JP5224260B2 - ケイ素含有アダマンタン化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、機能性材料や電子材料用の封止剤、コーティング剤、各種工業品の原料として有用な新規なケイ素含有アダマンタン化合物に関する。
シリコーン樹脂は、発光ダイオード(LED)等の封止剤や、眼鏡レンズ用のハードコート等のコーティング剤、プラスチック基板など様々な分野で使用されている優れた材料である。これら材料の用途においては、近年、透明性を維持したまま、より耐熱性が高いものが要求されてきており、特に近紫外、白色LEDの封止剤では、高出力化に伴う高熱と400nm以下の紫外光劣化に耐えられる材料が望まれている。これまで、LEDの封止剤材料としてはエポキシ樹脂が使用されているが、前記した高熱と400nm以下の紫外光劣化に耐えうるエポキシ樹脂が開発されておらず、エポキシ樹脂の代替品としてシリコーン樹脂の使用が検討されてきている。
一方、アダマンタン誘導体は、優れた耐熱性及び透明性を有することから耐熱性高分子等の高機能性材料や半導体用レジスト等の電子材料への応用が期待できる。このようなアダマンタンを主鎖骨格に有する重合体としては、例えば、アダマンタン同士が連なった化合物が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。該重合体(ポリマー)は比較的高い熱重量減少温度を示すものの、主鎖が剛直であるため、樹脂として使用するのには極端に硬く、樹脂使用は機械的強度や操作性等の面からも困難であることが予想される。シロキシ基を有するアダマンタン化合物を重合すれば、前記したポリマーと比較して、柔軟性に富む優れたポリマーを提供できると考えられる。しかしながら、そのようなポリマーさらにはそのようなポリマーの原料となるような化合物は知られていない。シロキシ基を1つ有するアダマンタン化合物に関しては報告があるものの(例えば、非特許文献2参照)、該化合物を原料として主鎖にアダマンタン骨格を有するポリマーを作成することができない。
Macromolecules、2004年、37巻、7069−7071ページ Journal of Organic Chemistry、1999年、64巻、4887−4892ページ
上記のように、アダマンタン骨格を有するポリマーは耐熱性及び透明性の観点から優れたLEDの封止剤材料となり得る可能性を有していると考えられるが、現在のところそのようなポリマーは実用化されていない。また、その原料となるシロキシ基を2つ以上有するアダマンタン化合物に関しても報告がない。
そこで、本発明は、耐熱性や耐候性に優れることが期待されるアダマンタン骨格を有するポリマーであって、硬すぎることは無く、操作性にも優れるポリマーを与えるようなアダマンタン化合物を提供することを目的とする。
本発明者等は、シロキシ基が2つ以上導入されたアダマンタン化合物により、アダマンタン骨格を主鎖に含むシリコン樹脂を作成することが可能となり、上記目的が達成できるのではないかと考え、鋭意検討を行った。その結果、アダマンタンポリオールをヒドロシラン化合物と反応させることにより得られる新規なケイ素含有アダマンタン化合物は、不飽和結合含有化合物とヒドロシリル化反応させることによりポリマーを得ることができること、更にこのようにして得られたポリマーは耐熱性が高く、LED用の封止材を始めとして様々な耐熱性を要求される用途に使用できる可能性があることを見出し、本発明を完成するに到った。
第一の本発明のケイ素含有アダマンタン化合物は、下記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物である

Figure 0005224260

〔式中、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜15のアリール基、チエニル基、フリル基又は塩素原子であり、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、フッ素原子、塩素原子、又は下記式(4)で示される基である。
Figure 0005224260

{式中、RおよびRは、それぞれ前記式(3)におけるR、Rと同義である。}〕
また、第二の発明は、前記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物を製造する方法であって、下記式(5)

Figure 0005224260

(式中、R10及びR11は、各々独立に各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、フッ素原子、又は塩素原子である。)
で示されるアダマンタンポリオール化合物と、ヒドロシラン化合物とを、シロキシ化触媒の存在下にシロキシ化反応させることを特徴とする方法である。
更に、第三の本発明は、前記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物と不飽和結合含有化合物とを、ヒドロシリル化触媒の存在下、ヒドロシリル化反応を行なうことを特徴とするアダマンタン骨格を有する含ケイ素ポリマーの製造方法であり、第四の本発明は、下記式(6)で示されるアダマンタン骨格を有する含ケイ素ポリマーである。
Figure 0005224260

