタンパク質ドメインから構成された。
TGAの不在下において、層状の且つわずかに異方性の構造物が観察されたが、繊維は形成されなかった。せん断の不在下における架橋は、何らの整列化の無い強いCa−カゼイネートゲルを結果した。LVE特性は、TGAの添加に起因するG’の増加及びtanδの減少を示した。これらの特性は等方性であった(すなわち歪みの方向に依存しなかった)。
対照的に、引張特性は、特には該適用されたせん断流動と比較して、平行及び垂直方向における該降伏応力値の間の大きな違いに基づき、異方性構造の存在を確認した(本明細書以下を参照されたい)。せん断は大きな程度で該異方性繊維の強化に影響したが、垂直方向における特性は変わらないままであった。TGAも有意に該せん断方向における構造形成に影響した。
濃厚なタンパク質分散物をせん断する場合に、層状構造物が形成され、これは図10において図式的に描かれる。せん断の間の酵素的架橋はタンパク質の形態を繊維へと変えた。何らかの特定の理論にとらわれることを望まないが、本発明の方法において、せん断に起因する分子レベルでのタンパク質凝集物の相分離が、せん断及び酵素により誘発された異方性構造物をもたらすことが仮定される。酵素的架橋は、該整列されたタンパク質凝集物を凝固する為に必要とされ、凝固剤が存在しない場合にせん断を静止するとおそらく緩まるだろう。
本明細書以下の実施例において、カゼイネートの非常に濃厚な系であって、該カゼイン凝集物が密に詰め込まれた又は押し込められた状態のものが用いられる。静止状態での該系に存在しうるかもしれない、低い界面張力によるタンパク質に富む相及びタンパク質に乏しい相への局所的な相分離が、せん断により促進され、これらの相の整列化を結果した。TGAの不在下において、せん断とCa2+相互作用の一緒にされた効果が層状のCa−カゼイネートマクロ構造をもたらし、これは該引張試験の間の異方性挙動を示した。対照的に、該ミクロ構造はせん断によりほとんど影響されなかった。これは、図10Aにおいて描かれるのと同様に、層状の構造物を結果するだろう。相分離及びせん断に起因して、ミクロスケールでのCa−カゼイネートにおける整列化が存在していそうであったが、採用された凝固方法、すなわち冷却のタイムスケールは該整列化されたタンパク質集合体の緩和時間よりもはるかに長かったようである。それ故に、せん断されたCa−カゼイネートは、繊維状構造を結果しなかった。TGAの存在下において、架橋はたぶんCa−カゼイネート凝集物のサイズを増加し、それらをせん断による整列化にさらにより感受性にする。さらに、相分離したタンパク質に富む相において、TGAは該流動の方向における共有結合を誘発した。凝固は緩和よりも短いタイムスケールで生じるので、該繊維状ミクロ及びマクロ構造がせん断の静止後も保存された。
Ca−カゼイネート及びNa−カゼイネートは、異なる物理的特性を有し、そしてそれ故に、異方性構造物を得る為に異なる処方計画(regime)を要求する。以下の枠組みが、濃いカゼイネート分散物の、せん断により誘発された構造形成における差異のために考慮される。
我々は、該濃いカゼイネート分散物を、コロイド状の密に詰まったやわらかい球を含む系として及び時間とせん断流動に依存して形成され及び破壊されることができる絡み合い(entanglement)を有する準希薄ポリマー様系として考える。せん断は、もしその効果がこれらの系の可動性により補われ得ないならば、該系における構造を誘発することができるだけである。これは、Ca−カゼイネートの固有の物理的特性が、我々が調査したタイムスケールでせん断誘発構造物形成が好ましいようなものであることを示唆する。
Ca−カゼイネートに基づきえられた結果を参照すると、当技術分野の当業者に、類似する、新規であり且つ有用な異方性繊維状構造物が、他の食用タンパク質に基づきどのように得られるかが明白であろう。特定の条件は該タンパク質により様々でありうるが、当業者は要求された異方性を生成する為に、選択された条件が適合するかどうかを評価することができるであろう。
任意の或る食用タンパク質を用いて本発明に取り組むときに考慮されるべき条件は、せん断速度、せん断期間、温度、せん断粘度、対イオン、タンパク質濃度、タンパク質粒子サイズ、相互に引き合う相互作用の強度、非単調の流動挙動、有意な法線応力を含む。
理論に拘束されると考えられることなしに、本発明の知識により、理論的なモデルが、処理条件を決定する為に適用されうることが注目される。これは、Na−カゼイネートを参照して説明される。
一般に、せん断流動は、流体力学的力(hydrodynamic force)がブラウン運動を支配する場合、該せん断流動方向に向かって構造的要素を整列する傾向を有するであろう。これは、ペクレ数により表される。Macosko, C. W. (1994). Rheology: Principles, measurements, and applications. New York: Wiley-VCH:
Figure 0005230630
該構造的要素の半径はαにより示され、
Figure 0005230630
はせん断速度であり、ηは該溶液の(せん断)粘度、κはボルツマン定数であり及びTは温度である。該ペクレ数は、粒子のせん断誘発整列化(shear induced alignment)に、又はこの場合はミセルタンパク質に関する主要パラメーター(すなわち粒子サイズ及びせん断速度)をまとめる。ペクレ数が、Ca−及びNa−カゼイネートについてのスケール則(scaling rule)として適用される場合、せん断流動によりNa−カゼイネートが影響されるであろうところのせん断速度が予測されることができる:
Figure 0005230630
Na−カゼイネート凝集物のサイズαNAがCa−カゼイネート凝集物のサイズαCAより5倍小さいこと(αNAは約25nm及びαCAは約125nmと仮定する(De Kruif, C. G. (1998). Supra-aggregates of casein micelles as a prelude to coagulation. Journal Of Dairy Science, 81(11), 3019-3028. Lucey, J. A., Srinivasan, M., Singh, H & Munro, P. A. (2000). Characterization of commercial and experimental sodium caseinates by multiangle laser light scattering and size-exclusion chromatography. Journal Of Agricultural And Food Chemisry, 48(5), 1610-1616. Dickinson, E., Semenova, M. G., Belyakova, L. E., Antipova, A. S., Il'in, M. M., Tsapkina, E. N. & Ritzoulis, C. (2001). Analysis of light scattering data on the calcium ion sensitivity of caseinate solution thermodynamics: Relationship to emulsion flocculation. Journal Of Colloid And Interface Science, 239(1), 87-97)、及びせん断粘度ηに関して約2倍の違いがあること(約120s−1のせん断速度で
Figure 0005230630
)を仮定すると、Na−カゼイネートにおける整列化を誘発する為に必要とされるせん断速度は、Ca−カゼイネートと比較して約2.5・10倍大きいことが推定されうる。
せん断により誘発された整列化に関する他の基準は、デボラ数(De)、すなわちτとせん断速度との積に基づき、これは
Figure 0005230630
の値(>>1)を超えるべきである(Forster, S., Konrad, M. & Lindner, P. (2005). Shear thinning and orientational ordering of wormlike micelles. Physical Review letters, 94(1), 17803-17801-17804)。相互作用を含む以下のスケール則が次に適用可能である:
Figure 0005230630
Ca−及びNa−カゼイネートについてのスケール則としてデボラ数を用いて、Na−カゼイネートにおける整列化を誘発する為に必要なせん断速度もまた、Ca−カゼイネートについて必要とされるせん断速度と比較して、2桁大きい(10)と結論付けられることができ、これはペクレ数に基づく予測と一致する。ペクレ数及びデボラ数の両方とも、せん断により誘発された構造形成にとって重要である因子、例えばせん断速度、せん断粘度、粒子サイズ及びタンパク質相互作用などを、示唆する。これらの因子は、成分特性及び処理の両方により影響され、当業者にとってのカゼイネートの構造形成の為にこれらの局面を調和させることの重要性を強調する。さらに、これらの無次元数の使用は、一方では密に詰まった球として及び他方ではからみあったポリマーネットワークとしてのカゼイネート系の機構的アプローチ(mechanistic approach)と一致する。
