JP5218449B2 - ガス遮断器 - Google Patents

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Description

この発明は、短絡などの事故時の大電流、負荷電流および通常時の通電電流を、消弧ガスを吹き付けて遮断するガス遮断器に関するものである。
従来のガス遮断器においては、大電流を少ない操作力で効率よく遮断器するため、アークの熱を利用して絶縁ガスの圧力を高める加熱室と、機械的操作力により容積を縮小させることで絶縁ガスの圧力を高めるシリンダおよびピストンの対(機械パッファ)とを備えている。加熱室は、接触チューリップと開閉ピンとの間のアーク室を、開閉ピンの動作軸を中心線として取り囲むように配置された空間であり、吹き付けスリットによりアーク室と連通している。遮断動作時には、接触チューリップと開閉ピンの間に発生するアークから吹き付けスリットを通って輻射される熱により、加熱室内の圧力が上昇する。この圧力上昇は、開閉ピンの開極動作に連動するピストンにより圧縮された絶縁ガスが、吹き付け通路を通して加熱室に供給されることで補助される。
加熱室の圧力が高まった後、次の電流零点を通過する際に、加熱室の絶縁ガスが、吹き付けスリットからアーク室と圧力室とを経由して、圧力室のアーク室と反対側に設けられた排気口へと流入し、同時に、アーク室を経由して開閉ピン側の他の排気室内へと流入することで、ガス流が必然的にアークと交叉し、交叉範囲においてイオン化されたガスを十分に除去するので、電流零点を通過後にはアークが発生せず、消弧が完了する(例えば、特許文献1参照)。
特開平11―329191号公報(第3―5頁、第1図)
従来のガス遮断器では、シリンダおよびピストンの対は、加熱室より開閉ピンの開極方向側に配置されており、アーク室から他の排気室内へと流出する熱ガスによる損傷を避けるため、動作軸から離れたより外周側に配置する必要があり、ガス遮断器の径が大形化するという問題があった。
また、開閉ピンの開極動作方向と、ピストンの圧縮動作方向へと押し込む方向とが反対であるため、開閉ピンとピストンとを動作させる動作機構が複雑となる問題があった。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、動作機構が単純で、小形のガス遮断器を提供することを目的とする。
この発明に係るガス遮断器においては、第1電極または第2電極が動作軸に沿って移動して開極することにより、上記第1電極と上記第2電極との間に発生するアークを、消弧ガスで吹き消すガス遮断器であって、第1電極と第2電極との間のアークが発生する空間を形成するアーク室と、アーク室の第2電極の側に、開口部にて連通して設けられ、開極動作時においても第2電極との相対的な位置を保持する圧力室と、動作軸の周方向にアーク室を取り囲むように配置された熱パッファ室と、アーク室と上記熱パッファ室とを、アーク室の周方向で連通する吹き付け口と、開口部より広くて開口部と内面で対向する圧力室の隔壁の外面に、ヘッド部が固定されて動作軸の方向に伸びるシリンダと、シリンダと対を成し、開極動作時においても第1電極との相対的な位置を保持するピストンと、ヘッド部と熱パッファ室とを連通する連通管と、動作軸方向にて開口部と対向する隔壁の内面の部位から隔離する位置から、上記外面のヘッド部が固定されていない位置へと貫通する排出口とを備えるものである。
この発明によれば、開極動作時においても相対的な位置を保持する第1電極とピストンの組、もしくは開極動作時においても相対的な位置を保持する第2電極とシリンダの組のいずれか一方を開極方向へ駆動させて、開極と機械パッファの動作を一緒に行うことができ、さらに、圧力室からシリンダが延びる側に熱ガスを直接排出できるので、動作機構が単純で、小形のガス遮断器を得ることができる。
