JP5216622B2 - 地中潅水装置 - Google Patents
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Description
これを補うために、従来、高圧ジェットノズルを使用して、地中に高圧潅水する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、簡易な構成で、均質かつ正確な水量制御を可能とした地中潅水装置を提供することにある。
本発明では、主管から注水管に至る任意の部位におけるジョイントに、内径が2mm以下の流路を有するノズルを設け、ジョイント本数M、ノズル内径d、主管内径Dとしたとき、D 2 ≧100M・d 2 、となるように設定したため、主管内の高圧圧力を制御することで、多点における各注水管からの注水量を簡単に、ほぼ均等に制御できる。
一般に、各注水管に流量センサーを設け、この計測値に従い、高圧制御を行う場合、注水管の数に対応した流量センサーが必要になり、この計測のための電源供給や信号出力を装備せざるを得ず、広大な土地に適用することは困難である。
本発明では、この制御が容易であり、上記構成の結果として、部品点数が少ないため、安価かつ信頼性に優れ、長期に亘って故障が少ない。
この発明では、ジョイントを主管に設けているため、本地中潅水装置の設置作業が簡単であり、しかもノズル交換などのメンテナンスが容易になる。
前記ノズルは、前記主管内の圧力増加により該ノズルの流路から押し出されると共に、前記主管内の圧力が低下すると元の位置に復帰する針弁を備えてもよい。
前記注水管の先端部に、該注水管内の圧力変動により稼動する円錐状の突起体を備えてもよい。
前記圧送ポンプと前記主管の間に圧力センサーを配置し、該圧力センサーの出力信号を圧送ポンプの駆動モーターに制御信号として入力し、当該主管に供給する圧力を制御可能としてもよい。
前記圧力センサーと前記主管の間に、逆止弁及び混合器を配置し、逆止弁及び混合器の間に、水溶性の肥料や土壌改質剤、食塩水や薬剤等の有用液体、あるいは、空気、酸素や二酸化炭素等の有用気体を混入可能としてもよい。
図1A,Bは、本発明による地中潅水装置の一実施の形態を示す。
この地中潅水装置100は、例えば砂漠の緑化や果樹園等のための恒久設置システムの一例を示す。この例の場合は、水源等から、1台の大型フィード・ポンプ1により予備圧送された潅水(=水溶性肥料、水溶性土壌改質剤や薬剤、有用気体が混在していても構わない)が、複数の高圧ポンプ3,3,3…を介して、主管5,5,5…に供給される。
各主管5の壁部には、例えばL=5m、及びW=5mの間隔で、図2に示すように、複数の開口部5Aが設けられている。
これら開口部5Aには、ジョイント7の一端が捻じ込み接続され、ジョイント7の他端には、注水管9が接続されている。各注水管9の先端部は、目的と環境により、H=0(0.5)〜10mの深さで地中に埋設されている。各注水管9の端面内径d1mmは、土壌に対する浸透力F{=(πd12/4)ΔP:ΔP=主管5内圧力}を大きくして、目詰まりを防止するために、内径d1≧4mm等の大きさが選ばれている。各注水管9の間隔Wは、例えば、2〜10m等、設置場所等により適切に選択される。
この構成では、ジョイント7を主管5に設けたため、本地中潅水装置の設置作業がきわめて簡単になり、しかもノズル13交換のメンテナンスなどが容易になる。なお、本構成では、ノズル13を含むジョイント7が、主管5の開口部に設けられているが、これに限定されず、例えばジョイント7が注水管9の途中に設けられていてもよく、ジョイント7は、主管5から注水管9に至る任意の部位に配置が可能である。
図より、大凡、
Q=0.457d2≒0.5d2 …(1)
の関係にあることが分かる。
図より、
Q=1.1491(ΔP)0.5413≒(0.5×0.82)(10・ΔP)0.541
≒0.5d2√(10・ΔP) …(2)
で概算されることが分かる。
式(2)より、負荷圧力ΔPを、ΔP=0〜10MPaに可変させた場合、ΔP=0.1MPa時の流量を基本とすると、ΔP=10MPa時の流量の割合は、
