JP5217366B2 - 液体吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体吐出装置に関する。
液体吐出装置として、駆動信号により駆動素子(ピエゾ素子)を駆動し、駆動素子の変形により、インクが充填された圧力室に圧力変化を生じさせ、インクを吐出するインクジェットプリンタが知られている。
その中でも、台形波から構成される駆動信号を用いたインクジェットプリンタが提案されている。このようなプリンタでは、例えば、中間電位から最高電位まで直線的に電位を上昇させることにより圧力室を膨張し、所定期間後に最高電位から最低電位まで一気に電位を下降させ、圧力室を収縮することによって、インクを吐出する。(例えば、特許文献1を参照)
特開平5−69542号公報
しかし、特許文献1に記載の台形波の駆動信号は、所定期間に対する電位の変化量が急に変わる地点を有する(例えば、電位上昇部から電位保持部に切り替わる地点)。このような電位の変化量が急に変わる地点では、駆動素子や圧力室に意図しない振動(変形)が発生してしまう虞がある。
そこで、駆動素子や圧力室の意図しない振動を抑制することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、電位信号を生成する電位信号生成部と、ノズルから液体を吐出するために、電位信号が印加されると変形する駆動素子と、を有し、前記電位信号は、複数の正弦波で表されると共に、傾きが連続的に変化し、前記ノズルから1つの液体滴が吐出される所定期間に前記駆動素子に印加される前記電位信号は、周期の異なる複数種類の正弦波からなることを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、電位信号を生成する電位信号生成部と、ノズルから液体を吐出するために、電位信号が印加されると変形する駆動素子と、を有し、前記電位信号は、複数の正弦波で表されると共に、傾きが連続的に変化し、前記ノズルから1つの液体滴が吐出される所定期間に前記駆動素子に印加される前記電位信号は、周期の異なる複数種類の正弦波からなる、ことを特徴とする液体吐出装置を実現すること。
このような液体吐出装置によれば、電位が滑らかに変異するため、駆動素子周辺部(圧力室)に意図しない振動が発生してしまうことを抑制できる。また、目的に適した電位信号を駆動素子に印加することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記ノズルに連通し、前記駆動素子の変形によって膨張、収縮される圧力室を有し、少なくとも1つの前記正弦波の周期は、前記圧力室内の固有振動周期Tcと等しいこと。
このような液体吐出装置によれば、固有振動周期Tcによる圧力室の振動(膨張・収縮)と駆動信号による圧力室の振動を同期させることができるため、圧力室を効率的に振動することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記ノズルから液体を吐出させるときに前記駆動素子に印加される前記電位信号の前記正弦波の周期は、前記圧力室内の固有振動周期Tcと等しいこと。
このような液体吐出装置によれば、固有振動周期Tcによる圧力室の振動と駆動信号による圧力室の振動が同期し、圧力室をより大きく膨張・収縮させることができるため、吐出効率が上がる。その結果、多量の液体を吐出することができる。逆に言えば、少ない電位にて液体を吐出することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記電位信号の振幅をAとし、前記電位信号の角振動数をωとし、前記電位信号の初期位相をφとし、前記電位信号の振動中心調整値をBとしたとき、前記電位信号が時刻tにおいて示す電位である駆動電位V(t)を表す式が、V(t)=A×sin(ωt+φ)+Bとなること。
このような液体吐出装置によれば、正弦波で表されると共に傾きが連続的に変化する電位信号が得られる。各パラメータを変化させることで、所望の形状の電位信号が得られる。
かかる液体吐出装置であって、前記電位信号の振幅をAとし、前記電位信号の減衰項をexp(−γt)とし、前記電位信号の角振動数をωとし、前記電位信号の初期位相をφとし、前記電位信号の振動中心調整値をBとしたとき、前記電位信号が時刻tにおいて示す電位である駆動電位V(t)を表す式が、V(t)=A×exp(−γt)×sin(ωt+φ)+Bとなること。
このような液体吐出装置によれば、正弦波で表されると共に傾きが連続的に変化する電位信号が得られる。各パラメータを変化させることで、所望の形状の電位信号が得られる。
かかる液体吐出装置であって、前記ノズルに連通し、前記駆動素子の変形によって膨張、収縮される圧力室を有し、前記電位信号は、第1の正弦波と、前記第1の正弦波よりも周期が長い第2の正弦波と、を有し、前記第1の正弦波は、前記駆動素子を変形させ、前記変形により前記ノズルに連通した圧力室が膨張、収縮することにより前記ノズルから液体を吐出するための波形であり、前記第2の正弦波は、収縮した前記圧力室を膨張させ、前記圧力室内の振動を制振するための波形であること。
このような液体吐出装置によれば、比較的に短い期間で圧力室を変形させることで、より強い力にて液体を吐出することができる。また、比較的に長い期間で圧力室を膨張させることで、圧力室による振動のばらつきに因らずに全ての圧力室に対して制振の効果が得られる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1の正弦波の振幅は、前記第2の正弦波の振幅よりも大きいこと。
このような液体吐出装置によれば、より大きな力で液体を吐出することができ、多量に液体を吐出することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記ノズルに連通し、前記駆動素子の変形によって膨張、収縮される圧力室を有し、前記電位信号は、第1の正弦波と、前記第1の正弦波よりも周期が短い第2の正弦波と、前記第1の正弦波よりも周期が長い第3の正弦波と、を有し、前記第1の正弦波は、前記駆動素子を変形させ、前記変形により前記ノズルに連通した圧力室を膨張する波形であり、前記第2の正弦波は、前記駆動素子を変形させ、前記変形により前記圧力室を収縮することにより前記ノズルから液体を吐出するための波形であり、前記第3の正弦波は、収縮した前記圧力室を膨張させ、前記圧力室内の振動を制振するための波形であること。
このような液体吐出装置によれば、膨張の際に圧力室に空気が侵入してしまうことを防止でき、比較的に短い期間で圧力室を変形させることで、より強い力にて液体を吐出することがでる。また、比較的に長い期間で圧力室を膨張させることで、圧力室による振動のばらつきに因らずに全ての圧力室に対して制振の効果が得られる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1の正弦波の振幅は、前記第3の正弦波の振幅よりも大きく、前記第2の正弦波の振幅は、前記第3の正弦波の振幅よりも大きいこと。
このような液体吐出装置によれば、より大きな力で圧力室を膨張、収縮することができるため、多量に液体を吐出することができる。
かかる液体吐出装置であって、ある前記正弦波から周期の異なる別の前記正弦波に切り替わる地点では、ある前記正弦波が示す電位と別の前記正弦波が示す電位は等しく、ある前記正弦波を表す前記式の傾きと、別の前記正弦波を表す前記式の傾きとが等しいこと。
