インクジェット記録ヘッドは、インク以外の液体、例えば、有機EL等を用いることも行われているので、以下、液体吐出記録ヘッドと称する。
発明者は、液体吐出圧力発生素子(以下、ヒーターと称す)上に設ける保護膜に着目した。保護膜には、個別電極と共通電極の絶縁性を保つことを目的とした絶縁性のシリコン窒化膜等のシリコン系の保護膜と、その上に設ける比較的粘りがあり機械的強度のあるTa等の金属材料からなる保護膜がある。Ta(タンタル)は液体吐出記録ヘッドにおいては、粘りがありしかも機械的強度があるという理由でヒーターの保護膜として用いられている。
更に、Taのドライエッチングには、シリコン系の絶縁膜のエッチングにも使用するCF4などの一般的なエッチングガスを用いることが可能であることに着目した。
尚、シリコン系の絶縁膜とは、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいは、シリコン酸窒化膜のようなシリコン系の絶縁膜を総称している。
本発明は、従来の熱酸化膜に変えて、保護膜で、且つ、金属膜であるTaを、供給口のエッチングストップ層として使用するものである。そのため、エッチングストップ層として新たな金属膜を導入することなく、金属であるTaからなる保護膜をエッチングストップ層として採用することが可能となるのでノッチの発生を防止できる。
この際に、エッチングストップ層全体がTa膜である必要はなく、供給口の側壁近傍(供給口の外縁部)に露出するエッチングストップ層がTa膜であれば良く、供給口の中央部に露出したエッチングストップ層はシリコン系の絶縁膜であっても良い。理由は、供給口の中央部に露出した絶縁膜が帯電し、エッチングに寄与する正イオンの軌道が曲げられても、曲げられた正イオンが供給口の側壁に到達しなければノッチが形成されないからである。
保護膜として使用されているTa膜を、エッチングストップ層とすることで、新たな金属膜を採用しないですむ、更に、工程数が増加することもない。
本発明の液体吐出記録ヘッドの第1の実施の形態を、図1、2、および、3を用いて説明する。
ヒーターの保護膜とエッチングストップ層とを兼ねるTaからなる保護膜を形成した状態の平面図が図2(b)に示され、図2(b)のa−a断面が図2(a)に示されている。更に、供給口が形成された状態での図2(b)のa−a断面の模式的斜視図が図1に示されている。
図3は、図2(b)のa−a断面による第1の実施の形態の液体吐出記録ヘッドの製法を示す模式的工程断面図である。
シリコン基板400上のヒーターが形成される領域に熱酸化膜450が形成され、熱酸化膜450上にヒーター300が形成されている。ヒーター300を覆う様にシリコン窒化膜200が形成され、シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域のシリコン基板400の表面が露出するように除去され、シリコン全面にTa膜100が形成されている(図2(a)、(b)参照)。
上記の構成を得るには、シリコン基板400上にシリコン窒化膜(不図示)を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去し、将来ヒーターを形成する領域のシリコン基板を露出させる。次に、露出したシリコン基板を、熱酸化法を用いて酸化し、熱酸化膜450を形成する。次に、熱酸化膜上にヒーター300形成後、シリコン窒化膜200を形成する。その後、シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域を通常のフォトリソグラフィー法とドライエッチング法を用いて除去した後、Ta膜100が形成される。
図1では更にシリコン基板がエッチング除去され、供給口の形成された状態が示されている。
図1および図2では、熱酸化膜450が、将来ヒーター300が形成される領域に設けられた構造が示されているが、シリコン基板400上に、熱酸化膜450、シリコン窒化膜200を形成後、供給口が形成される領域をエッチング除去しても良い。
この場合、上述の従来技術で説明した製造方法とは工程数が増加することなく製造工程の順序が異なるだけで、同一マスクを用いて製造することができる。
図3(1)(図2(a)と同じ)のようにTa膜100を形成後、シリコン基板400の流路を形成する面(Ta膜100が形成された側の面)に保護レジスト500を塗布し、供給口エッチングが開始される面に裏面レジストを塗布する。
次に、供給口を形成する部位の裏面レジストを通常のフォトリソグラフィー法を用いて除去し裏面レジストパターン600が形成される(図3(2)参照)。
その後、裏面レジストパターン600をマスクとしてシリコン基板400をエッチングして供給口700を形成する。エッチングはエッチングストップ層であるTa膜100が露出するまで深堀りRIE(反応性イオンエッチング)の一種であるボッシュプロセスを用いて行うことが好ましい(図3(3)参照)。
次に、供給口700に露出するTa膜100を、裏面レジストパターン600をマスクとしてRIE法を用いて除去した状態を示す(図3(4)参照)。
次に、保護レジスト500と裏面レジストパターン600とを剥離除去する(図3(5)参照)。剥離には、一般的なレジスト剥離液を用いればよい。