当技術分野の当業者は、産業的に関連のある材料における、せん断により誘発された構造形成に関する或る要素の重要性に気付くであろう:
1.せん断及び酵素的架橋に起因する繊維形成は、例えば異方性構造物を得るための存在する対イオン及びタンパク質濃度(これらは大きな程度でレオロジー挙動に影響する)により影響される。
2.せん断により誘発された構造物形成は、もし出発材料がせん断による秩序化にとって感受性であるならば、最も発生しそうである。Na−カゼイネートと比較したCa−カゼイネートにおけるより大きなミセル状構造要素及び顕著な引力相互作用は、構造形成において発見される違いを説明する。一般に、本発明の知識により、該タンパク質に依存して、イオン濃度(例えばカルシウムカゼイネートの場合はカルシウムなど)も、得られる異方性を決定するであろうことは当技術分野の当業者に明白であろう。
3.産業的に関連のあるタンパク質混合物は、せん断により誘発される構造形成、例えば構造物の種類及びレオロジー挙動などを研究する為にしばしば用いられるモデル材料との類似性を示すと思われる。後者の挙動において観察される主な類似性は、非単調の流動挙動、有意な法線応力、及び引力相互作用であった。それとともに、レオロジー測定が、タンパク質の構造物形成能力を分析するのに有用であることを示す。本発明の知識により、緩和時間及びシアーシニング(shear thinning)又はシアーシックニング(shear thickening)のようなパラメータが、過度の実験無く、本発明に従う階層的繊維状構造物を得る為のタンパク質懸濁物の潜在的適合性を評価する為に用いられることができることが理解されるであろう。
本発明の繊維状食物材料は添加物を含みうる。すなわち、該混合物は、1以上の添加物、特には香料、追加的栄養成分、健康に益する成分、及び着色剤からなる群から選ばれる1以上の添加物を含みうる。1以上の適切な香料及び/又は着色剤を添加することにより、所望の味及び/又は外観が得られうる。
他の添加物は、例えば保存料などであり、それに関して安息香酸ナトリウムがよく知られた例である。
本発明により、安息香酸ナトリウムは、所望のとおりに繊維の形成を容易にするためにも好ましい成分である。結合されるべきと考えられる理論無く、添加された塩、例えば安息香酸ナトリウムなどは、タンパク質溶液のイオン強度を増加することにより、タンパク質−タンパク質相互作用に影響する能力を有すること、これが該系の熱力学に影響すること、が本発明者らの現在の考えである。特に、カルシウムカゼイネートの場合、適当なイオン強度の塩は、カルシウム結合に関してカゼイネートと競合することができる。すなわち、そのカルシウム結合のいくつかを失うことにより、該カゼイネート構造は、内部の密着を失うと考えられ、そしてそれ故に、せん断に対してより受容的になり且つ整列されることがよりできるようになる。やはり、当技術分野の当業者は、適当に簡単な様式で、添加された塩と一緒に又は塩無しでタンパク質の或る系について、選択された条件が、要求される異方性を単純せん断により得る為に十分であるかどうかを決定することができるであろう。
好ましくは該塩は、1価陽イオン及び食品グレード2価陰イオンを含む。例は、該タンパク質中に結合したカルシウムと競合するために、プロセスチーズの製造から知られるような塩、例えば乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びリン酸ナトリウム並びに、カルシウム結合の為の同等の親和性を有する他の塩などを含む。
D−乳酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムが特に適当である。これらの塩は、一般に、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜4重量%及びより好ましくは0.1〜2.5重量%の範囲で用いられることができる。ナトリウムカゼイネートも同様に用いられることができ、典型的には、1〜40重量%のより高い濃度で用いられることができる。
本発明のさらなる局面において、該方法は、油の追加的存在を使用する。該方法において用いられる組成物中に脂肪が存在する場合、タンパク質−水系においてすでに存在したミクロ及びマクロスケールでの異方性に加えて、該脂肪はメソスケール水準での構造を誘発する。脂肪は、30重量%までの量で該懸濁物中に存在してよく、及びときどきはより高くありうる。好ましくは、脂肪の量は、25重量%未満であり、より好ましくは20重量%未満である。
適当な脂肪は、植物及び動物脂肪の全ての種類を含む。好ましい動物脂肪は、乳脂肪及び特には牛の乳脂肪を含む。好ましい植物脂肪は、ヒマワリ脂肪、大豆脂肪、ナタネ脂肪、コーン及びトウモロコシ脂肪並びにそれらの混合物を含む。好ましい実施態様において、脂肪は、乳の脂肪と比べて、増加したポリ不飽和脂肪対飽和脂肪(pufa/safa)比を有する脂肪が用いられる。用いられる該脂肪は、処理の間じゅう液体であらねばならない。第2相として脂肪を用いることは、単独の相タンパク質と比較して、階層的なタンパク質−脂肪材料における追加的な長さスケールでの構造化を許す。トランスグルタミナーゼ(TGA)を用いる同時の酵素的架橋は、せん断により誘発された構造物の固化を許す。実施例において、せん断速度、せん断時間及びタンパク質濃度の効果は、単純せん断とTGAを用いる酵素的架橋とを適用することにより、Ca−カゼイネート及びパーム脂肪に基づく異方性構造物の形成について示される。該Ca−カゼイネート−脂肪構造物は、共焦点走査型レーザー顕微鏡(CSLM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)により調査された。小さな及び大きな変形は、独特のCa−カゼイネート−脂肪材料の線形粘弾(LVE)特性(クリープ挙動を含む)及び引張特性の夫々における洞察を与えた。
より詳細には、カルシウムカゼイネート分散物及びパーム脂肪に基づく該試験系について、階層的繊維状材料は、酵素的架橋後に明確な(well-defined)変形下で形成される。延長されたせん断時間は、繊維状材料からのシネレシスを伴う損傷した構造物への移行に影響した。
構造形成に対する脂肪の効果に関して、脂肪を含むせん断され且つ架橋された繊維状Ca−カゼイネート構造物が、SEM画像に基づき、脂肪無しの繊維状構造物との違いをほとんど示さなかったことが強調される。見積もられた繊維厚さはおおよそ同様であった(約100〜200nm)、これはカゼインミセルの範囲である。しかしながら、CSLMにより、タンパク質−脂肪材料の追加的長さスケール(additional length scale)が観察され、ここでタンパク質束及び引き伸ばされ又は変形された脂肪構造物が視認できた。せん断流動の方向にだけ結合が形成され、これはせん断により誘発されたタンパク質整列化によりすでに促進されているようである。脂肪の存在は、該流動に対して垂直方向の共有結合の形成を阻害し、それによりおそらく該材料の繊維状特徴を増強する。脂肪を含む該繊維状試料の機械的特性の値は、脂肪無しの繊維状タンパク質試料と比較してわずかにより高く、これは固形の脂肪相による該構造物の強化を示唆する。該せん断流動に対して平行及び垂直に測定された機械的特性の比は、脂肪無しの繊維状試料と同様であり、いずれも約8〜9の高い降伏応力比を有した。TGAの不在下において、該脂肪滴は、TGAを含む繊維状構造物に存在する脂肪液摘と比較して、該等方性Ca−カゼイネート−脂肪材料においてより大きく且つより少なく変形された。TGAの存在下において、該マトリックスにおける粘度は、せん断時間の増加と伴に増加するであろうし、大きな粘性力及び結果として滴破壊をもたらすであろう。しかしながら、マトリックス弾力性の増加は、該分散層の引き伸ばしを増強するであろうし、及び同時に該流動方向に向けての方向性さえも増強するであろう。該層の粘度比は明確な(well-defined)変形の間の構造形成にも影響する:該分散した相の粘度が該マトリックス相の粘度よりも低いとき(これはCa−カゼイネート及び脂肪をせん断し且つ架橋する間の場合にありそうである)、滴はせんだんの間じゅう引き伸ばされるであろう。構造物形成に対するタンパク質濃度の効果に関して、Ca−カゼイネート分散物は、乳中のカゼインミセル(約100〜300nm)と類似するタンパク質凝集物を含むことが注目される。これらの構造的要素は、流体力が支配する場合に、せん断による整列化に感受性でありそうである。TGAは、該タンパク質相における共有結合を誘発し、それにより該カゼインクラスターのサイズを増加し、これはせん断により整列する為のそれらの感受性を増強するであろう。24s−1でのせん断後に等方性材料が形成されたという事実に基づき、適用されたせん断速度は、比較的高い速度で架橋された該構造的要素、すなわちカゼイン分子又はよりよいもの:カゼインミセル、を整列化するには低すぎたことが推測される。比較的高いせん断速度(>120S−1)でのせん断は、整列化及び繊維の形成にとって必要とされた。該せん断速度が低すぎるときに、該タンパク質マトリックスは、シアシニング(shear thinning)挙動に起因してより粘性である。それ故に、より不規則な共有結合ネットワークが形成されているようであり、これは迅速に浸透した状態に達するであろう。高いせん断速度(240s−1)でのせん断は、該機械的特性により反映されるとおりの増加した繊維状状態(fibrousness)を結果した。これは、該高いせん断速度(より多くの繊維をもたらす)及び薄い層内の小さな脂肪滴の存在に起因するミクロ相分離における増加により説明されることができる。要約すると、該せん断速度は、Ca−カゼイネート及び脂肪に基づく繊維状材料の繊維状状態の形成及び程度に影響する為に必須の手段であるように見える。
