以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る炭酸ガス経皮吸収装置(以下、二酸化炭素付与装置という)の構成について説明する。なお、炭酸ガスとして二酸化炭素を例にして説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、体表面の少なくとも一部を包囲する包囲体内に二酸化炭素を供給する供給装置と、包囲体内に供給された二酸化炭素を吸収材に吸収させるように加圧する加圧装置とを共通にした場合の実施形態である。
図1に、第1の実施形態に係る二酸化炭素付与装置10の構成を示す。図1に示すように二酸化炭素付与装置10は、供給装置11と、包囲体21とを有している。
供給装置11は、容器体12と、押下部13と、吹き出し口14とを有している。供給装置11は、いわゆるスプレー缶であり、軽量であるため携帯することができるという特長がある。本実施形態の供給装置11の容器体12には、体内に供給するための二酸化炭素と二酸化炭素を体表面から体内に吸収させる補助をする吸収材とが高圧縮された状態で収容されている。本実施形態の供給装置11には約2〜6リットルの二酸化炭素が収容されている。ここで、吸収材は、二酸化炭素を溶融させることができる媒体であり、例えば、水、アルコール類、油脂類等である。また、体の表面に付着させたときに、付着した吸収材が付着した位置に留まり易いようになっていることが、好ましい。また、吸収材は、体表面の影響を少なくするためにPH4.0〜6.5の弱酸性とし、体表面の保湿と保護のためにグリセリンやワセリンが添加されていてもよい。使用者は、供給装置11の押下部13を押すことで、容器体12に混合されて収容された二酸化炭素と吸収材とを、吹き出し口14から勢いよく放出することができる。ここで、吸収材は、体表面から体内に吸収しやすいナノ化された水等のナノ化された吸収材であることが好ましい。
包囲体21は、包囲材22と、接触部23と、係止部24と、吸入口25とを有している。本実施形態の包囲体21は、体表面の少なくとも一部を巻きつけるようにして包囲する部材である。図1に示す包囲体21は、体表面と接触させる側の面がみえるように図示している。
包囲材22は、シート状に形成されている。本実施形態の包囲材22の材質には、例えばクロロプレーンラバーが用いられる。クロロプレーンラバーは、伸縮性、密着性、柔軟性、耐久性及び密閉性がある。また、包囲材22に用いられるクロロプレーンラバーの裏側、即ち体表面と接触させる反対側の面には、ナイロンジャージが張り合わされていて、
包囲材22の耐久性をさらに向上させている。なお、包囲材22は、クロロプレーンラバーに限られず、クロロプレーンラバーに似た素材であるラテックス、柔らかいウレタン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、シリコンラバー等を用いてもよい。
接触部23は、体表面と接触する部分であり、包囲材22の外周に沿って立設されている。接触部23は、密閉性がある材質が使用され、例えば、クロロプレーンラバーが用いられる。ここで、包囲体21を体表面の少なくとも一部を巻きつけるようにして包囲することで、包囲材22と、接触部23と、体表面とによって囲まれる空間に、二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。
係止部24は、包囲材22の一方の端部と、一方の端部に相反する他方の端部とに、一対で設けられている。本実施形態では一対の係止部24が2つ設けられている。係止部24の詳細な説明は図2の説明において後述する。
吸入口25は、上述した供給空間と連通する孔を有し、孔を通して二酸化炭素を供給空間に供給することができる。図1の示す包囲体21には、供給空間内に満遍なく二酸化炭素を供給することができるように吸入口25が複数(2つ)設けられている。また、供給空間に供給された二酸化炭素が吸入口25から排出されないように、吸入口25は逆止弁になっている。
次に、包囲体21の取付方法について図2を参照して説明する。ここでは、包囲体21を巻きつける体の部位として腕を例にして説明する。まず、図2(a)に示すように、使用者は、接触部23を有する面を体表面側にすると共に、二酸化炭素を供給したい腕の部位に包囲体21をあてがう。次に、包囲体21の両端部を矢印方向の側に向かって巻きつける。その後、図2(b)に示すように、包囲材22の一方の端部に設けられた係止部24を、包囲材22の他方の端部に設けられた係止部24に対して係止することで、包囲体21を体の任意の部位に供給空間を密閉して取り付けることができる。ここで、係止部24は、任意の位置で係止できる面ファスナーを用いている。従って、体の部位の太さに応じて、係止部24の係止の位置を調整することができるので、1つの包囲体21で異なるサイズに使用することができる。また、本実施形態の係止部24は、包囲材22の幅方向(図2(b)に示す矢印方向)に沿って、複数設けられている。従って、包囲材22の幅方向に沿って、太さが異なるような体の部位(腕、脚等)であっても、それぞれの係止部24の位置を調整することで、体の部位にフィットさせることができる。
次に、腕に取り付けた包囲体21の内部に供給装置によって二酸化炭素を供給する方法について図3を参照して説明する。上述したように供給装置11は、軽量であり携帯することができる程度の大きさである。従って、図3(a)に示すように、供給装置11を梱包体31に複数(例えば、6つ)を収容させて、管理したり搬送したりすることができる。使用者は、梱包体31に収容された供給装置11を取り出し、図3(b)に示すように、供給装置11の押下部13及び吹き出し口14をカバーしているキャップ体15を取り外す。次に、使用者は、図3(c)に示すように、腕に取り付けた包囲体21の吸入口25に供給装置11の吹き出し口14を接続する。使用者は、図3(d)に示すように、吸入口25と吹き出し口14とが接続された状態で、供給装置11の押下部13を押す。すると、容器体12に収容された二酸化炭素と吸収材とが混合されて供給空間内に放出される。このとき、包囲体21の接触部23は体表面と密接しているので、供給空間内に供給された二酸化炭素と吸収材とが包囲体21の外側に漏洩することが防止される。
図4は、図3(d)に示す吸入口25と吹き出し口14とが接続され、供給装置11の押下部13が押された状態での、包囲体21の断面を示す図である。図4に示すように、包囲体21の吸入口25から供給された二酸化炭素と吸収材とは腕の周りに形成された供給空間に満遍なく充填される。このとき、充填された吸収材は、腕と接することで腕の表面に付着した状態となる。使用者は図4に示す状態から、さらに、供給装置11の押下部13を押し続ける。すると、供給空間に二酸化炭素と吸収材とが供給されるものの、供給空間は密閉されていることから、供給された二酸化炭素と吸収材とによって供給空間内に充填された二酸化炭素は圧縮される。なお、圧縮された二酸化炭素は図3(d)に示すように包囲体21を膨張させる。このとき、膨張された供給空間の気圧は1気圧より大きく、1.3気圧より小さく(好ましくは1.05気圧以上、1.1気圧以下)する。なお、所定気圧以上の圧力がかかる場合、供給された二酸化炭素は、包囲体21の接触部23と体表面との間から排出させる。
上述したように供給空間に充填された二酸化炭素は、さらに供給された二酸化炭素によって圧縮される。加圧された二酸化炭素は、腕に付着された吸収材に効率よく、多量に溶解する。二酸化炭素が多量に溶解された吸収材を通すことで、腕の表面からより多くの二酸化炭素を吸収させることができる。また、腕の表面に付着された吸収材は供給空間内で加圧された二酸化炭素によって腕の表面に押し付けられる。従って、この押し付ける力が吸収材と腕の表面とを密着させるので、さらに、腕の表面から二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
次に、本実施形態に使用される包囲体の他の形態について図5及び図6を参照して説明する。
図5(a)に示す包囲体36は、上腕、下腕及び手を含む腕用である。包囲体36は、袋状であり、包囲体36内は二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。包囲体36は、図5(b)に示すように、複数(3つ)の包囲材37、38、39から構成されている。包囲材37、39の材質は、伸縮性、密着性、柔軟性、耐久性及び密閉性がある材質、例えばクロロプレーンラバーやクロロプレーンラバーにナイロンジャージが張り合わされた材質が用いられる(以下、クロロプレーンラバー等という)。一方、包囲材38は、例えば筐体としての透明なアクリルが用いられる。包囲材37は段階的に開口面積が広くなるように形成された筒形状である。包囲材37には、腕を挿入することができる挿入口41が形成されている。挿入口41の寸法は、上腕の太さより狭く形成されている。従って、使用者が包囲体36に腕を挿入するときは、挿入口41を広げるようにして挿入する。包囲材38は、同一の開口寸法を有するように形成された筒形状である。包囲材38には複数(2つ)の吸入口25が設けられている。包囲材39は、一方のみが開口した袋形状である。包囲材39には包囲材38と同様に複数(2つ)の吸入口25が設けられている。包囲体36は、隣接する包囲材同士をOリング40によって着脱可能に接続することで、全体として袋形状に構成される。このように、複数の包囲材を着脱可能に接続することで、1つの包囲材が汚れたり、破損した場合であっても、取り外して清掃したり、新たな包囲材に簡単に交換することができる。
