図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面において、同一または相当部分に対しては、同一の符号を付して説明を略す。
図1には室外機が分離した、いわゆるセパレート型空気調和機1の室内機30の外観が示される。室内機30は、室外に設置されている後述の室外機60(図1では示されない)と接続され、室内の壁の高所に取り付けられており、図2および図3に示すように、吹出口において、吹出口から出力される気流である風の向きを上下調整する風向板である上下ルーバ33および左右調整する風向板である左右ルーバ35が軸91と92周りに、それぞれ回動自在に支持されている。ここで、図1を参照して、風向が上方向とは吹出口から出た風(気流)が天井面に向かう方向を指し、下方向とは同様に床面に向かう方向を指す。また、風向が左方向および右方向とは、吹出口に向かって左および右のそれぞれを指す。つまり、室内機30の吹出口にユーザが面と向かって対峙した場合の、ユーザの左手側および右手側それぞれを指す。
また、室内機30には、熱交換器10と送風手段である室内ファン9が内蔵され、室内ファン9により吸込口から吸い込まれた空気は、熱交換器10を通り、吹出口から上下ルーバ33と左右ルーバ35の方向に沿って吹き出される。このとき、上下ルーバ33と左右ルーバ35の向きを変化させることにより、室内機1から吹き出す風の向きを変更できる。
図4を参照して空気調和機1は室内機30と室外機60を備える。空気調和機1の動作は、ユーザが操作するリモコン(リモートコントローラの略)70から与えられる、たとえば赤外線によって変調された操作信号に基づき制御される。操作信号は空気調和機1の動作を制御するために後述の制御部6に対して与えられる指令信号に相当する。
室内機30は、リモコン70から操作信号を受信するフォトダイオードを有する受信部2、ユーザにより外部から操作されて操作信号を受け付けるための室内機30の筐体に設けられた操作部3、与えられる表示信号に基づき空気調和機1の状態をランプ等で表示する表示部4、および制御部6を備える。
以降の説明では、操作信号がリモコン70から与えられるとしているが、リモコン70の機能は操作部3および表示部4により代替することができる。その場合、操作部3は後述のオペレーション部27に対応し、表示部4は表示部25に対応する。
制御部6は、空気調和機1の動作を集中的に制御および監視するためにCPU(Central Processing Unit)18、プログラムおよびデータを格納するメモリ19およびタイマ20を含む。CPU18は、受信部2および操作部3からの操作信号を受理し、受理した信号に基づき各部を制御するともに、表示信号を生成して表示部4に与える。
さらに室内機30は、制御部6により制御される室内ファン駆動回路8、および室内ファン駆動回路8により駆動され、熱交換された空気を室内に吹き出すための室内ファン9を備える。また、制御部6に制御される上下風向駆動回路34および左右風向駆動回路36、上下風向駆動回路34および左右風向駆動回路36により駆動されるモータにより回動し、室内ファン9が吹き出す風の方向を上下および左右に制御する電動の風向板である上下ルーバ33および左右ルーバ35を備える。
室内機30は、また、室内ファン9により室内機30内に吸い込まれた空気と熱交換する室内熱交換器10、室内ファン9により室内機30内に吸い込まれた空気の温度を検出する室内温度検出器7を備える。室内温度検出器7が検出した温度は、制御部6に与えられる。制御部6は、検出温度に従う表示信号を表示部4に与えるので、表示部4には室内温度が表示される。
室外機60は、たとえば、屋外の地面上に設置され、室内機30の制御部6によって制御されるコンプレッサ駆動回路11、コンプレッサ駆動回路11により駆動されるコンプレッサ12、制御部6に制御される室外ファン駆動回路16、および室外ファン駆動回路16により駆動され、熱交換する為の空気を室外機60内に吸込み、熱交換後の空気を吹き出す室外ファン17を備える。また、室外ファン17により室外機60内に吸い込まれた空気と熱交換する室外熱交換器14を備える。
