JP5219489B2 - 光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる光学用成形品 - Google Patents

光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる光学用成形品 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性、機械的強度等を損なうことなく、更に、白濁や光線透過率の低下がなく、色相ならびに輝度の良好な光学用ポリカーボネート樹脂組成物、ならびにこれを成形してなる導光板、面発光体材料、銘板等の光学用成形品に関する。
液晶表示装置には、薄型化、軽量化、省電力化、高輝度・高精細化の要求に対処するために面状光源装置が組み込まれている。この面状光源装置には、一面が一様な傾斜の傾斜面を有する楔型断面の導光板が備えられている。また、高輝度を得るために上記の傾斜面にプリズム形状の凹凸パターンを形成して光散乱機能を付与する提案もなされている(特許文献1)。
導光板は、一般的に熱可塑性樹脂の射出成形によって得られ、上記の凹凸パターンは、金型表面に形成された凹凸パターンの転写によって付与される。従来、導光板はポリメチルメタクリレート(PMMA)等の材料から成形されてきた。しかし、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA等の機器内部で発生する熱が大きくなる傾向にあり、また機器の軽薄短小化に対応するために、使用される熱可塑性樹脂には耐熱性が高く、かつ機械的強度も高い樹脂が求められており、PMMAからポリカーボネート樹脂に置き換えられつつある。
ポリカーボネート樹脂は、PMMAと比較して、機械的性質、熱的性質、電気的性質には優れるが、光線透過率の面ではやや劣る。従って、ポリカーボネート樹脂製導光板を使用した面状光源装置の場合には、PMMAと比べて輝度が低下するという問題があった。
従来から、ポリカーボネート樹脂製導光板における輝度を高める方法が幾つか提案されている。
特許文献2では、蛍光増白剤とビーズ状架橋アクリル樹脂を併用し、蛍光増白剤により輝度を向上し、ビーズ状架橋アクリル微粒子により輝度のむらを少なくする方法が、特許文献3では、アクリル樹脂および脂環式エポキシ樹脂を添加することにより光線透過率および輝度を向上させる方法が、特許文献4では、コポリエステルカーボネートを導入して凹凸パターンの転写を向上させることにより輝度を向上させる方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2の方法では、部分的に輝度は向上するが、ビーズ状架橋アクリル樹脂や蛍光増白剤の添加により光線透過率が低下するため、導光板の光源より遠い部分の輝度の低下が大きく、均一な輝度を得ることが出来ないという問題があった。特許文献3の方法では、アクリル樹脂の添加により色相は良好になるが、白濁するために光線透過率および輝度を上げることが出来ず、脂環式エポキシ樹脂を添加することにより透過率が向上する可能性はあるが、色相の改善効果は認められないという問題があった。特許文献4の方法の場合、流動性や転写性の改善効果は期待できるものの、耐熱性が低下するという欠点があった。
特開平10−55712号公報 特開平9−20860号公報 特開平11−158364号公報 特開2001−215336号公報
本発明は、ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち耐熱性、機械的強度等を損なうことなく、更に、白濁や光線透過率の低下がなく、色相ならびに輝度の良好な、光学用ポリカーボネート樹脂組成物、ならびにこれを成形してなる導光板、面発光体材料、銘板等の光学用成形品を提供するものである。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂に水添テルペンフェノール樹脂および特定の酸化防止剤、更に所望によっては、蛍光増白剤を含有させることにより、白濁や光線透過率の低下が無く、色相ならびに輝度の良好な導光板等の光学用成形品が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)90〜99.95重量%および水添テルペンフェノール樹脂(B)0.05〜10重量%からなる樹脂成分100重量部、リン系酸化防止剤(C)および/またはフェノール系酸化防止剤(D)0.02〜2重量部および蛍光増白剤(E)0〜0.1重量部からなることを特徴とする光学用ポリカーボネート樹脂組成物、ならびにそれからなる導光板等の光学用成形品に関する。
本発明の光学用ポリカーボネート樹脂組成物は、輝度、光線透過率、機械的性質、耐熱性及び色相安定性に優れているため、薄型(厚さ0.3mm程度)の導光板の成形加工においても色相が変化したり、樹脂そのものが劣化することがなく、工業的利用価値が極めて高いものである。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは、単独又は2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。
