JP5207205B2 - 印判 - Google Patents
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Description
ところがこのような従来の印判では、シャッター部材が一対の遮蔽板の先端同士を突き合わせて遮蔽を行っているため、引き出しのペン入れや携行用の筆箱等にシャープペンシルやボールペン、鉛筆あるいは千枚通し等と一緒に印判を保管した場合、引出しの開閉操作や携行時の振動等により、印判の捺印開口よりシャープペンシルやボールペン、鉛筆あるいは千枚通し等の文具類が侵入すると、突合せ縁より容易に挿し込まれて開放され、インキの蒸発が促進されて捺印不良を起こしやすくなるという問題があり、また、文具類が印面に接触してインキにより汚損されるという問題があった。
このような問題を解決するため、本願出願人は、先に特開2006−205440号により、印字体の印面を隠蔽しているシャッターとして、一方の遮蔽板の係合突片が他方の遮蔽板の係合受縁に係合するとともに他方の遮蔽板の係合受縁に係合突片が係合した係止組部として両遮蔽板の先端縁同士がロック状態に保持される印判を提案した。
しかしこの印判では、シャッター部材が強く押圧され印面側へ押し込まれると、遮蔽板自体がもともと変形可能な平板で設計されていることから、外圧に耐え切れず印面側へ向かって折れ曲がり、遮蔽板に印面が接触してインキで汚損されたり、折れ曲がることで前記ロック状態が解除され、インキの蒸発が促進されて捺印不良を起こしやすくなるという問題があり、また、同じ場所に収納されている文具類が印面に接触してインキにより汚損されるという問題があった。さらに、前記ロック状態が解除された部分から、先の尖った文具類が挿し込まれると印面が損傷され印影の欠損を生じるという問題があった。この問題は、シャッター部材がより強く押圧されても押し込まれることを防ぐようにする下尖状の補助突起が必要に応じて設けられている(特許文献3段落番号0011に記載)ことからも明らかである。
また、シャッターの開閉を約十万回繰り返すと反りが発生して前記ロック状態に緩みが生じることで、従来と同様、インキの蒸発が促進されて捺印不良を起こしやすくなるという問題や、ロック状態の緩んだ部分から文具類が侵入し印面に接触してインキにより汚損されるという問題があった。また、遮蔽板が平板でなく曲面で設計されている場合であっても、軽量化を図るため薄くしていくと剛性が低下し、前記のように外側から強く押圧され印面側へ押し込まれると、外圧に耐え切れず印面側へ向かって折れ曲がる可能性があった。
前記遮蔽板は、前記遮蔽板の中央に設けた基板部の両側に折曲部を介して側板部を印面側へ折曲げて起立させ、かつ、互い違いに重ね合わせられて印面を遮蔽するよう位相を異ならせた前記係合突片と前記係合受縁とよりなる凹凸端縁を有する左右一対の略半円形よりなり、かつ、断面形状が前記下筒の内周面に沿うよう略円周の一部を形成するように成型され、
更に、前記凹凸端縁を互い違いに重ね合わせて凹凸端縁同士を係合させた係止組部としてロック状態に保持されるようにしたことを特徴とする印判。
脚枠体1は、上下端面が開口したプラスチック製の中空円柱状で、下端には後述する取付筒体2を着脱自在に取付けたものである。前記脚枠体1の上端部には内側に向かうリング状のフランジ部11が延設されており、脚枠体1の下方内周面には、係止リブ12が複数個設けられている。
