JP5224491B2 - レセプター結合性物質のスクリーニング方法 - Google Patents

レセプター結合性物質のスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、レセプター結合性物質、すなわち、アゴニストおよび細胞内レセプター共役タンパク質のスクリーニング方法に関する。
レセプターは、そのほとんどが細胞膜に存在し、外部の刺激を認識して情報を伝達するための構造を有している。言い換えれば、レセプターは、ホルモン、神経伝達物質などの細胞外に存在する物質や物理的または化学的刺激が、何らかの細胞応答を引き起こす場合の、その物質または刺激を特異的に認識するシグナル伝達の入口である。レセプターに結合して細胞応答を引き起こす物質をアゴニストといい、アゴニストまたは刺激がレセプターに作用し、タンパク質間相互作用を介して直接的または第二メッセンジャーを介して間接的に細胞応答を引き起こす。
レセプターとしては、代表的には、以下のような種類が知られている:(1)三量体Gタンパク質共役型(7回膜貫通型):N末端を細胞外にC末端を細胞内に向けて7個の疎水性部が細胞膜を貫通する構造をとり、アセチルコリン、ノルアドレナリンなどの化学物質、光(ロドプシン)などを認識して、Gタンパク質を活性化し、種々のエフェクター分子にシグナルを伝達する;(2)レセプター型キナーゼ:1回膜を貫通し、細胞質内のC末端側がプロテインキナーゼ活性を有し、アゴニストによって酵素が活性化され、標的タンパク質をリン酸化することによってシグナルを伝達する;(3)サイトカインレセプター型:1回膜を貫通するが、細胞質内C末端が短く、特定の機能を持たず、共役する他のタンパク質を活性化してシグナルを伝達する;(4)イオンチャンネル型:アゴニストや刺激により、内在するイオンチャンネルの透過性が変化してシグナルを伝達するもので、膜を4回通過するN−メチル−D−アスパラギン酸レセプター、1回貫通するイノシトール1,4,5−トリスリン酸レセプターなどがある;および(5)脂溶性ホルモンレセプター:細胞質内や核内の可溶性のタンパク質レセプターであり、細胞膜を通過したアゴニストが結合して、転写を活性化する。
なかでも、Gタンパク質共役型レセプター(GPCR)は、生体の基礎的機能において重要であり、cDNAクローニングされているものだけでも数百種類が知られており、千種類以上存在すると予想されている。このような生体機能に重要と思われるレセプターに対するアゴニスト/アンタゴニストをスクリーニングすることは、創薬における第1段階であり、そのための方法が、いくつか報告されている(特許文献1〜3参照)。例えば、特許文献3では、異種性GPCRを発現する組換え酵母細胞にスクリーニングすべき物質を外的に添加することによって、あるいは該酵母細胞自体がスクリーニングすべき物質を発現して分泌することによって、レセプター結合性物質をスクリーニングしている。
特表2002−541439号公報 特表平11−507518号公報 特表2001−519157号公報
種々のレセプターに対して標的化合物を1つずつスクリーニングするには、非常に時間および費用がかかる。そこで、本発明の目的は、スクリーニングの時間短縮および作業効率向上のために、コンビナトリアルバイオエンジニアリングを利用したアゴニストハイスループットスクリーニング系を提供することである。
ここで、コンビナトリアルバイオエンジニアリングとは、DNA情報に基づいて、ポリメラーゼ連鎖反応などを用いて、同時に多数のDNAライブラリーを作成し、生細胞の増殖性を利用することによってこのDNAライブラリーを細胞で発現させて機能性ペプチドを産生させるという、一連の手法のことをいう。この方法によれば、ほぼ無限に近いランダムなペプチドライブラリーを簡単に作成することができる。
本発明は、アゴニストのスクリーニング方法を提供し、該方法は、
レセプターを発現し、そしてランダム化したアゴニスト候補物質を細胞表層に提示する酵母を得る工程;および
発現した該アゴニスト候補物質が該レセプターに結合している酵母を検出する工程;を含む。
好適な実施態様では、上記レセプターは、キメラレセプターである。
好適な実施態様では、上記レセプターは、Gタンパク質共役型レセプターであり、該レセプターのアゴニスト結合部位は細胞表層に提示され、そして該レセプターは、前記酵母の細胞質内のGタンパク質と相互作用してシグナル伝達を引き起こす。
より好適な実施態様では、上記レセプターにおける細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位は酵母に由来するか、あるいは哺乳類に由来する。
さらに好適な実施態様では、上記レセプターは、細胞内で発現される第1のマーカータンパク質をさらに有し;上記酵母は、該第1のマーカータンパク質と相互作用し得る第2のマーカータンパク質と、哺乳類のGタンパク質との、融合タンパク質を細胞内に発現し;そして、該第1のマーカータンパク質と該第2のマーカータンパク質との相互作用は検出可能である。
より好適な実施態様では、上記第1および第2のマーカータンパク質の組み合わせは、シアン蛍光タンパク質および黄色蛍光タンパク質の組み合わせ、あるいはβ−ガラクトシダーゼΔαおよびβ−ガラクトシダーゼΔωの組み合わせである。