供給口を貫通させた後、ノズルプレート800を貼り合わせることでインクジェット記録ヘッドが形成される(図3(6)参照)。ここでは、ポリイミドフィルムをレーザーで加工し、これを接着材で貼り合わせた例を示しているが、流路型材を用いることも可能である。
一方、RIE法を用いて深い開孔を形成する場合、開孔の中央部に対し、開孔の側壁近傍のエッチャントの供給量が少なくなる場合がある。この場合、パターンの中央部が外周部よりもエッチング速度が速いことがあり、開孔の側壁の近傍のエッチングストップ層が露出するまでエッチングが行われた場合、開孔の中央部ではエッチングストップ層となるTa膜が除去された部分が発生する場合ある。
第2の実施の形態は上述の問題が生じない構造を提供することを目的とするものである。以下、図4および5を用いて詳細に説明する。
シリコン基板400上のヒーターが形成される領域に熱酸化膜450が形成され、熱酸化膜450上にヒーター300が形成されている。ヒーター300を覆う様にシリコン窒化膜200が形成されている。シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域の中央部を除いた領域が除去され、シリコン全面にTa膜100が形成されている(図4(a)、(b)参照)。
上記の構成を得るには、シリコン基板400上にシリコン窒化膜(不図示)を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去し、将来ヒーターを形成する領域のシリコン基板を露出させる。次に、露出したシリコン基板を、熱酸化法を用いて酸化し、熱酸化膜450を形成する。次に、熱酸化膜上にヒーター300形成後、シリコン窒化膜200を形成する。その後、シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域の中央部を除いた領域を通常のフォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用いて除去する。その後、Ta膜100が形成される。
本実施の形態でも第1の実施の形態と同様に、熱酸化膜450が、将来ヒーター300が形成される領域に設けられた構造が示されているが、シリコン基板400上に、熱酸化膜450、シリコン窒化膜200を形成後、供給口が形成される領域をエッチング除去することもできる。
図5は、図4(b)のa−a断面を用いた模式的工程断面図である。
図5(1)(図4(a)と同じ)のようにTa膜100を形成後、流路を形成する面に保護レジスト500を塗布し、供給口エッチングが開始される面に裏面レジストを塗布する。
次に、供給口を形成する部位の裏面レジストを除去し裏面レジストパターン600を形成する(図5(2)参照)。その後、裏面レジストパターン600をマスクとしてボッシュプロセスを用いてシリコンエッチングを行い、供給口700を形成する。供給口700の中央部は供給口の側壁近傍よりもエッチング速度が速い。そのために、供給口700の中央部でエッチングストップ層となるシリコン窒化膜200が露出した状態では、供給口700の側壁近傍では、シリコン基板400が残った状態である(図5(3)参照)。
その後、供給口700の側壁近傍でもエッチングストップ層となるTa膜が露出するまでさらにエッチングを行うことで、シリコン基板400を貫通する供給口が形成される。供給口700の側壁近傍にエッチングストップ層が露出すると、供給口700の中央部では、ストッパー層となるシリコン窒化膜200やTa膜100がエッチングされた状態となるが、保護レジスト500が露出することはない(図5(4)参照)。
次に、供給口700に露出するTa膜100およびシリコン窒化膜200を、RIE法を用いて除去した状態を示す(図5(5)参照)。
次に、保護レジスト500と裏面レジストパターン600とを剥離除去する(図5(6)参照)。剥離には、一般的なレジスト剥離液を用いた。
供給口を貫通させた後、ノズルプレート800を貼り合わせることでインクジェット記録ヘッドが形成される(図5(7)参照)。ここでは、ポリイミドフィルムをレーザーで加工し、これを接着材で貼り合わせた例を示しているが、流路型材を用いることも可能である。
一方、Taは一般的に応力が大きく、成膜条件によっては、供給口エッチング後の状態において剥がれなどの現象を生じる場合がある。
第3の実施の形態は上述の問題が生じない構造を提供することを目的とするものである。
上述の問題が発生することを防止するために、図4に示す供給口の中央部に残したシリコン窒化膜200の中央部のTa膜100の一部を除去しTa膜100の応力を分散させることでTa膜100の剥がれ等の現象を防止することができる。
以下、図6および7を用いて詳細に説明する。
シリコン基板400上のヒーターが形成される領域に熱酸化膜450が形成され、熱酸化膜450上にヒーター300が形成されている。ヒーター300を覆う様にシリコン窒化膜200が形成されている。シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域の中央部を除いた領域が除去されている。供給口700の中央部となる領域に残されたシリコン窒化膜200上に形成されたTa膜100が除されている(図6(a)、(b)参照)。
