〔発明が解決しようとする課題〕
ブレーキストローク−ブレーキ反力の関係が非線形である従来のブレーキストロークシミュレータは、一般に、ばね定数が一定で互いに異なる複数の反力発生ばねを有し、ブレーキストロークによって反力発生ばね全体としてのばね定数が異なることにより非線形特性を達成するようになっている。そのためブレーキストロークに対するブレーキ反力の関係が不連続な非線形であり、好ましい連続的な非線形ではないという問題がある。
またブレーキストロークに対するブレーキ反力の関係を連続的な非線形にすべく、非線形のばね特性を有する一つの反力発生ばねを使用することが考えられるが、ブレーキストロークの全域に亘りブレーキストロークに対するブレーキ反力の関係を好ましい連続的な非線形にする反力発生ばねを形成することが非常に困難である。
尚、ブレーキストローク−ブレーキ反力の非線形特性に関する上述の問題は、ブレーキストロークシミュレータに限られるものではなく、操作手段がオペレータによって操作され、オペレータによる操作手段の操作を許容すると共に、操作手段を介して運転者に操作反力を付与するフライトシミュレータの如き他の操作シミュレータについても同様に存在する。
本発明は、従来の操作シミュレータに於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、操作手段に対するオペレータの操作量と反力発生ばねに対する変形量との関係を連続的な非線形の関係にすることにより、反力発生ばねが線形的なばね特性を有するものであっても操作手段に対する操作の全域に亘り操作量と操作反力との関係として好ましい連続的な非線形特性を達成する操作シミュレータを提供することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち操作手段に対するオペレータの操作に応じて運動する入力部材と、変形量に応じて反力を発生する反力発生手段と、運動することにより前記反力発生手段を変形させる出力部材と、前記入力部材と前記出力部材との間に設けられ前記入力部材の運動を前記出力部材に伝達すると共に、前記反力発生手段の反力を前記出力部材を介して前記入力部材に伝達する伝達手段とを有し、オペレータによる前記操作手段の操作を許容すると共に、前記操作手段を介してオペレータに操作反力を付与する操作シミュレータに於いて、前記伝達手段は中間部材と、前記入力部材の直線運動を回転運動に変換して前記中間部材に伝達する第一の伝達手段と、前記中間部材の回転運動を直線運動に変換して前記出力部材に伝達する第二の伝達手段とを有し、前記第一及び第二の伝達手段の少なくとも一方は運動伝達元の部材の運動量に対する運動伝達先の部材の運動量の比を前記運動伝達元の部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させ、前記第一及び第二の伝達手段は前記運動伝達元の部材に設けられたカムと、前記運動伝達先の部材に設けられ前記カムに係合するカムフォロアとを有し、前記カム及び前記カムフォロアの一方はカム溝であり、前記カム及び前記カムフォロアの他方は前記カム溝に係合し前記カム溝に沿って移動するカム溝係合部材であり、前記第一及び第二の伝達手段の少なくとも一方の前記カム溝は前記軸線の周りに周方向に対し傾斜して延在し且つ周方向に対する傾斜角が連続的に漸次変化するよう湾曲しており、前記第一及び第二の伝達手段の前記カム溝は前記入力部材の運動量が0であるときに前記カム溝係合部材が前記カム溝に係合する位置に於いて周方向に対し同一の傾斜角を有することを特徴とする操作シミュレータによって達成される。
上記請求項1の構成によれば、第一及び第二の伝達手段の少なくとも一方は運動伝達元の部材の運動量に対する運動伝達先の部材の運動量の比を運動伝達元の部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させるので、中間部材の回転運動を介して入力部材の直線運動を出力部材の直線運動に変換すると共に、入力部材の直線運動量に対する出力部材の直線運動量の比を確実に入力部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させることができる。従って反力発生手段がその変形量に応じて線形的に反力を発生するものであっても、入力部材の直線運動量に対する反力発生手段の反力の関係を所望の連続的な非線形の関係にすることができ、これにより操作手段に対する操作の全域に亘り操作量と操作反力との関係として好ましい連続的な非線形特性を達成することができる。
また上記請求項1の構成によれば、第一及び第二の伝達手段の少なくとも一方のカム溝は軸線の周りに周方向に対し傾斜して延在し且つ周方向に対する傾斜角が連続的に漸次変化するよう湾曲している。従ってカム溝係合部材がカム溝に係合した状態にてカム溝に沿って移動することにより運動伝達元の部材の運動量に対する運動伝達先の部材の運動量の比を運動伝達元の部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させることができ、従ってカム溝の湾曲形状の設定によって所望の連続的な非線形特性を達成することができる。
また上記請求項1の構成によれば、第一及び第二の伝達手段のカム溝は入力部材の運動量が0であるときにカム溝係合部材がカム溝に係合する位置に於いて周方向に対し同一の傾斜角を有する。従って入力部材の運動量が0であるときにカム溝係合部材がカム溝に係合する位置に於いて第一及び第二の伝達手段のカム溝が周方向に対しなす傾斜角が互いに異なる構造の場合に比して、入力部材の直線運動の開始時及び終了時に於ける中間部材の回転運動を円滑に開始及び終了させることができ、これにより入力部材と中間部材との間及び中間部材と出力部材との間に於ける運動変換及び反力の伝達を円滑に行わせることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記入力部材及び前記出力部材は共通の軸線に沿って直線運動し、前記入力部材及び前記出力部材は前記軸線に対し同軸にて前記中間部材に嵌合しているよう構成される(請求項2の構成)。
上記請求項2の構成によれば、入力部材及び出力部材は共通の軸線に沿って直線運動し、入力部材及び出力部材は軸線に対し同軸にて中間部材に嵌合しているので、入力部材及び出力部材が互いに異なる軸線に沿って直線運動する構造や入力部材若しくは出力部材が中間部材に嵌合していない構造の場合に比して、操作シミュレータの軸線方向の長さを低減し、操作シミュレータをコンパクト化することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記第一の伝達手段は前記入力部材の運動量に対する前記中間部材の運動量の比を前記入力部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させるよう構成されており、前記第二の伝達手段は前記中間部材の運動量に対する前記出力部材の運動量の比を前記中間部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させるよう構成される(請求項3の構成)。
上記請求項3の構成によれば、第一の伝達手段により入力部材の運動量に対する中間部材の運動量の比が入力部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化され、第二の伝達手段により中間部材の運動量に対する出力部材の運動量の比が中間部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化されるので、第一の伝達手段及び第二の伝達手段の何れか一方のみにより運動量の比が連続的に非線形に変化される構造の場合に比して、第一の伝達手段及び第二の伝達手段の各々が達成すべき運動量の比の変化量を小さくすることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、前記第一及び第二の伝達手段は前記運動伝達元の部材に設けられたカムと、前記運動伝達先の部材に設けられ前記カムに係合するカムフォロアとを有し、前記カムフォロアが前記カムに従動することにより前記運動伝達元の部材の運動量に対する前記運動伝達先の部材の運動量の比を前記運動伝達元の部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させるよう構成される(請求項4の構成)。
上記請求項4の構成によれば、運動伝達先の部材に設けられたカムフォロアが運動伝達先の部材に設けられたカムに従動することにより運動伝達元の部材の運動量に対する運動伝達先の部材の運動量の比が運動伝達元の部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化されるので、運動伝達元の部材の運動量に対する運動伝達先の部材の運動量の比を確実に運動伝達元の部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させることができると共に、カム及びカムフォロアの設定によって所望の連続的な非線形特性を達成することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、前記操作シミュレータは前記入力部材、前記中間部材、前記出力部材を収容するハウジングを有し、前記中間部材は前記軸線の周りに前記入力部材及び前記出力部材を囲繞する状態にてこれらに嵌合し且つ前記入力部材及び前記出力部材を前記軸線に沿って直線運動可能に支持しており、前記ハウジングは前記軸線の周りに前記中間部材を囲繞する状態にてこれに嵌合し且つ前記中間部材を回転可能に支持しており、前記第一及び第二の伝達手段の前記カム溝は前記中間部材に設けられ、前記第一及び第二の伝達手段の前記カム溝係合部材はそれぞれ前記入力部材及び前記出力部材に設けられ、前記ハウジングは前記軸線に沿って延在するガイド溝を有し、前記第一及び第二の伝達手段の前記カム溝係合部材はそれぞれ前記第一及び第二の伝達手段の前記カム溝を貫通して径方向に延在し且つ前記ガイド溝に沿って移動可能に前記ガイド溝に係合しているよう構成される(請求項4の構成)。
上記請求項4の構成によれば、中間部材は軸線の周りに入力部材及び出力部材を囲繞する状態にてこれらに嵌合し且つ入力部材及び出力部材を軸線に沿って往復動可能に支持しているので、入力部材及び出力部材が互いに異なる軸線に沿って直線運動する構造や中間部材が入力部材若しくは出力部材に嵌合していない構造の場合に比して、操作シミュレータの軸線方向の長さを低減し、操作シミュレータをコンパクト化することができる。またハウジングは軸線の周りに中間部材を囲繞する状態にてこれに嵌合し且つ中間部材を回転可能に支持しているので、直線運動又は回転運動する部材が露呈することを防止することができると共に、ハウジングを車体の如き支持手段に固定することにより操作シミュレータを容易に且つ確実に支持手段に固定することができる。
また上記請求項4の構成によれば、ハウジングは軸線に沿って延在するガイド溝を有し、第一及び第二の伝達手段のカム溝係合部材はそれぞれ第一及び第二の伝達手段のカム溝を貫通して径方向に延在しガイド溝に嵌入しているので、第一及び第二の伝達手段のカム溝係合部材をガイド溝により確実に軸線に沿って案内させることができ、これによりハウジングにガイド溝が設けられていない構造の場合に比して、入力部材の直線運動と中間部材の回転運動との間の運動変換及び中間部材の回転運動と出力部材の直線運動との間の運動変換を円滑に行わせることができる。また入力部材の直線運動と中間部材の回転運動との間の運動変換及び中間部材の回転運動と出力部材の直線運動との間の運動変換に伴い第一及び第二の伝達手段のカム溝係合部材が受ける応力の一部をハウジングにより担持させることができ、従ってハウジングにガイド溝が設けられていない構造の場合に比して、操作シミュレータの耐久性を向上させることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れかの構成に於いて、前記中間部材の運動量に対する前記出力部材の運動量の比は前記入力部材の運動量に対する前記中間部材の運動量の比よりも大きいよう構成される(請求項5の構成)。
上記請求項5の構成によれば、中間部材の運動量に対する出力部材の運動量の比は入力部材の運動量に対する中間部材の運動量の比よりも大きいので、中間部材の運動量に対する出力部材の運動量の比が入力部材の運動量に対する中間部材の運動量の比よりも小さい構造の場合に比して、同一の連続的な非線形特性を達成する上で必要な中間部材の回転運動量を小さくすることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の何れかの構成に於いて、前記第一及び第二の伝達手段は前記出力部材を前記軸線に沿って前記入力部材と同一の方向へ直線運動させるよう構成されているよう構成される(請求項6の構成)。