この発明の実施の形態1に係るガス遮断器を示す部分断面正面図である。 この発明の実施の形態1に係るガス遮断器の消弧装置の主要部を示す部分断面斜視図である。 この発明の実施の形態1に係るガス遮断器の消弧装置の主要部を示す部分断面正面図である。 この発明の実施の形態1に係るガス遮断器の可動電極ユニットを示す左側面図である。 この発明の実施の形態2に係るガス遮断器の可動電極ユニットを示す左側面図である。 この発明の実施の形態3に係るガス遮断器の可動電極ユニットを示す断面正面図である。 この発明の実施の形態3に係るガス遮断器の可動電極ユニットを示す断面上面図である。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1におけるガス遮断器の部分断面図を示すものである。同図において、消弧装置1は、第1ブッシング2から伸びる第1導体2aと、第2ブッシング3から伸びる第2導体3aとの間に電気的に接続されている。動作機構4は、例えば、バネ機構、油圧機構などによって動作する操作装置5と、リンク6と、絶縁性のロッド7にて構成されている。消弧装置1の可動電極ユニット8(図示せず)は、ロッド7によりリンク6に結合されて、操作装置5により開閉極動作する。消弧装置1を消弧ガス中に密閉する筐体9から、ロッド7を引出す部分には、気密を保ったまま摺動できるように、例えば、Oリングなどを有する摺動部品10が設けられている。なお、消弧ガスとしては、例えば、六フッ化硫黄(SF)、二酸化炭素、ヨウ化トリフルオロメタン(CFI)、窒素、水素、4フッ化メタン(CF)、あるいは、これらの少なくも2つを混合したガスが用いられる。
図2は、消弧装置1の主要部の斜視図であり、機械的操作力により消弧ガスの圧力を高める機械パッファを構成する、第1ピストン11aおよび第1シリンダ12aの対、ならびに第2ピストン11bおよび第2シリンダ12bの対などの構造が見えるように、円筒状のカバー13の断面をとっている。カバー13には、遮断時の熱ガスを消弧装置1の外部へと拡散させる複数の拡散口14が設けられている。同図において、可動電極ユニット8の一部である可動電極15(図示せず、第2電極に相当)には、第1導体2aと摺動可能に電気的に接続された第3導体16(図中、2点鎖線にて記載)にて電位が与えられる。この可動電極15は、棒状の固定電極17(第1電極に相当)と接触子対を構成している。固定電極17は、第2導体3aと電気的に接続されており、第2導体3aと同電位となる。第1および第2ピストン11a、11bならびに固定電極17は、所定の手段にて消弧装置1を支える構造体に固定されており、可動電極ユニット8が動作機構4により駆動されることで、開閉極動作がおこなわれる。
つまり、可動電極ユニット8を開極方向へ駆動するだけで、可動電極15と固定電極17との開極と、第1および第2ピストン11a、11bをそれぞれ第1および第2シリンダ12a、12bに押し込む動作とを、同時におこなえる構成となっており、動作機構4を単純な構成とすることができる。
また、可動電極ユニット8の第1および第2シリンダ12a、12bのそれぞれの第1および第2ヘッド部12aa、12baは、隔壁18に固定されており、第1および第2シリンダ12a、12bは上記動作軸の方向に伸びている。さらに隔壁18には、第1および第2排出口19a、19bが、第1および第2ヘッド部12aa、12baが固定されていない位置で開口している。
図3は、図2に示した主要部の部分断面をとった正面図であり、遮断動作時において、可動電極15の先端部と固定電極17の先端部との間にアークが発生した状態を示している。同図において、棒状の固定電極17の中心線が、可動電極ユニット8の動作軸となる。可動電極15は、例えば、弾性的な複数の接触フィンガーを備えた接触チューリップであり、上記接触フィンガーは、上記動作軸を中心軸として固定電極17側に突出した円錐台の側面に沿って放射形状に配置され、スリットによって分離されている。