上記の構成を得るには、シリコン基板400上にシリコン窒化膜(不図示)を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去し、将来ヒーターを形成する領域のシリコン基板を露出させる。次に、露出したシリコン基板を、熱酸化法を用いて酸化し、熱酸化膜450を形成する。次に、熱酸化膜上にヒーター300形成後、シリコン窒化膜200を形成する。その後、シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域の中央部を除いた領域を通常のフォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用いて除去する。その後、Ta膜100が形成される。
その後、Ta膜100を形成し、通常のフォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用いて供給口700の中央部となる領域に残されたシリコン窒化膜200上に形成されたTa膜100を除去する。
本実施の形態でも第1の実施の形態と同様に、熱酸化膜450が、将来ヒーター300が形成される領域に設けられた構造が示されているが、シリコン基板400上に、熱酸化膜450、シリコン窒化膜200を形成後、供給口が形成される領域をエッチング除去することもできる。
図7は、図6(b)のa−a断面を用いた模式的工程断面図である。
図7(1)(図6(a)と同じ)のようにTa膜100を形成し、供給口700の中央部となる領域に残したシリコン窒化膜200上に形成されたTa膜100を除去した後、流路を形成する面に保護レジスト500を、供給口エッチングが開始される面に裏面レジストを塗布する。
次に、供給口を形成する部位の裏面レジストを除去し裏面レジストパターン600を形成する(図7(2)参照)。その後、裏面レジストパターン600をマスクとしてボッシュプロセスを用いてシリコンエッチングを行い、エッチングストップ層となるTa膜が露出するまでされにエッチングを行う(図7(3)参照)。
次に、供給口700に露出するTa膜100およびシリコン窒化膜200を、RIE法を用いて除去した状態を示す(図7(4)参照)。
次に、保護レジスト500と裏面レジストパターン600とを剥離除去する(図7(5)参照)。剥離には、一般的なレジスト剥離液を用いることができる。
シリコン基板400を貫通する供給口を形成した後、ノズルプレート800を貼り合わせることでインクジェット記録ヘッドが形成される(図7(6)参照)。ここでは、ポリイミドフィルムをレーザーで加工し、これを接着材で貼り合わせた例を示しているが、流路型材を用いることも可能である。
本発明の第4の実施の形態として供給口内にフィルターを形成した例を図8および9を用いて説明する。
シリコン基板400上のヒーターが形成される領域に熱酸化膜450が形成され、熱酸化膜450上にヒーター300が形成されている。ヒーター300を覆う様にシリコン窒化膜200が形成され、シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域除去され、Ta膜100がシリコン基板400上に形成されている。更に、Ta膜100の供給口700が形成される領域と対向する位置にフィルター層900が設けられている(図8(a)、(b)参照)。
上記の構成を得るには、シリコン基板400上にシリコン窒化膜(不図示)を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去し、将来ヒーターを形成する領域のシリコン基板を露出させる。次に、露出したシリコン基板を、熱酸化法を用いて酸化し、熱酸化膜450を形成する。次に、熱酸化膜上にヒーター300形成後、シリコン窒化膜200を形成する。その後、シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域の中央部を除いた領域を通常のフォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用いて除去する。その後、Ta膜100が形成される。次に、Ta膜100の供給口700が形成される領域と対向する位置にフィルター層900が形成される。
本実施の形態においても熱酸化膜450が、将来ヒーター300が形成される領域に設けられた構造が示されているが、シリコン基板400上に、熱酸化膜450、シリコン窒化膜200を形成後、供給口が形成される領域をエッチング除去することもできる。
図9は、図8(b)のa−a断面を用いた模式的工程断面図である。
図9(1)(図8(a)と同じ)のようにTa膜100を形成し、その後、Ta膜100の供給口700が形成される領域と対向する位置にフィルター層900を設けた後、流路を形成する面に保護レジスト500を、供給口エッチングが開始される面に裏面レジストを塗布する。
次に、供給口を形成する部位の裏面レジストを除去し裏面レジストパターン600を形成する(図9(2)参照)。その後、裏面レジストパターン600をマスクとしてエッチングストップ層であるTa膜100が露出するまでボッシュプロセスを用いてシリコンエッチングを行い、供給口700を形成する(図9(3)参照)。
