JP5226336B2 - 酸化シリコン膜の製造方法 - Google Patents

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本発明は、水蒸気バリア膜、反射防止膜、耐傷性向上膜などとして利用される酸化シリコン膜の製造方法に関し、大気圧下にてプラズマを発生させて基材上に酸化シリコン膜を形成するようにした、酸化シリコン膜の製造方法に関するものである。
近年、樹脂(プラスチック)基材上に酸化シリコンを被覆して、新しい機能をする付与する用途開発が盛んに行われている。その用途は多岐に渡っており、水蒸気バリア膜、反射防止膜、耐傷性向上膜として利用されている。
例えば、水蒸気バリア膜の場合、樹脂基材上に酸化シリコン膜を被覆することで水蒸気の透過を抑えることができ、食品や薬品の包装用として使われている。この場合、酸化シリコン膜に欠陥があると水蒸気が透過してしまうため、緻密で欠陥のない高性能な酸化シリコン膜が必要となる。また、反射防止膜の場合、樹脂基材上に酸化シリコン膜、あるいは酸化シリコンに酸化チタンを混合させた膜を形成することで、特定波長の光干渉を生じさせて反射光を低減させたフィルムが液晶ディスプレイ用の反射防止膜として使われている。この場合は、目視で認められる欠陥やヘイズと呼ばれる濁りがなければその機能を発揮できる。また、耐傷性向上膜の場合、膜の欠陥の有無よりも、膜の硬度や基材との密着性が問題となることが多い。この他に、酸化シリコン膜の用途としては、基材と部材との密着性を確保するための中間層、あるいは、親水性を向上させるための表面処理層、対磨耗膜、硬質膜としても利用されている。
酸化シリコン膜の製造方法としては、真空蒸着法、スパッタ法又は化学気相成長法が用いられている。真空蒸着法の場合、真空雰囲気下でシリコンあるいは二酸化シリコンを溶融させて、蒸発した分子を基材に薄膜として堆積させるようにしている。また、スパッタ法の場合、低圧力下でプラズマを発生させ、イオン化した原子を酸化シリコンターゲットにぶつけることで酸化シリコンを放出させ、基材に薄膜として堆積するようにしている。また、化学気相成長法の場合、原料ガスとなるTEOS(テトラエチルオルソシリケート)を真空中に導入し、基材を加熱すると、基材表面上で化学反応が生じて、基材上に酸化シリコンを堆積するようにしている。
これらの方法では、緻密で平滑な酸化シリコン膜が得られ、バリア性の要求を満足する程度の高性能な酸化シリコン膜が得られる。
ところが、これらの方法では、真空プロセスを使うため、基材の大型化が進むと、真空チャンバーや真空ポンプなどの減圧装置等の設備面での複雑化や、それらによる装置全体の大型化が避けられずコストの上昇を招くことになる。また、減圧下での製造プロセスなので、生産性の向上(製造時間の短縮)が困難である。
そこで、大気圧下において基材上に酸化シリコン膜を形成する方法の実現が求められている。そのため、例えば、基材上に塗布されたポリシラザンをシリカに転化して、酸化シリコン膜を得るようにした酸化シリコン膜の製造方法が提案されている(例えば、特開2005−45230号公報)。
しかし、前記の酸化シリコン膜の製造方法では、原料であるポリシラザン自体が高価であり、また、焼付け処理や、乾燥処理が必要で時間がかかり、さらに、反応に伴い微量のシランが発生するという問題がある。
特開2005−43230号公報
そこで、本発明の課題は、基材上に酸化シリコン膜を形成するに際し、大気圧プラズマを利用することにより、減圧装置などの複雑化による装置全体の大型化や装置コストの上昇を招くことなく、かつ、焼付け処理や乾燥処理が不要な簡易な方法で大型の基材の成膜を行うことができるようにした、酸化シリコン膜の製造方法を提供することにある。
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
請求項1の発明は、表面にメチルハイドロジェンシリコーンオイルが塗布された基材を、互いに対向する電極間に配置し、大気圧雰囲気下において前記電極間に高周波電力又は直流電力を印加して発生させたグロー放電プラズマにより前記基材表面におけるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを分解し、前記基材上に酸化シリコン膜を形成することを特徴とする酸化シリコン膜の製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1記載の酸化シリコン膜の製造方法において、プラズマ生成ガスとして、空気、ヘリウム及び窒素のいずれか1種、又は、空気、ヘリウム及び窒素のいずれか1種と酸素あるいは水素とを混合したガスを用いることを特徴とするものである。