室外機60は、また、コンプレッサ12、室内熱交換器10および室外熱交換器14と共に、冷凍サイクルを構成する四方弁13およびキャピラリチューブ(毛細管)15を備える。四方弁13は、コンプレッサ12が圧縮した冷媒の流れる方向を、操作信号に従う暖房運転/冷房運転(除湿運転)に応じて切換える。キャピラリチューブ15は、コンプレッサ12が圧縮した高圧(放熱)側の冷媒と、膨張した低圧(吸熱)側の冷媒との圧力差を維持する。
室外機60および室内機30における熱交換の動作は、周知のものを適用するので、ここでは詳細説明を略す。
図5を参照して、上下および左右風向駆動回路34および36は、それぞれ、制御部6から与えられるデータ信号61および62に基づきパルス信号を生成して出力する第1および第2モータ駆動回路341および361、第1および第2モータ駆動回路341および361が出力するパルス信号63および64を入力して、入力したパルス信号に基づき回転する第1および第2ステップモータ342および362を含む。第1および第2ステップモータ342および346それぞれは、モータの回転に連動して回転する回転軸343および363それぞれを有し、回転軸343および363には、それぞれ上下ルーバ33の軸91および左右ルーバ35の軸92が回転軸と連動可能に接続される。
回転軸343および363それぞれの回転角度は、第1および第2ステップモータ342および362が入力するパルス信号のパルス数に比例し、回転速度それぞれは、第1および第2ステップモータ342および362が入力するパルス信号の周波数に比例する。したがって、上下ルーバ33の軸91および左右ルーバ35の軸92の回転数および回転速度は、制御部6の出力するデータ信号61に基づき制御される。回転軸343および363それぞれの回転角度は、接続される軸91および92を介して上下ルーバ33および左右ルーバ35それぞれの風向板の角度(傾き)に対応する。
図6を参照して、リモコン70は液晶などからなり空気調和機1の運転状態を表示する表示部25、外部から操作されるボタン群を含むオペレーション部27とを備える。オペレーション部27は、空気調和機1の運転または停止を指示するために操作されるボタン26、運転中に上下の風向を変更するために操作されるボタン23、運転中に左右の風向を変更するために操作されるボタン24、およびエリア切換ボタン22を備える。エリア切換ボタン22の付近には、空気調和機1が取付けられた部屋の床面(略矩形状と想定する)を6個のエリアに略等分割した場合において、エリア切換ボタン22を操作するごとに上下および左右の風向を同時に切換えて、風向をいずれかのエリア方向に選択的に切換えることが可能である旨の絵表示がされている。
リモコン70は図示されないが室温検出機能と、オペレーション部27のボタン操作を検出する機能を有する。図6ではリモコン70は、表示部25において、検出した室温とともに、検出したエリア切換ボタン22の操作に基づき、6個のエリアのうち風が向けられているエリアが点灯(図中の斜線部)表示される。
ここで、図7を参照して、分割された6個のエリア(図中の斜線部)とエリア切換ボタン22の操作とを関連付けて説明する。本実施の形態では、6個のエリアを説明のためにエリア25a〜25fと呼ぶ。吹出口の前方に延びる床面を吹出口手前側領域と奥(手前とは反対)領域との2つに分け、さらに、吹出口に向かって左、中央、右の3領域に分け、各々を組合わせることにより、手前且つ左、手前且つ中央、手前且つ右、奥且つ右、奥且つ中央、および奥且つ左の計6つのエリア25a〜25fを、1つエリア切換ボタン22のローリング(回転)操作で順番に選択することができる。エリア切換ボタン22を指先でローリングさせながら連続的に操作することで、ローリングの回転の角度に従い風が向けられるエリアは、エリア25a→25b→25c→25d→25e→25f→25a→25b・・・と巡回するように切換えられる。この切換えに連動してリモコン70の表示部25にも、エリア25a→25b→25c→25d→25e→25f→25a→25b・・・と巡回して図7の絵柄が切換え表示される。ユーザは、エリア切換ボタン22をローリング操作しながら、表示絵柄を確認することで、切換操作によって、現在、風が向けられているエリアがいずれであるかを知ることができる。なお、エリアを巡回して順次に指定するためのエリア切換ボタン22の操作は、ローリング操作に限定されず、連続した押下であってもよい。