好適な実施態様では、上記アゴニスト候補物質は、リンカーを介して細胞表層に提示される。
他の好適な実施態様では、上記検出する工程は、蛍光変化、発色反応、発光反応、またはレポーター遺伝子の発現を検出する工程である。
より好適な実施態様では、上記酵母はプロテアーゼ低下株または欠損株である。
本発明はまた、細胞内レセプター共役タンパク質のスクリーニング方法を提供し、該方法は、
ランダム化した哺乳類cDNAライブラリー由来の細胞内レセプター共役タンパク質候補物質を細胞内に発現し、アゴニスト結合部位を細胞表層に提示しかつ細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位を細胞内に提示するレセプターを細胞膜に発現し、そして、アゴニストを細胞表層に提示する酵母を得る工程;および
該アゴニストと該レセプターとの結合によって該レセプターと該細胞内レセプター共役タンパク質との相互作用が生じた酵母を検出する工程;を含む。
好適な実施態様では、上記レセプターは、キメラレセプターである。
好適な実施態様では、上記キメラレセプターは、細胞内で発現される第1のマーカータンパク質をさらに有し;上記酵母は、該第1のマーカータンパク質と相互作用し得る第2のマーカータンパク質と、哺乳類のGタンパク質との、融合タンパク質を細胞内に発現し;そして、該第1のマーカータンパク質と該第2のマーカータンパク質との相互作用は検出可能である。
より好適な実施態様では、上記第1および第2のマーカータンパク質の組み合わせは、シアン蛍光タンパク質および黄色蛍光タンパク質の組み合わせ、あるいはβ−ガラクトシダーゼΔαおよびβ−ガラクトシダーゼΔωの組み合わせである。
好適な実施態様では、上記アゴニストは、リンカーを介して細胞表層に提示される。
他の好適な実施態様では、上記検出する工程は、蛍光変化、発色反応、発光反応、またはレポーター遺伝子の発現を検出する工程である。
より好適な実施態様では、上記酵母はプロテアーゼ低下株または欠損株である。
本発明はさらに、ランダム化した哺乳類cDNAライブラリー由来の細胞内レセプター共役タンパク質候補物質を細胞内に発現し;
アゴニスト結合部位を細胞表層に提示しかつ細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位を細胞内に提示するレセプターを発現し;そして
アゴニストを細胞表層に提示する;酵母を提供する。
好適な実施態様では、上記レセプターは、キメラレセプターである。
好適な実施態様では、上記キメラレセプターは、細胞内で発現される第1のマーカータンパク質をさらに有し;上記酵母は、該第1のマーカータンパク質と相互作用し得る第2のマーカータンパク質と、哺乳類のGタンパク質との、融合タンパク質を細胞内に発現し;そして、該第1のマーカータンパク質と該第2のマーカータンパク質との相互作用は検出可能である。
より好適な実施態様では、上記第1および第2のマーカータンパク質の組み合わせは、シアン蛍光タンパク質および黄色蛍光タンパク質の組み合わせ、あるいはβ−ガラクトシダーゼΔαおよびβ−ガラクトシダーゼΔωの組み合わせである。
本発明のアゴニストのスクリーニング方法は、対象となるレセプターと同一細胞の表層上に発現したアゴニスト候補物質のみが該レセプターに結合するため、ランダム化したアゴニスト候補物質を導入した組換え酵母を構築して培養するのみで、スクリーニングが可能である。また、アゴニスト候補物質とレセプターとが細胞内で1対1対応しているため、1細胞ずつに分けてアッセイを行う必要がなく、その同定が確実であるという利点がある。さらに、本発明の細胞内レセプター共役タンパク質のスクリーニング方法においても、構築した組換え酵母では、アゴニストが確実にレセプターに結合されているため、レセプターと細胞内レセプター共役タンパク質との相互作用(例えば、結合、シグナル伝達など)の有無を容易に検出できるという利点がある。
本発明の第1の局面では、アゴニストのスクリーニング方法が提供され、この方法は、レセプターを発現し、そしてランダム化したアゴニスト候補物質を細胞表層に提示する酵母を得る工程;および発現した該アゴニスト候補物質が該レセプターに結合している酵母を検出する工程、を含む。
本発明の第2の局面では、細胞内レセプター共役タンパク質のスクリーニング方法が提供され、この方法は、ランダム化した哺乳類cDNAライブラリー由来の細胞内レセプター共役タンパク質候補物質を細胞内に発現し、アゴニスト結合部位を細胞表層に提示しかつ細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位を細胞内に提示するレセプターを発現し、そして、アゴニストを細胞表層に提示する酵母を得る工程;および
該アゴニストと該レセプターとの結合によって該レセプターと該細胞内レセプター共役タンパク質との相互作用が生じた酵母を検出する工程、を含む。
