JP5218301B2 - 回転工具及びそれと共に用いられる円筒部材 - Google Patents

回転工具及びそれと共に用いられる円筒部材 Download PDF

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Description

本発明は、ビットを回転駆動する回転工具及びそれと共に用いられる円筒部材に関するものである。
製品の組立や分解を行う際のネジの締め付けや取り外しに用いる工具として、電動式又は空圧式のドライバが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかるドライバは、駆動源により回転駆動するスピンドルに対して、その先端が締付工具となっているビット(ドライバビット)が取り付けられている。このようなドライバを用いて、製品を組み立てるべくネジの締め付け作業を行う際には、まず、ビットの先端にネジを取り付け、ネジの先端を製品上に位置合わせをした状態で、ビットを回転駆動させてネジを締め付ける。
特開2009−039834号公報
ネジの締め付け作業が行われる際に、例えば、ネジを取り付けたビットを製品に対して傾斜した状態で近付けることによってネジの先端を製品上に位置合わせをし、ネジの先端を製品上に押し当てた状態で、ビットが製品に対して垂直となるようにビットの角度が調整される場合がある。このような場合には、ネジの頭部に対してビットの先端から斜めの力が加わることによって、ビットの先端に取り付けられたネジがビットの先端から外れやすい。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ビットの先端からネジが外れるのを抑制できる回転工具及びそれと共に用いられる円筒部材を提供することを目的とする。
第1の発明にかかる回転工具は、ネジが取り付けられる先端を有するビットを保持し且つ前記ビットと共に回転可能な保持機構と、前記保持機構を回転駆動する回転駆動機構と、前記回転駆動機構を収容する筐体と、前記ビットと共に回転しないで固定されるように前記筐体に取り付け可能な円筒部材とを備え、前記円筒部材が、前記筐体に固定される部分と当該円筒部材の先端近傍の部分とを有する樹脂製の第1部材と、前記第1部材の内周側に配置され、前記ビットと接触する鉄製の第2部材とを有しており、前記円筒部材が前記筐体に取り付けられた状態において、前記円筒部材の先端近傍は、前記ビットの先端に取り付けられた前記ネジの頭部に接触するように構成されている。
この回転工具では、例えば、ネジを取り付けたビットを製品に対して傾斜した状態で近付けることによって、ネジの先端を製品上に位置合わせをし、ネジの先端を製品上に押し当てた状態で、ビットが製品に対して垂直となるようにビットの角度が調整されることで、ネジの頭部に対してビットの先端から斜めの力が加わった場合であっても、ビットの先端に取り付けられたネジが、円筒部材の先端近傍によって支持されるので、ネジがビットの先端から外れにくくなる。
第2の発明にかかる回転工具は、第1の発明にかかる回転工具において、前記円筒部材の先端近傍の内周面は、その断面積が前記円筒部材の先端に近付くにつれて大きくなると共に、前記ビットの先端に取り付けられた前記ネジの頭部に接触するように構成されている。
この回転工具では、ビットに取り付けられたネジは、その頭部が円筒部材の内周面に接触した状態で円筒部材の先端近傍に嵌り込む。したがって、ネジがビットの先端からより外れにくくなる。
また、ビットにネジを取り付けるときには、ネジの頭部が円筒部材の内周面によりガイドされることによって、ネジの頭部の中心位置が円筒部材の内周面の中心位置と一致するようになる。そのため、ネジをビットの先端に容易に取り付けることができる。特に、ビットの先端が円筒部材の先端よりも伸延方向内側に配置されており、ビットの先端が筒状部材に覆われて見えない場合に有効である。
第3の発明にかかる回転工具は、第2の発明にかかる回転工具において、前記円筒部材の先端近傍の内周面は、その断面積が前記円筒部材の先端に近付くにつれて次第に大きくなるテーパ形状に構成されている。