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の酸化シリコン膜の製造方法において、前記基材の加熱を温度70〜300℃の範囲で行うことを特徴とするものである。
請求項の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の酸化シリコン膜の製造方法において、前記対向する電極の電極間距離は、0.3〜10mmの範囲であり、前記電極間に高周波電力又は直流電力を連続的あるいはパルス状に印加することを特徴とするものである。
本発明の酸化シリコン膜の製造方法は、表面にメチルハイドロジェンシリコーンオイルが塗布された基材を、互いに対向する電極間に配置し、大気圧雰囲気下において前記電極間に高周波電力を印加して発生させたグロー放電プラズマにより前記基材表面におけるメチルハイドロジェンシリコーンオイルの化学反応を進めることで、前記基材上に酸化シリコン膜を形成するようにしている。したがって、基材上に酸化シリコン膜を形成するに際し、大気圧プラズマを利用することにより、減圧装置などの複雑化による装置全体の大型化や装置コストの上昇を招くことなく、かつ、焼付け処理や乾燥処理が不要な簡易な方法で大型の基材の成膜を行うことができる。
以下、本発明について、より詳しく説明する。
本発明の方法では、基材としては、ガラス基材、アルミニウム基材、銅基材、ステンレス基材などが挙げられる。また、本発明の方法では、基材に塗布する原料として、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを用いる。メチルハイドロジェンシリコーンオイルは、ポリシロキサンの側鎖の一部が水素で置換されているため、反応性に富んでいる。このため、プラズマ処理することにより、この水素置換部分を基点としてメチルハイドロジェンシリコーンオイルが分解され、その化学反応が進み酸化シリコン膜が形成される。なお、メチルハイドロジェンシリコーンオイルのメチル基の一部が、エチル基、あるいはフェニル基であってもよい。
一方、メチルハイドロジェンシリコーンオイルと同じくストレートシリコーンオイルに属するジメチルシリコーンオイルは、ポリシロキサンの側鎖がメチル基のものであり、同じくストレートシリコーンオイルに属するメチルフェニルシリコーンオイルは、ポリシロキサンの側鎖がフェニル基のものであり、このジメチルシリコーンオイルやメチルフェニルシリコーンオイルでは、反応性に乏しく、酸化シリコン膜は形成されない。
なお、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを基材上に塗布するに際し、該シリコーンオイルと基材との濡れ性を改善するために、該シリコーンオイルに対して0.1〜5質量%程度のアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)の添加が有効である。また、界面活性剤(ステアリン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルアミンオキシド)の添加が有効である。これらの添加により、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを基材上にムラがなく平滑に塗布することができる。
本発明の方法では、大気圧雰囲気下、すなわち、大気圧下もしくは大気圧近傍の圧力下におけるグロー放電プラズマを利用して、酸化シリコン膜を得るようにしているので、真空チャンバーや真空ポンプなどの減圧装置が不要で、装置全体の大型化や装置コストの上昇を招くことなく、大型の基材の成膜を行うことができる。具体的には、760〜500Torrの圧力範囲で成膜を行う。
本発明の方法では、プラズマ生成ガスとして、空気、ヘリウム及び窒素のいずれか1種のガス、又は、空気、ヘリウム及び窒素のいずれか1種と酸素あるいは水素とを混合した混合ガスを用いることがよい。空気の場合は、いわゆる大気中放電プラズマである。
そして、前記混合ガスの場合、窒素と酸素の混合ガスで、酸素を20体積%含有する混合ガスは、空気(大気)とほぼ同じ成分組成であり、大気中放電プラズマも可能である。
