実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る冷凍サイクル装置を示す模式図である。図において、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置は、熱源側熱交換器3を内蔵する熱源ユニット100、第1負荷側熱交換器5a、5bを内蔵する室内ユニット200a、200b、第2負荷側熱交換器12を内蔵する外気処理ユニット300、熱源ユニット100と外気処理ユニット300等とを接続する液配管52およびガス配管51とにより構成されている。このサイクル内部には冷媒として例えば臨界温度(約31℃)以上で超臨界状態となる二酸化炭素が封入されている。
室外に配置された熱源ユニット100内には、冷媒ガスを圧縮するための第1圧縮機1、室内ユニットの冷房運転と暖房運転とに応じて冷媒が流れる方向を切換える第1冷媒流路切換え手段である四方弁2、運転モードに応じて凝縮器または蒸発器になる熱源側熱交換器である室外熱交換器3、外気を強制的に室外熱交換器3の外表面に送風するための図示しない送風機が収納されている。この室外ユニット100は、液配管52、ガス配管51を介して外気処理ユニット300と接続されている。図1における実線で示された冷媒が流れる冷房運転時は四方弁2の第1口2aは第1圧縮機1の吐出側と、第2口2bは室外熱交換器3の一端と、第3口2cは第1圧縮機1の吸入側と、第4口2dはガス配管51とそれぞれ接続されている。
室内ユニット200a、200bには、第1負荷側熱交換器である室内熱交換器5a、5b、室内熱交換器5a、5bへの冷媒分配を調節する開度変更可能な第1減圧手段である電子膨張弁4a、4b、室内空気を強制的に室内熱交換器5a、5bの外表面に送風するための図示しない送風機およびそれらを接続するための配管が内蔵されている。室内熱交換器5a、5bの一端は外気処理ユニット300と接続され、他端は電子膨張弁4a、4bを介して外気処理ユニット300に接続されている。なお、本実施の形態では、室内ユニット200a、200bを2台としているが、1台あるいは3台以上としても良い。
外気処理ユニット300内には、冷媒を第1圧縮機1の吸入圧力まで昇圧する第2圧縮機10、第2流路切換え手段である四方弁11、第2負荷側熱交換器である室内熱交換器12、開度変更可能な第2減圧手段である電子膨張弁13、冷房運転時に室外熱交換器3の出口部と第1圧縮機1の吸入部を熱交換する第1内部熱交換器14、内部熱交換器14の出口部と第2圧縮機10の吸入部とを熱交換する第2内部熱交換器15、冷房運転と暖房運転で流路を切換える開閉手段である電磁弁30、31、およびこれらを接続するための配管が内蔵されている。四方弁11の第1口11aは第2圧縮機10の吐出側と、第2口11bは室内熱交換器12の一端と、第3口11cは第2圧縮機10の吸入側と、第4口2dはガス配管51とそれぞれ接続されている。
上記のように構成された冷凍サイクル装置について運転動作を説明する。まず、冷房運転を行う場合を図1と図2に基づいて説明する。図2は、図1の冷媒回路中に示した記号A〜Jにおける冷媒状態をP−h線図上に示したものである。冷房運転では、室内ユニット200a、200b内の室内熱交換器5a、5bは蒸発温度が高く設定され、空調対象空間の顕熱負荷が主に処理される。一方、外気処理ユニット300内の室内熱交換器12は蒸発温度が低く設定され、空調対象空間の潜熱負荷が主に処理される。即ち顕熱を処理する室内熱交換器5a、5bは室内熱負荷を熱交換する熱交換量に対し十分大きい伝熱性能である熱交換器の伝熱面積とこの熱交換器へ送風する送風機の風量を有しており熱交換器の冷媒温度は室内空気の露点温度以上となる。この結果熱交換器内部の液冷媒と室内空気の温度差が10度以内となる高い蒸発温度が設定される熱交換能力を有している。一方潜熱を処理する室内熱交換器12は顕熱処理の熱交換器より小さな熱交換処理能力、例えば1/3程度の伝熱面積であって、冷媒温度は露点温度以下となり除湿を行うことになる。また空気温度と冷媒温度の差が10度以上という如く低い蒸発温度が設定される。
冷房運転では、室外ユニット100内部の四方弁2は第1口2aと第2口2bが連通し、第3口2cと第4口2dが連通するように設定される(図1中実線)。また、外気処理ユニット300内の電磁弁30、31は閉止され、電子膨張弁13の開度は室内熱交換器12の出口部に適切な過熱度(例えば、5〜10℃)が得られるように調整され、室内ユニット200内の電子膨張弁4a、4bの開度は、室内熱交換器5a、5bの出口部に適切な過熱度(例えば、5〜10℃)が得られるように調整される。この様な過熱度あるいは過冷却度を設定して各熱交換器の能力をフルに発揮させることが出来る。
このとき、第1圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2の第1口2aから第2口2bを通って(状態B)、室外熱交換器3で被加熱媒体である空気に放熱し(状態C)、液配管52、内部熱交換器14を通り(状態D)、さらに内部熱交換器15を通過する(状態E)。その後、一部の冷媒は室内ユニット12に流入し、空調対象空間の潜熱負荷を処理した後(状態F)、内部熱交換器15を通り(状態G)、四方弁11の第2口11bから第3口11cを通って、第2圧縮機10に流入する。第2圧縮機10で圧縮された冷媒は、四方弁11の第1口11aから第4口11dを経て(状態H)て、ガス配管51へ合流する(状態J)。内部熱交換器15を通過した他の一部は、室内ユニット200a、200bに流入する。
室内ユニット200a、200bに流入した液冷媒は、電子膨張弁4a、4bで減圧されて気液二相冷媒となり、各室内熱交換器5a、5bに例えば均一に分配される。この気液二相冷媒は、室内熱交換器5a、5bで、図示しない室内空気から吸熱し、自らは蒸発気化する。この低温低圧のガス冷媒(状態I)は、外気処理ユニット300内で第2圧縮機10から吐出された冷媒と合流し(状態J)、合流した冷媒は、内部熱交換器14を経てガス配管51、四方弁2の第4口2dから第3口2cを経て、第1圧縮機1の吸入側へ戻る(状態A)。この時、図示しない室内送風機によって室内熱交換器5a、5bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の液冷媒により冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。即ち冷房運転時は2つの異なる低圧圧力、言いかえると2つの異なる蒸発圧力で運転される。
本実施の形態では、内部熱交換器14、15を直列接続して用いることで、図2に示すように、蒸発器のエンタルピー差をΔH1からΔH2まで増加させることができ、低蒸発温度で運転される低段側(潜熱処理側)の冷媒流量Gr2(圧縮仕事)を低減し、低蒸発温度での運転を極力低減することができる。内部熱交換器を用いる場合、蒸発器出口冷媒が高温冷媒でさらに過熱されるため、従来のHFC系冷媒では、吸入温度とともに吐出温度が上昇するという問題があった。二酸化炭素では、HFC系冷媒に比べて各段の圧縮比が大幅に低下するため、圧縮仕事が減少し、吐出温度が上昇し過ぎることがない。したがって、二酸化炭素を用いる2段圧縮式の冷凍サイクルに内部熱交換器を用いることは使用冷媒に適した高性能化対策となる。