リモコン70は、エリア切換ボタン22のローリング操作を検出しながら、検出結果に基づくエリアデータを含むエリア切換ボタン22の操作を指す操作信号を生成して送信する。このエリアデータは、エリア切換ボタン22のローリング操作に連動して、エリア25a→25b→25c→25d→25e→25f→25a→25b・・・と巡回するように、指定エリアを指示するデータである。
本実施の形態では、エリア切換ボタン22が操作されたとき、エリア切換モードであると検出する。このローリング操作によるエリア切換えには、リセット状態100が存在する。エリア切換ボタン22を操作してエリア切換モードは有効になるが、エリア25fからエリア25aの切換操作を検出したとき、CPU18はリセット状態100を検出する。エリア切換におけるリセット状態100では、上下ルーバ33および左右ルーバ35に風向板は、メモリ19のデータ54が指す初期値の傾きに切換えられる。また、リセット状態100に移行したとき、モード切換部86はエリア切換モードフラグ40を‘1’から‘0’に更新する。
ここで、図8(A)〜(E)を参照し、左右ルーバ35の風向板の向きを説明する。本実施の形態では、吹出口は略長方形状を有する。吹出口の長辺は吹出口に向かって左右方向に延びる辺に対応する。軸91と軸92は吹出口内において長辺と並行に取り付けられている。左右ルーバ35の各風向板は、吹出口内において軸92にほぼ等間隔で取り付けられている。
また、本実施の形態では上下ルーバ33は一枚の長方形の風向板を有し、この風向板の長辺と吹出口の長辺とは、ほぼ同じ長さであり、吹出口内において当該風向板の長辺と並行に軸91が取り付けられている。吹出口手前側領域と奥(手前とは反対)領域への風向の切換えは、上下ルーバ33の、軸91に対する傾き角度の切換えにより実現される。具体的には、軸91に取り付けられた状態で、上下ルーバ33(風向板)の2つの長辺は、室内機1の内側と外側にそれぞれ位置する。外側の長辺を下(床面)側に傾ける(内側の長辺は上(天井面)側に傾くことになる)ことにより風を手前領域へ向けることができる。逆に、外側の長辺を上(天井面)側に傾ける(内側の長辺は下(床面)側に傾くことになる)ことにより風を奥領域へ向けることができる。
図8(A)〜(E)には、軸92に取付けられた風向板を、図1の吸込口方向から見た場合の、風向板の軸92に対する傾き角度が模式的に示される。図8(A)を参照して、左右ルーバ35を吹出口に向かって右側に大きく傾けることにより、風の向きをエリア25aの方向とすることができる。図8(A)の状態から、吹出口に向かって少し左側に傾ける図8(B)の状態とすることにより、風の向きをエリア25fの方向とすることができる。図8(B)の状態から、吹出口に向かって左側に傾けることにより、風向板の左右の傾きを無くした図8(C)の場合には、風の向きを中央のエリア25bと25eの方向とすることができる。さらに、図8(C)の状態から、風向板を吹出口に向かって左側に少し傾けた図8(D)の状態とすることにより、風の向きをエリア25dの方向とすることができる。図8(D)の状態から、さらに風向板を吹出口に向かって左側に傾けた図8(E)の状態とすることにより、風の向きをエリア25cの方向とすることができる。
図8(A)〜(E)のエリア25a〜25fに対応した、風向板の傾き角度の大きさは、予め実験などにより検出しているものと想定する。
図9には、図8(A)〜(E)に示した上下ルーバ33と左右ルーバ35の風向板の傾きに従う風の向きと、エリア25a〜25fの対応関係が表形式で示される。図9を参照して、上下ルーバ33の傾きに従う、上(天井面)方向の風向‘a’と、下(床面)方向の風向‘b’のうちのいずれかと、左右ルーバ35の傾きに従う風向‘D1’〜‘D5’の5種類(図8(a)〜(e)に対応する)のうちのいずれかとの組合せの切換えにより、風向きをエリア25a〜25fいずれかに切換えることができる。なお、図9における風向‘a’の方向はもう少し下に傾けて、上方向ではなく、前方下方向に吹出すようにしてもよい。