包囲体36への二酸化炭素を供給する方法は図3に示す場合と同様である。まず、使用者は、挿入口41から腕を挿入した状態で、包囲材38、39の吸入口25に供給装置11の吹き出し口14を接続し、供給装置11の押下部13を押す。すると、容器体12に収容された二酸化炭素と吸収材とが混合されて供給空間内に放出される。さらに、供給装置11の押下部13を押し続けると、供給空間に供給された二酸化炭素は圧縮される。このとき、上腕の腕の表面と挿入口41とは密着しているので、供給空間内に供給された二酸化炭素と吸収材とは包囲体36の外側に漏洩することが防止される。
図5(a)に示す包囲体36は、一部を透明な材質(例えば、アクリル)にして構成している。このように一部を透明にすることで、使用者は透明な部分から二酸化炭素が体内に吸収されたときに生じるBohr効果、例えば、血行がよくなることにより肌が赤くなる様子を視認することができる。また、包囲体36には、吸入口25を複数(4つ)設けている。これにより、包囲体36が大型化したとしても吸収材を満遍なく供給空間内に充填させることができる。また、包囲体36は、一部を筒状の筐体として構成している。このように構成にすることで、図5(c)に示すように、包囲材38の内部に変形させた包囲材37、38を収容することができ、使用者は、包囲体36の管理及び搬送等を簡単に行うことができる。
図6(a)に示す包囲体46は、首用である。包囲体46は、図1に示す包囲体21と同様に構成されている。図6(a)に示す包囲体46が、図1に示す包囲体21と異なる部分は、一対の係止部24が1つのみ設けられている点である。なお、図6(a)に示す首用の包囲体46の包囲材22の長さ寸法(円周長さ)は、包囲体46が包囲した首の喉部分を包囲しないようにするために、首回りの寸法より短い長さ寸法で構成してもよい。
図6(b)に示す包囲体47は、足用である。包囲体47は、足形状に形取りされた袋状であり、包囲体47内は二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。包囲体47の包囲材48の材質は、例えばクロロプレーンラバー等が用いられる。包囲材48には、足を挿入することができる挿入口49が形成されている。使用者が包囲体47を取り付けるときは、挿入口49から足を挿入した後、包囲体47の足首部分に相当する位置に設けられた係止部24を、他方の係止部24に対して係止することで、供給空間を密閉して取り付けることができる。
図6(c)に示す包囲体50は、大腿用である。包囲体50は、図1に示す包囲体21と同様に構成されている。なお、包囲体50の包囲材22の長さ寸法(円周長さ)を若干短くすることで下腿用として用いることができる。
このように、本実施形態によれば、供給空間に充填された二酸化炭素を供給装置によって放出する放出圧力によって加圧させた。従って、多くの二酸化炭素を吸収材に溶解させることができるので、多くの二酸化炭素が溶解された吸収材を介して体内に、多くの二酸化炭素を吸収させることができ、さらには、二酸化炭素を体内に吸収させる効率を向上させることができる。また、加圧された二酸化炭素によって、吸収材は体表面に押し付けられているので、吸収材と腕の表面とが密着され、さらに、二酸化炭素を体内に吸収させる効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、供給装置が、体内に供給するための二酸化炭素と二酸化炭素を体表面から体内に吸収させる吸収材とを高圧縮に収容している。従って、使用者は、供給装置により二酸化炭素を供給するだけで、二酸化炭素と共に吸収材を供給空間に供給することができるので、吸収材を貼付したり塗着したりする必要がなく、二酸化炭素の供給する際の使い勝手を向上させることができる。
また、本実施形態では、包囲体21の材質には、例えばクロロプレーンラバーを用いた。クロロプレーンラバーは伸縮性があると共に密着性がある。従って、体のどのような部位であっても、その部位に密着させることができるとともに、充填された二酸化炭素が漏洩することを防止できる。例えば、肘のように凹凸があるような部位であっても、肘の形状に伸縮することで密着させることができる。また、クロロプレーンラバーにナイロンジャージを張り合わせることにより、さらに耐久性が向上するので、供給空間に充填された二酸化炭素によって加圧されたとしても、包囲体の破損を防止することができる。なお、包囲体21には撥水性がある生地を使用してもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、体表面の少なくとも一部を包囲する包囲体内に二酸化炭素を供給する供給装置と、包囲体内に供給された二酸化炭素を吸収材に吸収させるように加圧する加圧装置とを共通にした場合の実施形態である。第1の実施形態では、供給装置から二酸化炭素と吸収材とを放出することにより、吸収材を体の表面に付着させていたが、第2の実施形態では吸収材を付与する方法が異なる。
図7に、第2の実施形態に係る二酸化炭素付与装置60の構成を示す。図7に示すように二酸化炭素付与装置60は、供給装置61と、包囲体71とを有している。
供給装置61は、容器体62と、減圧器63とを有している。容器体62は、いわゆるハンディボンベであり、二酸化炭素が非常に高圧縮された状態で収容されている。本実施形態の容器体62には約10〜20リットルの二酸化炭素が収容されている。減圧器63は、目盛部66と、つまみ部67と、吹き出し口68とを有している。減圧器63を容器体62のネジ部64を介して取り付けることで、容器体62に高圧縮された二酸化炭素を減圧させて、取り出すことができる。使用者は、つまみ部67を開口することで、容器体62に収容された二酸化炭素を、吹き出し口68から勢いよく放出することができる。なお、使用者は、目盛部66により、吹き出し口68から放出される二酸化炭素の圧力を確認することができる。
包囲体71は、体表面の少なくとも一部である上腕、下腕及び手を含む腕用である。包囲体71は、袋状であり、包囲体71内は二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。ここで、包囲体71は、図5に示す包囲体36と同様に構成されている。本実施形態に示す包囲体71が、図5に示す包囲体36と異なる部分は、吸入チューブ74を介して吸入口73が設けられている点である。吸入口73には、供給装置61の吹き出し口68を接続することができる。本実施形態に係る供給装置61は、二酸化炭素が非常に高圧縮された状態で収容されているため、第1の実施形態の供給装置11より重量がある。吸入チューブ74を設けることで、使用者が供給装置61を手に持つ必要がなく、載置した状態の供給装置61から包囲体71内に二酸化炭素を供給することができる。
次に、本実施形態に係る吸収材を付与する方法について説明する。吸収材を付与する方法として、第1に体の表面にシート状の吸収材を貼付する方法がある。ここで、シート状の吸収材について図8を参照して説明する。吸収材75は、予め二酸化炭素を吸収させたい体の部位の大きさに合わせたサイズに形成したり、切断したりしておく。吸収材75は、図8(a)に示すように、複数の異なる材質の層になっていて、透過性シート76と、吸収部77と、ラミネートシート78とを有している。透過性シート76には、二酸化炭素が透過できる孔79が複数形成されている。吸収部77は、体の表面に貼付させる部分である。吸収部77は、二酸化炭素を溶融させることができる媒体であり、例えば、水、アルコール類、油脂類等である。また、体の表面に貼付した場合に、貼付した吸収材が貼付した位置に留まり易いようにするために、吸収部77はジェル状であることが好ましい。例えば、ジェル状の吸収部77として、高分子化合物(ポリアクリル酸ナトリウム)を添加ジェルにすればよい。また、吸収部77には体表面の影響を少なくするためにPH4.0〜6.5の弱酸性とし、体表面の保湿と保護のためにグリセリンやワセリンが添加されている。ラミネートシート78は、吸収部77に塵等が付かないように保護するものである。使用者は、吸収材75を使用するときに吸収部77からラミネートシート78を剥離する。このように、吸収材75をシート状にすることで、管理がし易く、容易に携帯することができる。なお、吸収部として、二酸化炭素を溶融させることができる水、アルコール類、油脂類等の媒体を浸透させた布等の物質を用いてもよい。また、水、アルコール類、油脂類等の媒体は、体表面から体内に吸収しやすいナノ化されたものであることが好ましい。
吸収材を付与する方法として、第2に体の表面に吸収材を直接、塗布する方法がある。ここで、吸収材は、第1の方法で上述した吸収部77と、同様な物性を有する。なお、体の表面に塗布する吸収材には、吸収材自体が粘性を有するか粘性剤が含めることにより、さらに塗布した位置に留まるようにすることが好ましい。
次に、腕に取り付けた包囲体71の内部に供給装置によって二酸化炭素を供給する方法について説明する。ここでは、吸収材を付与する方法としては、上述した第1の方法である、体の表面にシート状の吸収材を貼付することにより行うものとする。まず、使用者は、シート状の吸収材75のラミネートシート78を剥離した上、吸収材75の吸収部77を上腕、下腕、手の甲等の体表面に貼付する。次に、使用者は、例えば梱包体に収容された供給装置61の容器体62を取り出し、ネジ部64を介して減圧器63を取り付ける。次に、使用者は、減圧器63の吹き出し口68と包囲体71の吸入チューブ74の先にある吸入口73とを接続する。
