JP2010138764A - 遠心圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の遠心圧縮機Cは、回転翼1の回転により気体を圧縮する遠心圧縮機であって、回転翼1に気体を導入する主導入管32と、主導入管32における周面の略接線方向で主導入管32内に気体を導入させる副導入管33と、を有するという構成を採用する。
【選択図】図1
Description
圧縮機内の流路径が一定のまま流量が減少すると、気体の流速が減少する。回転翼と回転翼に流入する気体との関係において、気体の流速が減少することで、回転翼から見た相対的な気体の流動方向と回転翼の翼部の傾きとの間における角度の差異が大きくなり、回転翼の背側(回転翼が回転して進む側の逆側)に気体の流動しない領域(剥離)が発生していた。そして、この剥離が圧縮機の性能を急激に低下させ、結果としてサージングを発生させていた。
サージングが発生した状態のまま圧縮機を運転させると圧縮機を破損する虞があるため、上記一定の流量以下では圧縮機を運転させることができない。よって、圧縮機の少流量側の作動限界は、サージングが発生する上記一定の流量までとされていた。
気体が旋回しつつ回転翼に流入することで、気体の流量が減少した場合でも、上記角度の差異を小さくでき、また、回転翼から見た気体の相対速度も小さくできるため、回転翼の背側における剥離が縮小又は消滅する。すなわち、本来ならばサージングが発生するほどに気体の流量が少ない場合であっても、流入する気体を旋回させることでサージングの発生を回避し、圧縮機の作動限界を少流量側に拡大させることができた。
特許文献2に開示されている旋回流発生装置を圧縮機に用いた場合も、その作動限界を少流量側に拡大させることができた。
本発明の遠心圧縮機は、回転翼の回転により気体を圧縮する遠心圧縮機であって、回転翼に気体を導入する主導入管と、主導入管における周面の略接線方向で主導入管内に気体を導入させる副導入管とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、副導入管は、主導入管の周面部に形成された孔部に略接線方向で接続され、主導入管内に気体を導入する。そして、本発明では、副導入管から導入された気体の流動によって、主導入管内を軸方向で流動する気体が旋回する。
このような構成を採用する本発明では、主導入管内を軸方向で流動する気体が、回転翼の回転方向と同じ方向で旋回する。
このような構成を採用する本発明では、主導入管内を軸方向で流動する気体が、回転翼の回転方向と逆の方向で旋回する。
このような構成を採用する本発明では、上記切換機の作動に従い、主導入管内を軸方向で流動する気体が、回転翼の回転方向と同じ方向又は逆の方向で旋回する。
このような構成を採用する本発明では、副導入管が単数である場合に比べて、主導入管内を軸方向で流動する気体がより旋回しやすくなる。
このような構成を採用する本発明では、主導入管内を軸方向で流動する気体の旋回が、周方向に関して略均一となる。
このような構成を採用する本発明では、回転翼に流入する気体の流量に応じて、主導入管内を軸方向で流動する気体の旋回量が適切に選択される。
本発明によれば、回転翼に流入する気体を回転翼の回転と同じ方向で旋回させることで、本来ならばサージングが発生するほどに気体の流量が少ない場合であっても、サージングの発生を回避できるという効果がある。また、本発明によれば、回転翼に流入する気体を回転翼の回転と逆の方向で旋回させることで、圧縮機が吐出できる最大流量を増加できるという効果がある。
したがって、本発明によれば、製造の手間やコストを過度に増加させることなく、圧縮機の作動限界を拡大できるという効果がある。
〔第1実施形態〕
第1の実施形態に係る遠心圧縮機Cの構成を、図1を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る遠心圧縮機Cの全体構成を示す概略図であり、(a)は遠心圧縮機Cの断面図、(b)は(a)のA−A線視断面図である。なお、図1の矢印Fは前方を示す。また、図1では、説明のために各構成要素の縮尺を適宜変更して記載している。
図1に示すように、圧縮機Cは、回転により空気を送り出すインペラ(回転翼)1と、インペラ1を囲んで設けられるハウジング部2と、インペラ1に空気を導入する空気導入部3とを備えている。
インペラ1は、中心軸回りに回転することで、インペラ1前方の空気を吸引し、吸引した空気を径方向外側に送り出すことができる。
コンプレッサハウジング21の略中央部にはインペラ1が設けられており、コンプレッサハウジング21及びインペラ1の中心軸は略同一の方向に延びている。また、コンプレッサハウジング21は、空気を導入するためにインペラ1の前方に開口する導入口23と、インペラ1を周方向で取り囲むように形成されたスクロール流路24とを有している。スクロール流路24は、不図示の吐出口に接続され、該吐出口はエンジンの給気口に接続されている。
導入口23は、インペラ1の設置箇所を介してディフューザ流路25に連通し、ディフューザ流路25は、スクロール流路24に連通している。
空気導入管31の下流側は2方向に分岐しており、分岐したそれぞれの管に主導入管32及び副導入管33が接続されている。