なお、上記接触フィンガーの上記動作軸に対する角度は、45度から60度の範囲が好ましい。これは、上記角度が45度以下のときには、熱ガスがアーク室20から可動電極15の先端部に囲まれた開口部15aを通って圧力室26に流出するときの流路が狭く流路抵抗が高くなるため熱ガスの流出性能が下がり、一方、上記角度が60度を超えるときには、閉極動作において可動電極15が固定電極17と接触したときの固定電極17から可動電極15への衝撃力により上記接触フィンガーが屈曲し変形して元に戻らず、固定電極17が開口部15aに規定の距離差し込まれるのを妨げて、閉極動作が途中で停止する可能性があるためである。
アーク室20は、可動電極15を構成する接触フィンガーの先端部と固定電極17の先端部とによって規定されたアーク発生空間であり、環状の熱パッファ室21によって上記動作方向の周方向から取り囲まれている。熱パッファ室21の内周側の壁面は、ノズル22とガイド23とで構成され、熱パッファ室21の管断面は楔形となっている。この楔形の頂点に位置するガイド23には、リング状の吹き付け口24が設けられている。また熱パッファ室21の外周は、筒状の外周壁25にて構成され、この外周壁25の径により消弧装置1の最大径寸法が規定される。
圧力室26は、可動電極15の上記接触フィンガー間のスリットからの熱ガスの流入を防止するために設けられた円錐台の側面形状の保護カバー27と、隔壁18とに囲まれた空間であり、可動電極15の先端部に囲まれた開口部15aによりアーク室20と連通している。また、隔壁18には、圧力室26側と隔壁18の第1および第2シリンダ12a、12b側の空間をつなぐ第1および第2排出口19a、19b(図示せず)が貫通している。さらに、圧力室26は、環状の熱パッファ室21の内周側が窪んだ円錐台の空間を利用して、隔壁18と熱パッファ室21との間に設けられた円錐台の空間となっており、開口部15aより、開口部15aと対向する隔壁18の内面の方が広くなっている。このような構成とすることで、消弧装置1の長手方向の小形化を実現している。
また、熱パッファ室21は、隔壁18をそれぞれ貫通する第1および第2連通管28a、28bにより、それぞれ第1および第2シリンダ12a、12bとつながっている。第1および第2連通管28a、28bの熱パッファ室21側には、熱パッファ室21から第1および第2シリンダ12a、12bへの流れを止める第1および第2逆止弁29a、29bがそれぞれ設けられている。第1および第2シリンダ12a、12bには、それぞれ第1および第2ピストン11a、11bが挿入されており、第1シリンダ12aと第1ピストン11aとで囲まれた空間で第1機械パッファ室30aを、第2シリンダ12bと第2ピストン11bとで囲まれた空間で第2機械パッファ室30bを構成している。
図4は、可動電極ユニット8の左側面図であり、第1および第2シリンダ12a、12bのそれぞれの径は、熱パッファ室21の外周を構成する円筒状の外周壁25の径の半分以下であり、第1および第2シリンダ12a、12bを、上記動作軸を取り囲むように周方向に分散して配置している。また、第1および第2排出口19a、19bは、第1および第2シリンダ12a、12bの配列と直交する配列になるように、上記動作軸上から外れた位置、つまり動作軸方向にて開口部15aと対向する隔壁18の内面の部位から隔離する位置に配置され、アーク室20で発生した熱ガスが直線的に圧力室26を通過して排出されない構成となっている。このような構成により、熱ガスが圧力室26に一旦貯留することで、アーク室20から流入する熱ガスの温度より第1および第2排出口19a、19bから流出する熱ガスの温度を低くすることができる。
また、動作軸方向から見たときの外周壁25の外周に囲まれる限られた面内に、第1および第2シリンダ12a、12b、ならびに第1および第2排出口19a、19bを配置することができるので、消弧装置1の径方向の小形化が可能となる。