つぎに、暖房運転について図1、図3に基づいて説明する。暖房運転時では、内部熱交換器14、15は利用しない。この場合、室外ユニット100内部の四方弁2は第1口2aと第4口2dが連通し、第2口2bと第3口2cが連通するように設定され、外気処理ユニット300内部の四方弁11は第1口11aと第2口11bが連通し、第3口11cと第4口11dが連通するように設定される。また、外気処理ユニット300内の電磁弁30、31は開放され、電子膨張弁13の開度は室内熱交換器12の出口が室内温度に応じた適切な温度となるように調整され、室内ユニット200内の電子膨張弁4a、4bの開度は、室内熱交換器5a、5bの出口が室内温度に応じた適切な温度となるように調整される。
このとき、第1圧縮機1で圧縮され高温高圧の超臨界状態となった冷媒は四方弁2の第1口2aから第4口2d、ガス配管51を経て外気処理ユニット300に流入する。外気処理ユニット300に流入した高温高圧の冷媒は、電磁弁30を通過し(状態J)、一部は室内ユニット200a、200bに流入する(状態I)。ここで、図示しない室内空気に放熱して室内を暖房すると共に自らは温度が低下する。この中温高圧の冷媒は、電子膨張弁4a、4bで減圧され、気液二相状態となって外気処理ユニット300に流入する。外気処理ユニット300に流入した気液二相冷媒は、電子膨張弁13からの冷媒と合流し(状態E)、内部熱交換器15、内部熱交換器14、液配管52を通過して室外熱交換器3に流入する。但し内部熱交換器では冷房時のような熱交換は行われていない。
一方、電磁弁30を通過した冷媒の他の一部は、四方弁11の第4口11d、第3口11cを通過し、第2圧縮機10で更に圧縮され、四方弁11の第1口11a、第2口11bを経て電磁弁31を通過し(状態F)、室内熱交換器12に流入する。室内熱交換器12で放熱した冷媒は電子膨張弁13で減圧され、電子膨張弁4a、4bから外気処理ユニット300に流入した冷媒と合流する。
室外熱交換器3に流入した低温低圧の液冷媒は、図示しない室外送風機によって送り込まれる外気から吸熱するとともに自らは蒸発する(状態B)。蒸発したガス冷媒は、四方弁2の第2口2bから第3口2cを経て第1圧縮機1の吸入側(状態A)へ戻る。このように、暖房運転時は、2つの異なる高圧圧力、言いかえると2つの異なる超臨界圧力で運転される。すなわち、室内熱交換器12の冷媒は、室内熱交換器5a、5bの冷媒に比べ高圧・高温の冷媒となる。
他の冷凍サイクルの構成例を図4に示す。図1と異なるのは、図1では内部熱交換器の低温熱源として、室内熱交換器4a、4bや室内熱交換器12の出口冷媒ガスを利用するが、図3では液配管52を流れる冷媒の一部を減圧手段である電子膨張弁16、17で減圧し気液二相冷媒としたものを利用する点である。図4では、冷房運転時の上流側の内部熱交換器14が液冷媒の一部を電子膨張弁16で減圧した気液二相冷媒で冷却され、下流側の内部熱交換器15が内部熱交換器14で冷却された液冷媒の一部を電子膨張弁17で減圧した気液二相冷媒で冷却される。
具体的には、冷房運転では、液配管52から外気処理ユニット300に流入した液冷媒は、内部熱交換器14において液冷媒の一部を電子膨張弁16で減圧した低圧の気液二相冷媒で冷却される。一方、低圧の気液二相冷媒は内部熱交換器14で蒸発し、ガス配管51に合流する。内部熱交換器14で冷却された液冷媒の一部は、さらに内部熱交換器15において電子膨張弁17で減圧された気液二相冷媒で冷却される。一方、低圧の気液二相冷媒は内部熱交換器15で蒸発し、室内熱交換器12の出口部に合流する。内部熱交換器14で冷却された液冷媒の他の一部は、内部熱交換器15で冷却されずに室内ユニット200a、200bに流入する。ここで、電子膨張弁16や17の開度は、内部熱交換器14や15の低圧側出口部の過熱度が適切な値(例えば、過熱度5〜10℃)となるように制御される。過熱度の演算方法は、例えば内部熱交換器14や15の低圧側の出入口部にサーミスターを設置し(入口側をTH1、出口側をTH2とする)、その差から過熱度SHを算出する(SH=TH2−TH1)ようにすれば良い。
この例では、内部熱交換器14、15の低温熱源として、液配管52の一部を電子膨張弁16、17で減圧した気液二相冷媒を利用する。したがって、第1圧縮機1や第2圧縮機10の吸入温度を上昇させることなく、蒸発器のエンタルピー差を拡大することができ、低蒸発温度で運転される低段側(潜熱処理側)の冷媒流量Gr2(圧縮仕事)を低減し、低蒸発温度での低効率運転を極力低減することができる。図4では、内部熱交換器15が室内熱交換器12の入口部を冷却する例を示したが、図1と同様に内部熱交換器14を通過した主流冷媒を冷却することもできる。なお、図4に示す暖房運転では、電子膨張弁16、17を全閉とし、内部熱交換器14、15を利用しない。
さらに、他の構成例として、熱源側熱交換器3の出口部を散水により冷却する例を図5に基づいて説明する。図5では、室外ユニット100内の熱源側熱交換器3を2つに分け、送風機からの送風に対し風下側に配置される熱交換器を3a、風上側に配置される熱交換器を3bとする。圧縮機1で吐出された冷媒は、熱交換器3aを最初に通過し、つぎに熱交換器3bを通る。一方、給水42として供給される低温の水をノズル41から熱交換器3bへ向けて噴射し、熱源側熱交換器の出口部3bを冷却する。このように、散水により放熱器となる熱交換器の出口部を冷却し、熱交換器の出口温度を低下させて効率を向上することができる。このノズル41からの散水は圧縮機の運転動作に連動させ、あるいは熱交換器3bの冷媒温度、高圧圧力、外気温度を検出して、あるいは室内機の制御動作に対応して行うことにすれば更に有効となる。
図6は、熱源側熱交換器3の出口部を散水により冷却する他の例である。図6では、風下側に配置される列を3a、風上側に配置される列を3bとし、風の流れ方向と対向的に冷媒を流し、風上側に配置される列を散水により冷却する構成である。この構成では、風上側の列に配置される伝熱管が散水により冷却され、風下側の列に配置される伝熱管は空気による冷却となるため、風上側の列と風下側の列とで冷媒の温度差が大きくなる。このような場合、図7に示すように風上側の列と風下側の列の間に熱伝導による熱移動を遮断する熱遮断スリット43を設けるようにすれば、列間の温度差で生じる熱損失を防止することができる。なお、図6や図7では、列数が2列の場合を示したが、3列以上であっても同様の効果を得ることができる。この様に図5の様に伝熱管とフィンからなる熱交換器を複数に分離した構造、あるいは図6の様に伝熱管内を流れる冷媒の流を入口側と出口側の様に複数に分離させ一体のフィンを使用する構造、のいずれであっても熱源側熱交換器の冷媒出口側に散水させて効率を向上させるものである。