酸素は、形成される酸化シリコン膜中に含有される炭素不純物成分を分解除去する働きを有している。この場合、前記混合ガス中の酸素の混合率が1体積%未満では、前記炭素不純物成分分解除去効果が発揮されず、50体積%を超えると放電が起こらなくなる。したがって、混合ガス中の酸素の混合率は、1〜50体積%の範囲がよく、より好ましい上限値は、22体積%である。
また、水素は、形成される酸化シリコン膜中のCH基を分解除去して、酸化シリコン膜の形成を促進する働きを有している。この場合、前記混合ガス中の水素の混合率が0.1体積%未満では、前記CH基分解除去効果が発揮されず、20体積%を超えるとプラズマ放電が安定しない。したがって、混合ガス中の水素の混合率は、0.1〜20%の範囲がよい。
本発明の方法では、基材に対する酸化シリコン膜の密着性を向上させるため、基材の基材加熱を温度70〜300℃の範囲、より好ましくは100〜150℃の範囲で行うことがよい。なお、基材温度が70℃を下回ると酸化シリコン膜の結晶化が一部進み、得られる酸化シリコン膜がゴムのような弾力のある膜となってしまい、硬質な膜とならない。
また、本発明の方法では、対向する電極の電極間距離は、0.3〜10mmの範囲がよい。電極間距離が0.3mmを下回ると、電極間距離が狭すぎて、アーキングが発生する恐れがあり、放電が安定しない。また、10mmを超えると、大気圧雰囲気下におけるグロー放電プラズマを発生させにくい。電極間距離は、より好ましくは0.5〜5mm、特に好ましくは1〜3mmの範囲である。
また、本発明の方法では、対向する電極間に高周波電力又は直流電力を、連続的あるいはパルス状に印加することがよい。対向する電極のうち一方の電極としてドラム状の回転電極を用いる場合、高周波電力をパルス状に印加することにより、安定したグロー放電プラズマを広範囲に得ることができる。
そして、本発明方法の実施に用いるプラズマ成膜装置としては、反応容器内に対向する平行平板型の電極(対向する電極は、上部電極と、表面に固体誘電体が置かれた下部電極とからなり、基材は前記固体誘電体上に載置される)を備え、電極間に高周波電力を印加し、大気圧下にてグロー放電プラズマを発生させるようにしたプラズマ成膜装置を用いることができる(例えば、特開平6−2149号公報参照)。なお、前記下部電極の表面を覆う誘電体は、集中したストリーマ及びアーク放電への移行を防ぎ、安定した一様なプラズマを発生させるためのものである。
また、対向する平行平板型の電極の少なくとも一方の電極面に固体誘電体を設置し、大気圧下にて、電極間に処理ガスを導入しパルス状の電界を印加することにより放電プラズマを発生させ、この放電プラズマを放電空間外に配置されている基材に誘導して接触させるようにしたプラズマ成膜装置を用いることができる(例えば、特開2002−237480号公報参照)。
また、反応容器内に、対向する電極の一方の電極として円筒状外周面を有するドラム状回転電極と、他方の電極として平板状の基板ホルダー(基材はこの基板ホルダー上に載置される)とを備え、ドラム状回転電極と基板ホルダー間に高周波電力又は直流電力を連続的あるいはパルス状に印加することにより、大気圧下にてグロー放電プラズマを発生さるようにしたプラズマ成膜装置を用いることができる(例えば、特開平9−104985号公報参照)。なお、ドラム状回転電極の表面は、誘電体であるアルミナ膜(厚み100μm程度)が被覆されている。
そして、前記3つのプラズマ成膜装置のうちでも、前記ドラム状回転電極を備えたプラズマ成膜装置は、電界の集中がないためにアーク放電が起き難く、ドラム状回転電極の回転により、ドラム状回転電極と基材とのギャップ間に反応ガスをドラム状回転電極の軸方向全体にわたって均一に、かつ速い速度で供給できるので、生産性良く成膜を行える点から好ましい。
以下に、反応容器(チャンバー)内にドラム状回転電極を備えたプラズマ成膜装置による本発明の方法を詳しく説明する。なお、本発明方法は、例えば、反応容器を持たないドラム状回転電極を備えたプラズマ成膜装置によっても、実施可能である。
図1はドラム状回転電極を備えたプラズマ成膜装置の構成を概略的に示す側面図である。
図1において、反応容器(チャンバー)1内には、図における左右方向及び上下方向に移動可能な基材搬送台6が設けられ、その上に基板ホルダー5を介して成膜すべき平板状の基材(基板)4が載置されている。この基材4が載置されている基板ホルダー(ホルダー兼電極)5は、接地されている。また、基板ホルダー5の内部にはヒータ(図示せず)が設けられている。そして、この基材4とわずかな間隙(ギャップ)を持って対向するように、ドラム状回転電極7が設けられている。ドラム状回転電極7と前記基板ホルダー5とは、互いに対向する電極を構成している。アルミニウム製のドラム状回転電極7の表面は、溶射処理により厚み100μmのアルミナ膜が被覆されている。