次に本発明の消弧装置1の電流遮断動作について説明する。まず、閉極状態のガス遮断器に開極指令が与えられると、操作装置5が始動して可動電極ユニット8が駆動され(図3において左側へ)、可動電極15と固定電極17とが開離してアーク室20内にアークが発生する。短絡電流などの比較的大電流の場合には、アークにより発生した熱が吹き付け口24を通して熱パッファ室21に流入する。それにより熱パッファ室21の圧力は上昇する。また、同時に、第1および第2シリンダ12a、12bが、それぞれピストン11a、11bに対して摺動するので、第1および第2機械パッファ室30a、30b内の消弧ガスが圧縮されて圧力が上昇する。
交流電流は、半サイクルごとに電流が最大値と零値とを繰り返すので、最大値から零値に減少する期間、特に零値近傍においてはアークの電流値も小さくなり、発生する熱量も小さくなっている。従って、この時間領域においては、熱パッファ室21の圧力がアーク室20の圧力よりも大きくなり、熱パッファ室21から吹き付け口24を通ってアークに消弧ガスが吹き付けられる。さらに、第1および第2機械パッファ室30a、30b内の圧力が、熱パッファ室21内の圧力に対して高くなった時点で、第1および第2逆止弁29a、29bが開き、第1および第2連通管28a、28bを通って、第1および第2機械パッファ室30a、30b内の消弧ガスが熱パッファ室21内に流入するので、上述の熱パッファ室21から吹き付け口24を通ってアークに吹き付けられる消弧ガスの流れが、強化される。
熱パッファ室21から吹き付け口24を通してアークに吹き付けられた消弧ガスは、図3において、右側にあたる固定電極17の方向と左側にあたる可動電極15の方向とに分かれることで、アークを分断する効果をもたらすと共に、アークによって熱せられて高温になった熱ガスが左右の2つの開口から排出するので、高い効率で熱ガスを排出することができる。さらに、環状の熱パッファ室21の管断面は内周側が凸の楔形であり、この楔形の頂点に吹き付け口24が設けられ、上記楔形の底、即ち熱パッファ室21の外周側が、上記内周側より固定電極17側へ突出した空間となっているので、図3中に矢印で示すように、上記突出した空間から吹き付け口24に向かう流れが生じ、可動電極15側の消弧ガスの流れが促進される。
可動電極15側に流れ出た熱ガスは、可動電極15の開口部15aから圧力室26に放出される。圧力室26は、開口部15aから隔壁18の内面に向かって広がる円錐台の比較的広い空間であるので、可動電極15から圧力室26へと向かう流れの流路抵抗が小さく、アーク室18から熱ガスを速やかに排出できる。
圧力室26内に流入した熱ガスは、少なくともその一部が、一旦、圧力室26内に貯留されてから、第1および第2排出口19a、19bを通って、第1および第2シリンダ12a、12bの側壁面に沿って、隔壁18の外面の側へと放出され、カバー13の拡散口14などから消弧装置1の外部空間へと排出される。このとき、第1および第2排出口19a、19bからの流れの方向に交叉する位置に、第1および第2シリンダ12a、12bなどの流れの障害となるものが無く、さらに、第1および第2排出口19a、19bの流路長さは、隔壁18の厚み分の非常に短い長さしかないので、アーク室20から上記外部空間までの流路抵抗が小さく、効率よく外部の空間へ熱ガスを排出することができる。
このようにして、アークに消弧ガスを吹き付けて極間の熱を効率的に外部に排出することでアークを消弧すると共に、可動電極15と固定電極17とを、極間に現れる再起電圧に耐えうる十分な距離まで引き離すことで、極間の絶縁回復を得て遮断が完了する。特に、高い電圧系統に適用するガス遮断器の場合には、遮断完了直前に現れる再起電圧が大きいので絶縁回復に必要な極間の距離が長くなるが、上述のように極間の熱を効率的に外部に排出することで、上記必要な距離を短くすることができ、消弧装置1の長手方向の小形化につながる。