さらに、使用者は、包囲体71の挿入口41から腕を挿入した後、減圧器63のつまみ部67を開口する。すると、容器体62に収容された二酸化炭素が包囲体71の供給空間内に放出される。使用者は、継続してつまみ部67を開口することにより、供給空間に充填された二酸化炭素は、継続して供給される二酸化炭素によって圧縮される。加圧された二酸化炭素は、図8(b)に示すように、透過性シート76の孔を透過して腕に貼付された吸収部77に効率よく、多量に溶解する。二酸化炭素が多量に溶解された吸収部77を通すことで、腕の表面からより多くの二酸化炭素を吸収させることができる。また、腕の表面に貼付された吸収部77は供給空間内で加圧された二酸化炭素によって透過性シート76を介して、腕の表面側に押し付ける。従って、この押し付ける力が吸収部77と腕の表面とを密着させるので、さらに、腕の表面から二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
なお、吸収材を付与する方法としては、上述した第2の方法である、体の表面に吸収材を塗布する場合であっても同様な方法により行うことができる。また、シート状の吸収材75を貼付するときに、シート状の吸収材75を貼付することが困難な肘等の体の部位には、ジェル状の吸収材を塗布する等して、シート状の吸収材75とジェル状の吸収材とを組み合わせて使用してもよい。また、シート状の吸収材75を貼付したり、ジェル状の吸収材を塗布したりする場合に限られず、供給装置61から二酸化炭素と同時に吸収材を放出するようにしてもよい。例えば、この場合、吸収材をミスト状に噴霧することができる噴霧器の噴霧口を減圧器63の吹き出し口68に近接させて設けるようにすればよい。
次に、本実施形態に使用される包囲体の他の形態について図9を参照して説明する。
図9(a)に示す包囲体81は、大腿、下腿及び足を含む脚用である。包囲体81は、図7に示す包囲体71と同様に構成されている。図9(a)に示す包囲体81が、図7に示す包囲体71と異なる部分は、脚用にサイズが大きく形成されている点である。
図9(b)に示す包囲体83は、首用である。包囲体83は、図6(a)に示す包囲体46と同様に構成されている。図9(b)に示す包囲体83が、図6(a)に示す包囲体46と異なる部分は、吸入チューブ74を介して吸入口73が設けられている点である。
図9(c)に示す包囲体85は、両腕を含む上半身用である。包囲体85は、体の部位のうち腰から上であり、首から下を包囲することができるように形成されている。包囲体85は、複数(5つ)の包囲材38、39、86から構成されている。包囲材38、39は、図7に示す包囲材38、39と同様の構成である。包囲材86の材質は、例えばクロロプレーンラバーが用いられる。また、包囲材86は、いわゆるベスト形状であり、気密ファスナー87と、腹係止部88と、首係止部90と、吸入チューブ74と、吸入口73とを有している。使用者が、包囲体85を取り付けるときは、気密ファスナー87を開放した後、衣服を着るようにして装着する。次に、使用者は、気密ファスナー87を閉鎖し、腹係止部88と首係止部90とを用いて係止することで、両腕を含む上半身の周りに密閉された供給空間が形成される。なお、包囲体85は、首や腹部分以外は上半身を締め付けないようにやや大きめに形成されている。また、包囲体85は、手に対応する部分の包囲材39にクロロプレーンラバー等の伸縮性がある材質を用いることで、使用者は気密ファスナー87を開閉する作業等を簡単に行うことができる。
図9(d)に示す包囲体91は、一方の腕を含む上半身用(肩用)である。包囲体91は、図9(c)に示す包囲体85の一方の腕部分の包囲材38、39を失くして構成したものである。包囲体91は、複数(3つ)の包囲材38、39、92から構成されている。包囲体91は、係止部24と、腹係止部88とを有すると共に、包囲材38、39によって包囲されない他方の腕を包囲体91の外側に露出させるための腕開口93を有している。使用者が、包囲体91を体に取り付けるときは、衣服を着るようにして装着する。次に、使用者は、係止部24と腹係止部88とを用いて係止することで、一方の腕を含む上半身の周りに密閉された供給空間が形成される。
このように、本実施形態によれば、体内に供給するための二酸化炭素を非常に高圧縮に収容することができる小型の供給装置(ハンディタイプボンベ)を用いた。従って、多量の二酸化炭素を放出することができるので、体の表面の広範囲に二酸化炭素を供給することができる。
また、本実施形態では、吸収材を付与する方法としてシート状の吸収材を貼付する方法と、ジェル状の吸収材を塗布する方法とを用いた。従って、体の表面に吸収材を確実に付着させることができるため、二酸化炭素を体内に吸収させる効率を向上させることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、体表面の少なくとも一部を包囲する包囲体内に二酸化炭素を供給する供給装置と、包囲体内に供給された二酸化炭素を吸収材に吸収させるように加圧する加圧装置とを別々した場合の実施形態である。
図10に、第3の実施形態に係る二酸化炭素付与装置100の構成を示す。図10(a)に示すように二酸化炭素付与装置100は、供給装置61と、包囲体101と、加圧装置102とを有している。
供給装置61は、容器体62と、減圧器63とを有している。容器体62は、いわゆるハンディボンベであり、二酸化炭素が非常に高圧縮された状態で収容されている。使用者は、つまみ部67を開口することで、容器体62に収容された二酸化炭素を、吹き出し口68から勢いよく放出することができる。
包囲体101は、体表面の少なくとも一部である上腕、下腕及び手を含む腕用である。
包囲体101は、袋状であり、包囲体101内は二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。また、包囲体101の内部には供給空間を体表面側と包囲体側とで仕切る仕切り部材103が設けられている。図10(a)に示す仕切り部材103は、包囲体101の内部で、腕を覆うように袋状に形成されている。仕切り部材103には、気体に対して不透過性を有し伸縮性のある材質、例えば高分子樹脂であるビニール等が用いられる。なお、仕切り部材103は、包囲体101内に一体的に設けられていてもよい。包囲体101の外周には、供給空間内であって、仕切り部材103と包囲体101との間の空間に、気体等の圧縮物が吸入される吸入口104が設けられている。
加圧装置102は、筒状本体106と、操作部107と、送出チューブ108と、送出口109とを有している。加圧装置102は、いわゆるハンディタイプのポンプである。使用者は、操作部107を筒状本体106に対して進退させることで、筒状本体106内の気体を送出口109から排出することができる。
次に、使用者が包囲体101を取り付ける方法について説明する。まず、使用者は、ジェル状の吸収材を上腕、下腕、手等の腕全体の表面に塗布する。次に、使用者は、上腕、下腕、手等の腕全体を袋状の仕切り部材103でかぶせるようにして覆う。さらに、使用者は、仕切り部材103で覆われた腕全体を包囲体101の挿入口から挿入する。このとき、図10(a)に示すように、包囲体101の挿入口から仕切り部材103の開口部が露出するような状態にすることで、仕切り部材103と包囲体101との間の空間に充填される気体と、体表面と仕切り部材103との間の空間に充填される気体とが混合しないようにすることができる。
次に、使用者は、供給装置61の吹き出し口68に吸入チューブを接続して、吸入チューブの先端を袋状の仕切り部材103内、即ち体表面と仕切り部材103によって囲まれた空間に挿入した後、減圧器63のつまみ部67を開口する。すると、容器体62に収容された二酸化炭素が包囲体101の袋状の仕切り部材103内、即ち体表面と仕切り部材103によって囲まれた空間に放出される。ここで、使用者は、仕切り部材103内にある程度、二酸化炭素が充填されたところで、減圧器63のつまみ部67を閉塞する。この状態では、仕切り部材103内の二酸化炭素は、まだ加圧されていない。
次に、使用者は、加圧装置102の送出口109を包囲体101の吸入口104に接続し、操作部107を筒状本体106に対して進退させる。すると、筒状本体106内の気体を仕切り部材103と包囲体101との間の空間に放出することができる。使用者は継続して仕切り部材103と包囲体101との間の空間に気体を供給することで、仕切り部材103と包囲体101との間の空間に充填された気体は、仕切り部材103を介して、仕切り部材103内の二酸化炭素を圧縮する。なお、仕切り部材103と包囲体101との間の空間に充填された気体により包囲体101は膨張する。このとき、膨張された供給空間の気圧は1気圧より大きく、1.3気圧より小さく(好ましくは1.05気圧以上、1.1気圧以下)する。加圧された二酸化炭素は、腕に塗布された吸収材に効率よく、多量に溶解する。二酸化炭素が多量に溶解された吸収材を通すことで、腕の表面からより多くの二酸化炭素を吸収させることができる。また、腕の表面に付着された吸収材は供給空間内で加圧された二酸化炭素によって腕の表面に押し付けられる。従って、この押し付ける力が吸収材と腕の表面とを密着させるので、さらに、腕の表面から二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、加圧装置102として、ハンディタイプのポンプを用いたが、この場合に限られない。例えば、コンプレッサのような圧縮機やいわゆるメドマー(登録商標)といわれる加圧機を用いて包囲体101内に気体を供給するようにしてもよい。また、例えば、内部に空間を有する蛇腹装置を用い、蛇腹部を伸縮させることで包囲体内に気体を供給するようにしてもよい。また、包囲体101内に供給するものは気体に限られない。例えば、液体であってもよいし、固体であってもよい。固定を供給する場合は、固体が直接、仕切り部材の外側を押圧するように構成することで、二酸化炭素を加圧することができる。
