JP5225205B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に関する。
従来、オクタン価の異なる2種の燃料を備える内燃機関が知られている。前記内燃機関では、よりオクタン価の低い第1の燃料を吸気ポートに配設された第1のインジェクタを介して該吸気ポートに噴射し、よりオクタン価の高い第2の燃料を燃焼室に配設された第2のインジェクタを介して該燃焼室に噴射する(例えば特許文献1参照)。
前記内燃機関は、吸気ポートに噴射される第1の燃料と、燃焼室に噴射される第2の燃料との比を適宜調節することにより、負荷に対し広い範囲で対応することができる。ここで、第1の燃料としては例えばガソリンを用いることができ、第2の燃料としては例えばエタノールを用いることができる。
前記エタノールは、植物性物質、例えばサトウキビ、トウモロコシ等の農作物の醗酵により得た所謂バイオエタノールを用いることができる。前記植物性物質は、原料となる植物自体が既に光合成により二酸化炭素を吸収しているので、かかる植物性物質から得られたバイオエタノールを燃焼させたとしても、排出される二酸化炭素の量は前記植物自体が吸収した二酸化炭素の量に等しい。即ち、総計としての二酸化炭素の排出量は理論的にはゼロになるという所謂カーボンニュートラル効果を得ることができる。
前記内燃機関において、前記燃焼室に配設された第2のインジェクタは、通常は前記エタノールが供給されることにより冷却され、該燃焼室の高温から保護されている。
特開2007−187112号公報
しかしながら、前記内燃機関では、負荷が大きくなるほど前記エタノールが消費されるので該エタノールの量は不足がちであり、第2のインジェクタに供給することができなくなると、第2のインジェクタが燃焼室の熱により損傷する虞があるという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、エタノールの残量が所定量以下になったときにも燃焼室に設けられたインジェクタの損傷を防止することができる内燃機関を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の内燃機関は、オクタン価の異なる2種の燃料を備え、よりオクタン価の低い第1の燃料を吸気ポートに配設された第1のインジェクタから噴射し、よりオクタン価の高い第2の燃料を燃焼室に配設された第2のインジェクタから噴射する内燃機関において、第1の燃料を貯留する第1の燃料タンクと、第1の燃料を第1の燃料タンクから第1のインジェクタに供給する第1の供給導管と、第2の燃料を貯留する第2の燃料タンクと、第2の燃料を第2の燃料タンク内に設けられたポンプユニットから高圧ポンプを介して第2のインジェクタに供給する第2の供給導管と、第2の燃料タンクに貯留される第2の燃料の残量が所定量以下になったときに、第1の燃料を第1の燃料タンクから第2のインジェクタに供給する供給切替手段とを備え、前記供給切替手段は、第1の供給導管及び第2の供給導管を接続するバイパス導管と、第1の供給導管の該バイパス導管との接続部の下流側に設けられた第1の供給制御弁と、第2の供給導管の該バイパス導管との接続部の上流側に設けられた第2の供給制御弁と、該バイパス導管の途中に設けられた第3の供給制御弁とを備え、第2の燃料タンクに貯留される第2の燃料の残量が所定量以下になったときに、第1の供給制御弁及び第2の供給制御弁を閉弁すると共に、第3の制御弁を開弁して、前記第1の燃料を第2のインジェクタに供給するもので、第1の燃料はガソリンであり、第2の燃料はエタノールであることを特徴とする。
本発明の内燃機関によれば、第2の燃料タンクに貯留される第2の燃料の残量が所定量以下になったときには、前記供給切替手段が第1の燃料を第1の燃料タンクから第2のインジェクタに供給する。従って、第2の燃料が不足して第2のインジェクタに供給することができなくなっても、第2のインジェクタは前記供給切替手段により供給される第1の燃料により冷却されることとなり、燃焼室の高温により損傷を受けることを防止することができる。
前記供給切替手段は、第2の燃料タンクに貯留される第2の燃料の残量が十分にあるときには、第3の制御弁を閉弁すると共に、第1の供給制御弁及び第2の供給制御弁を閉弁する。この結果、第1の燃料は、第1の燃料タンクから第1の供給導管を介して第1のインジェクタに供給される。また、第2の燃料は、第2の燃料タンクから第2の供給導管を介して第2のインジェクタに供給される。
