JP5228136B1 - 振動力発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電素子の発電効率を向上させることができる、振動力発電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】振動による圧力変動により発電する振動力発電装置1であって、圧電素子10と、この圧電素子10に振動を伝える振動板20とを備え、圧電素子10を、振動板20の少なくとも一方の側面に配置し、振動板20における圧電素子10が設けられている側面とは反対側の側面に、切欠部21を形成し、振動板20に、圧電素子10の変形が所定量に達した場合に当該圧電素子10の変形を調整する変形調整部23a、23bを設けた。
【選択図】図4

Description

本発明は、振動力発電装置に関する。
従来、圧電素子を用いた発電装置が知られている。発電装置は、圧電素子に何らかの方法で外部から力を加えることにより、圧電素子を変形させて発電する。圧電素子を変形させるためには、例えば、圧電素子に振動や風力等による圧力を加えて変形させること(例えば、特許文献1、特許文献2参照)が考えられている。
特開平7−49388号公報 特開平11−303726号公報
しかしながら、上述した従来の発電装置においては、圧電素子の発電効率に関して改善の余地があった。例えば、圧電素子の少なくとも一方の側面をすべて覆うように振動板が接合されている場合であって、振動板の材質が圧電素子の材質よりも硬質である場合、又は、圧電素子の厚みが振動板の厚みよりも厚い場合には、振動板が変形しづらくなり、それに伴って圧電素子の変形量も小さくなることから、圧電素子の発電効率が低下するという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圧電素子の発電効率を向上させることができる、振動力発電装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の振動力発電装置は、振動による圧力変動により発電する振動力発電装置であって、圧電素子と、前記圧電素子に振動を伝える振動板と、を備え、前記圧電素子を、前記振動板の少なくとも一方の側面に配置し、前記振動板における前記圧電素子が設けられている側面とは反対側の側面に、切欠部を形成し、前記振動板に、前記圧電素子の変形が所定量に達した場合に当該圧電素子の変形を調整する変形調整手段を設けた。
また、請求項2に記載の振動力発電装置は、請求項1に記載の振動力発電装置において、前記振動板における前記圧電素子が設けられている側面とは反対側の側面のうち当該圧電素子と対応する部分において、前記切欠部を、当該側面における当該圧電素子と対応する部分の領域内に収まるように形成し、当該側面における当該圧電素子と対応する部分以外の部分において、前記切欠部を形成しない。
請求項1に記載の振動力発電装置によれば、圧電素子を、振動板における切欠部が設けられている側面とは反対側の側面のうち切欠部と対応する部分に配置したので、当該切欠部が設けられていない構造に比べて、圧電素子の変形を促進させることができ、圧電素子の発電効率を向上させることができる。
また、振動板に、圧電素子の変形が所定量に達した場合に当該圧電素子の変形を調整する変形調整手段を設けたので、圧電素子の過度な引張変形を抑制することができ、当該引張変形による圧電素子の割れ等を防止することができる。
吸音部に代えて実施の形態1に係る振動力発電装置が適用された道路用遮音壁の概略の全体斜視図である。 図1のA−A矢視断面図であり、(a)は振動力発電装置が外力を受ける前の状態、(b)は振動力発電装置が道路の内側から外側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態、(c)は振動力発電装置が道路の外側から内側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態を示す図である。 実施の形態2に係る振動力発電装置のA−A矢視断面図であり、(a)は振動力発電装置が外力を受ける前の状態、(b)は振動力発電装置が道路の内側から外側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態、(c)は振動力発電装置が道路の外側から内側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態を示す図である。 実施の形態3に係る振動力発電装置のA−A矢視断面図であり、(a)は振動力発電装置が外力を受ける前の状態、(b)は振動力発電装置が道路の内側から外側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態、(c)は振動力発電装置が道路の外側から内側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態を示す図である。 実施の形態4に係る振動力発電装置のA−A矢視断面図であり、(a)は振動力発電装置が外力を受ける前の状態、(b)は振動力発電装置が道路の内側から外側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態、(c)は振動力発電装置が道路の外側から内側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態を示す図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る振動力発電装置の実施の形態を詳細に説明する。ただし、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、振動板の少なくとも一方の側面に切断隙間を有する切欠部を形成した形態である。