第1の実施形態のシャッター部材7は、互い違いに重ね合わせられて印面を遮蔽するよう、位相を異ならせた係合突片71aと係合受縁71bとよりなる凹凸端縁を有する左右一対の略半円形の遮蔽板71よりなるものとしている。遮蔽板71の係合突片71aと係合受縁71bを1箇所だけで係止組部72が組まれるものとし、先尖りの文具類が侵入しやすい部位を一つとして先尖りの文具類が侵入する可能性を低減させるとともに、形状を簡単なものとして安価な成形型やプレス型により製造するようにして製品コストを低減させるという作用効果を有する。また、基部にはヒンジ部71fを介して取付片71gを形成してある。なお、遮蔽板71としては、繰返し行われる開閉動作に対して十分な耐久性が得られるものであれば材質を限定するものではないが、実施例では、ポリプロピレン樹脂などの強靱な合成樹脂材よりなるものとしてある。
また、左右の遮蔽板71は、位相を異ならせた係合突片71aと係合受縁71bとよりなる凹凸端縁を互い違いに重ね合わせて係合させた際、その交差係合して係止組部72が組まれるものとしており、このように左右の遮蔽板71、71の係止組部72によって遮蔽板71の折り畳み方向に作用する弾発力が受け止められ、両遮蔽板71は係合ロックされて印面との間に引張力や押圧力に強い強固な空間を形成している。
また、前記遮蔽板71の中央に設けた基板部71cの両側には、折曲部71eを介して側板部71dを印面側へ折曲げて起立させている。本実施例では、折曲部71eを、基板部71cを挟んで左右対称に二本形成したため、遮蔽板71の断面形状が前記下筒22の内周面に沿うよう、略円周の一部を形成するように成型される(図8参照)。このように、遮蔽板71の断面形状を円形に近づけると、押印操作に伴う印判主体が下降する際邪魔にならず、前記印判主体5の外周を下筒22の内周に最大限近づけることができ、無駄なく効率がよい。但し、特にこれに限定されるものではなく、前記折曲部71eの本数は、単数でも複数でもよく、その数に制限はない。
前記した遮蔽板71、71は、押印操作時に下降する印判主体5の受金53に当接することにより連動し弾発力に抗して自動的に押し開かれるようになっている。さらに、遮蔽板71の係合突片71aはその突縁を角部のない円弧状としてあり、このように円弧状とすることにより他方の遮蔽板71に重なり合っていく際、係合が円滑に行われて遮蔽不良が生じることがないようにしてある。
また、内装体3と外枠体4とは、脚枠体1の係止リブ12に先端を当接させるとともに、後端を外枠体4の内側上端に当接させたコイルスプリングなどの弾発部材6により付勢され、印判主体5を上昇させて、脚枠体1内に収納されるようにするとともに、シャッター部材7が印判主体5の受金53に押されて開放されることがないようにしてあり、このようにすることによってシャッター部材7はその弾発力により左右の遮蔽板71、71を係合ロックして印面を強固に遮蔽するので、他物が侵入しても遮蔽板71は不用意に開放されることがなく、印面を的確に保護するとともに印面に他物が触れて汚損させることがない。捺印操作時には、取付筒体2の下端縁を紙面に当接させたうえ、外枠体4を押圧して弾性部材6の付勢力に抗して印判主体5を下降させれば、下降する印判主体5の受金53により取付筒体2に取り付けられている左右の遮蔽板71、71の基部は押圧されるのでシャッター部材7は開放され、印字体51は紙面に接触して捺印が行われることとなる。
取付筒体2内に設けられて常時は印字体51を隠蔽しているが捺印操作に伴う内装体3の下降に連動して捺印可能な状態に開かれるシャッター部材7として、一方の遮蔽板71の先端を適当数の係合突片71aとその基部幅以上の幅の係合受縁71bとよりなる凹凸端縁とするとともに、他方の遮蔽板71の先端を前記した一方の遮蔽板71の係合突片71a、係合受縁71bに対応して位相を異ならせた係合受縁71b、係合突片71aとよりなる凹凸端縁に形成してあるものが用いられていて、常時はシャッター部材7の先端の凹凸端縁同士が係合された係止組部72でロック状態に保持されるようにしてあるので、印字体51の印面が常時はシャッター7によって隠蔽され、このため、印面により周囲が汚されたり、印面が乾燥することがないことは勿論のこと、シャープペンシルやボールペン、千枚通し等の先尖りの文具類が捺印開口より侵入して両遮蔽板71、71の接触部分である係止組部72を突いても、左右の遮蔽板71、71が互い違いに重ね合わせていることにより、接触部分から開かれることがなく、従って、文具類が突合せ面から挿し込まれて印面を損傷させることがないように的確に印面が保護されることとなる。