式中、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜15のアリール基、チエニル基、フリル基又は塩素原子であり、Zは下記式(7)で示される何れかの基であり、nは2〜1000の整数である。

Figure 0005224260

式中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、又は塩素原子であり、R27およびR28は、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アリルオキシ基、フェニル基、フッ素原子、又は塩素原子である。}〕

本発明のケイ素含有アダマンタン化合物は、該化合物のケイ素原子に結合した官能基を利用してポリマーを与えることができる。たとえば、それ自体が縮重合してポリマー化することもできるし、ヒドロシリル基(Si−H基)を有する本発明のケイ素含有アダマンタン化合物は、不飽和結合含有化合物とヒドロシリル化反応させることによりポリマー化することもできる。そして、このようにして得られたポリマーは、アダマンタン骨格を有することに起因する優れた特性、たとえば高耐熱性といった優れた特徴を有し、しかも主鎖においてアダマンタン骨格は直接連結していないため硬くなりすぎず取り扱いが容易である。また、不飽和結合含有化合物を選定することによって得られるポリマーの各種物性を制御することも可能である。したがって、本発明のケイ素含有アダマンタン化合物は、各種機能性材料や電子材料用の封止剤、コーティング剤などの各種工業用ポリマー材料の原料として有用である。さらに、本発明のケイ素含有アダマンタン化合物のうち3官能以上のものは架橋剤として使用することもできる。
本発明の化合物は、新規なケイ素含有アダマンタン化合物であり、各々対応するアダマンタン類を原料として用い、製造することができる。
以下、本発明のケイ素含有アダマンタン化合物及びその製造方法で使用する反応物、反応条件や反応手順、生成物等について詳しく説明する。
本発明のケイ素含有アダマンタン化合物は、ハイドロシリレーションが可能であるという観点から、下記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物である

Figure 0005224260

上記式(3)におけるRおよびRは、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜15のアリール基、チエニル基、フリル基又は塩素原子である。炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。これらの中でも特に、化合物の取り扱いの良さより、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、特に、メチル基、エチル基、ヘキシル基が好ましい。炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基が挙げられる。これらの中でも特に、化合物の反応性の高さより、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が好ましく、特に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましい。炭素数6〜15のアリール基は置換基を有していてもよく、当該アリール基としては、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ナフチル基、メトキシフェニル基が挙げられる。これらの中でも特に、ケイ素含有アダマンタン化合物の収率の良さより、フェニル基が好ましい。

また、前記式(3)におけるRおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、フッ素原子、塩素原子、又は下記式(4)で示される基である。
Figure 0005224260
{式中、RおよびRは、それぞれ前記式(3)におけるRおよびRと同義である。}
本発明において、前記式(3)で示される化合物の内、好適な化合物を具体的に例示すると、1,3−ビス(ジメチルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ジエチルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ジヘキシルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(エチルフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(フェニルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ジフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ジメトキシシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ジエトキシシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ジクロロシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ジメチルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(ジエチルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(ジヘキシルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(メチルフェニルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(エチルフェニルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(フェニルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(ジフェニルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(ジメトキシシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(ジエトキシシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(ジクロロシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3,5−トリス(ジメチルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ジエチルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ジヘキシルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(エチルフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(フェニルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ジフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ジメトキシシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ジエトキシシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ジクロロシロキシ)アダマンタン等を挙げることができる。
これらの中でも特に、重合して得られるポリマーの有用性の観点より、1,3−ビス(ジメチルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ジエチルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(エチルフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(フェニルシロキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ジメチルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(ジエチルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(メチルフェニルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(エチルフェニルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(フェニルシロキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3,5−トリス(ジメチルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ジエチルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(エチルフェニルシロキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(フェニルシロキシ)アダマンタンが好ましい。
本発明のケイ素含有アダマンタン化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば次のような方法により好適に製造することができる。
即ち、下記式(5)で示されるアダマンタンポリオール化合物と、ヒドロシラン化合物と、をシロキシ化触媒の存在下に反応させることで製造することができる。
Figure 0005224260