一方、前記供給切替手段は、第2の燃料タンクに貯留される第2の燃料の残量が所定量以下になったときには、第1の供給制御弁及び第2の供給制御弁を閉弁すると共に、第3の制御弁を開弁する。この結果、第1のインジェクタへの第1の燃料の供給と、第2のインジェクタへの第2の燃料の供給とが、停止されると共に、第1の燃料が第1の燃料タンクから第1の供給導管、バイパス導管、第2の供給導管を介して第2のインジェクタに供給される。
本発明の内燃機関において、第1の燃料としてはガソリンを用い、第2の燃料としてはエタノールを用いる。
本発明の内燃機関の一実施形態の構成を示す説明的断面図。 図1に示す内燃機関の作動を示す説明的断面図。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態の内燃機関1は、シリンダからなる燃焼室2と、燃焼室2の天井部に設けられた点火プラグ3と、燃焼室2の下部に配設されたピストン4とを備えている。また、燃焼室2は、上部に連通する吸気ポート5と、排気ポート6とを備えており、吸気ポート5及び排気ポート6は、それぞれ燃焼室2に対する開口部を開閉する吸気弁7及び排気弁8を備えている。
また、内燃機関1は、第1の燃料である低オクタン燃料としてのガソリンを貯留する第1燃料タンク9と、第2の燃料である高オクタン燃料としてのエタノールを貯留する第2燃料タンク10とを備えている。第1燃料タンク9には第1供給導管11が配設されており、第1供給導管11は第1供給制御弁12を介して吸気ポート5に設けられた第1インジェクタ13に接続されている。第1インジェクタ13は、吸気ポート5の途中に備えられたスロットル弁14の下流に設けられている。第1供給導管11には、第1燃料タンク9内に設けられたポンプユニット11aからガソリンが供給される。
一方、第2燃料タンク10には第2供給導管15が配設されており、第2供給導管15は第2供給制御弁16、高圧ポンプ17を介して燃焼室2の天井部に設けられた第2インジェクタ18に接続されている。第2供給導管15には、第2燃料タンク10内に設けられたポンプユニット15aからエタノールが供給される。
第1供給導管11と第2供給導管15とは、第1供給制御弁12の上流側と、第2供給制御弁16及び高圧ポンプ17の途中とをバイパス導管19で連通することにより接続され、バイパス導管19の途中には第3供給制御弁20が設けられている。各供給制御弁12,16,20は、制御装置21により開閉が制御される。制御装置21としては、例えば、エンジンコントロールユニット等を用いることができる。
次に、内燃機関1の作動について説明する。
内燃機関1では、第1燃料タンク9に貯留されるガソリンと、第2燃料タンク10に貯留されるエタノールとは、それぞれ独立に供給されてもよい。また、ガソリンとエタノールとからなるガソリン−エタノール混合燃料に水を添加して分離させることにより得られたガソリンとエタノールとであってもよい。前記ガソリン−エタノール混合燃料から分離する場合、エタノールは水と微量のガソリンとを含んでいるが、本発明ではこのようなものも「エタノール」として用いる。また、ガソリン−エタノール混合燃料に含有されるガソリンは、通常のガソリンよりオクタン価の低い所謂サブオクタンガソリンであってもよい。
内燃機関1では、制御装置21により第2燃料タンク10内に貯留されているエタノールの残量が監視されている。エタノールの残量は、第2燃料タンク10内に設けられたフロートセンサ等の液面センサ(図示せず)により監視することができる。
そこで、まず、通常のエタノールの残量が所定量より多い状態では、制御装置21により、第3供給制御弁20が閉弁されると共に、第1供給制御弁12及び第2供給制御弁16が開弁されている。このとき、第1燃料タンク9内に貯留されているガソリンは、ポンプユニット11aにより第1供給導管11に供給され、図1に矢示するように、第1供給導管11を介して第1インジェクタ13から吸気ポート5に噴射される。また、第2燃料タンク10内に貯留されているエタノールは、ポンプユニット15aにより第2供給導管15に供給され、図1に矢示するように、第2供給導管15及び高圧ポンプ17を介して第2インジェクタ18から燃焼室2内に直接噴射される。尚、第3供給制御弁20は閉弁されているので、バイパス導管19には、ガソリンもエタノールも流通していない。