このような液体吐出装置によれば、正弦波で表され傾きが連続的に変化する電位信号を得ることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記切り替わる地点では、ある前記正弦波を表す前記式の傾きと、別の前記正弦波を表す前記式の傾きとが、ゼロであること。
このような液体吐出装置によれば、切り替わる地点にて誤差が発生したとしても、電位差を最小に抑えることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記切り替わる地点は、前記ノズルから液体を吐出させる期間に存在しないこと。
このような液体吐出装置によれば、既定量の液体を吐出することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記電位信号は、前記式の異なる2つの前記正弦波を加算した波形であること。
このような液体吐出装置によれば、所望の形状の電位信号を得ることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記電位信号は、第1の正弦波と、前記第1の正弦波よりも振幅が小さい第2の正弦波と、を有し、前記第2の正弦波は、前記ノズルに連通した圧力室を収縮する期間から前記圧力室が膨張する期間にて、電位値がマイナスとなること。
このような液体吐出装置によれば、電位信号は、第1の正弦波よりも最高電位を大きくし、また、最低電位を小さくすることができる。そのため、より大きな電位差によって液体を吐出することができ、多量の液体を吐出することができる。
===インクジェットプリンタの構成===
以下、液体吐出装置をインクジェットプリンタとし、また、インクジェットプリンタの中のシリアル式プリンタ(プリンタ1)を例に挙げて実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のプリンタ1の全体構成ブロック図である。図2Aは、プリンタ1の斜視図であり、図2Bは、プリンタ1の断面図である。外部装置であるコンピュータ60から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ10により、各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御し、用紙S(媒体)に画像を形成する。また、プリンタ1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラ10は各ユニットを制御する。
コントローラ10は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピュータ60とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、ユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだ後、印刷時に搬送方向に所定の搬送量で用紙Sを搬送させるためのものであり、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ローラ23まで送る。紙検出センサ51が、給紙ローラ21から送られてきた用紙Sの先端の位置を検出すると、コントローラ10は搬送ローラ23を回転させ、用紙Sを印刷開始位置に位置決めする。用紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、用紙Sと対向している。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する方向(以下、移動方向という)に移動させるためのものであり、キャリッジ31と、キャリッジモータ32とを有する。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを吐出するためのものであり、ヘッド41と、ヘッド41を駆動するためのヘッド駆動回路42とを有する。ヘッド41の下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられ、各ノズルには、インクが入った圧力室と、圧力室の容量を変化させてインクを吐出させるための駆動素子(ピエゾ素子)が設けられている。
シリアル式のプリンタ1は、移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、用紙S上にドットを形成するドット形成処理と、用紙Sを搬送方向に搬送する搬送処理を交互に繰り返すことで、先のドット形成処理により形成されたドットの位置とは異なる位置にドットを形成し、画像を完成させる。
===ヘッドの駆動について===
図3Aは駆動信号生成回路70を示す図であり、図3Bは電位波形信号COM’の生成を説明する図である。図4は、駆動信号生成回路70とヘッド駆動回路42を示す図であり、ヘッド駆動回路42により、各ノズルに対応したピエゾ素子が動作することを示している。図5は、各信号のタイミングチャートである。
〈駆動信号生成回路について〉
図3Aに示すように、駆動信号生成回路70は、波形生成回路71と電流増幅回路72とを有し、あるノズル群に対して共通に使用される駆動信号COMを生成する。
まず、コントローラ10が更新周期τ毎にDAC値(デジタル信号の波形情報)を波形生成回路71へ順次出力する。そして、波形生成回路71は、DAC値に基づいて、駆動信号COMの基となる電位波形信号COM’(アナログ信号の波形情報)を生成する。即ち、波形生成回路71はデジタルデータをアナログデータ(電位信号)に変換する変換回路に相当する。
コントローラ10からは、図3Bに示すように、クロック信号CLKで規定されるタイミングt(n)にて、電位V1に対応するDAC値が出力されるとする。これにより、周期τ(n)の間に、波形生成回路71からの出力は、電位V0から電位V1へ上昇する。そして、周期τ(n)から周期τ(n+4)までに、波形生成回路71からの出力は、電位V1から電位V2へ上昇する。また、タイミングt(n+5)を過ぎると、コントローラ10からは電位V3に対応するDAC値が波形生成回路71に入力される。これにより、周期τ(n+5)にて、波形生成回路71の出力は、電位V2から電位V3へ下降し、その後、徐々に電位が下降する。このように、コントローラ10から入力されるDAC値に応じて、波形生成回路71から出力される電位は上昇・下降する。そして、コントローラ10から順次入力されるDAC値が波形生成回路71から電位波形信号COM’として順次出力される。なお、DAC値は各タイミングt(n)に対応する電位変化量としてメモリ13に記憶されており、コントローラ10によってメモリ13の情報が読み出され、波形生成回路71に出力されている。また、これに限らず、駆動信号を表す波形式(例:V(t)=A×exp(−γt)×sin(ωt+φ)+B)に関する情報をメモリ13に記憶させ、コントローラ10が波形式に関する情報から各タイミングに対応する電位変化量を算出し、DAC値として波形生成回路71に出力してもよい。
次に、電流増幅回路72は、電位波形信号COM’について、その電流を増幅し、駆動信号COMとして出力する。電流増幅回路72は、駆動信号COMの電位上昇時に動作する上昇用トランジスタQ1(NPN型トランジスタ)と、駆動信号COMの電位下降時に動作する下降用トランジスタQ2(PNP型トランジスタ)を有する。上昇用トランジスタQ1は、コレクタが電源に接続され、エミッタが駆動信号COMの出力信号線に接続されている。下降用トランジスタQ2は、コレクタが接地(アース)に接続され、エミッタが駆動信号COMの出力信号線に接続されている。