上記請求項6の構成によれば、出力部材は軸線に沿って入力部材と同一の方向へ直線運動するので、請求項27の構成の場合に比して入力部材の直線運動量が0であるときの入力部材と出力部材との間の距離を小さくすることができ、これにより請求項27の構成の場合に比して、操作シミュレータの軸線に沿う方向の長さを小さくすることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項6の構成に於いて、前記入力部材及び前記出力部材は前記入力部材の運動量が0であるときには互いに当接するよう構成される(請求項7の構成)。
上記請求項7の構成によれば、入力部材及び出力部材は入力部材の運動量が0であるときには互いに当接するので、入力部材の運動量が0であるときにも入力部材及び出力部材が互いに隔置される構造の場合に比して、操作シミュレータの軸線に沿う方向の長さを小さくすることができると共に、入力部材の運動量が0であるときに於ける入力部材及び出力部材のがたつきを確実に低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4乃至7の何れかの構成に於いて、前記反力発生手段は前記出力部材と前記ハウジングとの間に弾装され前記軸線に沿う圧縮変形を受けるよう構成される(請求項8の構成)。
上記請求項8の構成によれば、反力発生手段は出力部材とハウジングとの間に弾装され軸線に沿う圧縮変形を受けるので、反力発生手段は効果的に出力部材に対し反力を付与することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4又は7の構成に於いて、前記操作シミュレータは前記入力部材と前記出力部材との間に弾装され前記軸線に沿う引張り変形を受けることにより引張り変形量に応じて線形的に前記軸線に沿う方向の引張り応力を発生する引張り応力発生手段を有するよう構成される(請求項9の構成)。
上記請求項9の構成によれば、入力部材と出力部材との間に弾装され軸線に沿う引張り変形を受けることにより引張り変形量に応じて線形的に軸線に沿う方向の引張り応力を発生する引張り応力発生手段が設けられているので、入力部材に付与される反力は出力部材及び中間部材を経て入力部材に伝達される反力発生手段の反力より入力部材に直接伝達される引張り応力発生手段の引張り応力との差であり、従って入力部材の運動量に対する出力部材の運動量の比により一義的に決定される入力部材の運動量に対する反力発生手段の反力の比とは異なる連続的な非線形の関係になるよう、入力部材の運動量に対する入力部材に伝達される反力の比を設定することができ、これにより引張り応力発生手段が設けられていない構造の場合に比して、入力部材の運動量に対する入力部材に伝達される反力の比の設定の自由度を高くすることができる。
また本発明によれば、上記請求項4乃至9の何れかの構成に於いて、前記入力部材及び前記出力部材は前記軸線の周りの同一の位置にて前記軸線に沿って互いに隔置されており、前記第一及び第二の伝達手段の前記カム溝係合部材はそれらに共通のガイド溝に係合しているよう構成される(請求項10の構成)。
上記請求項10の構成によれば、第一及び第二の伝達手段のカム溝係合部材はそれらに共通のガイド溝に係合しているので、入力部材及び出力部材が軸線の周りの互いに異なる位置に設けられ、第一及び第二の伝達手段のカム溝係合部材がそれぞれ個別のガイド溝に係合する構造の場合に比して、ガイド溝の数を低減し、操作シミュレータの構造を簡略化することができる。
また本発明によれば、上記請求項1乃至10の何れかの構成に於いて、前記入力部材及び前記出力部材は前記軸線に沿って互いに係合する部分を有し、前記第一及び第二の伝達手段は前記互いに係合する部分に設けられ且つ前記軸線の周りの周方向に互いに隔置されているよう構成される(請求項11の構成)。
上記請求項11の構成によれば、入力部材及び出力部材は軸線に沿って互いに係合する部分を有し、第一及び第二の伝達手段は互いに係合する部分に設けられ且つ軸線の周りの周方向に互いに隔置されているので、入力部材及び出力部材が軸線に沿って互いに係合する部分を有さず且つ第一及び第二の伝達手段が軸線に沿って互いに隔置されている構造の場合に比して、操作シミュレータの軸線方向の長さを低減し、操作シミュレータをコンパクト化することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項11の構成に於いて、前記入力部材及び前記出力部材はそれぞれ前記軸線に沿って他方の部材へ向けて延在する一対のアーム部を有し、前記入力部材の一対のアーム部及び前記出力部材の一対のアーム部は前記軸線の周りの周方向に見て交互に配設され、前記入力部材及び前記出力部材の前記軸線に沿う相対直線運動を許しつつ前記軸線の周りの相対回転運動を阻止するよう構成される(請求項12の構成)。
上記請求項12の構成によれば、入力部材及び出力部材はそれぞれ軸線に沿って他方の部材へ向けて延在する一対のアーム部を有し、入力部材の一対のアーム部及び出力部材の一対のアーム部は軸線の周りの周方向に見て交互に配設され、入力部材及び出力部材の軸線に沿う相対直線運動を許容しつつ軸線の周りの相対回転運動を阻止するので、入力部材の直線運動が中間部材の回転運動に変換される際に入力部材が中間部材より受ける回転反力及び中間部材の回転運動が出力部材の直線運動に変換される際に中間部材が出力部材より受ける回転反力は互いに軸線の周りの逆方向になる。
従って直線運動と回転運動との間の運動変換により生じる回転反力の少なくとも一部を入力部材及び出力部材により担持することができ、これにより第一及び第二の伝達手段が担持すべき回転反力を低減することができるので、入力部材の一対のアーム部及び出力部材の一対のアーム部が入力部材及び出力部材の軸線の周りの相対回転運動を阻止するよう構成されていない構造の場合に比して、操作シミュレータの耐久性を向上させることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項12の構成に於いて、前記入力部材及び前記出力部材は同一の形状を有し、前記軸線に沿って互いに他に対し逆向きに配設されているよう構成される(請求項13の構成)。
上記請求項13の構成によれば、入力部材及び出力部材は同一の形状を有し、軸線に沿って互いに他に対し逆向きに配設されているので、入力部材及び出力部材を共通の部材とすることができ、これにより入力部材及び出力部材が互いに異なる形状を有する別部材である構造の場合に比して、必要な部品点数を低減し、操作シミュレータのコストを低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項11の構成に於いて、前記入力部材及び前記出力部材の一方は前記軸線に沿って他方の部材へ向けて延在する軸部を有し、前記他方の部材は前記軸線に沿って延在し前記軸部を前記軸線に沿って相対直線運動可能に受けるリセスを有し、前記第一及び第二の伝達手段の前記カム溝係合部材は前記軸部及び前記リセスの周囲の部分に設けられ且つ前記軸線の周りの周方向に互いに隔置されており、前記リセスの周囲の部分は前記軸部に設けられた前記カム溝係合部材が前記リセスの周囲の部分に対し相対的に前記軸線に沿って直線運動することを許すスリットを有するよう構成される(請求項14の構成)。
上記請求項14の構成によれば、入力部材及び出力部材の一方に設けられた軸部が他方の部材に設けられたリセスに軸線に沿って相対直線運動可能に受けられているので、入力部材及び出力部材の一方に設けられた軸部が他方の部材に設けられたリセスに軸線に沿って相対直線運動可能に受けられていない構造の場合に比して、入力部材及び出力部材のがたつきを確実に低減することができる。
また第一及び第二の伝達手段のカム溝係合部材は軸部及びリセスの周囲の部分に設けられ且つ軸線の周りの周方向に互いに隔置されており、リセスの周囲の部分は軸部に設けられたカム溝係合部材がリセスの周囲の部分に対し相対的に軸線に沿って直線運動することを許すスリットを有するので、入力部材及び出力部材が軸部及びリセスを有さず、第一及び第二の伝達手段が軸線に沿って互いに隔置されている構造の場合に比して、操作シミュレータの軸線方向の長さを低減し、操作シミュレータをコンパクト化することができる。
またリセスの周囲の部分は軸部に設けられたカム溝係合部材がリセスの周囲の部分に対し相対的に軸線に沿って直線運動することを許すスリットを有するので、カム溝係合部材がリセスの周囲の部分に対し相対的に軸線に沿って直線運動することがリセスの周囲の部分によって阻害されることを確実に防止することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の何れかの構成に於いて、前記第一及び第二の伝達手段は前記出力部材を前記軸線に沿って前記入力部材とは逆の方向へ直線運動させるよう構成され、前記反力発生手段は前記入力部材と前記出力部材との間に弾装され前記軸線に沿う圧縮変形を受けるよう構成される(請求項15の構成)。
上記請求項15の構成によれば、出力部材は軸線に沿って入力部材とは逆の方向へ直線運動し、反力発生手段は入力部材と出力部材との間に弾装され軸線に沿う圧縮変形を受けるので、反力発生手段を入力部材と出力部材との間に配置することができ、また他の部材を要することなく入力部材及び出力部材によって反力発生手段を圧縮変形させることができ、これにより入力部材の直線運動量に対する反力発生手段の圧縮変形量の比を大きくすることができ、更には反力発生手段の反力の少なくとも一部を直接入力部材に作用させることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至15の何れかの構成に於いて、前記出力部材は他の部材と共働して前記軸線に沿う両側に液体にて充填された容積可変の二つのシリンダ室を郭定しており、前記出力部材は前記二つのシリンダ室を連通接続するオリフィスを有し、前記出力部材の直線運動に伴って前記液体が一方のシリンダ室より前記オリフィスを経て他方のシリンダ室へ流動するよう構成される(請求項16の構成)。
上記請求項16の構成によれば、出力部材の直線運動に伴って液体が一方のシリンダ室よりオリフィスを経て他方のシリンダ室へ流動するので、液体がオリフィスを経て流動することによる減衰力が出力部材に対しその運動方向とは逆方向に作用し、従って操作手段に対するオペレータの操作速度が高く入力部材の直線運動速度が高いほど出力部材に作用する減衰力が高くなることにより、オペレータの操作速度が高いほど反力が高くなるよう操作速度に応じた操作反力を発生させることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至16の何れかの構成に於いて、前記第一及び第二の伝達手段の前記カム溝の前記軸線に沿う方向の延在範囲は前記軸線の周りの周方向に見て少なくとも部分的に互いにオーバラップしているよう構成される(請求項17の構成)。
上記請求項17の構成によれば、第一及び第二の伝達手段のカム溝の軸線に沿う方向の延在範囲は軸線の周りの周方向に見て少なくとも部分的に互いにオーバラップしているので、第一及び第二の伝達手段のカム溝の軸線に沿う方向の延在範囲が軸線の周りの周方向に見て互いにオーバラップしていない構造の場合に比して、第一及び第二の伝達手段のカム溝係合部材の軸線に沿う方向の間隔を小さくすることができ、これにより操作シミュレータの軸線方向の長さを低減し、操作シミュレータをコンパクト化することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至17の何れかの構成に於いて、前記カム溝係合部材は対応する部材に固定され径方向に延在する軸部材と、前記軸部材に回転可能に支持され前記カム溝の壁面に転動可能に係合するカムローラとを有するよう構成される(請求項18の構成)。
上記請求項18の構成によれば、カム溝係合部材は対応する部材に固定され径方向に延在する軸部材と、軸部材に回転可能に支持されカム溝の壁面に転動可能に係合するカムローラとを有するので、カム溝係合部材がカム溝の壁面に転動可能に係合していない構造の場合に比して、カム溝係合部材とカム溝の壁面との間の摩擦を低減し、運動伝達元の運動と運動伝達先の運動との間の運動変換を円滑に行わせることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項30の構成に於いて、前記カム溝係合部材は前記軸部材に回転可能に支持され前記入力部材の直線運動の方向に沿って延在するガイド溝の壁面に転動可能に係合するガイドローラを有するよう構成される(請求項19の構成)。