また、上述した実施形態では、ジェル状の吸収材を上腕、下腕、手等の腕全体の表面に塗布する場合について説明したが、この場合に限られず、シート状の吸収材を上腕、下腕、手等の表面に貼付してもよい。
また、仕切り部材として袋状のものを用いたが、この場合に限られない。例えば、仕切り材をシート状にして体表面に貼付するようにしてもよい。ここで、シート状の仕切り部材について図11を参照して説明する。仕切り部材112は、気体に対して不透過性を有する材質である。仕切り部材112には、体の表面に貼付させる吸収部113が付着されている。吸収部113は、二酸化炭素を溶融させることができる媒体が浸透されたスポンジ等の物質である。なお、媒体は、水、アルコール類、油脂類等であり、第2の実施形態と同様な物性を有するように構成されている。次に、使用者が仕切り部材112を用いて、包囲体101内に二酸化炭素を供給する方法について説明する。まず、使用者は、体表面側に吸収部113が面するように、仕切り部材112を体表面に貼付する。次に、使用者は、仕切り部材112を貼付した腕全体を包囲体101の挿入口から挿入する。使用者は、供給装置61の吹き出し口68に吸入チューブを接続して、吸入チューブの先端を、図11に示すように吸収部113内に差し込み、二酸化炭素を吸収部113内、即ち体表面と仕切り部材103によって囲まれた吸収部113内の空間に放出する。次に、使用者は、加圧装置102により、仕切り部材112と、包囲体101との間の空間に気体を供給することで、仕切り部材112と包囲体101との間の空間に充填された気体は、仕切り部材112を介して、吸収部113内の二酸化炭素が圧縮され媒体に効率よく、多量に溶解する。二酸化炭素が多量に溶解された媒体を通すことで、腕の表面からより多くの二酸化炭素を吸収させることができる。
次に、本実施形態に使用される包囲体の他の形態について図10(b)を参照して説明する。図10(b)に示す包囲体111は、大腿、下腿及び足を含む脚用である。包囲体111は、図10(a)に示す包囲体101と同様に構成されている。また、包囲体111の内部にも同様に、供給空間を体表面側と包囲体側とで仕切る仕切り部材103が設けられている。図10(b)に示す包囲体111が、図10(a)に示す包囲体101と異なる部分は、脚用にサイズが大きく形成されている点である。
このように、本実施形態によれば、包囲体の内部に供給空間を体表面側と包囲体側とで仕切る仕切り部材を設けた。そして、体表面と仕切り部材103によって囲まれた空間にのみ二酸化炭素を供給するようにした。従って、供給する二酸化炭素の量を少なくすることができる。また、体表面に吸収材を塗布されたとしても、供給空間を体表面側と包囲体側とが仕切り部材により仕切られていることから、包囲体に吸収材が付着することを防止することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、体表面の少なくとも一部を包囲する包囲体内に大量の二酸化炭素を供給する場合に適した実施形態である。
図12に、第4の実施形態に係る二酸化炭素付与装置120の構成を示す。図12に示すように二酸化炭素付与装置120は、供給装置121と、包囲体85とを有している。
供給装置121は、容器体122と、減圧器123とを有している。容器体122は、いわゆる大型ボンベであり、二酸化炭素が非常に高圧縮された状態で大量に収容されている。減圧器123は、目盛部124と、栓部125とを有している。なお、供給装置121は、ケース体128に収容されている。ケース体128には、吹き出し口127と、吹き出し口127を開閉するコック部126とを有している。また、ケース体128にはキャスター等が取り付けられ、供給装置121の搬送を簡単にできるようになっている。なお、減圧器123の栓部125から吹き出し口127にチューブを介して接続されており、使用者が、栓部125及びコック部126を開口することで、容器体122に収容された二酸化炭素が、吹き出し口127から勢いよく放出される。なお、使用者は、目盛部124により、吹き出し口127から放出される二酸化炭素の圧力を確認することができる。
包囲体85は、両腕を含む上半身用である。包囲体85は、体の部位のうち腰から上であり、首から下を包囲することができるように形成されている。図12に示す包囲体85は、図9(c)に示す包囲体85と同一の構成である。
本実施形態に係る吸収材を付与する方法について説明する。吸収材を付与する方法として、体の表面にシート状の吸収材を貼付する方法と、体の表面に吸収材を直接、塗布する方法がある。ここでは、上半身用の包囲体85によって体を包囲する場合に適した吸収材について図13を参照して説明する。
図13において、吸収材131は、複数(5つ)の吸収材132、133、134からなっている。吸収材132、133、134は、それぞれ、図8(b)に示す吸収材と同一の物質により構成されている。吸収材132は、いわゆるベスト形状であり、両腕を除く上半身に貼付することで、吸収材132の吸収部を体表面に付着させることができる。また、吸収材132は、貼付する体の大きさに合わせて調整できるように、前側に両側から重なり合う余裕部135、136を有している。このように余裕部135、136を有することで、1つの吸収材132で様々なサイズに対応することができる。吸収材133は、両腕の上腕に巻きつけて貼付することで、吸収材133の吸収部を体表面に付着させることができる。また、吸収材134は、両腕の下腕に巻きつけて貼付することで、吸収材134の吸収部を体表面に付着させることができる。
なお、吸収材131は、体の部位の形状に合わせた形状に形成することにより、吸収材131の装着を簡単に行うことができると共に吸収材131の吸収部が体の表面と密着しやすいので、より二酸化炭素を体内に供給させることができる。例えば、図13(b)に示すように、足形状に合わせた吸収材137を形成してもよい。なお、吸収材133を貼付するときに、貼付することが困難な肘等の体の部位には、吸収材を塗布する。
さらに、本実施形態では、図13(c)に示すように体の表面に吸収材131を貼付した後に、吸収材131の上から二酸化炭素が透過できる透過膜材138を体に巻きつけるようにする。ここで、透過膜材138は、例えば二酸化炭素が透過する孔が形成されたラップフィルムや、細目不織布等である。
次に、上半身に取り付けた包囲体85の内部に供給装置によって二酸化炭素を供給する方法について説明する。ここでは、吸収材を付与する方法としては、体の表面にシート状の吸収材131を貼付することにより行うものとする。まず、使用者は、シート状の吸収材131のラミネート部を剥離した上、吸収材132、133、134の吸収部をそれぞれ、上半身、上腕、下腕の表面に貼付する。なお、吸収材131を貼付するとき、使用者が吸収材131を、例えば30℃〜35℃等に加温しておくことで、体が冷却されることがなく好ましい。また、吸収材131を貼付することが困難な肘等には、例えばジェル状の吸収材を塗布する。次に、使用者は、図12に示す包囲体85を装着した後、気密ファスナー87を閉鎖し、腹係止部88と首係止部90とを用いて係止することで、両腕を含む上半身の周りに密閉された供給空間が形成される。
次に、使用者は、吸入チューブ74の吸入口73を供給装置121が収容されているケース体128の吹き出し口127に接続する。使用者は、栓部125及びコック部126を開口する。すると、容器体122に収容された二酸化炭素が包囲体85の供給空間内に放出される。使用者は、継続して栓部125及びコック部126を開口することにより、供給空間に充填された二酸化炭素は、継続して供給される二酸化炭素によって圧縮される。加圧された二酸化炭素は、透過膜材138を透過し、さらに吸収材131の透過性シート76の孔を透過して、両腕を含む上半身の表面に貼付された吸収部及び塗布された吸収材に効率よく、多量に溶解する。また、シート状の吸収材131及びジェル状の吸収材の上から巻きつけられた透過膜材138は供給空間内で加圧された二酸化炭素によって上半身の表面側に押し付けられる。従って、この押し付ける力が吸収部と両腕を含む上半身の表面とを密着させるので、腕の表面から二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。また、透過膜材138は上半身の表面全体に渡って巻きつけられるので、上半身の表面全体から二酸化炭素を効率的に吸収させることができる。また、透過膜材138を上半身の表面全体に渡って巻きつけることで吸収材が包囲体に付着することによる汚れを防止することができる。
次に、本実施形態に使用される包囲体の他の形態について図14〜図17を参照して説明する。
図14に示す包囲体141は、腰及び両足を含む下半身用である。包囲体141は、袋状であり、包囲体141内は二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。包囲体141は、複数(5つ)の包囲材142、143、144から構成されている。包囲材142、144の材質は、例えばクロロプレーンラバー等が用いられる。また、包囲材142は、例えば筐体としての透明なアクリルが用いられる。包囲材142は、腰係止部145を有している。腰係止部145を係止することにより供給空間内に供給された二酸化炭素を外側に漏洩することを防止できる。包囲材143には吸入チューブ146を介して吸入口147を有している。