次に、供給口700に露出するTa膜100を、RIE法を用いて除去した状態を示す(図9(4)参照)。
次に、保護レジスト500と裏面レジストパターン600を剥離除去する(図9(5)参照)。剥離には、一般的なレジスト剥離液を用いることができる。
供給口を貫通させた後、ノズルプレート800を貼り合わせることでインクジェット記録ヘッドが形成される(図9(6)参照)。ここでは、ポリイミドフィルムをレーザーで加工し、これを接着材で貼り合わせた例を示しているが、流路型材を用いることも可能である。
本発明の第5の実施形態として、流路型材を用いた製造方法を、図10の図2(b)のa−a断面を用いた模式的工程断面図を用いて説明する。
シリコン基板400上のヒーターが形成される領域に熱酸化膜450が形成され、熱酸化膜450上にヒーター300が形成されている。ヒーター300を覆う様にシリコン窒化膜200が形成されている。シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域の中央部を除いた領域が除去され、シリコン全面にTa膜100が形成されている(図10(1)参照)。
上記の構成を得るには、シリコン基板400上にシリコン窒化膜(不図示)を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去し、将来ヒーターを形成する領域のシリコン基板を露出させる。次に、露出したシリコン基板を、熱酸化法を用いて酸化し、熱酸化膜450を形成する。次に、熱酸化膜上にヒーター300形成後、シリコン窒化膜200を形成する。その後、シリコン窒化膜200の将来供給口が形成される領域の中央部を除いた領域を通常のフォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用いて除去する。その後、Ta膜100が形成される。
その後、溶解可能な樹脂を用いて流路型材870を形成した後、流路型材870を覆うように流路壁となるノズル材850を形成する。ノズル材850のヒーター300と対向する位置に液体吐出口880を形成する。その後、ノズル材850上に保護レジスト500を塗布し、供給口のエッチングが開始される面に裏面レジストを形成する。
次に、供給口を形成する部位の裏面レジストを除去し裏面レジストパターン600を形成する(図10(2)参照)。
その後、裏面レジストパターン600をマスクとしてエッチングストップ層であるTa膜100が露出するまでボッシュプロセスを用いてシリコンエッチングを行い、供給口700を形成する(図10(3)参照)。
次に、供給口700に露出するTa膜100を、RIE法を用いて除去した状態を示す(図10(4)参照)。
次に、保護レジスト500と裏面レジストパターン600を剥離除去する(図10(5)参照)。剥離には、一般的なレジスト剥離液を用いた。
その後、液体吐出口880および供給口700を介して溶媒により溶解除去し液体吐出記録ヘッドが形成される(図10(6)参照。
以下、本発明に基づく液体吐出記録ヘッドを実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(実施例)
(実施例1)
本実施例は、第1の実施形態に対応する実施例である。以下、図3の模式的工程断面図に基づいて本実施例の詳細を説明する。
膜厚200μmのシリコン基板400上に、シリコン窒化膜を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去した後、膜厚500nmの熱酸化膜450を形成した。シリコン窒化膜を除去した後、熱酸化膜450上にヒーター300と、配線(図示せず)の絶縁性を得るための第一の保護膜となるシリコン窒化膜200を形成した。その後、供給口が形成される領域のシリコン窒化膜200をドライエッチング法等のエッチング法を用いて除去し、機械的強度のある第二の保護膜となるTa膜100を形成した(図3(1)参照)。
シリコン窒化膜200はCVD法を用いて形成し、膜厚は300nm、Ta膜100はスパッタ法により形成し膜厚は230nmである。
次に、シリコン基板400の流路が形成される側に保護レジスト500を塗布し、供給口エッチングを開始する側に裏面レジストを形成した。その後、供給口が形成される領域の裏面レジストを除去し、裏面レジストパターン600を形成した(図3(2)参照)。
本実施例においてはレジストを使用したが、ドライフィルムなどの材料を用いることも可能である。なお、本実施例では、保護レジスト500および裏面レジストには、東京応化工業製のOFPR800を用い、膜厚が7μmになるように塗布法を用いて形成した。
次に、シリコン基板400のエッチングを、裏面レジストパターン600をマスクとして深堀りRIE法を用いて行った。シリコン基板400のエッチングは、エッチングストップ層となるTa膜100が供給口700に露出するまで行い、シリコン基板400を貫通する供給口700が形成された(図3(3)参照)。
本実施例では、ボッシュプロセスを用いたが、ボッシュプロセスに限定する必要はなく、ボッシュプロセス以外の深堀りRIE法であってももちろん構わない。