上記請求項19の構成によれば、カム溝係合部材は軸部材に回転可能に支持され入力部材の直線運動の方向に沿って延在するガイド溝の壁面に転動可能に係合するガイドローラを有するので、ガイド溝の壁面に転動可能に係合するガイドローラを有しない構造の場合に比して、軸部材を確実に入力部材の直線運動の方向に沿って移動させることができ、これにより運動伝達元の運動と運動伝達先の運動との間の運動変換を円滑に行わせることができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至19の何れかの構成に於いて、伝達手段は入力部材の運動量に対する出力部材の運動量の比が入力部材の運動量の増大につれて漸次増大するよう、入力部材の運動量に対する出力部材の運動量の比を入力部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至19の何れかの構成に於いて、第一及び第二の伝達手段の少なくとも一方は運動伝達元の部材の運動量に対する運動伝達先の部材の運動量の比が運動伝達元の部材の運動量の増大につれて漸次増大するよう、運動伝達元の部材の運動量に対する運動伝達先の部材の運動量の比を運動伝達元の部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させるよう構成される(好ましい態2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至19の何れか又は上記好ましい態様2の構成に於いて、中間部材はハウジング内にて軸線に沿って延在し且つハウジングにより軸線の周りに回転可能に支持されており、入力部材及び出力部材は中間部材内にて軸線に沿って配設され且つ軸線に沿って直線運動可能に中間部材により支持されているよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3乃至19の何れか又は上記好ましい態様3の構成に於いて、第一の伝達手段は入力部材の運動量に対する中間部材の運動量の比が入力部材の運動量の増大につれて漸次増大するよう、入力部材の運動量に対する中間部材の運動量の比を入力部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させるよう構成され、第二の伝達手段は中間部材の運動量に対する出力部材の運動量の比が中間部材の運動量の増大につれて漸次増大するよう、中間部材の運動量に対する出力部材の運動量の比を中間部材の運動量に応じて連続的に非線形に変化させるよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4乃至19の何れか又は上記好ましい態様3又は4の構成に於いて、軸線の周りに等間隔に隔置された複数のカム溝及びカム溝係合部材が設けられているよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項6乃至19の何れか又は上記好ましい態様3乃至5の何れか構成に於いて、入力部材の運動量の増大に伴う中間部材の運動量に対する出力部材の運動量の比の増大率は入力部材の運動量に対する中間部材の運動量の比の増大率よりも大きいよう構成される(好ましい態様6)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例及び参考例について詳細に説明する。
まず実施及び参考例の説明に先立ち、ブレーキストロークシミュレータとして構成された本発明による操作シミュレータの後述の各実施例が適用されてよい自動車等の車両のブレーキ装置の一つの適用例について図17を参照して説明する。
図17はブレーキストロークシミュレータの実施例及び参考例が適用されてよい一つの適用例として油圧式のブレーキ装置210を示しており、ブレーキ装置210は運転者によるブレーキペダル212の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ214を有している。ブレーキペダル212は枢軸212Aにより枢支され、オペレーションロッド216によりマスタシリンダ214のピストンに連結されている。
マスタシリンダ214は第一のマスタシリンダ室214Aと第二のマスタシリンダ室214Bとを有し、これらのマスタシリンダ室にはそれぞれ左前輪用のブレーキ油圧供給導管218及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管220の一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管218及び220の他端にはそれぞれ左前輪及び右前輪の制動力を制御するホイールシリンダ222FL及び222FRが接続されている。
ブレーキ油圧供給導管218及び220の途中にはそれぞれ連通制御弁として機能する常開型の電磁開閉弁(所謂マスタカット弁)224L及び224Rが設けられ、電磁開閉弁224L及び224Rはそれぞれ第一のマスタシリンダ室214A及び第二のマスタシリンダ室214Bと対応するホイールシリンダ222FL及び222FRとの連通を制御する遮断弁として機能する。また第一のマスタシリンダ214Aには途中に常閉型の電磁開閉弁(常閉弁)226を有する導管228Aにより本発明に従って構成されたブレーキストロークシミュレータ10が接続されている。
マスタシリンダ214にはリザーバ230が接続されており、リザーバ230には油圧供給導管232の一端が接続されている。油圧供給導管232の途中には電動機234により駆動されるオイルポンプ236が設けられており、オイルポンプ236の吐出側の油圧供給導管232には高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータ238が接続されている。リザーバ230とオイルポンプ236との間の油圧供給導管232には油圧排出導管240の一端が接続されている。リザーバ230、オイルポンプ236、アキュムレータ238等は後述の如くホイールシリンダ222FL、222FR、222RL、222RR内の圧力を増圧するための高圧の圧力源として機能する。
尚図17には示されていないが、オイルポンプ236の吸入側の油圧供給導管232と吐出側の油圧供給導管232とを連通接続する導管が設けられ、該導管の途中にはアキュムレータ238内の圧力が基準値を越えた場合に開弁し吐出側の油圧供給導管232より吸入側の油圧供給導管232へオイルを戻すリリーフ弁が設けられている。
オイルポンプ236の吐出側の油圧供給導管232は、油圧制御導管242により電磁開閉弁224Lとホイールシリンダ222FLとの間のブレーキ油圧供給導管218に接続され、油圧制御導管244により電磁開閉弁224Rとホイールシリンダ222FRとの間のブレーキ油圧供給導管220に接続され、油圧制御導管246により左後輪用のホイールシリンダ222RLに接続され、油圧制御導管248により右後輪用のホイールシリンダ222RRに接続されている。
油圧制御導管242、244、246、248の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁250FL、250FR、250RL、250RRが設けられている。リニア弁250FL、250FR、250RL、250RRに対しホイールシリンダ222FL、222FR、222RL、222RRの側の油圧制御導管242、244、246、248はそれぞれ油圧制御導管252、254、256、258により油圧排出導管240に接続されており、油圧制御導管252、254の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁260FL、260FRが設けられ、また油圧制御導管256、258の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁よりも低廉な常開型の電磁式のリニア弁260RL、260RRが設けられている。
リニア弁250FL、250FR、250RL、250RRはそれぞれホイールシリンダ222FL、222FR、222RL、222RRに対する増圧弁(保持弁)として機能し、リニア弁260FL、260FR、260RL、260RRはそれぞれホイールシリンダ222FL、222FR、222RL、222RRに対する減圧弁として機能し、従ってこれらのリニア弁は互いに共働してアキュムレータ238内より各ホイールシリンダに対する高圧のオイルの給排を制御する増減圧制御弁を構成している。
尚各電磁開閉弁、各リニア弁及び電動機234に駆動電流が供給されない非制御時には電磁開閉弁224L及び224Rは開弁状態に維持され、電磁開閉弁226、リニア弁250FL〜250RR、リニア弁260FL及び260FRは閉弁状態に維持され、リニア弁260RL及び260RRは開弁状態に維持され(非制御モード)、これにより左右前輪のホイールシリンダ内の圧力は直接マスタシリンダ214により制御される。
図17に示されている如く、第一のマスタシリンダ室214Aと電磁開閉弁224Lとの間のブレーキ油圧制御導管218には該制御導管内の圧力を第一のマスタシリンダ圧力Pm1として検出する第一の圧力センサ266が設けられている。同様に第二のマスタシリンダ室214Bと電磁開閉弁224Rとの間のブレーキ油圧制御導管220には該制御導管内の圧力を第二のマスタシリンダ圧力Pm2として検出する第二の圧力センサ268が設けられている。ブレーキペダル212には運転者によるブレーキペダルの踏み込みストロークStを検出するストロークセンサ270が設けられ、オイルポンプ234の吐出側の油圧供給導管232には該導管内の圧力をアキュムレータ圧力Paとして検出する圧力センサ272が設けられている。
それぞれ電磁開閉弁224L及び224Rとホイールシリンダ222FL及び222FRとの間のブレーキ油圧供給導管218及び220には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ222FL及び222FR内の圧力Pfl、Pfrとして検出する圧力センサ274FL及び274FRが設けられている。またそれぞれ電磁開閉弁250RL及び250RRとホイールシリンダ222RL及び222RRとの間の油圧制御導管246及び248には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ222RL及び222RR内の圧力Prl、Prrとして検出する圧力センサ274RL及び274RRが設けられている。
電磁開閉弁224L及び224R、電磁開閉弁226、電動機234、リニア弁250FL〜250RR、リニア弁260FL〜260RRは図17には示されていない電子制御装置により制御される。
電子制御装置には、圧力センサ266及び268よりそれぞれ第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号、ストロークセンサ270よりブレーキペダル212の踏み込みストロークStを示す信号、圧力センサ272よりアキュムレータ圧力Paを示す信号、圧力センサ274FL〜274RRよりそれぞれホイールシリンダ222FL〜222RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号が入力される。
電子制御装置は、ブレーキペダル212が踏み込まれると電磁開閉弁226を開弁すると共に、電磁開閉弁224L及び224Rを閉弁し、その状態にて圧力センサ266、268により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2及びストロークセンサ270より検出された踏み込みストロークStに基づき車輌の目標減速度Gtを演算し、車輌の目標減速度Gtに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Pti(i=fl、fr、rl、rr)をマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い値に演算し、各車輪の制動圧Piが目標ホイールシリンダ圧力Ptiになるよう各リニア弁250FL〜250RR及び260FL〜260RRを制御する。
以上の説明より解る如く、電子制御装置は運転者の制動操作量に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い値に演算し、電磁開閉弁224L及び224R、電磁開閉弁226、電動機234、リニア弁250FL〜250RR、リニア弁260FL〜260RR、圧力センサ266等の各センサと共働して高圧の圧力源の圧力を使用して電磁開閉弁224L及び224Rを閉弁させた状態で各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標ホイールシリンダ圧力になるようリニア弁250FL〜250RR及びリニア弁260FL〜260RRを制御する。
この場合ブレーキストロークシミュレータ10は、電磁開閉弁224L及び224Rが閉弁されることによりマスタシリンダ214とホイールシリンダ222FL、222FRとの連通が遮断された状況に於いて、運転者によるブレーキペダル212の踏み込みストロークを許容すると共に、所望の連続的な非線形特性にてブレーキペダル212を介して運転者に反力を付与する。
尚本発明に従って構成されたブレーキストロークシミュレータ10が適用されてよいブレーキ装置は図17に示された構成のブレーキ装置に限定されるものではなく、例えば本願出願人の出願にかかる国際特許出願であるPCT/IB2006/002037の明細書及び図面に開示されたマスタシリンダ背面加圧式のブレーキ装置や、マスタシリンダが設けられておらず、オペレーションロッド216が直接ストロークシミュレータ10の入力ピストンを押圧駆動するバイワイヤ式のブレーキ装置であってもよい。
[第一の参考例]
図1はブレーキストロークシミュレータとして構成された操作シミュレータの第一の参考例を示す軸線に沿う断面図、図2は第一の参考例の出力ロータを平面に展開して示す展開図である。