図15に示す包囲体151は、頭を除く全身用である。包囲体151は、袋状であり、包囲体151内は二酸化炭素が供給される供給空間が形成されている。包囲体151は、複数(2つ)の包囲材152、153から構成されている。包囲材152、153の材質は、例えばクロロプレーンラバー等が用いられる。包囲材152には、頭を包囲体151の外側に露出させることができる開口部156を有している。また、包囲材153には吸入チューブ154を介して吸入口155を有している。
次に、包囲体151の取付方法について図16を参照して説明する。まず、使用者は、図16(a)に示すように、包囲材152を頭からかぶるようにして、包囲材152の開口部156から頭を外側に露出させる。次に、使用者は、包囲材153の空間に両足を挿入し、包囲材152と包囲材153とを接続する。図16(b)は、包囲材152と包囲材153とを接続して、頭を除く全身を包囲体151により包囲した状態を示す図である。
図17に示す包囲体161は、頭を除く全身用である。包囲体161は、袋状であり、いわゆるカプセル形状である。包囲体161内は二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。包囲体161は、複数(5つ)の包囲材162、163、164、165、166から構成されている。包囲材162、164、166の材質は、例えばクロロプレーンラバー等が用いられている。また、包囲材163、165の材質は、例えば筐体としての透明なアクリルが用いられている。包囲材166は図15に示す包囲材152と同様の構成を有している。ここで、包囲体161は図17(a)及び図17(b)に示すように、載置台167に固定されている。
次に、全身を包囲体161へ収容する方法について図17(a)を参照して説明する。まず、使用者は包囲材166から頭を外側に露出させる。次に、使用者は、図17(a)に示すように、搬送車168上に載っているストレッチャー169に横たわる。次に搬送車168を包囲材165の開口まで移送し、使用者をストレッチャー169に載せたまま包囲材162、163、164、165内に移動する。次に、使用者は、包囲材165と包囲材166とを接続する。図17(b)は、包囲材165と包囲材166とを接続して、頭を除く全身を包囲体161により包囲した状態を示す図である。
なお、包囲体の他の形態として第1〜第3の実施形態の包囲体を用いてもよい。
このように、本実施形態によれば、体内に供給するための二酸化炭素を非常に高圧縮に収容することができる大型の供給装置(大型ボンベ)を用いた。従って、多量の二酸化炭素を放出することができるので、例えば全身等、体の表面の広範囲に二酸化炭素を供給することができる。
また、本実施形態では、体の表面に吸収材を貼付した上から又は体表面に吸収材を塗布した上から、二酸化炭素が透過する透過膜材を体に巻きつけるようにした。従って、加圧された二酸化炭素によって体に巻きつけた透過膜材を押し付ける。この押し付ける力が吸収材と体表面とを密着させるので、さらに、体表面から体内に二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、ジェル状の吸収材を収容した吸収体を包囲体に一体的に取りつける場合の実施形態である。
図18に、第5の実施形態に係る吸収体を一体的に取りつけた包囲体の構成を示す。図18(a)は、包囲体181を表側からみた図である。図18(b)は、包囲体181を裏側からみた図である。包囲体181は、図18(b)に示すように、吸収体182を一体的に取り付けることができるように構成されている。
包囲体181について、図19を参照して説明する。包囲体181は、包囲材183と、周縁部184と、仕切り部材185と、吸入口186とを有している。本実施形態の包囲体181は、例えば腰や背中等の体表面にあてがい包囲体181内を密閉することにより包囲する部材である。図19(a)に示す包囲体181は、体表面と接触する面がみえるように図示している。図19(b)は、包囲体181の断面を示している。
包囲材183は、シート状に形成されている。本実施形態の包囲材183の材質は、例えば、クロロプレーンラバー等が用いられる。なお、包囲材183の中央部には、包囲体181内を使用者が視認することができるような透明な部材が設けられている。
周縁部184は、包囲材183の外周に沿って立設されている。周縁部184は、密閉性がある材質が使用され、例えば、クロロプレーンラバーが用いられる。ここで、包囲体181を体表面の少なくとも一部にあてがうことで、包囲材183と、周縁部184と、体表面とによって囲まれる部分に、二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。
仕切り部材185は、包囲材183と、周縁部184との間であって、供給空間を体表面側と包囲体側とで仕切るように設けられている。仕切り部材185は、気体に対して透過性を有し、伸縮性を有する材質、例えば孔が形成されたラップフィルムや、細目不織布等が用いられる。なお、仕切り部材185の中央部には、包囲体181内を使用者が視認することができるような透明な部材が設けられている。また、仕切り部材185と周縁部184との間には、吸収体182の端部が嵌入できる隙間部187が形成されている。
吸入口186は、包囲材183と仕切り部材185との間の空間と連通する孔を有し、孔を通して二酸化炭素を包囲材183と仕切り部材185との間の空間に供給することができる。
吸収体182について、図20を参照して説明する。吸収体182は、仕切り部材185と周縁部184との間の空間に収まることができる大きさに形成されている。図20(a)に示す吸収体182は、体表面と接触する面がみえるように図示している。図20(b)は、吸収体182の側面図を示している。吸収体182は、気体に対して透過性を有し、伸縮性を有する材質、例えば不織布等が用いられている。また、吸収体182は、内部を複数(6つ)の空間188に区分けして構成されている。この空間には、ジェル状の吸収材が詰め込まれている。従って、吸収体182は、図20(b)に示すように、吸収材が詰め込まれた空間毎に膨らむような凹凸形状に形成されている。各空間に詰め込まれた吸収材は各空間に移動することができるように、吸収体182の空間と空間との間には移送路190が形成されている。このように、吸収体182は凹凸形状であると共に、空間に詰め込まれたジェル状の吸収材が各空間を移動することができるので、凹凸がある体の表面であっても、凹凸と一致するように変形することができる。
また、吸収体182のうち体表面側の面は、空間に詰め込まれたジェル状の吸収材が吸収体182から、体表面側に排出され易いように、粗目状の孔又は多数の孔が形成されている。一方、吸収体182のうち包囲材側の面は、気体の透過性は保ちつつ、ジェル状の吸収材が包囲材側に漏洩されないように、細目状の孔又は少数の孔が形成されている。
また、吸収体182の外周における端部189は、包囲体181の仕切り部材185と周縁部184との間の隙間部187に嵌入することができるような厚みに形成されている。従って、吸収体182を包囲体181の仕切り部材185と周縁部184との間の隙間部187に対して着脱することで、吸収体182を包囲体181に対して取外し可能に構成されている。
次に、体の表面に取り付けた包囲体181に二酸化炭素を供給する方法について説明する。なお、包囲体181に供給する供給装置は、第2、第4の実施形態で説明した、ハンディタイプのボンベや大型ボンベを用いるものとする。まず、使用者は、吸収体182を取り付けた包囲体181を体の表面にあてがい、包囲体181内を密閉するように体に固定する。このとき、上述したように、吸収体182は、体の表面の凹凸に合致した形状に変形され、吸収体182と体表面とが密着する。次に、使用者は供給装置から吸入チューブを用いて、包囲体181の吸入口186に接続する。さらに、使用者は、供給装置のつまみ部を開口する。すると、供給装置から二酸化炭素が包囲体181内の仕切り部材185と包囲材183との間の空間内に放出される。供給された二酸化炭素は仕切り部材185と包囲材183との間の空間に満遍なく充填される。このとき包囲体181の包囲材183と仕切り部材185との間の空間は、図21に示すように膨張する。使用者は、継続して二酸化炭素を供給することにより、包囲材183と仕切り部材185との間の空間に充填された二酸化炭素は、継続して供給される二酸化炭素によって圧縮される。加圧された二酸化炭素は、図21に示すように、仕切り部材185を透過して、さらに、吸収体182の包囲材側の面を透過して、吸収体182の空間に充填された吸収材に効率よく、多量に溶解する。二酸化炭素が多量に溶解された吸収材は、吸収体182の体表面側から排出され、吸収体182に密着した体表面からより多くの二酸化炭素を体内に吸収させることができる。また、仕切り部材185と包囲材183との間の空間内で加圧された二酸化炭素によって吸収体182を体表面側に押し付ける。従って、この押し付ける力が吸収体182を体表面の凹凸と一致するように変形させることができ、体の表面から二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
次に、本実施形態に使用される包囲体の他の形態について図22を参照して説明する。図22(a)に示す包囲体191は、あご用である。包囲体191の包囲材183は、あごの形状に合うように凹状に形成されている。また、包囲材183の両端部には伸縮性がある、例えばゴム製の帯状止着部193が設けられている。使用者は、包囲材183の帯状止着部193を頭の後ろ側に位置させることにより、包囲体191をあごに取り付けることができる。吸収体192は、包囲材183と周縁部184との間の空間に収まることができる大きさで、あごの形状に合うように凹状に形成されている。