本発明において、アゴニスト候補物質がレセプターに結合している酵母、あるいはシグナル伝達中のタンパク質間相互作用が生じた酵母、を検出するためのメカニズムを説明する。いずれの場合も、酵母において発現しているレセプターのアゴニスト結合部位にアゴニストまたはアゴニスト候補物質が結合すると、レセプターの細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位と、細胞内レセプター共役タンパク質または細胞内レセプター共役タンパク質候補物質とが(例えば、リン酸化などを介して)相互作用する。この相互作用によってシグナル伝達が行われる場合もある。本発明においては、この相互作用またはシグナル伝達の発生を検出する。
ここで「細胞内レセプター共役タンパク質」とは、アゴニストが結合しているレセプターと相互作用するタンパク質をいい、特に、細胞内へのシグナル伝達または増幅の役割を果たすタンパク質をいう。細胞内レセプター共役タンパク質も、レセプター結合性物質の一種であり得る。代表的には、Gタンパク質が挙げられる。ここで、相互作用とは、結合、会合、コンホメーション変化などが挙げられる。
本発明において、細胞内レセプター共役タンパク質として、(A)酵母由来のタンパク質を用いる場合、および(B)哺乳類由来のタンパク質を用いる場合があり得る(図1を参照のこと)。
(A)細胞内レセプター共役タンパク質として酵母由来のタンパク質を用いる場合、対象とされるレセプターの少なくとも細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位は、酵母で作動可能であればその由来は特に限定されないが、酵母由来であることが好ましい。そのため、新薬開発の点で、アゴニストのスクリーニングの対象とされるレセプターは、酵母内で作動し得る哺乳類のレセプターか、あるいはアゴニスト結合部位が哺乳類由来であり、かつ細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位が酵母由来であるキメラレセプターが好ましい。以下、キメラレセプターを用いる場合についてより詳細に説明する。
細胞内レセプター共役タンパク質がGタンパク質である場合を例に挙げて、具体的に説明する。図1の(A)に示すように、Gタンパク質は、通常3量体の形態で存在しており、Ste2という酵母のGタンパク質共役型レセプター(GPCR)に対しては、Gpa1、Ste4、およびSte18という3つのサブユニットが会合しているGタンパク質が共役する。酵母GPCRのSte2にアゴニストが結合すると、Gpa1がSte2の細胞質内部位と相互作用(結合)し、三量体Gタンパク質は活性化する。三量体Gタンパク質が活性化されると、Gpa1とSte4・Ste18複合体とに解離し、Ste4・Ste18複合体(特にSte4)が、次のMAPキナーゼカスケード(MAPKカスケード)を活性化する。MAPKカスケードが活性化されると、Ste12という転写因子を活性化し、最終的に細胞応答に関与するタンパク質の発現が引き起こされる。このようなタンパク質として、Fus1、Far1などが知られている。例えば、Fus1遺伝子の3’末端側に続いて強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードする遺伝子を組込むと、Fus1タンパク質の発現と同時にEGFPも発現し得る。したがって、その蛍光を発する酵母を、例えばFACSにより蛍光を検出し、ソーティングすることによって、シグナル伝達が行われている酵母をスクリーニングすることができる。そこで、哺乳類由来のレセプターを酵母で発現させる場合は、細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位を酵母由来のものに改変すれば、酵母内でシグナル伝達が行われ得る。
(B)細胞内レセプター共役タンパク質として哺乳類由来のタンパク質を用いる場合は、対象とされるレセプターは、哺乳類由来レセプターが用いられる。この場合、シグナル伝達を確認するために、レセプターは、好ましくは、第1のマーカータンパク質が細胞内で発現するように融合されているキメラレセプターであり、そして細胞内レセプター共役タンパク質は、この第1のマーカータンパク質と相互作用し得る第2のマーカータンパク質との融合タンパク質である。キメラレセプターとアゴニストとの結合により、このキメラレセプターと細胞内レセプター共役タンパク質とが相互作用する。そのため、第1のマーカータンパク質と第2のマーカータンパク質とが接近するので、これらのマーカータンパク質の蛍光変化などによって検出可能である。
例えば、図1の(B1)に示すように、第1および第2のマーカータンパク質として、それぞれYFP(黄色蛍光タンパク質)とCFP(シアン蛍光タンパク質)とを利用する方法が挙げられる。例えば、YFPを細胞内レセプター共役タンパク質と融合させた場合、レセプターにはCFPを付加する。アゴニストがレセプターに結合すると、細胞内レセプター共役タンパク質がレセプターと相互作用するので、細胞内レセプター共役タンパク質と融合しているYFPが、レセプターに融合されているCFPに接近し、これらの励起波長が移動する。そのため、蛍光の変化が生じ、この変化を検出することができる。CFPを細胞内レセプター共役タンパク質と融合させ、レセプターにYFPを付加してもよい。