これらの図に於いて、10はブレーキストロークシミュレータを全体的に示しており、ストロークシミュレータ10は軸線12に沿って直線運動可能な入力部材としての入力ピストン14を有している。入力ピストン14は一端にて開口する円筒形のハウジング16内に軸線12に沿って往復動可能に支持されており、ハウジング16と共働して容積可変の第一のシリンダ室18を郭定している。ハウジング16の他端の端壁には連通孔20が設けられており、第一のシリンダ室18は連通孔20及び導管228Aを介して第一のマスタシリンダ室214Aに連通接続され、これによりオイルにて充填されている。入力ピストン14は第一のシリンダ室18内の液圧が上昇すると、該液圧に応じて図1で見て左方へ軸線12に沿って移動する。
ハウジング16の一端にはエンドキャップ22が圧入等の手段により固定されており、入力ピストン14はハウジング16及びエンドキャップ22と共働して容積可変の第二のシリンダ室24を郭定している。入力ピストン14の両端部の外周にはテフロン(登録商標)リングの如き減摩リング26及び28が装着されており、減摩リング26及び28は入力ピストン14がハウジング16に対し相対的に直線運動する際の摩擦抵抗を低減すると共に、入力ピストン14とハウジング16の内壁面との間をシールし、これにより第一のシリンダ室18と第二のシリンダ室24との連通を遮断している。尚図1及び図2には示されていないが、ストロークシミュレータ10はハウジング16若しくはエンドキャップ22が車体に取り付けられることにより車体に固定されている。
荷重伝達ロッド30が入力ピストン14を貫通して軸線12に垂直に延在し、圧入等の手段により入力ピストン14に固定されている。荷重伝達ロッド30の両端部はハウジング16の円筒状の側壁に設けられたガイド溝32を貫通して出力部材としての出力ロータ34に設けられたカム溝36内まで延在している。また荷重伝達ロッド30の両端部は実質的に球形のガイドローラ38及びカムローラ40を自らの軸線30Aの周りに回転可能に支持している。各ガイドローラ38は対応するガイド溝32の壁面に転動可能に係合し、各カムローラ40はカム溝36の壁面に転動可能に係合している。ガイド溝32及びカム溝36の幅はそれぞれガイドローラ38及びカムローラ40の最大直径よりも極僅かに大きい値に設定されている。
二つのガイド溝32は軸線12の周りに互いに180°隔置されると共に軸線12に平行に直線的に延在しており、従ってガイドローラ38は荷重伝達ロッド30の周りの回転運動を除けば、ガイド溝32内を軸線12に沿って直線的にのみ運動可能である。二つのカム溝36も軸線12の周りに互いに180°隔置されているが、図2に示されている如く、カム溝36は軸線12及び周方向に対し傾斜した状態にて湾曲して延在している。従ってカムローラ40は荷重伝達ロッド30の周りの回転運動を除けば、カム溝36内を軸線12及び周方向に対し傾斜し湾曲した運動軌跡に沿ってのみ運動可能である。
ガイド溝32はハウジング16の内壁面に設けられ軸線12に沿って延在する複数の溝16Aを介して第二のシリンダ室24と常時連通しており、またハウジング16に設けられ軸線12に沿って延在する連通孔41及び導管228Bを介してリザーバ230と常時連通している。カム溝36はハウジング16と出力ロータ34との間の空間を介してガイド溝32と常時連通している。従って第二のシリンダ室24、ガイド溝32、カム溝36もオイルにて充填されており、オイルはガイドローラ38及びカムローラ40の回転及び転動に対する潤滑油としても作用する。
出力ロータ34はハウジング16の円筒状の側壁に遊嵌合すると共に軸線12に沿って延在する円筒状をなしている。また出力ロータ34はその軸線に沿う両端部にてハウジング16との間に設けられたアンギュラベアリング42及び44によりハウジング16に対し相対的に軸線12の周りに回転可能に支持されている。アンギュラベアリング42及び44は出力ロータ34がハウジング16に対し相対的に軸線12の周りに回転することを許すが、出力ロータ34がハウジング16に対し相対的に軸線12に沿って移動することを阻止する。アンギュラベアリング42及び44に対し軸線方向外側には軸線12の周りに環状に延在するカップシール46及び48が装着されている。カップシール46及び48はゴムの如き弾性材よりなり、出力ロータ34がハウジング16に対し相対的に軸線12の周りに回転することを許しつつアンギュラベアリング42及び44に粉塵や泥水等の異物が侵入することを阻止するようになっている。
出力ロータ34の周りにはフランジ部50Aを有する円筒状のカバー50が圧入等の手段により固定されている。カバー50は出力ロータ34の周りに密に嵌合してカム溝36の外周を塞いでおり、これによりカム溝36は外界と遮断されている。フランジ部50Aはカバー50の一端より径方向外方へ突出し且つ周方向に延在しており、反力発生部材としてのトーションばね52の一端を支持している。トーションばね52は出力ロータ34の一端の周りにコイル状に延在し、他端にてエンドキャップ22のフランジ部22Aに固定されている。従ってトーションばね52は出力ロータ34がエンドキャップ22に対し相対的に軸線12の周りに回転することによって回転方向の変形を受けると、その変形量に比例して線形的に回転方向の反力、即ち反力トルクを発生する。
かくして図示の第一の参考例に於いては、荷重伝達ロッド30、ガイド溝32、カム溝36、ガイドローラ38等は、互いに共働して入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動を軸線12の周りの回転運動に変換して出力ロータ34に伝達し、出力ロータ34等を介してトーションばね52を変形させると共に、トーションばね52の回転方向の反力を軸線12に沿って入力ピストン14の直線運動の方向とは逆方向に作用する反力として入力ピストン14に伝達する伝達手段54として機能する。
特にこの参考例に於ける伝達手段54は、入力ピストン14の直線運動量に対する出力ロータ34の回転運動量の比が入力ピストン14の直線運動量の増大につれて漸次増大するよう、入力ピストン14の直線運動量に対する出力ロータ34の回転運動量の比を入力ピストン14の直線運動量に応じて変化させることにより、入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対するトーションばね52の変形量の比が入力ピストン14の直線運動量の増大につれて漸次増大するよう、入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対するトーションばね52の変形量の比を入力ピストン14の直線運動量に応じて変化させる。
尚運転者によりブレーキペダル212に踏力が与えられると、ブレーキペダル212が枢軸212Aの周りに枢動してペダル部がストロークすると共に、ブレーキペダル212に与えられた踏力がマスタシリンダ214によって液圧に変換され、該液圧が導管228A及び連通孔20を経て第一のシリンダ室18へ伝達され、これにより入力ピストン14に対し軸線12に沿う方向の荷重が伝達される。この踏み込み荷重の伝達及び液圧変換は後述の他の参考例及び実施例に於いても同様である。
また伝達手段54により入力ピストン14に伝達されたトーションばね52の反力は、入力ピストン14によって第一のシリンダ室18内の液圧に変換され、連通孔20及び導管228Aを経て第一のマスタシリンダ室214Aに伝達され、マスタシリンダ214及びブレーキペダル212によって踏み込み方向とは逆方向の荷重に変換され、これにより運転者に対し踏み込み操作の反力が与えられる。この反力荷重の伝達及び液圧変換も後述の他の参考例及び実施例に於いても同様である。
特に図示の第一の参考例に於いては、二つのガイド溝32及び二つのカム溝36はそれぞれ軸線12の周りに互いに180°隔置された位置に設けられ、ガイド溝32及びカム溝36の図にて右端は軸線12に沿う同一の軸線方向位置に位置している。またマスタシリンダ214より第一のシリンダ室18に対し液圧が与えられない非制動時には、トーションばね52のばね力がカバー50を介して出力ロータ34に与えられることにより、ガイドローラ38及びカムローラ40はそれぞれガイド溝32及びカム溝36の図にて右端に当接する初期位置に位置するようになっている。またガイドローラ38及びカムローラ40が初期位置にあるときには、入力ピストン14は第一のシリンダ室18の容積が最小になり且つ第二のシリンダ室24の容積が最大になる初期位置に位置決めされる。
また各カム溝36は図2で見て右端より左端へ向かうにつれて周方向に対する傾斜角が漸次小さくなるよう湾曲して延在している。従って伝達手段54は図18に示されている如く入力ピストン14が軸線12に沿って図にて左方へ移動するにつれて入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対する出力ロータ34の回転運動量の比を漸次増大させ、これにより入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対するトーションばね52の変形量の比を漸次増大する。
上述の如く構成された第一の実施例に於いて、マスタシリンダ214内の液圧が上昇し、入力ピストン14が軸線12に沿って図1で見て左方へ直線運動すると、伝達手段54により入力ピストン14の直線運動が軸線12の周りの回転運動に変換されて出力ロータ34に伝達され、出力ロータ34の回転によりトーションばね52が変形される。そしてトーションばね52の回転方向の反力が伝達手段54により出力ロータ34より軸線12に沿う方向の反力として入力ピストン14に伝達され、入力ピストン14によって第一のシリンダ室18内の液圧に変換され、該液圧は連通孔20及び導管228Aを経て第一のマスタシリンダ室214Aに伝達され、マスタシリンダ214及びブレーキペダル212によって踏み込み方向とは逆方向の荷重に変換され、これにより運転者に対し踏み込み操作の反力が与えられる。
この場合ブレーキペダル212の踏み込み量の増大につれて伝達手段54により入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対するトーションばね52の変形量の比が漸次増大されるので、ブレーキペダル212の踏み込み量に対するペダル反力の比が漸次増大し、従ってトーションばね52自体のばね特性は線形のばね特性であるが、ブレーキペダル212の踏み込み量に対するペダル反力の特性は図19に示されている如き連続的な非線形の特性になる。
尚ブレーキペダル212の踏み込み量が増大され、入力ピストン14が軸線12に沿って図1で見て左方へ直線運動すると、第二のシリンダ室24の容積が減少するので、第二のシリンダ室24内のオイルは溝16A、ガイド溝32、連通孔41、導管228Bを経てリザーバ230へ流出する。逆にブレーキペダル212の踏み込み量が低減され、入力ピストン14が軸線12に沿って図1で見て右方へ直線運動すると、第二のシリンダ室24の容積が増大するので、リザーバ230内のオイルが導管228B、連通孔41、ガイド溝32、溝16Aを経て第二のシリンダ室24へ流出する。
かくして図示の第一の参考例によれば、ストロークシミュレータ10はマスタシリンダ214とホイールシリンダ222FL、222FRとが遮断されているような状況に於いても運転者によるブレーキペダル212の踏み込みストロークを許容すると共に、運転者がブレーキペダル212より感じる制動操作反力をブレーキペダル212の踏み込み量の増大につれて連続的な非線形の特性にて増大させ、これにより最適な制動操作フィーリングを達成することができる。
特に図示の第一の参考例によれば、伝達手段54による運動変換は入力ピストン14の直線運動と出力ロータ34の回転運動との間の変換のみであるので、例えば直線運動と回転運動との間の変換及び回転運動と直線運動との間の変換の両方が行われる後述の第三の参考例及び第一乃至第五の実施例の場合に比して、ブレーキストロークシミュレータ10の構造を簡素化することができる。
また図示の第一の参考例によれば、出力ロータ34がハウジング16を囲繞する状態にて入力ピストン14に嵌合すると共に、回転によって反力発生手段としてのトーションばね52を変形させるので、反力発生手段が軸線12に沿って配設され且つ軸線12に沿って変形される構造の場合に比して、ストロークシミュレータ10の軸線方向長さを小さくすることができる。
また図示の第一の実施例によれば、入力ピストン14はハウジング16内にて往復動可能にハウジング16により支持され、出力ロータ34はハウジング16外にて回転動可能にハウジング16により支持され、入力ピストン14及び出力ロータ34は相対運動するよう直接的に係合している訳ではないので、後述の第一乃至第五の実施例の場合に比して、部材の摩擦運動に起因する部材の摩耗を低減し、耐久性を向上させることができる。
[第二の参考例]
図3はブレーキストロークシミュレータとして構成された操作シミュレータの第二の参考例を示す軸線に沿う断面図である。尚図3に於いて図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