この様に、熱源側熱交換器の出口部に水を噴霧することで冷媒温度を低下させ、蒸発器内のエンタルピー差を拡大して性能を向上することができる。二酸化炭素は、放熱器出口部の比熱がHFC系の冷媒に比べて大きく、散水の効果はHFC系に比べて大きくなる。この散水による性能向上策は、外気処理ユニット300や室内ユニット200の構成に無関係であり、様々な冷媒回路構成に広く適用することができる。したがって、図1や図4で示される内部熱交換器14、15を直列に接続し、散水と内部熱交換器を併用することも可能である。したがって2段圧縮を使用しなくとも、あるいは潜熱と顕熱に分けて処理する冷凍サイクルでない冷凍サイクルに対しても超臨界状態となる冷媒を使用するサイクルには効率向上となる。ところで、内部熱交換器は冷媒同士が熱交換する形式であるから、例えば二重管熱交換器が用いられ、室内熱交換器200a、200bにおける熱交換量の0〜20%程度の熱交換量が得られるようにすると良い。熱交換器の形態は、二重管熱交換器に限られるものではなく、例えばプレート熱交換器や扁平管を貼り合せた形状の熱交換器を用いても良い。
以上のように本実施の形態では、冷房運転時に2つの異なる蒸発温度を、暖房運転時に2つの異なる凝縮温度を生成する2段圧縮式の冷凍サイクル装置に対し、冷房運転時に内部熱交換器を用いて高効率な冷凍サイクル装置を提供することができる。また、放熱器の出口部に2つの内部熱交換器が直列に設けられ、上流側の内部熱交換器が顕熱負荷を処理する蒸発温度の高い室内熱交換器5a、5bの低圧冷媒で、下流側の内部熱交換器が潜熱負荷を処理する蒸発温度の低い室内熱交換器12の低圧冷媒でそれぞれ冷却される。したがって、熱の段階的な(カスケード)利用が可能となり、高効率な冷凍サイクル装置を提供できる。また、内部熱交換器14、15を直列接続しているため、蒸発器のエンタルピー差をΔH1からΔH2まで増加させることができ、低段側(潜熱処理側)の冷媒流量Gr2(圧縮仕事)を低減し、低蒸発温度での運転を極力低減して高効率な冷凍サイクル装置を提供することができる。さらに、熱源側熱交換器の出口部に水を噴霧することで冷媒温度を低下させ、エンタルピー差を拡大して性能を向上できる。内部熱交換器を併用することで更に高効率な空調機を得ることができる。
次に本発明の冷凍サイクル装置の構成であって別の効率向上対策を行う構成例について説明する。図8は、図1、図4とは異なる冷凍サイクル装置を示す模式図で、図8において、冷房運転時は2つの異なる蒸発温度で運転し、暖房運転時は通常の暖房運転を行うエジェクタ利用型の冷凍サイクル装置である。冷房運転時には低段側のエジェクタ20で潜熱負荷を処理し、高段側の第1圧縮機1で顕熱負荷を処理する。本冷凍サイクル装置は、熱源側ユニットである室外ユニット100、第1負荷側ユニットである室内200a、200b、外気処理ユニット300、室外ユニット100と外気処理ユニット300とを接続する液配管52およびガス配管51、外気処理ユニット300と室内ユニット200a、200bとを接続する配管より構成されている。内部には冷媒として例えば臨界温度(約31℃)以上で超臨界状態となる二酸化炭素が封入されている。
室外ユニット100内には、第1圧縮機1、冷房運転と暖房運転との第1冷媒流路切換え手段である四方弁2、熱源側熱交換器である室外熱交換器3、外気を強制的に室外熱交換器3の外表面に送風するための図示しない送風機が収納されている。外気処理ユニット300内には、冷媒を減圧して二相状態の湿り蒸気とするエジェクタ20、第2負荷側熱交換器である室内熱交換器12、減圧手段である電子膨張弁13、気液分離器19、気液分離器19で分離されたガス冷媒を第3熱交換器である室内熱交換器18と減圧手段である電子膨張弁32を介してガス配管51へ導くバイパス流路、およびこれらを接続するための配管が内蔵されている。室内熱交換器18は、気液分離器19での分離が不十分な場合に第1圧縮機1への液戻りを防止するために設けたもので、気液分離器19からの未蒸発液が室内熱交換器18で蒸発する。四方弁2の第1口2aは圧縮機1の吐出側と、第2口2bは室外熱交換器3の一端と、第3口2cは圧縮機1の吸入側と、第4口2dはガス配管51とそれぞれ接続されている。
室内ユニット200a、200bには、第1負荷側熱交換器である室内熱交換器5a、5b、室内熱交換器へ供給する冷媒を減圧する電子膨張弁4a、4b、室内空気を強制的に室内熱交換器5a、5b、の外表面に送風するための図示しない送風機およびそれらを接続するための配管が内蔵されている。室内熱交換器5a、5b、の一端は外気処理ユニット300と接続され、他端は電子膨張弁4a、4b、を介して外気処理ユニット300に接続されている。なお、本実施の形態では、室内ユニット200a、200bを2台としているが、1台あるいは3台以上としても良い。
外気処理ユニット300内には、エジェクタ20、第2負荷側熱交換器である室内熱交換器12、開度変更可能な第2減圧手段である電子膨張弁13、およびこれらを接続するための配管が内蔵されている。
つぎに、エジェクタ20の内部構造図を図9に示す。エジェクタは圧力エネルギーをノズル部にて運動エネルギーに変換し、吸引流を吸引して圧縮機の吸入圧力を上昇させるという圧縮仕事をする膨張動力の回収手段である。図9に示すように、ノズル部、混合部、ディフューザ部から構成される。ノズル部では、流量Gn、圧力Pcの高圧流体(駆動流)が減圧され、速度が増大する。駆動流はノズル喉部で音速となり、ノズルの末広部で超音速にまで加速・膨張し、ノズル出口部に達する(圧力Ps、流速Vn)。混合部において、ノズル出口部から噴出された駆動流(流速Vn)は、吸引部からガス冷媒を吸引し、吸引流(流速Ve)との混合により減速されて圧力がPmixまで回復する。さらに、冷媒はディフューザ部で圧力がPDまで回復してエジェクタを流出する。エジェクタ20は内部の開度がニードルにより、変更可能な構成となっている。
上記のように構成された冷凍サイクル装置について、つぎに運転動作を説明する。初めに冷房運転を行う場合を図8、図10に基づいて説明する。図10は、図8の冷媒回路中に示した記号A〜Kにおける冷媒状態をP−h線図上に示したものである。冷房運転では、室内ユニット200a、200b内の室内熱交換器5a、5bは蒸発温度が高く設定され、空調対象空間の顕熱負荷が主に処理される。一方、外気処理ユニット300内の室内熱交換器12は蒸発温度が低く設定され、空調対象空間の潜熱負荷が主に処理される。
