JP5228659B2 - 熱間圧延棒線の直接焼入方法 - Google Patents

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Description

本発明は熱間圧延された鋼の線材又はバーインコイルの直接焼入方法に関している。
鉄筋用異形棒鋼の業界では近年高強度化の市場要求に従い種々の高強度製品が開発されている。強化方法は種々あるがマルテンサイト組織に改質する焼入処理が最も効果的である。焼入に際して、冷却速度が小さい場合には焼入性の大きい鋼種が、逆に焼入性が小さい鋼種では大きな冷却速度が必要となる。いずれにしろ確実に焼きが入ること、製品の機械的性質がコイル内で均一であることが求められる。
鉄筋用の棒鋼は仕上げ圧延後、通常伸直状態で冷却され、直棒として製造される。17mm径以下の細物ではコイル状に製造されることも多い。高強度化に際しては製品形状に適した制御冷却方法が適用される。本発明はコイルを対象とする。熱間圧延後の直接焼入における先行事例の問題を整理する。
事例1 通称テンプコア法(非特許文献1)
直棒に適用される方法であって、0.2〜0.3%Cの炭素鋼又は低合金鋼の材料を棒鋼に仕上げ圧延した後、直進させて強力な水冷装置に貫通させ、表面のみMs温度(マルテンサイト変態開始温度)以下に急冷して焼入する。その後の空冷時に内部の自己熱により復熱させて焼戻し処理とする。当該方法では焼戻し不要という大きな効果があるが、内部は焼きが入らないので表層焼入となって得られる強度は半端である。全面焼入を狙うと二つの問題が生ずる。一つは異形棒表面に水冷を強力且つ長時間作用させるので水冷熱流速の接線方向・軸方向の変動によって直棒に曲がりが発生し易く生産が安定しない。他は、強度は十分上昇するが焼戻し工程や矯正工程が必要となりコストが増加する。
事例2 通称ステルモア法(例えば特許文献2)
線材に適用され、約0.2%Cの低合金鋼の材料を線材に仕上げ圧延した後レイング式巻取機により巻き取り、水平走行するコンベア上に落下させて非同心直列水平リング列を形成し、衝風帯を通過させてマルテンサイト変態を誘導しその後コイルに集束する。降伏応力785MPaが市販されている。本方法の問題点は、衝風冷却の熱伝達率の値が高々150W/mKであって冷却速度は大きくない。そのため焼入性合金の添加量が相当増加する。特にMo,V,Nb等の添加、増加はコスト負担が大きい。更に焼入性の強化は焼戻しの抵抗増加となる。衝風冷却後の空冷による自己熱焼戻しが不足し、再加熱の焼戻し処理が必要になる。
事例例3 温水焼入法(特許文献3)
線材に適用され、上記方法において衝風冷却帯が温水冷却帯となっている。熱伝達率の値は約300となって倍増するので前記方法に比較して添加合金量が削減される。さらに線材が所定温度に冷却された時期に温水中から引き上げ、以後は空冷され自己熱焼戻しをある程度可能としている。当方法の問題は、温水中ないし引き上げ後に焼入と焼戻しが同時併行する。Ms温度直下の初期に生成したマルテンサイトは焼き戻されるがMf温度近傍の低温で発生したマルテンサイトの焼戻しは不十分になる。その結果十分な延靭性が得られにくい。その上水平リング列ではリングが孤立する列中央部とリングが重なる列両側部の冷却速度は大きく異なるので冷却の過不足が生じ易い。本方法では一応焼戻しが省略され降伏応力785が製造されているがコイル内の機械的性質のバラツキが大きいこと、合金量が削減されるとは言え温水冷却に適応する添加量が必要である。
事例4: 冷水焼入法1(特許文献4)
該文献には前記と同様の方法において温水の温度を低下させて冷却能を強化し、炭素鋼においても焼入可能と開示されている。即ち焼入性合金の添加は不要になる。当方法には2問題がある。第1に線材は非同心直列水平リング列の状態で焼入され形状が固定されるのでコイルに集束し結束する際、弾性的に拘束しなければならない。10〜17mm径の太い線材では拘束に伴う内部応力は無視できずそのままでは遅れ破壊が生じやすい。従って少なくとも集束後且つ結束前に焼戻し処理を適用しなければならない。その必要性と方法が開示されている。圧延の生産能率(通常50〜100t/h)と同等能率の焼戻し炉をライン内に設置することが解決策となるが設備費が高価になる。他は、巻き取りから浸漬までの時間が長く加工オーステナイトの再結晶・粒成長が進む。結晶粒の粗大化は焼入鋼の延靭性に良くない。