波形生成回路71からの電位波形信号COM’によって、上昇用トランジスタQ1がON状態になると、駆動信号COMが上昇し、ピエゾ素子PZTの充電が行われる。一方、電位波形信号COM’によって、下降用トランジスタQ2がON状態になると、駆動信号COMが下降し、ピエゾ素子PZTの放電が行われる。
〈ヘッド駆動回路について〉
ヘッド駆動回路42は、180個の第1シフトレジスタ421と、180個の第2シフトレジスタ422と、ラッチ回路群423と、データセレクタ424と、180個のスイッチSWとを有する。このヘッド駆動回路42は180個のノズルから成るノズル群に対応し、図中のかっこ内の数字は、部材(又は信号)が対応するノズルの番号を示している。
まず、印刷信号PRTは、180個の第1シフトレジスタ421に入力され、その後、180個の第2シフトレジスタ422に入力される。その結果、シリアル伝送された印刷信号PRTは、180個の2ビットデータである印刷信号PRT(i)に変換される。この印刷信号PRT(i)は、ノズル#iに割り当てられている1画素のデータに対応した信号である。
そして、ラッチ信号LATの立ち上がりパルスがラッチ回路群423に入力されると、各シフトレジスタの360個のデータがラッチ回路群423にラッチされる。ラッチ信号LATの立ち上がりパルスがラッチ回路群423に入力されるとき、データセレクタ424にもラッチ信号LATの立ち上がりパルスが入力され、データセレクタ424は初期状態となる。
また、データセレクタ424は、ラッチ前(初期状態となる前)に、各ノズル#iに対応する2ビットの印刷信号PRT(i)をラッチ回路群423から選択し、各印刷信号PRT(i)に応じたスイッチ制御信号prt(i)を各スイッチSW(i)に出力する。
このスイッチ制御信号prt(i)により、ピエゾ素子PZT(i)に対応したスイッチSW(i)のオン・オフ制御が行われる。そして、スイッチのオン・オフ動作が、駆動信号生成回路70から伝送された駆動信号COMをピエゾ素子に印加もしくは遮断し(DRV(i))、ノズル#iからインクが吐出される、又は、吐出されない。即ち、駆動信号COMにおける必要な部分を選択的にピエゾ素子へ印加させている。
〈インクの吐出について〉
例えば、スイッチ制御信号prt(i)のレベルが「1」のとき、スイッチSW(i)はオンとなり、駆動信号COMが有する、繰り返し周期T内の駆動波形W(正弦波状の信号)を、そのまま通過させ、駆動波形Wがピエゾ素子PZT(i)に印加される。そして、駆動波形Wがピエゾ素子PZT(i)に印加されると、その駆動波形Wに応じてピエゾ素子PZT(i)が変形し、インク室の一部を区画する弾性膜(側壁)が変形し、インク室内の既定量のインクがノズル#iから吐出される。一方、スイッチ制御信号prt(i)のレベルが「0」のとき、スイッチSW(i)はオフとなり、駆動信号COMが有する駆動波形Wを遮断する。
1つの画素に対する印刷信号prt(i)は1ビットのデータであり、1つの画素は、「ドットが形成される」「ドットが形成されない」の2階調で表現されるとする。この場合、図5に示すように、スイッチ制御信号prt(i)が「1」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に駆動波形Wが印加され、ノズル#iから既定量のインク量が吐出され、ドットが形成される。また、スイッチ制御信号prt(i)が「0」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に駆動波形Wが印加されないので、ピエゾ素子PZT(i)が変形せず、ドットは形成されない。
===駆動信号COMによる自由振動の発生について===
まず、圧力室周辺の構成について詳しく説明する。
図6Aは、ヘッド41本体の断面図であり、図6Bは、ヘッド本体41の主要部を拡大して示す断面図である。このヘッド41本体は、ケース411と、流路ユニット412と、ピエゾ素子ユニット413とを有する。ケース411は、流路ユニット412を収容するための収容室411a内部に形成されたブロック状の部材である。流路ユニット412は、流路形成板412aと、流路形成板412aの一方の表面に接合された弾性板412bと、流路形成板412aの他方の面に接合されたノズルプレート412cとを有する。流路形成板412aには、圧力室412dとなる溝部、ノズル連通口412eとなる貫通口、共通インク室412fとなる貫通口、インク供給路412gとなる溝部が形成されている。弾性板412bは、支持枠412hと、ピエゾ素子PZTの先端が接合されるアイランド部412jとを有する。そして、アイランド部412jの周囲には、弾性膜412iによる弾性領域が形成されている。
ピエゾ素子ユニット413は、ピエゾ素子群413aと、接着用基板413bと、素子用配線基板413cから構成されている。ピエゾ素子群は櫛歯状をしており、1つ1つの櫛歯状部分がピエゾ素子PZTに相当する。このピエゾ素子群413aは、ノズルNzに対応する数のピエゾ素子PZTを有する。そして、図4に示すように、各ピエゾ素子PZTには駆動信号COMが並列に印加される。また、接着用基板413bは矩形状の板であり、一方の表面にピエゾ素子群413aが接着され、他方の表面がケース411に接着されている。素子用配線基板413cは、各ピエゾ素子PZTに駆動信号COMを印加するための配線材料である。この素子用配線基板413cには、ヘッド駆動回路42が実装されている。
ピエゾ素子PZTは、対向する電極間に電位差を与えることにより変形する。この例では、素子の長手方向に伸縮する。この伸縮量は、ピエゾ素子PZTの電位に応じて定まる。そして、ピエゾ素子PZTの電位は、駆動信号COMにおける印加部分によって定められる。従って、ピエゾ素子PZTは、駆動信号COMの印加部分によって与えられる電位に応じて伸縮する。ピエゾ素子PZTが伸縮すると、アイランド部412jは圧力室412d側に押されたり、反対方向に引かれたりする。このとき、アイランド部周辺の弾性膜412iが変形するので、ノズルNzからインクを効率よく吐出させることができる。このようなピエゾ素子PZTは、駆動信号COMによって充放電される素子であって、インクを吐出するための動作を行う素子に相当する。そして、ピエゾ素子PZTをヘッド41本体に用いると、印加される駆動波形に応じて、吐出されるインクの量や速度を様々に制御したり、インクを吐出させずにメニスカス(ノズルNzから露出しているインクの自由表面)を微振動させたりできる。
図7は、ヘッド41の振動発生部分の等価回路である。前述のように各ノズルに対応するピエゾ素子PZTに駆動信号COMを印加し、駆動素子や圧力室を変形させると(強制振動)、駆動素子や圧力室などに振動(自由振動)が発生する。図7はこの自由振動を表した回路であり、図中の符号は以下の通りである。
Ma:ピエゾ素子におけるイナータンス(単位長さあたりの媒質の質量、kg/m4
Mn:ノズル開口部におけるイナータンス
Ms:インク供給部におけるイナータンス
Rn:ノズル開口部におけるレジスタンス(媒質の内部損失、N・s/m
Rs:インク供給部におけるレジスタンス
Cc:圧力室におけるコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、m/N)