本発明に従い、架橋速度とせん断速度との間の相互作用が、繊維状構造物の形成を決定する。その結果が、得られうる構造の種類の概観を提供する為に、ダイアグラム(図21)にまとめられる。y軸に、凝固速度(r)及びせん断速度(降伏(yielding)/r/j)が、処理時間の関数としてプロットされる。酵素的架橋の場合、πは[E/P]に対応する一方で、該せん断速度は整列化の尺度として解釈される。30%Ca−カゼイネート−脂肪材料についての全ての実験データ点が、[E/P]に影響するタンパク質濃度効果だけでなく粘度も排除するために25%Ca−カゼイネート−脂肪材料を除き、該ダイアグラムに示される。該後者の効果は、非常に非線形であると予測され、そしてさらなる調査を要求する。該実験データ及び理論的考慮に基づき、4つの構造領域が該ダイアグラム中に構築されることができる:(1)Fにより示される繊維状構造、(2)Gにより示される、過剰せん断後のの損傷した及び破壊された構造である「顆粒」構造、(3)Isにより示される、固形物へと架橋されているが整列されていない等方性固形材料、及び(4)Ilにより示される、出発材料と同じ粘稠度(consistency)を含む材料である等方性液体材料。6・10−4より小さい固定された[E/P]/γ比で、3つの構造的移行が、増加した処理時間に伴い発生しうる。第1に、等方性の液体が、γ→∞又は[E/P]→0のいずれかの場合に、短い処理時間で形成される。流体力が支配する場合にせん断整列する傾向にある構造的要素が、高いせん断速度で整列するであろうが、凝固が適用されない場合にそれらの方向性を緩めるであろう。しかしながら、非常に低い凝固速度では、該方向性は、より長い時間スケールで固定され、繊維状材料を結果するであろう。この移行は、線aにより示される。より長い処理時間でさえ、該整列した構造が破壊されるであろうし、シネレシスを伴う「顆粒」構造を結果し、これは時間依存的移行の線bにより示される。該凝固速度が該せん断速度を支配する場合の或る点([E/P]/γ>約8.10−4)で、繊維状材料から等方性固形物への時間非依存的移行が生じる、これは線cにより描かれる。γ→0又は[E/P]→∞の場合、3つの時間依存的移行が同様に存在する。非常に短い時間スケールで、等方性液体が形成され、これは迅速に、不規則な非常に浸透したネットワークを有する等方性固形物へと変形する(線a)。該ネットワーク強度が処理時間と伴に増加するので、該顆粒領域への移行(線b)は、該構造の破壊に起因すると予測されうる。増加した凝固速度により、等方性固形物から顆粒材料への該移行は、より短い時間で生じるであろう、これは線bの漸近的挙動を説明する。同様に、線aは、y軸に対する漸近線でもある。[E/P]/γの値が調査下では、該系に対し任意的であり且つ特異的であることが注目されるべきである。しかしながら、4つの異なる領域(このうち該繊維状領域は最もせまいものである)へと構造ダイアグラムを分割する2つの時間依存的移行(a、b)及び1の時間非依存的移行(c)の存在は、特定の(well-defined)流動及び凝固に基づく構造化処理方法にとって一般的であると予測される。該ダイアグラムは、なぜ特定の(well-defined)流動方法以外の構造化処理が非常に整列され且つ繊維状の構造物を結果しないのかの説明を与える。混合の間、バイオポリマーが比較的低いせん断速度及び時々高いピークせん断速度に付される。混合の間に内在する該動きに起因して、該マクロ分子が連続的に再度方向付けされ、及び最終的に該全ての材料がこれらの高いピーク応力で処理されるであろう(これは構造物の破壊を結果することができる)。それ故に、混合の間、該材料は、該繊維状領域に至ることは決してないであろうが、等方性固形物(領域Is)、又は顆粒構造物(領域G)さえが迅速に形成されるであろう。他の構造化処理は押出であり、この間、層流に起因してスリットダイにおいてバイオポリマーが整列化する傾向にあり、一方で該構造は冷却の間にジスルフィド結合及び疎水性相互作用により固定化されうる。繊維状の程度は該冷却速度及び該スリットダイの長さ(該凝固時間及び処理時間にそれぞれ相当する)により主に決定される。分子スケールでの整列化は、タンパク質に基づく押出された繊維状材料について報告されていなかった。高温との組合せにおける該ダイを通じて材料を押出すために必要とされる該高圧は、該押出機の内側の該材料に高いせん断応力をもたらし、深刻なタンパク質損傷及びシネレシスのリスクを結果する。
特定の(well-defined)せん断流動及び酵素的架橋に基づく本発明の新規構造化方法は、濃いCa−カゼイネート分散物中におけるマクロ及びミクロスケールの高度に繊維状の構造物をもたらす。脂肪の存在は、メソスケールレベルの追加的長さスケールを誘発したが、タンパク質繊維(約100〜200nm)の束(約40μm)は、脂肪の層及び変形した脂肪滴(約10μm)により分離された。せん断時間及びせん断速度の両方が、繊維状構造物の形成に非常に影響する。30%Ca−カゼイネートについて、繊維状構造物は、120s−1でのせん断の5分後にすでに観察されたが、繊維状構造の破壊が、60分間の延長されたせん断後に観察された。25%Ca−カゼイネートの場合、破壊は、該相対的な架橋速度がこの系において増加したときにすぐに観察された。低いせん断速度(24s−1)は、等方性構造を産出したが、高いせん断速度(240s−1)でのせん断はより高い程度の繊維状状態を結果した。該LVE特性及びクリープ挙動は、構造物形成の間の該酵素により誘発された共有結合の効果における洞察を、それらの方向に関係なく、提供した。引張試験は、共有結合が該せん断流動方向において形成されたことを示した。
繊維状構造物は、初期生成物(これはせん断により整列化される傾向にある構造的要素を要求する)及び特定の(well-defined)処理条件の組合せに起因して形成され、線形せん断流動及び整列化された構造物の凝固を含意する。
本発明は、以下の非限定的な実施例及び図面を参照しながら、より詳細に説明されるであろう。
実施例において、百分率は、組成物の全重量に対して表された重量による百分率である。
これらの実施例において、以下の化合物が用いられる:
トランスグルタミナーゼ(本明細書以下、TGA):製造者の仕様書に従い81〜135ユニット・g−1の活性を有する、Streptoverticilium moberansaeに由来する微生物のCa2+非依存性トランスグルタミナーゼ(タンパク質−グルタミン:アミン γーグルタミル−トランスフェラーゼ、EC2.3.2.13)(1%TGA、99%マルトデキストリン、味の素株式会社、東京、日本、から)。20%(w/w、脱塩水中において)TGA溶液が、室温で1時間の機械的攪拌による実験実施に先立ち新鮮に調製された。
カルシウムカゼイネート(Ca−カゼイネート):製造者の仕様書に従い少なくとも88%タンパク質を含んだ(DMV International、フェフヘル、オランダ、から)。
パーム油は、Barentz Raw Materials(ホーフトドルプ、オランダ)から取得された。20〜37℃の融解曲線を有し、該脂肪は処理(50℃)の間じゅう液体であったこと及びさらなる分析(20℃)の間じゅう固体であったことを示す。
Nile Red(72485、Sigma Aldrich)、共焦点レーザー走査型顕微鏡についての脂肪についての蛍光染料、は0.1g・L−1の濃度で融解したパーム油に添加された。
SEMについての資料の調製の為に用いられたジメチルスルホキシド(DMSO)及びエタノールは分析グレードのものであった(Sigma Aldrich、ツビンドレヒト、オランダ、から)。
実施例において、試験データは、以下の方法を用いて得られた:
走査型電子顕微鏡:該Ca−カゼイネート材料のミクロ及びナノ構造的局面が、電界放出走査型電子顕微鏡(FESEM)により、室温で観察された。乾燥試料が、Mullerらにより、Scanning 22 (2000) 295-303において記載された修正された方法に従い調製された。せん断されたCa−カゼイネート試料は注意深く、正方形(<10×10mm)に切り取られ、及びDMSO(濃度範囲15%、30%及び50%v/v、脱塩水中において)中にそれぞれ60分間浸された。50%DMSOの過剰が、ろ紙により該試料から除去された。該試料のゆっくりとした冷凍が、液体窒素上の冷たい気体の窒素中で実施された。その後、該試料は該液体窒素中にもたらされ、そしてかみそりの刃(片刃炭素鋼、EMS、ワシントン、米国)及びハンマーにより真ちゅうテーブル上で冷凍破壊された。冷凍破壊は、該シアーセル装置において該試料に対してかけられた該せん断流動に対して(せん断流動−渦度面に基づき)平行に及び垂直に実施された。得られた破壊面は夫々、速度勾配−せん断流動平面及び速度勾配−渦度面であった。本明細書以下において、これらの方向及び得られた破壊面は夫々、平行及び垂直として定義される。明白なせん断方向を有さない該混合された試料は、仮想上の平行及び垂直方向の定義後に同様に処理された。全てのカゼイネート試料は、脆弱な破壊を示した。破壊後、試料は60分超の間、50%DMSO中で解凍され、そしてその後、逆にしたDMSO濃度範囲(夫々60分)により水に再水和された。該試料は、段階的なエタノール系列(10%、30%、50%、70%、90%v/v)において100%エタノールへと(それぞれ20分)脱水された。100%エタノール中の試料は、二酸化炭素により臨界点乾燥され(CPD 020、Balzers、リヒテンシュタイン、から)、及び該破壊面を同定するために実体顕微鏡により観察された。その後、該試料は、導電性カーボンセメント(Leit−C、Neubauer Chemicalien、ドイツ、から)を用いて試料ホルダー上に接着され、そして20nmの白金(JFC 1200、JEOL、日本、から)によりスパッタ被覆された。該破壊された表面は、FESEM(JEOL6300F、東京、日本)により、室温で、8mmの作動距離で、3.5〜5kVでのSE検出により、分析された。全ての画像は、2528×2030のサイズ、8ビットで、100秒のスキャン速度(フルフレーム)で、デジタル的に記録された(Orion、6E.L.I sprl.、ベルギー)。該画像のノイズリダクション及びリサイズは、Adobe Photoshop CSにより行われた。
共焦点走査型レーザー顕微鏡(CSLM):該処理されたCa−カゼイネート−脂肪材料の該メソ構造(ミクロ長スケール及びマクロ長スケールの間の構造として定義される)が、該渦度−せん断流動平面においてCSLMにより観察された。4℃での保蔵後、該シアーセルの中間部分からとられたタンパク質−脂肪試料が注意深く切断され、2ウェルのチャンバーカバーガラス(2-well chambered coverglass)(Nunc、ネイパービル、イリノイ州、米国、から)へ移され、そして、倒立型LSM510(Zeiss、オーバーコッヘン、ドイツ、から)により分析された。アルゴンイオンレーザー(488nm)及びHeNeレーザー(543nm)が、該試料を励起するために用いられた。該タンパク質相について、505〜530nmの放出フィルター(emission filter)が適用された一方で、600〜650nmフィルターが該脂肪相について用いられた。画像は、10×乾燥対象(開口数0.3、ズーム 2×及び4×)及び40×油浸対象(開口数1.3)によりデジタル的に記録された。該脂肪相の該未加工のデータ画像(512×512ピクセル)の画像分析は、Matlab 7.0(The Mathworks Inc.,ナティック、マサチューセッツ州、米国、から)のImage Toolboxを用いて実施された。10×倍率で得られた、1試料当たり少なくとも6の画像が、画素面積に基づく直径サイズを決定する為に用いられた
Figure 0005230630
。また、変形パラメーターDが、楕円体の最大軸長(Lmax)及び最小軸長(Lmin)から計算された:D=(Lmax−Lmin)/(Lmax+Lmin)。脂肪滴直径及びDの累積分布に基づき、平均累積分布が構築された。
レオロジー特性:線形粘弾(LVE)特性(G’及びtanδ)が、2回、動的振動歪み振幅試験により、応力制御型Bohlin CVO(Bohlin Instruments Ltd.、サイレンセスター、英国、から)により、1Hzの一定周波数で且つ20℃の温度で、測定された。シングル周波数掃引(0.01〜100Hz)が、一定歪みで、LVE領域内で、20℃で実施された。クリープ試験は、2回、20℃で、LVE領域内(<350Pa)で、安定した応力水準で実施された。該クリープ時間は2000秒であった。鋸歯状の平行平板(直径25mm、すき間2mm)が、スリップを防ぐ為に用いられた。該試料を覆うチャンバーが、蒸発を防ぐ為に用いられた。測定の前に、試料は、5〜15分間、試料装填により誘発された応力の緩和を許す為に、静止された。得られた機械的スペクトル(mechanical spectra)は、G’−周波数曲線に適合したべき乗則(power law)により分析された
Figure 0005230630
。クリープ曲線は、6要素Burgersモデルにより分析され、これはやわらかい固体材料の粘弾性特性を説明する為に適当であると証明されている(Edwards et al., Rheologica Acta. 40 (2001) 142-153を参照されたい)。該モデルは、マックスウェル要素と2つのKelvin−Voigt要素とを、順次含む:
Figure 0005230630
瞬間コンプライアンスJは1/Gに等しく、粘性流動は、t/ηにより表され、及び、該等式の残り(2つのKelvin−Voigt要素)は遅延(retarded)コンプライアンスを表す。実施例において、本発明者らは、種々のせん断され且つ架橋された材料の間を区別する為に、J、η及び遅延時間τ(=G/η)及びτ(=G/η)に注目した。
機械的特性:Texture Analyzer T2(Stable Micro Systems Ltd.、サリー州、英国、から)が、大変形試験の為に用いられた。単軸引張試験は、3mm・s−1の一定の変形速度により、室温で、該Ca−カゼイネート材料を形成後2時間以内に、実施された。試料は、(夫々個々の試料について測定された)3〜5mmの厚さを有する長方形型(30×12mm)に切り取られた。伸長されるべき部分の長さは15.2mmであった。少なくとも3の測定が、それぞれの方向((せん断流動−渦度面(vorticity plane)に基づく、すなわち得られた破壊面はSEMによりみられたときと同じ平面であった)せん断流動に対して平行及び垂直)における繊維状タンパク質試料について実施された。該試料の繊維状特徴に起因して、破壊は、ときどきすぐに発生し、及びときどき多段階的様式で発生し、測定の間の変動をもたらした。ヘンキー歪み(ε)、引張降伏応力(σ)、及びヤング係数(E)が、Gunasekaran & Ak((2003)Cheese Rheology and Texture, CRC press)により記載されたとおりに計算された。見かけ歪み硬化係数n歪みは、30〜100%の該測定されたε範囲において、該σ−ε曲線に対してべき乗則適合
Figure 0005230630
を適用することにより決定された。n歪みが1の値を超えるとき、該試料は歪み硬化を示す。
30%w/w Ca−カゼイネート、TGA(酵素−タンパク質(E:P)比は、重量に基づき1:20)及び脱塩水からなるタンパク質プレミックス(pH6.8〜7.0)が、処理に先立ち、低速で且つ室温でキッチンミキサー中で調製された。保存の為に、1%(w/w)安息香酸ナトリウム(Sigma Aldrich、ツビンドレヒト、オランダ、から)が添加された。
キッチンミキサー中で調製された該タンパク質プレミックスが、50℃の一定温度で維持された、予め加熱された該シアーセル(図1に示され、そして、本明細書上記の記載において詳細に説明された)へ移された。該シアーセルの装填後、該混合物が以下のせん断処理に付された:5rpmで4分(12s−1)、次に1分で5から50rpmへ(12から120s−1へ)の増加、及び50rpmでの30分(120s−1)。静止処理の場合、該混合物は30秒間、5rpmに付され、そしてその後、該シアーセルは35分間停止された(0rpm)。
さらに、Ca−カゼイネート試料が、該シアーセル装置中で該せん断された試料を調製したときに、同じ回転速度で、二重反転(counter rotating)エレメント(これは、Brabender DoCorderに取り付けられた)を有するミキシングボウル(W−50)中で調製された。
(該処理された試料のタンパク質含有量は、NA2100窒素及びタンパク質分析器(CE Instruments、ミラノ、イタリア、から)を用いてDumas法により測定された。該窒素−タンパク質変換係数は6.38であった(Grappin & Lefier, Proc. Int. Dairy Fed. Seminar (1993), Cork; and Guo et al., Int. Dairy J. 6(5) (1996) 473-483を参照されたい)。平均の測定されたタンパク質含有量は、95%信頼区間内で28.43%±1.12%であり、これは目的としたタンパク質含有量の30%に一致した。該混合され且つ架橋されたCa−カゼイネート試料は、35.39%のタンパク質含有量を有し、これはシネレシスに起因した。)
処理後、該材料は、該動かないシアーセル内で、約12℃へと、約10分で水浴により、冷却された。
該混合された材料は冷却されなかったが、試料は50℃ですぐに取られた。
該処理された材料は、2の正方形平行プレート(100×100mm)からなる型に移され、これは3mmの制御された試料高さを提供した。該材料の一部は、2時間以内に、さらなる分析(引張試験及びSEMの為の試料調製)の為に用いられ、そして一部は、さらなる分析(タンパク質含有量及びLVE測定)まで4℃で冷蔵庫内で保蔵された。