このドラム状回転電極7の回転軸7aは、その両側に設けられた軸受により電気的に絶縁された状態で軸支されるとともに、該回転軸7aの一方側が反応容器1の外側面に取り付けられた回転電極用モータ(図示せず)の駆動軸に電気的に絶縁された状態で連結されている。また、反応容器1の外側には高周波電源8が設けられており、ドラム状回転電極7の回転軸7aは、整合器(インピーダンス・マッチングボックス)9を介して高周波電源8に電気的に接続されている。また、2は反応容器1内にプラズマ生成ガスなどを導入するためのガス導入口、3は排気口である。また、Pはプラズマ(プラズマ発生領域)である。
酸化シリコン膜の成膜の際には、まず、ガラス基材、あるいは樹脂基材(プラスチック基材)の表面に、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを塗布する。塗布方法は、スピンコート法、あるいはバーコーター法が利用できる。この場合、メチルハイドロジェンシリコーンオイルと基材との濡れ性を改善するために、該シリコーンオイルに対して0.1〜5質量%程度のアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)を添加したり、あるいは、界面活性剤(ステアリン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルアミンオキシド)を添加したりすることがよい。また、ピンホール等のない酸化シリコン膜を成膜するには、0.1〜10μmの厚みにメチルハイドロジェンシリコーンオイルを塗布し、プラズマ処理を行うことで、0.05〜5μmの厚みの酸化シリコン膜を得ることができる。
次に、基板ホルダー5上に、前記シリコーンオイルが塗布された基材4を載置し、反応容器1内に空気、ヘリウム及び窒素のいずれか1種、又は、空気、ヘリウム及び窒素のいずれか1種と酸素あるいは水素とを混合したガスを導入し、大気圧雰囲気下においてドラム状回転電極7と基板ホルダー5間に高周波電力を印加してグロー放電プラズマを発生させる。このプラズマは、ドラム状回転電極の軸方向に沿って発生するいわゆるライン状のプラズマとなる。そして、基材搬送台6を移動させることによって基材4をスキャンしながら、グロー放電プラズマにより基材表面におけるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを分解しその化学反応を進めることで、基材4上に酸化シリコン膜を形成することができる。
この場合、基材4に対する酸化シリコン膜の密着性を向上させるため、基材4の基材加熱を温度70〜300℃の範囲、より好ましくは100〜150℃の範囲で行うことがよい。また、電極間距離は、0.5〜5mm、さらには1〜3mmの範囲がよい。
前記ドラム状回転電極7の周速度は、100〜30000cm/分の範囲がよい。これは、プラズマ空間に蒸発したシリコーンオイル系の有機物の濃縮を防止するためであり、30000cm/分を超える周速度は必要ない。
また、ドラム状回転電極7に印加する高周波電力として、その周波数が、最も入手の容易な商用されている13.56MHz、あるいは、電源として入手可能な70MHz,100MHz,150MHzの高周波電力を用いることにより、プラズマ密度が向上し、安定なグロー放電プラズマを発生させることができる。なお、直流電力を印加してもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、この実施例では、回転電極を有するプラズマ成膜装置を用いたが、平行平板型の電極を備えたプラズマ成膜装置を用いることもできる。
[実施例1] 前述した図1に示す構成のプラズマ成膜装置を用いて酸化シリコン膜の成膜を行った。基材として、厚み0.7mm、100mm角の青板ガラス(ソーダライムガラス)基板を用いた。この青板ガラス基板上にメチルハイドロジェンシリコーンオイルを滴下し、これをバーコーターにて薄く広げることにより、青板ガラス基板上にメチルハイドロジェンシリコーンオイルを約240nmの厚みで塗布した。