3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは12000〜25000、さらに好ましくは13000〜18000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用される水添テルペンフェノール樹脂(B)とは、以下のものをいう。
本発明の水添テルペンフェノール樹脂(B)は、テルペンフェノール樹脂を水添(水素添加)して製造することができる。
水添テルペンフェノール樹脂(B)の原料であるテルペンフェノール樹脂とは、テルペン化合物とフェノール類を反応させたもので特にその反応形態は限定されないが、例えば、テルペン化合物1モルとフェノール類0.1〜50モルをフリーデルクラフト触媒のもとで、−10〜120℃の温度で0.5〜20時間、カチオン重合反応させて製造することができる。
上記テルペン化合物とは、一般に、イソプレン(C)の重合体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)等に分類される。テルペン化合物とは、これらを基本骨格とする化合物である。この中で、本発明では、モノテルペンが好ましく用いられる。これらテルペン化合物の具体的な例として、例えば次のようなものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
テルペン化合物としては、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、カンフェン、トリシクレン、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類等が挙げられる。これらの化合物の中で、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、α−テルピネンが本発明では特に好ましく用いられる。
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA等が挙げられるが、これらに限定はされない。フリーデルクラフト触媒としては、塩化亜鉛、四塩化チタン、塩化錫、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化鉄、三塩化アンチモン等々が挙げられるが、これらに限定はされない。
市販されるテルペンフェノール樹脂としては、ヤスハラケミカル社製のポリスターシリーズやマイテイーエースシリーズ、YPシリーズが挙げられる。
次に、テルペンフェノール樹脂の水添反応について説明する。本発明の水添テルペンフェノール樹脂(B)は、上記テルペンフェノール樹脂を水素添加(水添)することにより得られたものである。水添する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、パラジウム、ルテニウム、ロジウムなどの貴金属またはそれらを活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの坦体上に担持したものを触媒として使用して行う方法が挙げられる。この時、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式にすることも、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式にすることも可能であり、反応形式に特に制限はない。
触媒の使用量は、反応がバッチ方式の場合、原料であるテルペンフェノール樹脂に対し0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜20重量%である。触媒量が0.1重量%未満では、水素化反応速度が遅くなり、一方、50重量%を超えても触媒効果が上がらないので好ましくない。
水添の際、反応溶媒は用いなくてもよいが、通常、アルコール類、エーテル類、エステル類、飽和炭化水素類が使用される。
水添の際の反応温度は、通常20〜300℃、好ましくは、50〜250℃である。反応温度が20℃未満であると、水素化速度が遅くなり、一方、300℃を超えると、水添物の分解が多くなる恐れがある。
水添の際の水素圧は、通常5〜300kg/cm2(0.49〜29.40MPa)である。好ましくは、50〜250kg/cm2である。さらに好ましくは80〜240kg/cm2である。5kg/cm2未満であると、水素化速度が遅くなり、一方、300kg/cm2を超えると、水添物の分解が多くなる恐れがある。
本発明の水添テルペンフェノール樹脂(B)の組成比は、ポリカーボネート樹脂(A)および水添テルペンフェノール樹脂(B)からなる樹脂成分に基づいて0.05〜10重量%であるが、好ましくは0.5〜8重量%である。水添テルペンフェノール樹脂(B)の組成比が0.05重量%未満であると光線透過率および輝度の向上が期待できない。また、当該組成比が10重量%をこえると色相安定性が低下するため好ましくない。