事例5: 冷水焼入法2(特許文献5)
該文献には温水焼入の原型が開示されている。本方法は本来冷却強さが中間的な疑似パテンティングを目的とするが、冷水を使用することにより焼入が可能と容易に推測される。垂直型のレイング式巻取機により垂直に落下するリング列はそのまま水槽底部に集積して冷却とコイル形成が併行する。前記例のような集束・結束に伴う内部応力の発生が無い。問題はリングの重なりが平行密接になり易く、平行的に数〜数十リングが重なると沸騰によりリング間の冷水が押し出され部分的に焼が入らず実用されなかった。また巻取機から直接水中で集積しているがその冶金的効果ないし悪影響に関して何ら示唆が無く、気づかれてもいない。
事例6: 冷水焼入法3(特許文献6)
本発明と同一発明者によってなされたもので、該文献には前記問題を解決する方法が開示されている。リングの平行的密接を防止するため鋼線業界で通称されている花捲き(リング中心の軌跡が順次コイル中心の回りに円を描き花びら状に配置される)という規則的な巻取方法を組み込んでいる。本方法により冷却を全長均等にする条件の一つが解決されると記載されている。本方法では、正確な花捲きを形成するためリング集積台を冷却槽の底ではなく冷媒液の上方に待機させて気中で集積を開始し、集積高さに対応して該集積台を水平遠心放射状の流れを持つ冷媒中に下降させてコイル下方より順次全周均等に冷却する。冷媒を冷水とすれば直接焼入が可能と記されているが、新たに二つの問題が判明した。
第1に、事例6に開示された直接焼入を想定した予備実験として、10数本束にした赤熱の線材を水平状態でゆっくり冷水槽に沈めてゆくと沸騰しながら冷却し、必ずしも急冷にはならないことが確認された。該実験から以下が帰結される。当該方法では冷媒の水は冷却槽上層部を水平遠心放射状に流れている。集積台は集積速度(上方への積み上げ速度で約1〜2cm/s)と同等速度でゆっくり下降する。赤熱棒線のリング列の塊が浸漬し始めると水面が激しく沸騰して波立つ。そのため浸漬初期の冷却が急冷にならず緩慢且つバラツキが大きくなる。焼入性の大きい鋼種では問題とならないが焼入性の小さい炭素鋼では部分的に焼入不完全を誘発する。当該現象の詳細は後述される。
第2に、気中での待機により圧延から急冷まで高温状態の時間が長く(10秒以上)、従ってその間に加工オーステナイト粒の再結晶と粒成長が進行する。その結果圧延による細粒化効果を逃がすことになる。当現象はパテンティングや水靱処理には有利且つ適切な条件となるが焼入では逆に延靭性が低下して好ましくない。結局気中集積は徐冷、焼準、パテンティング、オーステンパー、水靱処理等には適切であるが炭素鋼の焼入に対してのみは不適切であることが明らかとなった。
事例7: ミストスプレイ焼入法(特許文献7)
該文献には前記の特許文献6の方法の一部を細径線の熱処理に応用する方法が開示されている。赤熱鋼線をレイング式巻取機で垂直リング列とし、偏心回転する集積台上に捲き落として所謂花捲きコイルを形成しつつ上方からミストスプレイにより冷却して例えば焼入を行う。当方法の問題は、対象線径が3.5mm以下で小さいので焼入も可能であるが、10mm以上の棒線では得られる冷却速度が小さく焼きが入らないという欠点がある。
日本鉄鋼協会、鉄鋼技術の流れ4:制御圧延・制御冷却,P151 特開昭57−79124 特開平01−313108 特公昭63−24048 特開平6−336621 特公昭45−8536 特許第3890567号 特開2005−246401