R={0.5d2√(10・10)}/{0.5d2√(10・0.1)}
=√(100)=10) …(3)
と計算されるため、印加圧力管理により、ΔP=0.1MPa時の流量の、0〜10倍の範囲で、一義的に流量制御が可能となる。負荷圧力ΔPは、高圧ポンプ3の例えば回転数などの変更により実行される。
ψ=〔{0.5d2√10(ΔPx±0.1)}
/{0.5d2√10(ΔPx)}―1〕×100
=〔{√(ΔPx±0.1)/√ΔPx}―1〕×100) …(4)
または、
ψ=〔{0.5d2√10(ΔPx±0.05)}
/{0.5d2√10(ΔPx)}―1〕×100
=〔{√(ΔPx±0.05)/√ΔPx}―1〕×100) …(5)
となる。圧力制御が「±0.1MPa」の設定誤差の場合は、ΔP≧0.4MPa、「±0.05MPa」の設定誤差の場合は、ΔP≧0.2MPaの領域で、流量制御誤差が「≦10(%)RS」で、流量制御可能なことが分かる。
実際に適用する場合、例えば、供給印加圧力が「ΔP=0.2MPa」の領域で、圧力設定誤差が0.1MPaのことはあり得ないため、当該領域での制御に限れば、更に、高精度の圧力制御、すなわち、流量制御が可能である。
本実施の形態では、主管5内への印加圧力の管理により、各注水管9への流量制御が可能となるため、多点潅水の場合に、いちいち各注水管9に、流量センサー(図示せず)などを取り付けることなく、均質な注水が可能となる。
例えば、0〜100(l/day)〜1000(l/day)の例で見ると、かなりの大流量供給の場合でさえ、ノズル13の必要な内径d2は、d2≒0.473mmと小さく、通常のドリルでは、精密加工が困難である。
V=(Q×1000/60)/(πd2/4)/100 …(6)
式(6)より、0.1MPa時は、
V=(0.6944×1000/60)/(π0.4732/4)/100
≒0.66Vm/sec、
10MPa時は、その10倍の、
V≒6.59m/secの速度で流れる。
すなわち、0〜0.66〜6.6m/sec以上の流速に対応するためには、ノズル13の材質として、摩滅しない材質である、SUS316、SUS329J4L、ハステロイ等の金属、あるいは、セラミックス等の耐磨耗材料を使用することが必要となる。この材料は、加工面から見た場合は、難切削材料であり、d2≒0.473mmのような細孔を、通常のドリル加工等で、安価且つ精密に行うことは困難である。
この構成では、図11Aに示すように、一対のジョイント107,108により、格納ハウジング111を保持して構成される。一方のジョイント107は、例えば主管5の開口部5A(例えば、図2参照。)に捻じ込み接続され、他方のジョイント108は、注水管9に接続される。この格納ハウジング111は、図11Bに示すように、流路111Aを有し、潅水の流入孔端面に、上記と同様構成の「半円ノズル形状」のノズル13が設けられている。この構成では、市販のジョイント107,108を用いて、簡単に組み付けできる。
この格納ハウジング113は、図12A,Bに示すように、ハウジング本体113Aの内側に動弁部113Bを備えている。この動弁部113Bは、弁体部113Cと摺動軸113Dを一体に有し、この摺動軸113Dは、ハウジング本体113Aの内側に設けた支持部113Eの孔に嵌合している。113Fはコイルばねである。弁体部113Cの先端には針弁113Gが設けられ、この針弁113Gは、図12Aの状態においては、格納ハウジング113に設けた「半円ノズル形状」のノズル13のノズル孔に嵌っている。
潅水動作が実行されている場合、すなわち高圧ポンプ等からの圧力負荷があるとき、図12C,Dに示すように、動弁部113Bは、水圧で、コイルばね113Fのばね力に抗し押されて図中左方に付勢されている。「流入側圧力=ゼロ」、すなわち圧力負荷がなくなると、図12Cに示すように、コイルばね113Fのばね力により、動弁部113Bが図中右方に付勢され、針弁113Gがノズル13のノズル孔に嵌る。このとき弁体部113Cの外周は、ハウジング本体113Aの内側の円錐状面113Hに密着する。