また、上述の様に、熱ガスを圧力室26に一旦貯留することで第1および第2排出口19a、19bから流出する熱ガスの温度を低くすることができるので、第1および第2シリンダ12a、12b、ならびに第1および第2ピストン11a、11bへの熱ガスによる損傷を低減できる。この損傷低減の効果により、第1および第2シリンダ12a、12bのそれぞれの第1および第2ヘッド部12aa、12baの近傍に、第1および第2排出口19a、19bを設けることが可能となり、動作軸方向から見たときの外周壁25の外周に囲まれる限られた面内に、第1および第2シリンダ12a、12b、ならびに第1および第2排出口19a、19bを配置した消弧装置1、つまり径方向が小形化された消弧装置1を得ることができる。
ところで、遮断する電流が比較的小電流である場合には、アークが点弧した場合でもアークの発生熱量が小さいため熱パッファ室21に十分な熱が流入せず、消弧するのに十分な圧力上昇が生じない場合がある。一方、圧力室26にも大電流遮断時ほど大きな熱の流入はないが、圧力室26の方へ流出した少量の熱エネルギーが圧力室26において一度蓄熱されるため圧力室26の圧力は上昇する。
さらに詳細に説明すると、アークを周方向で取り囲む熱パッファ室21に比べて圧力室26の容積は相対的に小さいので、圧力が上昇し易い。また、圧力室26は、固定電極17の先端部と対向する位置にあり、この先端部から放出されるアークジェットに起因した熱ガスが吹き込み易い。さらに、比較的小電流のアークはガイド23に囲まれた空間を充たすほど大きな径を有しておらず、電極間をつなぐ紐状の形態をしている。そのため、圧力室26からは、可動電極15の先端部の開口を通して殆ど全てのアーク部位が見えるのに対し、熱パッファ室21からは、ガイド23に設けられた吹き付け口24を通して見える一部のアーク部位しか見えない。従って、圧力室26の方が熱パッファ室21よりアークからの輻射を受け易い。
このような理由により、熱パッファ室21で十分な圧力上昇が発生しない比較的小電流の遮断においても、圧力室26の圧力が上昇するので、圧力室24がパッファの役目を果たすことができるようになる。つまり、小電流においては圧力室26からアークへの吹き付けが生じるようになり、小電流での消弧が効率よく行われる。この圧力室26の圧力上昇量の調整は、第1および第2排出口19a、19bの開口面積にて可能であり、上記開口面積を適切なものに設定することで小電流から大電流まで遮断できるガス遮断器を実現できる。
以上より、実施の形態1で示したガス遮断器においては、可動電極15と固定電極17との間のアークが発生する空間を形成するアーク室20と、アーク室20の可動電極15側に開口部15aにて連通して設けられ、開閉極動作時においても可動電極15との相対的な位置を保持する圧力室26と、上記動作軸の周方向にアーク室20を取り囲むように配置された熱パッファ室21と、アーク室26と熱パッファ室21とを、アーク室26の周方向で連通する吹き付け口24と、開口部15aより広くて開口部15aと内面で対向する圧力室26の隔壁18の外面に、第1および第2ヘッド部12aa、12baがそれぞれ固定されて動作軸の方向に伸びる第1および第2シリンダ12a、12bと、第1および第2シリンダ12a、12bとそれぞれ対を成し、開閉極動作時においても固定電極17との相対的な位置を保持する第1および第2ピストン11a、11bと、第1および第2ヘッド部12aa、12baと熱パッファ室21とを連通する第1および第2連通管28a、28bと、動作軸方向にて開口部15aと対向する上記隔壁18の内面の部位から隔離する位置から、上記外面の第1および第2ヘッド部12aa、12baが固定されていない位置へと貫通する第1および第2排出口19a、19bとを備えることで、動作機構が単純で、小形のガス遮断器を提供することができる。
なお、この実施の形態では、可動電極ユニット8を動作機構4で駆動させる場合を示したが、可動電極ユニット8を所定の手段にて消弧装置1を支える構造体に固定し、第1および第2ピストン11a、11bおよび固定電極17を、これらの相対的な位置を保持させたまま連動させて動作機構4により駆動しても良い。