マクロ構造の局面に関して、せん断の間のTGAによる該架橋が、該せん断流動の方向に沿って引き裂かれうる真の繊維状マクロ構造物をもたらしたことが注目される。該得られた構造物は、白く且つ光沢があった。図2は、該シアーセル中の該せん断流に対して平行の方向において実施された引張試験後の、せん断され且つ架橋されたタンパク質試料を示す。1mm未満の典型的サイズを有すると見積もられる個々の肉眼で見える繊維が、脱塩水中での1日間の試料片の分散後に観察されることができた(図2Bに示される)。
TGAの無い30%Ca−カゼイネートのせん断は、わずかな異方性特徴を有する著しく層状の構造を結果した。該タンパク質マトリックス単独のせん断後、不透明な白い構造が、cmのオーダーにおける長さスケールを超えて、せん断流動の方向において、はがされ得た。静止条件下で架橋されたCa−カゼイネートは、何らの観察可能な整列化無く、堅いタンパク質ゲルを結果した。
最終的に、35分間のCa−カゼイネート及びTGAの通常の混合は、シネレシスをもたらし及び密に詰まったタンパク質ゲルを結果した。シネレシス後、該残りの試料のタンパク質含有量は、該添加された30%の変わりに、35%であった。マクロ構造的観察に基づき、せん断及びTGAによる架橋は、異方性繊維状Ca−カゼイネート構造を形成する為に必須であるとみえた。
該ミクロ構造に対するせん断及び架橋の効果について、以下が注目される。該処理されたCa−カゼイネート材料のミクロ及びナノスケール構造物が、SEMにより研究された。図3Aは、せん断された及びせん断されていない架橋されたCa−カゼイネートのSEM画像を示す。せん断により誘発された整列化が、該せん断流動と平行なミクロ構造において見られる。せん断されていない架橋タンパク質構造の多くは、非常に密に詰まっており、そして明白な整列化を見せなかった。
該せん断され且つ架橋されたタンパク質構造物はまた、オープンスペース及び気泡も含有し、これは明白な方向性を有する繊維を見ることを可能とする。
図3A.3は、気泡の表面での繊維の例である。いくつかの場合、該繊維方向は、該せん断方向からそれる。明らかに、SEMにより見られた繊維は、マクロ構造において視覚的に観察された繊維とは全く異なるスケールであり、すなわちnm対mmスケールであり、これは階層的繊維状構造を示唆する。該せん断流動に対し垂直に、2種類のミクロ構造物が観察され、夫々密なタンパク質の球状ドメイン(これは繊維の末端を表しうる)及びやはり整列化されたタンパク質構造物である(図3B)。後者の整列化は、連結したタンパク質粒子により引き起こされうるか、又は、観察された速度勾配−渦度面の光学的にだます投影により引き起こされうる。しかしながら、この平面における整列化は、マクロスケールについて観察されなかった。
該画像に基づき、約100〜200nmの典型的な繊維直径が推定されることができた。
TGAの使用なくせん断されたカルシウムカゼイネートのミクロ構造は、該せん断され且つ同時に架橋されたタンパク質ミクロ構造物と比較して大きな違いを示した。マクロスケールについて、わずかな視認されなかったが、はがされ得る層状構造が形成された。ミクロスケールでは、微妙な方向性が、該せん断流動と平行の平面から推定されることができ(図4A)、これは該せん断流動と垂直の平面についてはより明白でなかった(図4B)。該タンパク質ネットワークは、該架橋されたタンパク質ネットワークと比べてより多孔性にみえ、これは、それらの孔に自由水が置かれたこと又は繊維の縮みが該架橋された材料において起こったことを示唆しうる。該タンパク質ドメインのサイズは、該架橋されたタンパク質ネットワーク(約100〜200nm)に存在する該球のサイズに匹敵した。
図5は、静止条件下の架橋されたCa−カゼイネートのSEM画像を示す。仮想のせん断流動に対して平行の(図5A)及び垂直の(図5B)の該破壊表面のミクロ構造は互いに似ていた。タンパク質ドメインを含む、より密に詰まっていない領域により囲まれた密に詰まっている領域(約0.5μm)を観察できる。TGAは、これらの密に詰まった領域に存在しうるであったろうし、及び架橋は自由水を追い出すことを伴うそのような緊密さ(密に詰まった状態)をもたらしうるであったろうし、該密に詰まった領域の間においてわずかに膨張した及び多孔性のタンパク質構造をもたらす。
最終的に、混合され且つ架橋されたCa−カゼイネートは、約100nmのタンパク質球からなる密に詰まったミクロ構造を産出した(図6に示される)。該緊密さは、混合の間に発生する該シネレシスにより説明されることができる。不規則に選択された「平行」方向、及び対応する垂直方向の間に違いは観察されなかった。
要約すると、TGAの存在下において、単純せん断は、マクロスケールでの強い異方性を誘発した。ミクロスケールの整列化も観察されたが、せん断流動の方向と必ずしも一致しなかった。せん断とTGAとの組み合わせの作用だけが、異方性Ca−カゼイネート構造物を産出した。
測定されたとおりの該せん断され且つ架橋されたCa−カゼイネート構造物の材料特性は、粘弾的及び機械的特性であった。後者は、該処理されたタンパク質材料の異方性特性を明らかにした。
図7は、種々のCa−カゼイネート試料のLVE領域内のG’及びtanδを示す。酵素的架橋はG’を増加したがtanδは減少された、これは共有結合が誘発されるところの構造物に典型的である。架橋されたCa−カゼイネートのせん断及び静止処理の間のG’及びtanδにおける違いはみられなかった。すなわち、せん断は、共有結合の形成に影響しなかった。該混合され且つ架橋されたCa−カゼイネート試料は、より大きなG’及びわずかにより小さいtanδ値を示し、これは有効なより高いタンパク質濃度により説明されうる。該せん断され且つ架橋されたCa−カゼイネート試料の異方性挙動は、LVE特性において見られなかった。TGAの存在だけが、G’及びtanδにおける明確な違いを結果した。それ故に、該異方性繊維は、小変形により調べられる該長さスケールでの等方性連続体として振舞ったことが、結論付けられうる。
図8は、処理の間に該試料に対して適用されたせん断流動と比較した、2方向における、せん断され且つ架橋されたCa−カゼイネートの引張挙動の典型的な応力−歪み曲線を描く。平行方向における、すなわち該繊維の方向における該降伏(最大)応力及び降伏歪みの両方が、垂直方向における値と比較してはるかに大きいことが直ちに明白である。さらに、該平行方向において伸長された試料についての応力−歪み曲線の曲率は、歪み硬化挙動を示したが、これは他の方向において伸長された試料についての場合ではそうではなかった。
図9は引張特性を示す:破壊まで伸長された種々のCa−カゼイネート試料についての降伏応力σ、降伏歪みε及びヤング係数E。これらの引張特性に基づき、架橋され且つせん断されたCa−カゼイネートが、該せん断流動に対し平行及び垂直の方向において測定された特性の間での大きな違いの故の、異方性の有意な程度を示した。
せん断されたCa−カゼイネートは異方性に振舞った、これはσ及びεにおける違いにより明白である(Eにおける違いは有意でなかった)。
視覚的に及びSEMにより観察されるとおり(図5)、静止条件下で架橋されたCa−カゼイネートは異方性でなかった。σ、ε及びEの平均値(図9)は、架橋され且つせん断されたCa−カゼイネートの垂直の値と一致し、これはせん断の間の架橋が、該せん断流動に対して垂直の方向においても生じたことを示唆する。
混合され且つ架橋されたCa−カゼイネートは、平行方向及び垂直方向において伸長された試料の、測定された応力−歪み曲線において違いを示さなかった。それ故に、σ、ε及びEの平均値は、該材料が非常に弾性であり(高いE値)且つ延性である(高いσ値)ことを示す。
表1は、該せん断流動に対し平行及び垂直の方向において測定された引張特性の間の比を要約する。既に示されたとおり、該異方性繊維状試料は、垂直方向と比較して平行方向においてはるかに強力であり、これは特に降伏応力比σ平行/σ垂直(すなわち約9)により反映される。降伏応力及びヤング係数の比は、異方性Ca−カゼイネート構造物について約2〜3であった。該引張特性の比の値に基づき、TGAの不在下においてせん断されたCa−カゼイネートはわずかな異方性を示した。
表1(該せん断流動に対し平行及び垂直に測定された引張特性 降伏応力σ、降伏歪みε及びヤング係数Eの比。異方性30%Ca−カゼイネート試料は:せん断され且つ架橋されたCa−カゼイネート(C+TG−せん断)及びせん断されたCa−カゼイネート(C−せん断)。)
比 平行/垂直
Figure 0005230630
表2は、引張特性の値を表にし、せん断の効果(静止条件下で架橋されたCaカゼイネートにより正規化されたせん断され且つ架橋されたCa−カゼイネート)及びTGAの効果(TGA無しでせん断されたCa−カゼイネートにより正規化されたせん断され且つ架橋されたCa−カゼイネート)が推測されうるように、Ca−カゼイネート試料の対応する値により正規化された。せん断とTGAとの両方が平行方向において、すなわち異方性のミクロ構造物の方向において、大きな程度で該引張特性に影響した。さらに、該正規化された降伏応力値を考慮すると、(TGAの存在下における)せん断の強化効果は、TGAだけの効果のおおよそ2倍であった。これは、せん断及びTGAの相乗効果により説明されうる。
残念ながら、架橋されていないCa−カゼイネートにおけるせん断の効果は決定されることができなかった。なぜなら、せん断及び架橋無しのCa−カゼイネートの機械的特性は、その弱い構造に起因して測定されることができなかったからである。せん断及びTGAの両方の効果は、垂直方向における正規化された引張特性について無視できた。なぜなら、該正規化された値は1に近かったからである。
