JP5208466B2 - 音叉型振動ジャイロ - Google Patents

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Description

本発明は、圧電振動子に支持部材の一端を接合し、パッケージにその支持部材の他端を接合することにより、圧電振動子を支持部材で支え、圧電振動子をパッケージに搭載する音叉型振動ジャイロに関し、特に、支持部材を介して漏れる圧電振動子の振動エネルギーの温度依存性を低減することにより、温度変化に伴うバイアス変動を抑制するようにした音叉型振動ジャイロに関する。
音叉型振動ジャイロは、物流機械、自動車、移動体ロボット等の移動体における回転検出装置に搭載され、移動体の角速度の検出に用いられる。音叉型振動ジャイロは、圧電振動子と、圧電振動子を収納するパッケージと、パッケージの一部を支点として圧電振動子を支持する支持部材と、角速度測定対象物に該パッケージを固定するためのリード端子等のパッケージ固定部材を備えてなる。圧電振動子を支持するための構造としては、振動子における比較的振動の小さい領域に支持部材の一端を接合し、パッケージの底板に支持部材の他端を接合する圧電振動子支持構造が採用される。すなわち、音叉型振動ジャイロでは、振動子は支持部材で支持されてパッケージに搭載される。
振動子には6脚型、H型(4脚型)、3脚型などがある。図10は、特許文献1(特開2006−275630)に図1として開示された従来の音叉型振動ジャイロを示す分解斜視図である。この従来の音叉型振動ジャイロは、音叉型の6脚型振動子(1)と、支持部材(2)と、パッケージ(3)と、リード端子(31a〜37b)とを備えてなる。支持部材(2)の下面はパッケージ基板(30)の上面における支持部材搭載領域(30a)に接着剤で固着され、支持部材(2)の上面は振動子(1)の胴部(10)の底面の支持部材固着領域に接着剤で固着される。この6脚型振動子(1)は、圧電体からなり、中央の板状の胴部(10)と、胴部(10)の一方の端面から延びる駆動脚(11)と、胴部(10)の他方の端面から延びる検出脚(12)とを有している。駆動脚(11)は、励振用駆動脚(11a,11b)と非励振用駆動脚(11c)とでなる。検出脚(12)は、振動用検出脚(12a,12b)と非振動用検出脚(12c)とでなる。なお、振動ジャイロは、振動子(1)を保護するために、振動子(1)を覆い、底縁をパッケージ基板(30)の縁に溶接等で固着された缶型の蓋(キャップ)を有するが、図10ではその蓋の図示は省略してある。
図10の6脚型振動子(1)において、主面(図10における上面)に平行な方向の面内振動を励振用駆動脚(11a,11b)に励起すると、振動用検出脚(12a,12b)には、非励振用駆動脚(11c)の長手軸周りの回転の大きさ(角速度)に応じて、主面に垂直な方向の面垂直振動がコリオリ力により励起される。そこで、振動用検出脚(12a,12b)の面垂直振動の大きさを測定することにより、パッケージが固定された測定対象物の角速度が測定できる。
振動子の加工寸法のずれ(寸法誤差)及び質量のアンバランスに起因して、角速度入力に基づく振動と同じく、面垂直振動が生じるから、入力の角速度がゼロでも、検出脚からは信号が出力される。この角速度入力ゼロのときに検出脚から出力される検出信号はバイアスと称され、誤差成分である。バイアスに基づく誤差成分は、一定であれば、電気的補正手段により除去できる。
図10の音叉型振動ジャイロでは、振動子(1)を支持部材(2)で支持しているので、振動子(1)における比較的振動の小さい領域(図10の振動子(1)ではその重心位置)に支持部材(2)の一部を固着したとしても、幾らかの振動エネルギーが支持部材(2)を介してパッケージ(3)に漏れるのは避けがたい。
前述のとおり、音叉型振動ジャイロは、移動体の回転計測のために移動体に搭載される。移動体は、測定装置(回転検出装置)の測定対象物である。音叉型振動ジャイロは、測定対象物の角速度を測定するために、測定装置に固定される。図10の音叉型振動ジャイロでは、電気信号や電力を伝えるためのリード端子(31a,32a・・・・・・36b,37b)が、音叉型振動ジャイロを測定装置に固定する手段として兼用される。リード端子(31a,32a・・・・・・36b,37b)を測定装置のプリント基板に半田付けすることにより、音叉型振動ジャイロが測定装置に固定されるのである。言い換えれば、振動ジャイロのリード端子は、パッケージ固定部材としての機能をも担うことができる。