本発明の目的は、高強度で低コストのコイル状棒線を製造するため熱間圧延後の棒線を直接焼入れする方法を提供することである。そのため1)従来の方法ではコスト高の大きな要因となっていた焼入性強化合金の添加を不要ないし最少化することである。そのためには冷水への浸漬冷却が有効であり、事例4の平行リング列を連続浸漬する方法ではコイルに結束する際の残留応力に難点があり、事例5の水底集積ではリング列の密集により焼入が不完全になるという問題等を解決しなければならない。2)事例6の気中での幾何的な巻取とその後の浸漬冷却の方法では前記2方法を解決する有力策になり得るが、浸漬初期の緩慢な冷却により確実な焼入が得られなかった問題を克服しなければならない。そのためには急冷と正確なコイル形成を両立させることが必要である。3)焼入焼戻し鋼に付随する延靭性低下問題やコイル結束による応力下の遅れ破壊等材質の弱点を改善することも実用化の不可欠条件となる。要するにコイル製品に対して確実均等な水焼入と延靭性の一層の改善を課題とする。
本発明は上記課題の解決に当たり以下の方法を効果的に組み合わせる。
1)焼入性が小さい炭素鋼でも焼入可能とするため冷水への浸漬焼入方式を採用する。
2)冷却のコイル内均一性を確保するため事例6の方法を基本的に踏襲する。該方法において均一性は花捲きコイルの形成とその後の遠心放射状冷媒流への同心的浸漬に基づく。
3)上記方法において新たに判明したリングの気中集積とその後の低速浸漬に起因する不完全焼入の発生(水焼入の場合のみ発生)を水面直下で集積することにより解決する。
4)延靭性をより向上させるため仕上げ圧延直後の十分な水冷と巻取後の冷水中での集積により圧延後の再結晶・粒成長を抑止しオースフォーム効果を誘導する。
第1の発明は、熱間圧延された鋼棒線の直接焼入方法であって、仕上げ圧延後の赤熱棒線を垂直軸の回りに自転するらせん状誘導管に貫通させて垂直らせんリング列に形成し、次いで該リング列を水平の集積台上に落下させて集積し、集積に際して該集積台は上層部において水平遠心放射状の流れを持つ冷水槽の中の上層部に予め浸漬して待機し、集積開始とともに垂直方向には該集積台を集積した高さに対応して下降させて落下距離を一定とし、水平方向には着地する個々のリングの中心の軌跡が該リング中心軸から偏心した軸の回りに順次等間隔で円を描くように該集積台を誘導することによりリングの密接・密集を防止しつつ冷水中で集積することを特徴とする棒線の直接焼入方法である。
第2の発明は、集積位置深さを水面より下方へ30mm以上300mm以内の一定値とすることを特徴とする第1発明に記載の棒線の直接焼入方法である。
第3発明は、仕上げ圧延直後の棒線を水冷装置に貫通させて予備冷却して再結晶とその後の粒成長を抑止することを特徴とする第1発明又は第2発明に記載の棒線の直接焼入方法である。
第4発明は、垂直らせんリング列を形成する方法が、仕上げ圧延後の赤熱棒線をレイング式巻取機によりらせんリング列に形成した後一旦該リング列を水平に走行するコンベア上に落下させて非同心直列水平リング列に変形させ、次いで該コンベア端で該水平リング列を水平に飛び出させ、落下させて垂直らせんリング列とすることを特徴とする第1発明又は第2発明又は第3発明に記載の棒線の直接焼入方法である。
第1に、圧延後の直接焼入によって高強度のコイル状棒線を製造するに当たり本発明の方法では冷水への直接且つ高速の進入により冷却速度が大きく、従って特別の焼入性強化合金を添加することなく炭素鋼及びそれに準ずるMn鋼でも焼入が可能となり材料コストが大きく削減される。
第2に、水中での“花捲き”と冷却槽上層部における冷水の水平遠心放射状の流れにより棒線各部は均一に冷却され製品の機械的性質のバラツキが小さい。
第3に、圧延後の再結晶・粒成長が進行する過程の初期において予備水冷と直後の水中集積の2段の急冷が適用されるので前記現象が抑止され細粒効果とオースフォーム効果により製品の延靭性が向上する。
第4に熱間でコイルが形成されるので焼入鋼にとって有害なコイル結束に伴う内部応力は発生しない。従って遅れ破壊が起こりにくい。