この第二の参考例に於いては、入力ピストン14はその根元部、即ち第一のシリンダ室18の側の端部に於いてハウジング16により軸線12に沿って往復動可能に支持されている。Oリングシール27がハウジング16の内壁面に取り付けられており、第一の参考例に於ける減摩リング26及び28に対応するリングは設けられていない。また入力ピストン14はその根元部以外の部分に於いてハウジング16に対し遊嵌合し、ハウジング16との間に第二のシリンダ室24と連通するばね室58を郭定している。ばね室58は連通孔41及び導管228Bを介してリザーバ230と常時連通している。第二のシリンダ室24には変形部材としての円板状のリアクションディスク60が充填配置されており、リアクションディスク60は圧縮応力を受けると実質的に体積変化することなく変形する材料にて形成されている。
入力ピストン14の先端部、即ち第二のシリンダ室24の側の端部は実質的に切頭円錐形をなし、先端にてリアクションディスク60に当接している。入力ピストン14の先端部の周りには実質的に剛体よりなり出力部材として機能する円筒状の荷重伝達子62が配置されており、荷重伝達子62は軸線12に沿ってハウジング16及び入力ピストン14に対し相対的に変位可能にこれらに嵌合している。荷重伝達子62の内周面及び外周面には軸線12に沿って延在する複数の溝62A及び62Bが設けられている。ばね室58には入力ピストン14を囲繞する状態にて反力発生手段としての圧縮コイルばね64が配置され、圧縮コイルばね64は荷重伝達子62とハウジング16の端壁との間に弾装されている。
この第二の参考例に於いては、入力ピストン14が軸線12に沿って図5で見て左方へ移動しリアクションディスク60が圧縮変形されると、荷重伝達子62がリアクションディスク60によって押圧され、これにより荷重伝達子62は圧縮コイルばね64の圧縮変形量を増大する方向、即ち入力ピストン14の運動方向とは逆方向へ軸線12に沿って移動せしめられる。また入力ピストン14が軸線12に沿って図5で見て左方へ移動するにつれてリアクションディスク60に与えられる圧縮変形量が漸次増大するので、圧縮コイルばね64の圧縮変形量を増大する方向への荷重伝達子62の移動量が漸次増大する。
従って入力ピストン14の先端部及びリアクションディスク60は互いにハウジング16等と共働して入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動を軸線12に沿う逆方向の直線運動に変換して荷重伝達子62へ伝達する伝達手段として機能すると共に、入力ピストン14が軸線12に沿って図5で見て左方へ移動するにつれて入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対する荷重伝達子62の直線運動量の比を漸次増大させ、これにより入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対する圧縮コイルばね64の圧縮変形量の比を漸次増大させる。
尚非制動時には、即ちマスタシリンダ214より第一のシリンダ室18へ液圧が供給されていないときには、入力ピストン14によりリアクションディスク60に与えられる変形量が最小になり、従って荷重伝達子62による圧縮コイルばね64の圧縮変形量が最小になると共に、入力ピストン14が図5で見て右端にてハウジング16の端壁に当接する初期位置に位置決めされるようになっている。
上述の如く構成された第二の参考例に於いては、入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動がリアクションディスク60により逆方向の直線運動として荷重伝達子62に伝達され、荷重伝達子62によって圧縮コイルばね64が圧縮変形されることにより反力が発生される。また圧縮コイルばね64の反力は荷重伝達子62よりリアクションディスク60を経て入力ピストン14に逆方向に作用する応力として伝達される。
かくして図示の第二の参考例によれば、上述の第一の参考例の場合と同様、ストロークシミュレータ10はマスタシリンダとホイールシリンダとが遮断されているような状況に於いても運転者によるブレーキペダル212の踏み込みストロークを許容すると共に、ブレーキペダル212の踏み込み量の増大につれて運転者が感じる制動操作反力を連続的な非線形の特性にて増大させ、これにより最適な制動操作フィーリングを達成することができる。
特に図示の第二の参考例によれば、入力ピストン14の直線運動を回転運動に変換するカム溝やカムリングの如き部材は不要であり、入力ピストン14の直線運動がリアクションディスク60により荷重伝達子62の逆方向の直線運動に変換されるので、入力ピストン14の直線運動が回転運動に変換される他の参考例及び実施例の場合に比して、ストロークシミュレータ10の構造を遥かに単純化することができる。
また図示の第二の参考例によれば、出力部材としての荷重伝達子62及び反力発生部材としての圧縮コイルばね64は軸線12に整合して入力ピストン14を囲繞するよう入力ピストン14に嵌合しているので、例えば荷重伝達子62軸線12に整合してリアクションディスク60に対し入力ピストン14とは反対の側に配置された構造の場合に比して、ストロークシミュレータ10の長さを遥かに小さくし、ストロークシミュレータをコンパクト化することができる。
[第三の参考例]
図4はブレーキストロークシミュレータとして構成された操作シミュレータの第三の参考例を示す軸線に沿う断面図、図5は第三の実施例の出力ロータを平面に展開して示す展開図である。尚図4及び図5に於いて図1及び図2に示された部材と同一の部材には図1及び図2に於いて付された符号と同一の符号が付されている。このことは後述の実施例についても同様である。
この第三の参考例に於いては、出力ロータ34の径方向外側には偏心カム部材68が嵌合し、圧入等の手段により出力ロータ34に固定されている。偏心カム部材68は軸線12に対し平行に偏心した軸線70を中心とする円筒状の外周面を有し、小径部には大径部に当接する状態にてボールベアリング72のインナレースが固定されている。ボールベアリング72のアウタレースは偏心カム部材68を囲繞するよう軸線70に沿って延在する円筒体74の一端部の内周面に圧入等の手段により固定されている。円筒体74の他端にはエンドキャップ76が圧入等の手段により固定されている。
またエンドキャップ22には軸線12に対し垂直に延在するガイド孔78が設けられており、ガイド孔78は径方向に延在するばね支持ロッド80の径方向内端部を往復動可能に支持している。ばね支持ロッド80の径方向外端部は円筒体74の他端部に圧入等の手段により固定されており、従って円筒体74、エンドキャップ76、ばね支持ロッド80はハウジング16及びエンドキャップ22に対し相対的に回転することなく、ハウジング16及びエンドキャップ22に対し相対的にばね支持ロッド80に沿って直線運動可能に支持されている。
ばね支持ロッド80にはエンドキャップ22と円筒体74との間にて二つのばね座部材82及び84が嵌合している。ばね座部材82及び84はばね支持ロッド80に対しその長手方向に相対的に変位可能に嵌合しているが、円筒体74の側のばね座部材82はばね支持ロッド80又は円筒体74に固定されていてもよい。ばね座部材82及び84の間には反力発生部材としての圧縮コイルばね86がばね支持ロッド80を囲繞する状態にて弾装されている。
特に図示の参考例に於いては、軸線12に対する軸線70の偏心方向、換言すれば偏心カム部材68の偏心方向はばね支持ロッド80に沿うその外端方向に整合している。従って入力ピストン14が初期位置にあり、ガイドローラ38及びカムローラ40がそれぞれガイド溝32及びカム溝36の初期位置にあるときには、ばね支持ロッド80の位置に於けるエンドキャップ22と円筒体74との距離が最大になり、これによりばね座部材82及び84の間隔が最大になって、圧縮コイルばね86の圧縮変形量が最小になるようになっている。
出力ロータ34の回転により軸線70が軸線12の周りに回転するよう偏心カム部材68が軸線12の周りに回転すると、円筒体74がばね支持ロッド80に沿って図4で見て下方へ直線運動し、これによりばね支持ロッド80の位置に於けるエンドキャップ22と円筒体74との距離が減少するが、その距離の減少率は偏心カム部材68の回転量が大きくなるにつれて大きくなる。従って出力ロータ34に設けられたカム溝36は図5に示されている如く軸線12及び周方向に対し一定の角度をなすよう延在している。この第三の参考例の他の点は上述の第一の参考例と同様に構成されている。
この第三の参考例に於いては、伝達手段54は入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動を出力ロータ34及び偏心カム部材68に回転運動として伝達する第一の伝達手段として機能し、偏心カム部材68の回転運動はばね支持ロッド80に沿うエンドキャップ22と円筒体74との間の相対直線運動に変換して円筒体74に伝達される。従って偏心カム部材68、ボールベアリング72、円筒体74、ばね支持ロッド80等は互いに共働して出力ロータ34の回転運動を円筒体74の直線運動に変換する第二の伝達手段56を構成しており、出力ロータ34は中間部材として機能し、円筒体74は反力発生手段としての圧縮コイルばね86を圧縮変形させる出力部材として機能する。
また第二の伝達手段56は圧縮コイルばね86により発生された反力を軸線12の周りの反力トルクとして偏心カム部材68及び出力ロータ34へ伝達し、第一の伝達手段54は出力ロータ34へ伝達された反力トルクを軸線12に沿う反力荷重として入力ピストン14へ伝達する。
またこの第三の参考例に於いては、第二の伝達手段56は入力ピストン14が軸線12に沿って図3で見て左方へ移動するにつれて入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対するばね座部材72及び74の互いに近づく方向の相対直線運動量の比を漸次増大させ、これにより入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対する圧縮コイルばね76の圧縮変形量の比を漸次増大させる。
上述の如く構成された第三の参考例に於いては、入力ピストン14の直線運動が軸線12の周りの回転運動に変換されて出力ロータ34に伝達されると、上述の如く偏心カム部材58の作用によりばね支持ロッド70の位置に於けるエンドキャップ22と円筒体64との距離が減少せしめられ、圧縮コイルばね76が圧縮変形されることにより反力が発生される。また圧縮コイルばね76の反力は円筒体64よりボールベアリング62及び偏心カム部材58を経て出力ロータ34に伝達され、出力ロータ34より軸線12に沿う方向の反力として入力ピストン14に伝達される。
かくして図示の第三の参考例によれば、上述の第一の参考例の場合と同様、ストロークシミュレータ10はマスタシリンダ214とホイールシリンダ222FL、222FRとが遮断されているような状況に於いても運転者によるブレーキペダル212の踏み込みストロークを許容すると共に、運転者がブレーキペダル212より感じる制動操作反力をブレーキペダル212の踏み込み量の増大につれて連続的な非線形の特性にて増大させ、これにより最適な制動操作フィーリングを達成することができる。
特に図示の第三の参考例によれば、第一の伝達手段54が入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動を出力ロータ34の回転運動に変換し、第二の伝達手段56が出力ロータ34の回転運動を円筒体74の軸線12に垂直な直線運動に変換するので、反力発生手段としての圧縮コイルばね86を軸線12に垂直な方向に沿って延在するよう配設することができ、これにより第一の伝達手段54と同様の二つの伝達手段が軸線12に沿って配設される後述の実施例の場合に比して、ストロークシミュレータ10の軸線12に沿う方向の長さを小さくすることができる。
また図示の第三の参考例によれば、第二の伝達手段56は入力ピストン14の直線運動量が増大するにつれて入力ピストン14の直線運動量に対する円筒体74の直線運動量の比が漸次増大するよう運動変換を行うので、入力ピストン14の直線運動を出力ロータ34の回転運動に変換するためのカム溝36は軸線12及び周方向に対し一定の角度をなすよう延在していてよく、上述の第一の参考例の場合に比してカム溝36の加工を単純化することができる。
[第一の実施例]
図6はブレーキストロークシミュレータとして構成された本発明による操作シミュレータの第一の実施例を示す軸線に沿う断面図、図7は第一の実施例の中間ロータを平面に展開して示す展開図である。
この第四の実施例に於いては、ハウジング16は円筒状の本体16Aとその両端に圧入等の手段により固定されたエンドキャップ22A及び22Bにて形成され、連通孔20はエンドキャップ22Aに設けられている。ハウジング16内には中間部材として機能する円筒状の中間ロータ86が配置され、軸線12に沿って延在している。入力ピストン14は中間ロータ86の内側にてこれに嵌合し、中間ロータ86によりこれに対し相対的に軸線12に沿って往復動可能に支持されている。