Ca:ピエゾ素子におけるコンプライアンス
Cn:ノズル開口部におけるコンプライアンス
P:ピエゾ素子に印加する駆動波形(電位信号)を等価圧力に変換したもの
等価回路より、ピエゾ素子系の固有振動周期Taは、次式によって表される。
Ta=2π√(Ma・Ca)
同様に、圧力室内の固有振動周期Tcは、次式によって表される。
Tc=2π√〔(Mn・Ms・Cc)/(Mn+Ms)〕
同様に、メニスカスの固有振動周期Tmは、次式によって表される。
Tm=2π√〔(Mn+Ms)Cn〕
===駆動信号COMについて===
〈比較例の駆動信号〉
図8は、比較例の駆動信号COM’を示す図である。まず、本実施形態で用いる駆動信号の比較例として、台形波の駆動信号COM’とインク吐出の関係について説明する。
駆動信号生成回路70は時刻T0まで中間電位Vcを出力し、ピエゾ素子には中間電位Vcが印加される。このときの圧力室の容積を基準容積とする。その後、時刻T0から時刻T1までの間に、駆動信号生成回路70は中間電位Vcから最高電位Vhまで電位を上昇させる。この電位上昇により、ピエゾ素子PZTは長手方向に収縮し、圧力室の容積を膨張させる。その結果、圧力室内の圧力は減圧する。
そして、駆動信号生成回路70は、時刻T2まで最高電位Vhを維持した後、時刻T2から時刻T3までの間に、最高電位Vhから最低電位Vlまで電位を下降させ、ピエゾ素子を伸長する。そうすると、圧力室の容積は収縮し、圧力室内の圧力は一気に加圧され、ノズルNzからインクが吐出される。
最後に、駆動信号生成回路70は、時刻T4まで最低電位Vlを維持し、時刻T4から時刻T5までの間に、最低電位Vlから中間電位Vcまで電位を上昇させる。その結果、収縮した圧力室の容積が膨張し、圧力室内の容積は基準容積に戻される。
また、インク吐出後に振動するメニスカスにおいて、メニスカスが圧力室側に最も引き込まれ、ノズル開口側に転じる時点で、駆動信号を最低電位Vlから中間電位Vcに上昇するように設定する。そうすると、圧力室の膨張により、ノズル開口に転じようとするメニスカスが圧力室側に引き戻されるため、メニスカスは運動エネルギーを減少させ、メニスカスの振動は減衰する。即ち、メニスカスの振動が減衰するタイミングにて、圧力室を膨張させるように、時刻T3から時刻T4の電位保持期間を調整することが好ましい。
比較例である台形波の駆動信号COM’は、図8に示すように、屈曲する箇所(例:時刻T1,T3など)を有する。屈曲する箇所とは、所定期間に対する電位の変化量(電位変化の傾き)が変わる箇所である。例えば、時刻T0から時刻T1までの間は直線的に電位が増加しているのに対して、時刻T1を境に、電位の増加は止まり、電位は一定に維持される。時刻T1にて、圧力室内の容積が、最高電位Vhに対応する容積に達するので、これ以上に圧力室が膨張しないように、駆動信号COM’の電位増加を止めて、ピエゾ素子の収縮を止める。しかし、駆動信号COM’の電位増加を止めたとしても、ピエゾ素子や圧力室は慣性の働きにより急に収縮や膨張を止めることができない。その結果、ピエゾ素子や圧力室(以下、ピエゾ素子と圧力室を合わせてインク吐出部とする)には意図しない振動(変形)が発生してしまう。
言い換えると、台形波の駆動信号COM’には高周波数成分が含まれてしまい、この高周波数成分の影響により、ピエゾ素子や圧力室には意図しない振動が発生してしまう。
インク吐出部に意図しない振動が発生してしまうと、ノズルから既定量のインクが吐出されなくなり、画像劣化が発生する。また、メニスカスの乾燥を防ぐために、インクが吐出されない程度の駆動信号を印加したにも関わらず(微振動)、インクが吐出されてしまうおそれがある。つまり、台形波の駆動信号COM’に対するインク吐出部の応答には限界があるといえる。
そこで、インク吐出部(ピエゾ素子や圧力室)に意図しない振動が発生してしまうことを抑制することが、本実施形態の目的となる。以下、本実施形態で用いる駆動信号COMについて説明する。
〈実施例1:第1駆動信号COM1〉
図9Aは、実施例1の第1駆動信号COM1を示す図である。横軸は時間変化、縦軸は時刻tにおける駆動電位V(t)[V]を示す。第1駆動信号COM1は、台形波の駆動信号COM’ではなく、図示するように、正弦波で表され、傾きが連続的に変化する。時刻t0以前の駆動電位を中間電位Vcとし、このときの圧力室の容積を基準容積とする。時刻t0から時刻t1において、ピエゾ素子に印加される電位が上昇することにより(中間電位Vc→最高電位Vh)、ピエゾ素子が収縮し、圧力室は基準容積よりも膨張する(圧力室内の圧力が減圧する)。そして、時刻t1から時刻t2において、ピエゾ素子に印加される電位が下降することにより(最高電位Vh→最低電位Vl)、ピエゾ素子が伸長し、圧力室は収縮し(圧力室内の圧力が加圧され)、ノズルからインク滴が吐出される。最後に、時刻t2から時刻t3において、ピエゾ素子に印加される電位が上昇することにより(最低電位Vl→中間電位Vc)、収縮した圧力室が膨張し、圧力室内の容積は基準容積に戻される。
このような正弦波の駆動信号COMは、台形波の駆動信号COM’とは異なり、1回のインク滴吐出期間中(時刻t0から時刻t3まで)に屈曲する箇所を有さず、電位変化が滑らかである。そのため、ピエゾ素子や圧力室に意図しない振動が発生してしまうことを抑制できる。
言い換えると、このような正弦波の駆動信号COMは、台形波の駆動信号COM’のように高周波数成分が含まれないため、ピエゾ素子や圧力室に意図しない振動が発生してしまうことを抑制できる。
具体的に説明すると、第1駆動信号COM1では、駆動電位V(t)の変化が増加から減少へと切り替わる地点である時刻t1に近付くほど、電位上昇率が小さくなる。そして、時刻t1近傍では電位上昇率が微小となる。そのため、時刻t1を境に電位上昇を止め、時刻t1直後から電位を下降させ始めたとしても、時刻t1直後に、駆動信号COM1に反して、ピエゾ素子を収縮させ、圧力室を膨張させようとする慣性力が働いてしまうことが防止される。ゆえに、ピエゾ素子や圧力室に意図しない振動(変形)が発生してしまうことを抑制することができる。
同様に、駆動電位V(t)の変化が減少から増加へと切り替わる地点である時刻t2に近付くほど、電位下降率が小さくなる。そのため、時刻t2を境に電位下降を止め、時刻t2直後から電位を上昇させ始めたとしても、ピエゾ素子や圧力室に対して、慣性力(伸長・収縮させようとする力)が働いてしまうことが防止される。ゆえに、ピエゾ素子や圧力室に意図しない振動(変形)が発生してしまうことを防止できる。
また、ピエゾ素子は時刻t1から徐々に伸長し始め、時刻t1と時刻t2の中間地点で、伸長率(所定期間に対する伸長量)が最大となり、その後、時刻t2に近付くにつれて徐々に伸長率が小さくなる。そのため、圧力室も時刻t1から徐々に収縮し始め、時刻t1と時刻t2の中間地点で、収縮率が最も大きくなり、その後、時刻t2に近付くにつれて徐々に収縮率が小さくなる。つまり、時刻t1から時刻t2のインク滴吐出期間において、ピエゾ素子や圧力室が徐々に変形を開始し、徐々に変形を終了するというように、滑らかに変形することで、ピエゾ素子や圧力室に意図しない振動が発生してしまうことが抑制され、その結果、既定量のインクが吐出される。
また、インク吐出部(ピエゾ素子・圧力室)などの一般構造物の振動は正弦波状に発生することからも、台形波の駆動信号COM’よりも正弦波の駆動信号COMを用いる方が、インク吐出部の変形(振動)が自然となり、意図しない振動が発生し難いといえる。