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2による可動電極ユニット8の左側面図である。第1〜第3シリンダ12a、12b、12cは、可動電極ユニット8の上記動作軸を取り囲むように周方向に分散して配置されている。第1〜第3シリンダ12a、12b、12cは、隔壁18を貫通する3つの連通管28a、28b、28cにて、それぞれ熱パッファ室21(図示せず)に連通しており、3つの連通管28a、28b、28cの熱パッファ室21側の端部には、それぞれ逆止弁29a、29b、29c(図示せず)が設けられている。また、隔壁18に設けられた第1〜第3排出口19a、19b、19cは、第1〜第3シリンダ12a、12b、12cの上記周方向で隣り合うシリンダの間に、それぞれ配置されており、アーク室20で発生した熱ガスが直線的に圧力室26を通過して排出されない構成となっている。
このような構成により、実施の形態1と同様に、熱ガスが圧力室26に一旦貯留するので、アーク室20から流入する熱ガスの温度より、第1〜第3排出口19a、19b、19cから流出する熱ガスの温度を低くすることができる。また、このような、構成を適用することで、動作軸の方向から見たときの外周壁25の外周に囲まれる限られた面内に、第1〜第3シリンダ12a、12b、12cならびに第1〜第3排出口19a、19b、19cを配置することができ、消弧装置1の径方向の小形化を可能としている。
この実施の形態では、3つのシリンダ12a、12b、12cとピストン11a、11b、11c(図示せず)との対、3つの排気口19a、19b、19c、および、それぞれ圧力室26側に逆止弁が設けられた3つの連通管28a、28b、28cを有すること以外は、実施の形態1と同様であるので、以下においては実施に形態1と異なる点について説明する。
遮断に必要な機械パッファの機能を、3つのシリンダ12a、12b、12cとピストン11a、11b、11cとの対に分担させることで、より小形のシリンダ12a、12b、12cおよびピストン11a、11b、11cを採用できる。このように小形のものを採用できと、遮断定格の異なるガス遮断器との部品の共用化、つまり低定格のものを流用することができる。また、逆から見れば、適用するシリンダとピストンの対の数により遮断定格を変えることが可能となる。
なお、この実施の形態では、3つのシリンダ12a、12b、12cとピストン11a、11b、11cとの対、3つの排気口19a、19b、19c、および、それぞれ圧力室26側に逆止弁が設けられた3つの連通管28a、28b、28cを有する場合を示したが、これらの構成要素の数が3つの場合に限るものでなく、また、各構成要素が同一の個数の場合に限るものではない。
実施の形態3.
図6は、この発明の実施の形態3による可動電極ユニット8の断面をとった正面図であり、図7は、図6のA―A断面を示している。この実施の形態では、隔壁18の圧力室26の内面に三角柱形状をした流れガイド31を設けたこと、および筒状のカバー13の長さを短くしたこと以外は、実施の形態1と同様であるので、以下においては実施に形態1と異なる点について説明する。
図7において、流れガイド31の頂点31aは、可動接点15の開口部15aと対向するように配置されている。このように配置することで、図7中の右側の2つの矢印で示すように、圧力室26に流入した熱ガスは、まず頂点31a付近に当たり、流れガイド31によって進行方向を2つに分けられ、第1および第2排出口19a、19bの方へ効率良く流れていく。仮に流れガイド31がない場合には、隔壁18に衝突した流れが、よどみを生じさせたり、乱流による渦を発生させたりするなどして、第1または第2排出口19a、19bへの流れが阻害される。
また、カバー13の長さを短くしたことにより、第1および第2排出口19a、19bから排出された熱ガスは、図7中の左側の2つの矢印で示すように、可動電極ユニット8の径方向に素早く拡散するので、熱ガスによる第1および第2シリンダ12a、12bなどの損傷が一層低減される。また、筐体9などの可動電極ユニット8の外部部品への熱ガスの影響が問題とならない場合は、さらにカバー13の長さを短くするか、またはカバー13を設けなくても良い。