また、各遮蔽板71、71の凹凸端縁が互いに弾発圧接されるので、シール性が高く、インキなどの蒸発はより確実に防止できる。さらに、遮蔽板71、71の係合突片71a、71aの形状は特に限定されるものではないが、これらの突縁を円弧状としたものは、押印操作に連動して遮蔽板が71、71が閉じられて係止組部72が形成される際、互いの遮蔽板71、71の係合突片71a、71aの先端突縁がその円弧に倣って係合受縁71b、71bに円滑に介入するので、角部が引っかかって遮蔽が不完全となることがなくて特に好ましい。
これにより、押印操作時以外、シャッターが開かれる可能性を極力排除した印判を提供することができる。
第2の実施形態のシャッター部材7は、双方の遮蔽板の先端縁に凹凸がなく、一対の遮蔽板の先端同士を突き合わせて遮蔽を行う点以外は、第1の実施形態のシャッター部材と同様である。本実施形態は図示しないが、遮蔽板の両側に折曲部を介して側板部を折曲起立させたことを除けば、先端縁の構成は前記特許文献2の図1と略同様である。
このように構成された印判は、遮蔽板の両側に折曲部を介して側板部を折曲起立させているため、外圧に対する剛性が側板部を折曲起立させていないものより向上する。このため、シャッター部材7が強く印面側へ押圧されても、外圧に耐え切れず印面側へ向かって折れ曲がることはなく、遮蔽板71に印面が接触してインキで汚損されたり、折れ曲がることで前記突き合わせが外れるような問題が生じない。また、遮蔽板が曲面で設計されているような前記特許文献2の場合と比較して、外側から強く押圧されるような外圧に対して、剛性は大きく向上している。
11 フランジ部
12 係止リブ
2 取付筒体
21 上筒
22 下筒
23 ポケット部
24 切り欠き
3 内装体
31 大径部
32 小径部
33 段部
34 係止爪
4 外枠体
41 外側円筒
42 内側円筒
43 嵌合凹部
5 印判主体
51 印字体
52 主筒部
53 受金
54 鍔部
6 弾発部材
7 シャッター部材
71 遮蔽板
71a 係合突片
71b 係合受縁
71c 基板部
71d 側板部
71e 折曲部
71f ヒンジ部
71g 取付片
72 係止組部
Claims (1)
- 無数の連続気孔を有する多孔性の印字体を備えた印判主体と、この印判主体の先方部分に嵌装されて常時は弾発部材の弾発力により印字体の印面より先に先端が位置する脚枠体と、この脚枠体内に設けられて常時は印字体を隠蔽するように先端同士を接触させているが押印操作に伴う印判主体の下降に連動して捺印可能な状態に開かれる一対の遮蔽板よりなるシャッター部材と、前記脚枠体の下端縁で係止する外鍔を中間部に形成した上筒と当該上筒の下端縁で係止する内鍔を略上方に形成した下筒を嵌合してなる取付筒体と、からなる印判であって、前記脚枠体には前記シャッター部材を内部に取付けた前記取付筒体が着脱自在に連結されている印判において、
前記遮蔽板は、前記遮蔽板の中央に設けた基板部の両側に折曲部を介して側板部を印面側へ折曲げて起立させ、かつ、互い違いに重ね合わせられて印面を遮蔽するよう位相を異ならせた前記係合突片と前記係合受縁とよりなる凹凸端縁を有する左右一対の略半円形よりなり、かつ、断面形状が前記下筒の内周面に沿うよう略円周の一部を形成するように成型され、
更に、前記凹凸端縁を互い違いに重ね合わせて凹凸端縁同士を係合させた係止組部としてロック状態に保持されるようにしたことを特徴とする印判。
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