冷房運転では、室外ユニット100内部の四方弁2は第1口2aと第2口2bが連通し、第3口2cと第4口2dが連通するように設定される(図8中実線)。また、外気処理ユニット300内の電子膨張弁32は気液分離器19内に安定して液面が形成される開度に設定され、電子膨張弁13の開度は室内熱交換器12の出口部に適切な過熱度(例えば、5〜10℃)が得られるように調整される。気液分離器19内に安定して液面が形成される電子膨張弁32の開度は、気液分離器19に流入する冷媒の乾き度から求まるガス流量が流れる開度として求められる。実際には、圧縮機の回転数、吸入温度、吸入圧力から全冷媒流量を求め、冷媒の温度・圧力条件から乾き度を求めてガス流量を推定し、電子膨張弁32の前後の圧力差を検知して、ガス流量と圧力差から開度を算出するようにすれば良い。また、外気温度、室内温度などの環境条件や、圧縮機の回転数、冷媒の圧力・温度条件などの運転状態と、開度の関係を実験や計算によって予め求めておき、その開度に設定するようにしても良い。室内ユニット200a、200b内の電子膨張弁4a、4bの開度は、室内熱交換器5a、5bの出口部に適切な過熱度(例えば、5〜10℃)が得られるように調整される。
このとき、第1圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2の第1口2aから第2口2bを通って(状態B)、室外熱交換器3で被加熱媒体である空気に放熱し(状態C)、液配管52、エジェクタ20で減圧され(状態D)、気液分離器19に流入する。気液分離器19に流入した気液二相冷媒は、ガス冷媒(状態E)と液冷媒に分離される。
分離されたガス冷媒は、室内熱交換器18を通って電子膨張弁32で減圧され、ガス配管51の入口部に合流する(状態I)。一方、分離された液冷媒の一部は、電子膨張弁13で更に減圧され(状態J)、室内熱交換器12に流入し、空調対象空間の潜熱負荷を処理した後、エジェクタ20に吸引される。
分離された液冷媒の他の一部は、室内ユニット200a、200bに流入し(状態F)、電子膨張弁4a、4bで減圧されて気液二相冷媒となる(状態G、圧力Pe)。この気液二相冷媒は、室内熱交換器5a、5bで、図示しない室内空気から吸熱し、自らは蒸発気化する(状態H)。この低温低圧のガス冷媒(状態H)は、外気処理ユニット300内で電子膨張弁32からの冷媒と合流する(状態I)。合流した冷媒は、ガス配管51、四方弁2の第4口2dから第3口2cを経て、第1圧縮機1の吸入側へ戻る(状態A)。この時、図示しない室内送風機によって室内熱交換器5a、5bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の液冷媒により冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。
図8の構成の例では、図1などに示した第2圧縮機10の圧縮動力の代わりに、エジェクタ20で回収した回収動力を用いることで、消費電力を低減することができる。また、図11の構造図に示すように、熱交換器12および熱交換器18を一体構造とすることもできる。図11では、熱交換器の風上側の列を熱交換器18、風下側の列を熱交換器12とし、風上側の熱交換器18で気液分離器19からの未蒸発液を蒸発させ、風下側の熱交換器12で空気の潜熱負荷を処理するように構成している。このように、熱交換器12と熱交換器18を一体構造とすることで、外気処理ユニット300をコンパクトに構成することができる。
つぎに、暖房運転について図8に基づいて説明する。暖房運転時は、第1圧縮機1による単段での暖房運転を行う。この場合、室外ユニット100内部の四方弁2は第1口2aと第4口2dが連通し、第2口2bと第3口2cが連通するように設定される(図8中の点線)。また、外気処理ユニット300内の電子膨張弁32、電子膨張弁13は全閉される。室内ユニット200内の電子膨張弁4a、4bの開度は、室内熱交換器5a、5bの出口部が室内温度に応じた適切な温度となるように調整される。
このとき、第1圧縮機1で圧縮され高温高圧の超臨界状態となった冷媒は四方弁2の第1口2aから第4口2d、ガス配管51を経て外気処理ユニット300に流入する。外気処理ユニット300に流入した高温高圧の冷媒は、室内ユニット200a、200bに流入する。ここで、図示しない室内空気に放熱して室内を暖房すると共に自らは温度が低下する。この中温高圧の冷媒は、電子膨張弁4a、4bで若干減圧され、外気処理ユニット300に流入する。外気処理ユニット300に流入した中温高圧冷媒は、気液分離器19を通り、エジェクタ20で減圧され、液配管52を通過して室外熱交換器3に流入する。
室外熱交換器3に流入した低温低圧の液冷媒は、図示しない室外送風機によって送り込まれる外気から吸熱するとともに自らは蒸発する。蒸発したガス冷媒は、四方弁2の第2口2bから第3口2cを経て第1圧縮機1の吸入側へ戻る。
ところで、外気処理ユニット300と室内ユニット200は一体構造とすることもできる。即ち一つの箱体の中に各熱交換器5、18、12を纏めて収納し一つの送風手段である送風機の送風を各熱交換器に並列、あるいは直列あるいは直並列に通して空気を冷却したり加熱したり、あるいは除湿を行うなどの空調を行うことが出来る。図12は構造図で、顕熱処理を行う熱交換器5を風上側に配置し、潜熱処理を行う熱交換器12を風下側に配置している。さらに、熱交換器12と熱交換器18は一体構造であり、熱交換器18は風上側の列として、この結果潜熱処理を行う熱交換器12は最も風下側の列として配置される。このように、外気処理ユニット300と室内ユニット200を一体構造とした室内ユニット200とすることで、システムをコンパクトにすることができる。なお外気処理ユニット300という名称は室外に配置され外気を処理して空調領域である室内ヘ空調された空気を吹出す構成が可能であることからつけられている。但し、図12の様に一体型の熱交換器構成とする場合は室内の空気を吸込んで室内へ吹出す、即ち空調領域に設けられた室内機の内部に設けることが出来る。この様に室内ユニットとして熱交換器を分離したままあるいは伝熱管への冷媒の流を分離させた構造で一体型熱交換器構成とすることが出来る。
ところで、上述の室内ユニット200あるいは室内ユニット200a、200b内の顕熱負荷の処理を行う熱交換器5では、通常の冷房運転で見られる結露水が発生しない。従って、結露水を受ける皿(ドレンパン)やドレン配管が不要となる。また、結露水が発生しないため、従来空調用として使用することが難しかった特殊な形態の熱交換器を採用することが可能となる。図13はその一例であり、伝熱管45に扁平管熱交換器を、フィンにスリット付きのコルゲートフィン46を用いるコルゲートフィンチューブ熱交換器を示す構造図である。扁平管45には内部に複数の冷媒流路が設けられている。従来は、冷房運転時に結露水が発生するため、コルゲートフィン46に結露水がトラップされ、熱交換器性能が低下する課題があり、フィンを上下方向に水が流れる様に取りつけたり、特殊な水路を設けたりするなどの検討が行われているが実用的な製品が得られていない。本構造の場合には、熱交換器5は顕熱のみを処理するため、結露水の排水性という従来の制約条件が不要となり、高性能な熱交換器を使用することができる。このような高性能な熱交換器を用いることで、熱交換器の外形寸法を小さくすることができる。言い換えれば、同一外形寸法の熱交換器を用いることで、蒸発温度を上昇させることができ、顕熱を処理するのに好適な熱交換器を提供することができる。