この回転工具では、ビットに取り付けられたネジは、その大きさにかかわらず、円筒部材の先端近傍に嵌り込む。また、ビットの先端に取り付けられたネジの頭部が円筒部材の内周面に密着するので、ネジがビットの先端から確実に外れにくくなる。
第4の発明にかかる回転工具は、第1〜第3のいずれかの発明にかかる回転工具において、前記ビットの先端が、前記円筒部材の先端よりも伸延方向内側に配置されている。
この回転工具では、使用時にネジがビットから外れた場合に、円筒部材の先端が製品に接触することによって、尖ったビットの先端が製品に接触し、製品に傷が付くのを防ぐことができる。
第5の発明にかかる回転工具は、第4の発明にかかる回転工具において、前記円筒部材の先端が、前記ビットの先端と前記ビットの先端に取り付けられた前記ネジの座面との間に位置している。
この回転工具では、ビットの先端に取り付けられたネジの座面が円筒部材の外側に位置している。したがって、ネジの締め付け作業を行う際に、ネジの座面と製品との間のすき間を目視し、ネジの締り具合を確認することができる。
第6の発明にかかる回転工具は、第1〜第4のいずれかの発明にかかる回転工具において、前記ネジの頭部が凸状に湾曲している。
この回転工具では、円筒部材の先端近傍の形状にかかわらず、ネジの頭部が円筒部材の先端近傍に嵌り込む。したがって、ネジがビットの先端から確実に外れにくくなる。
第7の発明にかかる回転工具は、第1〜第5のいずれかの発明にかかる回転工具において、前記円筒部材の少なくとも先端近傍が樹脂製である。
この回転工具では、使用時にネジがビットから外れたりビットが折れたりし、筒状部材が製品に接触した場合でも、製品に傷が付くのを防ぐことができる。また、例えば、円筒部材の全体が鉄製である場合等に比べて、円筒部材を軽量にすることができる。
第8の発明にかかる円筒部材は、第1〜第6のいずれかの発明にかかる回転工具に備えられた回転工具用の円筒部材である。
この円筒部材は、回転工具に取り付けられることによって、例えば、ネジを取り付けたビットを製品に対して傾斜した状態で近付けることによって、ネジの先端を製品上に位置合わせをし、ネジの先端を製品上に押し当てた状態で、ビットが製品に対して垂直となるようにビットの角度が調整されることで、ネジの頭部に対してビットの先端から斜めの力が加わった場合であっても、ビットの先端に取り付けられたネジが、円筒部材の先端近傍によって支持されるので、ネジがビットの先端から外れにくくなる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、例えば、ネジを取り付けたビットを製品に対して傾斜した状態で近付けることによって、ネジの先端を製品上に位置合わせをし、ネジの先端を製品上に押し当てた状態で、ビットが製品に対して垂直となるようにビットの角度が調整されることで、ネジの頭部に対してビットの先端から斜めの力が加わった場合であっても、ビットの先端に取り付けられたネジが、円筒部材の先端近傍によって支持されるので、ネジがビットの先端から外れにくくなる。
第2の発明では、ビットに取り付けられたネジは、その頭部が円筒部材の内周面に接触した状態で円筒部材の先端近傍に嵌り込む。したがって、ネジがビットの先端からより外れにくくなる。
また、ビットにネジを取り付けるときには、ネジの頭部が円筒部材の内周面によりガイドされることによって、ネジの頭部の中心位置が円筒部材の内周面の中心位置と一致するようになる。そのため、ネジをビットの先端に容易に取り付けることができる。特に、ビットの先端が円筒部材の先端よりも伸延方向内側に配置されており、ビットの先端が筒状部材に覆われて見えない場合に有効である。
また、第3の発明では、ビットに取り付けられたネジは、その大きさにかかわらず、円筒部材の先端近傍に嵌り込む。また、ビットの先端に取り付けられたネジの頭部が円筒部材の内周面に密着するので、ネジがビットの先端から確実に外れにくくなる。
さらに、第4の発明では、使用時にネジがビットから外れた場合に、円筒部材の先端が製品に接触することによって、尖ったビットの先端が製品に接触し、製品に傷が付くのを防ぐことができる。