電極間距離:5mm、ドラム状回転電極の周速度:約10000cm/分、高周波電力(連続的に印加):13.56MHz,500W、プラズマ処理時間:5分、プラズマ生成ガス(雰囲気ガス):ヘリウム、基板温度:150℃、という条件にて、反応容器1内をヘリウムガスで置換し、大気圧近傍の圧力700Torrで青板ガラス基板上に酸化シリコン膜を形成した。
その結果、青板ガラス基板上に硬質で透明な酸化シリコン膜を形成することができた。そして、この酸化シリコン膜は、その表面全体にわたって多数の微小なエンボス状の突起が形成されたものであり、膜面の平坦部分の膜厚は、接触式膜厚計によって測定したところ、120nmであった。
酸化シリコン膜の表面全体にわたって前記エンボス状の微小な突起が形成されるのは、プラズマ中の電荷イオンによってメチルハイドロジェンシリコーンオイルに微小電荷が誘起されて、該シリコーンオイルが凝集したためと考えられる。青板ガラス基板上に塗布されたメチルハイドロジェンシリコーンオイルは、塗布当初は平滑であったが、プラズマ処理中にエンボス化する。アルコール、界面活性剤を添加することによって、青板ガラス基板とメチルハイドロジェンシリコーンオイルとの濡れ性を良好にすることで、前記エンボス状の突起を生じさせないようにすることができる。
[比較例1] メチルハイドロジェンシリコーンオイルに代えてメチルフェニルシリコーンオイルを用い、それ以外は前記実施例1と同じ条件でプラズマを発生させた。しかし、青板ガラス基板上に塗布されたメチルフェニルシリコーンオイルに変化はなく、酸化シリコン膜は得られなかった。
[比較例2] メチルハイドロジェンシリコーンオイルに代えてジメチルシリコーンオイルを用い、それ以外は前記実施例1と同じ条件でプラズマを発生させた。しかし、青板ガラス基板上に塗布されたジメチルシリコーンオイルに変化はなく、酸化シリコン膜は得られなかった。
[実施例2] プラズマ生成ガスとしてヘリウムに代えて、酸素を15体積%含有する、ヘリウムと酸素との混合ガスを用いた以外は、前記実施例1と同一の条件でプラズマを発生させた。その結果、青板ガラス基板上に、比較的大きな網目で不規則な網目状のクラックが生じているものの、平滑であって透明で硬質な酸化シリコン膜を形成することができた。そして、酸化シリコン膜についてEDX(エネルギー分散型X線分光法)分析によってその炭素成分を分析したところ、炭素成分は酸素を用いない前記実施例1の場合の約半分程度の含有量となっていた。
[実施例3] プラズマ生成ガスとしてヘリウムに代えて、水素を10体積%含有する、ヘリウムと水素との混合ガスを用いた以外は、前記実施例1と同一の条件でプラズマを発生させた。その結果、青板ガラス基板上に、比較的大きな網目で不規則な網目状のクラックが生じているものの、平滑であって透明で硬質な酸化シリコン膜を形成することができた。
ドラム状回転電極を備えたプラズマ成膜装置の構成を概略的に示す側面図である。
符号の説明
1…反応容器(チャンバー)
2…ガス導入口
3…排気口
4…基材
5…基板ホルダー(ホルダー兼電極)
6…基材搬送台
7…ドラム状回転電極
8…高周波電源
9…整合器

Claims (4)

  1. 表面にメチルハイドロジェンシリコーンオイルが塗布された基材を、互いに対向する電極間に配置し、大気圧雰囲気下において前記電極間に高周波電力又は直流電力を印加して発生させたグロー放電プラズマにより前記基材表面におけるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを分解し、前記基材上に酸化シリコン膜を形成することを特徴とする酸化シリコン膜の製造方法。
  2. プラズマ生成ガスとして、空気、ヘリウム及び窒素のいずれか1種、又は、空気、ヘリウム及び窒素のいずれか1種と酸素あるいは水素とを混合したガスを用いることを特徴とする請求項1記載の酸化シリコン膜の製造方法。
  3. 前記基材の加熱を温度70〜300℃の範囲で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化シリコン膜の製造方法。
  4. 前記対向する電極の電極間距離は、0.3〜10mmの範囲であり、前記電極間に高周波電力又は直流電力を連続的あるいはパルス状に印加することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の酸化シリコン膜の製造方法。
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