表2(測定された平行及び垂直方向についての正規化された引張特性 降伏応力σ、降伏歪みε及びヤング係数E。該せん断され且つ架橋されたCa−カゼイネート試料(C+TG−せん断)は、静止条件下で架橋されたCa−カゼイネート(C+TG−せん断無し)により正規化され及びせん断されたCa−カゼイネート(C−せん断)により正規化され、夫々せん断及びTGAの効果をもたらす。)
Figure 0005230630
表3は、TGAを伴う又は伴わない、せん断、混合又は静止の処理後の、該論じられたCa−カゼイネート構造物の最も重要なマクロ構造的、ミクロ構造的及び機械的特徴の概観を提供する。せん断及び酵素的架橋の両方が、繊維状Ca−カゼイネート材料の形成にとって必須であったことがわかる。表3において、マクロ構造的、ミクロ構造的及び機械的局面が、「マクロ」、「ミクロ」及び「機械的」により示される。
Figure 0005230630
タンパク質含有溶液又は分散物が、実施例1に記載の方法に従い調製され、該タンパク質プレミックスは25%又は30%(w/w)のいずれかのCa−カゼイネートを含みうるものである。酵素の絶対濃度[E]は、両方のCa−カゼイネート濃度について等しく、それぞれ30%及び25%Ca−カゼイネート溶液について、1:20及び1:17の酵素:タンパク質比(E:P)をもたらした。
処理(50℃)の間、ナイルレッド(72485、Sigma Aldrich)(共焦点レーザー走査型顕微鏡についての脂肪についての蛍光染料)、が0.1g・L−1の濃度で、融解したパーム油に添加された。この希釈されていない溶液のうち、15%v/vが、該タンパク質−脂肪混合物を該シアーセル装置へ移す前に、該タンパク質プレミックスの適当な量と、手で簡単に混合された。
該一緒にされたタンパク質−脂肪プレミックスが、該予め加熱された(50℃)シアーセル装置へ移された。該シアーセルの装填後、該混合物が、該以下のせん断処理に付された:5rpm(12s−1)で4分、次に1分で5rpmから、指定持続期間についての所望のrpm値(10、50又は100rpm、これはそれぞれ24、120及び240s−1に相当する)への増加。この指定持続期間は、せん断時間といわれるであろう。処理後、該材料は該動かないシアーセル中で、約12℃へと約10分で冷却された。該測定されたトルク曲線は、t=0で測定されたトルク値に従い調整された。
該処理された材料は、2つの正方形平行プレート(100×100mm)からなる型に移され、これは3〜5mmの制御された試料高さを与えた。該材料の一部は、さらなる分析(引張試験及びSEMについての試料調製)のために2時間以内に用いられ、そして更なる分析(CSLM、LVE及びクリープ測定)に先立ち4℃で保蔵された。
該処理条件及び材料組成は、Ca−カゼイネート及び脂肪からの繊維状材料が形成されたかどうかを決定した。それ故に、せん断速度、せん断時間及びたんぱく質濃度の効果が、種々の長さスケールでの処理局面及び結果的な構造的特性の観点で考察されるであろう。
Ca−カゼイネート−脂肪構造物についてのせん断時間及びタンパク質濃度の効果に関して、せん断との組合せにおける酵素的架橋だけが繊維状Ca−カゼイネート−脂肪構造物をもたらしたことが注目される。該脂肪の存在が該構造物における追加的長さスケールでの異方性を誘発し、それにより、階層的タンパク質−脂肪構造物を産出した。繊維状構造物の形成は時間依存的であり、或るせん断速度を超えたときに、繊維状構造から、シネレシスを伴う損傷した構造への徐々の移行を示す。
固定されたせん断速度及びせん断時間(120s−1及び30分)でのTGAの存在下における30%Ca−カゼイネート及び15%脂肪のせん断は、図11Aにおいて示されるとおりの繊維状マクロ構造を結果した。該繊維状材料は手で容易に分離されることができた(繊維<1mm)。対照的に、TGAの不在下でCa−カゼイネート及び脂肪がせん断された場合、均一なマクロ構造が、該せん断流動により誘発される何らの方向性無く観察された。
図12は、該シアーセル装置中でのCa−カゼイネート及び脂肪のせん断の間の(合計)せん断時間の関数としての典型的なトルク曲線を示す。TGAの存在は、該タンパク質相における共有結合の形成に起因して、該トルク応答を増加した。25%Ca−カゼイネートについての測定されたトルクは、30%Ca−カゼイネートと比較してわずかにより低かった。該架橋された試料の組成が類似したとしても(30%Ca−カゼイネート、15%脂肪及び(1:20)TGA)、該トルク曲線はいくらか変動を示す。それにもかかわらず、明白な傾向が観察された:比較的一定のトルク値後、30%及び25%Ca−カゼイネートの両方についてそれぞれ45分及び30分(合計せん断時間)の後、該トルクは突然増加し、これは産物特性における激烈な変化を示唆する。図11Bにおいて示されるとおり、これらの曲線と一致する試料は損傷した構造物であり及び排出された液体(シネレシス)が存在した。一見したところでは、該構造物は繊維状にみえなかったが、注意深い観察後、いくつかの繊維状片がなお観察されることができた。繊維から損傷した構造への移行は、制御できない過程である。25%Ca−カゼイネート−脂肪の30分間の120s−1でのせん断の二回の処理は、明白な繊維状部分を有し及びいくばくかのシネレシスだけを有する、より損傷していないマクロ構造を結果した。
結論を出すと、特定のせん断時間条件でだけ、該タンパク質濃度に依存して、繊維状構造物が得られることができた。
該ミクロ構造に関して、図13におけるSEM画像は、TGA(1:20)を用いたせん断及び架橋後の30%Ca−カゼイネート及び脂肪のミクロ構造を示す。該せん断流動に対して平行(図13.A1〜A2)及び垂直(図13.B1〜2)の平面の間の違いは、同時にせん断され且つ架橋された材料と非常に異なる。密に詰まった繊維が、約100〜200nmの典型的な繊維サイズとともに、該せん断流動と平行の方向において形成された。該構造内のオープンスペースで又は気泡の内側表面において、該繊維はより区別されることができた。図13.A2に示されるとおり、気泡の内側表面における繊維の方向がときどき該せん断方向と異なり、これは該せん断流動の局所的な乱れを示す。該せん断流動と垂直に、いくつかのタンパク質粒子及びいくつかの「融解した」構造物(図13.B2)が観察され、ここでは該タンパク質が該脂肪相により覆われているように見えた。いくつかの脂肪球が該構造中に見られたが、全体としては、脂肪の少量だけがSEMにより見られることができ、これは(採用された倍率に依存して)SEMにより観察された長さスケールに起因しうる。加えて、有機的液体(DMSO、エタノール)中にカゼイネート−脂肪構造物を浸すなどの、SEMについての該試料の調製方法は、脂肪のあり得る損失を引き起こした。
メソ構造的レベルについて、せん断され且つ架橋された30%Ca−カゼイネートのCSLM画像は、該脂肪相の存在が追加的な長さスケールでの異方性を誘発し、該構造物をさらにより階層的にすることを明らかにする。図14.A3は、120s−1での30分のせん断後に得られた30%Ca−カゼイネート−脂肪材料における脂肪構造物の2種類を区別した。比較的小さい及び大きい分散した脂肪滴が、該せん断方向に伸長された脂肪相と同様に、観察された。いくつかの独立に処理された試料に基づき、脂肪はたいてい滴形態で存在したが、変形パラメーター(D)値に基づく変形した状態でも存在したことが観察されることができた(図14.B3〜4)。非常に小さい脂肪滴は、該せん断方向に平行又は傾いた方向性を有する、該タンパク質相中のある程度の構造を引き起こした。約40μmの典型的なタンパク質層厚さ(すなわち約200の単独タンパク質繊維からなる)、及び約10μmの脂肪相厚さが見積もられうる。
図14.A1は、分散した脂肪滴を有する連続的タンパク質相からなる、TGAの無しで、せん断された30%Ca−カゼイネート及び脂肪の等方性メソ構造を示す。該脂肪滴直径及び変形パラメーターDの(最大)平均累積分布は、TGA無しで、該脂肪滴は、TGAを含む該繊維状構造物と比較してサイズにおいてより大きく及びより変形していなかったことを示唆する(図14.B2〜4)。
30%Ca−カゼイネートについて、120s−1の一定のせん断速度でのせん断時間(15及び30分)の効果が図14.A2〜3に示される。30%Ca−カゼイネート及び脂肪の5及び15分のせん断後、繊維状マクロ構造物が、目によりすでに観察された。しかしながら、いくつかの脂肪滴方向を除き、これは、30分間せん断された参考試料と比較して、15分のせん断について示されるとおりCSLM画像からは明らかでない。15分のせん断後に得られたCSLM画像における黒い領域は、この試料に存在する空気含有を示し、これは5分のせん断についても観察された。該脂肪滴直径は、増加したせん断時間と伴に減少したが、Dはほとんど変動を示さなかった(図14.B1〜3)。
