JP5223641B2 - 遠心圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、回転翼の回転により気体を圧縮する遠心圧縮機に関する。
従来から、回転翼の回転により空気や冷媒ガス等の気体を圧縮する遠心圧縮機が、ターボチャージャや冷蔵・冷凍機等に使用されている。上記圧縮機は、圧縮機から吐出される気体の流路を狭める等により気体を流動し難くすると共に、回転翼が回転して気体をさらに吐出することで、吐出側の気体を昇圧させる。
ところで、圧縮機から吐出される気体を流動し難くすることにより、圧縮機内の気体の流量は減少するのであるが、流量が一定の値まで減少したときに圧縮機の振動や吐出される気体の脈動等(いわゆるサージング)が発生する。
圧縮機内の流路径が一定のまま流量が減少すると、気体の流速が減少する。回転翼と回転翼に流入する気体との関係において、気体の流速が減少することで、回転翼から見た相対的な気体の流動方向と回転翼の翼部の傾きとの間における角度の差異が大きくなり、回転翼の背側(回転翼が回転して進む側の逆側)に気体の流動しない領域(剥離)が発生していた。そして、この剥離が圧縮機の性能を急激に低下させ、結果としてサージングを発生させていた。
サージングが発生した状態のまま圧縮機を運転させると圧縮機を破損する虞があるため、上記一定の流量以下では圧縮機を運転させることができない。よって、圧縮機の少流量側の作動限界は、サージングが発生する上記一定の流量までとされていた。
ここで、特許文献1には、圧縮機の作動限界を少流量側に拡大するために、回転翼に流入する気体に、回転翼の回転と同一方向の旋回を与える複数の案内翼(ガイドベーン)を備える圧縮機が開示されている。
気体が旋回しつつ回転翼に流入することで、気体の流量が減少した場合でも、上記角度の差異を小さくでき、また、回転翼から見た気体の相対速度も小さくできるため、回転翼の背側における剥離が縮小又は消滅する。すなわち、本来ならばサージングが発生するほどに気体の流量が少ない場合であっても、流入する気体を旋回させることでサージングの発生を回避し、圧縮機の作動限界を少流量側に拡大させることができた。
また、特許文献2には、回転翼の上流側に接続された気体の導入管の外周にスクロール流路を設け、導入管の周方向で延びる開口部を介してスクロール流路から導入管内に気体を導入することで、導入管内を流動する気体を旋回させる旋回流発生装置が開示されている。
特許文献2に開示されている旋回流発生装置を圧縮機に用いた場合も、その作動限界を少流量側に拡大させることができた。
特開平10−26027号公報(第5頁、第2図) 特開平11−6500号公報(第4頁、第1図)
しかし、特許文献1に開示されている圧縮機は、複数の案内翼を有し、さらに、それらの案内翼を同期して作動させるための駆動部を必要とするため、製造の手間やコストが増加してしまうという問題があった。
また、特許文献2に開示されている旋回流発生装置は、導入管とスクロール流路が導入管の周方向で延びる開口部を介して連通しているという複雑な構成を有しているため、その製造が難しく、結果としてコストが増加してしまうという問題があった。
さらに、特許文献1及び2に開示されている発明は、圧縮機の作動限界を少流量側に拡大するのみであり、作動限界を多流量側に拡大することは考慮されていなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、製造の手間やコストを過度に増加させることなく、作動限界を拡大できる遠心圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の遠心圧縮機は、回転翼の回転により気体を圧縮する遠心圧縮機であって、回転翼に気体を導入する主導入管と、主導入管における周面の略接線方向で主導入管内に気体を導入させる副導入管とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、副導入管は、主導入管の周面部に形成された孔部に略接線方向で接続され、主導入管内に気体を導入する。そして、本発明では、副導入管から導入された気体の流動によって、主導入管内を軸方向で流動する気体が旋回する。
また、本発明の遠心圧縮機は、副導入管が、回転翼の回転方向と同じ方向で気体を導入するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、主導入管内を軸方向で流動する気体が、回転翼の回転方向と同じ方向で旋回する。
また、本発明の遠心圧縮機は、副導入管が、回転翼の回転方向と逆の方向で気体を導入するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、主導入管内を軸方向で流動する気体が、回転翼の回転方向と逆の方向で旋回する。