一方、熱交換器12は潜熱を処理するため、結露水の処理を行いやすいプレートフィンが上下方向に複数枚配置される構造などが採用される。また、ワイヤー状のフィンを細い伝熱管に巻きつけ、このワイヤー状フィンを斜めに張り巡らせ、結露水が流れやすい構造にすると良い。このように、顕熱を処理する熱交換器と潜熱を処理する熱交換器は、使用状況の違いから伝熱管の形状や寸法、フィン形状や寸法など全く異なるものの組合せにすることができ、組合せ接続部に特別な配慮は不要で単純に風上側、風下側の順で配置すれば良い。
以上のように本実施の形態では、冷房運転時に2つの異なる蒸発温度を生成する2段圧縮式の冷凍サイクル装置において、冷房運転時にエジェクタを用い、高効率な冷凍サイクル装置を提供することができる。すなわち、潜熱負荷を処理する第2圧縮機10の代わりにエジェクタ20での回収動力を用いることができ、第2圧縮機10の消費電力が削減され、高効率な冷凍サイクル装置を提供することができる。
以下、本発明の別の冷凍サイクル装置について説明する。図14は、本発明のこの冷凍サイクル装置を示す模式図で、図14において、冷房運転時は2つの異なる蒸発温度で運転し、暖房運転時は2つの異なる高圧圧力で暖房運転を行う2段圧縮型の冷凍サイクル装置である。図8の構造と異なる点は、冷房運転時にはエジェクタ20で潜熱負荷を処理し、高段側の第1圧縮機1で顕熱負荷を処理するが、潜熱負荷が大きい場合には、エジェクタ20で処理できない潜熱負荷を低段側の第2圧縮機10で処理することができる点である。図8と異なるのは開閉弁31を設けている点であり、冷房時は開放され、暖房時は閉止される。その他は図8の構造とほぼ同一であるため、詳細な説明を省略する。
冷房運転では、室外ユニット100内部の四方弁2は第1口2aと第2口2bが連通し、第3口2cと第4口2dが連通するように設定される(図14中実線)。また、外気処理ユニット300内の四方弁10は、第1口11aと第4口11dが連通し、第2口11bと第3口11cが連通するように設定される(図14中実線)。電子膨張弁32は気液分離器19内に安定して液面が形成される開度に設定され、開閉弁31は全開とする。電子膨張弁13の開度は室内熱交換器12の出口部に適切な過熱度(例えば、5〜10℃)が得られるように調整される。室内ユニット200内の電子膨張弁4a、4bの開度は、室内熱交換器5a、5bの出口部に適切な過熱度(例えば、5〜10℃)が得られるように調整される。第2圧縮機の周波数は、潜熱負荷の不足分が処理できる適切な回転数に設定され、エジェクタ20の吸引部に設けられた開閉弁31は開放される。
このとき、第1圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2の第1口2aから第2口2bを通って(状態B)、室外熱交換器3で被加熱媒体である空気に放熱し(状態C)、液配管52、エジェクタ20で減圧され(状態D)、気液分離器19に流入する。気液分離器19に流入した気液二相冷媒は、ガス冷媒(状態E)と液冷媒に分離される。分離されたガス冷媒は、室内熱交換器18を通って電子膨張弁32で減圧され、第2圧縮機10の吐出部に合流する。一方、分離された液冷媒の一部は、電子膨張弁13で減圧されて室内熱交換器12に流入し(状態J)、空調対象空間の潜熱負荷を処理した後、開閉弁31を通過し、エジェクタ20に吸引される。潜熱負荷が大きい場合、室内熱交換器12を通過する冷媒の一部は、四方弁11の第2口11bから第3口11cを通って第2圧縮機10に吸入され、第1口11aから第4口11dを通って電子膨張弁32からの冷媒と合流し、その後ガス配管51の入口部に合流する(状態I)。
分離された液冷媒の他の一部は、室内ユニット200a、200bに流入し(状態F)、電子膨張弁4a、4bで各室内熱交換器5a、5bに均等に分配される(状態G)。分配された液冷媒は、室内熱交換器5a、5bで図示しない室内空気から吸熱し、自らは蒸発気化する(状態H)。この低温低圧のガス冷媒は、外気処理ユニット300内で潜熱負荷を処理した冷媒および電子膨張弁32を通過した冷媒と合流する(状態I)。合流した冷媒は、ガス配管51、四方弁2の第4口2dから第3口2cを経て、第1圧縮機1の吸入側へ戻る(状態A)。この時、図示しない室内送風機によって室内熱交換器5a、5bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の液冷媒により冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。
図14の構成では、図1に示した第2圧縮機10の圧縮動力の代わりに、エジェクタ20での回収動力を用いることで、消費電力を低減することができる。また、潜熱負荷をエジェクタ20と低段側の第2圧縮機10の両方で処理するように構成したので、大きな潜熱負荷に対応することができる。第2圧縮機10の駆動は、つぎのように行う。すなわち、外気処理ユニット300は、吹き出し空気温度・相対湿度検知部および制御部を備え、検知結果に基づいて、室内空間に供給される外気の絶対湿度を算出する。一方、室内ユニット200は、吸込み空気温度・相対湿度検知部を備え、その検知結果に基づいて室内空間の絶対湿度を算出する。外気処理ユニットで算出された絶対湿度が室内ユニットで演算された絶対湿度よりも大きい場合、潜熱負荷が大きいと判断し、外気処理ユニットの制御部から第2圧縮機10の起動指令が行われる。第2圧縮機10の回転数は、上記の絶対湿度の差に基づいて、例えば比例制御が実行される。
つぎに、暖房運転について説明する。暖房運転時は、第1圧縮機1および第2圧縮機10を用いた2つの異なる高圧圧力での暖房運転を行う。この場合、室外ユニット100内部の四方弁2は第1口2aと第4口2dが連通し、第2口2bと第3口2cが連通するように設定される(図14中の点線)。また、外気処理ユニット300内部の四方弁11は第1口11aと第2口11bが連通し、第3口11cと第4口11dが連通するように設定される。また、外気処理ユニット300内の開閉弁31は閉止され、電子膨張弁32は全閉される。電子膨張弁13の開度は室内熱交換器12の出口部に室内温度に応じた適切な温度となるように調整され、室内ユニット200内の電子膨張弁4a、4bの開度は、室内熱交換器5a、5bの出口部が室内温度に応じた適切な温度となるように調整される。
このとき、第1圧縮機1で圧縮され高温高圧の超臨界状態となった冷媒は、四方弁2の第1口2aから第4口2d、ガス配管51を経て外気処理ユニット300に流入する。外気処理ユニット300に流入した高温高圧の冷媒の一部は、室内ユニット200a、200bに流入する。ここで、図示しない室内空気に放熱して室内を暖房すると共に自らは温度が低下する。この中温高圧の冷媒は、電子膨張弁4a、4bを通過して外気処理ユニット300に流入する。外気処理ユニット300に流入した冷媒は、電子膨張弁13からの冷媒と合流し、気液分離器19を通過してエジェクタ20で減圧され、液配管52を通過して室外熱交換器3に流入する。