このように、インク吐出部に意図しない振動が発生してしまうことを抑制することで、既定量のインクを吐出することができ、微振動の際にも誤ってインクが吐出されてしまうことがなくなる。即ち、正弦波の駆動信号COMを用いることで、インク吐出部が常に所望の動きを行うため(例えば、既定量のインクを吐出する等)、印刷画像の劣化を防止できる。また、意図しない振動に抗ってインクを吐出するために、例えば、駆動信号の電位を上げる必要がなくなるため、エネルギー損失が防止されるともいえる。
更に、本実施形態では、駆動信号生成回路70(変換回路に相当)が、コントローラ10からのDAC値(デジタルデータ)を、DAC値に対応した駆動信号COM(電位信号)にDA変換する。そして、コントローラ10は、駆動信号COMが正弦波となるように、駆動信号生成回路70にDAC値を出力することを特徴とする。例えばLC回路などによっても、正弦波の駆動信号を生成することができるが、LC回路では、駆動信号の周期が固定されてしまう。そのため、DA変換回路(駆動信号生成回路70)により駆動信号COMを生成させる方が、駆動信号COMの設計の自由度が増す。
ところで、第1駆動信号COM1は、比較的に周期の短い第1波形W1(第1の正弦波)と比較的に周期の長い第2波形W2(第2の正弦波)から構成され、時刻t2にて駆動波形Wの種類が切り替わっている。このような第1駆動信号COM1を生成する場合、DA変換回路(駆動信号生成回路70)を用いれば、時刻t2にてコントローラ10が出力するDAC値を変更するだけで、第1波形W1から第2波形W2に切替えることができる。つまり、DA変換回路(駆動信号生成回路70)により駆動信号COMを生成させることで、1つの波形生成回路71から複数種類の駆動信号COM(駆動波形W)を容易に生成することができ、ノズルからインク滴を1回吐出する期間に(図9Aでは時刻t0〜時刻t3)、周期の異なる2種類の駆動波形から構成される駆動信号COMを発生させることも容易に可能となる。
次に、第1波形W1と第2波形W2について説明する。時刻t0から時刻t2までの第1波形W1は、「インク吐出用の波形」であり、時刻t2から時刻t3までの第2波形W2は、収縮した圧力室の容積を基準容積に戻し、インク滴吐出前後の電位(中間電位Vc)を揃える役割と、第1波形W1を印加することにより発生する圧力室内の振動(固有振動周期Tcによる振動、以下、Tc振動とする)や、それに伴うメニスカスの振動を抑える役割とを担った「制振用の波形」である。
図9Bは、第1波形W1及び第2波形W2を表す波形式のパラメータがまとめられた表である。第1波形W1も第2波形W2も以下の波形式により表すことができる。なお、V(t)は時刻tにおける駆動電位V(t)[V]である。
V(t)=A・exp(−γ・t)・sin(ωt+φ)+B
A[V]は振幅、ω[rad/S]は角振動数であり、φ[rad]は位相の調整量(初期位相)を示し、B[V]は最低電位Vlが負の値とならないように中間電位Vcを高めた電位量(振幅中心調整値)を示す。つまり、第1駆動信号COM1は、ノズルから1つの液体滴が吐出される所定期間(時刻t0から時刻t3)に、周期の異なる2種類の正弦波(駆動波形W1,W2)からなる。
なお、実施例1では、exp(−γ・t)のγ値をゼロ(γ=0)とするため、第1駆動信号COM1を構成する第1波形W1と第2波形W2は、以下の式のように表すこともできる。
V(t)=A・sin(ωt+φ)+B
第1波形W1は第2波形W2に比べて、角振動数ωが大きく、周期Tが短い(T=2π/ω)。また、第1波形W1は第2波形W2に比べて振幅Aが大きい。これにより、インク吐出(第1波形の印加)の際には、インク吐出部(ピエゾ素子・圧力室)を短期間に大きく変形させることができ、圧力室内に強い圧力を発生し、インク吐出量を増やすことができる。
一方、インク吐出後に圧力室の容積を基準容積に戻し、Tc振動を制振する際には、第2波形W2により、インク吐出部をゆっくりと変形させる。これは、1つのヘッド41はインク吐出部(ピエゾ素子・圧力室)を多数有するため、インク吐出部によってTc振動の発生の仕方に多少のばらつきがあるからである。もし、あるインク吐出部の固有振動周期Tcに合わせて第2波形W2の周期を決定したとする。そうすると、他のインク吐出部に第2波形W2を用いる際に、固有振動周期Tcのバラツキによっては、他のインク吐出部のTc振動を加振してしまうおそれがある。そこで、全ての圧力室に対して制振の効果が得られるように、第2波形W2の周期T2は比較的に長く設定している。
ところで、図8の台形の駆動信号COM’では、インク滴吐出後の電位保持期間(時刻T3〜時刻T4)にて圧力室を膨張させるタイミングを調整し、メニスカスの振動を制振させている。これに対して、本実施形態の第1駆動信号COM1は電位保持期間を有さないが、時刻t2近傍地点は時刻t3近傍地点に比べると、所定期間に対する電位上昇率が小さくなっている。そのため、この時刻t2近傍地点が台形波の駆動信号COM’の電位保持期間に相当し、時刻t3近傍地点にて、メニスカスが圧力室側に大きく引き込まれた後にノズル開口側に転じる際に、圧力室が大きく膨張するため、メニスカスの振動を制振させることができる。
このように、第1駆動信号COM1が、1回のインク滴吐出期間中に、周期Tの異なる複数種類の駆動波形(正弦波)を有することで、より効果的にインクを吐出したり、Tc振動を制振したりすることができ、目的に応じた駆動信号を用いることが出来る。なお、台形波の駆動信号COM’には高周波数成分が含まれ、ピエゾ素子や圧力室に意図しない振動が発生してしまうと前述しているが、第1駆動信号COM1は、圧力室内の固有振動周期Tcよりも短い周期の駆動波形Wは有していない。
また、駆動信号COMが1回のインク滴吐出期間中に周期Tの異なる複数種類の駆動波形を有する場合、コントローラ10が出力するDAC値を変更すれば、駆動波形Wを切替えることができる。例えば、コントローラ10が、第1波形W1と第2波形W2の共通の波形式(V(t)=A・sin(ωt+φ)+B)を基にDAC値を算出する場合、第1波形W1から第2波形W2に切替える際に、波形式のパラメータを変更すればよい。
ところで、第1波形W1と第2波形W2の切り替え地点である時刻t2では、第1波形W1と第2波形W2がそれぞれ示す駆動電位V(t2)が等しく、第1波形W1と第2波形W2の傾き(波形式の1階微分の値)が等しくなっている。このように、駆動波形Wの切り替え地点(時刻t2)において、切り替え前後の駆動波形が示す駆動電位を等しくし、切り替え前後の駆動波形の波形式の傾きを等しくすることで、傾きが連続的に変化する電位信号が得られ、切り替え地点における急な電位変化を防止することができる。その結果、切り替え地点にて、屈曲箇所が生じないため、インク吐出部に意図しない振動が発生してしまうことを抑制できる。
また、第1波形W1と第2波形W2の切り替え地点である時刻t2では、第1波形W1と第2波形W2のそれぞれの傾きが「ゼロ」となっている。このように、駆動波形Wの傾きがゼロ(または出来る限り小さい)地点で駆動波形Wの種類を切り替えることで、駆動波形Wの切り替えの際に位相のズレが生じたとしても、切り替え地点において、切り替え前後の駆動波形が示す各駆動電位の誤差を出来る限り小さくすることができる。但し、切り替え前後の駆動波形が示す駆動電位を等しくし、切り替え前後の駆動波形の波形式の傾きを等しくすれば、電位変化が滑らかになり、インク吐出部の意図しない振動を抑えられるため、必ずしも切り替え前後の駆動波形の波形式の傾きをゼロにしなくともよい。