また、本発明の遠心圧縮機は、回転翼の回転方向と同じ方向で気体を導入する第1の副導入管と、回転翼の回転方向と逆の方向で気体を導入する第2の副導入管と、主導入管内に気体を導入する方向に応じて第1の副導入管と第2の副導入管とを切り換える切換機とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、上記切換機の作動に従い、主導入管内を軸方向で流動する気体が、回転翼の回転方向と同じ方向又は逆の方向で旋回する。
また、本発明の遠心圧縮機は、回転翼の回転方向と同じ方向及び逆の方向の、いずれか一方向で気体を導入する副導入管が複数であるという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、副導入管が単数である場合に比べて、主導入管内を軸方向で流動する気体がより旋回しやすくなる。
また、本発明の遠心圧縮機は、上記複数の副導入管が、主導入管の周方向に関して略等間隔で設けられているという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、主導入管内を軸方向で流動する気体の旋回が、周方向に関して略均一となる。
また、本発明の遠心圧縮機は、副導入管から導入される気体の流量を調節する流量調節機を有するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、回転翼に流入する気体の流量に応じて、主導入管内を軸方向で流動する気体の旋回量が適切に選択される。
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
本発明によれば、回転翼に流入する気体を回転翼の回転と同じ方向で旋回させることで、本来ならばサージングが発生するほどに気体の流量が少ない場合であっても、サージングの発生を回避できるという効果がある。また、本発明によれば、回転翼に流入する気体を回転翼の回転と逆の方向で旋回させることで、圧縮機が吐出できる最大流量を増加できるという効果がある。
したがって、本発明によれば、製造の手間やコストを過度に増加させることなく、圧縮機の作動限界を拡大できるという効果がある。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
第1の実施形態に係る遠心圧縮機Cの構成を、図1を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る遠心圧縮機Cの全体構成を示す概略図であり、(a)は遠心圧縮機Cの断面図、(b)は(a)のA−A線視断面図である。なお、図1の矢印Fは前方を示す。また、図1では、説明のために各構成要素の縮尺を適宜変更して記載している。
遠心圧縮機Cは、後述するインペラ1の回転により空気(気体)を圧縮し、不図示のエンジンに圧縮された空気を供給するターボチャージャである。
図1に示すように、圧縮機Cは、回転により空気を送り出すインペラ(回転翼)1と、インペラ1を囲んで設けられるハウジング部2と、インペラ1に空気を導入する空気導入部3とを備えている。
インペラ1は、略円錐状を呈するベース11と、ベース11の外周面に複数設けられた翼12と、ベース11をその中心軸方向で貫通するインペラ軸13と、ベース11とインペラ軸13とを一体的に接続するボルト14とを有している。
複数の翼12は、ベース11の周方向で略等間隔に設けられている。インペラ軸13は、前後方向で延びる棒状部材であり、不図示の軸受けに回転自在に設けられている。また、インペラ軸13のベース11と逆側の端部には、エンジンから導かれる排気ガスの流動によって回転する不図示のタービンが接続されている。
インペラ1は、中心軸回りに回転することで、インペラ1前方の空気を吸引し、吸引した空気を径方向外側に送り出すことができる。
ハウジング部2は、略環状を呈するコンプレッサハウジング21と、略円板状を呈するシールプレート22とを有している。
コンプレッサハウジング21の略中央部にはインペラ1が設けられており、コンプレッサハウジング21及びインペラ1の中心軸は略同一の方向に延びている。また、コンプレッサハウジング21は、空気を導入するためにインペラ1の前方に開口する導入口23と、インペラ1を周方向で取り囲むように形成されたスクロール流路24とを有している。スクロール流路24は、不図示の吐出口に接続され、該吐出口はエンジンの給気口に接続されている。
コンプレッサハウジング21とシールプレート22とは、前後方向で重なって一体的に接続されている。コンプレッサハウジング21とシールプレート22との間には、ディフューザ流路25がインペラ1の径方向外側で略環状に形成されている。
導入口23は、インペラ1の設置箇所を介してディフューザ流路25に連通し、ディフューザ流路25は、スクロール流路24に連通している。