図1は本発明を実施する装置の概略側面図である。仕上げ圧延機2を経て直進する所定寸法の赤熱の棒線1は、管状の水冷装置3を貫通して所定温度に予備冷却された後巻取機4に進入する。該巻取機4は主に垂直に自転するらせん状誘導管5から成り、該棒線1を引き込んで垂直らせんリング列6を形成する。当該機構の巻取は通常レイング式と称される。該リング列6は直下に配置され、且つ前記自転速度よりも十分遅い所定速度で水平回転する集積台7の上に落下し集積してコイルを形成していく。
該集積台7の垂直の回転中心軸8は垂直らせん軸9と偏心している。その結果着地したリングはリング中心の軌跡が集積台中心軸8の回りに一定間隔で円を描くように集積し、一定の内径・外径と一定角で旋回したリング配置を持った中心軸対象性のある幾何的ルーズコイル10通称“花捲き”を形成する。該集積台は集積高さに対応して下降する。従って落下高さは一定であり集積位置も一定高さとなり正確なリング配置によるコイル形成が続く。該ルーズコイル10の形成方法に関しては事例6の特許文献6に詳述されている。本発明では該方法を大筋で踏襲する。
図2Aは幾何的ルーズコイル10のリング配置の例を、図2Bは該コイルの縦断面形状を示す。単なる垂直らせんリング列の巻落としなら各リングが密接・密集することがしばしば起こりコイル内外径が定まらない。幾何的ルーズコイルでは隣接リング間に一定の間隔が構成され、空隙分布も規則的で粗密偏差が小さくそのため冷媒がリング間を均等に流れ易く且つ部分的滞留を防ぐ効果を発揮する。
図3Aは本発明の要部を、図3Bは比較として事例6の方法の該当部分を示す。垂直らせんリング列6の棒線を確実に急冷するため該集積台7は冷水11を保有した冷水槽12の中に設けられ水面直下で旋回しつつ待機する。リングは1リング毎に水中に数m/sの大きな速度で突入し常に水中で集積される。その結果該棒線は直ちに急冷され数秒で焼入がなされる。水中での落下距離が小さいので幾何的ルーズコイルの形成にほとんど害をなさない。即ち確実な急冷と正確なコイル形成が両立することになる。これが本発明のキーである。
水焼入においては水温の影響は極めて大きい。冷水の定義として40℃以下とするが30℃以下に制御することがより望ましい。且つ流速も影響するのでリング各部に大差が生じないようなメカニズムが必要である。事例6の特許文献6には適切な冷媒循環系が詳述されており、本発明では当該方法を流用する。即ち冷水槽12の中央底部の給水口13より大量の冷水を供給し内筒14内を上昇させ槽12の上層部で内筒14より放射状に接線方向均等に放出させる。図3Cは均等に放出された水流が集積台の回転により供回りして均等な水平遠心放射状の流れ15を形成する状態の説明図である。送水分は冷水槽12の上縁に設けた排出口16より排出され水位は一定になる。
該集積台7は集積速度と同一速度で下降し、一定条件で冷却と集積が進行する。
棒線の後端が捲き落とされてコイル10の形成が終わると集積台7を押し上げて該コイル10を取り出し、その後結束する。熱間でコイルが形成されるので結束により内部応力が発生することはない。該コイル10は焼戻し工程に送られる。
以下上記のプロセスの要点について作用、根拠、意義、問題等を説明する。
垂直らせんリング列を水中で集積する最大の理由は以下である。事例6に記載された気中集積は正確なコイル形成に対して極めて効果的である。集積に関する先行事例(特許文献1)ではリング列を温水槽の底部で偏心集積しようとする。実際には1m以上の深さでは水の抵抗と沸騰の攪乱によりリング列を偏心集積させることはとてもできなかった。該知見から事例6の気中集積が考案された。
しかるに図3Bに示す気中集積後水へ浸漬して直接焼入しようとすると新たな問題が発生した。事例6の方法では集積台は気中で待機する。集積とともに下降させても常に気中で集積される。ある時間後浸漬冷却される。