このように、図10の音叉型振動ジャイロは、リード端子でなるパッケージ固定部材で測定装置のプリント基板に固定されているので、測定装置の環境温度が変動すると、プリント基板が膨張又は収縮し、プリント基板の弾性率の不均質性により、プリント基板に歪が生じ、その歪に起因する応力がパッケージ固定部材(リード端子)、パッケージ基板(30)及び支持部材(2)を介して振動子(1)に伝わる。その応力により振動子(1)及び支持部材(2)が変形すると、支持部材(2)を介してパッケージ(3)に漏れる漏れ振動の振動エネルギーが変化する。漏れ振動の振動エネルギーが温度に応じて変動すれば、一定の角速度が振動子に入力されても、振動子の検出脚から出力される信号(検出信号)に含まれるバイアスも温度に応じて変動する。その振動子からパッケージへ漏れる振動エネルギーが温度に応じて一義的に定まれば、そのバイアスは温度の関数となるので、プリント基板の温度を温度センサで検知し、その温度に応じた補正量をその関数から求め、その補正量による補正を検出信号に施すことにより、検出信号における誤差(バイアス)は除去され、温度に拘わらず正しい角速度が測定できる。
ところが、音叉型振動ジャイロのパッケージが固定されるプリント基板などの部材の弾性率の温度特性は、ヒステリシス(温度特性の非可逆性)を有し、温度が一定であっても温度履歴により相違し、温度に応じて一義的に定まらない。そこで、温度センサでプリント基板の温度を検知したとしても、前記補正量が一義的に定まらないから、バイアスに起因する検出信号の誤差、即ちバイアス誤差を補正することはできず、正確な角速度の測定はできない。そこで、測定装置の温度変化に起因するバイアス誤差を軽減するには、図10の例では、音叉型振動ジャイロのパッケージ固定部材(リード端子31a〜37b)からパッケージ基板(30)及び支持部材(2)経由で振動子(1)に伝達される応力を抑制するための改善が求められる。
図11は、外部からの振動が振動子に伝達される度合を抑制する構造として提案された特許文献2(特開2006−242704)に記載の可動センサ素子(S1)を示す図(特許文献2における図1)である。この特許文献2では、可動センサ素子(S1)を角速度センサとして適用した実施の形態が説明されている(段落0027)。可動センサ素子(S1)は、単結晶シリコン製の基板(1)上に多数の層を成長させてなる積層体構造でなる。この可動センサ素子(S1)では、積層体のうちの可動センサ構造体(10)の周辺部(82)に、積層体の積層方向〔本願の図11(特許文献2における図1)(a)中の上下方向〕に貫通するように抜かれた抜き部(80)とこの抜き部(80)の残し部(81)とが形成されている。残し部(81)は積層体の厚さよりも薄い薄肉部であるので、可動センサ構造体(10)はバネ性を有する残し部(81)を介して吊られた形で周辺部(82)に連結されている。バネ機能を有する残し部(81)は、外部からの振動を減衰する機能を果たす(段落0069−0071)。この残し部(81)は、シリコン製の可動センサ素子(S1)と一体に形成されており、別体の防振機能部材を要しない(段落0100)。外部からの振動を減衰する図11の構造は、外部からの応力が可動センサ構造体(10)に伝達される度合を軽減する機能を持つといえる。
特開2006−275630 特開2006−242704
図11の従来の構造は半導体積層構造であるから、本構造においては残し部(81)などの各部は微細であり、その各部の寸法は極めて正確である必要がある。また、残し部(81)は、シリコン製の可動センサ素子(S1)本体と一体に形成されている。このような図11の構造は、高度の精度を求められるので、製造工程における歩留まりが悪く、製造費が高価となる。その上、可動センサ構造体(10)、周辺部(82)及び残し部(81)が一体であるから、どこか一箇所に不具合があると、可動センサ素子(S1)の全体が不良品となるので、可動センサ素子(S1)の製造費は一層高価となる。また、半導体装置である図11の構造は、設計、製造工程が複雑で、数百万個といった極めて多数を製造する場合以外では、単品当たりの製造費は高価となる。そこで本発明の目的は、少数または数万個といった中程度の数でも単品当たりの製造費が低廉で、しかもリード端子等のパッケージ固定部材に外部から伝達された応力が振動子に伝わるのを効率的に抑制し、ひいては環境温度の変化に起因するバイアス誤差の温度安定性に優れた(温度の上昇下降でのバイアス誤差のヒステリシスの小さい)音叉型振動ジャイロの提供にある。