あるいは、図1の(B2)に示すように、第1および第2のマーカータンパク質として、β−ガラクトシダーゼのΔω(C末端欠損変異体)とΔα(N末端欠損変異体)とを利用する方法も挙げられる。例えば、細胞内レセプター共役タンパク質とβ−ガラクトシダーゼΔωとを融合させた場合、レセプターにβ−ガラクトシダーゼΔαを付加させる。アゴニストがレセプターに結合することにより、細胞内レセプター共役タンパク質がレセプターと相互作用すると、ΔωとΔαとの間で会合が生じ、β−ガラクトシダーゼとして機能し得るようになる(Anal.Chem.,74巻,2500−2504頁,2002年)。そこに、当該分野で通常用いられる発色系または発光系の反応試薬を添加することによって、シグナル伝達が行われた酵母を検出することができる。
本発明において「レセプター」とは、上記のように、細胞表面に存在し、細胞外環境と相互作用して、その環境に関する情報を細胞内に伝達または変換する分子をいう。言い換えれば、ホルモン、神経伝達物質などの細胞外の物質や物理的または化学的刺激を特異的に認識し、タンパク質間相互作用を介して直接的または第二メッセンジャーを介して間接的に細胞応答を引き起こす機能を有する分子をいう。本発明においては、好ましくはGタンパク質共役型レセプター(GPCR)が対象とされ得る。また、レセプターは、哺乳類由来GPCRが好ましく、特に、新薬開発の観点から、ヒト由来GPCRであることが最も好ましい。ヒト由来GPCRは、上述のようにcDNAクローニングされているものだけでも数百種類が知られており、本発明においては、これらを酵母で発現させて、アゴニスト/細胞内レセプター共役タンパク質がスクリーニングされ得る。
「キメラレセプター」は、少なくとも2つの別個のポリペプチドが融合しているレセプターをいう。例えば、レセプターの一部が置換されているレセプター、あるいは別のタンパク質が付加しているレセプターが挙げられる。前者の例としては、哺乳類由来のレセプターにおいて、細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位が酵母由来となるように置換されているキメラレセプターが好ましい。より具体的には、レセプターのアゴニスト結合部位が哺乳類由来、より好ましくはヒト由来であり、そして細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用する部位が酵母由来であるキメラレセプターが好ましい。後者の例としては、シグナル伝達が行われた場合に細胞内で細胞内レセプター共役タンパク質と相互作用して、検出可能なシグナルを発生し得る第1のマーカータンパク質がレセプターに付加されているキメラレセプターが好ましい。具体的には、哺乳類由来のレセプターとCFPとを含み、該CFP部分が細胞内で発現されるキメラレセプター;哺乳類由来のレセプターとβ−ガラクトシダーゼΔαとを含み、該Δα部分が細胞内に提示されるキメラレセプターなどが挙げられる。
「アゴニスト」とは、機能的タンパク質(例えば、レセプター)に特異的に結合する物質(「レセプター結合性物質」ともいう)のうち、結合によって細胞応答を引き起こす物質をいう。例えば、上記酵母由来GPCRに対するアゴニストは、α−因子である。アゴニストになり得る物質としては、一般的には、ペプチド、核酸、炭水化物、小有機分子などが挙げられるが、本発明においては、ペプチドが好ましい。アゴニストをスクリーニングする場合、「アゴニスト候補物質」とは、コンビナトリアルバイオエンジニアリングによって産生されたランダムなペプチドライブラリーに含まれるペプチドをいう。
「アゴニストまたはアゴニスト候補物質を細胞表層に提示する」とは、細胞内で産生されたアゴニストまたはアゴニスト候補物質が、細胞内から細胞膜を通過して細胞表層に移動するが、細胞外に分泌されずに、細胞表層に固定されていることをいう。アゴニストまたはアゴニスト候補物質は、例えば、細胞表層局在タンパク質のGPIアンカーを介して細胞表層に提示され得るか、あるいは細胞表層局在タンパク質の糖鎖結合タンパク質ドメインを介して細胞表層に提示され得る。細胞表層に提示されたアゴニストまたはアゴニスト候補物質は、同一細胞上に発現しているレセプターのアゴニスト結合部位に結合し得る。アゴニストまたはアゴニスト候補物質をアゴニスト結合部位に適切に結合させるために、GPIアンカーまたは糖鎖結合タンパク質ドメインとアゴニストまたはアゴニスト候補物質との間に、適切な長さのリンカーを有していてもよい。ただし、リンカーが長すぎると、他の細胞のレセプターと結合する可能性が生じるため、好ましくない。また、細胞表層に提示されたアゴニストまたはアゴニスト候補物質が細胞表層から切断されて遊離することを避けるために、酵母はプロテアーゼ低下株または欠損株であることが好ましい。
細胞表層にアゴニストまたはアゴニスト候補物質を提示する一般的な方法について説明する。細胞表層にアゴニストまたはアゴニスト候補物質を提示する方法としては、(a)細胞表層局在タンパク質のGPIアンカーを介してアゴニストまたはアゴニスト候補物質を細胞表層に提示する方法、(b)細胞表層局在タンパク質の糖鎖結合タンパク質ドメインを介してアゴニストまたはアゴニスト候補物質を細胞表層に提示する方法、および(c)ペリプラズム遊離型タンパク質(他のレセプター分子または標的レセプター分子)を介してアゴニストまたはアゴニスト候補物質を細胞表層に提示する方法がある。