(式中、R10およびR11は、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アリルオキシ基、フェニル基、フッ素原子、又は塩素原子である。)
前記式(5)で示されるアダマンタンポリオール化合物を具体的に例示すれば、1,3−アダマンタンジオール、5−メチル−1,3−アダマンタンジオール、5−エチル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジエチル−1,3−アダマンタンジオール、5−フルオロ−1,3−アダマンタンジオール、5−クロロ−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジフルオロ−1,3−アダマンタンジオール、1,3,5−アダマンタントリオール、7−メチル−1,3,5−アダマンタントリオール、7−エチル−1,3,5−アダマンタントリオール、7−フルオロ−1,3,5−アダマンタントリオール、1,3,5,7−アダマンタンテトラオール等を挙げることができる。この内特に、ケイ素含有アダマンタン化合物の有用性の観点より、1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール、1,3,5−アダマンタントリオールが好ましい。
ヒドロシラン化合物としては、分子内にケイ素原子に直接結合した水素原子を少なくとも1つ有するケイ素化合物が特に制限なく使用できるが、得られるケイ素含有アダマンタン化合物の有用性の観点から下記式(8)で示される化合物を使用するのが好ましい。
Figure 0005224260

なお、上記式中、R12、R13およびR14は、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜15のアリール基、チエニル基、フリル基又は塩素原子であり、炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。これらの中でも特に、化合物の取り扱いの良さより、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、特に、メチル基、エチル基、ヘキシル基が好ましい。炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基が挙げられる。これらの中でも特に、化合物の反応性の高さより、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が好ましく、特に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましい。炭素数6〜15のアリール基は置換基を有していてもよく、当該アリール基としては、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ナフチル基、メトキシフェニル基が挙げられる。これらの中でも特に、ケイ素含有アダマンタン化合物の収率の良さより、フェニル基が好ましい。

前記式(8)で示されるヒドロシラン化合物を具体的に例示すれば、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、トリエチルシラン、ジヘキシルシラン、トリヘキシルシラン、フェニルシラン、メチルフェニルシラン、エチルフェニルシラン、ジフェニルシラン、トリフェニルシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン等を挙げることができる。これらの中でも、ケイ素含有アダマンタン化合物の有用性の観点より、フェニルシラン、メチルフェニルシランを使用するのが特に好ましい。
前記シロキシ反応において、ヒドロシラン化合物の使用量は、少なすぎると得られるケイ素含有アダマンタン化合物の収率が低下し、多すぎると後処理工程が複雑となるため、アダマンタンポリオールの種類に応じて次のような量とするのが好ましい。すなわち、アダマンタンポリオール化合物がアダマンタンジオール化合物の場合、アダマンタンジオール化合物1モルに対し、2〜10モル、特に2〜5モル使用するのが好ましい。また、アダマンタントリオールの場合、アダマンタントリオール1モルに対し、3〜15モル、特に3〜10モル使用するのが好ましい。さらに、アダマンタンテトラオールの場合、アダマンタンテトラオール1モルに対し、4〜20モル、特に4〜15モル使用するのが好ましい。
なおこれらヒドロシラン化合物は、購入したものでも自製したものでも使用することが可能である。
シロキシ化触媒としては、アルコールをシロキシ化する際に、シロキシ化触媒として使用される公知の化合物が制限なく使用できるが、シロキシ化反応の効率の良さから、ロジウム系触媒、白金系触媒、パラジウム系触媒等が挙げられる。これらの中でも入手の容易さ等より、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(I)、ジクロロパラジウム(II)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物等を使用するのが特に好ましい。シロキシ化触媒の使用量は、得られるケイ素含有アダマンタン化合物の有用性の観点より、使用するアダマンタンポリオール化合物1モルに対し、0.00025〜0.10モル、特に0.0005モル〜0.05モルとするのが好ましい。
アダマンタンポリオール化合物のシロキシ化は、操作性が良くなるという理由から、有機溶媒の存在下で行うのが好ましい。この時に使用する有機溶媒としては、シロキシ化反応を阻害しないものが好ましく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの中でも操作性の良さより、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;又はジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類を使用するのが好ましく、特にトルエンまたはテトラヒドロフランを使用するのが好ましい。有機溶媒の使用量は特に制限はされないが、操作性の良さより使用するアダマンタンポリオール化合物に対し、1〜200質量倍、得に、2〜100質量倍であるのが好ましい。
前記シロキシ反応は、好ましくは溶媒中で各反応試剤を混合することにより行なわれる。反応温度は特に制限はされないが、通常0〜120℃で十分な転化率を得ることができる。反応時間も特に制限はされないが、通常1〜60時間で十分な転化率を得ることができる。
このようにして得られたケイ素含有アダマンタン化合物の粗体を精製する方法は、特に制限はされないが、例えば、再結晶、蒸留、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等の手法により精製することができる。
本発明の前記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物は、ケイ素原子に結合したアルコキシ基や塩素原子、水素原子を有しているため、自己縮合反応や他の化合物との縮合反応、付加反応等により、多種多様なポリマーの形成が可能な化合物であり、非常に有用性が高い。例えば、前記式(3)において、アルコキシシリル基を有する化合物は、アルコキシシラン化合物に一般的に適用される縮合方法で、酸触媒、又は塩基触媒、及び水の存在下で、加水分解、続く脱水縮合による自己縮合反応を行うことが可能である。また、テトラエトキシシランのようなアルコキシシラン化合物とも同様の縮合反応を行うことができ、多架橋ポリマーの構築も可能である。その他にも、チタニウムテトライソプロポキサイド等の金属アルコキシド化合物とも同様の縮合反応を行うことができるため、異なる金属原子を含有するアダマンタン含有ポリマーの構築も可能である。