(構成)
実施の形態1に係る振動力発電装置の適用対象は、例えば遮音壁の吸音部、携帯電話機の集音部近傍等が挙げられるが、以下では、振動力発電装置を道路用遮音壁の吸音部に適用した場合を例として説明を行う。
まず、実施の形態1に係る振動力発電装置の構成について説明する。図1は吸音部に代えて実施の形態1に係る振動力発電装置が適用された道路用遮音壁の概略の全体斜視図である。図2は図1のA−A矢視断面図であり、(a)は振動力発電装置が外力を受ける前の状態、(b)は振動力発電装置が道路の内側から外側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態、(c)は振動力発電装置が道路の外側から内側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態を示す図である。なお、以下の説明では、図1のX方向を振動力発電装置の縦方向、図1のY方向を振動力発電装置の横方向、図1のZ方向を振動力発電装置の高さ方向とする。また。図1に示すように、道路用遮音壁には圧電素子10と、振動板20とによって構成された振動力発電装置1が複数設けられており、これら振動力発電装置1は相互に同一のものとする。このことから、以下では、図2に示す振動力発電装置1の要部(以下、「振動力発電装置1」と称する)について説明を行うものとする。
(構成−圧電素子)
図2に示すように、圧電素子10は、圧力により変形することで電気を生じる素子であり、例えば、チタン酸バリウム、ジルコニア等の圧電セラミックス、リチウムタンタレート(LiTaO3)等の圧電単結晶からなる。また、振動力発電装置1に設けられているすべての圧電素子10は、同一の薄角板状及び厚さにて形成されている。
なお、図示は省略するが、圧電素子10は、当該圧電素子10の一方の面にプラス端子、当該圧電素子10の他方の面にマイナス端子を有し、プラス端子と結線されたプラスリード線と、マイナス端子と結線されたマイナスリード線が引き出され、これらが図示しない制御回路を介して外部機器と接続されることで、当該外部機器に対して電力が供給される。ただし、圧電素子10と負荷との相互間に公知のブリッジ回路等の各種電気素子を配置してもよい。あるいは、圧電素子10として、若しくは圧電素子10に代えて、外力(歪み、屈曲、若しくは圧縮を生じさせる力を含む)により発電が可能な任意の素材を用いることができ、例えば、イオン導電性高分子の膜(ゲル)の両面に金属(金等)をメッキしたイオン高分子金属複合材料(IPMC:Ionic Polymer−Metal Composite)や、イオン導電性高分子ゲル膜(ICPF:Ionic Conducting Polymergel Film)、あるいは、これらIPMCやICPFを用いた人工筋肉を使用することができる。この点は、後述する他の実施の形態でも同じである。なお、圧電素子10の設置の詳細については、後述する。
(構成−振動板)
振動板20は、圧電素子10に応力を加える支持体である。振動板20は、ステンレス薄板等の可撓性と耐久性を有する鋼材等からなる。これら振動板20は、同一の角板状及び厚さにて形成されている。
ここで、振動板20の形状については、具体的には、実施の形態1では、図2(a)に示すように、振動板20が繰り返し大きな振幅で振動できるように、振動板20のY方向の長さを圧電素子10のY方向の長さよりも長くすると共に、振動板20のZ方向の長さを圧電素子10のZ方向の長さと略同一にしている。また、振動板20の厚さについては、具体的には、実施の形態1では、図2(a)に示すように、振動板20の厚さを圧電素子10の厚さよりも厚くしている。
また、図2(a)に示すように、振動板20は、圧電素子10の底面側の側面と当接するように設けられており、圧電素子10に対して接着剤や固定具等により接合されている。
また、図2(a)に示すように、振動板20の底面側の側面に、切断隙間を有する切欠部21が形成されている(なお、この切欠部21は、振動板20におけるZ方向の一方の端部から他方の端部にわたって形成されている)。切欠部21は、圧電素子10の変形を増長させるための変形増長手段である。この切欠部21は、矩形凹状に形成されており(あるいは、これに限られず、例えば三角凹状、円弧凹状等にて形成されてもよい)、振動板20の底面側の側面におけるY方向中央に配置されている。