また、第5の発明では、ビットの先端に取り付けられたネジの座面が円筒部材の外側に位置している。したがって、ネジの締め付け作業を行う際に、ネジの座面と製品との間のすき間を目視し、ネジの締り具合を確認することができる。
加えて、第6の発明では、円筒部材の先端近傍の内周面の形状にかかわらず、ネジの頭部が円筒部材の先端近傍に嵌り込む。したがって、ネジがビットの先端から確実に外れにくくなる。
さらに、第7の発明では、使用時にネジがビットから外れたりビットが折れたりし、筒状部材が製品に接触した場合でも、製品に傷が付くのを防ぐことができる。また、例えば、円筒部材の全体が鉄製である場合等に比べて、円筒部材を軽量にすることができる。
また、第8の発明では、回転工具に取り付けられることによって、例えば、ネジを取り付けたビットを製品に対して傾斜した状態で近付けることによって、ネジの先端を製品上に位置合わせをし、ネジの先端を製品上に押し当てた状態で、ビットが製品に対して垂直となるようにビットの角度が調整されることで、ネジの頭部に対してビットの先端から斜めの力が加わった場合であっても、ビットの先端に取り付けられたネジが、円筒部材の先端近傍によって支持されるので、ネジがビットの先端から外れにくくなる。
本発明の実施形態にかかるエアドライバを示す図である。 図2(a)は、図1に示すエアドライバにビット及びカバー部材を取り付けた状態を示す部分拡大断面図である。図2(b)は、図2(a)に示すカバー部材の先端近傍の拡大図である。 図2に示すカバー部材の分解図である。 図2に示すエアドライバを用いたネジの締め付け作業を説明する図であり、図4(a)は、ビットにネジを取り付けた状態、図4(b)は、製品に対してビットの角度の調整を行う状態、図4(c)は、ネジを締め付ける状態をそれぞれ示す。 本発明の第1の変形例にかかるエアドライバを示す図であり、図5(a)は、カバー部材の先端近傍の拡大図、図5(b)は、図5(a)に示すカバー部材が取り付けられたエアドライバでビットの先端にネジを取り付けた状態を示す図である。 本発明の第2の変形例にかかるエアドライバを示す図であり、図6(a)は、カバー部材の先端近傍の拡大図、図6(b)は、図6(a)に示すカバー部材が取り付けられたエアドライバでビットの先端にネジを取り付けた状態を示す図である。 本発明の第3の変形例にかかるエアドライバを示す図であり、図7(a)は、カバー部材の先端近傍の拡大図、図7(b)は、図7(a)に示すカバー部材が取り付けられたエアドライバでビットの先端にネジを取り付けた状態を示す図である。 本発明の第4の変形例にかかるエアドライバを示す図であり、図8(a)は、カバー部材の先端近傍の拡大図、図8(b)は、図8(a)に示すカバー部材が取り付けられたエアドライバでビットの先端にネジを取り付けた状態を示す図である。 本発明の第5の変形例にかかるエアドライバを示す図であり、図9(a)は、使用時の状態を示す図、図9(b)は、ビット交換時の状態を示す図である。
以下、本発明にかかるエアドライバの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
エアドライバ1は、図1及び図2に示すように、工具本体となるフレーム2と、ビット5の取り付け部となるアンビル10と、アンビル10を回転駆動する回転駆動機構20とを主に有している。
フレーム2には、ビット5の回転または停止の操作を行うレバー3が取り付けられている。フレーム2の先端2aからは、アンビル10が突出している。また、後述するように、フレーム2の先端2aには、アンビル10に取り付けられたビット5を覆う円筒形状のカバー部材30が取り付け可能になっている。ここで、カバー部材30がフレーム2に取り付けられると、カバー部材30はビット5と共に回転しない状態で固定される。
アンビル10は、ビット5の基端を保持し、そのビット5と共に回転可能な保持機構である。回転駆動機構20は、エアを動力源とする駆動源(図示せず)で回転駆動されるスピンドル21を有しており、その回転をアンビル10に伝達可能に構成されている。