図10を参照して本実施の形態に係る空気調和機1の風向調整の機能ブロックを説明する。CPU18は、受信部2または操作部3から与えられる操作信号を入力する信号受理部85、信号受理部85が入力した操作信号を解析して解析結果を各部に出力する信号解析部87、空気調和機1の動作モードを切換えるためのモード切換部86、上下ルーバ33および左右ルーバ35の動作を検出するルーバ動作検出部88、データ信号61と62を生成して出力する駆動データ生成部89、後述するテーブル50のエリア毎のデータを更新(書換)するエリア情報更新部81、指定されたエリアを検出するためのエリア検出部83、指定されたエリアを他のエリアに更新するための指定エリア更新部84、パルス信号63と64を入力して、入力したパルス信号に基づきパルスを計数するパルスカウンタ90、上下ルーバ33および左右ルーバ35の風向板の駆動量(傾きの大きさ)を検出する駆動量検出部82を備える。
図10においては、CPU18内の各部とデータをやり取りするための周辺回路としてメモリ19とタイマ20とが示される。図10のCPU18内の各機能部は、本実施の形態ではプログラムによって実現される。このプログラムは、メモリ19に予め格納され、CPU18がメモリ19からプログラムを読出し実行することにより、各機能部が実現される。なお、これら機能部の一部は回路によるハードウェアにより構成されてもよい。
図11を参照してローリング操作による風向切換えのために参照されるメモリ19の格納データの一例について説明する。メモリ19には、エリア切換モードであるとき‘1’がセットされて、リセット状態100が検出されると‘1’→‘0’に更新されるエリア切換モードフラグ40、上下ルーバ33についての傾き微調整のために参照される上下調整パルス数のデータ41、同様に左右ルーバ35についての傾き微調整のために参照される左右調整パルス数のデータ42、上下ルーバ33の現在の向きに対応するパルス信号63のパルス数を指す上下現在パルス数のデータ43、同様に左右ルーバ35の現在の向きに対応するパルス信号64のパルス数を指す左右現在パルス数のデータ44、現在の風向がエリア25a〜25fのいずれに指定されているかを指示するための現在指定エリア45、直前の指定エリアを指示するための旧指定エリア46、およびローリング操作に連動してエリアを切換えるために参照される差分パルス47が格納される。データ43および44の値は、パルスカウンタ90がパルス信号63および64についてカウントするパルス数によって逐次更新される。データ41および42の値は、エリア25a〜25fのそれぞれについて、予め実験などにより検出される。ここでは、説明を簡単にするためにデータ41および42の値は、エリア25a〜25fについて共通すると想定する。
さらに、メモリ19にはテーブル50が格納される。テーブル50のデータは、予め実験などにより検出されて格納される。また、メモリ19にはリセット状態100における上下ルーバ33と左右ルーバ35の風向板の傾きに対応したパルス数であるリセット時初期値54が格納される。
テーブル50には、エリア25a〜25fのそれぞれについて、当該エリアを指示するデータ51と、当該エリアに風を向けるための上下ルーバ33および左右ルーバ35についてのパルス数のデータ52および53が対応付けて格納される。上下ルーバ33のパルス数のデータ52は、風向‘a’および‘b’についてのデータを含み、左右ルーバ35のパルス数のデータ53は、風向‘D1’〜‘D5’についてのデータを含む。
データ52が示す上下ルーバパルス数は、上下ルーバ33が下(床面)向き方向で、且つそれ以上構造的に風向板が動かない位置を基準とした対応エリアの初期値のパルス数を指す。同様に、データ53が示す左右ルーバパルス数は、左右ルーバ35が右方向で、且つそれ以上構造的に風向板が動かない位置を基準とした対応エリアの初期値のパルス数を指す。このように、6個のエリアに風向を切換えるために、上下に2点の初期値パルスと、左右に5点の初期値パルスを有する。
ここで、エリア切換ボタン22のローリング操作で巡回する一連のエリア25a〜25fのデータ52が指す初期値それぞれは、許容範囲を有する。この許容範囲の値は、データ41により指示される。同様に、データ53の値も許容範囲を有し、この許容範囲の値は、データ42により指示される。
図12〜図15のフローチャートを参照して、本実施の形態に係る空気調和機1の風向制御機能について説明する。これらのフローチャートに従うプログラムは予めメモリ19に格納されている。CPU18がメモリ19からプログラムを読出し実行することにより、フローチャートに従う処理が実現される。なお、処理に先立ち、メモリ19のデータのうち、データ41、42および54ならびにテーブル50を除いたデータはいずれも初期化されていると想定する。たとえば、エリア切換モードフラグ40は‘0’に設定(初期化)される。