前述の課題を解決するために本発明は次の手段を提供する。
(1)一対の励振用駆動脚および一対の振動用検出脚並びに該励振用駆動脚および該振動用検出脚を結合する胴部を有する圧電振動子と、一端を前記胴部に、他端パッケージの平板状部にそれぞれ固着することにより、該パッケージに該圧電振動子を搭載する支持部材と、角速度測定対象物に該パッケージを複数の固定位置で固定するリード端子その他のパッケージ固定部材とを有し、
前記励振用駆動脚、前記振動用検出脚および前記胴部は板状圧電体でなり、該板状圧電体の板面に平行な方向の振動である面内振動を該励振用駆動脚に励振し、コリオリ力により該板面に垂直な方向に該振動用検出脚に生じる面垂直振動を検出し、該面垂直振動に基づき前記角速度測定対象物の角速度を測定する振動ジャイロにおいて、
前記角速度測定対象物の温度変化により該角速度測定対象物に生じる歪に基づき、前記パッケージ固定部材および前記パッケージを経て前記支持部材および前記圧電振動子に伝達される応力の低減を図る伝達応力低減構造を有し、
前記平板状部は、鋼、セラミック、プラスチック等の鋼と同等又は鋼に近似する程度に剛性の高い材料でなり、
前記平板状部の表面における前記支持部材が固着される領域を支持部材固着領域とするとき、前記伝達応力低減構造は、前記複数の固定位置より該支持部材固着領域側の前記平板状部に前記支持部材固着領域を囲むように形成された溝により規定される構造であって、前記平板状部の平板面に垂直な方向の前記応力に対しバネ構造として作用し、該平板状部における該溝の内側である島状部に伝達される前記歪の内の前記面垂直振動方向の成分を抑制する
ことを特徴とする振動ジャイロ。
)前記支持部材側から前記平板状部の平面に直交する方向から見た前記溝の輪郭が前記支持部材固着領域の重心に関し点対称の形であることを特徴とする前記()に記載の振動ジャイロ。
)前記溝の底における前記平板状部の厚みは、他の領域における該平板状部の厚みの分の1以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)の何れかに記載の振動ジャイロ。

上記本発明によれば、少数または数万個といった中程度の数でも単品当たりの製造費が低廉で、しかもリード端子等のパッケージ固定部材に外部から伝達された応力が振動子に伝わるのを効率的に抑制し、ひいては環境温度の変化に起因するバイアス誤差を軽減できる音叉型振動ジャイロが提供できる。
次に本発明の実施の形態を挙げ、図面を参照し、本発明を一層具体的に説明する。図1は本発明の一実施の形態である6脚型の音叉型振動ジャイロを示す分解斜視図である。図2は、図1の振動ジャイロにおけるパッケージの底板を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)は側面図である。図3は、図1の振動ジャイロの側面・断面図である。図3において、ハッチングを施した部分(パッケージの底板5)は断面図で表され、その他の部分は側面図で表されている。図3の断面図における断面は、図1及び図2(A)におけるAA´線にあり、その断面を見る方向は図2(A)のAA´線の両端の矢印方向である。図1乃至図3で示す実施の形態におけるパッケージの底板5は、図2、図3において正確に描いてある。図1のパッケージの底板5は、作図上の便宜から、外縁部の段差および嵌め合わせ突起54が省略して描かれ、また図2(A)に現れている丸みのある4つの角部が直角に描かれている。