副導入管33は、主導入管32と略同一の方向に延びており、導入口23の上流側近傍で主導入管32の周面部に形成された孔部32aに接続されている。この接続は一般的な溶接等を用いて行われ、特殊な製造方法を必要としない。
上記接続部分における副導入管33の向きは、主導入管32における周面の略接線方向であり、かつ、主導入管32の中心軸方向に直交する向きである。なお、副導入管33は、インペラ1の回転方向と同じ方向で空気を導入する向き又は逆の向きで主導入管32に接続されている。
主導入管バルブ32V及び副導入管バルブ34は、いわゆるバタフライバルブであり、不図示の駆動部に接続され、該駆動部の作動により副導入管33内を流動する空気量を調節することができる。なお、少なくとも副導入管バルブ34は、副導入管33を完全に遮蔽することができる。
エンジンから導かれる排気ガスの流動によってタービンが回転し、該タービンとインペラ軸13とが接続されていることから、インペラ1が回転する。かかる回転により、インペラ1の前方の空気が吸引され、エアクリーナ、空気導入管31及び主導入管32を介して空気がインペラ1に導入される。導入された空気は、インペラ1の回転により径方向外側に送り出され、ディフューザ流路25を経てスクロール流路24に流入する。
以上で、圧縮機Cが空気を圧縮する動作は終了する。
まず、副導入管33が、インペラ1の回転方向と同じ方向で空気を導入するように主導入管32に接続されている場合について説明する。
一方、翼12も回転面に対して角度βをもって設けられている。角度α及びβが略同一であれば、空気は滑らかに翼12の設置箇所に流入する。
圧縮機Cの流路径は変化しないので、空気の流量が減少することで、空気の流速も減少する。上記角度αは、空気の流速とインペラ1の回転速度とを合成したベクトルの、回転面に対する角度であるため、インペラ1の回転速度が一定で空気の流速が減少すると角度αは小さくなり、さらに鋭角の角度α1となる。すなわち、空気は翼12がもつ傾きとは異なる方向で流入することになるため、翼12の背側(翼12が回転して進む側の逆側)に空気の流動しない領域(剥離)が発生する。そして、この剥離が圧縮機の性能を急激に低下させ、結果としてサージングを発生させる。
副導入管33から主導入管32へ空気が導入されることにより、主導入管32内を軸方向で流動する空気がインペラ1の回転と同じ方向で旋回する。この旋回により、上記角度α1は角度α寄りに変化し、また、翼12から見た空気の相対速度も小さくなるため、翼12の背側に発生していた剥離が縮小又は消滅する。したがって、サージングの発生を回避することができ、圧縮機Cの作動限界を少流量側に拡大することができる。
副導入管33から主導入管32へ空気が導入されることにより、主導入管32内を軸方向で流動する空気がインペラ1の回転と逆の方向で旋回する。この旋回により、上記角度α2は角度α寄りに変化するため、翼12の腹側に発生していた剥離が縮小又は消滅する。したがって、翼12の設置箇所における流路径が広くなり、空気の流量が増加するため、圧縮機Cの作動限界を多流量側に拡大することができる。
本実施形態において、副導入管33がインペラ1の回転方向と同じ方向で空気を導入するように主導入管32に接続されている場合には、本来ならばサージングが発生するほどに気体の流量が少ない場合であっても、サージングの発生を回避できるという効果がある。一方、本実施形態において、副導入管33がインペラ1の回転方向と逆の方向で空気を導入するように主導入管32に接続されている場合には、圧縮機が吐出できる最大流量を増加できるという効果がある。
したがって、本実施形態によれば、製造の手間やコストを過度に増加させることなく、圧縮機の作動限界を少流量側又は多流量側のいずれか一方で拡大できるという効果がある。
第2の実施形態に係る遠心圧縮機C2の構成を、図2を参照して説明する。
図2は、第2の実施形態に係る遠心圧縮機C2の全体構成を示す概略図であり、(a)は遠心圧縮機C2の断面図、(b)は(a)のB−B線視断面図である。なお、図2において、図1に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図2に示すように、圧縮機C2は、回転により空気を送り出すインペラ(回転翼)1と、インペラ1を囲んで設けられるハウジング部2と、インペラ1に空気を導入する空気導入部3とを備えている。
空気導入管31の下流側は3方向に分岐しており、分岐したそれぞれの管に主導入管32、第1副導入管35及び第2副導入管37が接続されている。
第1副導入管35は、主導入管32と略同一の方向に延びており、導入口23の上流側近傍で主導入管32の周面部に形成された孔部32bに接続されている。この接続は一般的な溶接等を用いて行われ、特殊な製造方法を必要としない。
上記接続部分における第1副導入管35の向きは、主導入管32における周面の略接線方向で、インペラ1の回転方向と同じ方向で空気を導入する向きであり、さらに、主導入管32の中心軸方向に直交する向きである。
上記接続部分における第2副導入管37の向きは、主導入管32における周面の略接線方向で、インペラ1の回転方向と逆の方向で空気を導入する向きであり、かつ、主導入管32の中心軸方向に直交する向きである。