本発明の水添テルペンフェノール樹脂(B)の色相については、ポリカーボネート系組成物の色相安定性に影響を及ぼすため、APHA値で50以下が好ましい。
本発明の水添テルペンフェノール樹脂(B)の臭素価については、ポリカーボネート系組成物の光線透過率、曇価率および輝度に影響を及ぼすため、臭素価は50以下が好ましい。
本発明にて使用されるリン系酸化防止剤(C)および/またはフェノール系酸化防止剤(D)としては、次の化合物が挙げられる。
リン系酸化防止剤(C)としては、下記一般式1、一般式2および一般式3で表わされる化合物のうち1種または2種からなるものが挙げられる。
一般式1
Figure 0005219489
(一般式1において、R1〜4は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で
置換されてもよいアリール基を示す。)
一般式2
Figure 0005219489
(一般式2において、R5、R6は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を、a、bは整数0〜3を示す。)
一般式3
Figure 0005219489
(一般式3において、R7は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を、cは0〜3の整数を示す。)
一般式1の化合物としては、クラリアントジャパン社製サンドスタブP−EPQが好適に用いられる。一般式2の化合物としてはアデカ社製アデカスタブPEP−36が好適に用いられる。また、一般式3の化合物としては、住友化学社製スミライザーP−168が好適に用いられる。
また、フェノール系酸化防止剤(D)としては、下記一般式4の化合物が挙げられる。
一般式4
Figure 0005219489
(一般式4において、R8は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を示す。)
一般式4の化合物としては、チバスペシャルティケミカルズ社製イルガノックス1076が好適に用いられる。
リン系酸化防止剤(C)および/またはフェノール系酸化防止剤(D)の配合量は、0.02〜2重量部(ポリカーボネート樹脂(A)90〜99.95重量%および水添テルペンフェノール樹脂(B)0.05〜10重量%からなる樹脂成分100重量部あたり)である。配合量が0.02重量部未満では、熱安定性が劣るため好ましくない。また、2重量部を超えると光線透過率が下がり、曇価率が上がるため好ましくない。配合量は、0.04〜1重量部が好適で、さらに好ましくは0.05〜0.2重量部である。この範囲では、光線透過率が低下せず、優れた熱安定性を示す。
さらに、本発明において、色調を鮮やかにするために、蛍光増白剤(E)を添加してもよい。熱可塑性樹脂の種類によっては、青い光をいくぶん吸収する性質をもち、やや黄味を帯びているものがあるため、この黄色の補色にあたる青や紫の蛍光を発する化合物(蛍光増白剤)を添加すると、蛍光が黄味を打ち消して鮮やかな色調を得ることができる。また、これにより輝度の向上効果も認められる。
本発明にて使用される蛍光増白剤(E)としては、例えば、スチルベン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、ベンズオキサゾール系化合物、ナフタルイミド系化合物、ローダミン系化合物、クマリン系化合物及びオキサジン系化合物等が挙げられる。該蛍光増白剤は、1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。該蛍光増白剤は、市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、Blamkophor(バイエル社製、商品名)、Hakkol(昭和化学社製、商品名)、Hostarux、Leucophor(クライアントジャパン社製、商品名)、Illuminarl(昭和化工社製、商品名)、Kayaphor(日本化薬社、商品名)、Kaycoll(日本曹達社製、商品名)、Mikawhite(日本化薬・三菱化学社製、商品名)、Mikephor(三井ビーエーエスエフ染料社製、商品名)、Nikkabright(日本化学工業所製、商品名)、Tasphor(バイエル社製、商品名)、Whitex(住友化学社製、商品名)等が挙げられる。
蛍光増白剤(E)配合量は、0〜0.1重量部(ポリカーボネート樹脂(A)90〜99.95重量%および水添テルペンフェノール樹脂(B)0.05〜10重量%からなる樹脂成分100重量部あたり)であり、より好ましくは0.00005〜0.01重量部である。蛍光増白剤(E)の配合量が0.1重量部を超えると色ムラが発生するので好ましくない。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、離型剤、軟化材、帯電防止剤、等の添加剤、衝撃性改良材、他のポリマーを配合してもよい。