図1乃至図3における振動子1は、前述の図10の振動子(特許文献1の図1のもの)と同様な良く知られた6脚型振動子である。図において、1は振動子、2,4は接着剤、3は支持部材、5はパッケージの底板(前述の平板状部に相当)、11,12,13は駆動脚、20は胴体部、21,22,23は検出脚、50は底板5に設けられた溝、51はパッケージの底板5における溝50の内側部分である島状部、52はハーメチックシール、54は嵌め合わせ突起、55は支持部材固着領域、60は測定装置(本実施の形態では回転検出装置)のプリント基板、P1〜P14はリード端子である。リード端子P1〜P14は、そのプリント基板60の電子回路に半田付けにより電気的に接続され、前述のパッケージ固定部材としての構造的機能をも有する。なお、図1〜図3に示す振動ジャイロは、振動子1を保護するために、振動子1を覆い、底縁を底板5の縁における嵌め合わせ突起54の内側の段差部に嵌め合わせられ、その段差部に溶接で固着された缶型の蓋(キャップ)を有するが、これら図ではその蓋の図示は省略してある。また、振動子1の電極、リード端子P1〜P14と振動子1の電極とを接続するボンディングワイヤ、プリント基板60における電子回路も図示が省略してある。
振動子1はランガサイトでなり、パッケージの底板5はステンレス鋼でなり、支持部材3は水晶でなり、接着剤2,4はシリコーンでなる。パッケージの底板5の寸法は、厚みaが1.5mm、長手方向(AA´線方向)の長さが20mm、短手方向(AA´線に直交する方向)の長さ(幅)が12mmである。また、溝50の底の厚みbは0.3mm、溝50の幅cは0.5mm、溝50とハーメチックシール52との最短距離dは0.55mmである。振動子1の寸法は、全長16mm、幅5mm、厚み0.5mmである。支持部材3の寸法は、厚み、長さ(図2のAA´線方向の長さ)、幅(図2のAA´線に直交する方向の長さ)のいずれもが約1mmである。接着剤2,4の厚みは約0.1mmである。
厚み1.5mmのステンレス鋼製のパッケージの底板5には、深さ1.2mmの溝50が形成してある。溝50は、矩形の平面形を有し、支持部材固着領域55を囲み、またリード端子P1〜P14(パッケージ固定部材)より内側に、支持部材固着領域55の重心に関し点対称をなす形に配設されている。本実施の形態は、パッケージの底板5に溝50を形成し、溝50の底部の肉厚を0.3mmという薄さとし、その他の領域の厚み(1.5mm)の5分の1以下とし、溝50の底部をバネ構造としたことを特徴としている。パッケージの底板5において、溝50に囲まれた領域である島状部51は、溝50の外側の部分により両持ち梁の構造で全周を支持されている。そこで、本実施の形態の振動ジャイロが搭載されている測定装置(回転検出装置など)の環境温度の変動により、リード端子P1〜P14が固定されている測定装置のプリント基板が変形し、リード端子P1〜P14を介してパッケージの底板5に応力が伝達されたとしても、その応力により溝50の底部のバネが曲がり、応力はそのバネで吸収され、島状部51に伝達される応力は低減する。
図8は、図1乃至図3で示した振動ジャイロのパッケージ底板5における溝50の幅c及び溝底部の肉厚bを変えたときに、リード端子P1〜P14の変位により島状部51が受ける応力の相違を示すグラフであり、図9は図8(C)の溝底部の各肉厚bにおいて島状部51(図9では支持部固定エリアと表記)が受ける応力を模式的に示す斜視図である。より詳しくは、図8(A)は、図1のA−A線に直交する面におけるその振動ジャイロの模式的断面図である。また、同図(B)は、溝底部の肉厚bを一定値0.4mmに保持し、溝幅cを0mm(底板5に溝50を設けないときに相当),0.3mm,0.5mm,0.7mm及び0.9mmと変えたときに、島状部51が受ける応力が、溝50を設けないときに比べてどのように相違するかを示す応力特性図である。他方、図8(C)は、溝幅cを一定値0.5mmに保持し、底部の肉厚bを0.2〜1.5mmに変化させたときに、島状部51が受ける応力が、溝50を設けないとき(底部の肉厚b=底板5の厚みa=1.5mm)に比べてどのように変動するかを示す応力特性図である。図8(B)及び(C)の特性図は、同図(A)に示すように、リード端子P1〜P7とP8〜P14との間に10ミクロン(μm)の変位を与えたときに、島状部51が受ける応力の割合(溝50を設けないときと比べた低減率)を示している。これら図8(B)及び(C)の応力特性図は、有限要素法を用いたシミュレーションにより得たグラフである。図8(B)から分かるように、溝50の幅cが広いほど、島状部51が受ける応力は減少する。また、図8(C)から分かるように、溝50の底部の肉厚bが薄いほど、島状部51が受ける応力は減少する。溝50を設けないとき(肉厚bが、底板50の厚みaと同じ1.5mmであるとき)に比べ、肉厚bを1/5(b/a=0.2)にまで薄くしたとき、即ちb=0.3mmのとき、島状部51が受ける応力は50%以下に減少する。更に、肉厚bを0.2mm(b/a=0.13)にまで薄くしたとき、島状部51が受ける応力は20%にまで減少する。なお、図9の白黒図面では振動ジャイロにおける応力分布の表現が困難であるので、応力分布をカラーで表現した参考図を添付する。参考図も、図8(B),(C)と同様に、有限要素法を用いたシミュレーションにより得たカラー図である。図9は、この参考図の色彩を白黒の濃度に変換して表現した図面である。