更に、前記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物は、不飽和結合含有化合物とヒドロシリル化触媒の存在下にヒドロシリル化反応することによりアダマンタン骨格を有する含ケイ素ポリマーを与える。この時に使用される不飽和結合含有化合物としては、不飽和結合を含有する公知の化合物が制限なく使用できるが、得られるポリマーの性能の良さより、下記式(9)〜(14)で示される化合物が好適に使用される。
Figure 0005224260

(式中、R15、R16、R17およびR18は、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、又は塩素原子である。)
で示される、1,4−ジエチニルベンゼン化合物。
Figure 0005224260

{式中、R19、R20、R21およびR22は、それぞれ前記式(9)におけるR15、R16、R17およびR18と同義である。}
で示される、1,3−ジエチニルベンゼン化合物。
Figure 0005224260

{式中、R15、R16、R17およびR18は、それぞれ前記式(9)におけるR15、R16、R17およびR18と同義である。}
で示される、1,4−ジビニルベンゼン化合物。
Figure 0005224260

{式中、R19、R20、R21およびR22は、それぞれ前記式(9)におけるR15、R16、R17およびR18と同義である。}
で示される、1,3−ジビニルベンゼン化合物。
Figure 0005224260

{式中、R23、R24、R25およびR26は、それぞれ前記式(9)におけるR15、R16、R17およびR18と同義である。}
で示される、2,5−ノルボルナジエン化合物。
Figure 0005224260