アンビル10の先端近傍には、ビット5を取り付けるための取り付け孔10aが形成されている。ここで、ビット5の端部は六角形の断面形状を有しているため、取り付け孔10aはビット5の外形に対応した六角形状に形成されている。また、取り付け孔10aは、アンビル10の回転軸上に形成されている。さらに、アンビル10の先端近傍には、その回転軸と直交する方向に貫通しており、取り付け孔10aに繋がっている保持孔10bが形成されており、この保持孔10b内には2つの鋼球11が配置されている。2つの鋼球11は、互いに対向するように配置されており、それぞれ、アンビル10の保持孔10b内を移動可能になっている。アンビル10の先端近傍の外周には操作スリーブ12が配置されている。
操作スリーブ12は、アンビル10の外周に回転可能に取り付けられ、軸方向には止め輪16及びワッシャ17により抜け止めされている。また、操作スリーブ12とワッシャ17との間には圧縮バネ18が配置されているため、操作スリーブ12は圧縮バネ18によって軸方向に付勢されている。また、操作スリーブ12の内周面には、鋼球11に対応した位置において内側に突出する突起部12aが形成されている。したがって、鋼球11は、操作スリーブ12の突起部12aによって押圧されることで、取り付け孔10aに対して出入り可能になっている。ここで、アンビル10の保持孔10bは、鋼球11が取り付け孔10aに抜け出るのを防止する構成になっている。
本実施形態においては、ビット5としてトーションビットが用いられている。すなわち、図2(a)に示すように、ビット5の両端にはドライバ部5aが形成されており、ビット5の中央部は、両端部よりも小径のトーション部5bとなっている。よって、ドライバ部5aに大きな衝撃が加わった際に、トーション部5bで衝撃を吸収することでドライバ部5aの破損を防ぐことができるようになっている。また、ドライバ部5aの近傍には、アンビル10に設けられた鋼球11が嵌り込むための溝部5cが全周にわたって形成されている。
上述したように、操作スリーブ12が圧縮バネ18によって付勢されていることから、鋼球11は突起部12aに押圧されることで取り付け孔10a内に突出した位置に配置される。そのため、この状態において、ビット5が取り付け孔10aに挿入されていれば、鋼球11がビット5の溝部5cを係止することでビット5が抜け止めされる。一方、操作スリーブ12を圧縮バネ18の付勢力と反対方向に操作すると、突起部12aが鋼球11を押圧しなくなり、鋼球11は取り付け孔10a内に突出しない位置に配置可能になる。このため、この状態では、ビット5を取り付け孔10aに対して挿入または抜き取りが可能になる。
カバー部材30は、図3に示すように、固定部31、嵌挿部34、及びブッシュ37の3つの部材を組み立てることによって構成されている。固定部31及び嵌挿部34は、ブッシュ37によって互いに連結されている。また、固定部31及び嵌挿部34は樹脂製であり、ブッシュ37は鉄製である。
固定部31は、フレーム2に対して固定するための部材であり、その外径が順に小さくなった大径部32及び小径部33を有している。なお、この大径部32及び小径部33は、内径も順に小さくなっている。大径部32内の空間と小径部33内の空間とは、小径部33の内径よりも小さな径の貫通孔31aによって連通している。大径部32の内径は、フレーム2の先端2aの外径とほぼ同一か又は若干小さくなっている。したがって、カバー部材30は、固定部31における大径部32の端部(図3中左方端)をフレーム2の先端2aに嵌め込むことで、フレーム2に取り付けられる。大径部32のフレーム2に嵌め込まれる端部近傍は、外周面に出っ張りが形成されており、肉厚になっている。また、図2(a)に示すように、カバー部材30がフレーム2に固定された状態において、大径部32はアンビル10を覆っており、アンビル10が接触しないで回転できるだけの空間を有している。