ボッシュプロセスの条件は特に限定されないが、本実施例においては、プラズマパワー2000W、基板バイアス100Wとした。基板バイアスはパルス制御とし、20ms(ON)と80ms(OFF)を繰り返した。
供給ガスはエッチングを目的としてSF6、側壁保護を目的としてC4F8を用いた。SF6とC4F8はそれぞれ3秒と1秒ずつ交互に流し、その際の流量は、それぞれ300sccm、150sccmとし、圧力は4.8Paに設定した。また、基板温度は冷媒により20℃となるように制御した。
エッチングが進行し、供給口700がシリコン基板400を貫通すると、エッチングストップ層となるTa膜100が供給口700に露出する。Ta膜100は、金属膜であるので、エッチングストップ層が正に帯電することがないのでノッチは発生しにくい。
次に、エッチングストップ層であるTa膜100をCF4などのガスを用い、ドライエッチング法を用いて除去した(図3(4)参照)。
その後、保護レジスト500と裏面レジストパターン600とレジスト剥離液を用いて除去した(図3(5)参照)。剥離液としては、OFPR800用の剥離液を用いることが出来る。
次に、ノズルプレート800を貼り合わせ液体吐出ヘッドが完成させた(図3(6)参照)。ノズルプレート800用の材料としては、例えば、ポリイミドフィルムを用いた。ポリイミドフィルムをレーザーで加工し、ノズルプレート800を形成した後、接着材を用いて貼り合わせた。
本実施例においては、基体へ供給口形成後にノズルプレートを貼り合わせるプロセスを示したが、後述の実施例5に示すように、従来技術で示した流路パターンを設ける製造方法を適用できる。
(実施例2)
本実施例は、第2の実施形態に対応する実施例である。以下、図5の模式的工程断面図に基づいて本実施例の詳細を説明する。
膜厚200μmのシリコン基板400上に、シリコン窒化膜を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去した後、膜厚500nmの熱酸化膜450を形成した。その後、シリコン窒化膜を除去した。次に、熱酸化膜450上にヒーター300と、配線(図示せず)の絶縁性を得るための第一の保護膜となる膜厚300nmのシリコン窒化膜200を、CVD法を用いて形成した。
その後、将来供給口が形成される領域の端部のシリコン窒化膜200をフォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用いて除去した。
次に、スパッタ法を用いて膜厚230nmのTa膜100を形成した(図5(1)参照)。
次に、シリコン基板400の流路が形成される側に保護レジスト500を塗布し、供給口エッチングを開始する側に裏面レジストを形成した。その後、供給口が形成される領域の裏面レジストを除去し、裏面レジストパターン600を形成した(図5(2)参照)。
尚、保護レジスト500および裏面レジストには、東京応化工業製のOFPR800を用い、膜厚が7μmになるように塗布法を用いて形成した。
本実施例においてはレジストを使用したが、ドライフィルムなどの材料を用いることも可能である。
次に、シリコン基板400を貫通する供給口700を、裏面レジストパターン600をマスクとして深堀りRIE法を用いて形成する。この際、供給口700の様に深い開孔を形成する場合、供給口700の中央部に対し、供給口700の側壁近傍のエッチャントの供給量が少なくなることがある。この様な状態が発生すると、中央部のエッチング速度に比べて壁面近傍のエッチング速度が遅くなる場合がある。この結果、供給口700の中央部ではエッチングストップ層が露出しているが、供給口700の壁面側はエッチングが終了していない場合が生じる(図5(3)参照)。
この場合、供給口700の、供給口中央部のエッチング速度が速いため、供給口700の壁面側のエッチングが終了(供給口がシリコン基板を貫通する状態)すると、中央部はさらにエッチングが進む。この結果、供給口700の中央部ではエッチングストップ層がエッチングされてしまう(図5(4)参照)。しかしながら本実施例では、供給口700の中央部は、シリコン窒化膜200上にTa膜100が形成された2層構造となっている。このため、中央部のエッチングストップ層がなくなる可能性は小さくなる。
本実施例では供給口の中央部には絶縁膜からなるエッチングストップ層が露出してしまうが、エッチングが終了するまで供給口の壁面近傍は、シリコン基板あるいはTa膜が露出しているので帯電は生じない。
深堀りRIE法としては、本実施例でもボッシュプロセスを用いた。
ボッシュプロセスの条件は特に限定されないが、本実施例においては、プラズマパワー2000W、基板バイアス100Wとした。基板バイアスはパルス制御とし、20ms(ON)と80ms(OFF)を繰り返した。
供給ガスはエッチングを目的としてSF6、側壁保護を目的としてC4F8を用いた。SF6とC4F8はそれぞれ3秒と1秒ずつ交互に流し、その際の流量は、それぞれ300sccm、150sccmとし、圧力は4.8Paに設定した。また、基板温度は冷媒により20℃となるように制御した。
次に、エッチングストップ層であるTa膜100とシリコン窒化膜200とをCF4などのガスを用い、ドライエッチング法を用いて除去した(図5(5)参照)。
その後、保護レジスト500と裏面レジストパターン600とレジスト剥離液を用いて除去した(図5(6)参照)。剥離液としては、OFPR800用の剥離液を用いることが出来る。