(式中、R27およびR28は、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アリルオキシ基、フェニル基、フッ素原子、又は塩素原子である。)
で示されるアリルオキシ化合物。
前記式(9)で示される1,4−ジエチニルベンゼン化合物の内、好適なものを例示すれば、1,4−ジエチニルベンゼン、2−メチル−1,4−ジエチニルベンゼン、2,6−ジメチル−1,4−ジエチニルベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジエチニルベンゼン、2−フルオロ−1,4−ジエチニルベンゼン、2,6−ジフルオロ−1,4−ジエチニルベンゼン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ジエチニルベンゼン等を挙げることができる。これらの中でも、入手の容易さ等より、1,4−ジエチニルベンゼンが特に好ましい。
前記式(10)で示される1,3−ジエチニルベンゼン化合物の内、好適なものを例示すれば、1,3−ジエチニルベンゼン、2−メチル−1,3−ジエチニルベンゼン、4−メチル−1,3−ジエチニルベンゼン、5−メチル−1,3−ジエチニルベンゼン、2,5−ジメチル−1,3−ジエチニルベンゼン、4,5−ジメチル−1,3−ジエチニルベンゼン、2,4,5,6−テトラメチル−1,3−ジエチニルベンゼン、2−フルオロ−1,3−ジエチニルベンゼン、4−フルオロ−1,3−ジエチニルベンゼン、5−フルオロ−1,3−ジエチニルベンゼン、2,5−ジフルオロ−1,3−ジエチニルベンゼン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジエチニルベンゼン、2,4,5,6−テトラフルオロ−1,3−ジエチニルベンゼン等を挙げることができる。これらの中でも、入手の容易さ等より、1,3−ジエチニルベンゼンが特に好ましい。
前記式(11)で示される1,4−ジビニルベンゼン化合物の内、好適なものを例示すれば、1,4−ジビニルベンゼン、2−メチル−1,4−ジビニルベンゼン、2,6−ジメチル−1,4−ジビニルベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジビニルベンゼン、2−フルオロ−1,4−ジビニルベンゼン、2,6−ジフルオロ−1,4−ジビニルベンゼン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ジビニルベンゼン等を挙げることができる。これらの中でも、入手の容易さ等より、1,4−ジビニルベンゼンが特に好ましい。
前記式(12)で示される1,3−ジビニルベンゼン化合物の内、好適なものを例示すれば、1,3−ジビニルベンゼン、2−メチル−1,3−ジビニルベンゼン、4−メチル−1,3−ジビニルベンゼン、5−メチル−1,3−ジビニルベンゼン、2,5−ジメチル−1,3−ジビニルベンゼン、4,5−ジメチル−1,3−ジビニルベンゼン、2,4,5,6−テトラメチル−1,3−ジビニルベンゼン、2−フルオロ−1,3−ジビニルベンゼン、4−フルオロ−1,3−ジビニルベンゼン、5−フルオロ−1,3−ジビニルベンゼン、2,5−ジフルオロ−1,3−ジビニルベンゼン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジビニルベンゼン、2,4,5,6−テトラフルオロ−1,3−ジビニルベンゼン等を挙げることができる。これらの中でも、入手の容易さ等より、1,3−ジビニルベンゼンが特に好ましい。
前記式(13)で示される2,5−ノルボルナジエン化合物の内、好適なものを例示すれば、2,5−ノルボルナジエン、1−メチル−2,5−ノルボルナジエン、7−メチル−2,5−ノルボルナジエン、7,7−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン等を挙げることができる。これらの中でも、入手の容易さ等より、2,5−ノルボルナジエンが特に好ましい。
前記式(14)で示されるアリルオキシ化合物のうち、好適なものを例示すれば、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5−メチルアダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5−エチルアダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5,7−ジエチルアダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5−フルオロアダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5,7−ジフルオロアダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5−クロロアダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5,7−ジクロロアダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)−7−メチルアダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)−7−エチルアダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)−7−フルオロアダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)−7−クロロアダマンタン、1,3,5,7−テトラキス(アリルオキシ)アダマンタン等を挙げることができる。これらの中でも、入手の容易さ等より、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5−メチルアダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)−7−メチルアダマンタン、1,3,5,7−テトラキス(アリルオキシ)アダマンタンが好ましく、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(アリルオキシ)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタンが特に好ましい。
これら不飽和結合含有化合物は、前記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物がシロキシ基を2つ有するジシロキシ体の場合、得られるポリマーの有用性の観点から、ジシロキシ体1モルに対し、0.5〜1.5モル、特に0.75〜1.25モル使用するのが好ましい。また、前記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物がシロキシ基を3つ有するトリシロキシ体の場合、得られるポリマーの有用性の観点から、トリシロキシ体1モルに対し、0.3〜1.0モル、特に0.4〜0.8モル使用するのが好ましい。また、前記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物がシロキシ基を4つ有するテトラシロキシ体の場合、得られるポリマーの有用性の観点から、テトラシロキシ体1モルに対し、0.05〜0.8モル、特に0.1〜0.7モル使用するのが好ましい。
また、ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化触媒として使用される公知の化合物が制限なく使用できるが、ヒドロシリル化の効率の良さから、ロジウム系触媒、白金系触媒、パラジウム系触媒等が挙げられる。この内特に入手の容易さ等より、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(I)、ジクロロパラジウム(II)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物等を上げることができる。ヒドロロシリル化触媒の使用量は、得られるアダマンタン含有ケイ素ポリマーの有用性の観点より、使用するケイ素含有アダマンタン化合物1モルに対し、0.00025〜0.10モル、特に0.0005モル〜0.05モル使用するのが好ましい。
ケイ素含有アダマンタン化合物と不飽和結合含有化合物とのハイドロシリレーションは、ヒドロシリル化触媒の存在下、無溶媒で行っても良く、有機溶媒中で行っても良い。有機溶媒を使用する場合の有機溶媒としては、ヒドロシリル化反応を阻害しないものが好ましく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。この内特に、操作性の良さより、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類が好ましく、特にトルエン、テトラヒドロフランが好ましい。有機溶媒の使用量は特に制限はされないが、操作性の良さより使用するアリルオキシ化合物に対し、1〜200質量倍、得に、2〜100質量倍であるのが好ましい。
このとき反応は、好ましくは溶媒中で各反応試剤を混合することにより行なわれる。反応温度は特に制限はされないが、通常0〜200℃で十分な転化率を得ることができる。反応時間も特に制限はされないが、通常1〜200時間で十分な転化率を得ることができる。また、反応の温度は、使用するケイ素含有アダマンタン化合物、及び不飽和結合含有化合物の特性に応じ、段階的に温度を上昇させるなどして、反応速度を任意に調整しながら行うこともできる。
このような方法により得られるアダマンタン骨格を有する含ケイ素ポリマーは、下記式(6)で示されるポリマーである。
Figure 0005224260