空気導入部3は、不図示のエアクリーナに接続されている空気導入管31と、略円筒状を呈しインペラ1に空気を導入する主導入管32と、ハウジング部2の近傍で主導入管32に接続される副導入管33とを有している。
空気導入管31の下流側は2方向に分岐しており、分岐したそれぞれの管に主導入管32及び副導入管33が接続されている。
主導入管32は導入口23に接続され、主導入管32及びインペラ1の中心軸は略同一の方向に延びている。
副導入管33は、主導入管32と略同一の方向に延びており、導入口23の上流側近傍で主導入管32の周面部に形成された孔部32aに接続されている。この接続は一般的な溶接等を用いて行われ、特殊な製造方法を必要としない。
上記接続部分における副導入管33の向きは、主導入管32における周面の略接線方向であり、かつ、主導入管32の中心軸方向に直交する向きである。なお、副導入管33は、インペラ1の回転方向と同じ方向で空気を導入する向き又は逆の向きで主導入管32に接続されている。
主導入管32及び副導入管33は、それぞれの管内に空気の流量を調節する主導入管バルブ(流量調節機)32V及び副導入管バルブ(流量調節機)34を各々備えている。
主導入管バルブ32V及び副導入管バルブ34は、いわゆるバタフライバルブであり、不図示の駆動部に接続され、該駆動部の作動により副導入管33内を流動する空気量を調節することができる。なお、少なくとも副導入管バルブ34は、副導入管33を完全に遮蔽することができる。
続いて、本実施形態に係る圧縮機Cの動作・作用を説明する。
まず、圧縮機Cが空気を圧縮する動作について説明する。なお、主導入管バルブ32Vは全開の状態であり、副導入管バルブ34は、副導入管33を完全に遮蔽しているものとする。
エンジンから導かれる排気ガスの流動によってタービンが回転し、該タービンとインペラ軸13とが接続されていることから、インペラ1が回転する。かかる回転により、インペラ1の前方の空気が吸引され、エアクリーナ、空気導入管31及び主導入管32を介して空気がインペラ1に導入される。導入された空気は、インペラ1の回転により径方向外側に送り出され、ディフューザ流路25を経てスクロール流路24に流入する。
ここで、圧縮機Cから吐出される空気を流動し難くすると、インペラ1は空気を送り続けるために、スクロール流路24内の空気圧は上昇し、スクロール流路24に接続された吐出口から昇圧された空気が吐出される。この昇圧された空気がエンジンに導入されることで、エンジンの出力等の性能が向上する。
以上で、圧縮機Cが空気を圧縮する動作は終了する。
次に、インペラ1に流入する気体を旋回させることにより、圧縮機Cの作動限界を拡大する動作・作用について説明する。
まず、副導入管33が、インペラ1の回転方向と同じ方向で空気を導入するように主導入管32に接続されている場合について説明する。
インペラ1が回転することにより、空気がインペラ1の軸方向前側から導入され、径方向外側に送り出される。空気は、インペラ1の回転面に対して垂直に導入されるのであるが、インペラ1が回転しているために、インペラ1における翼12から見た相対的な空気の流動は、回転面に対して一定の角度αをもって流動する。
一方、翼12も回転面に対して角度βをもって設けられている。角度α及びβが略同一であれば、空気は滑らかに翼12の設置箇所に流入する。
ここで、インペラ1の回転数を一定に保ちつつ圧縮機Cから吐出される空気をさらに流動し難くすると、圧縮比(大気圧に対する、圧縮機Cから吐出される空気の圧力の比)がさらに上昇すると共に、圧縮機C内の空気の流量が減少する。
圧縮機Cの流路径は変化しないので、空気の流量が減少することで、空気の流速も減少する。上記角度αは、空気の流速とインペラ1の回転速度とを合成したベクトルの、回転面に対する角度であるため、インペラ1の回転速度が一定で空気の流速が減少すると角度αは小さくなり、さらに鋭角の角度α1となる。すなわち、空気は翼12がもつ傾きとは異なる方向で流入することになるため、翼12の背側(翼12が回転して進む側の逆側)に空気の流動しない領域(剥離)が発生する。そして、この剥離が圧縮機の性能を急激に低下させ、結果としてサージングを発生させる。
上記サージングが発生しようとする前に、主導入管バルブ32Vを変位させて主導入管32の一部を遮蔽すると共に、副導入管バルブ34を開き、副導入管33内に空気を流動させ、副導入管33から主導入管32へ空気を導入させる。
副導入管33から主導入管32へ空気が導入されることにより、主導入管32内を軸方向で流動する空気がインペラ1の回転と同じ方向で旋回する。この旋回により、上記角度α1は角度α寄りに変化し、また、翼12から見た空気の相対速度も小さくなるため、翼12の背側に発生していた剥離が縮小又は消滅する。したがって、サージングの発生を回避することができ、圧縮機Cの作動限界を少流量側に拡大することができる。