(メイン処理)
まず、CPU18は、電源がONされると、受信部2を介してリモコン70から操作信号を受信するか否かを判定する(ステップS1)。信号を受信しなければ(ステップS1でNo)、その他の処理を行なって(ステップS5)、再度、ステップS1の処理に戻る。
一方、リモコン70からの操作信号を受信したことを判定したとき(ステップS1でYes)、操作信号は受信部2を介して信号受理部85に与えられる。信号受理部85は受信信号を復調し、復調後の信号を信号解析部87に出力する。
信号解析部87は、信号受理部85から入力した操作信号を解析し、解析結果を出力する。CPU18は、解析結果に基づき、風向のボタン(ボタン22および23ならびにエリア切換ボタン22)が操作されたか否かを検出する(ステップ2)。風向のボタンが操作されたことを検出すると(ステップS2でYes)、処理を、図13〜図15に示す後述の風向切換処理(ステップS3)に移行させるが、検出しないと(ステップS2でNo)、処理を後述のステップS4に移行させる。
ステップS4では、リモコン70から受信した操作信号に従って、その他の処理が実行されて(ステップS4)、その後、処理はステップS1に移る。
図14を参照して、CPU18は、信号解析部87の解析結果に基づき、エリア切換ボタン22が操作されたかを検出する(ステップS6)。検出しなければ(ステップS6でNo)、処理を後述のステップS21に移行させる。
エリア切換ボタン22が操作されたと検出すると、図13のエリア切換処理を行う(ステップS7)。この処理を終了後、図12の元の処理に戻る。
図13を参照して、エリア切換処理では、モード切換部86は、メモリ19のエリア切換モードフラグ40を‘0’から‘1’に書換える。これにより、空気調和機1の動作モードは、エリア切換モードに設定されたことが指示される(ステップS9)。また、エリア検出部83は、信号解析部87から入力した解析結果に基づき、操作信号に含まれるエリアデータによって指示されるエリアが、エリア25a〜25fのいずれであるかを検出する(ステップS11)。
エリア検出部83によって指定エリアが検出されると、指定エリア更新部84は、検出された指定エリアに基づきメモリ19のデータ46の領域に、データ45が示す現在指定エリアを読出して書込む。これにより、データ46の旧指定エリアが更新される(ステップS13)。続いて、検出された指定エリアをデータ45が格納される領域に格納する。これにより、データ45の現在指定エリアが更新される(ステップS15)。
続いて、駆動量検出部82は、データ45の現在指定エリアに基づき、テーブル50を検索し、現在指定エリアを指すデータ51に対応するデータ52および53を読出す。同様に、データ46の旧指定エリアに基づき、テーブル50を検索し、旧指定エリアを指すデータ51に対応するデータ52および53を読出す。そして、読出した両データ52同士の差分と、同様に読出した両データ53同士の差分とを検出(算出)して出力する(ステップS17)。検出した差分は、差分パルスのデータ47としてメモリ19に格納される。ここでは、説明を簡単にするために、データ45と46は、いずれかの隣接するエリア同士を指示していると想定する。
駆動データ生成部89は、データ52についての検出差分のデータ47をメモリ19から読出すことにより入力して、入力差分に基づきデータ信号61を生成し上下風向駆動回路34に出力し、同様に、データ53についての検出差分を入力して、入力差分に基づきデータ信号62を生成し左右風向駆動回路36に出力する(ステップS19)。その後、元の処理に戻る。
これにより、検出差分に応じたデータ信号61と62に基づくパルス信号63と64が出力されるので、上下ルーバ33と左右ルーバ35の風向板を、現在のエリアから、エリア切換ボタン22のローリング操作によって指定された次位のエリアに風を送るように、切換えることができる。
図14を参照して、エリア切換ボタン22によるエリア切換信号の受信ではないと判定されると(ステップS6でNo)、CPU18はボタン23の操作による上下風向の変更の操作信号であるか否かを判定する(ステップS21)。受信した信号が上下風向切換の信号であると判定すると(ステップS21でYes)、ステップS23の処理に移るが、そうではないと判定すると(ステップS21でNo)、後述するステップS41の処理に移る。