ここで、この切欠部21の形状については、圧電素子10が設計発電量から計算される振幅で安定して振動できる形状が好ましく、具体的には、実施の形態1では、図2(a)に示すように、切欠部21のX方向の長さを振動板20の厚さの半分程度とし、且つ切欠部21のY方向の長さを圧電素子10のY方向の長さよりも短くして、切欠部21が形成されている。
(圧電素子の設置の詳細)
次に、実施の形態1に係る圧電素子10の設置の詳細について説明する。図2(a)に示すように、実施の形態1では、圧電素子10は、振動板20における切欠部21が設けられている側面とは反対側の側面(例えば、図2(a)に示すように、振動板20の平面側の側面)のうち切欠部21と対応する部分に配置されている。
ここで、「振動板における切欠部が設けられている側面とは反対側の側面のうち切欠部と対応する部分」とは、振動板20の側面のうち圧電素子10が変形しやすい部分、すなわち、振動板20が振動している場合において、当該振動板20が上方又は下方へ凸状に撓んだ場合に、振動板20における切欠部21が設けられている側面とは反対側の側面のうち切欠部21の側面と重なり合う部分のことを意味する。具体的には、実施の形態1では、図2(a)、(b)に示すように、振動板20が下方へ凸状に撓んだ場合に、振動板20の平面側の側面のうち切欠部21の底面と、当該切欠部21の左側壁面と、当該切欠部21の右側壁面と重なり合う部分に、圧電素子10は配置されている。あるいは、これに限られず、例えば、振動板20の平面側の側面のうち切欠部21の底面、当該切欠部21の左側壁面、又は当該切欠部21の右側壁面と重なり合う部分に、圧電素子10は配置されてもよい。
(振動力発電装置の機能)
このように構成された振動力発電装置1の機能は以下の通りである。まず、振動力発電装置1を遮音壁の吸音部に適用した場合には、道路を車両が走行すること等によって生じる騒音の音エネルギーによって振動板20を振動変形させ、この振動板20の変形により圧電素子10を変形させて、発電を行うことが可能になる。このように、騒音を吸収することに加えて、発電を行うことができるので、この発電を任意の目的で利用(例えば、道路照明や道路標識の電源として利用)することが可能になる。
特に、図2(b)、(c)に示すように、圧電素子10は、振動板20の平面側の側面のうち切欠部21と対応する部分に配置されているので、当該切欠部21が設けられていない構造に比べて、圧電素子10の変形を促進させることができる。
(効果)
このように実施の形態1によれば、圧電素子10を、振動板20の平面側の側面のうち切欠部21と対応する部分に配置しているので、当該切欠部21が設けられていない構造に比べて、圧電素子10の変形を促進させることができ、圧電素子10の発電効率を向上させることができる。
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、切欠部の側面の少なくとも一部に、段差部を設けた形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
(構成)
まず、実施の形態2に係る振動力発電装置の構成について説明する。図3は実施の形態2に係る振動力発電装置のA−A矢視断面図であり、(a)は振動力発電装置が外力を受ける前の状態、(b)は振動力発電装置が道路の内側から外側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態、(c)は振動力発電装置が道路の外側から内側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態を示す図である。これら各図に示すように、実施の形態2に係る振動力発電装置101は、実施の形態1の振動力発電装置1の構成要素に対して、さらに段差部22を加えて構成されている。
段差部22は、圧電素子10の変形を局部的に調整するための局部変形調整手段である。この段差部22は、振動板20と同一の材質にて矩形状に形成されている(あるいは、波形状等にて形成されてもよい)。また、図3(a)に示すように、この段差部22は、切欠部21の底面に設けられている(なお、この段差部22は、当該底面におけるZ方向の一方の端部から他方の端部にわたって設けられている)。
ここで、この段差部22の構成については、振動力発電装置101の製造性を向上させることができる構成が好ましく、具体的には、実施の形態2では、図3(a)、(b)に示すように、段差部22は、振動板20と一体成形されている。あるいは、これに限られず、設置状況に応じて段差部22の数や配置等を任意に変更できるように、例えば、段差部22は、振動板20とは別体に形成されてもよい。この場合には、段差部22は、振動板20に対して接着剤や固定具等にて接合される。
また、段差部22の形状及び個数については、具体的には、実施の形態1では、図3(a)に示すように、圧電素子10や振動板20における切欠部21と対応する部分に割れやひび等を生じにくくするために、段差部22のY方向の長さを切欠部21のY方向の長さの1/5程度で、且つ段差部22のX方向の長さを振動板20の厚さの1/4程度で形成された段差部22が、2体設けられている。なお、段差部22の厚さについては、例えば振動板20の厚さと略同一にしてもよい。