なお、副導入管33からの空気の導入量は、インペラ1に流入する空気の流量に応じて設定される。例えば、インペラ1に流入する空気量が少ない場合には、翼12の背側に大きな剥離が発生するため、副導入管33からの空気の導入量を増加させ、主導入管32内を流動する空気の旋回量を増加させる。
一方、副導入管33が、インペラ1の回転方向と逆の方向で空気を導入するように主導入管32に接続されている場合について説明する。
インペラ1の回転速度は一定のまま、圧縮機Cから吐出される空気を流動し易くすると、圧縮機C内の空気の流量が増加する。圧縮機Cの流路径は変化しないので、空気の流量が増加することで、空気の流速も増加する。上記角度αは、前述の通り、空気の流速とインペラ1の回転速度とを合成したベクトルの回転面に対する角度であるため、インペラ1の回転速度が一定で空気の流速が増加すると角度αは大きくなり、さらに鈍角の角度α2となる。すなわち、空気は翼12がもつ傾きとは異なる方向で流入することになるため、翼12の腹側(翼12が回転して進む側)に剥離が発生する。
剥離が発生している領域には空気は流動できないため、翼12の設置箇所における流路径が狭くなり、圧縮機Cから吐出される空気を流動し易くしても、一定の流量以上に空気の流量を増加させることはできない。すなわち、上記一定の流量が圧縮機Cにおける多流量側の作動限界となっていた。
多流量側の作動限界に到達したときに、主導入管バルブ32Vを変位させて主導入管32の一部を遮蔽すると共に、副導入管バルブ34を開き、副導入管33内に空気を流動させ、副導入管33から主導入管32へ空気を導入させる。
副導入管33から主導入管32へ空気が導入されることにより、主導入管32内を軸方向で流動する空気がインペラ1の回転と逆の方向で旋回する。この旋回により、上記角度α2は角度α寄りに変化するため、翼12の腹側に発生していた剥離が縮小又は消滅する。したがって、翼12の設置箇所における流路径が広くなり、空気の流量が増加するため、圧縮機Cの作動限界を多流量側に拡大することができる。
なお、副導入管33からの空気の導入量は、インペラ1に流入する空気の流量に応じて設定される。例えば、インペラ1に流入する空気量が多い場合には、翼12の腹側に大きな剥離が発生するため、副導入管33からの空気の導入量を増加させ、主導入管32内を流動する空気の旋回量を増加させる。
したがって、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
本実施形態において、副導入管33がインペラ1の回転方向と同じ方向で空気を導入するように主導入管32に接続されている場合には、本来ならばサージングが発生するほどに気体の流量が少ない場合であっても、サージングの発生を回避できるという効果がある。一方、本実施形態において、副導入管33がインペラ1の回転方向と逆の方向で空気を導入するように主導入管32に接続されている場合には、圧縮機が吐出できる最大流量を増加できるという効果がある。
したがって、本実施形態によれば、製造の手間やコストを過度に増加させることなく、圧縮機の作動限界を少流量側又は多流量側のいずれか一方で拡大できるという効果がある。
〔第2実施形態〕
第2の実施形態に係る遠心圧縮機C2の構成を、図2を参照して説明する。
図2は、第2の実施形態に係る遠心圧縮機C2の全体構成を示す概略図であり、(a)は遠心圧縮機C2の断面図、(b)は(a)のB−B線視断面図である。なお、図2において、図1に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
遠心圧縮機C2は、インペラ1の回転により空気(気体)を圧縮し、不図示のエンジンに圧縮された空気を供給するターボチャージャである。
図2に示すように、圧縮機C2は、回転により空気を送り出すインペラ(回転翼)1と、インペラ1を囲んで設けられるハウジング部2と、インペラ1に空気を導入する空気導入部3とを備えている。
空気導入部3は、不図示のエアクリーナに接続されている空気導入管31と、略円筒状を呈しインペラ1に空気を導入する主導入管32と、ハウジング部2の近傍で主導入管32に接続される第1副導入管35及び第2副導入管37とを有している。
空気導入管31の下流側は3方向に分岐しており、分岐したそれぞれの管に主導入管32、第1副導入管35及び第2副導入管37が接続されている。
主導入管32は導入口23に接続され、主導入管32及びインペラ1の中心軸は略同一の方向に延びている。
第1副導入管35は、主導入管32と略同一の方向に延びており、導入口23の上流側近傍で主導入管32の周面部に形成された孔部32bに接続されている。この接続は一般的な溶接等を用いて行われ、特殊な製造方法を必要としない。