嵌挿部34は、固定部31の小径部33の先端(図3中右方端)に取り付けられるものであり、その外径の大きさは固定部31の小径部33の外径とほぼ同一である。また、嵌挿部34における固定部31側の端部(図3左方端)には、嵌挿部34のその他の部分に比べて内径が大きい拡幅部35が形成されている。さらに、嵌挿部34の先端、すなわち固定部31とは反対側の端部(図3中右方端)には、内周面がテーパ形状を有しているテーパ部36が形成されている。より詳細には、テーパ部36においては、内周面の断面積が嵌挿部34の先端に近付くにつれて次第に大きくなっている。本実施形態においては、図2(b)に示すように、嵌挿部34の内径は、拡幅部35とテーパ部36との間の部分ではR1であり、嵌挿部34の先端からL1だけ伸延方向内側の位置から次第に大きくなり、嵌挿部34の先端ではR2となる。
ブッシュ37は、固定部31及び嵌挿部34に嵌め込まれる部材であり、その外径が順に大きくなった小径部38及び大径部39を有している。小径部38は固定部31の小径部33に嵌め込まれ、大径部39は嵌挿部34の拡幅部35に嵌め込まれる。ブッシュ37の内径の大きさは、嵌挿部34の内径R1よりも若干小さい。
そして、図2(a)に示すように、アンビル10によって固定されたビット5は、貫通孔31aを介して固定部31の大径部32の外部へと延びており、ブッシュ37及び嵌挿部34に嵌挿されている。なお、図2(b)に示すように、ビット5の先端は、カバー部材30の先端よりもL2だけ下方に位置している。すなわち、ビット5の先端は、カバー部材30の先端より伸延方向内側に配置されている。本実施形態においては、ビット5の先端位置からカバー部材30の先端位置までの距離L2は、0.5mmである。
ここで、ビット5の両端の径は、ブッシュ37の内径とほぼ等しい。よって、ブッシュ37及び嵌挿部34に嵌挿されたビット5は、常にブッシュ37の内周面と接触する。これにより、ビット5を回転させた際に発生するビット5の先端の振れを防止することができる。なお、上述のように、ブッシュ37の内径の大きさは、嵌挿部34の内径R1よりも若干小さい。したがって、嵌挿部34の内周面とビット5との間には僅かなすき間が形成されており、互いに接触しない。ブッシュ37は鉄製であるので、ビット5との接触による摩耗が比較的少ない。よって、ビット5の振れ防止の効果を長期間維持できる。
また、上述のように、カバー部材30は、ネジ等の締結部材を使用することなく、フレーム2の先端2aに嵌め込むだけでフレーム2に取り付けることができる。したがって、ビット5の交換作業を容易にすることができる。
ここで、図4を参照しつつ、エアドライバ1を用いて、製品にネジを締め付ける作業について説明する。なお、本実施形態においては、図4に示すように、頭部が凸状に湾曲したネジ50を用いる。まず、図4(a)に示すように、ビット5の先端にネジ50を取り付ける。このとき、ネジ50は、その頭部に形成された穴にビット5の先端が挿入されるように、カバー部材30の先端部に形成されたテーパ部36の内周面によってガイドされる。
次に、図4(b)に示すように、ネジ50を取り付けたビット5を製品に対して傾斜した状態で近付けることによって、ネジ50の先端が製品上の所定位置に位置合わせを行う。このとき、ビット5に取り付けられたネジ50は、カバー部材30のテーパ部36に嵌り込み、その頭部がテーパ部36の内周面に接触している。また、ビット5に取り付けられたネジ50の座面51は、カバー部材30の先端からL3だけ突出した位置にある。すなわち、カバー部材30の先端は、ビット5の先端とビット5の先端に取り付けられたネジ50の座面51との間に位置している。
次に、図4(c)に示すように、ネジ50の先端を製品に押し付けた状態で、ビット5が製品のネジ50を取り付ける面に対して垂直となるように、ビット5の角度を調整する。このとき、ネジ50には、その頭部に対してビット5の先端から斜めの力が加わる。したがって、ビット5の先端に取り付けられたネジ50は不安定な状態となることが考えられるが、本実施形態では、ネジ50がテーパ部36の内周面に支持されているために、比較的安定している。そのため、ビット5の先端に取り付けられたネジ50がビット5の先端から外れにくい。そして、ビット5が製品の面に対して垂直となった状態で、レバー3を操作してビット5を回転させ、ネジ50を締め付ける。