図22(b)に示す包囲体196は、顔用である。包囲体196の包囲材183は、顔の形状に合うように形成され、目、鼻及び口に相当する部分に開口部を有している。また、包囲材183の両端部にはゴム製の帯状止着部193が設けられている。吸収体197は、包囲材183と図示しない周縁部の間の空間に収まることができる大きさで、包囲体196と同様に目、鼻及び口に相当する部分に開口部が有している。
図22(c)に示す包囲体198は、下腕の一部を含む手用である。包囲体198の包囲材183は、袋状であり、腕を挿入することができる挿入口が形成されている。なお、包囲材183の内側には、図示しない仕切り部材が一体的に袋状に設けられている。吸収体199は、仕切り部材によって形成される空間に収まることができる大きさで、下腕の一部を含む手に合うように袋状に形成されている。
なお、本実施形態ではジェル状の吸収材が含まれる吸収体を用いる場合について説明したがこの場合に限られない。吸収材として図3のシート状の吸収材を用いてもよい。大量生産に適したシート状の吸収材を用いることで、吸収材を安価に製造することができる。
このように、本実施形態によれば、ジェル状の吸収材を収容した吸収体を包囲体に一体的に取りつけるようにした。従って、使用者は体表面にジェル状の吸収材を付着させたり、吸収材を体表面に塗布させたりする必要がないので、使い勝手が向上する。
また、本実施形態では、吸収体を凹凸形状として、吸収体の空間に詰め込まれたジェル状の吸収材が各空間を移動することができるように形成されているので、凹凸がある体の表面であっても、凹凸と一致するように変形できる。従って、吸収体182は、体の表面の凹凸に合致した形状に変形されるので、吸収体182と体表面とが密着でき、二酸化炭素が溶融したジェル状の吸収材から、体表面への二酸化炭素を吸収させる効率を向上させることができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、包囲体に粘着部を設けて、包囲体を体表面に貼付する場合の実施形態である。
図23に、第6の実施形態に係る包囲体の構成を示す。図23(a)は、包囲体の外観を示す斜視図である。また、図23(b)は、包囲体の構成を示す断面図である。
図23(b)に示すように包囲体201は、シールラミネート202と、粘着シート204と、保湿メッシュ206と、防菌シート207と、吸入口208とを有している。包囲体201は、シールラミネート202と、粘着シート204と、保湿メッシュ206と、防菌シート207とが積層されてシート状に形成されている。
まず、シールラミネート202は、体表面の一部を包囲する包囲材であり、気体に対して不透過性を有し、伸縮することができるゴム等の材質で形成されている。また、シールラミネート202の面のうち粘着シート204と対向する面には、中央を除いた外縁側にシール粘着部203が設けられている。このシール粘着部203によりシールラミネート202と粘着シート204とが接着されている。
粘着シート204は、後述する供給空間と体表面とを仕切る仕切り部材であって、シールラミネート202と略等しい大きさに形成されている。粘着シート204は、気体が透過できるように形成され、包囲体201が包囲する体表面の部位によっては伸縮性を有する、例えば複数の孔を有するゴム等の材質で形成されている。ここで、シールラミネート202と粘着シート204とによって囲まれる空間に、二酸化炭素が供給される供給空間が形成される。なお、上述したシール粘着部203によって、シールラミネート202と粘着シート204との間は接着されていることにより、供給空間に供給された二酸化炭素は、シールラミネート202と粘着シート204との間から外部に漏洩しないようになっている。また、粘着シート204の面のうち防菌シート207と対向する面には、中央を除いて経皮粘着部205が設けられている。この経皮粘着部205は、体表面に包囲体201を貼り付ける粘着力を有している。なお、経皮粘着部205には、体表面に貼り付ける直前に剥離する防菌シート207が簡単に取り外せるように接着されている。
保湿メッシュ206は、粘着シート204より小さく形成され、粘着シート204の中央に配置されている。保湿メッシュ206は、二酸化炭素を溶融させることができる媒体、例えば水、アルコール類、油脂類等の吸収材を浸透させた綿糸で織った紗等であり、吸収部の役割を有する。なお、保湿メッシュ206には、二酸化炭素を溶融させることができる吸収材と共に、DDS(Drug Delivery System)効果があるナノ化された薬剤やコラーゲン等(以下、ナノ化薬剤等という)を浸透させておいてもよい。
防菌シート207は、粘着シート204と略等しい大きさに形成されている。防菌シート207は、保湿メッシュ206に浸透させた吸収材の気化を防止し、保湿メッシュ206に対する汚れの付着を防止することができる。
吸入口208は、シールラミネート202の中央に設けられている。吸入口208は、供給空間と連通する孔を有し、供給装置の吹き出し口を接続することができる。
次に、包囲体201の取付方法及び包囲体201の内部に供給装置によって二酸化炭素を供給する方法について図24を参照して説明する。ここでは、包囲体201を貼付する体の部位として肘を例にして説明する。まず、使用者は、図24(a)に示すように、携帯ケース210から包囲体201を取り出す。次に、使用者は、図24(b)に示すように、粘着シート204の経皮粘着部205に接着された防菌シート207を剥離する。次に、使用者は、図24(c)に示すように、包囲体201の保湿メッシュ206が肘の表面に対向するようにして、包囲体201を貼付する。このとき、包囲体201の経皮粘着部205は、経皮粘着部205の粘着力により肘に密着した状態になることで、保湿メッシュ206を体表面に密着させることができる。
次に、使用者は図24(d)に示すように、肘に貼付した包囲体201の吸入口208に上述した実施形態の供給装置の吹き出し口を接続する。使用者が供給装置から二酸化炭素を放出することにより、シールラミネート202と粘着シート204とで囲まれた供給空間に二酸化炭素が満遍なく充填される。使用者は、継続して二酸化炭素を供給することにより、供給空間に充填された二酸化炭素は、継続して供給される二酸化炭素によって圧縮される。加圧された二酸化炭素は、粘着シート204を透過して、保湿メッシュ206に浸透している水等の吸収材に効率よく、多量に溶解する。
二酸化炭素が多量に溶解された吸収材は、保湿メッシュ206に密着した体表面から、より多くの二酸化炭素を体内に吸収させることができる。また、供給空間内で加圧された二酸化炭素によって保湿メッシュ206を体表面側に押し付ける。従って、この押し付ける力が保湿メッシュ206と体表面とを密着させるので、さらに、体表面から二酸化炭素を体内に吸収させる効率を向上させることができる。なお、保湿メッシュ206にDDS効果があるナノ化薬剤等を浸透させている場合、ナノ化薬剤等は、二酸化炭素と共に体表面から体内に吸収されることにより、目的とする患部に効率よく到達させることができる。
次に、二酸化炭素の供給が終了すると、使用者は肘に貼付された包囲体201を取り外す。なお、包囲体201を貼付した肘に傷がある場合に、包囲体201を取り外してしまうと傷口が外部に露出してしまうことになる。したがって、包囲体201を貼付した肘に傷がある場合、使用者は、図24(e)に示すように、包囲体201の粘着シート204からシールラミネート202のみを剥離する。このようにシールラミネート202を剥離することで、肘にある傷口は、粘着シート204によって覆われたままであるため、傷口が外部に露出することなく、傷口を外部から防菌することができる。
なお、包囲体201は、貼り付ける体表面に応じた大きさに形成することで、様々な体の部位に対応させることができる。また、シールラミネート202及び粘着シート204を伸縮性がある材質にすることで、肘、肩、膝等の関節や、あご、額等の複雑な体の部位であっても、体表面に沿って包囲体201を貼付することができる。
このように、本実施形態によれば、包囲体に経皮粘着部を設けた。従って、使用者は体表面に包囲体を簡単に貼付することができるので、使い勝手が向上する。
また、本実施形態では、包囲体で包囲した部位に傷口があったとして、包囲体の外側に積層されたシールラミネートのみを剥離することで、粘着シートが傷口を覆うので、傷口を外部から防菌することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、体表面の少なくとも一部を包囲する包囲体内に気泡状の二酸化炭素をムースとして供給する場合の実施形態である。
図25に、第7の実施形態に係る二酸化炭素付与装置の構成を示す。図25に示すように二酸化炭素付与装置は、供給装置281と、包囲体295とを有している。
供給装置281は、いわゆるスプレーガンであって、容器体282と、噴射口283と、取手部284と、噴射スイッチ285と、差込口286とを有している。容器体282には、体表面に付着させる吸収材として、発泡性ジェルが収容されている。ここで、吸収材としての発泡性ジェルは、泡の生成に適した成分を含み二酸化炭素を溶解させることができる液体(媒体)である。
差込口286には、図25に示すように、カートリッジ291又はボンベ292のノズルが接続できるように構成されている。ここで、カートリッジ291は、二酸化炭素が圧縮されて収容されているものである。また、ボンベ292は、二酸化炭素が高圧縮されて液化状態で収容されているものである。ボンベ292には、減圧器、目盛部、コック部等が設けられていて、所望の圧力に減圧して気体状の二酸化炭素を放出することができる。