次に、ノズルプレート800を貼り合わせ液体吐出ヘッドが完成させた(図5(7)参照)。ノズルプレート800用の材料としては、例えば、ポリイミドフィルムを用いた。ポリイミドフィルムをレーザーで加工し、ノズルプレート800を形成した後、接着材を用いて貼り合わせた。
本実施例においては、基体へ供給口形成後にノズルプレートを貼り合わせるプロセスを示したが、後述の実施例5に示すように、従来技術で示した流路パターンを設ける製造方法を適用できる。
(実施例3)
Taは一般的に応力が大きく、成膜条件によっては、供給口エッチング後の状態において剥がれなどの現象を生じる場合がある。
上述の問題が発生することを防止するために、実施例2で供給口の中央部に残したシリコン窒化膜200上のTa膜100の一部を除去しTa膜100の応力を分散させることでTa膜100の剥がれ等の現象を防止することができる。
以下、図7の模式的工程断面図を用いて本実施例の製造方法を詳細に説明する。
膜厚200μmのシリコン基板400上に、シリコン窒化膜を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去した後、膜厚500nmの熱酸化膜450を形成した。その後、シリコン窒化膜を除去した。次に、熱酸化膜450上にヒーター300と、配線(図示せず)の絶縁性を得るための第一の保護膜となる膜厚300nmのシリコン窒化膜200を、CVD法を用いて形成した。
その後、将来供給口が形成される領域の端部のシリコン窒化膜200をフォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用いて除去した。
次に、スパッタ法を用いて膜厚230nmのTa膜100を形成した後、供給口が形成される領域に設けられたシリコン窒化膜200上のTa膜100をフォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用いて除去した(図7(1)参照)。
次に、シリコン基板400の流路が形成される側に保護レジスト500を塗布し、供給口エッチングを開始する側に裏面レジストを形成した。その後、供給口が形成される領域の裏面レジストを除去し、裏面レジストパターン600を形成した(図7(2)参照)。
尚、保護レジスト500および裏面レジストには、東京応化工業製のOFPR800を用い、膜厚が7μmになるように塗布法を用いて形成した。
本実施例においてはレジストを使用したが、ドライフィルムなどの材料を用いることも可能である。
次に、シリコン基板400を裏面レジストパターン600をマスクとして深堀りRIE法を用い行った。シリコン基板400のエッチングは、エッチングストップ層となるTa膜100およびシリコン窒化膜200が供給口700に露出するまで行い、シリコン基板400を貫通する供給口700を形成した(図7(3)参照)。
エッチングストップ層の下のシリコン基板がエッチングされ、エッチングストップ層となるTa膜100の膜応力のバランスに変化が生じても、供給口中央部分のTa膜100が除去されているため、剥がれなどの現象は起こりにくい。
深堀りRIE法としては、本実施例でもボッシュプロセスを用いた。
ボッシュプロセスの条件は特に限定されないが、本実施例においては、プラズマパワー2000W、基板バイアス100Wとした。基板バイアスはパルス制御とし、20ms(ON)と80ms(OFF)を繰り返した。
供給ガスはエッチングを目的としてSF6、側壁保護を目的としてC4F8を用いた。SF6とC4F8はそれぞれ3秒と1秒ずつ交互に流し、その際の流量は、それぞれ300sccm、150sccmとし、圧力は4.8Paに設定した。また、基板温度は冷媒により20℃となるように制御した。
次に、エッチングストップ層であるTa膜100とシリコン窒化膜200とをCF4などのガスを用い、ドライエッチング法を用いて除去した(図7(4)参照)。
その後、保護レジスト500と裏面レジストパターン600とレジスト剥離液を用いて除去した(図7(5)参照)。剥離液としては、OFPR800用の剥離液を用いることが出来る。
次に、ノズルプレート800を貼り合わせ液体吐出ヘッドが完成させた(図7(6)参照)。ノズルプレート800用の材料としては、例えば、ポリイミドフィルムを用いた。ポリイミドフィルムをレーザーで加工し、ノズルプレート800を形成した後、接着材を用いて貼り合わせた。
本実施例においては、基体へ供給口形成後にノズルプレートを貼り合わせるプロセスを示したが、後述の実施例5に示すように、従来技術で示した流路パターンを設ける製造方法を適用できる。
(実施例4)
本実施例は、供給口内にフィルターを形成したもので、図9の模式的工程断面図を用いて製造方法を説明する。
膜厚200μmのシリコン基板400上に、シリコン窒化膜を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去した後、膜厚500nmの熱酸化膜450を形成した。次に、シリコン窒化膜を除去した。次に、熱酸化膜450上にヒーター300と、配線(図示せず)の絶縁性を得るための第一の保護膜となるシリコン窒化膜200を形成した。その後、供給口が形成される領域のシリコン窒化膜200をドライエッチング法等のエッチング法を用いて除去し、機械的強度のある第二の保護膜となるTa膜100を形成した。