なお、上記式中、RおよびRは、それぞれ前記式(3)におけるR、Rと同義である。また、Zは環状脂肪族炭化水素骨格又は芳香族炭化水素骨格を有する2価の基であり、前記式(9)〜(14)で示した不飽和結合含有化合物が反応し導入された基である。nは2〜1000の整数であり、この内特に得られるポリマーの有用性の観点から、nは2〜800、特に2〜500であるのが好ましい。通常、nが2〜20程度で、分子量数千程度のものをオリゴマーというが、ここではオリゴマーもポリマーとして扱う。

このような方法により得られるアダマンタン骨格を有する含ケイ素ポリマーは、ケイ素−酸素結合とアダマンタン骨格を含有しているため、透明で耐熱性に優れると共に、比較的柔軟なプロピレンユニットを有するため、得られる樹脂も適度な柔軟性を有している。このため、樹脂を使用する際の操作性が良いという利点も有する。
本発明のケイ素含有アダマンタン化合物は、上記特性を活かして、各種プラスチック基板原料、コーティング剤原料、接着剤原料、封止剤原料等に好適に使用することができる。また、使用に際しては、必要に応じて、充填剤、カップリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、染料、顔料、香料等の各種添加剤や安定剤を混合することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ジムロート冷却管、スピンバーを備えた30ml二口フラスコを窒素置換した後、トルエン5ml、1,3−アダマンタンジオール0.501g(2.98mmol)、フェニルメチルシラン1.11g(9.05mmol)を加えた。室温でしばらく攪拌した後、ジクロロパラジウム(II)を4.9mg(0.028mmol)加え、24時間加熱還流を行なった。反応終了後、濃縮を行なった後に、拡散ポンプで減圧蒸留することで、目的とする1,3−ビス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタンを無色透明液体として0.934g(1,3−アダマンタンジオールからの収率77%)得た。得られた無色透明液体のガスクロマトグラフ−質量(GC−MS)スペクトル、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)スペクトル、13C核磁気共鳴(13C−NMR)スペクトル、元素分析を行った結果、目的の1,3−ビス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタンが下記式(15)の構造であることが確認された。測定結果を以下に示す。
Figure 0005224260

GC−MSスペクトル:m/z408(M)、m/z331(M−Ph)、m/z287(M−SiHMePh)、m/z271(M−OSiHMePh)
H−NMRスペクトル(CDCl中):δ0.40(d、J=2.90Hz、6H、SiCHのメチル基のH)、δ5.15(q、2H、J=2.90Hz、SiHのH)、δ1.40−2.20(m、14H、アダマンタン環のH)、δ7.35−7.42(m、6H、フェニル基のH)、δ7.58−7.60(m、4H、フェニル基のH)
13C−NMRスペクトル(CDCl中):−0.33(SiCH3のメチル基のC)、δ31.27、34.58、43.95、52.94、74.10(アダマンタン環のC)、δ127.82、129.69、133.66(フェニル基のCHのC)、δ137.77(フェニル基のSiに直結したC)
元素分析値:C2432Siとして
計算値:C;70.53、H;7.89
実測値:C;70.23、H;8.19。
実施例2
ジムロート冷却管、スピンバーを備えた30ml二口フラスコを窒素置換した後、トルエン6ml、1,3−アダマンタンジオール0.502g(2.98mmol)、フェニルシラン1.16g(10.7mmol)を加えた。室温でしばらく攪拌した後、ジクロロパラジウム(II)を8.6mg(0.049mmol)加え、16時間加熱還流を行なった。反応終了後、濃縮を行なった後に、拡散ポンプで減圧蒸留することで、目的とする1,3−ビス(フェニルシロキシ)アダマンタンを無色透明液体として0.796g(1,3−アダマンタンジオールからの収率70%)得た。得られた無色透明液体のH−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル測定を行った結果、目的の1,3−ビス(フェニルシロキシ)アダマンタンが下記式(16)の構造であることが確認された。測定結果を以下に示す。
Figure 0005224260