本発明の光学用ポリカーボネート樹脂組成物の各種配合成分の混合方法には、特に制限はなく、公知の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー等による混合や押出機による溶融混練が挙げられる。
本発明の光学用ポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法には、特に制限はなく、公知の射出成形法、圧縮成形法等を用いることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」、「%」はそれぞれ重量基準に基づく。
表1および表2に示す配合成分、配合量に基づき、タンブラーを用いて各種配合成分を混合し40mm径の単軸押出機(田辺プラスチック社製)を用いて、シリンダー温度220℃にて溶融混練し、各種ペレットを得た。
使用した配合成分は、それぞれ次のとおりである。
1.ポリカーボネート樹脂:
ビスフェノールAと塩化カルボニルから合成されたポリカーボネート樹脂
住友ダウ社製SD1080(粘度平均分子量:15000)
(以下「PC」と略記する。)
2.水添テルペンフェノール樹脂:
以下に示す合成例2の方法で試作したものを使用した。
(以下「水添テルペン」と略記する。)
3.水添されていないテルペンフェノール樹脂:
以下に示す合成例1の方法で試作したものを使用した。
(以下「テルペン」と略記する。)
合成例1
(テルペンフェノール樹脂の合成)
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび冷却管を備えた内容積2リットルの4つ口フラスコを使用して、トルエン564g(約6モル相当)、触媒として塩化アルミニウム15gを仕込んだのち、75℃の温度に保持しながら攪拌し、α−ピネン(ヤスハラケミカル(株)製α−ピネン、純度95%)136g(約1モル相当)とフェノール(関東化学(株)製フェノール、純度99%)470g(約5モル相当)を2時間かけて滴下し、その後、4時間撹拌し反応させた。
次いで、該混合液を水洗し、触媒を除き、得られた反応液を蒸留水で2回洗浄したのち、5mmHgの減圧条件下、250℃でトルエン等を蒸留により留去し、淡黄色樹脂状物のテルペンフェノール樹脂587gを得た。
合成例2
(水添テルペンフェノール樹脂の合成)
合成例1で得られたテルペンフェノール樹脂を100g、シクロヘキサンを400ml、および粉末状の5%パラジウム担持アルミナ触媒2.0gを仕込み、次いで、これを密閉し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、水素ガス10kg/cm2の圧力をかけながら導入した。そして攪拌しながら加熱し250℃となったところで、水素の圧力を200kg/cm2とし、吸収された水素を補うことで圧力を200kg/cm2に保ちながら14時間反応させ、本発明の水添テルペンフェノール樹脂100gを得た。
なお、上記水添テルペンフェノール樹脂の色相は、APHA値20、臭素価20であった。
4.りん系酸化防止剤:
クラリアントジャパン社製P−EPQ
(以下「P系AO1」と略記する。)
アデカ社製アデカスタブPEP−36
(以下「P系AO2」と略記する。)
住友化学社製P−168
(以下「P系AO3」と略記する。)
5.フェノール系酸化防止剤:
チバスペシャルティケミカルズ社製イルガノックス1076
(以下「Ph系AO」と略記する。)
6.蛍光増白剤
クラリアントジャパン社製HOSTALUX KSN
(色度、光線透過率および曇価率測定用試験片の作成方法)
得られた各種ペレットを120℃で4時間乾燥した後に、射出成形機(日本製鋼所製J−100SAII)を用いて280℃、射出圧力1200Kg/cmにて色度、透過率および曇価率測定用試験片(90x50x2mm)を作成した。
(色度の評価方法)
色度の測定は、村上色彩研究所製スペクトロフォトメーターCMS35−SPを用い、D65光源、視野角10°で行った。色度測定をn=10で行った際のxおよびyの値の最大値と最小値の差が0.0005以下を合格とした。結果を表1および表2に示した。
(光線透過率及び曇価率の評価方法)
光線透過率及び曇価率の測定は、村上色彩研究所製ヘーズメーターHM−150を用いて行った。全光線透過率Ttが90.4%以上で、かつ曇価率Hが0.7%以下を合格とした。結果を表1および表2に示した。尚、曇価率は全光線透過率Tt及び拡散透過率Tdによって次式の通り定義されるものである。
曇価率H(%)=(拡散透過率Td/全光線透過率Tt)×100
(輝度測定用試験片の作成方法)
得られた各種ペレットを120℃で4時間乾燥した後に、射出成形機(ファナック社製ロボショット2000i)を用いて340℃、金型温度100℃において、幅40mm、長さ60mm、厚み0.4mm、厚肉部0.6mmの傾斜面にピッチ150μm、深さ5μmのプリズム形状の凹凸パターンを有する導光板を作成した。
(輝度の評価方法)