上記接続部分における第1副導入管35の向きは、主導入管32における周面の略接線方向で、インペラ1の回転方向と同じ方向で空気を導入する向きであり、さらに、主導入管32の中心軸方向に直交する向きである。
第1副導入管35は、その管内に空気の流量を調節する第1副導入管バルブ(切換機、流量調節機)36を備えている。第1副導入管バルブ36は、いわゆるバタフライバルブであり、不図示の駆動部に接続され、該駆動部の作動により第1副導入管35内を流動する空気量を調節することができる。なお、第1副導入管バルブ36は、第1副導入管35を完全に遮蔽することができる。
第2副導入管37は、主導入管32と略同一の方向に延びており、導入口23の上流側近傍で主導入管32の周面部に形成された孔部32cに接続されている。この接続は、第1副導入管35の接続方法と同様のものである。
上記接続部分における第2副導入管37の向きは、主導入管32における周面の略接線方向で、インペラ1の回転方向と逆の方向で空気を導入する向きであり、かつ、主導入管32の中心軸方向に直交する向きである。
第2副導入管37は、その管内に空気の流量を調節する第2副導入管バルブ(切換機、流量調節機)38を備えている。第2副導入管バルブ38は、第1副導入管バルブ36と同様のものである。
続いて、本実施形態に係る圧縮機C2の動作・作用を説明する。
まず、圧縮機C2が空気を圧縮する動作であるが、第1の実施形態における圧縮機Cの動作と同様であるため、その説明を省略する。
次に、インペラ1に流入する気体を旋回させることにより、圧縮機C2の作動限界を拡大する動作・作用について説明する。なお、インペラ1に流入する空気をインペラ1の回転と同じ方向又は逆の方向に旋回させることで、圧縮機C2の作動限界を少流量側又は多流量側に拡大する動作・作用は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略し、第1副導入管バルブ36及び第2副導入管バルブ38の作動により空気の旋回方向を変更する動作についてのみ説明する。
まず、圧縮機C2の作動限界を少流量側に拡大させる。
圧縮機C2内の空気の流量が減少しサージングが発生しようとする前に、主導入管バルブ32Vを変位させて主導入管32の一部を遮蔽すると共に、第1副導入管バルブ36を開き、第1副導入管35内に空気を流動させ、第1副導入管35から主導入管32へ空気を導入させる。この時、第2副導入管バルブ38は、第2副導入管37を完全に遮蔽しておく。
第1副導入管35から主導入管32へ空気が導入されることにより、主導入管32内を軸方向で流動する空気がインペラ1の回転と同じ方向で旋回する。この旋回により、サージングの発生を回避することができ、圧縮機C2の作動限界を少流量側に拡大することができる。
なお、第1副導入管35からの空気の導入量は、インペラ1に流入する空気の流量に応じて設定される。
次に、圧縮機C2の作動限界を多流量側に拡大させる。
圧縮機C2内の空気の流量が上限に達するときに、主導入管バルブ32Vを変位させて主導入管32の一部を遮蔽すると共に、第2副導入管バルブ38を開き、第2副導入管37内に空気を流動させ、第2副導入管37から主導入管32へ空気を導入させる。この時、第1副導入管バルブ36は、第1副導入管35を完全に遮蔽しておく。
第2副導入管37から空気が導入されることにより、主導入管32内を軸方向で流動する空気がインペラ1の回転と同じ方向で旋回する。この旋回により、圧縮機C2内の空気の流量を増加させることができ、圧縮機C2の作動限界を多流量側に拡大することができる。
なお、第2副導入管37からの空気の導入量は、インペラ1に流入する空気の流量に応じて設定される。
したがって、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、第1副導入管35から主導入管32に空気を導入することで、本来ならばサージングが発生するほどに気体の流量が少ない場合であっても、サージングの発生を回避できるという効果がある。さらに、本実施形態によれば、第2副導入管37から主導入管32に空気を導入することで、圧縮機が吐出できる最大流量を増加できるという効果がある。
したがって、本実施形態によれば、製造の手間やコストを過度に増加させることなく、圧縮機の作動限界を少流量側及び多流量側のどちらにも拡大できるという効果がある
なお、前述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、圧縮機C及びC2はターボチャージャとして用いられているが、本発明はこのような用途に限定されるものではなく、他の用途に用いてもよい。例えば本発明に係る圧縮機を冷蔵・冷凍機に用いてもよい。
また、上記実施形態では、圧縮機C及びC2が圧縮する気体は空気であったが、その用途に合わせて適宜変更してよく、例えば冷媒ガス等でもよい。