H−NMRスペクトル(CDCl中):δ1.47−2.26(m、14H、アダマンタン環のH)、δ5.06(s、4H、SiHのH)、δ7.36−7.43、δ7.58−7.65(m、10H、フェニル基のH)
13C−NMRスペクトル(CDCl中):δ31.27、34.48、43.45、51.97、74.42(アダマンタン環のC)、δ128.00、130.24、134.38(フェニル基のCHのC)、δ135.60(フェニル基のSiに直結したC)。
実施例3
ジムロート冷却管、スピンバーを備えた30ml二口フラスコを窒素置換した後、トルエン6ml、1,3,5−アダマンタントリオール0.502g(2.72mmol)、フェニルメチルシラン1.50g(12.30mmol)を加えた。室温でしばらく攪拌した後、ジクロロパラジウム(II)を10.2mg(0.057mmol)加え、44時間加熱還流を行なった。反応終了後、濃縮を行なった後に、拡散ポンプで減圧蒸留することで、目的とする1,3,5−トリス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタンを無色透明液体として1.23g(1,3,5−アダマンタントリオールからの収率83%)得た。得られた無色透明液体のH−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、元素分析を行った結果、目的の1,3,5−トリス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタンが下記式(17)の構造であることが確認された。測定結果を以下に示す。
Figure 0005224260

H−NMRスペクトル(CDCl中):δ0.38(d、J=2.90Hz、9H、SiCHのメチル基のH)、δ5.10(q、3H、J=2.90Hz、SiHのH)、δ1.54−2.21(m、13H、アダマンタン環のH)、δ7.34−7.42(m、9H、フェニル基のH)、δ7.55−7.57(m、6H、フェニル基のH)
13C−NMRスペクトル(CDCl中):−0.49(SiCHのメチル基のC)、δ29.54、42.67、51.86、74.35(アダマンタン環のC)、δ127.88、129.81、133.66(フェニル基のCHのC)、δ137.37(フェニル基のSiに直結したC)
元素分析値:C3242Siとして
計算値:C;68.76、H;7.57
実測値:C;69.02、H;7.51。
実施例4
ジムロート冷却管、スピンバーを備えた30ml二口フラスコを窒素置換した後、トルエン2ml、実施例1で得られた1,3−ビス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタン0.311g(0.716mmol)、1,4−ジエチニルベンゼン0.096g(0.761mmol)を加えた。室温でしばらく攪拌した後、クロロ(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(I)を2.3mg(0.00249mmol)加え、60℃で36時間攪拌した。反応終了後、濃縮を行なった後に、THF−ヘキサンにより再沈殿を行い、析出した固体をろ過、乾燥し、目的とするポリマーを白色固体として0.152g得た。
得られた白色固体のH−NMRスペクトル測定を行った結果、目的のポリマーの構造が下記式(18)の構造であることが確認された。測定結果を以下に示す。
Figure 0005224260
H−NMRスペクトル(CDCl中):δ0.22−0.56(m、6H、SiCHのメチル基のH)、δ1.26−2.17(m、14H、アダマンタン環のH)、δ6.53(d、J=19Hz、2H、−CH=のH)、δ6.93(d、J=20Hz、2H、−CH=のH)、δ7.12−7.58(m、14H、フェニル基のH)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)と分子量分散(Mw/Mn;重量平均分子量を数平均分子量で割ったもの)をポリスチレン換算により算出した結果、Mwが13600、Mw/Mnが3.5であった。得られたポリマーの融点は、81−89℃であった。また窒素気流下において、熱重量分析により5%熱重量減少温度(Td)、10%熱重量減少温度(Td10)の測定を行った結果、Tdが370℃、Td10が393℃であった。
実施例5
ジムロート冷却管、スピンバーを備えた30ml二口フラスコを窒素置換した後、トルエン1.5ml、実施例1で得られた1,3−ビス(メチルフェニルシロキシ)アダマンタン0.136g(0.332mmol)、2,5−ノルボルナジエン0.0303g(0.329mmol)を加えた。室温でしばらく攪拌した後、クロロ(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(I)を1.8mg(0.00195mmol)加え、60℃で120時間攪拌した。THF−メタノールから最沈殿し、析出した固体を濾取、乾燥して、目的のポリマーを得た。
得られた淡黄色固体のH−NMRスペクトル測定を行った結果、目的のポリマーの構造が下記式(19)の構造であることが確認された。測定結果を以下に示す。
Figure 0005224260