得られた各種導光板を、暗室内でプリズム面を下に配置し、かつ厚肉端部に冷陰極管を配置してエッジ式のフロントライト方式の面光源体を構成し、凹凸パターン非形成面側の上方25cmの位置に輝度計(トプコン社製トプコンBM−7)を設置し、試験片中央の輝度を測定した。輝度が、1600cd・m2以上を合格とした。結果を表1および2に示した。
Figure 0005219489
判定: 合格(○)、不合格(×)
























Figure 0005219489
判定: 合格(○)、不合格(×)
Figure 0005219489
判定: 合格(○)、不合格(×)
実施例1〜9に示すように、本発明の要件を具備したポリカーボネート系樹脂組成物は高い光線透過率と輝度、優れた色相安定性および低い曇価率を示した。さらに、蛍光増白剤を配合した実施例10および11おいては上記の優れた性能に加えて輝度も優れていた。
比較例1は、水添テルペンの配合量が規定量よりも少ない場合で、光線透過率および輝度が劣っていた。
比較例2は、水添テルペンの配合量が規定量よりも多い場合で、色相安定性が劣っていた。
比較例3は、水添されていないテルペン樹脂を用いた例で、光線透過率、曇価率および輝度が劣っていた。
比較例4は、リン系酸化防止剤の配合量が規定よりも少ない場合で、色相安定性が劣っていた。
比較例5は、リン系酸化防止剤の配合量が規定よりも多い場合で、光線透過率および曇価率が劣っていた。
比較例6は、蛍光増白剤の配合量が規定量よりも多い場合で、色相安定性が劣っていた。
比較例7は、フェノール系酸化防止剤の配合量が規定よりも少ない場合で、色相安定性が劣っていた。

Claims (9)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)90〜99.95重量%および水添テルペンフェノール樹脂(B)0.05〜10重量%からなる樹脂成分100重量部、リン系酸化防止剤(C)および/またはフェノール系酸化防止剤(D)0.02〜2重量部および蛍光増白剤(E)0〜0.1重量部からなることを特徴とする光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 水添テルペンフェノール樹脂(B)の組成比が、前記樹脂成分中の0.5〜8重量%であることを特徴とする請求項1に記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. リン系酸化防止剤(C)および/またはフェノール系酸化防止剤(D)の配合量が、前記樹脂成分100重量部あたり、0.05〜0.2重量部であることを特徴とする請求項1に記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 蛍光増白剤(E)の配合量が、前記樹脂成分100重量部あたり、0.00005〜0.01重量部であることを特徴とする請求項1に記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. りん系酸化防止剤(C)が、下記一般式1、一般式2および/または一般式3に示す化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
    一般式1
    Figure 0005219489
    (一般式1において、R1〜4は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を示す。)
    一般式2
    Figure 0005219489
    (一般式2において、R5、R6は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を、a、bは整数0〜3を示す。)
    一般式3
    Figure 0005219489
    (一般式3において、R7は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を、cは0〜3の整数を示す。)
  6. フェノール系酸化防止剤(D)が、下記一般式4に示す化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
    一般式4
    Figure 0005219489
    (一般式4において、R8は炭素数1〜20のアルキル基、またはアルキル基で置換されてもよいアリール基を示す。)
  7. 蛍光増白剤(E)が、380nm以下の波長にエネルギーの吸収ピークを有し、380nm〜600nmの波長で放射する事を特徴とする請求項1に記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる光学用成形品。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる導光板。
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