更に、駆動波形Wの切り替え地点は、ノズルからインクが吐出される期間には存在せず、インクの吐出が完全に終了した後に存在することが好ましい。仮に、インクの吐出が終了する前に駆動波形Wを切り替えて、電位の誤差が生じてしまうと、既定量のインクが吐出されなくなってしまうからである。第1駆動信号COM1の場合、時刻t1から時刻t2の間にインク吐出が終了するため、時刻t2にて、第1波形W1から第2波形W2に切り替えている。
また、インク吐出用の第1波形W1では、時刻t0における初期位相をパラメータ「φ」により調整し、時刻t0における駆動電位V(t0)、即ち、中間電位Vcを第1波形W1の振幅の中心電位よりも低く設定している。そうすることで、圧力室をより大きく膨張し、より大きく収縮させることができ、その結果、多量のインクを吐出することができる。一方、第1波形W1の初期位相「φ」をずらし、中間電位Vcを比較的に低く設定することで、第2波形W2の振幅Aは第1波形W1の振幅Aよりも小さくなる。そのため、初期位相「φ」を調整することで、振幅の異なる2種類の駆動波形W1,W2を有する駆動信号COMであっても、中間電位Vcを揃えることができるともいえる。その結果、駆動信号COMの印加前と印加後の圧力室の容積(基準容積)を一定にすることができ、駆動信号COMを繰り返し利用することができる。
また、インクの粘度はヘッド41周辺の環境温度により変化し、環境温度が高温の場合にはインク粘度が低くなり、環境温度が低温の場合にはインク粘度が高くなる。そのため、ヘッド41周辺の環境温度の変化によらずに既定量のインクが吐出されるように、環境温度に応じて、駆動信号COMを表す波形式のパラメータ(振幅Aや角振動数ω)を変えてもよい。例えば、ヘッド41周辺が高温である場合、インクは吐出されやすくなるため、振幅Aを小さくし、角振動数ωを小さくすればよい。
このように、駆動信号COMが示すパラメータを変化させることで、目的に応じた駆動信号COMをピエゾ素子に印加することができる。
また、微振動を行うための駆動信号については具体的に図示しないが、駆動信号COM1と同様に正弦波とすることで、微振動の際に誤ってインクが吐出されてしまうことを防止できる。そのため、微振動のための駆動信号も第1波形W1や第2波形W2と同じ波形式(V(t)=A・exp(−γ・t)・sin(ωt+φ)+B)で表すことができ、例えば、微振動のための駆動信号では、第1波形W1の波形式に比べて振幅Aを小さくすればよい。
図10は、第1駆動信号COM1による圧力室の圧力変動とTc振動による圧力室の圧力変動を示す図である。図中において、第1駆動信号COM1は実線で表され、Tc振動は点線で表されている(なお、Tc振動は吐出の影響を受けて不連続となる可能性があるため時刻T3以降は細線にて示す)。時刻T0から時刻T1にかけて第1駆動信号COM1は電位が上昇し、それに伴って圧力室が膨張する。時刻T1から時刻T3にかけて第1駆動信号COM1は電位が下降し、圧力室が収縮してインクが吐出される。そして、時刻T3にて第1波形W1から第2波形W2に切り替わる。第1波形W1の周期をT1(=T0〜T4)とし、第2波形W2の周期をT2とする。
ピエゾ素子に駆動信号COMを印加すると、ピエゾ素子や圧力室、メニスカスに自由振動(図7の等価回路で表される振動)が発生する。特に、圧力室内の自由振動(Tc振動)は、インク吐出に大きく影響を及ぼすといえる。なお、ピエゾ素子の固有振動周期Ta(例えば2μm)は、圧力室内の固有振動周期Tc(例えば7μm)に比べると短く、逆に、メニスカス自身の固有振動周期Tm(例えば100μm)は、Tc振動に比べると非常に長いため、インク吐出に及ぼす影響は小さいといえる。
そこで、この実施例1では、ノズルからインクが吐出されるときにピエゾ素子に印加される第1波形W1の周期T1をTc振動の固有振動周期Tcに設定する。即ち、第1波形W1の角振動数ω1とTc振動の固有角振動数ωcを等しくする。なお、本実施形態のTc振動の固有角振動数ωcは、10.5×10[rad/S]とし、固有振動周期Tcは、6.0[μs]する。そうすると、駆動信号COM1により時刻T0から時刻T1にかけて圧力室が膨張することで発生するTc振動は、時刻T1から時刻T3にかけて、圧力室を収縮させる方向に力が働く。そのため、時刻T1から時刻T3では、駆動信号COM1により圧力室は収縮し、更に、Tc振動によっても圧力室が収縮するため、より大きな力で圧力室が収縮される。
つまり、駆動信号COMにおいて、インク滴を吐出する工程(時刻T0から時刻T3)に属する駆動波形(W1)の周期(T1)を、圧力室内の固有振動周期Tcと等しくすることで、駆動信号COMによる圧力室の収縮とTc振動による圧力室の収縮を同期させることができ、圧力室をより収縮することができる。また、圧力室内の固有振動周期Tcと等しい周期の第1波形W1が圧力室を膨張させるため、より大きく圧力室を膨張させることができる。その結果、吐出効率が上がり、多量にインクを吐出することができる。また、逆に言えば、少ない電位変化でインク滴を吐出することができるため、消費電力の低減に繋がる。
なお、駆動信号COMにより圧力室が膨張することでTc振動が発生することから、特に、圧力室を収縮する工程(時刻T1〜時刻T3)に属する駆動波形の周期を、圧力室内の固有振動周期Tcと等しくすれば、駆動信号COMによる圧力室の収縮とTc振動による圧力室の収縮を同期させることができ、インク吐出効率を上げることができる。
〈実施例2:第2駆動信号COM2〉
図11Aは、実施例2の第2駆動信号COM2を示す図であり、図11Bは、第1分解波形Wa1と第2分解波形Wa2の波形式のパラメータをまとめた表である。図12Aは第1分解波形Wa1を示す図であり、図12Bは第2分解波形Wa2を示す図であり、図12Cは第2駆動信号COM2と第1分解波形Wa1(第1の正弦波)と第2分解波形Wa2(第2の正弦波)を同一グラフ上に示した図である。実施例2の第2駆動信号COM2は、異なる波形式(式に相当)「V(t)=A・sin(ωt+φ)+B」にて表される2つの分解波形Wa1,Wa2を加算した波形(以下、合成波と呼ぶ)である。この合成波である第2駆動信号COM2が正弦波で表される電位信号であり、傾きが連続的に変化する。
図12Bに示すように、第2分解波形Wa2は、時刻t0から時刻t1にかけて電位が上昇し、その後は電位が下降し続ける。また、第2分解波形Wa2では、時刻t6以降、電位は負の値となる。一方、第1分解波形Wa1(図12A)は、1回のインク滴吐出期間内(時刻t0〜時刻t3)に、1周期以上の波形が含まれている。そのため、ピエゾ素子に第1分解波形Wa1を印加すると、時刻t0から時刻t1の電位上昇期間に圧力室は膨張し、時刻t1から時刻t5の電位下降期間に圧力室は収縮し、インク滴を吐出することができる。また、時刻t5以降の電位上昇期間にて、収縮した圧力室を膨張し、基準容積に戻すことができる。
即ち、この第1分解波形Wa1のように、1種類の正弦波状の駆動波形によってもインクを吐出することができ、正弦波で表され傾きが連続的に変化する駆動波形であれば、比較例として示した台形波の駆動信号COM’(図8)のように、屈曲する地点を有さないため、意図しない振動が発生してしまうことを防止できる。しかし、実施例1にて説明しているように、吐出に適した駆動波形と制振に適した駆動波形では、波形形状が異なる。そのため、実施例1の第1駆動信号COM1では時刻t2において駆動波形の種類を切り替え、波形形状を変えているが(図9)、これに限らず、この第2駆動信号COM2のように、2つの分解波形Wa1,Wa2を加算してもよい。