この種の機構では、例えば長期使用時にノズル13のノズル孔への異物の目詰まりが予測されるが、本構成では、潅水動作が停止されると、針弁113Gがノズル13のノズル孔に嵌るため、ノズル孔内の異物が押し出される。従って、長期使用時におけるノズル部への異物の目詰まりを防止でき、ノズル部の自己洗浄作用を持つ。
115は、土壌進入防止ストッパーを示す。このストッパー115は、注水管9の端面内径d1mm(例えば図2参照。)の先端部に嵌められる。このストッパー115は、図13Aに示すように、移動軸115Aと、先端側が鋭角の円柱状突起115Bとを一体に備える。また、注水管9の先端部の内側にハウジング115Cが形成され、ハウジング115Cの内側に、移動軸115Aが貫通し、支持されている。ハウジング115Cに設けた、移動軸115Aの支持部115Dと、移動軸115Aの後端に設けた突部115Eの間に、コイルばね115Fが配置され、このコイルばね115Fにより、ストッパー115が図中上方に付勢され、この状態では、ストッパー115が注水管9の先端部を閉塞している。
なお、図示の例では、コイルばね115Fが設けられているが、部品構成を単純化するために、このコイルばね115Fを排除し、ハウジング115Cの支持部115Dと、移動軸115Aの摺動間隙を隙間嵌めとして公差を管理し、注水管を土壌中に挿入後、注水圧力負荷により、固定的な隙間「h」のまま活用してもよい(不図示)。
しかし、農場等では、優秀な作物を作るために、定期的に耕作することが重要である。殊に、大規模農場では、大型耕運機で耕作するため、地表近くへの埋設物が邪魔になる。このような場合には、図示は省略したが、主管5から注水管9に至るシステム全体を地中に埋設し、しかも埋設の深さを、耕作の邪魔にならないように、主管5の埋設深さHmを「H≧0.5m」とすることが望ましい。なお、注水管挿入深さhmは、目的と環境により、自由に、適切に選択される。3本の注水管の幅Lmは、前述と同様に、目的と環境により、「L=〜5m〜10m以上」の間で適切に選択される。なお、注水管先端部方向が、地下方向に向けて図示されているが、総ての「地中潅水装置」を埋設する方法の場合は、主管5の埋設深さHmを深くして、注水管先端部を主管5の上部に配置することも可能である。
この例の場合は、水源等から、1台の大型フィード・ポンプ1により予備圧送された潅水が、1台の高圧ポンプ3を介して主管5に供給され、この主管5に接続された複数の注水管9を介して潅水されるシステムである。図の列では、主管5の「A」部で、15箇所の注水管9が配置され、この構成が、「B」部、「C」部と、「Lm」の間隔を以って構成される。図の例で、「L=W=5m」として、主管5の軸方向で、10箇所の潅水ポイントを設けた場合の面積は、「M・W・(N−1)」・L。但し、Mは、一ヶ所での注水管本数、Nは、潅水ポイントで表されるため、「M・W・(N−1)=10×5×(10−1)=450m2=4.5(a)」の面積の潅水管理を行うことができる。
図1の例では、各高圧ポンプ3のラインで、個別流量管理が行なえるのに対し、図14の例では、対応する潅水ポイントの供給流量が均質である。但し、注水管9の設置費用は安価なため、安価な地中潅水装置が提供される。
このように、1本の主管5から多数の注水管9を構成し、マルチ潅水する場合に、主管5の両端での圧力効果による「流量差異」を無視できるようにするためには、0.1MPaでの、ΣQ(l/day)を基準に考えた場合、ノズル13の内径をd2、ノズル13の本数をMとして、ノズル13のノズル孔総面積の100倍に相当する、主管5の流路断面積を与える、主管内径Dmmを、
D2≧100M・d2 …(7)
となるように注意することが重要である。
D≧「≧√{100×100×(0.4732)}≧47mm
程度を目安とすることが重要である。
Q=M・{最大ΣQ(l/day)}×1000/24/60/60
=100×1000(l/day)×1000(cm3/l)
/24(hour/day)/60(min/hour)/60(sec/min)
≒1157(cm3/sec)