中間ロータ86の両端部とハウジング16の円筒部との間にはアンギュラベアリング42及び44が配置されており、アンギュラベアリング42及び44は中間ロータ86がハウジング16及び入力ピストン14に対し相対的に軸線12の周りに回転することを許すが、中間ロータ86がハウジング16及び入力ピストン14に対し相対的に軸線12に沿って移動することを阻止する。第一及び第二の参考例に於ける減摩リング26はカップシール88に置き換えられており、カップシール88は入力ピストン14及び中間ロータ86の相対運動を許しつつそれらの間をシールしている。
エンドキャップ22Bと入力ピストン14との間にて中間ロータ86の内側には出力ピストン90が嵌合配置されており、出力ピストン90は中間ロータ86によりこれに対し相対的に軸線12に沿って往復動可能に支持されている。出力ピストン90の両端部の外周面には減摩リング28と同様の減摩リング28A及び28Bが装着されている。図示の実施例に於いては、入力ピストン14及び出力ピストン90はエンドキャップ22Bへ向けて開いたカップ形の断面形状を有し、出力ピストン90とエンドキャップ22Bとの間の第三のシリンダ室106には反力発生手段としての圧縮コイルばね92が配置されている。
荷重伝達ロッド94が出力ピストン90を貫通して軸線12に垂直に延在し、圧入等の手段により出力ピストン90に固定されている。荷重伝達ロッド94の軸線94Aは荷重伝達ロッド30の軸線30Aと平行に延在しているが、軸線94Aは軸線12に垂直である限り、軸線12に沿って見て軸線30Aに対し傾斜していてもよい。荷重伝達ロッド94の両端部は中間ロータ86に設けられたカム溝96を貫通してハウジング16の本体16Aに設けられたガイド溝32内まで延在している。また荷重伝達ロッド94の両端部はガイドローラ98及びカムローラ100を自らの軸線102の周りに回転可能に支持している。各ガイドローラ98はガイド溝32の壁面に転動可能に係合し、各カムローラ100は中間ロータ86に設けられたカム溝96の壁面に転動可能に係合している。この実施例に於いてもガイド溝32及びカム溝96の幅はそれぞれガイドローラ98及びカムローラ100の最大直径よりも極僅かに大きい値に設定されている。
ガイド溝32はガイドローラ38及び98に共通のガイド溝として機能するよう、上述の第一及び第三の参考例のガイド溝32よりも長く軸線12に沿って延在している。ハウジング16の本体16Aの外周には円筒状のカバー104が圧入等の手段により固定されている。カバー104は本体16Aに密に嵌合し、ガイド溝32を外界より遮断している。カム溝36及び96はハウジング16の本体16Aと中間ロータ86との間の間隙を介してガイド溝32と常時連通しており、ガイド溝32はカバー104に設けられた連通孔41及び導管228Bを介してリザーバ230と常時連通している。
図7に示されている如く、カム溝36は上述の第一の参考例のカム溝36と同様に軸線12及び周方向に対し傾斜して延在すると共に、図7で見て右端より左端へ向かうにつれて周方向に対する傾斜角が漸次小さくなるよう湾曲して延在している。これに対しカム溝96は軸線12及び周方向に対し傾斜して延在しているが、図7で見て右端より左端へ向かうにつれて周方向に対する傾斜角が漸次大きくなるようカム溝36とは逆の方向へ湾曲して延在している。
カム溝96の図7で見て右端部はカム溝36の図7で見て左端部と軸線方向の位置が互いにオーバラップしている。またカム溝96の軸線12に沿う方向の延在長さはカム溝36の軸線12に沿う方向の延在長さよりも大きい値に設定されている。更にカム溝36及び96の図7で見た右端部の軸線12に対する傾斜角θ1及びθ2は同一の角度をなしている。尚図2と図7との比較より解る如く、カム溝36及び96の湾曲度合は上述の第一の参考例のカム溝36の湾曲度合よりも小さく設定されている。
図6に示されている如く、非制動時には、カムローラ40及び100はそれぞれカム溝36及び96の図7で見て右端に当接する初期位置に位置するようになっている。そしてカムローラ40及び100が初期位置にあるときには、入力ピストン14は第一のシリンダ室18の容積が最小になる初期位置に位置し、出力ピストン90は入力ピストン14に当接する初期位置に位置し、これにより圧縮コイルばね92の圧縮変形量が最小になるようになっている。また非制動時には、圧縮コイルばね92のばね力により荷重伝達ロッド30及び94が図6で見て右方へ付勢されることにより、入力ピストン14及び出力ピストン90が初期位置に位置決めされ、入力ピストン14及び出力ピストン90は初期位置にあるときには互いに当接するようになっている。
尚入力ピストン14が初期位置にあるときの入力ピストン14の図6で見て左端は、カム溝36の図6で見て左端よりも第一のシリンダ室18の側に位置する。また上述の如くカム溝96の図7で見て右端部はカム溝36の図7で見て左端部と軸線方向の位置が互いにオーバラップしている。従って上述の第一及び第三の参考例に於ける溝16Aに対応する溝は設けられていないが、入力ピストン14と出力ピストン90との間の第二のシリンダ室24は入力ピストン14と出力ピストン90との間の間隙を経てカム溝36及び96と連通し、オイルにて充填されている。また出力ピストン90が初期位置にあるときの出力ピストン90の図6で見て左端は、カム溝96の図6で見て左端よりも第一のシリンダ室18の側に位置する。従って出力ピストン90とエンドキャップ22Bとの間の第三のシリンダ室106はカム溝96と連通し、オイルにて充填されている。
かくして図示の第一四の実施例に於いては、荷重伝達ロッド30、ガイド溝32、カム溝36、ガイドローラ38、カムローラ40等は、互いに共働して入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動を軸線12の周りの回転運動に変換して中間ロータ86に伝達すると共に、後述の如く中間ロータ86に伝達される反力トルクを軸線12に沿う方向の反力として入力ピストン14に伝達する第一の伝達手段54として機能する。また第一の伝達手段54は、入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対する中間ロータ86の回転運動量の比を入力ピストン14の直線運動量の増大につれて漸次増大させる。
また荷重伝達ロッド94、ガイド溝32、カム溝96、ガイドローラ98、カムローラ100等は、互いに共働して中間ロータ86の回転運動を軸線12に沿う直線運動に変換して出力ピストン90に伝達し、出力ピストン90を介して圧縮コイルばね92を圧縮変形させると共に、圧縮コイルばね92の反力を軸線12の周りの反力トルクとして中間ロータ86に伝達する第二の伝達手段56として機能する。また第二の伝達手段56は、中間ロータ86の回転運動量に対する出力ピストン90の軸線12に沿う直線運動量の比を中間ロータ86の回転運動量の増大につれて漸次増大させ、これにより入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対する出力ピストン90の軸線12に沿う直線運動量の比を入力ピストン14の直線運動量の増大につれて漸次増大させる。
上述の如くカム溝36及び96の湾曲度合は上述の第一の参考例のカム溝36の湾曲度合よりも小さく設定されているので、図20に示されている如く、入力ピストン14の直線運動量に対する中間ロータ86の回転運動量の比が入力ピストン14の直線運動量の増大につれて大きくなる割合は、上述の第一の参考例に於いて入力ピストン14の直線運動量に対する出力ロータ34の回転運動量の比が入力ピストン14の直線運動量の増大につれて大きくなる割合よりも小さい。同様に図21に示されている如く、中間ロータ86の回転運動量に対する出力ピストン90の直線運動量の比が中間ロータ86の回転運動量の増大につれて大きくなる割合は、上述の第一の参考例に於いて入力ピストン14の直線運動量に対する出力ロータ34の回転運動量の比が入力ピストン14の直線運動量の増大につれて大きくなる割合よりも小さい。
しかしこの第一の実施例に於いては、入力ピストン14の直線運動量に対する出力ピストン90の直線運動量の比は第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56の両者の作用によって決定され、従って入力ピストン14の直線運動量に対する圧縮コイルばね92の圧縮変形量の比も第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56の両者の作用によって決定されるので、図22に示されている如く、ブレーキペダル212の踏み込み量に対するペダル反力の特性は上述の第一の参考例について同様の非線形特性を示す図19の場合と同様の特性になる。
尚入力ピストン14が軸線12に沿って図6で見て左方へ直線運動すると、上述の如く出力ピストン90も軸線12に沿って図6で見て左方へ直線運動するが、出力ピストン90の直線運動量は入力ピストン14の直線運動量よりも大きい。従って第二のシリンダ室24の容積は増大するが、第三のシリンダ室106の容積は減少する。逆に入力ピストン14が軸線12に沿って図6で見て右方へ直線運動すると、第二のシリンダ室24の容積は減少し、第三のシリンダ室106の容積は増大する。
上述の如く第二のシリンダ室24はカム溝36と連通しているので、第二のシリンダ室24の容積が増減する際には第二のシリンダ室24とカム溝36との間にオイルが流通する。また上述の如く第三のシリンダ室106はカム溝96と連通しているので、第三のシリンダ室106の容積が増減する際には第三のシリンダ室106とカム溝96との間にオイルが流通する。
また上述の第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56の両者の作用、即ち入力ピストン14の直線運動を中間ロータ86の回転運動に変換し、中間ロータ86の回転運動を出力ピストン90の直線運動に変換する作動、入力ピストン14の直線運動量に対する出力ピストン90の直線運動量の比を決定する作動、圧縮コイルばね92の反力を出力ピストン90及び中間ロータ86を介して入力ピストン14へ伝達する作動は、後述の第二乃至第五の実施例についても同様である。
かくして図示の第一の実施例によれば、上述の第一乃至第三の参考例の場合と同様、ストロークシミュレータ10はマスタシリンダとホイールシリンダとが遮断されているような状況に於いても運転者によるブレーキペダル212の踏み込みストロークを許容すると共に、ブレーキペダル212の踏み込み量の増大につれて運転者が感じる制動操作反力を連続的な非線形の特性にて増大させ、これにより最適な制動操作フィーリングを達成することができる。
特に図示の第一の実施例によれば、第一の伝達手段54により入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動が中間ロータ86の軸線12の周りの回転運動に変換され、第二の伝達手段56により中間ロータ86の回転運動が出力ピストン90の軸線12に沿う直線運動に変換され、圧縮コイルばね92が軸線12に沿って圧縮変形されるので、軸線12を基準にして全ての構成部材を配設することができる。尚このことは後述の他の実施例についても同様である。
また図示の第一の実施例によれば、入力ピストン14が初期位置にあるときには、出力ピストン90が圧縮コイルばね92によって図6で見て右方へ付勢されることにより、荷重伝達ロッド30、94等が右端の初期位置に位置決めされると共に、出力ピストン90が入力ピストン14に当接するので、非制動時に入力ピストン14及び出力ピストン90ががたつくことを効果的に防止することができる。
[第二の実施例]
図8はブレーキストロークシミュレータとして構成された本発明による操作シミュレータの第二の実施例を示す軸線に沿う断面図、図9は第二の実施例の中間ロータを平面に展開して示す展開図である。
この第二の実施例に於いては、荷重伝達ロッド30及び94はそれぞれ径方向に二分割され、それぞれ径方向内端部にて入力ピストン14及び出力ピストン90により片持支持されている。第二のシリンダ室24内には軸線12に沿って延在する引張りコイルばね108が配置されている。引張りコイルばね108は一端にて入力ピストン14に固定され、他端にて出力ピストン90に固定され、これにより入力ピストン14及び出力ピストン90に対しそれらを互いに引き寄せる荷重を付与するようになっている。
入力ピストン14の軸線方向長さは上述の第一の実施例の場合よりも短く設定されており、これにより入力ピストン14及び出力ピストン90が初期位置にあるときにも、入力ピストン14の図8で見て左端は出力ピストン90より隔置されるようになっている。逆に出力ピストン90の軸線方向長さは上述の第一の実施例の場合よりも長く設定されており、これにより第三のシリンダ室106は出力ピストン90が初期位置にあるときにも減摩リング28Bによりカム溝96より遮断されるようになっている。