次に、第1分解波形Wa1と第2分解波形Wa2とを加算することで、吐出と制振に適した駆動信号COMとなることについて説明する。例えば、多量のインクを吐出したい場合には、吐出用の駆動波形の振幅Aを大きくして、圧力室を大きく膨張するとよい。そこで、圧力室の膨張期間(時刻t0から時刻t1)にて、電位が上昇している第1分解波形Wa1と、同じく膨張期間に電位が上昇している第2分解波形Wa2とを加算する。そうすると、図12Cに示すように、各分解波形Wa1,Wa2の振幅よりも、合成波である第2駆動信号COM2の振幅の方が大きくなり、圧力室をより膨張することができる。
また、多量のインクを吐出したい場合には、最高電位Vhと最低電位Vlとの電位差を大きくし、圧力室をより収縮すればよい。そこで、圧力室の収縮期間(時刻t1から時刻t2)にて、電位が下降する第1分解波形Wa1と、時刻t6を境に電位が負の値となる第2分解波形Wa2を加算する。そうすると、図12Cに示すように、第2駆動信号COM2の最低電位Vlを、第1分解波形Wa1の最低電位Vl1よりも低くすることができる。
つまり、圧力室を収縮する期間から圧力室を膨張する期間にかけて第2分解波形Wa2が示す電位値をマイナスとすることで、第1分解波形Wa1の電位下降量(Vh1−Vl1)よりも、第2駆動信号COM2の電位下降量(Vh−Vl)の方が大きくなり、第2駆動信号COM2は第1分解波形Wa1に比べて、圧力室を大きく収縮させることができる。ゆえに、第1分解波形Wa1よりも第2駆動信号COM2を使用することで、より多量にインクを吐出することができる。
そして、インク吐出後の制振期間(時刻t2から時刻t3)では、第1分解波形Wa1は、電位が上昇するのに対して、第2分解波形Wa2は、負の領域にて更に電位が下降する。そのため、第1分解波形Wa1と第2分解波形Wa2を合成すると、第2駆動信号COM2は、第1分解波形Wa1に比べて緩やかに電位が上昇する。そして、第2駆動信号COM2の方が第1分解波形Wa1に比べて、中間電位Vcに達する時刻が遅い。即ち、第1分解波形Wa1と第2分解波形Wa2とを合成することで、第2駆動信号COM2は、インク吐出工程(時刻t0から時刻t2)の駆動波形の周期よりも制振工程(時刻t2から時刻t3)の駆動波形の周期の方が長くなるため、ヘッド41に属するインク吐出部によって、Tc振動にバラツキがあったとしても、全てのインク吐出部に対して制振の効果が得られる。
このように、第1分解波形Wa1と第2分解波形Wa2を加算した第2駆動信号COM2を使用することにより、より効果的な吐出と制振を行うことができる。また、第1分解波形Wa1と第2分解波形Wa2の各周期は、圧力室内の固有振動周期Tc以上とする。なお、第2分解波形Wa2の周期は第1分解波形Wa1の周期よりも長く、第2駆動信号COM2は、1回のインク滴吐出期間内に異なる周期の駆動波形が2種類存在しているといえる。
また、駆動信号生成回路70が第2駆動信号COM2を生成する場合、ノズルからの1回のインク滴吐出期間中に駆動波形を切り替える必要がないため、切り替えの際の電位誤差が生じる虞がない。但し、コントローラ10が駆動信号COMの波形式(V(t)=A・sin(ωt+φ)+B)を基にDAC値を算出する場合、2つの波形式を加算して、DAC値を算出しなければならず、コントローラ10の演算は多少複雑となる。
〈実施例3:第3駆動信号COM3〉
図13Aは、実施例3の駆動信号COM3を示す図であり、図13Bは、第1波形W1から第3波形W3の波形式のパラメータをまとめた表である。第3駆動信号COM3は、正弦波で表される電位信号であり、傾きが連続的に変化する。この実施例3では、圧力室を膨張する工程と、圧力室を収縮してインクを吐出する工程と、制振する工程において、駆動波形の種類を異ならせ、各工程の目的に応じた駆動波形を使用する。そのため、第3駆動信号COM3は、膨張用の第1波形W1(第1の正弦波)と、収縮用の第2波形W2(第2の正弦波)と、制振用の第3波形W3(第3の正弦波)から構成される。第1波形W1から第3波形W3は波形式「V(t)=A・exp(−γ・t)・sin(ωt+φ)+B」にて表される。
第1波形W1は第2波形W2よりも周期Tが長く、図13Bに示すように、第1波形W1は第2波形W2よりも角振動数ωが小さい。これは、膨張工程(時刻t0〜時刻t1)において、急激に圧力室を膨張させてしまうと、ノズル開口から圧力室内に空気を取り込んでしまう虞があるからである。
そして、収縮工程(時刻t1〜時刻t2)では、周期の短い第2波形W2を使用する。これにより、膨張している圧力室を一気に収縮するができ、より強い力でインクを吐出することができる。その結果、多量のインクが吐出される。また、第2波形W2の周期を圧力室内の固有振動周期Tcと等しくすることで、吐出効率を上げている。
最後の制振工程(時刻t2から時刻t3)では、一番周期の長い第3波形W3を使用する。そうすることで、インク吐出部によりTc振動にバラツキがあったとしても、全てのインク吐出部に対して制振の効果が得られる。
なお、第1波形W1から第3波形の各周期は、圧力室内の固有振動周期Tc以上である。
このように、実施例1の第1駆動信号COM1は2種類の駆動波形W1,W2から構成されているが、これに限らず、第3駆動信号COM3のように、目的に応じて、1回のインク滴吐出期間内に異なる周期の3種類の駆動波形(正弦波)から構成されてもよいとする。なお、実施例1にて説明しているように、インクの吐出が完全に終了した後に、第2波形W2から第3波形の切り替え地点(時刻t2)を設けるとする。また、各駆動波形の切り替え地点(時刻t1、t2)では、切り替え前後の各駆動波形が示す駆動電位を等しくする。そして、各駆動波形の切り替え地点では、切り替え前後の各波形式の傾きを等しくし、その傾きが出来るだけ小さいことが好ましい。
〈実施例4:第4駆動信号COM4〉
図14Aは、実施例4の第4駆動信号COM4を示す図であり、図14Bは、波形式のパラメータをまとめた表である。第4駆動信号COM4の吐出用の第1波形W1では、波形式「V(t)=A・exp(−γ・t)・sin(ωt+φ)+B」の減衰項exp(−γ・t)を用いる。そうすることで、第4駆動信号COM4は、第1駆動信号COM1(図9)に比べて、時刻t0からの電位上昇の立ち上がりが緩やかになる。この減衰項を用いた第1波形W1を有する第4駆動信号COM4は、正弦波で表される電位信号であり、傾きが連続的に変化する。
このように電位上昇の立ち上がりを緩やかにすることで、インク吐出部(ピエゾ素子・圧力室)は無理なく変形を開始することができる。また、圧力室をゆっくり膨張することで、ノズル面から空気が入り込んでしまうことも防止できる。
以下、減衰項exp(−γ・t)を用いることで、駆動信号の電位の立ち上がりが緩やかになる理由について説明する。
図15は、減衰項exp(−γ・t)と、減衰項により補正する前の第1波形W1’のグラフを示す図である。図から分かるように、補正後の第1波形W1の時刻t0からの電位立ち上がり部分は、補正前の第1波形W1’において中心電位よりも電位が低い波形部分、即ち、最低電位から電位が上昇する波形部分に相当する。しかし、補正前の第1波形W1’から第2波形W2に切り替えようとしても、切り替え地点(時刻t2)における電位差が大きい。そのため、第1波形W’を補正せずに使用すると、圧力室が一気に収縮され、意図しない振動が発生してしまう。