該タンパク質含有量を25%に減少した場合(E:Pは1:17まで増加した)、17分のせん断後ですでに、繊維状マクロ構造が形成されており、これは図14.A4において示されるとおり細かく分散した脂肪滴の整列化を示した。該滴は、より高いタンパク質含有量を有する該構造物における滴と比較してより小さく(図14.B1)、そして脂肪相は観察されなかった。結論付けると、該メソスケール脂肪構造物の該発達は、30%Ca−カゼイネートについての、狭いせん断時間枠の間、すなわち15〜60分の間で、発達する。タンパク質濃度における減少は、繊維状構造物を得る為の、せん断のこの処理時間枠を減少しさえする。
該Ca−カゼイネート−脂肪材料の該LVE特性(G’及びtanδ)が、せん断時間の関数として図15にプロットされる。繊維状30%Ca−カゼイネート−脂肪構造物について、G’の穏やかな増加が、せん断時間、すなわち架橋反応時間の関数として測定された。G’の該増加は、共有結合の増加により説明されることができる。25%Ca−カゼイネートへのタンパク質含有量の減少は、17分のせん断後に、25%Ca−カゼイネート−脂肪材料のG’のわずかにより低い値を結果した。
均一な分散した構造を結果した、TGAの不在下における該せん断されたCa−カゼイネート−脂肪構造物は、TGAにより架橋された該試料と比較して、より低いG’及びより高いtanδ値を示す。tanδが5分のせん断後ですでに、連続したせん断の際に一定のままであった値に減少したことが顕著である。これは、G’’が5分のせん断内で迅速に増加したこと、及びさらにG’と同じ傾向に従うことを示唆する。
表4は、全ての試料のG’−周波数曲線に適合したべき乗則から得られたn値をまとめる。
表4:種々の条件で処理されたCa−カゼイネート試料についてのR値による周波数の関数としてのG’にフィットされたべき乗則
Figure 0005230630
から抽出されたnの値。非繊維状試料はアスタリスクにより示される。
Figure 0005230630
n値に関する機械的スペクトルは、せん断時間又はせん断速度によりほとんど影響されず、そして、該材料の該組成にだけ依存するようにみえた。該材料における共有結合の存在は、該架橋された試料を非架橋の30%Ca−カゼイネート試料と比較する場合にlog−logプロットの傾きに影響し、これはより固体材料のように振舞わなかった。TGAの存在下における5分のせん断がすでに、非架橋の材料と比較して、Ca−カゼイネート−脂肪材料のn値における最も大きな変化を誘発した。
図16Aは、30%Ca−カゼイネート−脂肪試料についてのLVE領域から、相当するG’値により正規化された、応力の関数としての正規化されたG’曲線に対するせん断時間の効果を描く。30%Ca−カゼイネートに基づく該繊維状試料について、せん断時間の関数としての該LVE領域の限界について明白な傾向は推定されえなかった。架橋されていない均一な30%Ca−カゼイネート試料は、該繊維状試料と比較して、非線形における、より急勾配の減少を示し、これは、より弱い非共有結合の存在に起因するかもしれない、高い歪み値で、より急激に影響されたことを示唆する。
該Ca−カゼイネート−脂肪材料の、6要素Burgersモデルによるフィットを含む、クリープ曲線が、図17に示され、これは粘弾性材料の典型的な形を示す。架橋時間における増加、すなわち共有結合における増加は、弾性コンプライアンスの減少を結果し、これは、弾性係数に反比例する。さらに、架橋されていないがせん断されたCa−カゼイネート及び脂肪は、該架橋された材料と比較してより粘性に挙動した(これは図17における挿入において描かれる)。
図5は、BurgersモデルからのフィットされたパラメーターJ、η及び遅延時間τ及びτをまとめる。
表5 6要素Burgersモデルからの標準偏差を含む、フィットされたクリープパラメータ。該モデルは、LVE領域内の20℃で測定されたクリープ曲線にフィットされた。繊維状でない試料はアスタリスクにより示される:
Figure 0005230630
架橋されていない材料と比較した、5分のせん断及び架橋後のJ及び遅延時間における大きな減少並びにηの増加は、TGAの存在が、クリープパラメータに対する最も大きな影響を有したことを明白に示唆する。遅延時間における該急勾配の減少は、Ca−カゼイネートマトリックスが、該酵素により多かれ少なかれ粘性のタンパク質マトリックスから弾性材料へと迅速に変形されたことを示唆する。共有結合の存在は、該構造物内のより可動的でない分子を結果し、及び、ηの上昇により反映されるより長い時間スケールでの流動に対するより大きな抵抗性を結果した。せん断(反応)時間のさらなる増加は、J、τ及びτに対するわずかな減少効果を有した。遅延時間を決定するパラメータG、G、τ及びτが、増加するせん断時間に伴い増加したことが注目されねばならない。
図18は、繊維状の25%及び30%Ca−カゼイネート−脂肪材料についてのせん断時間の関数としての機械的特性(降伏応力σ、降伏歪みε、ヤング係数E及び見かけ歪み硬化係数n)を示す。架橋されていない30%Ca−カゼイネート−脂肪材料の機械的特性も、図18に包含される。120s−1での5分のせん断後ですでに、該繊維方向と平行及び垂直な機械的特性が違いを示したので、異方性が30%Ca−カゼイネート−脂肪材料において観察された。さらに、該垂直方向において測定された機械的特性は、せん断時間の関数として多かれ少なかれ一定のままであった。これは、共有結合による該繊維状構造物の強化が、該流動方向において主に発生したことを示唆する。該平行方向における該降伏応力により特徴付けられる該異方性は、30%Ca−カゼイネート及び脂肪についてのせん断時間の増加に伴い、激烈に増加した。17分間せん断された、25%Ca−カゼイネート及び脂肪の機械的特性は、15分間せん断された30%Ca−カゼイネート試料の該特性と多かれ少なかれ類似であった。30%Ca−カゼイネート及び脂肪に基づく架橋されていない材料は、全ての引張パラメーターに関して等方性材料として振舞った。顕著に、該架橋されていない等方性材料の機械的特性は、該せん断流動と垂直に測定された該繊維状材料の機械的特性と多かれ少なかれ等しかった。これはやはり、共有結合が該せん断流動と垂直に形成されなかったことを含意する。該ヤング係数は、15分のせん断後に増加し始めたが(30%Ca−カゼイネート)、該降伏歪み及び歪み硬化係数は、せん断の最初の15分で増加し、そしてその後は一定のままであった。一般に、該繊維状30%Ca−カゼイネート−脂肪材料はより延性になり、及び、繊維方向における歪み硬化を示したが(降伏応力及び降伏歪みにおける増加)、それらは該垂直方向においては脆性のままであった(低い降伏応力及び降伏歪み)。
表6は、該繊維方向と平行及び垂直に測定された機械的特性の比に対するせん断時間の効果をまとめており、これは該繊維品質の尺度として解釈されうる。せん断時間の増加は、該繊維状30%Ca−カゼイネート材料の全ての4つの機械的パラメーターに正に影響し、このうち降伏応力が主に増加した。顕著に、最も大きな降伏応力比は、より低いタンパク質含有量(25%Ca−カゼイネート)を有する該繊維状構造物について見られた。
表6:該シアーセル装置においてかけられた(120s−1での)該せん断流動と平行及び垂直に測定された、繊維状及び非繊維状Ca−カゼイネート−脂肪材料の引張特性の比に対するせん断時間及びせん断速度の効果。非繊維状試料はアスタリスクにより示される。
Figure 0005230630
一定のせん断速度でのせん断時間の効果の調査後、30%Ca−カゼイネート、15%脂肪及びTGA(1:20)に基づく繊維状構造物の形成に対する、30分の固定されたせん断時間でのせん断速度の影響が調査された。該せん断速度は、繊維状構造物の形成及び繊維状の程度の両方を制御する為の処理パラメーターであるとみえた。
図19は、該シアーセル中で30%Ca−カゼイネート、脂肪及びTGAを処理する間のせん断時間の関数としてのトルクに対する3つのせん断速度の効果を示す。せん断速度の増加は、より高いトルク応答を引き起こし、これは、最大で25分の(合計)せん断時間に有効であった。しかしながら、24s−1で、該トルク曲線は、30%及び25%Ca−カゼイネート−脂肪のそれぞれの120s−1での30分及び60分せん断について以前に観察されたのと同様に、突然に増加した。該2つの後者の場合、損傷した構造物及びシネレシスが、繊維状構造の過剰せん断の結果であった。24s−1での30分間のせん断後、いくらかの排出された脂肪及びわずかなシネレシスを伴う等方性マクロ構造が観察された。おそらく、破壊に先立つ低いせん断速度で、Ca−カゼイネート−脂肪材料において整列化は誘発されなかった。測定されたトルクプロファイルにおける該突然の増加は、せん断の間の、等方性構造物の崩壊又は形成を示唆し得、水又は脂肪−豊富相の排出を伴い得る。120s−1(以前に議論された参照試料)及び240s−1でのせん断の両方が、繊維状材料を結果し、このうち後者は、前者と比較して質的により繊維状であるようにみえた。低い及び中間のせん断速度を比較する場合、該低いせん断速度(24s−1)についての平均累積滴直径曲線は、該メソ構造におけるより小さいサイズの脂肪滴の存在を示唆したが、Dパラメーターの平均累積曲線は同じであった(図14.B2〜4)。240s−1の最も高いせん断速度で得られたメソ構造は、不規則な脂肪滴並びにせん断流動方向において層(約10μm厚さ)内に整列された脂肪構造物を有する分散した構造物を示した。直径及びDに対するせん断速度の明白な効果は、該調査されたせん断速度を全て考慮に入れた場合に、推定されることができなかった。該繊維状材料のLVE特性における変動は、TGAの反応時間として見られず、これは共有結合の数が夫々のせん断速度で等しいことを示唆する。低いせん断速度では、得られた該等方性材料は、わずかにより高いG’値を有し、これは、全ての架橋が該せん断流動方向において形成されなかった故の、より多くの相互連結されたタンパク質ネットワークの存在により説明されうる。歪みの関数としての正規化されたG’曲線を示す図16Bは、非繊維状試料(24s−1)のLVE領域の限界が、繊維状試料(120及び240s−1)のLVE限界と比較してはるかに高いことを示し、これは異方性の尺度として、LVE領域を限定する該歪みが用いられうることを含意する。該せん断速度は、表5において示されるとおり、該クリープパラメーターにほとんど影響しなかった。