内燃機関1では、第1インジェクタ13から噴射されるガソリンの量と、第2インジェクタ18から噴射されるエタノールの量とを制御装置21で調整することにより、広い範囲の負荷に対応することができる。ところで、内燃機関1では、高負荷運転が長時間続けられると、高オクタン燃料であるエタノールの消費量が多くなり、第2燃料タンク10内に貯留されているエタノールの残量が不足し、第2インジェクタ18に供給できなくなることがある。第2インジェクタ18は、エタノールが供給されることにより冷却され、燃焼室2の高温から保護されているので、エタノールが供給できなくなると、燃焼室2の高温により損傷することが懸念される。
そこで、内燃機関1では、制御装置21により監視している第2燃料タンク10内に貯留されているエタノールの残量が所定量以下になったとき、例えばエタノールの残量が全く無くなった場合には、制御装置21により、第1供給制御弁12及び第2供給制御弁16が閉弁されると共に、第3供給制御弁20が開弁される。このようにすると、第1燃料タンク9内に貯留されているガソリンは、図2に矢示するように、ポンプユニット11aから、第1供給導管11に供給され、バイパス導管19、第2供給導管15を経由し、高圧ポンプ17を介して第2インジェクタ18から燃焼室2内に直接噴射される。この結果、第2インジェクタ18は、供給されるガソリンにより冷却されて燃焼室2の高温から保護されることとなり、燃焼室2の高温により損傷を受けることを防止することができる。
尚、このとき、第1供給制御弁12が閉弁されているので、ガソリンは第1インジェクタ13に供給されない。また、第2供給制御弁16が閉弁されているので、エタノールは第2供給導管15に流通されていない。
そして、第2燃料タンク10にエタノールが補給されたときには、制御装置21は、再び第3供給制御弁20を閉弁すると共に、第1供給制御弁12及び第2供給制御弁16を開弁し、通常の状態に復帰する。
1…内燃機関、 2…燃焼室、 5…吸気ポート、 9…第1燃料タンク、 10…第2燃料タンク、 11…第1供給導管、 12…第1供給制御弁、 13…第1インジェクタ、 15…第2供給導管、 16…第2供給制御弁、 18…第2インジェクタ、 19…バイパス導管、 20…第3供給制御弁、 21…制御装置。

Claims (2)

  1. オクタン価の異なる2種の燃料を備え、よりオクタン価の低い第1の燃料を吸気ポートに配設された第1のインジェクタから噴射し、よりオクタン価の高い第2の燃料を燃焼室に配設された第2のインジェクタから噴射する内燃機関において、
    第1の燃料を貯留する第1の燃料タンクと、
    第1の燃料を第1の燃料タンクから第1のインジェクタに供給する第1の供給導管と、
    第2の燃料を貯留する第2の燃料タンクと、
    第2の燃料を第2の燃料タンク内に設けられたポンプユニットから高圧ポンプを介して第2のインジェクタに供給する第2の供給導管と、
    第2の燃料タンクに貯留される第2の燃料の残量が所定量以下になったときに、第1の燃料を第1の燃料タンクから第2のインジェクタに供給する供給切替手段とを備え
    前記供給切替手段は、第1の供給導管及び第2の供給導管を接続するバイパス導管と、第1の供給導管の該バイパス導管との接続部の下流側に設けられた第1の供給制御弁と、第2の供給導管の該バイパス導管との接続部の上流側に設けられた第2の供給制御弁と、該バイパス導管の途中に設けられた第3の供給制御弁とを備え、
    第2の燃料タンクに貯留される第2の燃料の残量が所定量以下になったときに、第1の供給制御弁及び第2の供給制御弁を閉弁すると共に、第3の制御弁を開弁して、前記第1の燃料を第2のインジェクタに供給するもので、
    第1の燃料はガソリンであり、第2の燃料はエタノールであることを特徴とする内燃機関。
  2. 請求項1記載の内燃機関において、
    第2の燃料タンクにエタノールが補給されたときに、第3の供給制御弁を閉弁すると共に、第1の供給制御弁及び第2の供給制御弁16を開弁することを特徴とする内燃機関。
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