用いられ得る細胞表層局在タンパク質としては、酵母の性凝集タンパク質であるα−またはa−アグルチニン(GPIアンカーとして使用)、FLO1タンパク質(FLO1タンパク質は、N末端側のアミノ酸長を種々改変して、GPIアンカーとして使用し得る:例えば、FLO42、FLO102、FLO146、FLO318、FLO428、FLO1326など;Appl.Microbiol.Biotech.,60巻,469−474頁,2002年)、FLOタンパク質(GPIアンカー機能を有さず、凝集性を利用するFLOshortまたはFLOlong;Appl.Environ.Microbiol.,4517−4522頁,2002年)、ペリプラズム局在タンパク質であるインベルターゼ(GPIアンカーを利用しない)などが挙げられる。
まず、(a)GPIアンカーを利用する方法について説明する。GPIアンカーにより細胞表層に局在するタンパク質をコードする遺伝子は、N末端側から順に、分泌シグナル配列、細胞表層局在タンパク質(糖鎖結合タンパク質ドメイン)、およびGPIアンカー付着認識シグナル配列をそれぞれコードする遺伝子を有している。細胞内でこの遺伝子から発現された細胞表層局在タンパク質(糖鎖結合タンパク質)は、分泌シグナルにより細胞膜外へ導かれ、その際、GPIアンカー付着認識シグナル配列は、選択的に切断されたC末端部分を介して細胞膜のGPIアンカーと結合して細胞膜に固定される。その後、PI−PLCにより、GPIアンカーの根元部が切断され、細胞壁に組み込まれて細胞表層に固定され、細胞表層に提示される。
ここで、GPIアンカーとは、グリコシルホスファチジルイノシトール (GPI)と呼ばれるエタノールアミンリン酸−6マンノースα1−2マンノースα1−6マンノースα1−4グルコサミンα1−6イノシトールリン脂質を基本構造とする糖脂質をいい、PI−PLCとは、ホスファチジルイノシトール依存性ホスホリパーゼCをいう。
GPIアンカー付着認識シグナル配列とは、GPIアンカーが細胞表層局在タンパク質と結合する際に認識される配列であり、通常、細胞表層局在タンパク質のC末端あるいはその近傍に位置する。GPIアンカー付着シグナル配列としては、例えば酵母のα−アグルチニンのC末端部分の配列が好適に用いられる。上記α−アグルチニンのC末端から320アミノ酸の配列のC末端側には、GPIアンカー付着認識シグナル配列が含まれるので、上記方法に使用する遺伝子としては、このC末端から320アミノ酸の配列をコードするDNA配列が特に有用である。
したがって、例えば、分泌シグナル配列をコードするDNA−細胞表層局在タンパク質をコードする構造遺伝子−GPIアンカー付着認識シグナルをコードするDNA配列を有する配列において、この細胞表層局在タンパク質をコードする構造遺伝子の全部または一部の配列を、目的とするアゴニストまたはアゴニスト候補物質をコードするDNA配列に置換することにより、GPIアンカーを介して目的のアゴニストまたはアゴニスト候補物質を細胞表層に提示するための組換えDNAが得られる。細胞表層局在タンパク質がα−アグルチニンである場合、上記α−アグルチニンのC末端から320アミノ酸の配列をコードする配列を残すように、目的のアゴニストまたはアゴニスト候補物質をコードするDNAを導入することが好ましい。このようなDNAを酵母に導入して発現させることによって細胞表層に提示されたアゴニストまたはアゴニスト候補物質は、そのC末端側が表層に固定されている。
次に、(b)糖鎖結合タンパク質ドメインを利用する方法について説明する。細胞表層局在タンパク質が糖鎖結合タンパク質である場合、その糖鎖結合タンパク質ドメインは、複数の糖鎖を有し、この糖鎖が細胞壁中の糖鎖と相互作用または絡み合うことによって、細胞表層に留まることが可能である。例えば、レクチン、レクチン様タンパク質などの糖鎖結合部位などが挙げられる。代表的には、GPIアンカータンパク質の凝集機能ドメインが挙げられる。GPIアンカータンパク質の凝集機能ドメインとは、GPIアンカリングドメインよりもN末端側にあり、複数の糖鎖を有し、凝集に関与していると考えられているドメインをいう。
この細胞表層局在タンパク質(凝集機能ドメイン)と目的のアゴニストまたはアゴニスト候補物質とを結合することにより、細胞表層にアゴニストまたはアゴニスト候補物質が提示される。目的のアゴニストまたはアゴニスト候補物質の種類により、細胞表層局在タンパク質(凝集機能ドメイン)の(1)N末端側にアゴニストまたはアゴニスト候補物質を結合させる、(2)C末端側にアゴニストまたはアゴニスト候補物質を結合させる、および(3)N末端側およびC末端側の両方に、同一または異なるアゴニストまたはアゴニスト候補物質を結合させることができる。本発明においては、(1)分泌シグナル配列をコードするDNA−目的とするアゴニストまたはアゴニスト候補物質をコードする遺伝子−細胞表層局在タンパク質(凝集機能ドメイン)をコードする構造遺伝子;あるいは(2)分泌シグナル配列をコードするDNA−細胞表層局在タンパク質(凝集機能ドメイン)をコードする構造遺伝子−目的とするアゴニストまたはアゴニスト候補物質をコードする遺伝子、を作成することにより、細胞表層に目的のアゴニストまたはアゴニスト候補物質を提示するための組換えDNAが得られる。凝集機能ドメインを利用する場合、GPIアンカーは細胞表層の提示には関与しないので、組換えDNA中に、GPIアンカー付着認識シグナル配列をコードするDNA配列は、存在してもよいし、存在しなくてもよい。また、凝集機能ドメインを用いる場合は、ドメインの長さを調節しやすいため、より適切な長さでアゴニストまたはアゴニスト候補物質を細胞表層に提示できる点で、ならびにアゴニストまたはアゴニスト候補物質のN末端またはC末端のどちらの側でも結合させることが可能な点で、非常に有用である。