使用者はカートリッジ291又はボンベ292のノズルを差込口286に装着させた後、取手部284に設けられた噴射スイッチ285を押下することで、供給装置281が発泡性ジェルを発泡させ、気泡状の二酸化炭素を含んだムースを生成し、ムースを噴射口283から噴射する。噴射されたムースのうち、気泡が二酸化炭素であり、それ以外が吸収材である。
包囲体295は、包囲材296と、透過部材297と、充填部298と、粘着部299とを有している。包囲材295は、腕を包囲できるような形状で、例えば柔軟性を有するポリ塩化ビニルやナイロン、合成樹脂、布等で形成されている。包囲材296は、ムースを外部に透過しない材質であることが好ましい。
包囲材296の内周面には、メッシュ状の透過部材297が包囲材296の略全面に亘って取り付けられている。透過部材297と包囲材296との間には、ムースを充填できるポケット状の充填部298がムース収容部として複数、形成されている。充填部298に充填されたムースは、メッシュ状の透過部材297を透過することができる。また、包囲材296の内周面の外縁には、粘着部299が設けられている。粘着部299は、その粘着力により腕に密着した状態になることで、包囲材296の内周面と体表面とを密着させることができる。
次に、包囲体295の取付方法及び包袋体295の内部に供給装置281によって二酸化炭素を供給する方法について図26を参照して説明する。まず、使用者は、図26(a)に示すように、供給装置281の噴射口283をポケット状の充填部298に向けた状態で、噴射スイッチ285を押下し、充填部298にムースを充填させる。使用者は、全ての充填部298にムースを満遍なく充填させた後、図26(b)に示すように包囲体295の内周面を体表面に対向させるようにして巻き付ける。このとき、包囲体295の粘着部299の粘着力により、包囲材296と体表面とは密着している。次に、使用者は、図26(c)に示すように、包囲体295と体表面との間に供給装置281の噴射口283を差し込んで充填部298にムースをさらに充填して、充填されているムースを加圧する。
包囲体295内では、充填部298に充填されたムースは透過部材297を透過して、体表面に付着する。一方、ムース内では、気泡状の二酸化炭素が徐々に吸収材に溶融する。したがって、二酸化炭素が溶融した吸収材は、体表面から体内に吸収される。なお、図26(c)に示すように、ムースを包囲体295内にさらに充填させることで、包囲体295内に充填されているムースを加圧させることができ、気泡状の二酸化炭素を吸収材に効率よく、多量に溶解させることができる。二酸化炭素が多量に溶解され吸収材は、体表面からより多くの二酸化炭素を体内に吸収させることができる。また、加圧されることで、吸収材が体表面に押し付けられる。従って、体表面から二酸化炭素を体内に吸収させる効率を向上させることができる。また、生成するムースに上述したDDS効果があるナノ化薬剤等を混合させておいてもよい。
時間が経過することにより、体表面近くに位置するムースは、皮膚温度によって温められることで徐々に液化する。したがって、経皮表面近くで液化した吸収材は、重力にしたがって下方に垂れて、包囲体295内のムースは少なくなるが、それに伴い外側に位置していたムースが体表面側に移動する。外側に位置していたムースにも、満遍なく気泡状の二酸化炭素が含まれていることから、ムースが少なくなったとしても、新鮮な二酸化炭素を吸収材に溶融させることができる。なお、包囲体にムースを充填させず、ムースを直接、皮膚に塗布することにより同様の効果を得ることができる。
このように、本実施形態によれば、気泡状の二酸化炭素をムースに含ませて体表面に付着させることにより、吸収材を介して二酸化炭素を体内に吸収させることができる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、体表面の少なくとも一部を包囲する包囲体内に二酸化炭素を供給する供給装置に二酸化炭素の濃度を調整する濃度調整装置を付加した場合の実施形態である。本実施形態の濃度調整装置は、無電源であるため、二酸化炭素付与装置を持ち運んだときに電源を供給することができないような場所であっても動作する。なお、二酸化炭素の濃度を調整するのは、体の部位によって、又は個人差によって、二酸化炭素を吸収する速度や量が異なってくるためであり、体の部位又は個人に応じた二酸化炭素の濃度にすることで、個人に応じたBohr効果を引き出すことができる。
図27に、第8の実施形態に係る濃度調整装置の構成を示す。図27は、濃度調整装置の構成の一例を示す図である。
図27に示すように、濃度調整装置220には、供給装置221から二酸化炭素が供給されると共に、高圧ボンベ231から空気が供給される。濃度調整装置220は、二酸化炭素が供給される経路226及び空気が供給される経路236と、圧力調整部222、232と、チェックバルブ223、233と、フローメータ224、234と、流量調整部225、235と、混合器228と、吐出バルブ229と有している。なお、流量調整部225、235と、混合器228とにより切換器227を構成している。
圧力調整部222、232では、供給装置221及び高圧ボンベ231から流入された二酸化炭素及び空気の圧力を調整する。ここでは、使用者は圧力調整部222、232のそれぞれにおいて、二酸化炭素及び空気の圧力が等しくなるように調整する。次に、チェックバルブ223、233では、流入された二酸化炭素及び空気の逆流を防止する。次に、フローメータ224、234では、流入された二酸化炭素及び空気の流量を使用者が確認することができる。次に、流量調整部225、235は、二酸化炭素及び空気の流量を変更して二酸化炭素の濃度を調整する。次に、混合器228では、流量調整部225、235において流量が変更された二酸化炭素及び空気を混合して、濃度が調整された二酸化炭素を生成する。最後に、吐出バルブ229において、バルブが開放されることで濃度調整された二酸化炭素を吐出する。濃度調整された二酸化炭素は、包囲体内に供給される。
なお、使用者は、流量調整部225、235それぞれにおいて、二酸化炭素及び空気の流量を変更して二酸化炭素の濃度を調整する場合に限られず、流量調整部225、235と、混合器228とで構成される切換器227により、二酸化炭素の濃度を調整してもよい。具体的には、使用者が、切換器227に連結されている操作摘みを回転操作等行うことにより、例えば段階的に二酸化炭素の濃度を25、50、75パーセント等に調整したり、無段階的に二酸化炭素の濃度を調整したりすることできる。ここで、無段階に調整するように構成する場合、二酸化炭素の濃度を略1000ppm〜略95パーセントに調整できるように構成する。なお、圧力調整部222、232とチェックバルブ223、233との順番、チェックバルブ223、233とフローメータ224、234との順番等を入れ替えて濃度調整装置220を構成してもよい。
次に、本実施形態の濃度調整装置の外観について図28(a)及び図28(b)を参照して説明する。図28(a)は、卓上型の濃度調整装置の一例を示す外観図である。図28(a)に示すように、濃度調整装置220は、卓上型サイズに形成されている。また、供給装置221及び高圧ボンベ231と濃度調整装置220とはチューブを介して接続されている。また、濃度調整装置220から吐出された濃度調整された二酸化炭素が包囲体236内に供給されるように、濃度調整装置220と包囲体236とがチューブを介して接続されている。
図28(b)は、搬送型の濃度調整装置の一例を示す外観図である。図28(b)に示すように、濃度調整装置220は、キャスターが設けられたケース237内に収容されている。また、ケース237には、複数の供給装置221及び高圧ボンベ231も収容されている。このように、ケース237内に収容することで、濃度調整装置220を簡単に持ち運ぶことができる。
このように、本実施形態によれば、供給装置が供給する二酸化炭素の濃度を調整する濃度調整装置を付加したので、体の部位又は個人に応じた二酸化炭素の濃度にすることで、個人に応じたBohr効果を引き出すことができる。
(第9の実施形態)
第9の実施形態は、体表面の少なくとも一部を包囲する包囲体内に二酸化炭素を供給する供給装置に二酸化炭素の濃度を自動的に調整する濃度調整装置を付加した場合の実施形態である。第9の実施形態の濃度調整装置は、制御回路が濃度調整を自動的に行うものである。
図29に、第9の実施形態に係る濃度調整装置の構成を示す。図29は、濃度調整装置の構成の一例を示す図である。なお、図29に示す濃度調整装置240の構成要素のうち第8の実施形態に係る濃度調整装置220と同一の構成要素については同一名称を付して詳細な説明は省略する。
図29に示すように、濃度調整装置240には、供給装置221から二酸化炭素が供給されると共に、高圧ボンベ231から空気が供給される。濃度調整装置240は、二酸化炭素が供給される経路246及び空気が供給される経路256と、圧力調整部241、251と、チェックバルブ242、252と、残圧センサー243、253と、流量調整部244、254と、電磁弁245、255と、混合器247と、吐出電磁弁248とを有している。さらに、濃度調整装置240には、残圧警報装置249と、制御回路260と、タイマー261と、記憶装置262と、電源回路263と、通信装置264と、操作パネル265とを有している。