以上より、隔壁18の内面の開口部15aと対向する位置から開口部15aの側へと突出して、開口部15aから圧力室26に流入する熱ガスを第1および第2排気口19a、19bへと導く流れを形成する流れガイド31を設けたので、圧力室26に流入した熱ガスを効率良く第1および第2排気口19a、19bから排出できるので、遮断性能の高い消弧装置1を得ることができる。
1 消弧装置、2 第1ブッシング、2a 第1導体、3 第2ブッシング、3a 第2導体、4 動作機構、5 操作装置、6 リンク、7 ロッド、8 可動電極ユニット、9 筐体、10 摺動部品、11a 第1ピストン、11b 第2ピストン、11c 第3ピストン、12a 第1シリンダ、12aa 第1ヘッド部、12b 第2シリンダ、12ba 第2ヘッド部、12c 第3シリンダ、13 カバー、14 拡散口、15 可動電極、15a 開口部、16 第3導体、17 固定電極、18 隔壁、19a 第1排出口、19b 第2排出口、19c 第3排出口、20 アーク室、21 熱パッファ室、22 ノズル、23 ガイド、24 吹き付け口、25 外周壁、26 圧力室、27 保護カバー、28 排出口、28a 第1連通管、28b 第2連通管、28c 第3連通管、29a 第1逆止弁、29b 第2逆止弁、30a 第1機械パッファ室、30b 第2機械パッファ室、31 流れガイド、31a 頂点。

Claims (5)

  1. 第1電極または第2電極が動作軸に沿って移動して開極することにより、上記第1電極と上記第2電極との間に発生するアークを、消弧ガスで吹き消すガス遮断器であって、
    上記第1電極と上記第2電極との間の上記アークが発生する空間を形成するアーク室と、
    上記アーク室の上記第2電極の側に、開口部にて連通して設けられ、開極動作時においても上記第2電極との相対的な位置を保持する圧力室と、
    上記動作軸の周方向に上記アーク室を取り囲むように配置された熱パッファ室と、
    上記アーク室と上記熱パッファ室とを、上記アーク室の上記周方向で連通する吹き付け口と、
    上記開口部より広くて上記開口部と内面で対向する上記圧力室の隔壁の外面に、ヘッド部が固定されて上記動作軸の方向に伸びるシリンダと、
    上記シリンダと対を成し、開極動作時においても上記第1電極との相対的な位置を保持するピストンと、
    上記ヘッド部と上記熱パッファ室とを連通する連通管と、
    上記動作軸方向にて上記開口部と対向する上記隔壁の内面の部位から隔離する位置から、上記外面の上記ヘッド部が固定されていない位置へと貫通する排出口とを備えたガス遮断器。
  2. 動作軸の方向から見たとき、熱パッファ室の外周に囲まれる面に、シリンダおよび排出口が含まれる請求項1記載のガス遮断器。
  3. 複数のシリンダとピストンとの対、および複数の排出口を有し、
    上記複数のシリンダは、動作軸を取り囲むように周方向に分散して配置され、
    上記複数の排出口は、上記周方向で隣り合う上記複数のシリンダのいずれかの間に分散して配置される請求2記載のガス遮断器。
  4. 熱パッファ室の外周は、円筒であり、
    複数のシリンダは、上記円筒の直径の半分以下の直径を有して、動作軸を中心線として対称に配置された2つのシリンダであり、
    複数の排出口は、上記2つのシリンダの配列と直交する配列で配置された2つの排出口である請求項3記載のガス遮断器。
  5. 内面の動作軸の方向で開口部と対向する位置から上記開口部の側へと突出して、上記開口部から圧力室に流入する熱ガスを排出口へと導く流れを形成する流れガイドを設けた請求項1乃至4のいずれかに記載のガス遮断器。
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