次に、(c)ペリプラズム遊離型タンパク質(他のレセプター分子または標的レセプター分子)を利用する方法について説明する。この場合は、目的とするアゴニストまたはアゴニスト候補物質を、ペリプラズム遊離型タンパク質との融合タンパク質として細胞表層に発現させ得ることに基づく。ペリプラズム遊離型タンパク質としては、例えば、インベルターゼが挙げられる。目的のアゴニストまたはアゴニスト候補物質は、これらペリプラズム遊離型タンパク質に応じて、適宜N末端またはC末端側に融合され得る。
「ランダム化したアゴニスト候補物質」または「ランダム化した哺乳類cDNAライブラリー由来の細胞内レセプター共役タンパク質候補物質」は、上記組換えDNAのアゴニスト部分をコードするDNAまたは得られたcDNAライブラリー由来のタンパク質をコードするDNAを、コンビナトリアル(バイオエンジニアリング)PCRを用いて、目的部分をランダム化することによって得られ得る。すなわち、種々のランダムに改変された候補物質をいう。細胞表層に提示されるまたは細胞内で発現されるランダム化した候補物質は、同一酵母において一種であってもよくあるいは複数種であってもよい。
本発明において使用される酵母は、プラスミド発現のためのマーカー遺伝子を有し、アゴニストを細胞表層に提示し、レセプター(好ましくは、キメラレセプター)を発現し得る株であれば、特に限定されない。例えば、S.cerevisiae BY4741、ATCC60715、MT8−1、W303a、IFO10150、YPH499などが挙げられる。シグナル伝達量が多い株が好ましい。
これらの酵母には、対象とするレセプター、細胞表層提示アゴニストまたはアゴニスト候補物質、必要に応じて、細胞内レセプター共役タンパク質候補物質を含む融合タンパク質が組込まれる。したがって、これらの機能と競合または機能阻害する天然のタンパク質の発現が抑制された株としておくことが好ましい。例えば、プロテアーゼ低下株または欠損株が好ましい。
本発明において、酵母は、少なくともレセプター(好ましくは、キメラレセプター)および細胞表層提示アゴニストまたはアゴニスト候補物質が発現するように遺伝子構築物が導入される。必要に応じて、細胞内レセプター共役タンパク質候補物質を含む融合タンパク質も細胞内で発現されるように遺伝子構築物が導入される。遺伝子構築物は、酵母に適切なクローニングベクターおよび発現ベクター中に組込まれる。このような適切なベクターは当該技術分野で公知であり、酵母での発現に必要なエレメントが適宜含まれている。酵母への遺伝子構築物の導入とは、細胞の中に遺伝子構築物を導入し、発現させることを意味する。遺伝子構築物の導入の方法としては、形質転換、形質導入、トランスフェクション、コトランスフェクション、エレクトロポレーションなど、当業者に公知の種々の方法があり、具体的には、酢酸リチウムを用いる方法、プロトプラスト法などがある。導入される遺伝子構築物は、プラスミドの形態で、あるいは宿主の遺伝子に挿入して、または宿主の遺伝子と相同組換えを起こして染色体に取り込まれてもよい。遺伝子構築物が導入された細胞は、選択マーカー(例えばTRP)で選択され、発現されたタンパク質の活性を測定することにより選択される。タンパク質が細胞表層に固定されていることは、例えば、抗タンパク質抗体とFITC標識抗IgG抗体とを用いる免疫抗体法によって確認し得る。このようにして、少なくともキメラレセプターおよび細胞表層提示アゴニストまたはアゴニスト候補物質を発現し、必要に応じて、細胞内レセプター共役タンパク質候補物質を含む融合タンパク質を発現する酵母が得られる。
このようにして得られた酵母においては、単に培養するだけで、結合可能なアゴニスト候補物質がレセプター(好ましくは、キメラレセプター)に結合してシグナル伝達が行われ得るため、アゴニスト候補物質のスクリーニングが可能である。あるいは、レセプター(好ましくは、キメラレセプター)に対するアゴニストが該レセプターに結合し、次いで細胞内レセプター共役タンパク質候補物質と該レセプターとが相互作用してシグナル伝達が行われ得るため、細胞内レセプター共役タンパク質候補物質のスクリーニングも可能である。細胞内レセプター共役タンパク質を介するシグナル伝達の反応様式(例えば、第1および第2のマーカータンパク質の結合など)に応じて、シグナル伝達の有無を確認することができる。例えば、ナノチャンバーアレイのような1細胞ずつアッセイするためのシステムにおいて、チャンバーに酵母を1細胞ずつ分注して、蛍光変化を直接的に検出してもよいし、あるいは各チャンバーに反応試薬を添加することによって、発色反応、発光反応、またはレポーター遺伝子の発現を検出してもよい。2cm×2cmのナノチャンバーアレイを用いると、1回で10〜10個の細胞についてアッセイすることができる。あるいは、酵母を分けずにまとめて培養し、その後FACSにより1細胞ずつソーティングして、蛍光変化を検出してもよい。