ステップS23においては、信号解析部87の解析結果に基づき、ルーバ動作検出部88は、上下ルーバ33にパルス信号63が出力されているか否かを検出する。検出結果に基づき、現在、上下ルーバ33が動作中であるか否かを判定する(ステップS23)。上下ルーバが動作中でないと判定されると(ステップS23でNo)、上下ルーバ動作処理(ステップS25)が行なわれる。
上下ルーバ動作処理(ステップS25)においては、駆動データ生成部89は、ステップS21で解析された上下風向の操作信号の解析結果に基づき、上下ルーバ33を動作させるためのデータ信号61を生成し、上下風向駆動回路34に出力する。これにより、ボタン23の操作に従うデータ信号61に基づくパルス信号63により上下ルーバ33は動作する。一方、ルーバ動作検出部88が上下ルーバ33は動作中であると検出すると(ステップS23でYes)、上下ルーバ33の動作が停止させられる(ステップS27)。この停止は、駆動データ生成部89がデータ信号61の出力を停止し、応じてパルス信号63の出力が停止させられることにより実現される。上下ルーバ33は停止した位置を保持する。
このように、上下の風向切換えの回転軸343の回転角度ボタン23を操作したとき、上下ルーバ33が動作中であれば、上下ルーバ33をボタン23が操作された時点の位置で停止させることができ、また、停止中であれば、上下ルーバ33の動作を開始させることができる。
ステップS27の停止処理後、CPU18は、エリア切換モードの選択中であるか否かを、メモリ19のエリア切換モードフラグ40が‘1’を指示するか否かに基づき判定する。‘0’である、すなわちエリア切換モードの選択中ではないと判定されると(ステップS29でNo)、処理は図12の元の処理に戻る。
一方、エリア切換モードフラグ40が‘1’を指示すると判定すると(ステップS29でYes)、上下ルーバ33の風向板の位置(傾き)が、データ45が指す現在指定エリアの調整の範囲内であるか否かが検出される。
具体的には、エリア情報更新部81は、パルスカウンタ90が出力するパルス信号63のパルス数が、メモリ19のデータ45が指す現在指定エリアに対応する風向板の位置(傾き)調整のための値の範囲(値域)を指示するか否かを判定する。つまり、メモリ19から読出したデータ41が指すパルス数と、テーブル50から読出した現在指定エリアに対応するデータ52の値とを加算し、その加算値と、メモリ19から読出したデータ43が指すパルス数とを比較する。比較結果、(加算値<データ43の値)と判定すると、上下ルーバ33の傾きはテーブル50に設定された現在指定エリアの傾きの調整範囲外を指すと判定されて(ステップS31でNo)、処理は図12の元の処理に戻る。
一方、比較結果、(データ43の値≧加算値)と判定すると、上下ルーバ33の傾きは現在の指定エリアの調整範囲内を指すと判定されて(ステップS31でYes)、処理はステップS33に移行する。
ステップS33では、エリア情報更新部81は、データ43が指すパルス数によって、テーブル50の現在指定エリアの対応するデータ52の値を上書きし、更新する(ステップS33)。その後、処理は図12の元の処理に戻る。
このように、テーブル50に予め記憶したデータ52の値ではユーザの好みに合わない場合、例えば、エリア切換ボタン22の操作によりエリア25aを指定していた場合、上下方向の風向が好みに合わない場合は、ボタン23を操作して、上下ルーバ33を動作させ、再度、ボタン23を操作し停止させた位置を、その指定エリア25aの上下風向位置のデータ52としてテーブル50に記憶させることができる。このテーブル50のデータ52の更新は、6個のエリア25a〜25fの各々について同様に可能である。
一方、受信した信号が上下風向切換の信号でないと判定すると(ステップS21でNo)、すなわちボタン24の操作による左右風向切換の信号と判定すると、図15のステップS41の処理に移る。図15の左右風向切換の処理は、図14の上下風向切換の処理と共通するので、説明を簡単に行う。