また、段差部22の段数については、具体的には、実施の形態1では、図3(a)に示すように、段差部22は単数段にて形成されている。あるいは、これに限られず、圧電素子10の変形を一層調整しやすくするために、複数段にて形成されてもよい。
(振動力発電装置の機能)
このように構成された振動力発電装置101の機能は以下の通りである。図3(b)、(c)に示すように、切欠部21の底面に段差部22を複数設けたので、圧電素子10や振動板20における段差部22と対応する部分の剛性を向上させることができ、圧電素子10や振動板20における切欠部21と対応する部分に割れやひび等を生じにくくすることができる。
(効果)
このように実施の形態2によれば、切欠部21の底面に段差部22を設けたので、切欠部の側面の少なくとも一部に、段差部を設けたので、圧電素子10や振動板20における切欠部21が設けられている部分に割れやひび等を生じにくくすることができ、圧電素子10や振動板20における一定の耐久性を確保しながら、圧電素子10の発電効率を向上させることができる。
また、段差部22と、振動板20とを相互に一体成形したので、段差部22に振動板20を取り付ける手間を省くことができ、振動力発電装置101の製造性を向上させることができる。
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この形態は、振動板に、変形調整手段が設けられた形態である。なお、実施の形態3と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
(構成)
まず、実施の形態3に係る振動力発電装置の構成について説明する。図4は実施の形態3に係る振動力発電装置のA−A矢視断面図であり、(a)は振動力発電装置が外力を受ける前の状態、(b)は振動力発電装置が道路の内側から外側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態、(c)は振動力発電装置が道路の外側から内側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態を示す図である。これら各図に示すように、実施の形態3に係る振動力発電装置201は、実施の形態1の振動力発電装置1の構成要素に対して、さらに変形調整部23a、23bを加えて構成されている。
変形調整部23a、23bは、圧電素子10の変形が所定量に達した場合に当該圧電素子10の変形を調整する変形調整手段である。図4(a)に示すように、変形調整部23aは切欠部21の左側壁面に設けられ、変形調整部23bは切欠部21の右側壁面に設けられている。
ここで、変形調整部23a、23bの構成については、振動力発電装置201の製造性を向上させることができる構成が好ましく、具体的には、実施の形態3では、図4(a)に示すように、変形調整部23aは切欠部21の左側壁面と一体成形され、変形調整部23bは切欠部21の右側壁面と一体成形されている。あるいは、これに限られず、変形調整部23a、23bは、振動板20とは別体にて形成されてもよい。
また、変形調整部23a、23bの配置については、具体的には、実施の形態3では、図4(a)に示すように、変形調整部23aは切欠部21の左側壁面の下方に配置されていると共に、変形調整部23bは切欠部21の右側壁面の下方に配置されている。そして、図4(a)、(c)に示すように、圧電素子10の引張変形が所定量に達した場合に変形調整部23a、23bが相互に当接するように、変形調整部23a、23bは対向する位置に配置されている。
(振動力発電装置の機能)
このように構成された振動力発電装置201の機能は以下の通りである。図4(b)、(c)に示すように、振動力発電装置201においては、切欠部21の左側壁面に変形調整部23aが形成され、切欠部21の右側壁面に変形調整部23bが形成されているので、圧電素子10の引張変形が所定量に達した場合にのみ、変形調整部23a、23bが相互に当接される。これにより、圧電素子10の圧縮変形を自由に許しながら、圧電素子10の過度な引張変形を抑制することができる。
(効果)
このように実施の形態3によれば、切欠部21の左側壁面に変形調整部23aを設け、切欠部21の右側壁面に変形調整部23bを設けたので、圧電素子10の過度な引張変形を抑制することができ、当該引張変形による圧電素子10の割れ等を防止することができる。
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4について説明する。この形態は、振動板20の少なくとも一方の側面に略切断隙間のない切欠部を形成した形態である。なお、実施の形態4と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
(構成)