集積台を集積速度(約1cm/s)と同一速度でゆっくり降下させて該台上の赤熱リング列の塊を冷水中に浸漬すると冷水槽の表面が激しく沸騰し、さらに放射状流れがリング列に衝突して激しく波立って水面自体が不明確になる。不明確な水面の上下で冷水接触、沸騰、離反、空冷、蒸発、温水接触等乱雑に起こる。その結果流れが部分的に滞ると当該部の水温が上昇し冷却を大きく弱める。しかも下降速度が大きくないので初期冷却(約900℃から約500℃まで)は緩冷になり易く且つバラツキが大きくなる。
初期冷却の低下は焼入性の大きい鋼種では問題とならないが、炭素鋼のように焼入性が小さい鋼種では一部にフェライト析出やパーライト変態を誘発し焼入不完全になる。以上から炭素鋼やそれに準ずる鋼種では個々のリングを直接水中に突入させて急冷することが不可欠となり、そのためには水中集積が条件であると判明した。集積深さは急冷条件を確保するため水面下30mm以上とすることが望ましい。これ以下では沸騰や水圧不足で接触が間欠的になりやすい。あまり深いとリングの配列が乱れ易くなる。200mm以下が無難であるが、多少のコイル形状の乱れや品質低下を許容するなら300mmでもある程度の規則性、安定性のあるコイル形成が得られる。
水中集積の第2の作用は以下である。水槽上層部の遠心放射状の冷水の流れ15は集積部位17の直上を優先的に、且つリング間も貫通する。この流れは集積直後の急速冷却を安定化する。なぜなら線材径が13mmの場合、冷却速度は約200℃/sとなり、数秒で焼入される。これは水温上昇が槽の上層部に限定されることを意味する。集積部位の直上の遠心放射状の流れ15は熱を効果的にリング間の外に排出して焼入の安定には効果的である。
水中集積にはもう一つの意図がある。通常の圧延温度約1000℃において再結晶に要する時間は炭素鋼では極めて小さく数秒ないし10秒以下である。その後数10秒でゆっくり粒成長が起こる。棒線の圧延速度は通常約20m/s以上である。本発明では仕上げ圧延機から巻取機までの距離を過大にしないので圧延後約2秒前後で集積・急冷が始まる。再結晶途上で急冷され細粒が保持されるとともに加工オーステナイトが焼入される。熱間圧延においても加工直後に急冷・焼入すればオースフォーム効果が得られ強度・延靭性が向上することが知られている。細粒保持とオースフォーム効果により延靭性に優れた焼入が可能となる。
上記の細粒効果をさらに向上させるには低温仕上げ圧延は有効であるが、圧延直後水冷装置3により1秒以内に予備冷却して再結晶の凍結ないし抑制することはより効果的である。予備冷却量としては平均温度で100℃以上(線温900℃以下)が必要で200℃以上(線温800℃以下)が望ましい。これらは公知である。予備冷却と巻取直後の水中集積はV,Nb等の微細化合金の添加を不要とする。
製品径が大きくオーステナイト粒度が細粒の場合には焼入性が不足して焼入不良が起こることがある。その場合にはMn量を増加し、Crを多少添加すれば解決される。炭素鋼を原則とし、従来のようにNi,Cr,Mo,V等の多量添加を行わない。
図4に示すように、本発明を通常のステルモア・プロセスのラインの中に組み込むことも可能である。この場合水平コンベア41により非同心直列水平リング列42を形成した後該コンベア端で水平に飛び出させて本発明の機能を持つ冷水槽中に落下させる。大きな狂いのない垂直らせんリング列が形成される。その間の時間経過により細粒効果やオースフォーム効果は消失するが焼入自体は確実になされる。該消失を小さくするには既述の水冷装置3による予備冷却を強化すればよい。当方法の場合、設備費用が割安になる利点がある。オーステナイト粒度が問題となる場合には、仕上げ圧延の低温化やAl,Ti,Nb等細粒化合金の添加により対処する。
幾何的ルーズコイルを形成するには事例6の方法が最良であるが他の方法もある。垂直らせんリング列の中心軸と同軸に冷水槽全体を水平面上で円運動させることにより既述の方法と同様に形成することができる。集積台を回転させる必要はない。要はリングの着地に際してリング中心を相対的に一定間隔で円軌道を描かせればよい。この方法の場合槽内の冷水は揺動運動し、波動が旋回する。事例6とは異なるが供回りの少ない水平遠心放射状の流れが形成される。