出力ピストン90には軸線12に整合して延在するオリフィス110が設けられており、これにより第三のシリンダ室106はオリフィス110及び第二のシリンダ室24を介してカム溝36と常時連通している。エンドキャップ22Bとアンギュラベアリング44との間にはカップシール48が配置されており、これによりアンギュラベアリング44を経て第三のシリンダ室106とカム溝36との間にオイルが流通することがないようになっている。カム溝36及び96は上述の第一の実施例の場合よりも大きい距離軸線12に沿って互いに隔置されており、これにより図7で見てカム溝96の右端部及びカム溝36の左端部は軸線方向の位置が互いにオーバラップしていないが、カム溝36及び96は上述の第一の実施例の場合と同様に互いにオーバラップしていてもよい。この第二の実施例の他の点は上述の第一の実施例と同様に構成されている。
この第二の実施例に於いては、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56は上述の第一の実施例の場合と同様に機能するので、入力ピストン14が軸線12に沿って図8で見て左方へ直線運動すると、出力ピストン90も軸線12に沿って図8で見て左方へ直線運動するが、出力ピストン90の直線運動量は入力ピストン14の直線運動量よりも大きい。よって入力ピストン14と出力ピストン90との間の間隔は漸次増大するが、出力ピストン90とエンドキャップ22Bとの間の間隔は漸次減少する。
従って出力部材としての出力ピストン90は、入力ピストン14が軸線12に沿って図8で見て左方へ直線運動する際には圧縮コイルばね92を圧縮変形させると共に引張りコイルばね108を引張り変形させるので、出力ピストン90には圧縮コイルばね92の圧縮変形の反力及び引張りコイルばね108の引張り変形の反力が作用し、これらの反力は入力ピストン14の図8で見て左方への直線運動量が増大するにつれて増大率が漸次増大するよう非線形的に増大する。
逆に入力ピストン14が軸線12に沿って図8で見て右方へ直線運動すると、入力ピストン14と出力ピストン90との間の間隔は減少し、出力ピストン90とエンドキャップ22Bとの間の間隔は増大する。従って出力ピストン90は、入力ピストン14が軸線12に沿って図8で見て右方へ直線運動する際には圧縮コイルばね92の圧縮変形量を低減すると共に引張りコイルばね108の引張り変形量を低減するので、出力ピストン90に作用する圧縮コイルばね92の圧縮変形の反力及び引張りコイルばね108の引張り変形は入力ピストン14の図8で見て右方への直線運動量が増大するにつれて減少率が漸次減少するよう非線形的に減少する。
尚引張りコイルばね108の引張り変形に伴うばね力は入力ピストン14に対しては入力ピストン14を直線運動させる力の反力を低減するよう作用するが、出力ピストン90に対しては反力を増大させるよう作用し、これらのばね力は方向が逆で大きさが同一であるので、引張りコイルばね108のばね力により反力が増減されることはない。
かくして図示の第二の実施例によれば、上述の第一乃至第三の参考例及び第一の実施例の場合と同様、ストロークシミュレータ10はマスタシリンダとホイールシリンダとが遮断されているような状況に於いても運転者によるブレーキペダル212の踏み込みストロークを許容すると共に、ブレーキペダル212の踏み込み量の増大につれて運転者が感じる制動操作反力を連続的な非線形の特性にて増大させ、これにより最適な制動操作フィーリングを達成することができる。
特に図示の第二の実施例によれば、出力ピストン90には第二のシリンダ室24と第三のシリンダ室106とを連通接続するオリフィス110が設けられており、ブレーキペダル212の踏み込み速度が高いほどオイルがオリフィス110を通過する際の流通抵抗が高くなり、流通抵抗は反力を増大する作用をなすので、ブレーキペダル212の踏み込み速度が高いほど操作反力を高くすることができる。
また図示の第二の実施例によれば、入力ピストン14と出力ピストン90との間には引張りコイルばね108が弾装されているので、入力ピストン14、出力ピストン90等ががたつくことを効果的に低減することができ、また入力ピストン14及び出力ピストン90は初期位置に於いても互いに隔置されるので、入力ピストン14及び出力ピストン90がそれらの初期位置へ復帰する際にそれらが互いに衝当することを確実に防止することができる。
[第三の実施例]
図10はブレーキストロークシミュレータとして構成された本発明による操作シミュレータの第三の実施例を示す軸線に沿う断面図、図11は第三の実施例の中間部材としての中間ロータを平面に展開して示す展開図である。
この第三の実施例に於いては、荷重伝達ロッド30及び94は上述の第二の実施例の場合と同様にそれぞれ径方向に二分割され、それぞれ径方向内端部にて入力ピストン14及び出力ピストン90により片持支持されている。入力ピストン14はエンドキャップ22Bへ向けて開いたカップ形の断面形状を有しているが、出力ピストン90は入力ピストン14へ向けて開いたカップ形の断面形状を有している。反力発生手段としての圧縮コイルばね92は第二のシリンダ室24内に配置され、入力ピストン14と出力ピストン90との間に弾装されている。尚荷重伝達ロッド30及び94はそれぞれ入力ピストン14及び出力ピストン90を貫通して直径方向に延在する一つの棒材であってもよい。
また図11に示されている如く、カム溝96は軸線12及び周方向に対し上述の第一及び第二の実施例に於けるカム溝96とは逆方向に傾斜して延在するよう中間ロータ86に設けられている。従って非制動時には、第一の伝達手段54を構成するガイドローラ38及びカムローラ40は、それぞれガイド溝32及びカム溝36の図10で見て右端に当接する初期位置に位置し、第二の伝達手段56を構成するガイドローラ98及びカムローラ100は、それぞれガイド溝32及びカム溝96の図10で見て左端に当接する初期位置に位置する。またガイドローラ38及びカムローラ40が初期位置にあるときには、入力ピストン14はエンドキャップ22Aに最も接近し、ガイドローラ98及びカムローラ100が初期位置にあるときには、出力ピストン90はエンドキャップ22Bに当接し、これにより第一のシリンダ室18及び第三のシリンダ室106の容積は最小になり、第二のシリンダ室24の容積は最大になる。
この第三の実施例の他の点は上述の第一の実施例と同様に構成されており、従って第一の伝達手段54は上述の第一の実施例の場合と同様に機能し、第二の伝達手段56は中間ロータ86の回転運動の方向に対する出力ピストン90の直線運動の方向の関係が逆である点を除き上述の第一の実施例の場合と同様に機能する。
従って入力ピストン14が軸線12に沿って図10で見て左方へ直線運動すると、出力ピストン90は軸線12に沿って図10で見て右方へ直線運動し、入力ピストン14及び出力ピストン90は互いに共働して圧縮コイルばね92を圧縮変形する。この場合入力ピストン14の図10で見て左方への直線運動量が増大するにつれて入力ピストン14と出力ピストン90との間の距離の減少率が増大するので、入力ピストン14に作用する圧縮コイルばね92の反力は入力ピストン14の図10で見て左方への直線運動量が増大するにつれて増大率が漸次増大するよう非線形的に増大する。
逆に入力ピストン14が軸線12に沿って図10で見て右方へ直線運動すると、入力ピストン14と出力ピストン90との間の間隔が増大し、圧縮コイルばね92の圧縮変形量が低減するので、入力ピストン14に作用する圧縮コイルばね92の反力は入力ピストン14の図10で見て右方への直線運動量が増大するにつれて減少率が漸次減少するよう非線形的に減少する。
かくして図示の第三の実施例によれば、上述の第一乃至第三の参考例及び第一及び第二の実施例の場合と同様、ストロークシミュレータ10はマスタシリンダとホイールシリンダとが遮断されているような状況に於いても運転者によるブレーキペダル212の踏み込みストロークを許容すると共に、ブレーキペダル212の踏み込み量の増大につれて運転者が感じる制動操作反力を連続的な非線形の特性にて増大させ、これにより最適な制動操作フィーリングを達成することができる。
特に図示の第三の実施例によれば、圧縮コイルばね92の圧縮変形に伴う反力は中間ロータ86等を介して入力ピストン14に伝達されるだけでなく、直接入力ピストン14に作用するので、上述の第一、第二の実施例や後述の第四、第五の実施例の場合に比して荷重伝達ロッド30、94等に作用する荷重を低減し、これによりブレーキストロークシミュレータ10の耐久性を向上させることができる。
尚上述の第一乃至第三の実施例によれば、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56は軸線12の周りの同一の位置にて軸線12に沿って互いに隔置された位置し、これにより荷重伝達ロッド30及び94は軸線12の周りの同一の位置に位置しており、ガイド溝32は第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56に共通の溝であるので、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56のそれぞれにガイド溝が設けられる後述の第四及び第五の実施例の場合に比してガイド溝32の加工工程を少なくすることができる。
[第四の実施例]
図12はブレーキストロークシミュレータとして構成された本発明による操作シミュレータの第四の実施例を軸線に於いて直角に接する二つの切断面に沿って切断して示す断面図、図13は図12の線A−Aに沿う入力ピストン及び出力ピストンの横断面図、図14は第四の実施例の中間ロータを平面に展開して示す展開図である。
この第四の実施例に於いては、入力ピストン14は中間ロータ86に嵌合する実質的に円柱形の本体部より軸線12に沿って出力ピストン90へ向けて突出する一対のアーム部14Aを有し、一対のアーム部14Aは軸線12に対し径方向に互いに隔置されている。同様に出力ピストン90は中間ロータ86に嵌合する実質的に円柱形の本体部より軸線12に沿って入力ピストン14へ向けて突出する一対のアーム部90Aを有し、一対のアーム部90Aは軸線12に対し径方向に互いに隔置されている。各アーム部14A及び90Aの軸線12に垂直な断面は円弧状の外径線及び内径線を有し中心角が実質的に90°の扇形をなしている。特に図示の実施例に於いては、入力ピストン14及び出力ピストン90は互いに逆向きに配置された同一の部材である。
各アーム部14Aは軸線12の周りの周方向に見てアーム部90Aの間に位置し、これにより入力ピストン14及び出力ピストン90は軸線12に沿って互いに他に対し相対的に直線運動可能であるが、軸線12の周りに互いに他に対し相対的に回転運動することがないよう、互いに係合している。上述の第一の実施例と同様、反力発生手段としての圧縮コイルばね92は出力ピストン90とエンドキャップ22Bとの間に弾装されており、入力ピストン14及び出力ピストン90が初期位置にあるときには、アーム部14A及び90Aの先端がそれぞれ出力ピストン90及び入力ピストン14の本体部に相互に押圧する状態にて当接するようになっている。
上述の第二及び第三の実施例と同様、荷重伝達ロッド30及び94はそれぞれ径方向に二分割され、それぞれ径方向内端部にて入力ピストン14のアーム部14A及び出力ピストン90のアーム部90Aにより片持支持されている。特に図示の実施例に於いては荷重伝達ロッド30及び94は軸線12に沿う方向の位置として同一の軸線方向位置に位置しており、これによりこれらの荷重伝達ロッドは軸線12に垂直な平面に沿って軸線12の周りの周方向に交互に90°の角度にて互いに隔置されている。尚荷重伝達ロッド30及び94は互いに異なる軸線方向位置にあってもよい。
図14に示されている如く、上述の第一の実施例と同様、カム溝36及び96は上述の第一及び第二の実施例に於けるカム溝36及び96と同一の形態をなしているが、周方向に交互に配列されている。特に図示の実施例に於いては、カム溝36及び96の図にて右端部は互いに同一の軸線方向位置に位置し、カム溝36の軸線12に沿う方向の延在範囲はカム溝96の軸線12に沿う方向の延在範囲とオーバラップしている。
またガイドローラ38及び98はハウジング16の本体16Aに設けられたガイド溝32A及び32Bにそれぞれ係合しており、ガイド溝32A及び32Bは軸線12に沿って直線的に延在すると共に、軸線12の周りの周方向に交互に90°の角度にて互いに隔置されている。図12に示されている如く、ガイド溝32Bの長さはガイド溝32Aの長さよりも大きく設定されている。この第四の実施例の他の点は上述の第一の実施例と同様に構成されている。
この第四の実施例に於いては、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56は上述の第一の実施例の場合と同様に機能するので、入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動が軸線12の周りの回転運動に変換されて中間ロータ86へ伝達され、中間ロータ86の回転運動が軸線12に沿う直線運動に変換されて出力ピストン90へ伝達される。また出力ピストン90が圧縮コイルばね92を圧縮変形させることにより発生する軸線12に沿う方向の反力は出力ピストン90より反力トルクに変換されて中間ロータ86へ伝達され、中間ロータ86の反力トルクは軸線12に沿う方向の反力に変換されて入力ピストン14へ伝達される。また入力ピストン14の直線運動量に対する出力ピストン90の直線運動量の比の特性も上述の他の実施例の場合と同様の非線形の特性になる。