一方、他の一部は、四方弁11の第4口11d、第3口11cを通過し、第2圧縮機10で更に圧縮され、四方弁11の第1口11a、第2口11bを経て室内熱交換器12に流入する。室内熱交換器12で放熱した冷媒は電子膨張弁13で減圧され、電子膨張弁4a、4bから外気処理ユニット300に流入した冷媒と合流する。
室外熱交換器3に流入した低温低圧の液冷媒は、図示しない室外送風機によって送り込まれる外気から吸熱するとともに自らは蒸発する。蒸発したガス冷媒は、四方弁2の第2口2bから第3口2cを経て第1圧縮機1の吸入側へ戻る。
以上のように本構成では、冷房運転時に2つの異なる蒸発温度を生成する2段圧縮式の冷凍サイクル装置において、冷房運転時にエジェクタを用い、高効率な冷凍サイクル装置を提供することができる。また、エジェクタでの回収動力で潜熱負荷を処理できない場合に、第2圧縮機10を加えたアシスト運転を行うことができ、広範囲の除湿負荷に対応可能な冷凍サイクル装置を提供できる。したがって、二酸化炭素を用いた場合にも効率の低下を抑制することができる。
以下、本発明の別の冷凍サイクル装置について説明する。図15は、この冷凍サイクル装置を示す模式図で、図15において、冷房運転時は2つの異なる蒸発温度で運転し、暖房運転時は2つの異なる高圧圧力で運転する膨張機利用型の冷凍サイクル装置であり、第2圧縮機10は膨張機22の回収動力により駆動される。冷房運転時には低段側の第2圧縮機10で潜熱負荷を処理し、高段側の第1圧縮機1で顕熱負荷を処理する。本冷凍サイクル装置は、熱源側ユニットである室外ユニット100、第1負荷側ユニットである室内200a、200b、第2負荷側ユニットである外気処理ユニット300、室外ユニット100と外気処理ユニット300とを接続する液配管52およびガス配管51、外気処理ユニット300と室内ユニット200a、200bとを接続する配管より構成されている。内部には冷媒として例えば臨界温度(約31℃)以上で超臨界状態となる二酸化炭素が封入されている。
室外ユニット100内には、第1圧縮機1、冷房運転と暖房運転との第1冷媒流路切換え手段である四方弁2、熱源側熱交換器である室外熱交換器3、外気を強制的に室外熱交換器3の外表面に送風するための図示しない送風機が収納されている。外気処理ユニット300内には、冷媒を減圧して二相状態の湿り蒸気とする膨張機22、膨張機22の冷媒流れ方向を制御する四方弁21、冷房運転と暖房運転との第2流路切換え手段である四方弁11、第2負荷側熱交換器である室内熱交換器12、減圧手段である電子膨張弁13、気液分離器19、気液分離器19で分離されたガス冷媒を、第3熱交換器18および電子膨張弁32を介して第2圧縮機10の吐出部へと導くバイパス流路、膨張機22の回収動力と回転数を第2圧縮機10の圧縮動力と回転数に合わせるための開度変更可能な電子膨張弁33、34およびこれらを接続するための配管が内蔵されている。四方弁21の第1口21aは液配管52と、第2口21bは膨張機22の入口部と、第3口21cは室内ユニット200a、200bの一端と、第4口21dは気液分離器19の液側出口の電子膨張弁34と接続される。他の四方弁2、11の設定は実施の形態2と同様であるため詳細な説明を省略する。
室内ユニット200a、200bには、第1負荷側熱交換器である室内熱交換器5a、5b、室内熱交換器へ供給する冷媒を減圧する電子膨張弁4a、4b、室内空気を強制的に室内熱交換器5a、5b、の外表面に送風するための図示しない送風機およびそれらを接続するための配管が内蔵されている。室内熱交換器5a、5bの一端は外気処理ユニット300と接続され、他端は電子膨張弁4a、4b、を介して外気処理ユニットに接続されている。
上記のように構成された冷凍サイクル装置について、つぎに運転動作を説明する。初めに冷房運転を行う場合を図15、図16に基づいて説明する。図16は、図15の冷媒回路中に示した記号A〜Lにおける冷媒状態をP−h線図上に示したものである。冷房運転では、室内ユニット200a、200b内の室内熱交換器5a、5bは蒸発温度が高く運転され、空調対象空間の顕熱負荷が主に処理される。一方、外気処理ユニット300内の室内熱交換器12は蒸発温度が低く運転され、空調対象空間の潜熱負荷が主に処理される。
冷房運転では、室外ユニット100内部の四方弁2は第1口2aと第2口2bが連通し、第3口2cと第4口2dが連通するように設定される(図15中実線)。また、外気処理ユニット300内の電子膨張弁32は気液分離器19内に安定して液面が形成される開度に設定され、電子膨張弁13の開度は室内熱交換器12の出口部に適切な過熱度(例えば、5〜10℃)が得られるように調整される。室内ユニット200内の電子膨張弁4a、4bの開度は、室内熱交換器5a、5bの出口部に適切な過熱度(例えば、5〜10℃)が得られるように調整される。膨張機22をバイパスするように設けられた電子膨張弁33の開度および気液分離器19の下流側に設けられた電子膨張弁34の開度は、膨張機22と第2圧縮機10の回転数および動力が一致するように調節される。
具体的には、膨張機22を通過する冷媒流量をGr、膨張機22出入口でのエンタルピー差をΔH1とすれば、膨張機22での回収動力Weは以下の(1)式で表される。
We=Gr×ΔH1 (1)
同様に第2圧縮機での圧縮仕事W2は、冷媒流量をGr2、第2圧縮機10でのエンタルピー差をΔH2とすれば、以下の(2)式で表される。
W2=Gr2×ΔH2 (2)
回収動力が第2圧縮機10での圧縮仕事に等しい(We=W2)ことから、(1)、(2)式より、(3)式が得られる。
Gr2=Gr×(ΔH1/ΔH2) (3)
ここで、(3)式中のΔH1/ΔH2は、圧縮機のエンタルピー差に対する膨張機のエンタルピー差の比である。
一方、膨張機22と第2圧縮機10は、同軸で接続されており、第2圧縮機10は膨張機22と同一回転数で回転する。一例として、膨張機22と第2圧縮機10を両方とも押しのけ容積が一定の容積型流体機械であるスクロール型とし、それぞれの押しのけ容積比をε(=第2圧縮機排除容積/膨張機排除容積=Vc/Ve)とし、膨張機22と第2圧縮機10の吸入密度をそれぞれρe、ρcとすれば、回転数一定の条件から(4)式が得られる。
Gr2=Gr×ε×(ρc/ρe) (4)
(3)、(4)式より、(5)式が得られる。
ρc/ρe=(ΔH1/ΔH2)/ε (5)
以上から、第2圧縮機10の吸入密度ρc、エンタルピー差ΔH2、膨張機10の吸入密度ρe、出入口エンタルピー差ΔH1、ε(=Vc/Ve)のいずれかを(5)式が成立するように制御する必要がある。例えば、膨張機22に電子膨張弁33を設け、膨張機22を通過する流量を制御するようにすれば良い。これは(5)式のεを調整することに相当する。なお、ρcやρe、ΔH1やΔH2は冷媒回路の圧力、温度を検知することにより、冷媒の物性式を用いて容易に推定することができる。
電子膨張弁33の開度の調節のみで(5)式が成立せず、膨張機22の回収動力と第2圧縮機10の圧縮動力にアンバランスが生じた場合、電子膨張弁34の開度を(5)式が成立するように適正に制御する。すなわち、(5)式が成立するように電子膨張弁34の開度を調整し、膨張機出口部と蒸発器入口部との圧力差ΔPeを調整する。