以上のように、本実施形態のエアドライバ1は、ビット5と共に回転しないで固定されるようにフレーム2に取り付け可能なカバー部材30を備えている。カバー部材30がフレーム2に取り付けられた状態において、カバー部材30の先端近傍は、ビット5の先端に取り付けられたネジ50の頭部に接触する。よって、ネジ50がビット5及びカバー部材30によって支持されるので、ネジ50の頭部に対してビット5の先端から斜めの力が加わった場合であっても、ネジ50がビット5の先端から外れにくくなる。
また、本実施形態のエアドライバ1では、カバー部材30の先端近傍の内周面は、その断面積がカバー部材30の先端に近付くにつれて大きくなっており、ビット5の先端に取り付けられたネジ50の頭部に接触する。したがって、ビット5に取り付けられたネジ50が、その頭部がカバー部材30の内周面に接触した状態でカバー部材30の先端近傍に嵌り込む。よって、ネジ50がビット5の先端からより外れにくくなる。また、ビット5にネジ50を取り付けるときには、ネジ50の頭部がカバー部材30の内周面によりガイドされる。よって、ネジ50をビット5の先端に容易に取り付けることができる。
さらに、本実施形態のエアドライバ1では、カバー部材30の先端近傍は、内周面の断面積がカバー部材30の先端に近付くにつれて次第に大きくなるテーパ形状に形成されたテーパ部36となっている。したがって、ネジ50の大きさにかかわらず、ネジ50がカバー部材30の先端近傍に確実に嵌り込む。また、ビット5の先端に取り付けられたネジ50の頭部がカバー部材30の内周面に密着するので、ネジ50がビット5の先端から確実に外れにくくなる。
また、本実施形態のエアドライバ1では、ビット5の先端は、カバー部材30の先端よりも伸延方向内側に配置されている。したがって、ネジ50の締め付け作業中にネジ50がビット5から外れた場合には、カバー部材30の先端が製品に接触する。よって、尖ったビット5の先端が製品に接触することで製品に傷が付くのを防ぐことができる。
さらに、本実施形態のエアドライバ1は、カバー部材30の先端が、ビット5の先端とビット5の先端に取り付けられたネジ50の座面51との間に位置している。したがって、ネジ50を締め付ける際に座面51が見えるので、ネジ50の締り具合を確認しつつ締め付け作業を行うことができる。
また、本実施形態のエアドライバ1では、頭部が凸状に湾曲したネジ50が用いられる。したがって、カバー部材30の先端近傍の形状にかかわらず、ネジ50の頭部がカバー部材30の先端近傍に嵌り込む。よって、ネジ50がビット5の先端から確実に外れにくくなる。
加えて、本実施形態のエアドライバ1では、カバー部材30の固定部31及び嵌挿部34が樹脂製であり、ブッシュ37が鉄製である。したがって、ネジ50の締め付け作業中にネジ50がビット5から外れたり折れたりした場合には、カバー部材30の樹脂製である嵌挿部34が製品に接触することになる。よって、カバー部材30が製品に接触することによって製品に傷が付くのを防ぐことができる。また、カバー部材30のほとんどの部分が樹脂製であるので、比較的軽量である。
以上、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述の実施形態では、カバー部材30の先端に、その内周面の断面積が次第に大きくなっているテーパ部36が形成されている場合について説明したが、カバー部材30の先端近傍の形状はこれには限定されない。
ここで、図5を参照しつつ、上述の実施形態の第1の変形例にかかるエアドライバについて説明する。図5(a)に示すように、本変形例のエアドライバのカバー部材130における先端には、その内周面の断面積が先端に近付くにつれて大きくなるように、階段状に形成された段状部136が形成されている。そして、図5(b)に示すように、ビット5に取り付けられたネジ50の頭部は、段状部136の内周面に接触する。なお、図5においては、段状部136には3つの段が形成されているが、段状部136に形成される段の数はこれに限定されるものではない。この変形例においては、ネジ50を段状部136の内周面で支持できるので、上述の実施形態と同様に、ネジ50がビット5の先端から外れにくくなる。