このように、図1乃至図3を参照して説明した実施の形態の音叉型振動ジャイロでは、回転検出装置などの測定装置の環境温度の変化により、測定装置からリード端子(パッケージ固定部材)に応力が伝達されても、その応力は、溝50の底部のバネ構造で効率的に吸収され、島状部51にはほとんど伝達されず、ひいては支持部材3及び振動子1にもほとんど伝達されない。したがって、本実施の形態の音叉型振動ジャイロでは、振動子1から支持部材3に漏れる振動エネルギーは環境温度の変化に起因してほとんど変動しないので、振動子1の検出脚21,22の面垂直振動に基づき得られる検出信号(角速度を表す信号)が環境温度変動には僅かしか影響されず、バイアス誤差の温度安定性が改善される。
また、図1乃至図3を参照して説明した実施の形態の音叉型振動ジャイロの製造工程では、振動子1と振動子1以外の部材(パッケージの底板5、支持部材3など)が別々に製造されるので、振動子1、パッケージの底板5、支持部材3などを個別に検査し、検査の結果で良品と判明した部品だけで組み立てられる。図11を参照して説明した従来の可動センサ素子(S1)は、高い精度を要する半導体積層構造であるから少数や数万個といった中程度の個数の製造では製造費が高く、また防振機能部材としての残し部(81)はシリコン製の可動センサ素子(S1)本体と一体に形成されるので、どこか一箇所に不具合があると、可動センサ素子(S1)の全体が不良品となり、可動センサ素子(S1)の製造費は一層高価となることは前述のとおりである。これに対し、本実施の形態の音叉型振動ジャイロは、振動子1、パッケージの底板5、支持部材3などを個別に検査し、検査の結果で良品と判明した部品だけの組み立てで製造できるから、少数や数万個といった中程度の個数の製造では、図11の従来のものに比べ格段に安価に製造できる。
図1乃至図3の実施の形態の振動ジャイロにおいて、測定装置(回転検出装置)のプリント基板、リード端子P1〜P14(パッケージ固定部材)、パッケージの底板5、接着剤2、支持部材3及び接着剤4なる経路で振動子1に応力が伝達されるとき、その応力により伸縮する各部材の弾性率には、温度ヒステリシスがある。振動ジャイロの振動子1から受けた角速度検出信号を処理し、角速度のデータを出力する測定装置は、環境温度に応じた関数に基づく補正量でもってその角速度検出信号を補正し、角速度検出信号に含まれるバイアス誤差を軽減し、精度の高い角速度の測定を図る。しかしながら、その温度ヒステリシスがあるので、バイアス誤差は、振動子1の温度履歴の影響を受け、温度に応じて一義的に定まらず、補正処理された角速度にも誤差が残る。このように、補正された角速度に残る誤差を補正残差と称することとする。図4は、パッケージの底板に溝を設けない図10の従来の振動ジャイロと図1乃至図3の実施の形態の振動ジャイロとのそれぞれにおける補正残差を測定して得た測定値を示すグラフである。図4(A)は図10の従来の振動ジャイロにおける補正残差、同図(B)は図1乃至図3の実施の形態の振動ジャイロにおける補正残差を示す。検出信号は角速度を表すから、補正残差の単位は度/秒(°/s)である。図4において、横軸は測定装置および振動ジャイロが設置された環境の温度[℃]を、縦軸は補正残差[°/s]を表す。同図(A)を見ると温度を次第に上げるときと、温度を次第に下げるときとの補正残差の差の最大値が約12[°/s]である。他方、同図(B)を見ると温度を次第に上げるときと、温度を次第に下げるときとの補正残差の差の最大値が約1[°/s]である。この補正残差の差が、応力伝達経路における弾性率等のヒステリシスに起因するバイアスに対応しているので、図ではヒステリシスと表記してある。図4から分かるように、図10の従来の振動ジャイロでは、そのヒステリシスに起因するバイアスが12[°/s]であったのに対し、図1乃至図3の本実施の形態の振動ジャイロでは、そのヒステリシスに起因するバイアスが1[°/s]、即ち12分の1に改善されている。このように、本実施の形態によれば、環境温度の変動による外部応力が振動子に伝達されるのを大幅に抑制できることから、応力伝達経路における弾性率等のヒステリシスの影響を格段に軽減できる。