かくして図示の第四の実施例によれば、上述の第一乃至第三の参考例及び第一乃至第三の実施例の場合と同様、ストロークシミュレータ10はマスタシリンダとホイールシリンダとが遮断されているような状況に於いても運転者によるブレーキペダル212の踏み込みストロークを許容すると共に、ブレーキペダル212の踏み込み量の増大につれて運転者が感じる制動操作反力を連続的な非線形の特性にて増大させ、これにより最適な制動操作フィーリングを達成することができる。
特に図示の第四の実施例によれば、入力ピストン14のアーム部14A及び出力ピストン90のアーム部90Aは軸線12に沿って互いに他に対し相対的に直線運動可能であるが、軸線12の周りに互いに他に対し相対的に回転運動することがないよう互いに係合しているので、アーム部14A及び90Aによっても軸線12に沿う入力ピストン14及び出力ピストン90の相対運動が案内されると共に軸線12の周りの入力ピストン14及び出力ピストン90の相対回転が阻止されるので、上述の第一及び第二の実施例の場合に比して入力ピストン14及び出力ピストン90の相対直線運動を円滑に行わせることができる。
また図示の第四の実施例によれば、入力ピストン14及び出力ピストン90は互いに逆向きに配置された同一の部材であるので、入力ピストン14及び出力ピストン90が互いに異なる他の実施例の場合に比して部品点数を低減し、ストロークシミュレータ10のコストを低減することができる。
[第五の実施例]
図15はブレーキストロークシミュレータとして構成された本発明による操作シミュレータの第五の実施例を示す軸線に沿う断面図、図16は第五の実施例の中間ロータを平面に展開して示す展開図である。
この第五の実施例に於いては、入力ピストン14は中間ロータ86に嵌合する実質的に円柱形をなしているが、軸線12に整合して延在し出力ピストン90へ向けて開いた円筒形のリセス14Bを有している。これに対し出力ピストン90は中間ロータ86に嵌合する実質的に円柱形の本体部より軸線12に整合して入力ピストン14へ向けて突出する断面円形の軸部90Bを有し、軸部90Bは軸線12に沿って相対変位可能にリセス14Bに嵌入している。反力発生手段としての圧縮コイルばね92は出力ピストン90とエンドキャップ22Bとの間に弾装されており、入力ピストン14及び出力ピストン90が初期位置にあるときには、入力ピストン14及び出力ピストン90は相互に押圧する状態にて当接するようになっている。
また上述の第二乃至第五の実施例と同様、荷重伝達ロッド30及び94はそれぞれ径方向に二分割されており、荷重伝達ロッド30は径方向内端部にて入力ピストン14のリセス14Bの周りの部分により片持支持され、荷重伝達ロッド94は出力ピストン90の軸部90Bにより片持支持されている。上述の第四の実施例と同様、荷重伝達ロッド30及び94は同一の軸線方向位置に位置しており、これによりこれらの荷重伝達ロッドは軸線12に垂直な平面に沿って軸線12の周りの周方向に交互に90°の角度にて互いに隔置されている。
また入力ピストン14は軸線12の周りに荷重伝達ロッド30に対し90°の角度をなす位置に出力ピストン90へ向けて開いた一対のスリット14Cを有し、荷重伝達ロッド94は軸線12に沿って入力ピストン14に対し相対的に直線運動可能にスリット14Cに遊嵌状態にて挿通されている。この第五の実施例の他の点は上述の第四の実施例と同様に構成されている。尚この実施例に於いても荷重伝達ロッド30及び94は互いに異なる軸線方向位置にあってもよい。また荷重伝達ロッド94は出力ピストン90の軸部90B及び入力ピストン14の一対のスリット14Cを貫通して直径方向に延在する一つの棒材であってもよい。
この第五の実施例に於いても、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56は上述の第一の実施例の場合と同様に機能するので、入力ピストン14、中間ロータ86、出力ピストン90の間に於ける運動の変換伝達及び圧縮コイルばね92の反力の伝達は上述の第一の実施例の場合と同様に達成される。また入力ピストン14の直線運動量に対する出力ピストン90の直線運動量の比の特性も上述の他の実施例の場合と同様の非線形の特性になる。
かくして図示の第五の実施例によれば、上述の第一乃至第三の参考例及び第一乃至第四七の実施例の場合と同様、ストロークシミュレータ10はマスタシリンダとホイールシリンダとが遮断されているような状況に於いても運転者によるブレーキペダル212の踏み込みストロークを許容すると共に、ブレーキペダル212の踏み込み量の増大につれて運転者が感じる制動操作反力を連続的な非線形の特性にて増大させ、これにより最適な制動操作フィーリングを達成することができる。
特に図示の第五の実施例によれば、出力ピストン90の軸部90Bが入力ピストン14のリセス14Bに嵌合し、軸部90B及びリセス14Bによっても軸線12に沿う入力ピストン14及び出力ピストン90の相対運動が案内されるので、上述の第一及び第二の実施例の場合に比して入力ピストン14及び出力ピストン90の相対直線運動を円滑に行わせることができる。
尚図示の第四及び第五の実施例によれば、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56は軸線12の周りに隔置された位置にて軸線12に沿う同一の軸線方向位置に設けられているので、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56が軸線12に沿って互いに隔置されている上述の第一乃至第三の実施例の場合に比して、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56の運動変換に伴い中間ロータ86に作用するこじりを低減し、これによりストロークシミュレータ10の作動を円滑に行わせると共にその耐久性を向上させることができ、また軸線12に沿う方向のストロークシミュレータ10の長さを小さくし、車両に対する搭載性を向上させることができる。
また上述の第一乃至第五の実施例によれば、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56が設けられ、第一の伝達手段54は入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対する中間ロータ86の回転運動量の比を入力ピストン14の直線運動量の増大につれて漸次増大させ、第二の伝達手段56は中間ロータ86の回転運動量に対する出力ピストン90の軸線12に沿う直線運動量の比を中間ロータ86の回転運動量の増大につれて漸次増大させるようになっているので、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56の一方のみが運動伝達元の部材の運動量に対する運動伝達先の部材の運動量の比を運動伝達元の部材の運動量の増大につれて漸次増大させる構造の場合に比して、カム溝の湾曲度合を低減することができ、これにより第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56による運動変換及び反力の伝達を円滑に行わせることができる。
また上述の第一乃至第五の実施例によれば、中間ロータ86はハウジング16内にてハウジング16により回転可能に支持され、入力ピストン14及び出力ピストン90は中間ロータ86により直線運動可能に支持されており、可動部材や反力発生部材はハウジング16外に露呈していないので、可動部材である出力ロータ34及び反力発生部材であるトーションばね52がハウジング16外に露呈している上述の第一の参考例の場合に比して、車両等に対する良好な搭載性を確保することができ、また可動部材とハウジングとの間に異物が侵入したりすることによる作動不良の虞れを低減することができる。
また上述の第一の参考例によれば、伝達手段54の荷重伝達ロッド30を軸線12に沿って案内するガイド溝32が設けられ、第一乃至第五の実施例によれば、第一の伝達手段54の荷重伝達ロッド30を軸線12に沿って案内するガイド溝32又は32A、32Bが設けられると共に、第二の伝達手段56の荷重伝達ロッド90を軸線12に沿って案内するガイド溝32又は32Bが設けられているので、ガイド溝が設けられていない構造の場合に比して、軸線12の周りの入力ピストン14や出力ピストン90の回転を確実に防止することができ、これにより入力ピストン14の直線運動量に対する反力の比の特性を確実に且つ正確に所望の非線形の特性にすることができる。
また上述の第一及び第二の参考例、第一乃至第五の実施例によれば、複数の可動部材及び反力発生部材は軸線12に整合して配設され、軸線12に沿って又は軸線12の周りに運動するようになっているので、複数の可動部材や反力発生部材がそれぞれ互いに異なる個別の軸線に整合して配設された構造の場合に比して、ストロークシミュレータ10の構造を単純化することができると共に、運動変換や反力の伝達を最適に行わせることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の第一の参考例に於いては、出力ロータ34はハウジング16外にてハウジング16により回転可能に支持されているが、出力ロータ34がハウジング16内にてハウジング16により回転可能に支持され、トーションばね52もハウジング16内に収容されてもよい。
また上述の第二の参考例に於いては、荷重伝達子62は入力ピストン14の運動方向とは逆方向へ軸線12に沿って移動せしめられ、これにより圧縮コイルばね64を軸線12に沿って圧縮変形させるようになっているが、荷重伝達子62の移動方向及び反力発生手段の変形方向は入力ピストン14の運動方向と同一の方向に設定されてもよく、また例えば軸線12に交差する方向の如く任意の方向に設定されてよい。
また上述の第一乃至第三の実施例に於いては、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56は軸線12の周りの同一の位置にて軸線12に沿って互いに隔置された位置し、これによりガイド溝32は第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56に共通の溝であるが、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56は軸線12の周りの互いに異なる位置に設けられてもよい。
また上述の第一乃至第五の実施例に於いては、第一の伝達手段54が入力ピストン14の軸線12に沿う直線運動量に対する中間ロータ86の回転運動量の比を入力ピストン14の直線運動量の増大につれて漸次増大させ、第二の伝達手段56が中間ロータ86の回転運動量に対する出力ピストン90の軸線12に沿う直線運動量の比を中間ロータ86の回転運動量の増大につれて漸次増大させるようになっているが、第一の伝達手段54及び第二の伝達手段56の一方のみが運動伝達元の部材の運動量に対する運動伝達先の部材の運動量の比を運動伝達元の部材の運動量の増大につれて漸次増大させるよう修正されてもよい。
また上述の第三の実施例に於いては、入力ピストン14及び出力ピストン90は軸線12に沿って常時互いに隔置された状態にあるが、入力ピストン14及び出力ピストン90は圧縮コイルばね92の径方向内側又は外側に上述の第四及び第五の実施例の如く軸線12に沿って相対直線運動可能に係合する部分を有していてもよい。
また上述の第四の実施例に於いては、入力ピストン14及び出力ピストン90はそれぞれ扇形の断面形状を有する一対のアーム部14A及び90Aを有しているが、アーム部14A及び90Aの断面形状は例えば半円形の如き任意の形状に設定されてよい。同様に上述の第五の実施例に於いては、入力ピストン14及び出力ピストン90はそれぞれ円形の断面形状を有するリセス14B及び軸部90Bを有しているが、リセス14B及び軸部90Bの断面形状は任意の形状に設定されてよく、リセス14B及び軸部90Bは軸線12に沿って相対直線運動可能に且つ軸線12の周りに相対回転不能に互いに係合する平面部を備えていてもよい。
また第二のシリンダ室24と第三のシリンダ室106とを連通接続するオリフィス110は上述の第二の実施例の出力ピストン90にしか設けられていないが、オリフィス110と同様のオリフィスが上述の第一、第三乃至第五の実施例の出力ピストン90に設けられてもよい。
更に上述の各参考例及び実施例に於いては、操作シミュレータはブレーキストロークシミュレータであり、入力ピストン14はオペレータの操作力に対応する液圧によって軸線12に沿って直線的に駆動されるようになっているが、本発明の操作シミュレータは例えば自動車のアクセルペダルの如くオペレータによる操作手段の操作を許すと共に操作手段を介してオペレータに所要の操作反力を与える操作シミュレータに適用されてよく、入力ピストン14はオペレータの操作力によって直接的に軸線12に沿って駆動されるようになっていてもよい。