さらに、図6を参照しつつ、上述の実施形態の第2の変形例にかかるエアドライバについて説明する。図6(a)に示すように、本変形例のエアドライバのカバー部材230における先端には、その内周面の断面積が先端に近付くにつれて大きくなるように、凹状に湾曲した湾曲部236が形成されている。また、図6(b)は、かかるエアドライバのビット5に、平板状の頭部を有するネジ250を取り付けた状態を示している。このとき、ネジ250の頭部は、湾曲部236の内周面に線状に接触する。この変形例においては、ネジ250を湾曲部236の内周面で支持できるので、上述の実施形態と同様に、ネジ250がビット5の先端から外れにくくなる。
加えて、カバー部材30の先端近傍の内周面は、その断面積が次第に大きくなっていなくてもよい。すなわち、図7に示す上述の実施形態の第3の変形例にかかるエアドライバにおいては、カバー部材330の先端近傍の内周面の断面積は一定となっている。したがって、図7(b)に示すように、かかるエアドライバのビット5にネジ50を取り付けた場合には、ネジ50の頭部は、カバー部材330の先端の内縁に接触する。この変形例においては、ネジ50をカバー部材330の先端の内縁で支持できるので、上述の実施形態と同様に、ネジ50がビット5の先端から外れにくくなる。
また、上述の実施形態では、ビット5の先端が、カバー部材30の先端よりも伸延方向内側に配置されている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、図8に示すように、上述の実施形態の第4の変形例にかかるエアドライバにおいては、ビット5の先端はカバー部材430の外部に位置している。図8(a)においては、ビット5の先端は、カバー部材430の先端よりもL4だけ上方に位置している。そして、図8(b)に示すように、ビット5に取り付けられたネジ50の頭部は、テーパ部436の内周面に接触する。
加えて、上述の実施形態では、カバー部材30の固定部31をフレーム2の先端2aに嵌め込むことで、カバー部材30をフレーム2に取り付ける場合について説明したが、これには限定されない。ここで、図9を参照しつつ、上述の実施形態の第5の変形例にかかるエアドライバ501について説明する。図9に示すように、本変形例にかかるエアドライバ501においては、カバー部材530とフレーム502とは、ネジ540によって固定されている。ここで、カバー部材530は、上述の実施形態と同様に、固定部531、嵌挿部534、及びブッシュ537の3つの部材を組み立てることによって構成されている。また、上述の実施形態においては、ビット5をアンビル10に対して挿入または抜き取りする際に、操作スリーブ12を操作する構造となっていたが、本変形例では、操作スリーブ12を操作することなく、直接、ビット5をアンビル510の取り付け孔に対して挿入または抜き取りできるようになっている。
かかるエアドライバ501においてビット5を交換する際には、図9(b)に示すように、まずカバー部材530の嵌挿部534のみを取り外す。そして、ビット5のカバー部材530から露出した部分を掴んでビット5をアンビル510から引き抜き、その後、別のビット5をアンビル510に取り付ける。このように、本変形例においては、カバー部材530がフレーム502にネジ540により固定されているが、ビット5を交換する際に、ネジ540によるカバー部材530の固定を解除することなく、嵌挿部534を取り外すだけでよい。したがって、ビット5の交換を容易に行うことができる。
また、上述の実施形態では、カバー部材30の先端が、ビット5の先端とビット5の先端に取り付けられたネジ50の座面51との間に位置している場合について説明したが、これには限定されない。ネジ50の座面51は、カバー部材30の内側に配置されていてもよい。また、上述の実施形態では、カバー部材30の先端近傍の内周面が、ビット5の周囲において全周にわたってネジ50の頭部に接触している場合について説明したが、カバー部材30の先端近傍の内周面(先端近傍)が、ビット5の周囲において全周にわたってネジ50の頭部に接触するのではなく、全周のうちの一部だけでネジ50の頭部に接触してもよい。