ステップS41では、信号解析部87の解析結果に基づき、ルーバ動作検出部88は、左右ルーバ35にパルス信号65が出力されているか否かに基づき、現在、左右ルーバ35が動作中であるか否かを判定する(ステップS43)。動作中でないと判定されると(ステップS43でNo)、左右ルーバ動作処理(ステップS45)が行なわれる。
左右ルーバ動作処理においては、駆動データ生成部89は、ステップS21で解析された左右風向切換の操作信号の解析結果に基づきデータ信号62を生成し、左右風向駆動回路36に出力する。これにより、ボタン24の操作に従うデータ信号62に基づいたパルス信号64により左右ルーバ35は動作する。一方、左右ルーバ35は動作中であると検出すると(ステップS43でYes)、駆動データ生成部89はデータ信号62の出力を停止することにより、パルス信号64の出力を停止させる。その結果、左右ルーバ35の動作は停止する(ステップS47)。左右ルーバ35は停止した位置を保持する。
このように、左右の風向切換の回転軸363の回転角度ボタン24を操作したとき、左右ルーバ35が動作中であれば、左右ルーバ35をボタン24が操作された時点の位置で停止させることができ、また、停止中であれば、動作を開始させることができる。
ステップS47の停止処理後、CPU18は、エリア切換モードフラグ40が‘1’を指示するか否かに基づきエリア切換モードであるか否かを判定する。‘0’である、すなわちエリア切換モードの選択中ではないと判定されると(ステップS49でNo)、処理は図12の元の処理に戻る。
一方、エリア切換モードフラグ40が‘1’を指示すると判定すると(ステップS49でYes)、左右ルーバ35の風向板の位置(傾き)が、データ45が指す現在指定エリアの範囲内であるか否かが検出される。
具体的には、エリア情報更新部81は、パルスカウンタ90が出力するパルス信号64のパルス数が、メモリ19のデータ45が指す現在指定エリアに対応する風向板の位置(傾き)調整のための値の範囲(値域)を指示するか否かを判定する。つまり、メモリ19から読出したデータ42が指すパルス数と、テーブル50から読出した現在指定エリアに対応するデータ53の値とを加算し、その加算値と、メモリ19から読出したデータ44が指すパルス数とを比較する。比較結果、(加算値<データ44の値)と判定すると、左右ルーバ35の傾きはテーブル50に設定された現在指定エリアの傾きの調整範囲外を指すと判定されて(ステップS51でNo)、処理は図14の元の処理に戻る。
一方、比較結果、(データ44の値≧加算値)と判定すると、左右ルーバ35の傾きは現在の指定エリアの調整範囲内を指すと判定されて(ステップS51でYes)、処理はステップS53に移行する。
ステップS53では、エリア情報更新部81は、データ44が指すパルス数によって、テーブル50の現在指定エリアの対応するデータ53の値を上書きし、更新する(ステップS53)。
このように、テーブル50に予め記憶したデータ53の初期値ではユーザの好みに合わない場合、例えば、エリア切換ボタン22の操作によりエリア25aを指定していた場合、左右方向の風向が好みに合わない場合は、ボタン24を操作して、左右ルーバ35を動作させ、再度、ボタン24を操作し停止させた位置を、その指定エリア25aの左右風向位置のデータ53としてテーブル50に記憶させることができる。このデータ53の更新は、6個のエリア25a〜25fの各々について同様に可能である。
メモリ19のデータ41と42が指す調整パルス数を用いて、テーブル50のデータに基づく、各エリアに対応した風向板の傾きを、ユーザのボタン23または24の操作に従い微調整することができる。つまり、エリア切換モードにおいて、たとえば、現在指定エリアがエリア25aのときにボタン23または24を操作して上下または左右ルーバ33または35を動作させ、停止させたときの傾きが、次位のエリア25bに対応する風向板の傾きの範囲に至ったことが、上述の比較結果に基づき検出された場合には、CPU18は、ユーザがエリア25aの指定を一時的にキャンセルしたと判断し、エリア25aのデータ52または53の更新は行わない。したがって、ユーザがエリア25aを選択指定しているが、一時的に指定を回避したい(データ52または53の書換えまでは要求しない)場合にも対応することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。