シグナル伝達が行われたことが確認された酵母について、アゴニスト候補物質または細胞内レセプター共役タンパク質候補物質をコードする遺伝子配列を、当業者が通常用いる手段により同定することによって、アゴニスト/アンタゴニストになり得るペプチドを同定することができる。
(実施例1:酵母由来Ste2への細胞表層提示α−因子の結合の確認)
(1−1:欠損酵母株の構築)
酵母S. cerevisiae BY4741株(MATa ura3 leu2 his3 met15)をATCCより入手した。BAR1(プロテアーゼ遺伝子)については、LEU2マーカーの両端がゲノム相同領域となるようにPCRを行った後、酢酸リチウムPCRによる1step遺伝子破壊株作製法(蛋白質核酸酵素,46巻,276頁,2001年)によってノックアウトした。また、FAR1(シグナル伝達により細胞周期阻止を引き起こす遺伝子)については、マーカーとしてカナマイシン耐性遺伝子を用いる酢酸リチウムPCRによる1step遺伝子破壊株作製法(ResGenから購入)によってノックアウトした。次いで、FUS1(シグナル伝達により転写が開始される遺伝子)のC末端にEGFPをコードするDNAを融合した遺伝子を、マーカーとしてHIS3を用いるPCRによる2step遺伝子破壊法によりBY4741株に組込み、欠損酵母BY4741株(MATa ura3 leu2 his3 met15 Δbar1::LEU2 Δfar1::kanMX4 Δfus1::FOS1-EGFP-HIS3)を得た。
(1−2:α−因子表層提示型プラスミドの構築)
本実施例に使用したプラスミドを、表1に列挙する。
Figure 0005224491
以下、これらのプラスミドの作成について説明する。
アグルチニンを利用したα−因子表層提示型プラスミドを、以下のように構築した。まず、プレプロ領域を含むα−因子をコードする遺伝子を、High Fidelity PCR Master(Roche)にて、配列番号1および2に示すプライマーを用いて、S.cerevisiae BY4742株のゲノムから増幅した。ここで、配列番号1のプライマーはBamHI部位、および配列番号2のプライマーはXhoI部位をそれぞれ有する。増幅したフラグメントを制限酵素BamHIおよびXhoIで消化し、プラスミドpESC−URA(Stratagene)に挿入し、プラスミドpUESCα(AG)を得た。α−アグルチニンの3'-Half領域をコードする遺伝子を、High Fidelity PCR Masterにて、配列番号3および4に示すプライマーを用いて、pICAS1(Muraiら,Appl.Environ.Microbiol.,64:4857−4861,1998)から増幅した。ここで、配列番号3のプライマーはXhoI部位、および配列番号4のプライマーはNheI部位をそれぞれ有する。増幅したフラグメントをXhoIおよびNheIで消化し、pUESCα(AG)に挿入し、プラスミドpUESCα−AGを得た。
グリシンおよびセリンからなる18アミノ酸単位(GSリンカー)をコードするDNAフラグメントを、配列番号5および6に示すプライマーを用いて調製した。調製したフラグメント(両端はXhoIおよびSalI)をpUESCα−AGのXhoI部位に挿入し、プラスミドpUESCα−GS1−AGを得た。さらにこのGSリンカーのフラグメントを、得られたpUESCα−GS1−AGのXhoI部位に挿入し、GSリンカーを2つ有するプラスミドpUESCα−GS2−AGを得た。以下同様にして、リンカーの長さが異なるプラスミドpUESCα−GS3−AG、pUESCα−GS4−AG、およびpUESCα−GS5−AGを得た(図2を参照のこと)。
次に、FLOを利用したα−因子表層提示プラスミドを、以下のように構築した。まず、プレプロ領域を含むα−因子をコードする遺伝子を、High Fidelity PCR Master(Roche)にて、配列番号1および7に示すプライマーを用いて、S.cerevisiae BY4742株のゲノムから増幅した。ここで、配列番号1のプライマーはBamHI部位、および配列番号7のプライマーはXhoI部位をそれぞれ有する。増幅したフラグメントを制限酵素BamHIおよびXhoIで消化し、プラスミドpESC−URA(Stratagene)に挿入し、プラスミドpUESCαを得た。長さを様々に変えたFlo1pをコードする4つの遺伝子を、High Fidelity PCR Masterにて、以下のプライマー対:配列番号8と配列番号9;配列番号10と配列番号9;配列番号11と配列番号9;ならびに配列番号12と配列番号9を用いて、S.cerevisiae BY4741株の染色体DNAから増幅した。ここで、配列番号8、10、11、および12のプライマーはXhoI部位、ならびに配列番号9のプライマーはNheI部位をそれぞれ有する。それぞれFlo1pの42アミノ酸、102アミノ酸、146アミノ酸、および318アミノ酸に相当する増幅したフラグメントを、それぞれXhoIおよびNheIで消化し、上記のように構築したプラスミドpUESCαに挿入し、プラスミドpUESCα−FLO42、pUESCα−FLO102、pUESCα−FLO146、およびpUESCα−FLO318を得た。