図5は、図1の音叉型振動ジャイロの一変形例におけるパッケージの底板を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)は側面図である。図6は、図5の振動ジャイロの側面・断面図である。図6において、ハッチングを付した部分(パッケージの底板5b)は断面図で表され、その他の部分は側面図で表されている。図6の断面図における断面は、図5(A)におけるBB´線にあり、その断面を見る方向は図5(A)のBB´線の両端の矢印方向である。図5及び図6に示す音叉型振動ジャイロは、エンドミルによる加工を容易にするために、図1乃至図3における矩形の溝50における各辺をパッケージの底板の縁部まで延長したものであり、その他の点は図1乃至図3の実施の形態と同じである。
図7は、本発明に適用可能なパッケージ底板の溝の形を例示する図であり、同図(A)は図1乃至図3の実施の形態におけるパッケージ底板5の平面図、同図(B)は図5及び図6の実施の形態におけるパッケージ底板5bの平面図である。同図(C)は別の実施の形態におけるパッケージ底板5cの平面図、同図(D)は更に別の実施の形態におけるパッケージ底板5dの平面図である。図7(A)〜(D)に示すように、パッケージ底板の溝は、各種の平面形が可能であるが、応力を均質に軽減するために、支持部材固着領域55を囲み、またリード端子P1〜P14(パッケージ固定部材)より内側に、支持部材固着領域55の重心に関し点対称をなす形に配設されていることが好ましい。
上述の実施の形態では、振動子1はランガサイト、パッケージの底板5はステンレス鋼、支持部材3は水晶、接着剤2,4はシリコーンと、それぞれの材料を明示したが、これら部材の材料はこれらに限らない。例えば、振動子は水晶等の他の圧電材料でも差し支えない。また、パッケージの底板5に溝を設けることにより、支持部材固着領域を囲むように肉厚の薄い領域を設け、その肉薄領域をバネとして作用させることにより、応力の伝達を抑制するという本発明の効果を得るので、パッケージの底板5には、ステンレス鋼に替えてコバール、セラミック、鉄ニッケル合金、或いは硬質プラスチック等の硬質材料を用いても差し支えない。また、支持部材3はガラス、ランガサイト等の硬い物質であって、温度に関する物性のヒステリシスが小さい材料でも差し支えない。さらに、接着剤2,4はエポキシ樹脂、ゴム等でも差し支えない。或いは、接着剤に代えて、超音波接合用の金属(金、アルミ等)を用いても差し支えない。
また、上述の本発明の実施の形態では、パッケージ固定部材はリード端子P1〜P14であった。しかしながら、本発明におけるパッケージ固定部材は、リード端子に限らず、表面実装技術(Surface Mount Technology, SMT)を適用した端子であっても差し支えない。また、上述の本発明の実施の形態では、振動子は6脚型としたが、振動子の形式はH型など6脚型以外のものであっても本発明は適用できる。更に、本発明の実施の形態では、各部の寸法、形状、材料等を具体的に示したが、これらは一例であって、本発明がこの実施の形態に限定されるものでないことは勿論である。
本発明の一実施の形態である6脚型の音叉型振動ジャイロを示す分解斜視図である。 図1の振動ジャイロにおけるパッケージの底板を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)は側面図である。 図1の振動ジャイロの側面・断面図であり、ハッチングを付した部分(パッケージの底板5)は断面図で表され、その他の部分は側面図で表されている。 測定装置(回転検出装置)は、音叉型振動ジャイロの振動子1から角速度検出信号を受け、その角速度検出信号に含まれるバイアス誤差を環境温度に応じた関数に基づく補正量でもって補正することにより角速度を得るが、その角速度に残る誤差を補正残差と称するときに、パッケージの底板に溝を設けない図10の振動ジャイロと図1の実施の形態の振動ジャイロとのそれぞれにおける補正残差を測定して得た測定値を示すグラフである。