また、上記実施形態では、エンジンから導かれる排気ガスの流動を利用してインペラ1を回転させていたが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、他の動力を利用してもよい。例えば、エンジンの回転力をインペラ軸13に伝達する構成や、電動機等を利用する構成によりインペラ1を回転させてもよい。
また、上記実施形態では、副導入管33、第1副導入管35及び第2副導入管37は、主導入管32の中止軸方向と直交する向きで主導入管32に接続されているが、主導入管32の中心軸方向と所定の角度をもって接続されていてもよい。例えば、上記副導入管から導入される空気が、主導入管32内で螺旋状に旋回するようになっていてもよい。
また、上記実施形態では、副導入管33、第1副導入管35及び第2副導入管37は、各々1本ずつであったが、上記副導入管の少なくともいずれか1種の副導入管が複数であってもよい。この場合は、上記副導入管が単数である場合に比べ、主導入管32内を流動する空気がより旋回しやすくなるという効果がある。
また、上記複数の副導入管が、主導入管32の周方向に関して略等間隔で設けられていてもよい。この場合は、主導入管32内を流動する空気の旋回が、周方向に関して略均一となるという効果がある。
また、第2の実施形態では、空気導入管31から第1副導入管35及び第2副導入管37が分岐しているが、まず1本の副導入管が空気導入管31から分岐し、該副導入管が第1副導入管35及び第2副導入管37に分岐してもよい。この場合は、該分岐点に1つの切換機が設けられる。なお、上記切換機が流量調節機を兼ねていてもよい。
また、第1の実施形態では、主導入管32には主導入管バルブ32Vが設けられ、副導入管33には副導入管バルブ34が設けられていたが、主導入管バルブ32Vと副導入管バルブ34とのいずれか一方のみが設けられている構成であってもよい。
例えば、主導入管バルブ32Vのみが設けられている場合は、主導入管バルブ32Vを変位させて主導入管32の一部を遮蔽することで主導入管32内における空気の流動抵抗を増加させ、主導入管32内を空気が流動し難くすることで副導入管33内に空気を導入させることができる。また、副導入管バルブ34のみが設けられている場合は、副導入管バルブ34を開くことで、空気を副導入管33内に導入させることができる。
また、第2の実施形態では、主導入管32には主導入管バルブ32Vが設けられ、副導入管35、37には副導入管バルブ36、38が設けられていたが、副導入管バルブ36、38だけが設けられている構成であってもよい。
この場合は、副導入管バルブ36、38のいずれか一方を開くことで、空気を第1副導入管35又は第2副導入管37内に導入させることができる。
第1の実施形態に係る遠心圧縮機Cの全体構成を示す概略図である。 第2の実施形態に係る遠心圧縮機C2の全体構成を示す概略図である。
符号の説明
C…遠心圧縮機、C2…遠心圧縮機、1…インペラ(回転翼)、32…主導入管、32V…主導入管バルブ(流量調節機)、33…副導入管、34…副導入管バルブ(流量調節機)、35…第1副導入管、36…第1副導入管バルブ(切換機、流量調節機)、37…第2副導入管、38…第2副導入管バルブ(切換機、流量調節機)

Claims (4)

  1. 回転翼の回転により気体を圧縮する遠心圧縮機であって、
    前記回転翼に気体を導入する主導入管と、
    前記主導入管における周面の略接線方向で前記主導入管内に前記回転翼の回転方向と同じ方向で気体を導入させる第1の副導入管と、
    前記主導入管における周面の略接線方向で前記主導入管内に前記回転翼の回転方向と逆の方向で気体を導入させる第2の副導入管と、
    前記主導入管内に気体を導入する方向に応じて前記第1の副導入管と前記第2の副導入管とを切り換える切換機と、を有し、
    前記気体の流量が第1の流量以下になったとき、前記第1の副導入管から前記主導入管内に気体を導入させ、前記気体の流量が前記第1の流量より大きい第2の流量以上になったとき、前記第2の副導入管から前記主導入管内に気体を導入させることを特徴とする遠心圧縮機。
  2. 前記回転翼の回転方向と同じ方向及び逆の方向の、いずれか一方向で気体を導入する前記副導入管が複数であることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
  3. 前記複数の副導入管は、前記主導入管の周方向に関して略等間隔で設けられていることを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
  4. 前記副導入管から導入される気体の流量を調節する流量調節機を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
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