本実施の形態では、電子膨張弁34の開度を調整して、(5)式を成立させる例を示したが、これに限るものではなく、室内ユニット200a、200b内の電子膨張弁4a、4bの開度を調整して(5)式を成立させるように構成しても良い。
このとき、第1圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2の第1口2aから第2口2bを通って(状態B)、室外熱交換器3で被加熱媒体である空気に放熱し(状態C)、液配管52を通過して四方弁21の第1口21aから第2口21bを通り、膨張機22で減圧され(状態D)、気液分離器19に流入する。気液分離器19に流入した気液二相冷媒は、ガス冷媒(状態E)と液冷媒に分離される。分離されたガス冷媒は、室内熱交換器18を通って電子膨張弁32で減圧され、第2圧縮機10の吐出部に合流する。一方、分離された液冷媒は、電子膨張弁34である程度減圧され、四方弁21の第4口21dから第3口21cを通過し(状態F)、一部は電子膨張弁13でさらに減圧され(状態J)、室内熱交換器12に流入し、空調対象空間の潜熱負荷を処理した後(状態K)、四方弁11の第2口11bから第3口11cを通って第2圧縮機10に吸引される。
分離された液冷媒の他の一部は、室内ユニット200a、200bに流入し(状態F)、電子膨張弁4a、4bで各室内熱交換器5a、5bに均等分配される(状態G)。分配された冷媒は、室内熱交換器5a、5bで、図示しない室内空気から吸熱し、自らは蒸発気化する(状態H)。この低温低圧のガス冷媒(状態H)は、外気処理ユニット300内において第2圧縮機10から吐出された冷媒および電子膨張弁32からの冷媒と合流する(状態I)。合流した冷媒は、ガス配管51、四方弁2の第4口2dから第3口2cを経て、第1圧縮機1の吸入側へ戻る(状態A)。この時、図示しない室内送風機によって室内熱交換器5a、5bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の液冷媒により冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。
以上の様に、第2圧縮機10の圧縮動力として膨張機22で回収した回収動力を利用するため、2段圧縮方式に比べて低段側の圧縮動力を削減でき、消費電力を低減することができる。
つぎに、暖房運転について説明する。暖房運転時は、第1圧縮機1および第2圧縮機10を用いた2種類の高圧圧力での暖房運転を行う。暖房運転時では、室外ユニット100内部の四方弁2は第1口2aと第4口2dが連通し、第2口2bと第3口2cが連通するように設定される(図15中の点線)。また、外気処理ユニット300内の四方弁11は第1口11aと第2口11bが連通し、第3口11cと第4口11dが連通するように設定される。電子膨張弁32は全閉され、電子膨張弁13は室内熱交換器12の出口部が室内温度に応じた適切な温度となる開度に設定される。室内ユニット200内の電子膨張弁4a、4bの開度も同様に、室内熱交換器5a、5bの出口部が室内温度に応じた適切な温度となるように調整される。
このとき、第1圧縮機1で圧縮され高温高圧の超臨界状態となった冷媒は、四方弁2の第1口2aから第4口2d、ガス配管51を経て外気処理ユニット300に流入する。外気処理ユニット300に流入した高温高圧の冷媒の一部は、室内ユニット200a、200bに流入する。ここで、図示しない室内空気に放熱して室内を暖房すると共に自らは温度が低下する。この中温高圧の冷媒は、電子膨張弁4a、4bを通過して外気処理ユニット300に流入する。外気処理ユニット300に流入した冷媒は、電子膨張弁13からの冷媒と合流し、四方弁21の第3口21cから第2口21bを通り、膨張機22に流入する。膨張機22で減圧された冷媒は、気液分離器19に流入し、電子膨張弁34を通って四方弁21の第4口21dから第1口21aを経て液配管52を通過し、室外熱交換器3に流入する。
一方、ガス配管51を通過した他の一部は、四方弁11の第4口11d、第3口11cを通過し、第2圧縮機10で更に圧縮され、四方弁11の第1口11a、第2口11bを経て室内熱交換器12に流入する。室内熱交換器12で放熱した冷媒は電子膨張弁13で減圧され、電子膨張弁4a、4bから外気処理ユニット300に流入した冷媒と合流する。
室外熱交換器3に流入した低温低圧の液冷媒は、図示しない室外送風機によって送り込まれる外気から吸熱するとともに自らは蒸発する。蒸発したガス冷媒は、四方弁2の第2口2bから第3口2cを経て第1圧縮機1の吸入側へ戻る。
以上のように本実施の形態では、冷房運転時に2つの異なる蒸発温度を生成する2段圧縮式の冷凍サイクル装置において、断熱熱落差の大きな二酸化炭素冷媒を用いるとともに、高圧ガス側の膨張動力を回収し、即ち図14のエジェクタでは高圧ガス駆動流を使用し第2負荷熱交換器からの冷媒を昇圧し、図15では膨張機22での回収動力を用いて低段側となる第2圧縮機10を駆動し第2負荷側熱交換器の冷媒を昇圧するので、第2圧縮機10の圧縮動力等が不要となり、高効率な冷凍サイクル装置を提供することができる。また、暖房運転時にも高段側となる第2圧縮機10の圧縮動力を削減できるので、二酸化炭素を用いた場合にも効率の高い空調機を提供することができる。図8、図14、図15のサイクルの説明ではそれぞれの負荷側熱交換器を分離した形で説明し、更に負荷装置としても外気処理ユニット、室内ユニットの様に違うものとして説明してきたが、これらはそれぞれ別の負荷装置として異なる場所、例えば室外と室内に配置されても良いし、一つの装置として一つの箱体、例えば壁掛け室内機、天井埋め込みカセット式空調機、床置き型室内機などの構造としても何ら構わない。その場合、各膨張弁、開閉弁、エジェクタ、膨張機、第2圧縮機などの冷媒サイクルを形成する部品はその箱体に収納しても良いし、別に設けても良い。
なお、本発明の図15の例では、第2圧縮機10の圧縮動力が第1圧縮機1の圧縮動力と連動しているため、潜熱負荷が増加した場合に第2圧縮機の回転数のみを増加させて潜熱負荷を処理することができない。すなわち、潜熱負荷の増加に伴って第1圧縮機の回転数を増加させるため、同時に顕熱処理能力も増加させることになる。しかし、事前にある程度の空調負荷(顕熱負荷と潜熱負荷の比率の変動幅)の予測が可能な場合は本システムを適用することで冷媒回路が簡素化でき、消費電力を低減することができる。
ところで、以上の説明において、冷房運転時に室外熱交換器3の出口部を散水により冷却し、高性能化を図る例を示したが、同様に暖房運転時に室内熱交換器5a、5bや室内熱交換器12の出口部を給水により冷却し、高性能化と高機能化を実現することもできる。図17は暖房運転時に室内熱交換器12の出口部に過冷却熱交換器53を設け、室内熱交換器12を出た冷媒を過冷却熱交換器53で冷却すると同時に、冷熱源として供給される水の温度を上昇させる例である。供給される水は加湿装置への給水であり、加湿装置は冬季などの暖房運転時に稼動する。本発明の構成によれば、加湿装置に供給する供給水を冷媒で予熱することができるので、加湿装置の加湿量(水の蒸発量)を増加させることができる。あるいは、従来は給水の予熱に要していた加湿装置のヒーター入力を低減し、省エネ効果を得ることができる。具体的には、図17に示すように、暖房時に高圧側となる室内熱交換器12と電子膨張弁13との間に過冷却熱交換器53が設けられ、室内空気の出口側には気化式加湿装置が設けられている。