同図(A)は図10の従来の振動ジャイロにおける補正残差、同図(B)は図1乃至図3の実施の形態の振動ジャイロにおける補正残差を示す。 図1の音叉型振動ジャイロの一変形例におけるパッケージの底板を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)は側面図である。 図5の振動ジャイロの側面・断面図であり、ハッチングを付した部分(パッケージの底板5b)は断面図で表され、その他の部分は側面図で表されている。 本発明に適用可能なパッケージ底板の溝の形を例示する図であり、同図(A)は図1乃至図3の実施の形態におけるパッケージ底板5の平面図、同図(B)は図5及び図6の実施の形態におけるパッケージ底板5bの平面図、同図(C)は別の実施の形態におけるパッケージ底板5cの平面図、同図(D)は更に別の実施の形態におけるパッケージ底板5dの平面図である。 図1乃至図3で示した振動ジャイロのパッケージ底板5における溝50の幅c及び溝底部の肉厚bを変えたときに、リード端子P1〜P14の変位により島状部51が受ける応力の相違を示すグラフである。 図8(C)の溝底部の各肉厚bにおいて、島状部51が受ける応力を模式的に示す斜視図である。 特許文献1(特開2006−275630)に図1として開示された音叉型振動ジャイロを示す分解斜視図である。 外部からの振動が振動子に伝達される度合を抑制する構造として提案された特許文献2(特開2006−242704)に記載の可動センサ素子(S1)を示す図(特許文献2における図1)である。
符号の説明
〔図1〜図7における符号の説明〕
1 振動子
2,4 接着剤
3 支持部材
5,5b,5c,5d パッケージの底板
11,12,13 駆動脚
20 胴体部
21,22,23 検出脚
50,50b,50c,50d パッケージの底板に設けられた溝
51,51b,51c,51d 島状部
52 ハーメチックシール
54 嵌め合わせ突起
55 支持部材固着領域
60 測定装置(回転検出装置)のプリント基板
P1〜P14 リード端子

Claims (3)

  1. 一対の励振用駆動脚および一対の振動用検出脚並びに該励振用駆動脚および該振動用検出脚を結合する胴部を有する圧電振動子と、一端を前記胴部に、他端パッケージの平板状部にそれぞれ固着することにより、該パッケージに該圧電振動子を搭載する支持部材と、角速度測定対象物に該パッケージを複数の固定位置で固定するリード端子その他のパッケージ固定部材とを有し、
    前記励振用駆動脚、前記振動用検出脚および前記胴部は板状圧電体でなり、該板状圧電体の板面に平行な方向の振動である面内振動を該励振用駆動脚に励振し、コリオリ力により該板面に垂直な方向に該振動用検出脚に生じる面垂直振動を検出し、該面垂直振動に基づき前記角速度測定対象物の角速度を測定する振動ジャイロにおいて、
    前記角速度測定対象物の温度変化により該角速度測定対象物に生じる歪に基づき、前記パッケージ固定部材および前記パッケージを経て前記支持部材および前記圧電振動子に伝達される応力の低減を図る伝達応力低減構造を有し、
    前記平板状部は、鋼、セラミック、プラスチック等の鋼と同等又は鋼に近似する程度に剛性の高い材料でなり、
    前記平板状部の表面における前記支持部材が固着される領域を支持部材固着領域とするとき、前記伝達応力低減構造は、前記複数の固定位置より該支持部材固着領域側の前記平板状部に前記支持部材固着領域を囲むように形成された溝により規定される構造であって、前記平板状部の平板面に垂直な方向の前記応力に対しバネ構造として作用し、該平板状部における該溝の内側である島状部に伝達される前記歪の内の前記面垂直振動方向の成分を抑制する
    ことを特徴とする振動ジャイロ。
  2. 前記支持部材側から前記平板状部の平面に直交する方向から見た前記溝の輪郭が前記支持部材固着領域の重心に関し点対称の形であることを特徴とする請求項に記載の振動ジャイロ。
  3. 前記溝の底における前記平板状部の厚みは、他の領域における該平板状部の厚みの分の1以下であることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の振動ジャイロ。
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