加えて、上述の実施形態では、カバー部材30が、樹脂製の固定部31及び嵌挿部34、並びに鉄製のブッシュ37の3つの部材で構成されている場合について説明したが、本発明の参考例として、カバー部材30は、樹脂製または金属製(例えば鉄製)の1つの部材で構成されていてもよい。なお、上述の第5の変形例で述べたように、カバー部材530がフレーム502にネジ540で固定されているような場合には、カバー部材530が複数の部材を組み立てることによって構成されていることが好ましい。また、本発明の参考例として、カバー部材30を構成する複数の部材は同一材料でできていてもよく、樹脂製または金属製(例えば鉄製)であってもよい。
また、上述の実施の形態では、エアを動力源とする駆動源を有する回転駆動機構20を備えたエアドライバ1について説明しているが、例えばモータを動力源とする駆動源を有する回転駆動機構を備えた電動工具(電動ドライバ)においても同様の効果が得られる。つまり、本発明の回転工具は、エアドライバ1に限定されず、ビットを回転駆動する回転工具であればよい。
本発明を利用すれば、ビットの先端からネジが外れるのを抑制できる。
1、401 エアドライバ
2、402 フレーム(筐体)
5 ビット
10、410 アンビル(保持機構)
20 回転駆動機構
30、130、230、330、430、530 カバー部材(円筒部材)
31、431 固定部
34、434 嵌挿部
36、436 テーパ部
37、437 ブッシュ
50 ネジ
51 座面
136 段状部

Claims (7)

  1. ネジが取り付けられる先端を有するビットを保持し且つ前記ビットと共に回転可能な保持機構と、
    前記保持機構を回転駆動する回転駆動機構と、
    前記回転駆動機構を収容する筐体と、
    前記ビットと共に回転しないで固定されるように前記筐体に取り付け可能な円筒部材とを備え、
    前記円筒部材が、
    前記筐体に固定される部分と当該円筒部材の先端近傍の部分とを有する樹脂製の第1部材と、
    前記第1部材の内周側に配置され、前記ビットと接触する鉄製の第2部材とを有しており、
    前記円筒部材が前記筐体に取り付けられた状態において、
    前記円筒部材の先端近傍は、前記ビットの先端に取り付けられた前記ネジの頭部に接触するように構成されていることを特徴とする回転工具。
  2. 前記円筒部材の先端近傍の内周面は、その断面積が前記円筒部材の先端に近付くにつれて大きくなると共に、前記ビットの先端に取り付けられた前記ネジの頭部に接触するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転工具。
  3. 前記円筒部材の先端近傍の内周面は、その断面積が前記円筒部材の先端に近付くにつれて次第に大きくなるテーパ形状に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の回転工具。
  4. 前記ビットの先端が、前記円筒部材の先端よりも伸延方向内側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転工具。
  5. 前記円筒部材の先端が、前記ビットの先端と前記ビットの先端に取り付けられた前記ネジの座面との間に位置していることを特徴とする請求項4に記載の回転工具。
  6. 前記ネジの頭部が凸状に湾曲していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転工具。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の回転工具に備えられた回転工具用の円筒部材。
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