従って、主管内径Dmmは、を
D=√{4×100(mm2/cm2)×1157(cm3/sec)
/10(cm/sec)/π}
≒121mm
Q=M・{最大ΣQ(l/day)}×1000/24/60/60
=100×100(l/day)×1000(cm3/l)
/24(hour/day)/60(min/hour)/60(sec/min)
≒115.7(cm3/sec)
従って、主管内径Dは、
D=√{4×100(mm2/cm2)×115.7(cm3/sec)
/10(cm/sec)/π}
≒38.4mm
と概算され、式(7)における概算値と同じ数値を得る。
水源等から、フィード・ポンプ1により、高圧ポンプ3に、一定圧力で「水」が供給されている。フィード・ポンプ1には、高圧ポンプ3への供給圧力を一定にするための、自動圧力調整弁1Aが付設されている。
高圧ポンプ3の出ロ部には吐出圧力を計測する圧力センサー51が配置され、この圧力センサー51には制御装置52が接続されている。制御装置52は、圧力センサー51からの信号を受けて、高圧ポンプ3の駆動モーターが御運転される。制御装置52は、高圧を任意の圧力で制御しつつ、タイマー機能を併せ持つ。
圧力センサー51による、任意の圧力ΔPMPaでの供給は、Q=α√ΔPの流量で、各注水管9から、均一流量で、土壌中に潅水される。比例定数αは、ジョイント7に内蔵されたノズル13の内径d2に固有の値で、供給するQ(l/min)に対応して、適切に選定される。
3 高圧ポンプ
5 主管
7 ジョイント
9 注水管
11 格納ハウジング
13 ノズル
Claims (7)
- 水源等から圧送ポンプ、主管及び注水管を介して地中潅水する地中潅水装置において、
前記主管から前記注水管に至る任意の部位にジョイントを配置し、ジョイントには、内径が2mm以下の流路を有するノズルを設け、ジョイント本数M、ノズル内径d、主管内径Dとしたとき、D 2 ≧100M・d 2 、となるように設定し、主管内の高圧圧力を制御することで、各注水管からの注水量を制御できるようにした、ことを特徴とする地中潅水装置。 - 水源等から圧送ポンプ、主管及び注水管を介して地中潅水する地中潅水装置において、
前記主管に開口部を設け、この開口部に、主管及び注水管を連通するジョイントを接続し、ジョイントには、前記主管内に臨む、内径が2mm以下の流路を有するノズルを設け、ジョイント本数M、ノズル内径d、主管内径Dとしたとき、D 2 ≧100M・d 2 、となるように設定し、主管内の高圧圧力を制御することで、各注水管からの注水量を制御できるようにした、ことを特徴とする地中潅水装置。 - 前記ノズルは、前記主管内に臨む流路の開口部にR形状の面取りを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の地中潅水装置。
- 前記ノズルは、前記主管内の圧力増加により該ノズルの流路から押し出されると共に、前記主管内の圧力が低下すると該ノズルの流路に嵌る針弁を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の地中潅水装置。
- 前記注水管の先端部に、該注水管内の圧力変動により稼動する円錐状の突起体を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の地中潅水装置。
- 前記圧送ポンプと前記主管の間に圧力センサーを配置し、該圧力センサーの出力信号を圧送ポンプの駆動モーターに制御信号として入力し、当該主管に供給する圧力を制御可能としたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の地中潅水装置。
- 前記圧力センサーと前記主管の間に、逆止弁及び混合器を配置し、逆止弁及び混合器の間に、水溶性の肥料や土壌改質剤、食塩水や薬剤等の有用液体、あるいは、空気、酸素や二酸化炭素等の有用気体を混入可能としたことを特徴とする請求項6に記載の地中潅水装置。
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