圧力調整部241、251では、使用者が供給装置221及び高圧ボンベ231から流入された二酸化炭素及び空気の圧力が等しくなるように調整しておく。次に、チェックバルブ242、252では、流入された二酸化炭素及び空気の逆流を防止する。次に、残圧センサー243、253では、流入された二酸化炭素及び空気の圧力を計測する。残圧センサー243、253が計測した圧力値は、残圧警報装置249に送信される。残圧警報装置249は、送信されてきた圧力値が所定の圧力値以下になった場合、供給装置221又は高圧ボンベ231に二酸化炭素又空気の残量がないものとして警報を行う。次に、流量調整部244、254は、二酸化炭素及び空気の流量を変更して二酸化炭素の濃度を調整する。また、電磁弁245、255も同様に、二酸化炭素及び空気の流量を変更して二酸化炭素の濃度を調整する。なお、本実施形態の濃度調整は、専ら電磁弁245、255にて行い、流量調整部244、254では、補足的に調整する。本実施形態の濃度調整装置240は、二酸化炭素の濃度を略1000ppm〜略95パーセントに調整できるように構成されている。
次に、混合器247では、電磁弁245、255において流量が変更された二酸化炭素及び空気を混合して、濃度が調整された二酸化炭素を生成する。最後に、吐出電磁弁248において、弁を開放することで濃度調整された二酸化炭素が吐出する。
ここで、電磁弁245、255及び吐出電磁弁248は、制御回路260に接続されている。すなわち、制御回路260が電磁弁245、255を制御することで、二酸化炭素及び空気の流量を変更して、二酸化炭素の濃度を調整する。また、制御回路260が吐出電磁弁248の開閉を制御することで、濃度が調整された二酸化炭素を吐出したり、吐出の停止をしたりすることができる。
また、制御回路260には、タイマー261及び操作パネル265が接続されている。したがって、使用者が操作パネル265を用いて、二酸化炭素を継続して吐出させる時間や、二酸化炭素の濃度を設定することで、制御回路260は、設定された時間及び濃度に基づいて、電磁弁245、255を制御して、設定された濃度になるように制御すると共に、タイマー261を用いて、設定した時間を経過したら吐出電磁弁248を閉鎖して二酸化炭素の吐出を停止することができる。
さらに、制御回路260には記憶装置262が接続されている。この記憶装置262には、制御回路260に実行させるプログラムを複数、記憶させることができる。ここで、プログラムとは、例えば、最初の数分間を二酸化炭素の濃度を薄くして吐出させ、その後、数分間を徐々に二酸化炭素の濃度を濃くして吐出させ、一定時間経過した後二酸化炭素の吐出を停止する等のメニューを制御回路260に実行させるためのものである。上述したように、体の部位によって、又は個人差によって、二酸化炭素を吸収する速度や量が異なってくるため、二酸化炭素を吸収させたい体の部位及び使用者に応じたプログラムを記憶装置262に記憶しておき、使用者が操作パネル265を操作して、記憶装置262に記憶された複数のプログラムから該当するプログラムを選択して、制御回路260が実行することにより、体の部位又は使用者に応じたBohr効果を引き出すことができる。
また、濃度調整装置240には、電源回路263が設けられている。したがって、電源回路263に接続されているプラグをコンセント等に差し込むことで、濃度調整装置240を駆動する電力を供給することができる。さらに、濃度調整装置240には、通信装置264が設けられている。通信装置264には、例えば、パソコン(PC)に接続できるように構成されている。したがって、濃度調整装置240から二酸化炭素の濃度を調整したデータをパソコンに送信することで、パソコンにおいて、時間軸に応じた濃度の調整データを記憶することができる。このように二酸化炭素の濃度の調整データを記憶しておくことで、体の部位又は使用者に応じたプログラムを作成するときに、記憶した調整データを参照することできる。
なお、上述した体の部位又は使用者に応じたプログラムは記憶装置262に記憶しておく場合に限らず、通信装置264に接続されたパソコンから濃度調整装置240に送信するように構成してもよい。また、通信装置264に接続されたパソコンから濃度調整装置240を制御できるように構成してもよい。
また、図29に示す図には、濃度調整装置240から濃度調整されて吐出された二酸化炭素を一時的に貯めておくサブタンク270を破線で示している。サブタンク270は、包囲体が大きく、二酸化炭素を供給する供給空間の容量が大きい場合に用いられる。すなわち、容量が大きい供給空間に二酸化炭素を供給する場合、供給空間内に二酸化炭素を満遍なく充填させるには長時間要する。そこで、濃度調整装置240から吐出された二酸化炭素を予めサブタンク270に貯めておくことで、サブタンク270から一度に包囲体の供給空間に供給することができるため、供給空間内に二酸化炭素を供給する時間を短縮することができる。また、サブタンク270から供給空間内に供給された二酸化酸素をサブタンク270に戻すことができるように構成しておくことで、再度、サブタンク270から供給空間に二酸化炭素を供給することができるため、二酸化炭素の再利用が可能となる。このとき、サブタンク270内に二酸化炭素の濃度計測装置を設け、所定の濃度を満たしているかを計測し、満たしていない場合は、濃度調整装置240からサブタンク270に充填させればよい。このサブタンク270は、本実施形態に限られず、第8の実施形態の濃度調整装置220から吐出した後や、第4の実施形態の大型ボンベの吹き出し口に設けてもよい。
なお、上述した濃度調整装置240において、圧力調整部241、251に電磁弁を用いて、制御回路260が圧力調整の制御も行うことができるように構成してもよい。例えば、二酸化炭素及び空気の圧力調整を変化させるようなプログラムを作成することで、体表面に対して加わる二酸化炭素の圧力を変更できるため、体表面に対するマッサージ効果を期待することができる。さらに、制御回路260が圧力調整を行うことにより二酸化炭素及び空気の温度の制御も行うように構成してもよい。例えば、二酸化炭素及び空気の圧力調整を変化させるようなプログラムを作成することで、濃度調整装置240から吐出される濃度調整された二酸化炭素の温度を変更できるため、体表面をクールダウン等させるような効果を期待することができる。
次に、本実施形態の濃度調整装置の外観について図30を参照して説明する。図30は、濃度調整装置の一例を示す外観図である。図30に示すように、供給装置221及び高圧ボンベ231と濃度調整装置240とはチューブを介して接続されている。また、濃度調整装置240から吐出された濃度調整された二酸化炭素が図示しない包囲体内に供給されるように、濃度調整装置220と包囲体とがチューブを介して接続される。
このように、本実施形態によれば、供給装置が供給する二酸化炭素の濃度を自動的に調整する濃度調整装置を付加したので、体の部位又は使用者に応じた二酸化炭素の濃度にすることで、個人に応じたBohr効果を引き出すことができる。また、体の部位又は使用者に応じたプログラムを作成し、濃度調整装置をプログラムに基づいて実行させることで、より体の部位又は使用者に応じたBohr効果を引き出すことができる。
なお、第8の実施形態及び第9の実施形態において用いた供給装置221は、第1の実施形態のスプレー缶、第2の実施形態のハンディボンベ及び第4の実施形態の大型ボンベ等、何れを用いてもよい。また、空気を供給する装置は、高圧ボンベ231に限られず、コンプレッサー(圧縮機)であってもよく、ハンディボンベ等であってもよい。また、第8の実施形態及び第9の実施形態では、二酸化炭素と混合する気体を空気にする場合について説明したが、この場合に限られず、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、ラドンガス等であってもよい。また、第8の実施形態及び第9の実施形態に係る濃度調整装置は、上述した第1の実施形態〜第7の実施形態に係る二酸化炭素付与装置に付加することができる。
このように、本発明の二酸化炭素付与装置は、包囲体内に供給された二酸化炭素を体表面から吸収させるように加圧するように構成した。従って、包囲体内に供給された二酸化炭素は多量に効率的に吸収材に溶融するので、多量に二酸化炭素が溶融した吸収材を介して、体表面へ二酸化炭素を吸収させる効率が向上する。
なお、上述した実施形態の加圧手段として、供給装置や加圧装置を用いて、包囲体内に供給された二酸化炭素を加圧する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、包囲体内で重曹とクエン酸とを化学反応させて二酸化炭素を発生させるようにしてもよい。この場合、包囲体内は化学反応で発生された二酸化炭素で充填される。さらに継続して化学反応させることにより、包囲体内に充填した二酸化炭素は加圧される。
また、例えば、包囲体内にドライアイスを含ませるようにしてもよい。ドライアイスは、常温常圧下では昇華して直接、気体状の二酸化炭素になる。従って、包囲体内は昇華した二酸化炭素で充填される。さらに継続して、化学反応させることにより、包囲体内に充填した二酸化炭素は加圧される。なお、ドライアイスは体表面と接しないように包囲体内で隔離するように配置する。このように、加圧手段としては、化学反応を用いて包囲体内の二酸化炭素を加圧させるようにしてもよい。
また、上述した二酸化炭素付与装置に、さらに超音波発生装置を設けるように構成してもよい。二酸化炭素を吸収している体表面に対して、超音波発生装置により超音波をあてることで、二酸化炭素は吸収材から体内にさらに効率的に吸収させることができる。
また、上述した二酸化炭素付与装置は、人間以外の動物に対して二酸化炭素を供給するようにしてもよい。すなわち、体表面とは、人間以外の動物の体の表面であってもよい。
また、加圧手段によって加圧する時間は、体の部位によって異なるものの、長時間(例えば、10分〜30分)になるほど、体表面から吸収される二酸化炭素の量は増大する。