GSリンカーをコードするDNAフラグメントを、配列番号13および14に示すプライマーを用いて調製した。これらのプライマーは、いずれもXhoIおよびSalI部位を有する。調製したフラグメントをXhoIおよびSalIで消化し、pUESCα−FLO42、pUESCα−FLO102、pUESCα−FLO146、およびpUESCα−FLO318のXhoI部位にそれぞれ挿入し、プラスミドpUESCα−GS1−FLO42、pUESCα−GS1−FLO102、pUESCα−GS1−FLO146、およびpUESCα−GS1−FLO318を得た。そして、上記GSリンカーのフラグメントを、得られたpUESCα−GS1−FLO42(102、146、または318)のXhoI部位にそれぞれ挿入し、プラスミドpUESCα−GS2−FLO42(102、146、または318)を得た。以下同様にして、プラスミドpUESCα−GS3−FLO42(102、146、または318)、pUESCα−GS4−FLO42(102、146、または318)、およびpUESCα−GS5−FLO42(102、146、または318)を得た。
α−因子分泌型プラスミドは、プレプロ領域を含むα−因子をコードする遺伝子を、High Fidelity PCR Master(Roche)にて、配列番号1および15に示すプライマーを用いて、S.cerevisiae BY4742株のゲノムから増幅した。ここで、配列番号1のプライマーはBamHI部位、および配列番号15のプライマーはXhoI部位をそれぞれ有する。増幅したフラグメントを制限酵素BamHIおよびXhoIで消化し、プラスミドpESC−URA(Stratagene)に挿入し、プラスミドpUESCαsを得た。
(1−3:組換え酵母の作製および蛍光の確認)
上記1−1で得た欠損酵母BY4741株に、上記1−2のようにして得た各プラスミドを、酢酸リチウム法によって導入し、α−因子を表層に提示する酵母を得た。この酵母をウラシルを含まないSRCA培地(YNB(Becton Dickinson and Company製)0.67%、ラフィノース5水和物(シグマ製)2%、カザミノ酸(BD製)2%)100mL中でOD600=1.0まで培養した。さらに、2%ガラクトースを加えて24時間培養した後にサンプリングし、FACSにてソーティングし、FL1フィルターで蛍光を検出した。なお、陽性コントロールとして、上記1−1で得た欠損酵母株にα−因子を分泌型として発現し得るプラスミド(pUESCα)を導入した実験、および陰性コントロールとして、形質転換していない欠損酵母株をα−因子を添加せずに培養するのみの実験も行った。
pUESCα−GS5−AGを導入したα−因子表層提示酵母における結果を図3に示す。陰性コントロールと比較して、α−因子表層提示酵母の方が、蛍光を発する細胞が多かった。α−因子表層提示酵母の蛍光を発する細胞数は、α−因子分泌型酵母とほぼ同等であった。さらに、α−因子を表層提示するために、GSリンカーを含まないα−アグルチニンまたは種々のFLOを用いた場合の結果を、図4(a)〜(d)に示す。いずれも、陰性コントロールよりも、蛍光を発する細胞が多かった。
これらのことから、細胞表層に提示されたα−因子が、酵母のGPCRに結合し、シグナル伝達が行われて蛍光を発することを確認できた。特に、FLO42およびFLO102を用いると、より蛍光強度が強い細胞が多くなることもわかった。
本発明の方法によれば、生体機能に重要と思われるレセプターに対するアゴニストを、高効率でスクリーニングすることができる。そのため、本発明の方法は、新薬の開発に利用することができ、時間およびコストの削減が可能である。さらに、本発明の方法によれば、細胞内レセプター共役タンパク質の高効率スクリーニングも可能であり、このスクリーニングによって、生体機能の解明が促進され、このことは、治療薬または治療法の開発を促進し得る。
アゴニストおよび細胞内レセプター共役タンパク質のスクリーニング方法のメカニズムを示す模式図である。 α−因子表層提示型プラスミドpUESCα−GS5−AGの模式図である。(実施例1) pUESCα−GS5−AGを含む組換え酵母における蛍光検出結果を示すグラフである。(実施例1) 種々の組換え酵母における蛍光検出結果を示すグラフである。(実施例1)

Claims (2)

  1. アゴニストのスクリーニング方法であって、
    Gタンパク質共役型レセプターを発現して該レセプターのアゴニスト結合部位が細胞表層に提示され、ランダム化したペプチドアゴニスト候補物質を細胞表層局在タンパク質のGPIアンカーを介してまたは細胞表層局在タンパク質の糖鎖結合タンパク質ドメインを介して細胞表層に提示し、該レセプターが酵母の細胞質内のGタンパク質と相互作用して引き起こすシグナル伝達を検出可能とするようにレポーター遺伝子を含み、そしてBAR1遺伝子およびFAR1遺伝子が破壊されている酵母を得る工程;および
    該レポーター遺伝子の発現により、発現した該ペプチドアゴニスト候補物質が該レセプターに結合している酵母を検出する工程を含む、方法。
  2. 前記ペプチドアゴニスト候補物質が、リンカーをさらに介して細胞表層に提示される、請求項に記載の方法。
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