まず、実施の形態4に係る振動力発電装置の構成について説明する。図5は実施の形態4に係る振動力発電装置のA−A矢視断面図であり、(a)は振動力発電装置が外力を受ける前の状態、(b)は振動力発電装置が道路の内側から外側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態、(c)は振動力発電装置が道路の外側から内側へ向かう方向に沿って外力を受けた状態を示す図である。これら各図に示すように、実施の形態4に係る振動力発電装置301は、実施の形態1の振動力発電装置1の構成要素と同一の構成要素にて構成されている。
ここで、図5(a)に示すように、振動板20の底面側の側面に、略切断隙間のない切欠部21が形成されている(なお、この切欠部21は、振動板20におけるZ方向の一方の端部から他方の端部にわたって形成されている)。この切欠部21は、振動板20の底面側の側面に直交するように略直線状にて形成されており、振動板20の底面側の側面におけるY方向中央に配置されている。
(振動力発電装置の機能)
このように構成された振動力発電装置301の機能は以下の通りである。図5(b)、(c)に示すように、振動力発電装置301においては、振動板20の底面側の側面に、略切断隙間のない切欠部21が設けられているので、圧電素子10が上方へ凸状に撓もうとすると、切欠部21の左側壁面と右側壁面とが相互に当接される。これにより、圧電素子10の圧縮変形を自由に許しながら、圧電素子10の過剰な引張変形を抑制することができる。
(効果)
このように実施の形態4によれば、振動板20の底面側の側面に、略切断隙間のない切欠部21が設けられているので、圧電素子10の過度な引張変形を抑制することができ、当該引張変形による圧電素子10の割れ等を防止することができる。
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
(各実施の形態の組み合わせ)
各実施の形態に示した構成は、相互に組み合わせることができる。例えば、道路用遮音壁の吸音部に、実施の形態1における振動力発電装置1、実施の形態2における振動力発電装置101、実施の形態3における振動力発電装置201、又は実施の形態4における振動力発電装置301を組み合わせたものを適用してもよい。
また、例えば、実施の形態2における振動力発電装置101と実施の形態3における振動力発電装置201の変形調整部23a、23bとを組み合わせてもよい。あるいは、実施の形態4における振動力発電装置301と実施の形態2における振動力発電装置101の段差部22とを組み合わせてもよい。この場合には、例えば、振動力発電装置301の切欠部21は、振動板20の底面側の側面に直交するように略鋸歯状にて形成されてもよい。
(圧電素子について)
各実施の形態では、振動力発電装置1に設けられている圧電素子10は、同一の薄角板状及び厚さにて形成されていると説明したが、これに限られず、例えば同一形状及び厚さを有する方形状(例えば三角形、五角形等)、扇状、円形状等にて形成されてもよい。あるいは、異なる形状及び厚さを有する方形状等にて形成されてもよい。
また、各実施の形態では、1枚の振動板20に対して1枚の圧電素子10が設けられていると説明したが、例えば、1枚の振動板20に対して複数枚の圧電素子10が設けられてもよい。この場合には、例えば、各圧電素子20に対応する切欠部21が、振動板20の側面に複数形成されてもよい。
(振動板について)
各実施の形態では、振動板20は、同一の角板状、かつ同一の板面積及び厚さにて形成されていると説明したが、これに限られず、例えば同一形状及び厚さを有する方形状(例えば三角形、五角形等)、扇状、円形状等にて形成されてもよい。あるいは、異なる形状及び厚さを有する方形状等にて形成されてもよい。
また、各実施の形態では、振動板20の形状を、圧電素子10の形状よりも大きくしていると説明したが、例えば、振動板20の形状を、圧電素子10の形状と同一又はそれよりも小さくてもよい(より具体的には、振動板20のY方向の長さが圧電素子10のY方向の長さと同一又はそれよりも小さくてもよい)。また、振動板20の厚さを、圧電素子10の厚さよりも厚くしていると説明したが、例えば、振動板20の厚さを、圧電素子10の厚さと同一又はそれより薄くてもよい。
また、各実施の形態では、振動板20の枚数を一枚として説明したが、例えば複数枚の振動板20を組み合わせたものであってもよい。
(段差部について)
実施の形態2では、段差部22は、切欠部21の底面に設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、段差部22は、切欠部21の右側壁面、又は左側壁面に設けられてもよい。あるいは、段差部22は、切欠部21の底面と、切欠部21の右側壁面と、左側壁面とに設けられてもよい。
また、実施の形態2では、切欠部21の底面に2体の段差部22が設けられていると説明したが、例えば、1体の段差部22が設けられてもよく、又は、2体以上の段差部が設けられてもよい。
また、実施の形態3では、切欠部21の左側壁面に変形調整部23aを設け、切欠部21の右側壁面に変形調整部23bを設けることで、圧電素子10の変形を調整すると説明したが、これに限られず、例えば、実施の形態2の段差部22の相互間の間隔を調整することにより、圧電素子10の変形を調整してもよい。