その後、Ta膜100のシリコン基板400の将来供給口が形成される領域に対向する位置にフィルター層900を形成した(図9(1)参照)。
シリコン窒化膜200はCVD法を用いて形成し、膜厚は300nm、Ta膜100はスパッタ法により形成し膜厚は230nmである。
フィルター層900の材料としては、無機膜や有機膜などを用いることが可能である。フィルター形成後に供給口形成する場合、エッチングストップ層は、このフィルターへの保護層として働くことになる。
次に、シリコン基板400の流路が形成される側に保護レジスト500を塗布し、供給口エッチングを開始する側に裏面レジストを形成した。その後、供給口が形成される領域の裏面レジストを除去し、裏面レジストパターン600を形成した(図9(2)参照)。
本実施例においてはレジストを使用したが、ドライフィルムなどの材料を用いることも可能である。なお、本実施例では、保護レジスト500および裏面レジストには、東京応化工業製のOFPR800を用い、膜厚が7μmになるように塗布法を用いて形成した。
次に、シリコン基板400を裏面レジストパターン600をマスクとして深堀りRIE法を用い行った。シリコン基板400のエッチングは、エッチングストップ層となるTa膜100が供給口700に露出するまで行い、シリコン基板400を貫通する供給口700を形成した(図9(3)参照)。
本実施例では、ボッシュプロセスを用いたが、ボッシュプロセスに限定する必要はなく、ボッシュプロセス以外の深堀りRIE法であってももちろん構わない。
ボッシュプロセスの条件は特に限定されないが、本実施例においては、プラズマパワー2000W、基板バイアス100Wとした。基板バイアスはパルス制御とし、20ms(ON)と80ms(OFF)を繰り返した。
供給ガスはエッチングを目的としてSF6、側壁保護を目的としてC4F8を用いた。SF6とC4F8はそれぞれ3秒と1秒ずつ交互に流し、その際の流量は、それぞれ300sccm、150sccmとし、圧力は4.8Paに設定した。また、基板温度は冷媒により20℃となるように制御した。
エッチングが進行し、供給口700がシリコン基板400を貫通すると、エッチングストップ層となるTa膜100が供給口700に露出する。Ta膜100は、金属膜であるので、エッチングストップ層が正に帯電することがないのでノッチは発生しにくい。
次に、エッチングストップ層であるTa膜100をCF4などのガスを用い、ドライエッチング法を用いて除去した(図9(4)参照)。
Ta膜100は、CF4などのガスを用い、ラジカルを主体とした異方性ドライエッチングすることが可能である。その場合、例えばフィルター層900の材料が樹脂の場合、フィルター層900とエッチングストップ層となるTa膜100とのエッチング選択比を大きくすることができるのでフィルター層900へのダメージは小さくなる。
その後、保護レジスト500と裏面レジストパターン600とをレジスト剥離液を用いて除去した(図9(5)参照)。剥離液としては、OFPR800用の剥離液を用いることが出来る。
次に、ノズルプレート800を貼り合わせ液体吐出ヘッドが完成させた(図9(6)参照)。ノズルプレート800用の材料としては、例えば、ポリイミドフィルムを用いた。ポリイミドフィルムをレーザーで加工し、ノズルプレート800を形成した後、接着材を用いて貼り合わせた。
本実施例においては、基体へ供給口形成後にノズルプレートを貼り合わせるプロセスを示したが、後述の実施例5に示すように、従来技術で示した流路パターンを設ける製造方法を適用できる。
(実施例5)
図10には、実施例1のノズルプレートを、
(1)溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成する工程と、
(2)常温にて固体状のエポキシ樹脂を含む被覆樹脂を溶媒に溶解し、これを溶解可能な樹脂層上にソルベントコートすることによって、溶解可能な樹脂層上にインク流路壁となる被覆樹脂層を形成する工程と、
(3)インク吐出圧力発生素子上方の被覆樹脂層にインク吐出口を形成する工程と、
(4)溶解可能な樹脂層を溶出する工程と、を行うことによって形成する、液体吐出記録ヘッドの製造方法を、図10の模式的工程断面図を用いて詳細に説明する。
膜厚200μmのシリコン基板400上に、シリコン窒化膜を形成し、その後、熱酸化膜を形成する領域のシリコン窒化膜を除去した後、膜厚500nmの熱酸化膜450を形成した。次に、シリコン窒化膜を除去した。次に、熱酸化膜450上にヒーター300と、配線(図示せず)の絶縁性を得るための第一の保護膜となるシリコン窒化膜200を形成した。その後、供給口が形成される領域のシリコン窒化膜200をドライエッチング法等のエッチング法を用いて除去し、機械的強度のある第二の保護膜となるTa膜100を形成した(図10(1)参照)。
シリコン窒化膜200はCVD法を用いて形成し、膜厚は300nm、Ta膜100はスパッタ法により形成し膜厚は230nmである。