焼入の確実性を比較するため気中巻き取りと水中巻き取りを模擬した実験室テストを行った。供試材は0.18%C−1.2%Mn−0.3%Siの炭素鋼線材であり、直径10mm長さ約500mmの試験片を数10本準備した。気中巻き取りとして、試験片を3〜13本束ね、水中巻き取りとして2本の試験片を斜めに交叉させた。それぞれ920℃に加熱し、25℃の水中に棒軸を水平状態にして浸漬した。前者は約1cm/sの下降速度で浸漬した。後者は水深10cmに急速に浸漬した。試験片はすべて430℃に焼き戻した。
引張試験の結果は、後者では抗張力は1090〜1140MPa、降伏力は890〜980に制御された。前者では抗張力は640〜1070、降伏力は520〜930で大きくばらついた。金属組織の比較では、前者はフェライト、パーライトの混入が数%から数10%あり不完全焼入が多かった。後者では同様に混入があるが、数%以下で安定していて焼入が証明された。
表1に本発明を実施するための具体的設計条件を示す。当業者であれば設計自体は特別の困難無しに実施することができる。
Figure 0005228659
本発明は、コイル状に製造される棒線に対して、高強度化を図る場合に適用することができる。約20mm径以下のコイル状鉄筋の高強度化には適切である。材料として合金鋼を必要とせず、炭素鋼ないしMn鋼を使用することができるのでコスト削減だけでなく材料調達も容易となる。高強度化により鉄筋等の使用量を節減することができる。
設備は比較的小さく既存工場の付設することが容易である。費用も従来の各種方法より有利である。更に一般に付設されている線材制御冷却装置ステルモアを部分改造して実施することもでき、その場合一層低廉になる。
本発明の棒線の直接焼入方法を実施する例の概略側面図である。 本発明の方法によって製造されたコイルの形状の例を説明する図である。 本発明の要部を説明する図である。 垂直らせんリング列を形成する他の方法の例を示す。
符号の説明
1:棒線 2:仕上げ圧延機 3:水冷装置 4:巻取機 5:らせん状誘導管 6:垂直らせんリング列 7:集積台 8:回転中心軸 9:垂直らせん中心軸 10:幾何的ルーズコイル 11:冷水 12:冷水槽 13:給水口 14:内筒 15:水平遠心放射状流れ 16:排出口 17:集積部位 41:水平コンベア 42: 非同心直列水平リング列

Claims (4)

  1. 熱間圧延された鋼棒線の直接焼入方法であって、仕上げ圧延後の赤熱棒線を垂直軸の回りに自転するらせん状誘導管に貫通させて垂直らせんリング列に形成し、次いで該リング列を水平の集積台上に落下させて集積し、該集積台を該リング列の中心軸と偏心した軸の回りに回転させることにより着地する個々のリングの中心の軌跡が順次等間隔で円を描くように集積させるコイルの形成方法において、該集積台を上層部において水平遠心放射状の流れを持つ冷水槽の中の該上層部に予め浸漬して待機させ、集積部位を水面下一定の水準で維持することによりリング列全周・全長を均等に水焼入することを特徴とする棒線の直接焼入方法。
  2. 集積部位の深さを水面より下方へ30mm以上で300mm以内の一定値とすることを特徴とする請求項1に記載の棒線の直接焼入方法。
  3. 仕上げ圧延直後の棒線を水冷装置に貫通させて予備冷却して再結晶とその後の粒成長を抑止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の棒線の直接焼入方法。
  4. 垂直らせんリング列を形成する方法が、仕上げ圧延後の赤熱棒線をレイング式巻取機によりらせんリング列に形成した後一旦該リング列を水平に走行するコンベア上に落下させて非同心直列水平リング列に変形させ、次いで該コンベア端で該水平リング列を水平に飛び出させ、落下させて垂直らせんリング列とすることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の棒線の直接焼入方法。
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