(付記A)
付記A1に記載の振動力発電装置は、振動による圧力変動により発電する振動力発電装置であって、圧電素子と、前記圧電素子に振動を伝える振動板と、を備え、前記振動板の少なくとも一方の側面に切欠部を形成し、前記圧電素子を、前記振動板における前記切欠部が設けられている側面とは反対側の側面のうち前記切欠部と対応する部分に配置している。
また、付記A2に記載の振動力発電装置は、付記A1に記載の振動力発電装置において、前記切欠部の側面の少なくとも一部に、段差部を設けている。
また、付記A3に記載の振動力発電装置は、付記A2に記載の振動力発電装置において、前記段差部と、前記振動板とを相互に一体成形している。
また、付記A4に記載の振動力発電装置は、付記A1からA3のいずれか一つに記載の振動力発電装置において、前記振動板に、前記圧電素子の変形が所定量に達した場合に当該圧電素子の変形を調整する変形調整手段を設けている。
付記Aに係る振動力発電装置は、圧電素子を、振動板における切欠部が設けられている側面とは反対側の側面のうち切欠部と対応する部分に配置したので、当該切欠部が設けられていない構造に比べて、圧電素子の変形を促進させることができ、圧電素子の発電効率を向上させることができる。
付記Aに係る振動力発電装置は、切欠部の側面の少なくとも一部に、段差部を設けたので、圧電素子や振動板における切欠部と対応する部分に割れやひび等を生じにくくすることができ、圧電素子や振動板における一定の耐久性を確保しながら、圧電素子の発電効率を向上させることができる。
付記Aに係る振動力発電装置は、段差部と、振動板とを相互に一体成形したので、段差部に振動板を取り付ける手間を省くことができ、振動力発電装置の製造性を向上させることができる。
付記Aに係る振動力発電装置は、振動板に、圧電素子の変形が所定量に達した場合に当該圧電素子の変形を調整する変形調整手段を設けたので、圧電素子の過度な引張変形を抑制することができ、当該引張変形による圧電素子の割れ等を防止することができる。
(付記B)
付記B1に記載の振動力発電装置は、振動による圧力変動により発電する振動力発電装置であって、圧電素子と、前記圧電素子に振動を伝える振動板と、を備え、前記圧電素子を、前記振動板の少なくとも一方の側面に配置し、前記振動板における前記圧電素子が設けられている側面とは反対側の側面のうち当該圧電素子と対応する部分において、切欠部を、当該側面における当該圧電素子と対応する部分の領域内に収まるように形成し、当該側面における当該圧電素子と対応する部分以外の部分において、前記切欠部を形成しない。
また、付記B2に記載の振動力発電装置は、付記B1に記載の振動力発電装置において、前記切欠部を、当該切欠部の中心位置が前記圧電素子の中心位置と略一致するように配置している。
また、付記B3に記載の振動力発電装置は、付記B1又はB2に記載の振動力発電装置において、前記切欠部の断面形状を、略三角凹状、又は略円弧凹状としている。
また、付記B4に記載の振動力発電装置は、付記B1からB3のいずれか一項に記載の振動力発電装置において、前記振動板に、前記圧電素子の変形が所定量に達した場合に当該圧電素子の変形を調整する変形調整手段を設けている。
付記B1に記載の振動力発電装置によれば、圧電素子を、振動板における切欠部が設けられている側面とは反対側の側面のうち切欠部と対応する部分に配置したので、当該切欠部が設けられていない構造に比べて、圧電素子の変形を促進させることができ、圧電素子の発電効率を向上させることができる。
また、付記B4に記載の振動力発電装置によれば、振動板に、圧電素子の変形が所定量に達した場合に当該圧電素子の変形を調整する変形調整手段を設けたので、圧電素子の過度な引張変形を抑制することができ、当該引張変形による圧電素子の割れ等を防止することができる。
1、101、201、301 振動力発電装置
10 圧電素子
20 振動板
21 切欠部
22 段差部
23a、23b 変形調整部

Claims (2)

  1. 振動による圧力変動により発電する振動力発電装置であって、
    圧電素子と、
    前記圧電素子に振動を伝える振動板と、を備え、
    前記圧電素子を、前記振動板の少なくとも一方の側面に配置し、
    前記振動板における前記圧電素子が設けられている側面とは反対側の側面に、切欠部を形成し、
    前記振動板に、前記圧電素子の変形が所定量に達した場合に当該圧電素子の変形を調整する変形調整手段を設けた、
    振動力発電装置。
  2. 前記振動板における前記圧電素子が設けられている側面とは反対側の側面のうち当該圧電素子と対応する部分において、前記切欠部を、当該側面における当該圧電素子と対応する部分の領域内に収まるように形成し、当該側面における当該圧電素子と対応する部分以外の部分において、前記切欠部を形成しない、
    請求項1に記載の振動力発電装置。
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