その後、溶解可能な樹脂を用いて流路型材870を形成した後、流路型材870を覆うように流路壁となるノズル材850を形成した。溶解可能な樹脂としてノボラック系のポジ型のレジストを、ノズル材850にはネガ型のレジストを用いた。
流路型材870は、ノボラック系のポジ型のレジストをシリコン基板400上に塗布後、通常のフォトリソグラフィー法を用いてパターン形成を行った。同様にノズル材850もネガ型のレジストをシリコン基板上に塗布した後、通常のフォトリソグラフィー法を用いてパターン形成を行った。この際同時にヒーター300と対向する位置に液体吐出口880の形成も行った。
その後、ノズル材850上に保護レジスト500を塗布し、供給口のエッチングが開始される面に裏面レジストを形成した。
次に、供給口を形成する部位の裏面レジストを除去し裏面レジストパターン600を形成した(図10(2)参照)。
本実施例においてはレジストを使用したが、ドライフィルムなどの材料を用いることも可能である。なお、本実施例では、保護レジスト500および裏面レジストには、東京応化工業製のOFPR800を用い、膜厚が7μmになるように塗布法を用いて形成した。
本実施例ではネガ型のレジストに対しフォトリソグラフィー法を用いて液体吐出口880を形成したが、ノズル材850上にレジストパターンを形成し、これをマスクとして、ドライエッチングなどにより行うことも出来る。
その後、裏面レジストパターン600をマスクとしてエッチングストップ層であるTa膜100が露出するまでボッシュプロセスを用いてシリコンエッチングを行い、供給口700を形成する(図10(3)参照)。
次に、供給口700に露出するTa膜100を、RIE法を用いて除去した状態を示す(図10(4)参照)。
次に、保護レジスト500と裏面レジストパターン600を剥離除去する(図10(5)参照)。剥離には、一般的なレジスト剥離液を用いた。
供給口を貫通させた後、液体吐出口880および供給口700を介し剥離液により流路型材870を溶解除去し液体吐出記録ヘッドが形成された(図10(6)参照)。ここで剥離液は、通常のレジスト剥離液を用いた。
(比較例)
比較例としてシリコン系の絶縁膜をエッチングストップ層に用いた例を図13の模式的工程断面図を用いて説明する。
膜厚200μmのシリコン基板400上に、膜厚500nmmの熱酸化膜450を形成した。次に、熱酸化膜450上にヒーター300と、配線(図示せず)の絶縁性を得るための第一の保護膜となるシリコン窒化膜200およびTa膜100を形成した。その後、将来供給口が形成される領域に対応するTa膜100と、シリコン窒化膜200と、を通常のフォトリソグラフィー法とドライエッチング法とを用い除去した(図13(1)参照)。
シリコン窒化膜200はCVD法を用いて形成し、膜厚は300nm、Ta膜100はスパッタ法により形成し膜厚は230nmである。
流路を形成する面に保護レジスト500を塗布し、供給口エッチングが開始される面に裏面レジストを形成する。
次に、シリコン基板400の流路が形成される側に保護レジスト500を塗布し、供給口エッチングを開始する側に裏面レジストを形成した。その後、供給口が形成される領域の裏面レジストを除去し、裏面レジストパターン600を形成した(図13(2)参照)。
本比較例では、保護レジスト500および裏面レジストには、東京応化工業製のOFPR800を用い、膜厚が7μmになるように塗布法を用いて形成した。
次に、シリコン基板400を、裏面レジストパターン600をマスクとして深堀りRIE法を用い、供給口700を形成した。シリコン基板400のエッチングは、エッチングストップ層となる熱酸化膜450が供給口700に露出するまで行い、シリコン基板400を貫通する供給口700を形成した(図13(3)参照)。
本比較例では、ボッシュプロセスを用いたが、ボッシュプロセスに限定する必要はなく、ボッシュプロセス以外の深堀りRIE法であってももちろん構わない。
ボッシュプロセスの条件は特に限定されないが、本比較例においては、プラズマパワー2000W、基板バイアス100Wとした。基板バイアスはパルス制御とし、20ms(ON)と80ms(OFF)を繰り返した。
供給ガスはエッチングを目的としてSF6、側壁保護を目的としてC4F8を用いた。SF6とC4F8はそれぞれ3秒と1秒ずつ交互に流し、その際の流量は、それぞれ300sccm、150sccmとし、圧力は4.8Paに設定した。また、基板温度は冷媒により20℃となるように制御した。
次に、供給口700に露出する熱酸化膜450を、RIE法を用いて除去した(図13(4)参照)。
次に、保護レジスト500と裏面レジストパターン600を剥離除去した(図13(5)参照)。剥離には、一般的なレジスト剥離液を用いた。
供給口を貫通させた後、ノズルプレート800を貼り合わせることでインクジェット記録ヘッドが形成された(図13(6)参照)。
本比較例では、図13(3)に示される様に、熱酸化膜450をエッチングストップ層として供給口700を形成する際、熱酸化膜450の帯電の影響により、シリコン基板400の熱酸化膜との界面にノッチが形成される場合があった。
実施例1−5および比較例の液体吐出記録ヘッドを組み立てて印字を行ったところ、ノッチが発生した部分において、ヒーターと供給口との距離は設定した値よりも小さくなったことにより、想定した吐出性能を得ることが出来なかった。