過冷却熱交換器53の冷熱源には、加湿源となる給水タンク47へ供給する給水42を利用する。室内熱交換器12を通過した冷媒は、過冷却熱交換器53で給水42により冷却され、電子膨張弁13に流入する。一方、給水42は、過冷却熱交換器53で温度が上昇し、給水タンク47へ流入する。給水タンク47には加湿エレメント48が設置されており、室内空気は室内熱交換器12で熱を受けて温度が上昇した後、加湿エレメント48で蒸発した水分を伴い湿度が上昇して室内へ吹出される。このとき、本発明では、給水タンク47と加湿エレメント48内の水温度を上昇させることができ、飽和絶対湿度を増加させて加湿量を増加させることができる。
以上から、暖房運転時の加湿量の増大と、室内熱交換器12の出口部の冷却による性能向上を同時に実現することができ、高性能かつ高機能な冷凍サイクル装置を得ることができる。なお、上記では気化式加湿装置の例を示したが、これに限るものではなく、ヒーターで水温度を上昇させて加湿するヒーター式の加湿装置にも適用することができる。この場合には、所定の加湿量を得るために必要なヒーターの消費電力を低減することができる。また、凝縮器である室内熱交換器12の出口部すなわち放熱器出口部を冷却しながら給水温度を上昇させる例を示したが、これに限るものではない。すなわち、加湿量を増加させたい場合は、給水を放熱器入口部と熱交換させる、あるいは放熱器入口部と出口部を必要に応じて同時にあるいは切換えて熱交換させるように構成し、給水温度を上昇させて加湿量を増加させるようにしても良い。これにより、給水を高温化させることができ、加湿に必要な消費電力を低減することができる。言いかえると暖房能力を多少落としても加湿させることが出来る。
以上の様にこの発明の図1、図4に示す冷凍サイクル装置は、冷却運転時に熱源側熱交換器の出口部を冷却する内部熱交換器を設けたため、二酸化炭素を用いた場合にも効率の高い冷凍サイクル装置を得ることができる。この様にこの発明では冷媒としてニ酸化炭素を例に説明してきたが、ニ酸化炭素を少なくとも一部に含む混合冷媒でも良いし、ハイドロフルオロカーボンのような冷媒でもエジェクタや膨張機で第2圧縮機を駆動する構成以外のもの、例えば内部熱交換器や散水により放熱器出口側の冷媒を冷却したり、潜熱の処理と顕熱の処理を区分けする冷凍サイクル構成などに対しては効率改善の効果が得られるものであり、特にニ酸化炭素冷媒に限定されないものであることは言うまでもない。
また、この発明の図5、図6などに係わる冷凍サイクル装置は、少なくとも第1圧縮機、熱源側熱交換器、第1負荷側熱交換器を配管で接続し、冷媒として二酸化炭素を用いるとともに、水を噴霧することにより熱源側熱交換器の出口部を冷却するようにしたので、二酸化炭素を用いた場合にも効率の高い冷凍サイクル装置を得ることができる。
また、この発明に係わる冷凍サイクル装置は、第1流路切換え手段、第2流路切換え手段、第2圧縮機、第2負荷側熱交換器を設け、冷却運転と加熱運転を切換え可能な冷凍サイクル装置において、冷媒として二酸化炭素を用いるとともに、冷却運転時に前記熱源側熱交換器の出口部を冷却する内部熱交換器を設けたため、二酸化炭素を用いた場合にも効率の高い冷凍サイクル装置を得ることができる。
また、この発明に係わる冷凍サイクル装置は、内部熱交換器が第1内部熱交換器と第2内部熱交換器の2つから構成され、第1内部熱交換器および第2内部熱交換器が直列に接続されるため、熱のカスケード利用を実現し、二酸化炭素を用いた場合にも効率の高い冷凍サイクル装置を提供することができる。
また、この発明に係わる冷凍サイクル装置は、冷却運転時に、第1内部熱交換器の冷熱源として第1負荷側熱交換器の低圧冷媒を用い、第2内部熱交換器の冷熱源として第2負荷側熱交換器の低圧冷媒を用いるため、熱のカスケード利用を実現し、二酸化炭素を用いた場合にも効率の高い冷凍サイクル装置を提供することができる。
また、この発明に係わる冷凍サイクル装置は、少なくとも第1圧縮機、第1流路切換え手段、熱源側熱交換器、エジェクタ、気液分離器、第1負荷側熱交換器、第2負荷側熱交換器を配管で接続して構成され、冷却および加熱運転が切換え可能な冷凍サイクル装置において、冷媒として二酸化炭素を用いるとともに、冷却運転時に低蒸発温度となる第2負荷側熱交換器の冷媒流量をエジェクタで吸引するため、第2圧縮機の動力が不要となり、効率の高い冷凍サイクル装置を得ることができる。
また、この発明に係わる冷凍サイクル装置は、第2圧縮機、第2流路切換え手段、第3流路切換え手段を設け、冷却運転時にはエジェクタでの回収動力を第2圧縮機の圧縮動力の補助として利用するため、広範囲の潜熱負荷に対応できる冷凍サイクル装置を得ることができる。
また、この発明に係わる冷凍サイクル装置は、少なくとも第1圧縮機、第1流路切換え手段、熱源側熱交換器、膨張機、膨張機で駆動される第2圧縮機、気液分離器、第1負荷側熱交換器、第2負荷側熱交換器を配管で接続して構成されるため、第2圧縮機の圧縮動力が削減でき、効率の高い冷凍サイクル装置を得ることができる。
また、この発明に係わる冷凍サイクル装置は、加熱運転時に、第1負荷側熱交換器あるいは第2負荷側熱交換器の出口部を水により冷却する一方、温度の上昇した温水を加湿源として利用するため、放熱器出口を冷却しながら加湿量を増加させることができ、高性能かつ高機能な冷凍サイクル装置を得ることができる。
またこの発明は冷房と暖房を切換えられる空調機を例に説明してきたが冷房専用機、あるいは冷房と外気導入を含む空調機などさまざまな構成の空気調和機に利用できる冷凍サイクルであることは当然である。更に各熱交換器5、18、12の構造もそれぞれ自由に組合せることが出来る。顕熱主体に処理する熱交換器5、18は室内空気の露点温度以上の冷媒温度となるため露付きが起こりにくく簡単なドレン処理構造で良い。そのため扁平型伝熱管の間にコルゲートフィンを挟むなどのフィン表面の水の流れる構造を考えなくとも良いしドレン受けなどを簡単に出来るし、熱交換器が送風機を上から取り囲むアーチ構造など自由に選択できる。一方潜熱を処理する熱交換器はドレン水をきちんと貯水部に流す必要があるし、暖房時凝縮器として働く第1負荷側熱交換器あるいは第2負荷側熱交換器の出口部に散水する構造では水の吹きつけとその結果としての水処理構造のため図17の加湿エレメント48に対する貯水タンク47の様に深いドレン水貯蔵構造を必要とする。これらの熱交換器が別々の構造、即ち伝熱管やフィンの寸法や形状が異なるものとして扱う説明を主体にしてきたが図11の様に同一のフィンに取りつけられる伝熱管のパスである冷媒流路だけを変えてそれぞれの熱交換器のそれぞれの役割のものとしても良い。