そこで、減衰項exp(−γ・t)を用いて、補正前の第1波形W1’の時刻t1から時刻t2における電位下降量を、補正後の第1波形W1のように増加させ、最終的に、時刻t2にて最低電位Vlに達するようにする。その結果、第1波形W1から第2波形W2に切り替える際の駆動電位を等しくすることができる。
更に、時刻t1では、減衰項exp(−γ・t)により、補正後の第1波形W1は補正前の第1波形W’よりも、最高電位Vhを高めることができ、圧力室はより大きく膨張することができる。このように、減衰項exp(−γ・t)を用いることで、正弦波を目的に応じた波形形状に補正することができる。
また、第4駆動信号COM4の液体を吐出する期間(時刻t0から時刻t2)では、補正前の第1波形W1’における中心電位よりも電位が低い波形部分を用いるため、第1波形W1(補正前の第1波形W1’)の周期は比較的に短い周期となっている。一方、第2波形W2の周期は、圧力室のバラツキに因らずに全てのTc振動に対して制振の効果が得られるように、第1波形W1の周期よりも長くなっている。つまり、第4駆動信号COM4は、目的に応じて、ノズルから1つの液体滴が吐出される所定期間(時刻t0から時刻t3)に、周期の異なる2種類の正弦波(駆動波形W1,W2)からなる。なお、第1波形W1と第2波形W2の各周期は、圧力室内の固有振動周期Tc以上である。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、正弦波の駆動信号等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
〈駆動信号生成回路について〉
前述の実施形態では、駆動信号生成回路(DA変換回路)を用いて駆動信号を生成しているがこれに限らない。例えば、LC回路などを用いて正弦波で表される駆動信号を生成しても良い。但し、LC回路では、生成可能な波形の周期が固定されてしまうため、異なる周期の駆動波形から成る駆動信号を生成するためには、複数のLC回路をスイッチ等で切替える必要があり、回路や制御が複雑となる。
〈ヘッド41について〉
前述の実施形態では、駆動電位を上昇させた時に圧力室が膨張し、駆動電位を下降させた時に圧力室が収縮するヘッドであり、駆動電位を上昇させた時に圧力室が収縮し、駆動電位を下降させた時に圧力室が膨張するヘッドの場合は、図示している駆動信号を上下反転させた駆動信号を用いればよい。
〈液体吐出装置について〉
前述の実施形態では、液体吐出方法を実施する液体吐出装置(一部)としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、インクジェットプリンタとして、ヘッドが、搬送方向と交差する方向に移動するシリアル式プリンタを例に挙げているが、これに限らない。例えば、紙幅方向にノズルが並び、ライン状に並んだノズルの下を紙が搬送されることにより印刷が完成するラインヘッドプリンタでもよい。
本実施形態のプリンタの全体構成ブロック図である。 図2Aはプリンタの斜視図であり、図2Bはプリンタの断面図である 図3Aは駆動信号生成回路を示す図であり、図3Bは電位波形信号の生成を説明する図である。 駆動信号生成回路とヘッド駆動回路を示す図である。 各信号のタイミングチャートである。 図6Aはヘッド本体の断面図であり、図6Bはヘッド本体の主要部を拡大断面図である。 ヘッドの振動発生部分の等価回路である。 比較例の駆動信号を示す図である。 図9Aは第1駆動信号を示す図であり、図9Bは第1波形及び第2波形のパラメータがまとめられた表である。 第1駆動信号とTc振動による圧力室の圧力変動を示す図である。 図11Aは第2駆動信号を示す図であり、図11Bは第1分解波形と第2分解波形のパラメータをまとめた表である。 図12Aは第1分解波形、図12Bは第2分解波形、図12Cは第2駆動信号と第1分解波形と第2分解波形を示す図である。 図13Aは第3駆動信号を示す図であり、図13Bは第1波形から第3波形のパラメータをまとめた表である。 図14Aは第4駆動信号を示す図であり、図14Bは波形式のパラメータをまとめた表である。 減衰項と補正前の第1波形を示す図である。
符号の説明
1 プリンタ、
10 コントローラ、11 インターフェース部、12 CPU、13 メモリ、
14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、23 搬送ローラ、
24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、411 ケース、411a 収容室、
412 流路ユニット、412a 流路形成板、412b 弾性板、
412c ノズルプレート、412d 圧力室、412e ノズル連通口、
412f 共通インク室、412g インク供給路、412h 支持枠、
412j アイランド部、412i 弾性膜、42 ヘッド駆動回路、
42 ヘッド駆動回路、421 第1シフトレジスタ、422 第2シフトレジスタ、
423 ラッチ回路群、424 データセレクタ、413 ピエゾ素子ユニット、
413a ピエゾ素子群、413b 接着用基板、413c 素子用配線基板、
50 検出器群、51 紙検出センサ、60 コンピュータ、
70 駆動信号生成回路、71 波形生成回路、72 電流増幅回路

Claims (3)

  1. 電位信号を生成する電位信号生成部と、
    ノズルから液体を吐出するために、電位信号が印加されると変形する駆動素子と、を有
    し、
    前記電位信号は、複数の正弦波で表されると共に、傾きが連続的に変化し、
    前記ノズルから1つの液体滴が吐出される所定期間に前記駆動素子に印加される前記電
    位信号は、少なくとも1つのインク吐出波形と1つの制振波形を含む周期の異なる複数種類の正弦波からなると共に、前記インク吐出波形を生成するために前記駆動素子に電位信号が印加される時間は、前記インク吐出波形の周期より短く、かつ前記制振波形を生成するために前記駆動素子に電位信号が印加される時間は、前記制振波形の周期より短く、
    更に前記電位信号の振幅をAとし、前記電位信号の角振動数をωとし、前記電位信号の初期位相をφとし、前記電位信号の振動中心調整値をBとしたとき、前記電位信号が時刻tにおいて示す電位である駆動電位V(t)を表す式が、
    V(t)=A×sin(ωt+φ)+B
    となり、前記制振波形に比べて、前記吐出波形の前記角振動数ωと前記振幅Aが大きい
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置であって、
    前記ノズルに連通し、前記駆動素子の変形によって膨張、収縮される圧力室を有し、
    少なくとも1つの前記正弦波の周期は、前記圧力室内の固有振動周期Tcと等しい、
    液体吐出装置。
  3. 請求項2に記載の液体吐出装置であって、
    前記ノズルから液体を吐出させるときに前記駆動素子に印加される前記電位信号の前記
    正弦波の周期は、前記圧力室内の固有振動周期Tcと等しい液体吐出装置。
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