H−NMRスペクトル(CDCl中):δ0.07−0.44(m、6H、SiCHのメチル基のH)、δ0.57−2.30(m、24H、アダマンタン環のH、ノルボルナンのH)、δ6.57−7.68(m、10H、フェニル基のH)
GPCにより、得られたポリマーのMwとMw/Mnをポリスチレン換算により算出した結果、Mwが4300、Mw/Mnが1.5であった。融点は300℃以上であった。また窒素気流下において、熱重量分析によりTd、Td10の測定を行った結果、Tdが254℃、Td10が312℃であった。
実施例6
ジムロート冷却管、スピンバーを備えた30ml二口フラスコを窒素置換した後、トルエン1.5ml、実施例2で得られた1,3−ビス(フェニルシロキシ)アダマンタン0.245g(0.643mmol)、2,5−ノルボルナジエン0.061g(0.662mmol)を加えた。室温でしばらく攪拌した後、クロロ(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(I)を2.6mg(0.00281mmol)加え、75℃で48時間攪拌した。反応終了後、濃縮を行なった後に、THF−ヘキサンにより再沈殿を2回行い、析出した固体をろ過、乾燥し、目的とするポリマーを淡黄色固体として0.151g得た。
得られた淡黄色固体のH−NMRスペクトル、赤外吸収スペクトル測定を行った結果、目的のポリマーの構造が下記式(20)の構造であることが確認された。測定結果を以下に示す。
Figure 0005224260
H−NMRスペクトル(CDCl中):δ0.71−2.30(m、24H、アダマンタン環のH、ノルボルナンのH)、δ0.69−7.75(m、10H、フェニル基のH)
IRスペクトル(KBr法):1067、1122cm−1(Si−O伸縮振動)、3414cm−1(O−H伸縮振動)
GPCにより、得られたポリマーのMwとMw/Mnをポリスチレン換算により算出した結果、Mwが6140、Mw/Mnが3.9であった。融点は145−157℃であった。また窒素気流下において、熱重量分析によりTd、Td10の測定を行った結果、Tdが167℃、Td10が230℃であった。

Claims (4)

  1. 下記式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物。
    Figure 0005224260
    〔式中、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜15のアリール基、チエニル基、フリル基又は塩素原子であり、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、フッ素原子、塩素原子、又は下記式(4)で示される基である。
    Figure 0005224260
    {式中、RおよびRは、それぞれ前記式(3)におけるR、Rと同義である。}〕
  2. 請求項1に記載の式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物を製造する方法であって、下記式(5)で示されるアダマンタンポリオール化合物と、ヒドロシラン化合物とを、シロキシ化触媒の存在下にシロキシ化反応させることを特徴とする方法。
    Figure 0005224260
    (式中、R10及びR11は、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、フッ素原子、又は塩素原子である。)
  3. 請求項1に記載の式(3)で示されるケイ素含有アダマンタン化合物と、不飽和結合含有化合物とを、ヒドロシリル化触媒の存在下にヒドロシリル化反応を行なうことを特徴とするアダマンタン骨格を有する含ケイ素ポリマーの製造方法。
  4. 下記式(6)で示されるアダマンタン骨格を有する含ケイ素ポリマー。
    Figure 0005224260
    〔式中、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜15のアリール基、チエニル基、フリル基又は塩素原子であり、Zは下記式(7)で示される何れかの基であり、nは2〜1000の整数である。
    Figure 0005224260
    {式中、R 15 、R 16 、R 17 、R 18 、R 19 、R 20 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 25 及びR 26 は、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、又は塩素原子であり、R 27 およびR 28 は、各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アリルオキシ基、フェニル基、フッ素原子、又は塩素原子である。}〕
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