図20は、機械的特性に対するせん断速度の効果をまとめる。一般に、大きな95%信頼区間が、特には該繊維方向に対して平行に、繊維状試料の段階的及び漸次的破壊により説明されることができる。該せん断流動に対し平行及び垂直に測定された機械的特性に基づき、低いせん断速度(24s−1)で得られた30%Ca−カゼイネート−脂肪材料が、等方性材料として挙動したことが結論付けられうる。この試料の該ヤング係数は、該材料が、より高いせん断速度で形成された該繊維状材料と比較して非常に弾性であることを確認した。該繊維方向と平行に測定された降伏応力、降伏歪み及び見かけ歪み硬化係数は、せん断速度の増加に伴い増加したが、ヤング係数は減少した。該流動方向に垂直に測定された機械的特性は、等方性から異方性材料への移行における(すなわち24と120s−1との間)せん断速度の増加に伴いわずかに減少した。該移行後、該繊維方向と垂直に測定された異方性材料の機械的特性は、該せん断速度によりほとんど影響されなかった。
全ての処理パラメーター(せん断速度及びせん断時間)を考慮した場合、該せん断流動と垂直に測定された該異方性繊維状材料の全ての機械的特性は類似であり且つ該処理から独立していたことが結論付けられる。さらに、これらの機械的特性は、等方性の、架橋されていない30%Ca−カゼイネート−脂肪材料のものと等しかった。これは、共有結合が、該繊維状材料における渦度−せん断流動平面において形成されなかったことを確認し、これは脂肪の存在により部分的に阻害される。表7は、該繊維方向に平行及び垂直に測定された該繊維状材料の機械的特性の比をまとめる。これらの比に基づき、最も高いせん断速度(240s−1)で形成された30%Ca−カゼイネート−脂肪材料が最も繊維状であり、該せん断速度は、せん断され且つ架橋されたタンパク質−脂肪材料の繊維状態を制御する為に用いられうることを示唆する。
表7:該シアーセル装置中で(30分間)かけられた該せん断流動に平行及び垂直に測定された繊維状及び非繊維状30%Ca−カゼイネート−脂肪材料の引張特性の比に対するせん断速度の効果。非繊維状試料はアスタリスクにより示される。
Figure 0005230630
0.5%キサンタンを含む20%Ca−カゼイネートプレミックス(100g当たり72gのNa−ベンゾエート含有脱塩水+0.5gのキサンタン+7.5gのTGA溶液+20gのCa−カゼイネートを含む)(=試料1)が、最初に、キサンタンと1%Na−ベンゾエートとを脱塩水中で、約10分間、30〜40℃で混合し及び次にさらに約50分間、室温で混合することにより調製された。20%TGA溶液が次に、(1:20の酵素対タンパク質(E:P)の最終比を得る為に)該キサンタン溶液に添加され、そして、この非常に粘性の分散物(溶解していないゲル様粒子をいくつか含んだ)を該タンパク質に添加する少し前に混合された。また、TGAのより低い量を有し(E:P=1:40)及びNa−ベンゾエートを除く30%Ca−カゼイネートプレミックス(=試料2)が調製された。全ての成分は、キッチンミキサー中で低速で且つ室温で、該プレミックスを該予備加熱されたシアーセル(50℃)へと移す前に混合された。両方の混合物は、以下のとおりにせん断された:5rpmで4分、該rpmが5から50rpmへと増加するところの1分、及び50rpmでの一定の持続時間、これは20%Ca−カゼイネート−キサンタン混合物については34分であり、及び、30%Ca−カゼイネート試料については15分であった。せん断後、該試料は、約12℃の温度が達せられるまで、15分間冷却された。該材料の分析は実施されなかった。
20%Ca−カゼイネート−キサンタン(試料1)のせん断は、硬いテクスチャーを有する繊維状マクロ構造(図22)を結果した。キサンタンの不在下における20%Ca−カゼイネート(TGA1:10及び1:20を有し、及び脂肪の存在下である)のせん断は、繊維状材料をもたらさなかった。
副成分Na−ベンゾエートの排除及びTGAの減少(試料2)は、広範囲にわたるシネレシス(初期重量の約25%)を示す等方性材料を産出した。該材料は非常に弾性であった。該黄色により、それは、処理後のNa−カゼイネートに類似する。Na−ベンゾエートの不在下におけるより高いTGA濃度(1:20)は、類似の構造を結果した。
実施例1と同様に、Ca−カゼイネート及びNa−カゼイネートの混合物が、単純せん断に付される。その結果は表8において与えられる。表8は、レオロジーを用いて及び該シアーセル中で分析されたときの、Na−ベンゾエート(1〜70mM)を有するCa−カゼイネートとNa−カゼイネートとの混合物の概要を提供する。成功した、繊維状の試料について、その引張特性の比が与えられる。
Figure 0005230630

Claims (21)

  1. 食用タンパク質懸濁物を、単純せん断流動及びせん断の間に酵素的架橋に付すことを含む、階層的な繊維状食物構造物を調製する方法であって、前記食用タンパク質がカゼインに基づくものである、前記方法
  2. 該食用タンパク質がカルシウムカゼイネートである、請求項1の方法。
  3. 該酵素的架橋が、トランスグルタミナーゼを用いて実施される、請求項の方法。
  4. 脂肪が該懸濁物中に存在する、請求項1〜のいずれか1項の方法。
  5. 糖を該懸濁物に添加することをさらに含む、請求項1〜のいずれか1項の方法。
  6. 該懸濁物が、0.1〜10重量%の、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及び、カルシウム結合の為の同程度の親和性を有する他の塩から選ばれる塩をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項の方法。
  7. 該塩が、安息香酸ナトリウム、D−乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及びポリリン酸三ナトリウムからなる群から選ばれる、請求項の方法。
  8. ミクロスケール及びマクロスケールでの異方性を有する、繊維状の階層的食用タンパク質構造物であって、前記食用タンパク質がカゼインに基づくものである、前記構造物
  9. ミクロスケールでの異方性繊維形態を有するゆるい繊維状の食用タンパク質粒子であって、前記食用タンパク質がカゼインに基づくものである、前記粒子
  10. 請求項1〜のいずれか1項の方法により得られる、請求項8又は9の繊維状構造物。
  11. トランスグルタミナーゼにより架橋されたカゼイネートに基づく、請求項8〜10のいずれか1項の繊維状構造物。
  12. 少なくとも6の降伏応力比σ平行/σ垂直を有する、請求項8〜11のいずれか1項の繊維状構造物。
  13. 食物の製造において、請求項8〜12のいずれか1項の構造物を使用する方法。
  14. 該階層的構造物が、肉又は魚様構造物を形成する為に用いられる、請求項13の方法。
  15. 該ゆるい繊維状粒子が、該食物の粘性及び/又はチクソトロピー性及び/又は流動挙動を調節する為に用いられる、請求項13又は14の方法。
  16. 脂肪が、最大で30重量%の量で該懸濁物中に存在する、請求項1〜3のいずれか1項の方法。
  17. 脂肪が、最大で20重量%の量で該懸濁物中に存在する、請求項1〜3のいずれか1項の方法。
  18. キサンタン、カラギーナン、ガラクトマンナン、グアーガム、タラガム、キャロブビーンガム、アラビアガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロールを包含するセルロース、並びに加工デンプンを包含するデンプンからなる群から選ばれる多糖を該懸濁物に添加することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項の方法。
  19. 該懸濁物が、0.1〜4重量%の、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及び、カルシウム結合の為の同程度の親和性を有する他の塩から選ばれる塩をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項の方法。
  20. 少なくとも7の降伏応力比σ 平行 /σ 垂直 を有する、請求項8〜11のいずれか1項の繊維状構造物。
  21. 少なくとも8の降伏応力比σ 平行 /σ 垂直 を有する、請求項8〜11のいずれか1項の繊維状構造物。
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