圧縮機C2内の空気の流量が減少しサージングが発生しようとする前に、主導入管バルブ32Vを変位させて主導入管32の一部を遮蔽すると共に、第1副導入管バルブ36を開き、第1副導入管35内に空気を流動させ、第1副導入管35から主導入管32へ空気を導入させる。この時、第2副導入管バルブ38は、第2副導入管37を完全に遮蔽しておく。
第1副導入管35から主導入管32へ空気が導入されることにより、主導入管32内を軸方向で流動する空気がインペラ1の回転と同じ方向で旋回する。この旋回により、サージングの発生を回避することができ、圧縮機C2の作動限界を少流量側に拡大することができる。
なお、第1副導入管35からの空気の導入量は、インペラ1に流入する空気の流量に応じて設定される。
圧縮機C2内の空気の流量が上限に達するときに、主導入管バルブ32Vを変位させて主導入管32の一部を遮蔽すると共に、第2副導入管バルブ38を開き、第2副導入管37内に空気を流動させ、第2副導入管37から主導入管32へ空気を導入させる。この時、第1副導入管バルブ36は、第1副導入管35を完全に遮蔽しておく。
第2副導入管37から空気が導入されることにより、主導入管32内を軸方向で流動する空気がインペラ1の回転と同じ方向で旋回する。この旋回により、圧縮機C2内の空気の流量を増加させることができ、圧縮機C2の作動限界を多流量側に拡大することができる。
なお、第2副導入管37からの空気の導入量は、インペラ1に流入する空気の流量に応じて設定される。
本実施形態によれば、第1副導入管35から主導入管32に空気を導入することで、本来ならばサージングが発生するほどに気体の流量が少ない場合であっても、サージングの発生を回避できるという効果がある。さらに、本実施形態によれば、第2副導入管37から主導入管32に空気を導入することで、圧縮機が吐出できる最大流量を増加できるという効果がある。
したがって、本実施形態によれば、製造の手間やコストを過度に増加させることなく、圧縮機の作動限界を少流量側及び多流量側のどちらにも拡大できるという効果がある
また、上記実施形態では、圧縮機C及びC2が圧縮する気体は空気であったが、その用途に合わせて適宜変更してよく、例えば冷媒ガス等でもよい。
また、上記複数の副導入管が、主導入管32の周方向に関して略等間隔で設けられていてもよい。この場合は、主導入管32内を流動する空気の旋回が、周方向に関して略均一となるという効果がある。
例えば、主導入管バルブ32Vのみが設けられている場合は、主導入管バルブ32Vを変位させて主導入管32の一部を遮蔽することで主導入管32内における空気の流動抵抗を増加させ、主導入管32内を空気が流動し難くすることで副導入管33内に空気を導入させることができる。また、副導入管バルブ34のみが設けられている場合は、副導入管バルブ34を開くことで、空気を副導入管33内に導入させることができる。
この場合は、副導入管バルブ36、38のいずれか一方を開くことで、空気を第1副導入管35又は第2副導入管37内に導入させることができる。
Claims (7)
- 回転翼の回転により気体を圧縮する遠心圧縮機であって、
前記回転翼に気体を導入する主導入管と、
前記主導入管における周面の略接線方向で前記主導入管内に気体を導入させる副導入管と、を有することを特徴とする遠心圧縮機。 - 前記副導入管は、前記回転翼の回転方向と同じ方向で気体を導入することを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
- 前記副導入管は、前記回転翼の回転方向と逆の方向で気体を導入することを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
- 前記回転翼の回転方向と同じ方向で気体を導入する第1の前記副導入管と、
前記回転翼の回転方向と逆の方向で気体を導入する第2の前記副導入管と、
前記主導入管内に気体を導入する方向に応じて前記第1の副導入管と前記第2の副導入管とを切り換える切換機と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。 - 前記回転翼の回転方向と同じ方向及び逆の方向の、いずれか一方向で気体を導入する前記副導入管が複数であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
- 前記複数の副導入管は、前記主導入管の周方向に関して略等間隔で設けられていることを特徴とする請求項5に記載の遠心圧縮機。
- 前記副導入管から導入される気体の流量を調節する流量調節機を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
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- 2008-12-10 JP JP2008314692A patent/JP5223641B2/ja active Active
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